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トキワシノブ [草花(冬)]

トキワシノブ
  シダ類 ウラボシ綱 ウラボシ目 シノブ科 シノブ属の園芸品種(台湾原産)
  学名:Davallia tyermannii
  常緑多年草 
 
10年ほど前に植えた1株のトキワシノブが大株になりました(全高約40cm)。
寒さにも強く当地の雪にも負けず、常緑を保っています。
トキワシノブ雪wb.jpg

銀白色の毛に覆われた根茎はナツツバキの幹に着生しようと上に向かって伸びています。
トキワシノブ2016−1wb.jpg

根元にも繁茂。
トキワシノブ3wb.jpg

さらに地面にも太い根茎を貼り、所々から葉柄を伸ばしています。
トキワシノブ根茎2wb3.jpg

夏の葉はもっと色鮮やかです。これは2010年10月3日撮影。
トキワシノブ20101003wb.jpg

葉は針金状の葉柄(〜15cm)と三角形の葉身(〜20cm)から成ります。
トキワシノブ葉柄wb.jpg

1葉採取。
葉身は、先の鋭い三角形、無毛で硬い紙質様です。
トキワシノブ葉表wb1.jpg

各裂片に丸い膨らみがあります。
トキワシノブ表葉4wb.jpg

葉の裏面。
トキワシノブ葉裏1wb.jpg

黄色い斑点がびっしり。
トキワシノブ葉裏2wb.jpg

これがシダの胞子嚢群でソーラスとも呼ばれます。

ソーラス1wb.jpg

胞子嚢を保護するように被さっているのは包膜。
貝のような形で下から包んでいますが、ここでは既に胞子が成熟して溢れそうです。
ソーラス2wb.jpg

このとき観察した葉の一部を小皿に乗せたまま忘れていました。
数日後、小皿に薄黄色の粉のようなものを見つけてびっくり!
トキワシノブ胞子群2wb.jpg

暖房による乾燥で胞子が一斉に飛び散っていたのでしょうね。
大きいものは破れた嚢?
トキワシノブ胞子2wb.jpg

葉の裏にも飛び散った胞子がたくさん付いていました。
トキワシノブ胞子1wb2.jpg

FABREで覗いてみました。
濃黄色の胞子嚢が包膜からはみ出してあふれそう。
円く膨らんだ胞子嚢の上部にオレンジ色の縞模様が見えます。
これは「環帯」と呼ばれます。
FABREは20倍で見えますが、写真に撮りにくいのが難です。
トキワシノブFABRE1wb.jpg

淡い黄色に見える胞子嚢群。
辺縁部の胞子嚢は胞子が出た後のようで白っぽく見えます。
しかし包膜の下の胞子嚢の多くはまだ黄色が濃く、胞子が残っていそうです。
胞子嚢F4wb.jpg

室内で胞子を飛ばした胞子嚢は華やかでした。
多数の胞子や、役目を終えて伸びた環帯が飛び散っています。
トキワシノブ胞子2FABRE2wb.jpg

次に顕微鏡で確認しました。
胞子の入った胞子嚢、赤い部分が環帯です。
乾燥して嚢が破れると環帯の弾性により反り返って胞子を飛ばします。
胞子嚢1wb.jpg

胞子を飛ばし終えた胞子嚢。
この伸びきった環帯の下には胞子が10個ほど残っているようです。
胞子嚢殻1wb.jpg

(追加)胞子
胞子8wb.jpg

近縁に東アジアに自生する シノブ(Davallia mariesii )があります。
シノブは冬季葉が枯れますが、日本でも古来「忍ぶ玉」として吊り下げたり、盆栽風に仕立てられてきました。シノブの葉はトキワシノブに比べやや薄くて優しい感じのようです。

今までシダは難しいからと避けてきました。
これをきっかけに今年はもう少し庭のシダを見て見たいと思っています。
しかし何せ素人の個人観察、誤りがありましたらどうぞお教え下さいますようお願いします。
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セツブンソウ (2) [草花(冬)]

セツブンソウ (2)
 セツブンソウ (1)からの続きです。

キンポウゲ科は「形態に原始性をとどめながらも高度に分化したグループ」といわれます。
セツブンソウにもその傾向がありそうな気配です。
今年咲いた花はたった5つですが、よく見ると花が少しづつ違います。
今回は素人の目で見たままを記録することにしました。

5花を左から順にA花・B花・C花・D花・E花とします。
2015-02-05-14.44.Lwb.jpg

A花の咲き始めです(2月5日10時42分)。
花弁のように見える萼片は5枚、白く透けて輝いています。
元々の花弁は変形して杯状になり、先端が4裂し大小2つづつの蜜腺になっています。
蜜腺は6対、拡大すると大きな目玉の「ケロヨン」みたいで楽しい!
画像検索すると、蜜腺の形は様々で2裂してY字型になっているのもありました。
ここの蜜腺は初めは黄緑色、次第に黄色になりました。
青いハート型の集団は未開の雄しべの葯です。これは重なっていて数え切れません。

