サクラソウ [草花(春)]
今年も庭の日陰に原種サクラソウが咲き始めました。
愛知の I さんに頂いた苗です。
こちらでは毎年4月、つくば植物園で「さくらそう展」が開催されます。
そこで求めた園芸品種「初心」。
このサクラソウは愛知で「春霞」というラベルが付いた苗を購入し鉢植えにしていました。
植木の移送の時、鉢のまま送ってもらい翌年地に植えました。
つくばの「さくらそう展」には「春霞」が展示されていましたが、もっと赤くて華やかな花でした。
愛知の I さんに頂いた苗です。
こちらでは毎年4月、つくば植物園で「さくらそう展」が開催されます。
そこで求めた園芸品種「初心」。
このサクラソウは愛知で「春霞」というラベルが付いた苗を購入し鉢植えにしていました。
植木の移送の時、鉢のまま送ってもらい翌年地に植えました。
つくばの「さくらそう展」には「春霞」が展示されていましたが、もっと赤くて華やかな花でした。
2024-05-03 11:39
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ムラサキケマンとジロボウエンゴサク [草花(春)]
ムラサキケマン
紫華鬘
ケシ科キケマン属(←エンゴサク科)の越年草
学名:Corydalis incisa
草丈:20〜50cm
2011年北側の軒下に造ったボーダー花壇にも草花は良く育ちました。
但し雨が当たりにくいため時々の水遣りは欠かせません。
今年はクリスマスローズの両側に、植えた覚えがない花が咲きました。
切れ込みの多い葉の間から伸びた花茎に紫色の花が咲いています。
左側のヒメフウロが驚くほど繁茂したため花が咲くまで見逃していたようです。
花茎の先端に濃淡のある紫色の花が20数個づつ密生して咲いています。
花冠の長さは1.5cmくらい。
ジロボウエンゴサクに比べて花も葉もたくましい印象です。
やや色の淡い花がありましたが、ジロボウエンゴサクにあった円っこい包葉はなく、葉には全て切れ込みがあります。
図鑑を確認、この花は「ムラサキケマン」ですね!
前の方ではもう果実ができていました。
傾いた花茎を起こそうと手で触れた瞬間、弾けて種子が飛び散りました。
昔ゴマを炒った時パチパチ弾けたことを思い出すような瞬時の勢いに驚きました!
種子も見たくて茎ごと切ってそっと室内に運びました。
その間にもわずかな外力で勢いよく弾けて黒い種子が飛び散ります。
果実は長楕円形、先端に雌しべが残存しています。
弾けると同時に2枚の果皮はそれぞれロール状に巻き上がりました。
左のロールには飛びきれず残った黒い種子が付着しています。
種子についている白いものはエライオソーム。
ムラサキケマンの種子は自ら裂開して種子を飛ばす自動散布(機械的散布)をするのみならず、アリの好物(エライオソーム)を付着してアリ散布をも期待する二重散布型といわれます。
そういえば昨年4月20日にこんな写真が撮ってありました。
種子をまいた覚えはないのに何が生えたんだろうと不思議に思って撮ったのです。
これが育って2年目に一斉開花したのでしょう。
ジロボウエンゴサク
次郎坊延胡索
ケシ科キケマン属(←エンゴサク科)の越年草
学名:Corydalis decumbens
草丈:10〜20cm
ジロボウエンゴサクは「日陰に咲く花2014 」の中でも紹介しましたがここに再掲します。
ムラサキケマンに比べるとジロボウエンゴサクは華奢な感じです。
1茎につく花の数も少なく2〜5個。
花冠はムラサキケマンよりやや大きく長さ2cmくらい。
花は唇形に開き優美な淡紅紫色、後方は距(きょ)となり淡色。
ジロボウエンゴサクの名はスミレを太郎坊・この花を次郎坊として距を引っ掛け互いに引き合うという子供の遊びに由来するようです。
延胡索は中国名(=漢方薬名)の日本語音読み。
苞葉には切れ込みがなく先の尖ったが卵形(ジロボウエンゴサクの特徴)です。
ジロボウエンゴサクの果実の写真も撮ってありました。
果実は線形でムラサキケマンのような機械的散布はしないようです。
昨年4月20日に撮ったジロボウエンゴサクの写真です。
残念ながら今年はジロボウエンゴサクの花を見ていません。
諦めきれずに今日は杖で葉をかき分けてみました。
やっぱり、ありました!
ヒマラヤユキノシタの大きな葉とびっしり育ったヒメフウロの間です。
もやしのようなひょろひょろのジロボウエンゴサク!
