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ハグロトンボ  [昆虫]

ハグロトンボ (羽黒蜻蛉)
 イトトンボ亜目 カワトンボ科 
 成虫の体長 53-68mm  
 分布:本州・四国・九州

あっ! 黒いトンボ!
ひらひらと黒い羽が蝶のように花壇に舞う、思わずカメラを構えます。
夢中でシャッターを切るのですが飛んでいる姿を撮るのは至難の業です。
ヤノネボンテンカの葉に停まりました。
4枚の羽を開いたり閉じたりします。
辛うじて写った画像を拡大しました。

ハグロトンボ1♂wb2.jpg

翅を閉じた姿です。
黒い翅と金属のように輝く緑〜青色の長い腹部。
腹部には金色の節があり、細工された釣り竿のようです。
腹節は10個あり、腹部を第1から第10までの節に区切ります。

このトンボはハグロトンボの♂と判明しました。

ハグロトンボ3♂wb.jpg

画像を拡大して明るくします。
黒い複眼と短い触覚が1対づつ。
6本の脚には多数の長いとげが出ていました。

ハグロトンボ3♂@wb2.jpg

追記 このとげ、何のためにあるのでしょう? 気になっていろいろ考えました。
   その結果、トンボは空中を飛びながら、このとげの生えた6本の脚を組み合わ
   せて昆虫などを捕り、餌とするのであろうと思い至りました。
   優美な姿に魅せられ、チョウとは異なるトンボの食性を忘れるところでした。

ハグロトンボの♀は翅が褐色です。
ボケていますが昨年撮った♀の写真です。

ハグロトンボ4♀wb.jpg

ハグロトンボに似たカワトンボにアオハダトンボという希少種がいることが分かりました。
アオハダトンボは清流にしか棲まないといわれ、ハグロトンボよりやや小型ですが、翅は鮮やかな藍色、前胸部も金緑色でさらに美しいそうです。
この近くを木曽川が流れ、周囲にはまだ水田が残っています。
アオハダトンボを望むことは出来ませんが、ハグロトンボが訪れてくれる環境を保っていきたいものです。

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キタテハ [昆虫]

おだやかな秋の休日の朝、真っ先にフジバカマを見に行きました。
今年もアサギマダラは来てくれないのでしょうか。
おやっ? これは?
驚きました。キタテハの集団です。数えると20頭も。
翅を開くと約5cm、開いたり閉じたり、明るくにぎやかです。
この画面にいるのは7頭。(写真は画面をクリックすると大きくなります。)

キタテハ10-1wb.jpg

熱心にフジバカマの蜜を吸っています。

キタテハ10-4wb.jpg

キタテハ
 黄立羽、Polygonia c-aureum
 タテハチョウ科タテハチョウ亜科
 前翅長 22〜34mm。

 昨年記事にしたルリタテハは同じ亜科、アサギマダラはマダラチョウ亜科です。
 文字通り、黄色いタテハチョウですが、夏型は地色が黄色、秋型はオレンジ色っぽく
 より美しいと言われています。
 食草はカナムグラ。
 やはりルリタテハに似たトゲのある幼虫です。

キタテハ10-5wb.jpg

翅を立てると、裏側は地味な枯葉色。これは成虫で越年するための保護色です。
後翅にある白いマーク、これが学名の c-aureum の由来と言われます。
この写真ではC というより L に見えていますね。

キタテハ・横1wb.jpg

小さなフジバカマの花の中へ口吻をさして吸蜜しています。

キタテハ10-8wb.jpg

お腹がふくれたのでしょうか。隣の秋明菊に移りました。

キタテハ10-14wb.jpg

翅を精一杯開いて日向ぼっこでしょうか。口吻も円く卷き上げられています。

キタテハ10-7wb.jpg

これがアサギマダラだったら、どんなに素晴らしいでしょう!
でも都会ではキタテハも減っているそうです。カナムグラが除草されてしまうからでしょう。
それなのにここへは20頭も揃って来てくれたのですからこれもまた感激でした。

追記 2010.11. 4.
今日もキタテハが10数頭、フジバカマに乱舞していました。
風もない秋晴れで頭部の写真が撮れましたので追加します。
クリックすると触覚や毛が生えている眼が見えます。

キタテハ頭wb.jpg










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クルマスズメの襲来 [昆虫]

その招かれざる客は暑い日の午後、突如、私の野良着に上陸した。
あなたは誰? 
たまたま持っていたカメラで証拠写真。

クルマスズメ3wb.jpg

横顔。
触覚の下に大きな眼。

クルマスズメ3wb2.jpg


薄い布地に脚先をひっかけつつ這い上がってくる。

クルマスズメ襲来1wb.jpg

えっ?
その脚でそのお腹で私の柔肌に這い上がろうっていうの?