セツブンソウ透ける萼片B2015wb.jpg

5花のまとめです。面白いことに同じ組み合わせはありません。
 A 萼片5枚    蜜腺 6対   雌しべ3本
 B   5枚       7対      4本  
 C   4枚       7対      3本  
 D   5枚       8対      4本  
 E   6枚       7対      4本 

上のA花、約4時間後の姿です(2月5日14時46分)。
青い葯は5個開いて白い花粉を出しています。
柔らかいピンク色の雌しべが3本見分けられます。
A2015-02-05-wb.jpg

セツブンソウはやはり気ままな植物のようです。
検索すると萼片4〜10枚、蜜腺5〜10対、雌しべ2〜5本と様々、まだ例外もあります。
雄しべはもちろん多い少ない様々。
けれども萼片は圧倒的に5枚が多い。
B花も萼片5枚ですが、蜜腺と雌しべが一つづつ多くありました。

D花も同じく萼片は5枚ですが、蜜腺が8対、賑やかに見えます。
雌しべは4本。
D2015-02-05wb.jpg

C花の萼片は4枚、蜜腺7対、雌しべ4本。
萼片が1枚少ないだけですが何か雰囲気が違います。
咲いて3日目、蜜腺が黄色になりかけています。
C2015-02-06-wb.jpg

E花は少し変わっていて萼片が6枚。
6枚目の萼片は2裂、1枚は薄い緑色で葉状です。
E2015-02-05-wb.jpg

横から見ると基部がわずかにずれているようです。
E2015-02-11-wb.jpg

次の疑問はセツブンソウは雄性先熟かどうかです。ネット検索時、疑われていることを知りました。
確かに花が開くとすぐ葯が開き始めます。
しかし、葯は一気にではなく少しづつ開いていきます。
開花3日目のE花の雌しべ4本は近くの花粉をつけることなく、突出しています。
この花だけ見ると雄性先熟?と思います。
E2015-02-06-wb.jpg

これは開花2日目のC花です。
葯はまだ4個しか開いていませんが、雌しべに白っぽい変化が見られます。
もう花粉が付いているのでしょうか? 雌しべ未成熟とは言いかねます。
C02-05花粉初2wb.jpg

また開花2日目のD花では4本の雌しべのうち2本が太くなり、黄色っぽい斑が見えます。
ここが柱頭でしょうか?
しかし、他の花では同じような斑を確認できません。
D-1-02-05-wb.jpg

開花3日目のA花、まだ葯は半分以上開いていないのに雌しべに花粉が付いています。
A20150206-12.25wb.jpg

8日目のB花。
雄しべの葯はまだ開ききってはいませんが、花糸が長く伸びて雌しべを取り巻いてしまいました。
まだ蜜も濃黄色につやつやと輝いています。
しかし、この2月の寒い中、訪れる昆虫は見たことがありません。
花粉を風で飛ばすことも、蜜で昆虫をよぶことも諦め、自家受粉せざるを得ないかもしれません。
B2015-02-11-wb2.jpg

A花7日目。未開の葯はあと一つ。
萼片が少し傷んで彎曲し始めています。
Aセツブンソウ02-10-wb.jpg

C花11日目(2015.2.14.)。
雌しべにも花粉が付いています。
萼片が雄しべ・雌しべ・蜜腺すべてをまとめて包み込みます。
やはり自家受粉の体勢でしょう。
C2015-02-14-wb2.jpg

本日2月15日朝の花たちです。
花茎は7cmほどに伸びましたが直立できません。
自生のセツブンソウの塊茎は地下20cmにあるそうですから浅鉢では無理だったのです。
こんな環境でも昨年3株植えた鉢に自然落下で芽生えた子葉が30本ほど育っています。
結実率の良さも自家受粉の結果かもしれません。
2015-02-15wb.jpg

セツブンソウは自生地が限られる上、花の位置が低いので詳細な報告が少ないようです。
今年は鉢植えの花を近くで見られましたのでわずか5花ですが記録しました。
検索資料に時々出てくる「雄性先熟?」については否定的かと思えました。
しかしキンポウゲ科は多様性があるよう、こんなに少ない観察ではただ参考のみです。
ひとり勝手な推察です。誤りがありましたら是非お教えください。

いつか庭の落葉樹の下で百花くらい咲いてくれないかなと夢見ています。
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セツブンソウ (1) [草花(冬)]

セツブンソウ
  節分草
 キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草
 学名:Shibateranthis pinnatifida
 分布: 関東地方以西。石灰岩地を好む傾向があり、落葉広葉樹林の林床に生える。
 草丈:5〜15cm。

節分の頃咲くというセツブンソウ、雪の中で震えながら咲いているような写真を見ると自分の目で見たくなって、昨年1月衝動買いしました。
山野草用の土が入ったプラの鉢から確かに芽が出て憧れの花が咲きました。
(2014.1.31.)
セツブンソウ2014-2wb.jpg

