スタージャスミン・ハツユキカズラ [花木(初夏)]
庭にはもう2種類のテイカカズラ属の園芸種が育っています。
スタージャスミン
テイカカズラ属の常緑つる性木本
学名:Trachelospermum jasminoides
別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
英名 : star jasmine
原産:中国、台湾
中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
花期:5月 テイカカズラより約1週間後。
この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。
純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。
花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。
但し、テイカカズラとは萼片が異ります。
花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。
花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。
中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。
花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。
葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。
この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?
一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。
(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)
ハツユキカズラ
テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)
10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。
その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。
時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。
5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。
花はスタージャスミンに似ていますが小型です。
これも散房花序。
萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。
花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。
花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。
左より ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
花の直径 約2cm 2〜3cm 2〜2.5cm
花の裏側 ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
葉(右は裏面)ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。
ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
スタージャスミン
テイカカズラ属の常緑つる性木本
学名:Trachelospermum jasminoides
別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
英名 : star jasmine
原産:中国、台湾
中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
花期:5月 テイカカズラより約1週間後。
この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。
純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。
花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。
但し、テイカカズラとは萼片が異ります。
花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。
花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。
中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。
花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。
葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。
この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?
一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。
(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)
ハツユキカズラ
テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)
10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。
その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。
時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。
5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。
花はスタージャスミンに似ていますが小型です。
これも散房花序。
萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。
花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。
花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。
左より ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
花の直径 約2cm 2〜3cm 2〜2.5cm
花の裏側 ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
葉(右は裏面)ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。
ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
2017-06-12 22:18
コメント(16)
テイカカズラ [花木(初夏)]
テイカカズラ
定家葛 キョウチクトウ科テイカカズラ属の木本性つる植物
学名: Trachelospermum asiaticum
別名:マサキノカズラ
分布:本州、四国、九州、朝鮮半島。
花期:5月
2000年に植えたテイカカズラが最も美しかったのは2012年。
使わなくなったキウイの棚を覆い、シャクナゲと同時に開花しました。
5月、一斉に開花すると辺りに芳香が漂います。
大きな房状の花(集散花序)。
花の直径は2.5〜3cm、花弁は風車やプロペラのように5裂。
花筒の下部は細く、上部は襞があってふっくらしています。
それにしても不思議な花です。雄しべも雌しべも見えません。
7月、長い豆のような果実を見つけました。
一対の長さ20cm弱の袋果です。花に比べて大きいのに驚きます。
花はあんなに多かったのにこの年の果実は一つだけ。
11月下旬、やっと果実が割れ、白い毛と茶色の種子が見えました。
これがテイカカズラの種子です。白絹のような種髪が美しい。
花の構造は上から見ても横から見てもわかりません。
今年はネット検索をしてから花を採取して室内で観察することにしました。
テイカカズラは茎を切ると白い液が出ます。これは有毒だそうです。
開花したばかりの真っ白な花弁、中心部は黄色。
中央の黄色の部分には細かい毛が見えます。
中心に向かって5つの突起、これを副花冠というそうです。
真ん中の白っぽい部分は5本の雄しべの先端。
穴のように見える5つの隙間に昆虫が長い口吻を差し込んで蜜を吸う仕組みです。
副花冠の周りにも微小な毛があります。
花を縦に切り開きました。
左の中央の緑色の部分が雌しべ。
雄しべは上部の円錐形の部分で、上の方が葯、花粉は円錐上部に出ます。
下の細い花筒には蜜が溜まります。
若い花を浅く切り開いてみました。
円錐を構成する葯が見えます。
下部の中央が雌しべ、その上部は粘液に覆われています。
柱頭は雌しべの先端ではなく、粘液の下の膨らみにあるようです。
花の凹みに細い針金を通そうと試みられた方もありましたが成功しなかったようです。
今回ネット検索にて見つけた「杉並の自然学/植物/テイカカズラ 」で 田中肇先生が毛髪で成功された記事(牧野植物同好会誌94号)を読み、追試させていただきました。
毛髪は容易に下まで入り、引き抜くと先端に白いものがついてきました。
とすると、口吻は入り口の毛によって葯の隙間に誘導され、柱頭の周りの毛で他花からの花粉を落とし、蜜を吸った帰りに粘液と花粉をまとって出てくるのではないでしょうか。
顕微鏡で確認すると粘液が絡んだ花粉が付いていました。
粘液を溶かして、やっとテイカカズラの花粉を見ることができました!