クルマスズメ4wb2.jpg

だめっ! 来ないで!
ブラウスをバタバタ払う。

それでも無言で胸の方へよじ上ってくる。
止めてー! 

うわー!

クルマスズメ4wb3.jpg
 
思わずゴム手袋で払い落とす。

スズメガの一種でしょうね。
前翅には太い筋模様がある。
でも傷ついてよれよれ。

クルマスズメ1wb3.jpg

膨らんだ腹部。

クルマスズメ2wb2.jpg

けれども上から見ると意外に細身。

後で絵合わせ。
クルマスズメという大きなスズメガと判明。
 スズメガ科 ホウジャク亜科。
 大きさ (開張)80-90mm。
頭部から腹端まで背部中央に白色線が通っている。

クルマスズメ5wb.jpg

それにしても親愛の情はもうご勘弁を!
このあたりが私の限界ゆえ。



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ナミアゲハ [昆虫]

ナミアゲハ
 並揚羽   Papilio xuthus アゲハチョウ属

庭に訪れるアゲハチョウのうち、最も多いのが ナミアゲハ です。
ナミアゲハとは普通のアゲハチョウということでしょうが、この蝶もよく見ればなかなか美しいのです。
ナミアゲハは発生するする季節によっやや小ぶりの春型と大きい夏型に分けられます。

4月25日、ムラサキハナナに来た春型ナミアゲハ。
201004251124wb.jpg

ホバリングしながら吸蜜しています。
アゲハ吸蜜wb.jpg

6月3日朝、ロウバイの木の下に何か輝くスポットを見つけました。
近づくとマンリョウの葉にぶら下がる蝶。
羽化したばかりのナミアゲハです。羽を乾かしているのでしょう。
右上にあるのは抜け出した蛹の殻です。

アゲハ06030958wb.jpg

すこしづつ羽が伸びていきます。
アゲハ0959-1wb.jpg

接写すると卷いた口吻も見えます。
1000-2口吻wb.jpg

腹側から見た目玉模様。
アゲハ腹側wb.jpg


蛹は糸で葉に固定されていました。
アゲハサナギwb.jpg

約2時間後、不意に飛び立って2mほど離れたソヨゴの葉にとまりました。
開いたばかりのつややかな翅模様。
アゲハ羽化直後wb.jpg

6月20日、ボッグセージに来たナミアゲハ。
腹側から見る後肢の青と橙の羽模様がブルーの花に映えています。

アゲハ・ボッグセージwb.jpg

青と橙の羽模様を拡大しました。
青い部分は鱗粉の上にある超微細な棚構造が関与し構造色とよばれます(後記参照)。

アゲハ・ボッグセージwb3.jpg

上記の羽化したばかりのナミアゲハの鱗粉は淡いブルーに見えました。
アゲハ鱗粉2wb.jpg

時には空高く舞い上がります。求愛のダンスでしょうね。
小さな画像を精一杯拡大してみました。

アゲハ翔10-6wb.jpg


暗くなる頃、ナミアゲハは植え込みの間に一夜の宿を求めてきます。
2009年6月28日18時52分。
アゲハチョウ1852wb.jpg

夕方の落葉樹の下は薄暗く、これら2頭のナミアゲハは黒っぽい地味な印象でした。
2009年8月9日17時57分
アゲハ0810-3wb.jpg

ナミアゲハの雌雄の判定は春型では特にむつかしいようです。
夏型では翅の地色が♂は白、♀は帯黄色。肛角部の赤い斑点は♀のみだそうです。

上記の羽化直後のナミアゲハと上の2頭は夏型の♀かと思われます。
下の写真は地色は白く、赤い斑点なく夏型の♂でしょう。
2009年8月8日18時43分
アゲハ0908081843wb.jpg