花後、山野草用の植木鉢と土を買って植えました。
何とか果実が育っています(2014.3.2.)。
セツブンソウ果実20140302wb.jpg

果実(袋果)が膨らんできました(2014.4.6.)。
セツブンソウ果実3wb.jpg

隣の袋果は縦に割れて丸い種子がこぼれ始めていました。
セツブンソウはspring ephemeral、種子を落とした後は葉も枯れて休眠です。
鉢は南のベランダから北側に移動しました。
当地の酷暑が無事越せるかどうか心配です。
セツブンソウ種子wb.jpg

そして今年1月25日、よくよく見ると「出てます。出てます。」見えますか?
左側に蕾をつけた花茎が2本、右上にくるりと巻いた花茎が2本。
セツブンソウ2015-01-25-wb.jpg

花茎の先に苞葉に包まれた蕾。これは塊茎から出ています。
右側に種子からの発芽2本。
セツブンソウ2015-1-29wb.jpg

1月29日、苞葉の間の蕾が膨らみました。
これなら節分に間に合いそうですね?
セツブンソウ2015-01-29-1wb.jpg

ところが、もう一息で咲きそうなのに白い蕾はなかなか開きません。
いよいよ2月3日、節分当日の朝です。
また今日も見送りでしょうか?
セツブンソウ20150202-2wb.jpg

上の画像を拡大します。
蕾の下の花茎が横に伸びましたが5cmくらいです。
自生地では10~15cmに直立して咲くようです。
その近くに現れた切れ込みのある葉は塊茎から出た根生葉。
もう一つ左上と右中央の小さい円い葉は種子から出た子葉です。上の写真では右手前にたくさん芽生えています。
どの子葉も1枚づつ! セツブンソウは双子葉植物ですが例外です(擬似単子葉)。
花も根生葉も子葉も同時に開くのですね!
セツブンソウ20150202-2wb.jpg

2月とは思えないほど明るい午後の日差し。
あっ! 1輪開花です! 節分に間に合いました!
セツブンソウ2015-02-03-1wb.jpg

後の4つの蕾もおずおずとゆっくり開き始めています。
セツブンソウ20150203-3wb.jpg

5枚の白い花弁? いいえ、これは萼片。
緑色の大小2個づつの点の部分は退化した花弁で蜜腺(蜜槽)になっています。
紫色の膨らみは雄しべの葯、中心のピンクの部分が雌しべです。
セツブンソウ20150203-2wb.jpg

辛うじて節分に1花開いた2年目のセツブンソウ。
翌朝はまた閉じて蕾の状態。
花壇には今、寒肥として堆肥を播いています。セツブンソウにも薄く被せました。
2月4日午後5花揃って満開、白い萼が一層白く輝いて見えます。
セツブンソウ02-05-満開2wb.jpg

これまで鉢植えはできるだけ避けてきましたが、セツブンソウ見たさに試してみました。
花数が少なく、草丈も低いので出来はよくありませんが、セツブンソウが慌ただしく開花する過程を観察することができました。
これからもう少し花の細部を見てみたいと思います。
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ニホンズイセン−2014 [草花(冬)]

ニホンズイセン−2014
 日本水仙 
 ヒガンバナ科 スイセン属 の多年草(球根植物)
 学名:Narcissus tazetta var. chinensis 
 分布:地中海沿岸原産、中国を経て関東以西・九州の沿岸に野生化。
 草丈:20〜50cmくらい。

ニホンズイセンはこの庭と相性よく、毎年冬の庭を緑の葉と清楚な花で彩ってくれます。
スイセン花16wb.jpg

中央の黄色いカップは陽が当たると明るく輝きます。
スイセン花17wb2.jpg

例年は年末の雪で茎が倒れます。
でも今年は雪もなく花茎も伸びやか、2月初めまでは順調に咲き続けていました。
スイセン花12wb.jpg

花茎もよく伸びて50cm前後に達していました。
スイセン花11wb.jpg

ところがやはり2月8日は雪。
積もったのは数センチでしたが水分の多い重い雪でした。。
長い花茎は折れ易く、花が多いほど倒れ易く、無惨に地に伏す羽目になりました。
スイセン雪後2wb.jpg

折れた花を切り取って汚れをしずかに水で流し、萎れた花を切り取って、きれいな花だけをまず大きな花瓶に入れました。
数十本の花からあたり一面に甘い香りが漂います。
スイセン花瓶1wb.jpg

欲しい方にお分けしたあとは幾つかの花瓶に分けてあちこちに飾ります。
スイセン花瓶2wb.jpg

ほとんどが満開の花達、花壇にあるときはしゃがみ込まないと見えない顔が近くでゆっくりみられました。
スイセン7wb.jpg

ニホンズイセンの花は3が基本(3数性)。
白い花被片は内外3枚づつ、中央に黄色い盃状の副花冠があります。
中心には雄しべ6本と雌しべ1本。
スイセン1花wb.jpg

もう少し覗き込むと上の方に葯が3つ、ほぼ花粉を出し終えています。
奥の雌しべの周りにある3つの葯は花粉がいっぱいです。
雌しべの柱頭も3つに割れています。
右の葯の基部に見えるのは花糸でしょうか?
スイセン柱頭3裂wb2.jpg

