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オオスカシバ・ホシホウジャク・ホシヒメホウジャク [昆虫]

庭を訪れたスズメガ科 ホウジャク亜科のうち3種をまとめてみます。

オオスカシバ(大透翅)
 開張 50-70mm  
初めてこの蛾が飛び交うのを見た時、これがハチドリというものかと思いました。
透明な翅と美しい色合いの腹部、スピード感あふれる動き。
まさか、これが蛾であるとはとても思えませんでした。
ホバリングしながら長い口吻を伸ばして蜜を吸います。
動きが早くて写真がなかなか撮れません。
ピンぼけですが口吻をリング状に巻いてニンジンボクの花に向うところです。

オオスカシバ4wb.jpg

木陰で休憩中(?)のオオスカシバ。
羽化直後は翅に鱗粉がありますが、一度飛行すると鱗粉の殆どが脱落するそうです。
腹部は若草色、赤銅色、キハダ色に黒があしらわれて民芸調の織物のように美しい。
オオスカシバ2wb.jpg

横からみるとカエルに翅を付けたようで、笑いたくなる愛嬌者。
オオスカシバ1wb1.jpg

(訂正:初め、オオスカシバとホシホウジャクの食草を逆に記載してしまいました。        訂正します。すみません。2012.9.7.)

オオスカシバの幼虫の食草はクチナシ。花も実も美しい低木常緑樹です。
庭にもありますから、このオオスカシバは庭で育ったのかもしれません。
一重のクチナシ。
クチナシ1wb.jpg

八重咲きのクチナシ。
バラのような美しい花ですが、果実はできません。
クチナシ2012-1wb.jpg

ホシホウジャク(星蜂雀)
 開張 40-50mm  
ホシホウジャクも地味ながら褐色調でシックにまとめた美しい蛾だと思います。
ホシホウジャク4@3.jpg

チェリーセージの花の蜜を吸いながら開張したホシホウジャク。
後翅の橙黄色と腹部下部の白帯が特徴です。
こんなに派手な赤い花ではなく、白やブルーの花で撮りたかった姿です。

ホシホウジャク3@wb.jpg

ホバリングしながらホトトギスの花の蜜を吸うホシホウジャク。
ホウジャク吸蜜2wb.jpg

羽ばたきながら、細くて長い口吻を蜜が貯まった距の部分に上手に差し込みます。
ホウジャク吸蜜3wb.jpg

吸蜜中。飛行船のようにずんぐりした体がほぼ静止しています。
動きが早くて翅は殆ど写っていません。
ホウジャク吸蜜1wb.jpg
(ホシホウジャクの1枚目の写真と3枚のホトトギス吸蜜画像は「ホトトギスとホウジャク」に用いた写真を再編集したものです。)

次の芋虫はホシホウジャクの終齢幼虫ではないかと思います。
ホシホウジャクの幼虫は個体差があって鑑別がむつかしいですね。
間違っていましたらお教えいただければ幸いです。
ホシホウジャク幼虫wb.jpg

ホシヒメホウジャク(星姫蜂雀)
 開張 35-40mm 
初め見た時、ホシホウジャクが萎びたのかと驚きました。
でもこれは初めから翅に凹凸があり、腹部にも格子模様があります。
どう見ても姫とは見えず、むしろ老女に見えるのですが、ホシホウジャク より小さいということから付けられた名前でしょうか。
黒っぽくて地味ですが後翅には黄色い紋があり、開張するときれいです。
ホシヒメホウジャク2wb.jpg

これらホシホウジャク・ホシヒメホウジャクの幼虫の食草はヘクソカズラの葉、これも庭の常連です。
大事な植物に巻き付き、葉に触れれば臭い。
一般には嫌われ者ですが、花は可憐で美しい。
ヘクソカズラwb.jpg

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エゴノネコアシアブラムシ [昆虫]

エゴノキに青い実がぶら下がっています。
今年は花はたくさん咲きましたが、その割には果実が少ないようです。
ところが、枝の所々に小さなバナナのような、奇妙なものが見えます。