昨年8月27日、サンショウの葉にいた5令幼虫です。
ナミアゲハの幼虫はミカン科植物(ミカン・サンショウ・カラタチなど)の葉を食べます。
うちにはミカンとサンショウの木がありますのでこの庭でも育っています。

アゲハ5令幼虫09wb.jpg


昨年は元気に飛び交うアゲハチョウの写真がうまく撮れず、保存できたのは宿泊場所を求めにきたナミアゲハの写真2枚だけで、地味なチョウだなと思っていました。
ところが今年は羽化直後やボッグセージ吸蜜中の写真が撮れ、ナミアゲハの翅色の美しさに気付き、この発色の違いは何だろう、光の関与かなと調べるうちに構造色の存在に辿り着きました。

構造色とは、それ自体は色のない光の波長以下の微細構造に、光の干渉・回折・散乱が関与して現れる輝くような色のことです。
構造色に関しては構造色研究会のHPが分かり易いかと思います。

はじめにこの研究に用いられたのはモルフォチョウという青く輝くチョウですが、タマムシ、クジャク、アワビ、シャボン玉などの輝きも構造色だそうです。
また、キアゲハの青い鱗粉も構造色として例示されていますので、ナミアゲハも同様と考えました。


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アサギマダラ [昆虫]

アサギマダラ
フジバカマの花が咲く頃、毎日心待ちにしていたのはアサギマダラという
蝶の来訪でした。

2年前の10月29日のことです。
休憩時間に偶々庭を通ったとき、フジバカマの花にとまっている大きな蝶
が目に入りました。
アゲハチョウくらいの大きさですが、ひらひらと飛び交わさず、ゆっくり
蜜を吸っています。
アサギマダラ1040wb.jpg
急いでカメラを取りにいきました。その間にいなくなってしまいません
ようにと祈りながら。
でも大丈夫でした。蝶は羽を開閉しながら夢中で蜜を吸っているらしく
10枚ほど写真を撮ることができました。

アサギマダラ4wb.jpg

フジバカマは庭の3カ所に咲いています。蝶は他の花には近づかず、
その3株のフジバカマを次々と訪問しています。
羽の明るいブルーの部分は陽の光りに透けるよう。古代色のステンド
グラスのようなおもむきです。
私が今まで見た蝶の中で一番美しいと思いました。

アサギマダラ071029wb.jpg

私が近づいても接写しても逃げる気配はありません。
何と人なつっこい蝶!
もっと写真を撮りたかったのですが、CFカードFuLLの表示。
まだ仕事も途中です。やむなくここであきらめました。

1時間半くらいあと、仕事を終えて飛んでいってみると・・・・・・・?
なんと、まだいました!
カードを入れ替えたカメラを持って撮影再開。
けれども今度は写真映えがしないようなところばかりを飛び交っています。
逃げないからついこちらも大胆になりました。もっと明るいところへ来てと
手で導こうとしました。しかしさすがにこれは行き過ぎだったようです。
蝶は突然、明るい青い空に向かって飛んでいってしまいました。

アサギマダラ横upwb.jpg

その後この蝶の名前を検索、「アサギマダラ」とわかりました。

浅葱色(淡い緑色を帯びた水色)のマダラチョウです。
羽を広げると約8cm。
驚いたことにこの蝶は海を渡る蝶ともいわれ、たいへん謎の多い蝶
だったのです。
他の蝶に比べて鱗粉が少ないので羽はステンドグラスのように透け
て見えます。右側の羽の白っぽい部分は特に鱗粉が少ないため、こ
こに文字を記入して放つマーキング調査が各地で行われています。
その結果、山形から与那国島まで2246kmを飛んだチョウが確認さ
れるなど、生態が解明されつつあります。

右下方の黒い模様はオスだけにある性班です。
オスは生殖に必要なフェロモンをつくるため、PA (ピロリジディン
アルカロイド)を含むフジバカマなどの蜜を吸います。
PAは有毒物質なので鳥などに襲われにくくなり「逃げない」習性
が備わったのでしょう。

アサギマダラの幼虫はアルカロイドをもつガガイモ科の植物を食べて
育ちます。成虫は秋には南西方面に飛び産卵して一生を終え、翌春そ
の子は親と逆ルートで北上するといわれます。長い旅の途中にも鋭い
嗅覚でPAの香りを感知し補給しつつ飛ぶようです。