しかし、こんなに多くの花を咲かせてたった1〜2個の果実を残すのはいかにも能率が悪い。
この庭に口吻の長い昆虫が飛び交うのは夏期、開花期に見られるのは少数のアゲハチョウくらいです。
でもテイカカズラにとって花は万一の備えに過ぎないかもしれません。
これは棚を下から見上げて絡み合った蔓の一部を写したものです。
蔓といっても基部は直径4cmほどになり、太い蔓の各所にイボ状の突起があります。
これらの突起や中央のブラシ状の部分は気根(朝日百科では付着根)といって絡みつくために出した根が遺残したもののようです。
和名「テイカカズラ」は謡曲「定家」に由来し、藤原定家と愛し合った式子内親王の墓に、定家葛(テイカカズラ)がまとわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるという曲だそうです。
やはりこんなに絡みつかれては恐ろしくなりますね。
定家葛 キョウチクトウ科テイカカズラ属の木本性つる植物
学名: Trachelospermum asiaticum
別名:マサキノカズラ
分布:本州、四国、九州、朝鮮半島。
花期:5月
2000年に植えたテイカカズラが最も美しかったのは2012年。
使わなくなったキウイの棚を覆い、シャクナゲと同時に開花しました。
5月、一斉に開花すると辺りに芳香が漂います。
大きな房状の花(集散花序)。
花の直径は2.5〜3cm、花弁は風車やプロペラのように5裂。
花筒の下部は細く、上部は襞があってふっくらしています。
それにしても不思議な花です。雄しべも雌しべも見えません。
7月、長い豆のような果実を見つけました。
一対の長さ20cm弱の袋果です。花に比べて大きいのに驚きます。
花はあんなに多かったのにこの年の果実は一つだけ。
11月下旬、やっと果実が割れ、白い毛と茶色の種子が見えました。
これがテイカカズラの種子です。白絹のような種髪が美しい。
花の構造は上から見ても横から見てもわかりません。
今年はネット検索をしてから花を採取して室内で観察することにしました。
テイカカズラは茎を切ると白い液が出ます。これは有毒だそうです。
開花したばかりの真っ白な花弁、中心部は黄色。
中央の黄色の部分には細かい毛が見えます。
中心に向かって5つの突起、これを副花冠というそうです。
真ん中の白っぽい部分は5本の雄しべの先端。
穴のように見える5つの隙間に昆虫が長い口吻を差し込んで蜜を吸う仕組みです。
副花冠の周りにも微小な毛があります。
花を縦に切り開きました。
左の中央の緑色の部分が雌しべ。
雄しべは上部の円錐形の部分で、上の方が葯、花粉は円錐上部に出ます。
下の細い花筒には蜜が溜まります。
若い花を浅く切り開いてみました。
円錐を構成する葯が見えます。
下部の中央が雌しべ、その上部は粘液に覆われています。
柱頭は雌しべの先端ではなく、粘液の下の膨らみにあるようです。
花の凹みに細い針金を通そうと試みられた方もありましたが成功しなかったようです。
今回ネット検索にて見つけた「杉並の自然学/植物/テイカカズラ 」で 田中肇先生が毛髪で成功された記事(牧野植物同好会誌94号)を読み、追試させていただきました。
毛髪は容易に下まで入り、引き抜くと先端に白いものがついてきました。
とすると、口吻は入り口の毛によって葯の隙間に誘導され、柱頭の周りの毛で他花からの花粉を落とし、蜜を吸った帰りに粘液と花粉をまとって出てくるのではないでしょうか。
顕微鏡で確認すると粘液が絡んだ花粉が付いていました。
粘液を溶かして、やっとテイカカズラの花粉を見ることができました!