エゴノネコアシ2wb.jpg

花が咲いているかのよう。
エゴネコノアシ
11wb.jpg

拡大するとバナナでも花でもありません。
これは虫こぶと呼ばれるものです。

虫こぶ 虫瘤 別名:虫癭(ちゅうえい)、ゴール(英: gall)
 植物の内部に昆虫が卵を産み付けることにより、植物組織が異常に発達してできるこぶ状の構造。

エゴノキについたこの虫こぶはエゴノネコアシと呼ばれます。
枝先に長さ1〜3cmの卵型の袋が数個、多いものは十数個、放射状に配列して花のように見えます。
エゴノネコアシ1wb2.jpg

ネコの足に似てますか? 
こんな感じからエゴノネコアシと名付けられたのでしょう。
エゴノネコアシ13wb.jpg

大輪の花のような美しい虫こぶ。
エゴノネコアシ8wb.jpg

下垂せず上を向いているものもあります。
エゴノネコアシ3wb.jpg

果実のすぐ隣に共存すろ小さな虫こぶ。
エゴノネコアシ4wb.jpg

この中に何が入っているのか確認するために1枝切りました。
エゴネコノアシ5wb.jpg

袋の先端は様々に開口していました。
この袋の中に何か入っているのでしょうか?
エゴノネコアシ6wb.jpg

袋を縦に2つに切って開きました。
何もいない?
内面に白い粉のようなものがついているだけ?
でも所々に黒い点々。
あっ、よく見ると動いています!
エゴノネコアシ9wb.jpg

翅のある昆虫がいました。白い粉をかぶった赤っぽい虫()もいます(後記参照)。
エゴネコノアシ虫2wb.jpg

調べると、これはエゴノネコアシアブラムシという昆虫でした。
体長:約2mm。
動き出すとすたすた歩いて、そのうちに飛んでいってしまいます。
撮るのがたいへんでした。
エゴネコノアシ成虫wb.jpg

さらに小さな幼虫達。白い粉のような物は分泌されたロウ物質。
エゴノネコアシ幼虫3wb.jpg

エゴノネコアシアブラムシ
(この項、一部書き換え・補足しました。2012.7.24.夜)
アブラムシはカメムシ目アブラムシ科に分類され、その生態は非常に複雑です。
アブラムシには雌と雄による生殖が行われる有性世代と、雌だけで雌ばかりを生む無性世代の両方があります。その上、同じ種でも翅のある個体とない個体の2種類があり、さらに季節によって寄生植物を変える種もあって、ますます難しくなります。

エゴノネコアシアブラムシの生活史を見ていきましょう。
7月頃、エゴノキから飛び出した翅のある雌はイネ科草本のアシボソの葉に移住します。
アシボソでは胎生単為生殖といって雌だけで雌の仔虫を次々と生みます。これは頭に一対の角のある翅のないアブラムシで虫こぶの中にいたものとは形態が異なります。葉の裏にコロニーを形成。
10月頃、翅のある雌が生まれて再びエゴノキへ戻り雌と雄の仔虫を産み、そのペアーによって初めて有性生殖が行われて樹皮に産卵、受精卵の状態で越冬します。
翌春、この卵から孵化した「幹母」がエゴノキの腋芽を刺激し、バナナの房状の虫こぶを形成するのです。この中ではまた単為生殖によって翅のない雌(上記*)ばかりが繁殖していきますが、気温が高くなると翅のある雌が生まれ飛び出すのです。
虫こぶは昆虫の食材であり、安全な住まいでもあります。この中ではアリやシロアリのような社会性が存在するようです。兵隊が排泄物や脱皮殻は外に押し出して清潔を保ち、危険を感じると攻撃して刺すこともあるといわれます。

このアブラムシの何がエゴノキに異変を生じさせて虫こぶを形成させるのかは非常に興味深いところですが、まだまだ研究中で解明されていません。

とりあえず私は近所に生育しているはずのアシボソを探し、それについたエゴノネコアシアブラムシのコロニーを見つけねばなりませんね。

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ナガサキアゲハ [昆虫]

5月11日午後、強い風にあおられて駐車場のアスファルトの上をバタバタしながら吹きよせられていくものを見つけました。
近づいてみるとチョウのようです。翅がよれよれの黒いチョウ。
何でしょう? 
簡単に二本の指でつまみ上げられました。
とりあえず風を避けて家に入り、左手で挟んだまま右手でカメラを持って横顔を撮影。