こんな謎めいた美しい蝶が、私の庭のわずかなフジバカマを上空から
感知してよくぞ舞い降りてきてくれたものです。この年、不調で滅入り
がちだった私には特にうれいいプレゼントでした。

その日、こんなことは1生に1度しかないと思いました。
でもやはり、昨年もそして今年も小さな期待を抱いてアサギマダラを
待ってしまいました。
夢はかなわず、今年もフジバカマは静かに枯れていきます。







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セミ [昆虫]

はや初秋の風が青田を渡り、ツクツクボウシの独唱が夏の終わりを告げています。
最近地域によってはアブラゼミが減りクマゼミが増えているそうですが、愛知県のはずれ、木曽川に近いこの庭では未だにアブラゼミがほとんどです。

写真左の菩提樹はセミに最も好まれる木で、最盛期には1株に100匹近くいるのではないかと思うほどです。この写真で見えているだけでも20匹はいますね。
次に多く集まるのはエゴノキ(写真右)、桜やボウガシは好みではないようです。

蝉の群れ1wb.jpg セミの群れ2wb.jpg

世界のほとんどのセミの翅は透明で、翅が不透明なのは珍しく、その上油色というのは日本のアブラゼミだけということです。これが菩提樹にとまったアブラゼミです。

アブラゼミ09wb1.jpg

少数派のツクツクボウシ。
9月になるとと「ツクツクボウシ  ツクツクボウシ  もう いいよ」と鳴きます。

ツクツクボウシ3wb4.jpg

ごく稀にはニイニイゼミも見られました。 

ニイニイゼミ2011wb.jpg

庭のあちこちに脱け殻を見つけます。しかしセミの羽化は夜なのでなかなか見ることができません。

セミと抜殻wb3.jpg 蝉の抜殻2wb2.jpg
  菩提樹の葉の裏              ニンジンボクの実の上

セミはただ木に止まって鳴いているだけではないのですね。
木の幹に丈夫な長い口吻を刺して樹液を吸っているのです。

セミ吸汁1wb1.jpg

近づくと突然おしっこ?をかけて逃げることがあります。これは飛翔の際に体を軽くするためという説もあり、体内の余剰水分を出すらしく有害物質は含まれないようです。でもかけられたらやっぱりいやですね。時々被害に遭います。

青空に大きな羽音をたてながらセミが揺れていました。
おーおー、クモの巣にかかってしまったんですね。まだクモは遠くにいます。

セミ・クモの巣2@.jpg

傘を使ってクモの糸を切って救出しようとしましたが、糸は絹糸のように強いんですね。
やっと切れて芝生に落下、しかし左翅に糸が絡んでたためずバタバタあがいています。
また救助の手を差し伸べ、何とか回復。セミは一休みしてから飛び去っていきました。

セミ落つ1wb2.jpg セミ落つ3wb2.jpg

珍しく低いところにニイニイゼミがいるのを見つけて写真を撮ったとき、後ろに
ごみのような影がありました。

ニイニイゼミ09-2wb2.jpg

何だろうと後ろに回ると.............まあ!こんなにたくさんセミがいても交尾の場面を見たのは初めてです。

セミの交尾1wb2.jpg

アブラゼミは卵が成虫になるまでに6年かかります。成虫の寿命はしばしば1週間といわれますが、実際にはもっと長く2〜3週間のようです。

セミは夏の風物詩、大合唱はちょっと耳障りな時もありますが、やはりこれからもこの庭に生存し続けてほしいものです。









ニジュウヤホシテントウ [昆虫]

ニジュウヤホシテントウ(二十八星瓢虫)

今夏の家庭菜園はキュウリ、トマト、ナスなど順調に育ち、豊作を喜んでいました。
ところが7月半ば、ナスだけが早くも枯れ始めました。

ナス090531wb.jpg5.31.→ ナス異変090716wb.jpg7.16.

よく見ると葉は表面がかじられて茶色になり、穴も空いています。
さらに近くで見ると、何だか見たことのない虫がたくさんついているのです。
でもこれってどこかで見た虫に似てます。ひょっとしてテントウムシの幼虫?