スイセンの葯は花被筒に合着しているようにも見えます。
葯があるかどうか確かめるために副花冠の前部を切り取り、葯の背面を拡大して見ました。
やはり短い花糸がありました。上の画像のも花糸でよかったのです。
スイセン花糸2upwb2.jpg

この雌しべは深くまで3裂しています。
スイセン柱頭3本2wb2.jpg

花の構造を見直してみましょう。
1本の花茎に薄い膜状の苞に包まれた数個の花がついた散形花序です。
濃い緑色の部分は子房(子房下位)。
長い花被筒の先に萼3枚・花弁3枚合計6枚から成る花被片が開いています。
スイセン裏wb.jpg

花を縦に切り、副花冠1/3と上下に一つづつ葯がついた花被筒1/3を除きました。
残りの葯は上下2段に2個づつ見えています。
雌しべは1本、長い花柱が子房に繋がっています。
スイセン雄しべ断面wb.jpg

葯が未開の蕾を開いてみました。
花粉を出す前の大きな葯が上下2段に3個ずつ確認できました。
雌しべは1本ですがねじれているように見えます。
スイセン蕾3断面2wb2.jpg

開花寸前の蕾ではすでに上の葯は半分開いて花粉が出ていました。
スイセン蕾2断面wb.jpg

もう一つの蕾では花柱の上半分は3本に別れていました。
花柱3本が合着して1本の雌しべになっていたのですね。
上の画像で雌しべが大きく3裂していた花では蕾のときから合着していなかったののかもしれません。
スイセン蕾1断面wb.jpg

子房の中は多数の胚珠が2列に並んでいます。
スイセン縦断面wb.jpg

さらに子房の横断面を見てみましょう。左は上方、右は下方の断面です。
子房は3室に分かれ、それぞれ胚珠が2列に詰まっています。
左断面の中央の3つの緑色の影は花柱に繋がっているのでしょう。
スイセンの雌しべは3つの心皮が合着した複合雌しべ だったのです。
この合着が不完全だと先端が3裂することになるのでしょう。
スイセン子房割面wb.jpg

胚珠は受精後種子になるはずですが、スイセンには種子ができません。
こんなに花粉もあり、胚珠も準備されているのに何故種子ができないのでしょう。
念のため花粉を顕微鏡で見てみました。
大きさも形もまちまち、不捻性の花粉と思われます。
スイセンはヒガンバナ等と同じく3倍体なので種子はできないそうです。
無駄な胚珠や花粉をつくるのは勿体ないような気がしますが、球根が出来ないときの非常手段として機能を残しているのでしょうか?。
スイセン花粉1wb.jpg

和名はニホンズイセン(日本水仙)。
ところが学名には中国を意味するchinensisが付いています。
何故でしょう?
スイセンの原産地は地中海沿岸。シルクロードなどを通って中国へ渡り、遣唐使などにより日本に入ったと一般に考えられているからのようです。
しかし、柳宗民さんは著書「日本の花」の中で、ニホンズイセンは中国から球根が黒潮に乗って関東以西の太平洋沿岸へ、さらに対馬海流によって越前海岸などの日本海側へも漂着し野生化したのではないかと説かれています。

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フユノハナワラビ  [草花(冬)]

フユノハナワラビ
 冬の花蕨
 ハナヤスリ科ハナワラビ属の冬緑性シダ植物
 学名:Botrychium ternatum
 分布:本州・四国・九州、東アジア(温帯下部から熱帯)
 高さ:10〜50cm。

数年前から秋に出てくるワラビのような植物に気付いていました。
調べてみると「フユノハナワラビ」でよさそうです。
隣にはツワブキの花が競うように咲いて季節感を添えてくれています。
高さ約40cm。
フユノハナワラビ1210-1wb.jpg

ワラビの仲間のように見えますが、ワラビはウラボシ目 コバノイシカグマ科 で胞子の構造も違います。
まず下草を除いてフユノハナワラビの根元を見てみましょう。
初めに共通柄といわれる短い茎(根茎)から葉のように見える栄養葉が斜め上に、花のように胞子をつける胞子葉が垂直に出ます(この株では胞子葉はすぐ2本に分岐)。
フユノハナワラビ共通柄1wb.jpg

葉のように見える栄養葉は1年に1枚出ます。
葉軸は三つに分かれ、さらに羽状に三角状に広がります。
栄養葉・胞子葉共に無毛。
フユノハナワラビ1210-1根元w.jpg

3回羽状複葉?。
フユワラビ葉1wb2.jpg

小羽片の辺縁は鈍鋸歯。やや硬い乾いたかんじの濃緑色の葉です。
フユワラビ葉3wb.jpg

葉の裏面も無毛。
フユワラビ葉裏wb.jpg

フユノハナワラビの胞子は高く伸びた胞子葉が穂状に分枝した小枝の先にまるで花のように付きます。
これを揺すると白い細かい粉末状の胞子が埃のように飛び散って驚きました。
フユノハナワラビ1210-3wb.jpg