ナガサキアゲハ♀1wb.jpg

今年も咲いたデンドロビュームの花の上で指を離しましたが、自力で掴まりました。
広げた前翅の紅い三角形の斑が鮮やかです。
でも後翅は左右とも下半分が欠損しているようです。
ナガサキアゲハ♀4wb.jpg

ひょっとしたら先日エフエムさんのブログで見たナガサキアゲハでは?
早速パソコンへ飛んでいきました。
やはり、ナガサキアゲハの雌のようです。
ナガサキアゲハ♀3wb.jpg

1枚目の翅の青い部分に光が当たるといろんな色に輝きます。
「ナミアゲハ」の記事で書いた構造色のよう。
拡大してみました。
特有の柵構造らしい模様が見えます。
この黒っぽいチョウにも美しい構造色があるようです。
ナガサキアゲハ♀1wb2.jpg

小1時間するとチョウは花の上を少し移動していました。
こんな翅でも飛べるのでしょうか。
窓を開けると、何とかひらひらと飛んでいきました。

そういえばこの頃キソケイの花に黒っぽいチョウを時々見たような気がします。
注意して見ていると?
数日後。来ました!来ました!
ナガサキアゲハ3wb.jpg

しずかに近づきます。
今まで来ていたクロアゲハのようなスピード感はなくひらひら舞うような飛び方です。
やっと止まったところをパチリ。
ナガサキアゲハ2wb.jpg

もう1枚と思いきや、木陰に入って一休み。
クロアゲハやカラスアゲハのように後翅に伸びる尾状突起はなくずんぐりした真っ黒いアゲハ。
これも左後翅の下縁の一部は欠損しています。
調べるとナガサキアゲハの雄でいいようです。
後翅の外縁には雌と同様の赤い斑点があるはずですが、なかなか翅を閉じてくれません。

ナガサキアゲハ1wb.jpg

ナガサキアゲハ
 長崎揚羽、 Papilio memnon 
  和名はシーボルトが長崎で採集したことに由来。
 チョウ目・アゲハチョウ科
  
ナガサキアゲハは南方系の大きなチョウで江戸時代までは九州以南に生息していました。
ところが1940年山口県、1960年淡路島、1980年大阪、さらに2000年以降は関東地方まで北上し、2010年には石川県や宮城県でも目撃されているそうです。
このナガサキアゲハの北上はやはり温暖化が主因であろうと考えられています。
すでに南関東では珍しいチョウではなくなっているようですが、当地では黒いチョウといえばクロアゲハやアオスジアゲハが多く、私がこの庭で確認したのは今回が初めてです。
もう1枚、傷のない雌の姿を撮りたかったのですが待ちぼうけでした。

ナガサキアゲハについてはエフエムさんがブログに詳しく紹介されています。
http://michikusanojikan.at.webry.info/201101/article_4.html
美しい雌の画像もありますので是非ごらん下さい。
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ミツバチと盗蜜 [昆虫]

「盗蜜」は2年前スイカズラの蜜を吸うクマバチを追った時初めて知りました。
長い花筒の上から口吻を突き刺して、花粉に触れずに蜜を吸うのです。
しかしそのすぐ後、ひたすら真面目で勤勉だと思っていたミツバチの盗蜜を目撃しました。ミツバチもクマバチと同じくスイカズラやチェリーセージの蜜を横から吸い取っていました。

今年は晩秋の花、真紅のパイナップルセージにくるセイヨウミツバチの盗蜜をたくさん見ました。
(写真は全て画面をクリックすると大きくなります。)
パイ・セージ盗蜜wb.jpg

けれどももっと驚いたのは先週のアニソドンテアの盗蜜です。
通常ハナバチ達は花にやってくると蜜の在処を探します。
11月中旬、花一杯のアニソドンテアに多くのセイヨウミツバチが訪れていました。
アニソミツバチ2wb.jpg