ニジュウヤホシテントウ0722wb2.jpg

そういえば最近そよかぜさんのブログに変なテントウムシを見たばかり。
続いて 得意のGoogle検索!
ズバリ、大当たり。これがそのニジュウヤホシテントウの幼虫のようです。

それにしても大発生! わが伝統の無農薬の家庭菜園、ナスは8株です。
薬は使わず、茶色になった葉と幼虫をゴム手袋をして取り除くことにしました。

虫が食べた葉は、噛み痕がまるで棚田を空から見たように並んでいて、民芸品や
モダンアートのよう。思わず見とれました。

噛み痕wb2.jpg
葉ばかりでなく、ナスも器用にかじられています。

ナス噛み跡wb.jpg

このグロテスクな幼虫が本当にニジュウヤホシテントウになるのかやっぱり
この目で見極めたくなります。
幼虫のいる葉とナスをまたルリタテハで用いたハウスに入れました。

翌日ナスについていた幼虫に異変を見つけました。まっ黄色になっています。
近くでみるとどうも羽化のようです。顔だけ出してもごもごしています。

テントウ11:08wb2.jpg

今ある写真の中から成長をたどってみます。
卵から孵化して幼虫となり、3度脱皮を繰り返してサナギになるそうです。

テントウ・卵?@wb.jpgテントウ幼虫1@wb.jpgテントウ幼虫@wb.jpg
サナギテントウ蛹@wb.jpg→羽化 テントウ初めましてwb2.jpg初めまして。

トゲトゲの殻を脱ぎ終えるや黄色の塊となってスタコラ歩き始めました。
次いで大きな羽が出て、それがだんだん短く収納されます。同時に上翅には合計28個と
いわれる褐色の斑紋が現れてきます。

テントウ11:39@wb.jpg テントウ12:11@wb.jpg

さらに全身が赤褐色になり、斑紋が黒くなると成虫完成です。
このニジュウヤホシテントウはナナホシテントウやナミテントウと違って、体表が
細かい灰褐色の毛で覆われているため光沢がありません。

成虫-1@wb.jpg成虫-2wb@.jpg

さらに大きな違いは光沢のあるテントウムシはアブラムシをたべる益虫ですが、
このテントウムシはナスやジャガイモの葉を食べ尽くす害虫だということです。

この道30年、私は今年初めてこのニジュウヤホシテントウの被害を受けました

このテントウムシは近づいてもじっと動かず、羽があるのに飛び立ちもしません。
まことにお気の毒ですが、ナスを生かすためには退治せざるを得ません。

ところが枯れた葉や幼虫をやっと全部取り除いたと思っていても、翌日見ると
また成虫が10匹以上いるのです。
どこで羽化したのか、あるいはどこかから飛んでくるのか、まだわかりません。
でもまたおいしい秋ナスが採れるよう、せっせと生存競争中です。

追記 2011.8.12.
ニジュウヤホシテントウにはほとほと手を焼いています。
昨年はまだ少数の発生で手で虫を捕りながら何とかナスが採れました。
割におとなしいので袋を受けながら落とすと大抵捕まります。
中には機敏に飛び立つものもいますがやむを得ません。
今年は昨年と1昨年の中間くらいの発生です。
このまま枯らしても惜しいので秋なすを期待して枝を切り戻し追肥しました。

昨日コメントをいただいて見直してみたら、写真がボケ気味でしたので5枚ほど色調補正しました。



ミツバチの盗蜜とチェリーセージの種 [昆虫]

前の記事でクマバチの盗蜜のことを書きました。
スイカズラの蜜を吸うクマバチを追っているとき、もう一匹の盗蜜者を発見しました。
それがミツバチです。

スイカズラの花筒はクマバチはもちろんですが、ミツバチでも細すぎて入れません。
そのためミツバチも花筒の横から同じように盗蜜していたのです。

クマバチはスイカズラの花が少なくなると隣のチェリーセージの蜜を吸いに来ました。
するとミツバチも追っかけてきました。この花は低いところで咲いてますから、写真を
撮るには好都合でした。

チェリーセージの花は縦の長さが2cm弱、もっと閉鎖的で蜜のある花筒の中へはよほ
ど小さな昆虫しか入れないでしょう。小さなアリが出入りしていました。

ホットリップスの構造wb.jpg

花粉が成熟するとメシベの近くの花弁の隙間がわずかに開いて花粉のついた葯が
2本現れます。
このホットリップスにはカスミカメ?と思う小さな虫が来ました。これくらいの
虫だと奥まで入れるかもしれません。
しかしメシベ・オシベは上にあります。受粉の手助けはできるのでしょうか?