しかし、こんなに多くの花を咲かせてたった1〜2個の果実を残すのはいかにも能率が悪い。
この庭に口吻の長い昆虫が飛び交うのは夏期、開花期に見られるのは少数のアゲハチョウくらいです。
でもテイカカズラにとって花は万一の備えに過ぎないかもしれません。
これは棚を下から見上げて絡み合った蔓の一部を写したものです。
蔓といっても基部は直径4cmほどになり、太い蔓の各所にイボ状の突起があります。
これらの突起や中央のブラシ状の部分は気根(朝日百科では付着根)といって絡みつくために出した根が遺残したもののようです。
和名「テイカカズラ」は謡曲「定家」に由来し、藤原定家と愛し合った式子内親王の墓に、定家葛(テイカカズラ)がまとわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるという曲だそうです。
やはりこんなに絡みつかれては恐ろしくなりますね。
2017-06-04 16:13
コメント(18)
シチダンカ [花木(初夏)]
シチダンカ
七段花
アジサイ科アジサイ属(←ユキノシタ属)ヤマアジサイの一変種
学名:Hydrangea serrata Ser. f. prolifera H. Ohba
この花はシーボルトの「日本植物誌」(1835〜1870年発行)に載録されていましたが、その後確認されず、「幻の花」と呼ばれていました。
ところが1959年六甲山で再発見され、神戸市森林植物園や六甲山小学校で挿し木増殖されて、今では日本中に広まっています。
シーボルトはドイツ人の医師でしたが、オランダの軍医として幕末(1823年)来日し7年間滞在しました。彼は西洋医学を伝授する傍ら、日本の植物の情報も集め、帰国後ツッカリーニの助力を得て「日本植物誌」を刊行しました。
シチダンカは八重咲きの装飾花が星のように見えるのが特徴といわれる花です。
先が尖った花弁状の萼片が数段、上にいくほど長さも巾も小さくなりながら重なっています。 萼片の枚数は8〜13枚くらい。 装飾花の長径は2〜2.5cm。
シチダンカは淡い青紫色が美しい花ですが、咲き始めは淡いピンク、咲き進むと薄紫、紅紫、藍紫色などに変色することもあり、個体差もあるようです。
左上の葉はクレマチス。
もう一つの特徴は両性花が退化していること。
1・2枚目のように始めは蕾かと思えた両性花は開花せず、そのまま枯れて脱落します。
色あせた装飾花が反転し始めました。
まだ両性花が残っています。
両性花はそれぞれ異なる複雑な形をしています。
拡大すると一部に花弁や雌しべらしい部分が見えますが、どれも形が崩れ、雄しべは認められません。
退色して反転した萼片の裏面が見たくて1枝手折りました。
裏返すと大きな萼片は緑っぽく、また小さい萼片は赤紫色で縁取られていました。
反転した装飾花は白く映え、名残の薄紫の花を引き立たせています。
反転はガクアジサイやヤマアジサイにも認められることがあり、特異的ではありません。
さらにもう一つのシチダンカの特徴は細い葉です。
先の尖った長楕円形の葉が対生しています。長さは大きい葉で約12cm。
但し、ヤマアジサイの中にも細い葉を持つものがあります。
花も終盤、反転した白い萼片は緑色を帯び、さらに褐色になります。
シチダンカはヤマボウシの下に植えてあります。
今年はしっかり大株になりました。高さ約1m。
むしろ他のヤマアジサイ達より勢いが良く、絶滅寸前だったことが不思議なほどです。
比較のためシチダンカに似たヤマアジサイを載せておきます。
これは「ミヤマヤエムラサキ」。
萼片の先端がやや円く、両性花も揃っています。
これもヤマアジサイの園芸品種です。
花はシチダンカに似た星型ですが葉が全く違います。
今年はシチダンカの咲き始めの花を撮りそびれました。
うちのアジサイの中ではシチダンカが最も早く5月下旬から咲くため、見逃しやすいのです。
シチダンカについては「幻の花」の説明は多いのですが、具体的な文献が乏しいため我が家の1株について観察した記録を残しました。
間違いがあったらお教えいただけますようお願いします。
参考文献:大場秀章「シーボルト 日本植物誌」2007年、筑摩書房(ちくま学芸文庫)
七段花
アジサイ科アジサイ属(←ユキノシタ属)ヤマアジサイの一変種
学名:Hydrangea serrata Ser. f. prolifera H. Ohba
この花はシーボルトの「日本植物誌」(1835〜1870年発行)に載録されていましたが、その後確認されず、「幻の花」と呼ばれていました。
ところが1959年六甲山で再発見され、神戸市森林植物園や六甲山小学校で挿し木増殖されて、今では日本中に広まっています。
シーボルトはドイツ人の医師でしたが、オランダの軍医として幕末(1823年)来日し7年間滞在しました。彼は西洋医学を伝授する傍ら、日本の植物の情報も集め、帰国後ツッカリーニの助力を得て「日本植物誌」を刊行しました。