胞子が出始めた頃(11月17日)。
多数の黄色い粟のような胞子嚢が群生しています。
フユノハナワラビ胞子7wb.jpg

球形の胞子嚢の隙間が僅かに開いて胞子がこぼれ始めた頃。
横に裂開することが多い。
フユワラビ2013-2wb2.jpg

胞子最盛期。胞子嚢は褐色を帯びています。
フユノハナワラビ胞子1wb3.jpg

胞子が盛んに散布されます。
フユノハナワラビ胞子3wb2.jpg

粉を吹いたように真っ白です。
フユノハナワラビ胞子満wb.jpg

ついに胞子嚢はほぼ空っぽ(12月8日)。
フユノハナワラビ胞子空3wb.jpg

胞子を顕微鏡で見てみました。
フユノハナワラビ花粉顕.JPG

もう1株近くに育っています。この胞子が芽生えたのでしょう。
同じく高さは約40cm。
こんなに大量の胞子が散布されても滅多に生えないものですね。
胞子葉はこのまま翌年3〜4月まで残り、その後倒れて枯れます。
ハナワラビ20131208-4wb.jpg

近縁種のオオハナワラビ(B. japonicum)は栄養葉の葉先が尖り、茎や葉に毛があります。
またアカハナワラビ(B. nipponicum)は胞子葉は冬季に紅変、やや浅く不規則に尖る鋸歯縁で茎に毛がないそうです。
しかし、この他にもヤマハナワラビ・エゾフユノハナワラビ・モトマチハナワラビ・アイフユノハナワラビ・アカフユノハナワラビなどもあり、同定はなかなか難しそうです。

共通柄は文献によっては担葉体といわれます。
夏緑性のナツノハナワラビでは共通柄が長いのが特徴です。

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スノードロップ [草花(冬)]

スノードロップ
 ヒガンバナ科 Galanthus 属(マツユキソウ属)の球根植物
 ヨーロッパ西部からカフカス山脈とイランにかけて分布。

毎年2月、庭のスノードロップの花が咲き始めます。
いかにもスノードロップという名にぴったりの真っ白いしずくです。
スノードロップ0219-1wb.jpg

花は清楚で愛らしいのですが、日陰に咲く丈の低い白い花は私が最も苦手な被写体です。
なかなかブログ用の写真が揃えられません。
またうちの3株のスノードロップは形の上から2種類と思われるのですが、情報が混乱していてその名を確定できないでいました。
さらに4年前をピークに花数が年々減少しています。
今年は絶滅の危機を感じて、まじめに調べてみることにしました。
この結果を忘れないうちに記事にしておきます(写真はボケボケですが)。

うっすら雪の舞った2月18日、2つの蕾が風に揺れていました。
2月初めの雪のためか、茎がたわんでいます。
スノードロップ雪2輪wb.jpg

2月20日、蕾がほぐれて初めて少し開きました。
スノードロップ20120221-1wb.jpg

スノードロップの園芸種は日本では主に次の3種類です。

 Galanthus nivalis  和名 マツユキソウ  (緑斑1つ)やや小型 乾燥に弱い
 Galanthus eluwesii 和名 オオマツユキソウ (緑斑複数)やや大型 
 G.nivalisの八重咲き種 ’フロレ・プレノ’〔Flore Pleno〕など

これだけ整理するとうちの2種も鑑別できるようになりました。
しかしスノードロップは自然交配し易く、愛好者の多いイギリスでは園芸品種は数百種もあるそうです。
和名はあまり用いられていません。「スノードロップ」の名が余りにもぴったりなのと、同名異種があるからかと思います(近縁のスノーフレークの和名もオオマツユキソウ )。

昨年のGalanthus nivalis 3輪、この状態で満開です。
花は夜は蕾み、昼開きます。
スノードロップ11-1wb.jpg

早春、2〜3枚の根生葉の間から1本の花茎が伸びて先端に1花づつ咲きます。
ここまで5枚の画像は同一株で マツユキソウ=Galanthus nivalis(ニヴァリス) としました。
英名は コモン・スノードロップ。
主な特徴は内花被片の緑色の斑(marking)が先端の1箇所だけにあることです。
葉は光沢のある鮮やかな緑色。
20120221-2wb.jpg

次の花はもう一種のスノードロップです。
内花被片の緑色の斑が先端だけではなく、基部にもあります。
これにより オオマツユキソウ=Galanthus eluwesii (エルウェシー) と思われます。
英名はジャイアント・スノードロップ。
やや大型でこの画像の外花被片と子房部分も G. nivalis より長く見えます。
苞の先端が2裂して白くなっていますが、これは種の特徴ではなさそうです。

スノードロップ11-2wb1.jpg

すっくと立ち上がった花2輪と蕾2つ。
葉の色が粉を吹いたような青白色ですが、これも G. eluwesii の共通所見ではなさそうです。
スノードロップ11-2wb.jpg