蜜を求める昆虫達を導くのは蜜標。
花の奥にあるオレンジ色の斑点が蜜のある場所を教える蜜標(ガイドマーク)のようです。
アニソミツバチ顔wb.jpg

見つけました。口吻を差し込んで吸蜜です。このとき背中に花粉が付きます。
アニソミツバチ蜜1wb.jpg

逆さになって頭を突っ込んで頑張ってます。
アニソミツバチ逆さwb.jpg

吸蜜後のミツバチの背は花粉がいっぱい、ポリネーター(送粉昆虫)となりました。
アニソミツバチ花粉wb.jpg

おや、このミツバチはまっしぐらに花の後に飛び降りましたよ。
たちまち、口吻を差し込んで吸蜜!
アニソ盗蜜5wb.jpg

このミツバチは裏から萼の間を刺せば容易に蜜が吸えることを知っているようです。
花粉には触れませんから、花にとっては盗蜜、益のない迷惑行為でしょう。
アニソ盗蜜3wb.jpg

盗蜜をするミツバチの背は花粉もつかず黒っぽく見えます。盗蜜専門なのでしょう。
アニソ盗蜜2wb.jpg

一方、蜜ではなく花粉を集めるミツバチもいました。
アニソミツバチ花粉3wb.jpg

花粉集めに大童。
後肢の花粉かごには灰色の花粉団子もできています。
アニソミツバチ花粉2wb.jpg

一花定員一匹、残念先客あり!
アニソ蜜蜂先客wb.jpg

花の少なくなった11月、咲き続けるアニソドンテアにミツバチ達が集ってきていました。
しかし平開するアニソドンテアの花での盗蜜には驚きました。
やはり賢いミツバチは能率よく蜜を集める方法を学習したのでしょう。
このとき見たミツバチは3タイプありました。
1)正面から蜜を吸い、全身に花粉をつけて花から花へ運ぶミツバチ
2)花粉を集め花粉団子をつくるミツバチ(他の花への花粉の送付は最多)
3)花の背面から盗蜜するミツバチ(送粉なし)

短い観察では蜜と花粉の両方を集めてから巣に帰るのか、分業でどちらかだけでいいのかはわかりませんでした。
花粉は幼虫のタンパク源になります。
蜜も腹部の蜜胃に溜めて巣に持ち帰られ、巣で働くミツバチのエネルギー源にもなり、余りは巣房に蓄えられます。
ミツバチ達は近づく冬を前に蜜や花粉を懸命に集めているのでしょう。
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ムラサキシジミ [昆虫]

ムラサキシジミ
 チョウ目 シジミチョウ科
 学名: Narathura japonica
 大きさ:開張3〜4cm
 幼虫の食草:シイ、カシなど

11月初め、フジバカマが満開ですが今年はチョウの訪れが少ないようです。
でも一度大きめのチョウが舞い上がりました。その瞬間、あの青い色!
アサギマダラだと思いました。でもそれっきりです。
ひょっとしてと思ってその後もときどきカメラ持参でフジバカマを見に行きました。

おや、目新しいチョウです。地味な枯葉色。
ムラサキシジミ2wb.jpg

ぱっと飛び立って隣のシュウメイギクの葉へ。
あっ! 翅を広げると青紫色!
夢中でシャッターを押しました。
ムラサキシジミ1011041134wb.jpg

あとで調べるとこれはムラサキシジミの♀でした。
拡大します。
ムラサキシジミ3wb.jpg

陽に映えて輝く青い色。
暗赤色や暗緑色に見える部分もあります。
ムラサキシジミ4wb2.jpg

さらに広げて後翅の一部も見せてくれました。鮮やかな紫色です。
この角度では前翅の赤色や緑色は消えています。
ムラサキシジミ5wb5.jpg

この美しい青紫色は構造色といわれます。
光の当たり具合で色が変わるのはこのためです。
構造色とは、それ自体は色のない光の波長以下の微細構造に、光の干渉・回折・散乱が関与して現れる輝くような色のことです。
最も有名なのはモルフォチョウ。タマムシやクジャクなどの輝く青色も構造色です(構造色研究会のHP参照)。
このブログでもナミアゲハについも構造色と書きました。