シチダンカは八重咲きの装飾花が星のように見えるのが特徴といわれる花です。
先が尖った花弁状の萼片が数段、上にいくほど長さも巾も小さくなりながら重なっています。 萼片の枚数は8〜13枚くらい。 装飾花の長径は2〜2.5cm。
シチダンカは淡い青紫色が美しい花ですが、咲き始めは淡いピンク、咲き進むと薄紫、紅紫、藍紫色などに変色することもあり、個体差もあるようです。
左上の葉はクレマチス。
もう一つの特徴は両性花が退化していること。
1・2枚目のように始めは蕾かと思えた両性花は開花せず、そのまま枯れて脱落します。
色あせた装飾花が反転し始めました。
まだ両性花が残っています。
両性花はそれぞれ異なる複雑な形をしています。
拡大すると一部に花弁や雌しべらしい部分が見えますが、どれも形が崩れ、雄しべは認められません。
退色して反転した萼片の裏面が見たくて1枝手折りました。
裏返すと大きな萼片は緑っぽく、また小さい萼片は赤紫色で縁取られていました。
反転した装飾花は白く映え、名残の薄紫の花を引き立たせています。
反転はガクアジサイやヤマアジサイにも認められることがあり、特異的ではありません。
さらにもう一つのシチダンカの特徴は細い葉です。
先の尖った長楕円形の葉が対生しています。長さは大きい葉で約12cm。
但し、ヤマアジサイの中にも細い葉を持つものがあります。
花も終盤、反転した白い萼片は緑色を帯び、さらに褐色になります。
シチダンカはヤマボウシの下に植えてあります。
今年はしっかり大株になりました。高さ約1m。
むしろ他のヤマアジサイ達より勢いが良く、絶滅寸前だったことが不思議なほどです。
比較のためシチダンカに似たヤマアジサイを載せておきます。
これは「ミヤマヤエムラサキ」。
萼片の先端がやや円く、両性花も揃っています。
これもヤマアジサイの園芸品種です。
花はシチダンカに似た星型ですが葉が全く違います。
今年はシチダンカの咲き始めの花を撮りそびれました。
うちのアジサイの中ではシチダンカが最も早く5月下旬から咲くため、見逃しやすいのです。
シチダンカについては「幻の花」の説明は多いのですが、具体的な文献が乏しいため我が家の1株について観察した記録を残しました。
間違いがあったらお教えいただけますようお願いします。
参考文献:大場秀章「シーボルト 日本植物誌」2007年、筑摩書房(ちくま学芸文庫)
2016-06-16 11:00
コメント(14)
セアノサス2種 [花木(初夏)]
セアノサス(ケアノトウス)属
クロウメモドキ科 Ceanothus
別名:カリフォルニア ライラック
原産 カナダ南部~メキシコ北部。特にカリフォルニア州に多く生育。
セアノサスについては既に2009.5.31.の記事「セアノサス‘マリー・サイモン’」と2014.5.31.「5月の庭」に書きましたが、改めてこの庭の2種についてまとめておきたいと思います。
セアノサス‘マリー・サイモン’
学名:Ceanothus pallidus 'Marie Simon'
耐寒性落葉低木 高さ:約2m
花期:5月〜6月
プロペラの近くに植えた2株目のセアノサス‘マリー・サイモン’は今年さらに伸びて、2mを超えました。
5月22日、淡桃色のブーケのような花が五月晴れの空に輝いていました。
こちらは16年前初めに植えた古株ですが、まだ2mにはなっていません。
小花の集団が紅色を帯びた細い茎と共に風に揺れます。
オルラヤの白、ニゲラの青ともよく合います。
蕾は花形の金平糖のよう。
散形状集散花序。
花柄は1〜1.5cm、開花直前の蕾は直径約3mm。
蕾の隙間から花弁と雄しべが現れます。
スプーンのような花弁と褐色の葯の雄しべが1本づつ、5組飛び出しています。
中心に見えるのは3裂した雌しべの花柱。
昆虫が次々とやってきます。これはセイヨウミツバチ。
卵形の葉は互生し、鋸歯があります。光沢はなく大きい葉は長径7cmくらい。
セアノサス‘ベルサイユ’
学名:Ceanothus x delileanus ' Gloire de Versailles
耐寒性常緑〜半常緑低木 高さ: 約2m
花期:5月〜6月
隣に植えたセアノサス ‘ベルサイユ’は淡いブルーの花が咲きます。
これは一番花がたくさん咲いた2010. 6. 8.に撮影したもの。
その後やや大きくなりすぎて剪定しましたが、今年はミノムシに取り憑かれて元気がありません。
咲き始めの頃。
‘ベルサイユ’の花は‘マリー・サイモン’に比べふっくらせず、円錐形になります。
開花直前の蕾は直径約4mmで大きいのですが、花柄は1cmくらいです。
花の形は同じ。花柄が短いので花が密集します。
葯は黄褐色〜褐色。
偶々、3裂した柱頭が光っていました。
萼の隙間から見える暗っぽいものは何でしょう?