蕾の時から「私はエルウェシーよ」。
基部の緑斑が証しです。
スノードロップ09-4wb.jpg

スノードロップは落葉樹の下に植えると良いと言われます。
うちの株は10年ほど前、樹々がまだ今ほど繁っていない時に半日陰に植えましたが、今では終日日陰になってしまいました。
この酷暑の夏の地で生き残っているのはかえって日陰が幸いしているのかもしれませんが、エルウェシー もやや大型といえるほど大きくはなりません。
スノードロップ09-3wb.jpg

俯いてばかりいるスノードロップを下から見るとどうなっているのでしょう。
何か模様があるようですが、検索してもそれを表わす画像は見つかりません。
昨春、思いきってG. nivalisを1花採って観察することにしました。

明るい陽光の下、ツバキの葉の上に逆さにして載せると・・・・・・・・!
花は意表をつくほど美しく輝いて見えました!
大きな外花被片が3枚。
くびれのある小さな内花被片が3枚、その内側には緑色の線模様がありました。
スノードロップ花弁2wb.jpg

黄色の雄しべ6本が中央の一本の雌しべを囲っています。
スノードロップ花弁1wb.jpg

2008年最も花数が多かったときの ニヴァリス です。
左右に1株ずつ植えたものがここまで育ってきました。
左後に1花だけ見えているのがエルウェシー 。
スノードロップの頃3wb.jpg

条件がいいとスノードロップは群生して一面に広がります。
そうするためにはどうしたらいいのかを調べました。
スノードロップは春の妖精、花が終わると姿を消してしまいます。
でもその前に緑の葉が黄色くなりかかった頃、株分けをするといいようです。
群生を夢見て今年はそれを試してみたいと思っています。

スノードロップの記事を準備しているうちに、絶えてしまったかと思っていたあと2株が芽を出してきました。
ニヴァリス はいきなり無防備の蕾が伸び出しててびっくりしました。
スノードロップ20120222-3wb.jpg

エルウェシー の蕾は葉に包まれて出てきてからゆっくり顔をのぞかせます。
スノードロップ20120220-4wb.jpg

今年の寒さは特に厳しかったのでスノードロップの出芽や開花も遅くなったのでしょう。
絶滅しなくてよかった!
2種のスノードロップがしばらく楽しめそうです。
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オキザリス バリアビリス/ホワイト [草花(冬)]

オキザリス バリアビリス/ホワイト 
 カタバミ科オキザリス属 
 原産地:南アフリカ

12月に満開のこの白花のオキザリス、記事にするため検索してみると、オキザリス バリアビリス/ホワイト という品種でした。
カタバミをふっくらと大きくしたような白い花と濃い緑の葉が美しい園芸植物です。
南アフリカ原産ながら寒さに強く、秋から冬にかけて日光を受けると開花します。

オギザリス2011-2wb.jpg

純白の5枚の花弁の基部は黄色、雄しべ5本、雌しべ1本。花径約4cm。

オギザリスw8wb.jpg

回旋状に畳まれた花弁が開き始めます。
オギザリス曇り空wb.jpg

開花直前。
オキザリス白蕾開花wb.jpg

開きました。
オキザリス白1wb.jpg

漏斗形の花筒の基部には萼が5枚。支える花柄はか細く見えます。
オギザリスw2011-6wb.jpg

葉にはカタバミのような切れ込みはありません。
オギザリスw08-1wb.jpg

清楚で華奢な花ながら繁殖力旺盛。
ここではハナミズキの根元を覆うグランドカバープランツになっています。
まわりは紅葉して落ちたハナミズキの葉。
オギザリス2011-1wb.jpg

この花をこのまま放置するとカタバミのように蔓延するのでしょうか。
根はどうなっているのでしょう。
意外にあっさり抜けた根には数珠玉のような球根がついていました。
オギザリス球根wb2.jpg

次はカタバミの根です。
丈夫な根が一本深く伸び、さらに横に伸びた茎からも細かい根が出て匍匐しつつ蔓延します。
さらに多くの果実を作って触れるとぱっと裂けて周辺に飛ばすからたまりません。
1株のカタバミでもたちまち庭中に群生してしまいます。

カタバミ根wb.jpg

オキザリス バリアビリスは種子を作るのでしょうか。
まだ見た事はありません。
園芸的には繁殖は球根で行われています。
私は花の少ない晩秋から初冬にかけて元気に開花するこの花が好きです。
条件が良いとかなり勢いよく増殖しますがカタバミとは異なり抜き易いので、今のところ繁るに任せています。
もちろん繊細な山野草などの近くを避けることは原則です。
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ツワブキ [草花(冬)]