ムラサキシジミはもう一度フジバカマへ。
日に当たると裏翅にも褐色の模様が浮かび出てきました。
ムラサキシジミ1wb.jpg

フジバカマにはモンシロチョウも吸蜜にきました。
モンシロチョウも構造色とする資料もありました。

モンシロチョウとwb.jpg

ムラサキシジミはこのまま成虫で越冬します。
夏の間は翅を開くことは少なく、秋から初冬にかけては翅を広げて日なたぼっこしている姿が見られるのだそうです。
この日、ムラサキシジミを見つけてから飛び立つまでたった2〜3分の出来事でした。
画像が残ったのは幸いです。
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オンブバッタ [昆虫]

オンブバッタ
  負飛蝗
  Atractomorpha lata
  バッタ目(直翅目)・オンブバッタ科
  大きさ(成虫)オス 20〜25mm、メス 40〜42mm

大きなメスの上に小さなオスが乗っています。
オンブバッタは他のバッタと違って交尾をしない時もオスは乗ったままです。
多くは緑色ですが褐色のものもいます。
(どれも画面をクリックすると大きくなります。)
バッタ30wb.jpg

今年は家庭菜園のカブが青虫もつかず順調に育っていると思っていました。
ところが、間引きをしようと行って見ると、なぜか穴がいっぱい!
よく見るとオンブバッタがいました。
バッタ09Lwb.jpg
  
さらに見渡すとあっちにもこっちにもオンブバッタ。
カブラの葉もしっかり食べられています。
今まで野菜や花について台所に来てしまったオンブバッタはそうっと外へ逃がしていました。それが裏目に出たのでしょうか。
もともと葉の広い野草を食べていた昆虫ですが、野菜や園芸植物も多いにお好みのようです。

一見シングルのオスやメスやシングルのオスもいます。
バッタ4匹Lwb.jpg
    
ワンペアーのオンブバッタの下にもう一匹のオスの影。
何か不穏な空気です。
バッタ21wb.jpg

こちらではオス同士がにらみ合い、闘いが始まろうとしていました。
背中の大きな傷は過去の闘いの跡でしょうか。
バッタ40wb.jpg

上のオスの触覚が相手の頭に振り下ろされました。
バッタ争い5wb.jpg

触覚を抱え込んでいます。
バッタ45wb2.jpg

馬乗りになって触覚で相手の眼を攻撃?
バッタ51wb.jpg

メスは泰然自若。
このメスの背は傷1つなく輝いています。この背をめぐる闘いでしょうか。
バッタ52wb.jpg

おやおやこのメスはオスを乗せたまま、食欲旺盛、カブラの葉を食べ続けています。
オスはどうするんでしょう。
あるブログにはこの時期のオスはメスに乗ったまま食べないと書いてありました。
バッタ♀食wb.jpg

おー、やっぱりオスだって食べずにはいられませんね。
画面をクリックすると触覚がきれいに見えます。
バッタ♂食2wb.jpg

大きな顎と長い馬面。葉っぱを抱えてお行儀良くせっせと食べます。
何ともユーモラスな光景!
バッタ♂食wb.jpg

その近くでは2組のカップルが並んでいました。
左は交尾中のようです。
バッタ2組交尾1wb.jpg

このメスは背が傷つき尾はがちぎれて短くなっています。
オスばかりではなくメスにも受難はあるのでしょう。
バッタおんぶ2wb.jpg

この日はカブの間引きに行っただけのはずでしたが、オンブバッタの世界に引き込まれてしまいました。
今までオンブバッタはオスがメスの上に乗って仲良く平和に暮らす昆虫だと微笑ましく思っていました。しかし、現実は厳しく、ここにも激しい闘いがあったのです。

さて、こんなに幾組かの子孫が繁殖したら来年はどうなるのでしょう。
野菜をめぐってヒトとバッタの闘いになるやも...........?