カメムシwb.jpg

ミツバチは花から花へすばやく移動しながら盗蜜します。
ミツバチ盗蜜1upwb.jpg

ミツバチの口吻には苞は固すぎるのか、クマバチと違って、苞の上端部またはその上の
花弁を刺していました。
真紅のチェリーセージの蜜も吸っています。
ミツバチ盗蜜-Rupwb.jpg

数日後の夕方、このチェリーセージに2匹のミツバチを見つけました。
1匹は盗蜜中、もう1匹は両足に花粉団子をつけた姿で、花の上部をうろうろしなが
ら蜜をさがしているようです。
ミツバチ花粉玉3upwb.jpg

ついに花の上部に口吻を刺しました。ここはオシベのあるところです。
ここでは蜜は吸えません。盗蜜とは逆に受粉の介助だけをすることになりそうです。
ミツバチ花粉玉1upwb.jpg

このミツバチ達、方や盗蜜者、方や花粉媒介者?
全く対照的な2匹のミツバチを同時に見てたいへん面白く思いました。
前者はクマバチが盗蜜するのを見て学習したのでしょうか?
この写真を撮ったのは夕方の5時過ぎ、チェリーセージの花粉は少ないから他の花で
集めて来たのかもしれません。

しかしこれで種はできるのでしょうか。
紅いチェリーセージには既に苞の部分が褐色になっているがありましたので、この中
に種があるかどうか確認してみました。

種1wb.jpg

枯れた苞の中には種が1〜2個入っているのがありました。全体では充分な数です。
種2Lwb.jpg

案ずることはありませんね。このような難しい構造でも種はできていたのです。

その後はクマバチやミツバチをスイカズラにもチェリーセージにも見かけなくなり
ました。隣のニンジンボクへ移ったようです。
さて一体、チェリーセージの受粉の立役者は誰なのでしょう?
この記事はほんの偶然に見た一こまにすぎません。まだまだ奥は深くてなぞに包ま
れています。

追記 2009.7.5.
これを読んでいただいたそよかぜさんから、貴重なご指摘をいただきました。
  http://soyokaze-jp.cocolog-nifty.com/blog/07/index.html
「花粉を団子にして持ち去ればこれまた受粉の妨げ」との件について
「........花の方は 十分な量の花粉を作っています。」と。

そうなのですね。それだけの花粉団子を作るためにミツバチはいかに多くの花を
訪問し、それらの花の受粉を助けたことか。
さらにこの花粉団子は苦労して巣に持ち帰られ、子孫を残すための栄養源になる。
花も種を残すために十分な量の花粉を作って待っている。

誤りに気付きこの件、削除しました。















クマバチの盗蜜(チェリーセージとスイカズラ) [昆虫]

このかわいらしい花は流通名ホットリップスというチェリーセージです。

ホットリップス5wb.jpg

チェリーセージの中で最も多く栽培されているのは真紅のサルビア・グレッギー。
チェリーセージR09wb.jpg

そこへブンブン音を立てて飛んで来たのはなんとクマバチ!
クマバチCHupwb.jpg

ホバリングしながら毛むくじゃらの脚で花を抱え込むや否や、
クマバチHL2wb.jpg

苞の上からいきなり口吻をブスリ。
クマバチHL1wb.jpg

決定的瞬間!
クマバチHL4wb.jpg
刺したあとには深い傷が残りました。

私も新しい花を引き抜いて吸ってみました。スイカズラと違ってそのままでとても
甘い! このクマバチは確かにこの部分に甘い蜜があることを知っているのです。

クマバチHL5wb.jpg

クマバチはまるまると大きく、ブーン〜ブンブン〜 と大きな羽音をたてて飛び回り
ます。花から花へあっという間に次々刺して蜜を吸っていきます。
カメラを向けている私を怖がるふうもありません。危険を感じなければ攻撃しないと
信じて私も夢中で姿を追いました。