ツワブキ
 石蕗
 学名:Farfugium japonicum
 キク科ツワブキ属の多年草。
 
ツワブキの花は晩秋から初冬に開き、淋しくなった冬の庭に明るい黄色を添えてくれます。
(画面は全てクリックすると大きくなります。)
ツワブキ蹲いwb.jpg

これらのツワブキは葉に白い斑が入る園芸品種です。
葉は常緑で光沢があり、語源はツヤブキとかツヤハフキ(艶葉蕗)とか言われます。

ツワブキ南天wb.jpg

大きな葉の間から伸び出た花茎に散房状に花を付けます。
ツワブキ花序wb.jpg

花は周辺の舌状花と中心の筒状花からなる頭花。
頭花は密集したたくさんの小さな花が総苞に包まれて一つの花のように見えます。
咲き初めは清々しい。
ツワブキ開花1wb.jpg

拡大してみると4つの舌状花にはすでに2裂した雌しべの柱頭が見られます。
舌状花は雄しべの無い雌花です。
ツワブキ開花1wb2.jpg

続いて筒状花の蕾も膨らんできます。
周辺ではもう雄しべの葯が伸びて花粉が付き始めています。
ツワブキ開花2wb.jpg

筒状花は両性花です。
小さな筒状の合弁花の中心から雄しべが伸びてきます。
ツワブキ開花3wb.jpg

は雄しべ5本の花糸です。
花糸の上にある葯は5本が合生し、雌しべの花柱を囲んでいます。
先ず雄しべが伸び出し、葯の内側の花粉が成熟します(雄性先熟)。
その後、雌しべの花柱が葯の間を花粉を押し出しながら伸びて行き、先端で2裂して柱頭となります

ツワブキ・ハチ?3wb.jpg

この頭花はほぼ満開。
ツワブキ満開wb.jpg

花の蜜を求めていろんな昆虫がやってきます。
これはシマハナアブでしょうか。
ツワブキシマハナアブwb.jpg

1〜2月、花は白く変身。
ツワブキ綿毛wb.jpg

冠毛が伸びてパラシュートのようになり小さな実を風に乗せて運びます。
ツワブキ種子wb1.jpg

飛べずにつくばいの縁に落ちてしまった実二つ。
ツワブキ種3wb2.jpg

野菜のカタログの隅に「ツワブキ」を見つけ、園芸品種との違いを見たくて畑の隅に植えました。
斑が入っていないためか、よりつややかで柔らかそうな葉に見えます。
花は殆ど同じですが、花茎が直立しにくく倒れ易いようです。
来春はこのツワブキの茎を試食するつもりです。
ツワブキ北wb.jpg
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オルトシフォン・ラビアツスの霜柱 [草花(冬)]

オルトシフォン・ラビアツス 
 シソ科オルトシフォン属   南アフリカ原産の半常緑多年草
 学名: Orthosiphon labiatus  英名: Pink sage  流通名:ピンクパンサー

2008年10月に植えたオルトシフォン・ラビアツスの1株が1mほどに育ちました。
Labiaとはラテン語で唇、花の形を唇のようなと表現したのでしょうか。
淡いピンク色の花が夏から秋にかけて次々と咲きました。

オ101003wb.jpg

晩秋落葉し枯れ枝だけになりますから、4〜50cmのところで枝を切ります。
その枯れ枝に今年は霜柱を見ることが出来ました。
前回の記事にしたシモバシラ(1月31日・2月5日)とは約3m離れたところ、シモバシラの霜柱よりは貧弱ですが、明らかに霜柱です。
霜柱が節々に並んでついている茎もあります。但し、シモバシラと同じく、茎の切り口には出来ていません。

1月24日。
オ110124wb.jpg

節状に茎の周りに咲いた氷花です。それぞれが水平にくるっと半周以上卷いています。
やはり、皮が剥がれたりひびが入っていますが、それらの全てから氷花が吹き出しているわけではありません。

オ110129wb.jpg

1月27日。
まだ緑色が残っている太い茎からも写真の左右では節状に、真ん中のは柱状に霜柱が形成されています。
トリミングしたトイプードルの脚を連想しました。
シモバシラではこのように太い茎はなく、霜柱の出来る頃には全て枯れて褐色になっています。

オ110127wb.jpg

緑の茎からは滲みだすように斜め下向きに凍っているところもあります。

オ110114wb.jpg

1月31日。太い2本の茎についた霜柱が雪を被っています。

オ110131-1wb.jpg

2月6日。比較のため昼間、上の画像と同じ場面を撮ってみました。
諸肌脱いだように厚い皮(表皮・皮層・師部)が左右に剥げています(赤い矢印)が下の方の木部はまだうぐいす色です。

オ110207wb.jpg

この茎の上の方を切ってみました。
シモバシラと異なり、木部が厚くまだ薄い緑色です。
皮層との間に隙間が出来、下方では剥がれています。

オ断面2wb.jpg

キクの花や扇のような霜柱もありました。

オ110125wb.jpg

霜柱の長い破片が霜をまとった落ち葉の上に落ちていました。

オ110113-2wb.jpg

オルトシフォン・ラビアツスの霜柱が見られたのは1月のうち7日のみで、2月はもう現れなくなりました。一方、シモバシラでは1月は13日、2月は 12日までに7日ありましたから、オルトシフォンはシモバシラに比べて霜柱が生じにくいといえます。