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ヒロヘリアオイラガ [昆虫]

ヒロヘリアオイラガ
 イラガ科
 学名 Parasa lepida

このトゲトゲの派手な毛虫はヒロヘリアオイラガの終齢幼虫です。
大きさ 約2cm。
刺されると痛みが長く残ります。
頭は右にありますがいつも内側に隠されています。二つの黒点は目ではありません。
上の1対の朱色の毛束がヒロヘリアオイラガの特徴でアオイラガとの鑑別点です。

イラガ成虫1wb.jpg

尾側には黒い毛束が4個(上の画像では1個見えるだけ)あります。
その周りもトゲ、トゲ、トゲ。

イラガ尾wb2.jpg

初齢幼虫は葉の裏側の柔らかい部分を食べます。
枯れた若葉があったら要注意です。

イラガ1齢?wb.jpg

2齢幼虫と思われる集団です。
葉の中央に集まっているのでこれから脱皮するところかもしれません。

イラガ2齢-1wb.jpg

3齢幼虫と思われる集団が葉の裏側に並んで葉の全層を食べています。
そろそろ単独行動する頃です。

イラガ3齢?wb.jpg

4齢幼虫。刺々しくなりました。もう一度脱皮すると終齢です。

イラガ4齢wb.jpg

今秋、ヒメシャラの幹に大きな終齢幼虫がいました。
急ぎ足で移動中、珍しく横顔が見えています。
繭を作るところを探しているのでしょうか。

イラガ側面wb2.jpg

ヒメシャラの幹に繭を見つけました。
すでに中の蛹が羽化して出たのでしょう。穴が二つ開いています。
その下にもいくつか膨らみがあります。

イラガ繭0922-1wb.jpg

ピンセットで押すと上の穴の開いた繭は剥がれて落ちました。
次に左の膨らみを押すと中から虫体が飛び出しポロリと落ちてしまいました。
あと二つ、今度はそうっと殻を剥がすと中は緑色。
やはりこれはヒロヘリアオイラガの繭のようです。

イラガ繭0922-2wb.jpg

前蛹でしょうか。まだ背に青い縦模様が見えます。
一番下の繭は殻を剥がす時また落ちてしまい、白い跡が残りました。

イラガ繭0922-3wb.jpg

ヒロヘリアオイラガは南アジア、東南アジアから中国に自然分布していたものが、1920年頃鹿児島に侵入し、1970年頃には西日本各地に、さらに近年は関東地方にも見られるそうです。
幼虫は多種類の樹木の葉を食べます。
この庭で最も被害が多かったのはケヤキ、次いでモミジ、イチゴノキ、エゴ、ハナミズキ、サンシュユ、ヒメシャラ、ナツツバキ、ロウバイ、ナツロウバイ、ボウガシなどです。

こんなにたくさん羽化しているのに、成虫を見ることは殆どありません。
繭は樹だけでなく土の中に作られることもあります。

これは22年前、土の中の繭をプランターに入れ、羽化を確認した時の写真です。
成虫の翅は緑色で褐色のヘリがありました。右は蛹の殻です。

イラガ羽化1wb.jpg

ヒロヘリアオイラガは「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれており、無農薬を原則としているわが庭では大敵です。

退治のコツは初期に葉の異常を発見し、集団行動している若齢幼虫を小枝ごと切って処分することです。
しかし今秋最後に発生したヒメシャラでは早期発見を逃し、幼虫が分散してしまいました。こうなると1匹ずつピンセットで捕らねばならずたいへんです。

不幸にして棘が刺さったときは先ず粘着テープを張り、軽く押さえてからそーっと剥がします。
これを数回繰り返せば刺さった棘の大半は除去できます。

追 加 
幼虫はたいてい葉の裏に並んで葉を食べ続けています。
表からは見えにくいので、不用意に触ると刺されますからご注意下さい。

イラガ葉裏wb1.jpg

素人の観察記録です。誤りがありましたらどうぞお教えいただけますようお願いします。
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アサマイチモンジ [昆虫]


アサマイチモンジ
タテハチョウ科
大きさ 27〜38mm

2008年7月 庭で初めてアサマイチモンジを見つけました。
黒褐色の地に白の斑点がずらりと並んでいるのが印象的でした。
(写真は全て画面をクリックすると大きくなります。)

アサマイチモンジ08-2wb.jpg

裏翅は明るい褐色地に帯状の白紋や白・黒たくさんのドットがにぎやかです。

アサマイチモンジ08-1wb.jpg

今年はしばしば姿がみられます。
「こんにちは ようこそ」学芸会のあいさつのよう。

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おや、ハンググライダー?
アサマイチモンジ1wb.jpg