萼の先端と上部の花弁・雄しべをピンセットで取り除きました。
出てきたのは蜜を分泌する花盤でした。昆虫は隙間から吸蜜するのでしょう。
‘ベルサイユ’の花は‘マリー・サイモン’よりやや遅れて咲きます。
隣にあってもなかなか揃った写真が残せません。
花の直径は‘マリー・サイモン’が約6mm、’ベルサイユ’が約8mm。
葉も’ベルサイユ’(上)の方がやや大きく、大きいものは7〜8cmで光沢があります。
‘マリー・サイモン’(下)は6〜7cm止まりで光沢がありません。
赤い実がたくさんできることがあります(2010年7月10日)。
熟すと黒い核果になります(2009年7月5日)。
Ceanothusは植物分類表(アボック社)や朝日百科植物の世界では「ケアノトウス」、園芸植物(山と渓谷社)では「ケアノサス」と表記されています。
しかし一般に園芸店ではセアノサスとして流通しているため、ここでは「セアノサス」と記載しました。
未だあまり普及していないようですが、この庭で放りっぱなしで育っていますから庭木としてお勧めです。
園芸植物のため参考文献が少なく、素人がまとめましたので誤りがあるかもしれません。
その節はお知らせいただけますうよう、お願い申し上げます。
クロウメモドキ科 Ceanothus
別名:カリフォルニア ライラック
原産 カナダ南部~メキシコ北部。特にカリフォルニア州に多く生育。
セアノサスについては既に2009.5.31.の記事「セアノサス‘マリー・サイモン’」と2014.5.31.「5月の庭」に書きましたが、改めてこの庭の2種についてまとめておきたいと思います。
セアノサス‘マリー・サイモン’
学名:Ceanothus pallidus 'Marie Simon'
耐寒性落葉低木 高さ:約2m
花期:5月〜6月
プロペラの近くに植えた2株目のセアノサス‘マリー・サイモン’は今年さらに伸びて、2mを超えました。
5月22日、淡桃色のブーケのような花が五月晴れの空に輝いていました。
こちらは16年前初めに植えた古株ですが、まだ2mにはなっていません。
小花の集団が紅色を帯びた細い茎と共に風に揺れます。
オルラヤの白、ニゲラの青ともよく合います。
蕾は花形の金平糖のよう。
散形状集散花序。
花柄は1〜1.5cm、開花直前の蕾は直径約3mm。
蕾の隙間から花弁と雄しべが現れます。
スプーンのような花弁と褐色の葯の雄しべが1本づつ、5組飛び出しています。
中心に見えるのは3裂した雌しべの花柱。
昆虫が次々とやってきます。これはセイヨウミツバチ。
卵形の葉は互生し、鋸歯があります。光沢はなく大きい葉は長径7cmくらい。
セアノサス‘ベルサイユ’
学名:Ceanothus x delileanus ' Gloire de Versailles
耐寒性常緑〜半常緑低木 高さ: 約2m
花期:5月〜6月
隣に植えたセアノサス ‘ベルサイユ’は淡いブルーの花が咲きます。
これは一番花がたくさん咲いた2010. 6. 8.に撮影したもの。
その後やや大きくなりすぎて剪定しましたが、今年はミノムシに取り憑かれて元気がありません。
咲き始めの頃。
‘ベルサイユ’の花は‘マリー・サイモン’に比べふっくらせず、円錐形になります。
開花直前の蕾は直径約4mmで大きいのですが、花柄は1cmくらいです。
花の形は同じ。花柄が短いので花が密集します。
葯は黄褐色〜褐色。
偶々、3裂した柱頭が光っていました。
萼の隙間から見える暗っぽいものは何でしょう?
萼の先端と上部の花弁・雄しべをピンセットで取り除きました。
出てきたのは蜜を分泌する花盤でした。昆虫は隙間から吸蜜するのでしょう。
‘ベルサイユ’の花は‘マリー・サイモン’よりやや遅れて咲きます。
隣にあってもなかなか揃った写真が残せません。
花の直径は‘マリー・サイモン’が約6mm、’ベルサイユ’が約8mm。
葉も’ベルサイユ’(上)の方がやや大きく、大きいものは7〜8cmで光沢があります。
‘マリー・サイモン’(下)は6〜7cm止まりで光沢がありません。
赤い実がたくさんできることがあります(2010年7月10日)。
熟すと黒い核果になります(2009年7月5日)。
Ceanothusは植物分類表(アボック社)や朝日百科植物の世界では「ケアノトウス」、園芸植物(山と渓谷社)では「ケアノサス」と表記されています。
しかし一般に園芸店ではセアノサスとして流通しているため、ここでは「セアノサス」と記載しました。
未だあまり普及していないようですが、この庭で放りっぱなしで育っていますから庭木としてお勧めです。
園芸植物のため参考文献が少なく、素人がまとめましたので誤りがあるかもしれません。
その節はお知らせいただけますうよう、お願い申し上げます。
2016-05-28 23:56
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