オルトシフォン・ラビアツス は育て易い植物として園芸店で広く販売されています。
しかしオルトシフォンの霜柱の報告は少なく、検索で見つけたのは京都府立植物園のみでした。

シモバシラの他に霜柱が出来る植物を検索し列記しました。意外にたくさんあります。

シソ科:セキヤノアキチョウジ、ヤマハッカ、ヒキオコシ、カメバヒキオコシ、
    エゴマ、アキノタムラソウ、オルトシフォン・ラビアツス
キンポウゲ科:ヤマトリカブト
キク科:カシワバハグマ 、モミジガサ
タデ科:ミズヒキ
ヒユ科:イノコヅチ
サクラソウ科:オカトラノオ

この庭にも10年来のセキヤノアキチョウジとミズヒキはありますが、これらにはまだ霜柱を見たことはありません。気温だけではなく、湿度、土中の水分、日当り、風通しなどいろいろな条件が揃わないと出来ないのかもしれません。


主な参考文献
 犀川政稔:東京学芸大学紀要 自然科学系 58:151-161(2006)


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シモバシラの霜柱(2) [草花(冬)]

シモバシラの霜柱を近くで見てみます。

霜柱110108-3wb.jpg

茎の周りに絹糸を卷いたよう。

霜柱110111wb.jpg

フレアースカート?

霜柱090126-3wb.jpg

ガラス工芸?

110202-4wb.jpg

枯れたシモバシラにどうして霜柱ができるのでしょう? 
とても不思議です。
初めに今関 英雅先生(*1)のご説明を引用させていただきます。
「シモバシラによる霜柱の形成は純粋に物理的な現象です。地中からの水の通路や茎の状態変化については諸説あるようですが、枯死した茎の維管束と髄、皮層との間にできた空隙内を水が毛管現象で上昇し、地上部で氷結するもののようです。
最初の氷結がおきると氷結時の力で茎の皮層、表皮の部分が割れ、その後、地中からあがってきた水が毛管現象で割れ目に滲入してくればその部分から花弁状に氷片ができるようです。」

さらに前川先生の本(*2)を読みつつ考えてみます。
シモバシラは多年草ですから、根は冬も活動し、春の芽出しに備えています。
先ず、霜柱が出来るためには外気温が氷点下、地下は凍らない温度が必要です。
シモバシラ(1)で示した庭の最低気温は -2〜-5℃ でした。
これには「枯れてもろくなった道管は中の水の柱が凍ると体積が増えてひびが入り、ここからまた水が滲みだし、あとから押してくる水でせり出すように霜柱ができる」などと書かれていました。

確かに、剥がれた皮が裂けて霜柱のまわりにぶら下がっています。

霜柱090126-2wb.jpg

もう少し、詳しい説明はないのでしょうか。
検索して犀川政稔先生の観察と実験に基づいた2つの文献を見つけました(*3・*4)。
次のように説明されています。
1)シモバシラの茎は冬期、木部(道管のある部分)の髄(真ん中の白い部分)に接するところが変質して褐色になる。
2)霜柱をつくる水は冬期二次的に木部にできた数本の通路(最大の太さ0.5mm)を通って上がっていく。
3)霜柱ができると茎の皮層は表皮や師部(師管のあるところ)と共に剥がれる。
4)霜柱は年に1度ならず何度でもできる。
5)霜柱は木部の割れた部分や髄と接する部分には生じない。
6)水は凍る直前に放射方向に移動するのではなく、水の通路が木部の表面近くを通った時滲み出て凍る。

それにしてもこのような美しい形になるとは、未だに神秘的に思えます。
この写真では茎の断端が露出したまま、周りに花びらのような霜柱が形成されています。
高さわずか2cm。右は隣の茎の裂けた皮と露出した木部です(2月2日写)。

110202-5wb.jpg

これも3日後に同じ茎にできた花のような霜柱です(2月5日写)。
これらの断端をを見ると木部と髄の間には隙間がありますが凍ってはいません。高さ2cmでも水は上にあふれず、木部の周囲に滲み出たことを示しています。

20110205花wb.jpg

陽が当たると氷の花は透明になりながら解けていきます。

110203-2wb.jpg

株元に花弁のような小さな氷片が落ちていました。そっと拾ってロウバイの落ち葉に乗せて写真を撮ろうとすると見る見る透けていきました。

シモバシラ花弁wb.jpg

霜柱はシモバシラにだけではなくその他のシソ科の植物にも出来ることがあります。
その1例を次の記事に載せましょう。

参考文献
*1)今関 英雅: 日本植物生理学会 みんなのひろば 2010-01-08
*2)前川文夫:1995.植物入門.改訂新装版,八坂書房. Pp. 74-76.
*3)犀川政稔:東京学芸大学紀要 自然科学系 58:151-161(2006)
*4)犀川政稔: 東京学芸大学紀要 自然科学系 59:55-59(2007)

追記) 2011. 2. 6. 夜
  記事の一部を加筆、変更いたしました。



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