「飛びまーす。」
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と思いきや、飛ばず。
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今日もまた泰然と。
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何となく人待ち顔?
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メランポジウムに現れたのは翅もよれよれの勇士?(雌雄不明)。
でも2頭はもつれながら青空に消えました。

アサマイチモンジ11-5wb.jpg

アサマイチモンジはイチモンジチョウとよく似ています。
しかし前翅の白紋の形で比較的簡単に見分けられます。
幼虫の食草はスイカズラやタニウツギだそうです。
どちらも庭にありますので来年はこの庭でも育つかもしれません。
チョウの専門家から見ればきれいなチョウには見えないそうですが、私の庭では楽しいお客様でした。
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シオカラトンボとノシメトンボ [昆虫]

台風のあと急に秋めいてきました。
この夏撮ったトンボの写真を急いで載せようとしましたが、トンボもむつかしいのですね。
日頃見なれたトンボでさえ雌雄とか、近縁種とか、未熟なものとかを鑑別しようとするとなかなかたいへんです。

シオカラトンボ(♂)
 トンボ亜科 
 体長5cm前後の見なれたトンボですがカメラを向けたのは初めてです。

シオカラトンボ1wb.jpg

成熟した♂の腹部が青白色の粉で覆われたようになるのを塩とみなして命名されたようです。
複眼は青緑色で美しく、腹部先端部は黒色ですっきりしています。

シオカラトンボ
2wb.jpg

複眼が黒褐色の個体もあるようです。
翅は透明で、上縁先端近くに黒い縁斑があります。
近縁のオオシオカラトンボは複眼が黒っぽいのですが、腹部が先端近くまで細くならずぼってりし、先端の黒い部分が短いそうです。

シオカラトンボ2wb.jpg

ゼフィランサスの蕾の上で水平を保っています。

シオカラトンボ4wb.jpg

お顔を拝見、うーん、マンガチック!
細い茎にもうまく絡み付いています。(どの画面もクリックすると大きくなります。)

シオカラトンボ顔wb.jpg

シオカラトンボの♀も見たいものです。
未熟なうちは♂♀ともに胸腹部が黄褐色、腹部には黒い斑条があり先端は黒色です。
♀は成熟しても腹部が青白色とはならず、黄褐色のまま。複眼は黒褐色ですが稀に青いこともあるそうです。
これら黄褐色のシオカラトンボはムギワラトンボと呼ばれます。

お? これはムギワラトンボ? ↓
いいえ。
黄褐色でも黒い斑条はなく未熟な(7月31日撮影)ナツアカネでしょうか?
その後も待っていましたが、シオカラトンボの♀は見つけられませんでした。

ムギワラトンボwb.jpg

ノシメトンボ
 アカトンボ亜科。
 体長45mm前後。
これもよく見るトンボです。
上の写真と頭部・胸部はよく似ていますが、翅の先が褐色で、腹部に黒い斑紋が並んでいます。
ノシメ(熨斗目)は腰のあたりに段模様を配した着物の柄のことらしく、翅の褐色斑から名付けられたようです。

ムギワラトンボ1wb.jpg

翅を拡大すると不規則な編み目模様が現れました。

ムギワラトンボ1wb羽.jpg

赤っぽい複眼。
脚のトゲトゲはハグロトンボと同じです。
コノシメトンボとは胸部の模様で鑑別されます。

ムギワラトンボ3wb2.jpg

正面です。枯れ草の先端にバランスよく停まっています。
鼻の孔のような二つの黒い斑点は「眉斑」、ノシメトンボの特徴です。
複眼は赤。
 とんぼの めがねは赤いろ めがね 
 夕焼け雲(ゆうやけぐも)をとんだから 
 とーんだか〜ら ♪
成熟した♂は背が赤褐色になります。

ムギワラトンボ2wb2.jpg

最もありふれたトンボ2種をとりあげましたが、いざ書こうとするとトンボについて何も知らなかったことが判明しました。
腹部の節は10個あり♀は8節目が膨らんでいて雌雄の決め手になるとか、胸部の斑紋が種の鑑別に役立つとかを初めて知っても写真がその部分を捕らえていませんでした。
知って撮ることが基本のようですが、今度はカメラの技が足りません。
そのためこの記事にも誤りがあるかもしれません。お気付きになられましたら、お教えいただけますようお願いします。