クマバチのこの荒っぽい行為は常態なのでしょうか?
検索してみるとこのクマバチの蜜の吸い方は「盗蜜」といい、花粉を運ばず、蜜だけ
を吸い取る行動とわかりました。

素人の私がこのような観察をすることができたのはブログ上の先生、そよかぜさんの
お導きのお蔭でした。
そよかぜさんは「そよ風のなかで」というブログに身近な動物や植物の生態をきれいな
写真と共に報告されている方です。毎日更新される記事を私は感嘆しつつ愛読させてい
ただいております。

6月9日の私のブログ「スイカズラの蜜」の終わりに、まだ実を見たことがないと書き
ましたところ、そよかぜさんからスイカズラを訪れる虫たちの観察を勧められました。
スイカズラの蜜は細い花筒の奥にあります。しかし、うちの庭ではホバリングできて長
い口を持っているスズメガなどはほとんど見ません。
昼休みに見に行っても、偶然休んでいるような小さなハエやチョウがやっと見つかるく
らいでした。
ところが6月15日、朝行ってみて驚きました。勇ましい音と共に2匹のクマバチが花か
ら花へ飛び交っていたのです。クマバチの来訪は雨の日以外、1週間続きました。

クマバチ1wb.jpg

見ていると花の下部に口吻を刺しているのに気付きました。そこは先日私が調べた蜜の
あるところです。その現場写真が撮りたくても花はあちこちに散在し、クマバチの動き
が速くて私の拙いカメラ操作で焦点を合わせるのは至難の技でした。やっと撮れたのが
この1枚です。

クマバチ3upwb.jpg

しかし刺し傷はほとんどの花にしっかり残っておりました。
スイカズラの花が咲くのは夕方、クマバチは主に朝、白い花優先に蜜を吸います。
昼間黄色っぽくなった花はもう吸い殻でした。

ミツ吸い跡upwb.jpg

クマバチの来訪について私はすぐにそよかぜさんに報告しました。
それをもとにそよかぜさんは「スイカズラの受粉とクマバチの盗蜜」の項を追加して
わかりやすく説明して下さいました。

さらにもうひとつ、私が疑問に思っているのはメシベの花粉のことです。
メシベの柱頭をよく見ると、咲いたばかりの花にはなかった花粉が、昼過ぎの花にはたくさんついていました。

花粉・盗蜜upwb.jpg
柱頭の花粉wb1.jpg

クマバチが盗蜜する際、ホバリングしながら長く突出したシベに触れ、計らずも送粉者となっているのではとも思えてきたのです。
果たしてクマバチは単なる蜜泥棒なのでしょうか? あるいは受粉を手助けしているのでしょうか?

もうスイカズラの花も少なくなり、梅雨の雨は花粉を流してしまいます。
この続きは来年のお楽しみとしましょう。




ベニカミキリ [昆虫]

ベニカミキリ
  英名 Red bamboo longicorn beetle

小径に沿ってビオラやネモフィラが満開です。
ここを通っている時、見なれない美しい紅色が目に入りました。
ビオラ小径wb.jpg

のぞきこむと、ネモフィラの茎に長い触覚をもつ甲虫らしい深紅の虫がいました。
あとでせっせとネット探索、「ベニカミキリ」だと判明。
ベニカミキリwb12.jpg
体長12.5~17㎜、
体の深紅の色と前胸背の5個の黒色紋が特徴です。
黒色紋は変異しやすく、この例のようにつながっていることもあるようです。
触角はオスが体長の約1.5倍、メスは体長と同じくらいの長さということです
から、これはオスでしょう。

成虫はクリ,ハゼ,ネギなどの花の蜜や花粉を食べるそうです。
しかしこのベニカミキリはネモフィラの花心へ潜り込んだと思ったら、
ベニカミキリwb2.jpg

すぐビオラの花へ。
ビオラの花の真ん中の黄色の花弁をムシャムシャ食べるや、カメラの焦点を合わせる
間も与えず、たちまち両羽を横に広げて飛んでいってしまいました。
ベニカミキリwb4.jpg

この虫はどこから来てどこヘ行くのでしょう?
気になって調べてみました。

成虫は伐採した竹や竹林の弱った生竹の節のところなどに卵を産む。
幼虫は竹を食べつつ、竹の中へ侵入し、だんだん大きく育ってサナギになる。
そのまま竹の中で羽化して成虫で越冬、1〜2年後の4−8月に竹から飛び出す
(通常1年1世代,一部2年1世代)。

この美しい昆虫は竹材にとっては困り者の害虫だったのです。