もたもたしているうちに夏のトンボの季節は終わり、赤とんぼの季節が来そうです。

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ヒメジュウジナガカメムシはなぜ群れる?(1) [昆虫]

2008年10月25日、苗を買って植えたトウワタの花に、今まで見たこともない虫が群れているのを見つけました。
まだ花も虫もよくわからず、ブログ開始もためらっていた頃のことです。

派手なトウワタ(ガガイモ科)にも負けず、華やかな色合いの昆虫。
何という虫?
パソコン上の昆虫図鑑と照合、ヒメジュウジナガカメムシらしいとわかりました。
(写真は全て画面をクリックすると大きくなります。)

カメムシ10251631wb.jpg

ヒメジュウジナガカメムシ
 カメムシ目 ナガカメムシ科

体長 約8mm。
橙色の地に黒の斑紋でX十字、斬新なデザインのカメムシです。
この色は身を守るための警告色といわれています。
幼虫の食草はガガイモ

ヒメジュウジナガカメムシ102wb.jpg

側面にも黒の斑紋が並んでいます。

カメムシ横wb.jpg

近縁種にジュウジナガカメムシがあります。
同じく橙色と黒のX十字模様ですが体長約10mmとやや大きく、腹部下部の黒斑が点状(ヒメジュウジナガカメムは帯状)のようです。
たまたま何とか腹部が見える画像がありました。
下部は帯状の黒斑と見えますから、これはヒメジュウジナガカメムでよいと思われます。

カメムシ腹側2wb.jpg

葉にもたくさんのカメムシが群れています。
カメムシといえば臭気ですが、この種の武器は色らしく、臭いはしないようです。

カメムシ葉2wb.jpg

近くの茎や葉にはアブラムシがこれもびっしり群れているところがありました。
ひょっとしてヒメジュウジナガカメムはアブラムシを食べるのでしょうか。
またはアリのように共生しているのでしょうか。

カメムシ・アブラムシwb1.jpg

どうもアブラムシとヒメジュウジナガカメムは無縁のようです。

カメムシ高砂芙蓉1wb.jpg

最も密集するのは花の直下の茎でした。

カメムシとトウワタw.jpg

11月20日、カメムシやアブラムシが付かずに育ったトウワタにはガガイモ科らしい大きな果実が数本出来ていました。
トウワタ(アスクレピアス)はこのように赤と黄色の2色の花を咲かせますが、橙色のみの花が咲くヤナギトウワタとしばしば混同されているようです。

トウワタ果実wb.jpg

カメムシがついていた株では果実は1つもが実っていません。
養分を吸い取られてしまったのでしょう。

トウワタ不稔wb.jpg

さて、ヒメジュウジナガカメムは何のために群れているのでしょう。
・・・・・・・・・わかりません。記事にはできず宿題になりました。

今年あらためて検索するうちにぴったりの文献を見つけました。
書名もずばり「カメムシはなぜ群れる?」 藤崎憲治(2009), 京都大学学術出版会。
副題は「離合集散の生態学」。

この本を参考にすると、これは食べるための群れと考えられました。
カメムシは吸汁する時、唾液を注入するそうです。唾液に含まれている消化酵素が大量に入れば 硬い茎を化学的に変化させ、口吻が入り易くなります。1匹では出来ないことが群れてこそ可能になるというわけです。

群れることは天敵からの防御にもなります。1匹が捕まっても残りは逃げられるからです。
またヒメジュウジナガカメムシが群れれば赤い警告色はより強調されるでしょう。
トウワタにはカルデノライトという毒物質があり、その汁を吸ったカメムシにも蓄積されます。これを食べた鳥は消化器症状を起こすため次からは食べなくなるそうです。

カメムシはこれらの他にも、脱皮、繁殖(ハレム)、越冬などの時に群れることが観察され、詳しく述べられています。
「カメムシはなぜ群れる?」ここから覗いた昆虫の生態は奥が深く興味深い世界でした。

追記
2012.11.6. ヒメジュウジナガカメムシは何故群れる(2)を追加しました。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2012-11-06
フウセントウワタに群れたヒメジュウジナガカメムシの記録です。

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