それでも花は咲き細い果実ができかけていました。
さて来年はどうなるか、種子が完熟するといいのですが、心もとない状態です。
紫華鬘
ケシ科キケマン属(←エンゴサク科)の越年草
学名:Corydalis incisa
草丈:20〜50cm
2011年北側の軒下に造ったボーダー花壇にも草花は良く育ちました。
但し雨が当たりにくいため時々の水遣りは欠かせません。
今年はクリスマスローズの両側に、植えた覚えがない花が咲きました。
切れ込みの多い葉の間から伸びた花茎に紫色の花が咲いています。
左側のヒメフウロが驚くほど繁茂したため花が咲くまで見逃していたようです。
花茎の先端に濃淡のある紫色の花が20数個づつ密生して咲いています。
花冠の長さは1.5cmくらい。
ジロボウエンゴサクに比べて花も葉もたくましい印象です。
やや色の淡い花がありましたが、ジロボウエンゴサクにあった円っこい包葉はなく、葉には全て切れ込みがあります。
図鑑を確認、この花は「ムラサキケマン」ですね!
前の方ではもう果実ができていました。
傾いた花茎を起こそうと手で触れた瞬間、弾けて種子が飛び散りました。
昔ゴマを炒った時パチパチ弾けたことを思い出すような瞬時の勢いに驚きました!
種子も見たくて茎ごと切ってそっと室内に運びました。
その間にもわずかな外力で勢いよく弾けて黒い種子が飛び散ります。
果実は長楕円形、先端に雌しべが残存しています。
弾けると同時に2枚の果皮はそれぞれロール状に巻き上がりました。
左のロールには飛びきれず残った黒い種子が付着しています。
種子についている白いものはエライオソーム。
ムラサキケマンの種子は自ら裂開して種子を飛ばす自動散布(機械的散布)をするのみならず、アリの好物(エライオソーム)を付着してアリ散布をも期待する二重散布型といわれます。
そういえば昨年4月20日にこんな写真が撮ってありました。
種子をまいた覚えはないのに何が生えたんだろうと不思議に思って撮ったのです。
これが育って2年目に一斉開花したのでしょう。
ジロボウエンゴサク
次郎坊延胡索
ケシ科キケマン属(←エンゴサク科)の越年草
学名:Corydalis decumbens
草丈:10〜20cm
ジロボウエンゴサクは「日陰に咲く花2014 」の中でも紹介しましたがここに再掲します。
ムラサキケマンに比べるとジロボウエンゴサクは華奢な感じです。
1茎につく花の数も少なく2〜5個。
花冠はムラサキケマンよりやや大きく長さ2cmくらい。
花は唇形に開き優美な淡紅紫色、後方は距(きょ)となり淡色。
ジロボウエンゴサクの名はスミレを太郎坊・この花を次郎坊として距を引っ掛け互いに引き合うという子供の遊びに由来するようです。
延胡索は中国名(=漢方薬名)の日本語音読み。
苞葉には切れ込みがなく先の尖ったが卵形(ジロボウエンゴサクの特徴)です。
ジロボウエンゴサクの果実の写真も撮ってありました。
果実は線形でムラサキケマンのような機械的散布はしないようです。
昨年4月20日に撮ったジロボウエンゴサクの写真です。
残念ながら今年はジロボウエンゴサクの花を見ていません。
諦めきれずに今日は杖で葉をかき分けてみました。
やっぱり、ありました!
ヒマラヤユキノシタの大きな葉とびっしり育ったヒメフウロの間です。
もやしのようなひょろひょろのジロボウエンゴサク!
それでも花は咲き細い果実ができかけていました。
さて来年はどうなるか、種子が完熟するといいのですが、心もとない状態です。
2018-05-03 22:36
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クリスマスローズの庭 2017 [草花(春)]
クリスマスローズの庭2017
今年もクリスマスローズが満開になりました。ここは日向の庭です。
冬の間の寂しさを補うため、毎年11月ビオラを少々植え込みます。
ビオラの色はクリスマスローズが咲いたとき目立ち過ぎないものを選びます。
でもパンジーやビオラは春になると急成長し、色も派手になる傾向がありますね。
共に楽しむためにここではクリスマスローズの花の色と近いビオラを選びます。
西の庭は雑草がはびこり苦労しましたが、クリスマスローズが増えてグランドカバーの役目をになってくれました。
奥の方は2世、3世。
プロペラの下の「スノーホワイト」は昨年よりさらに大株に。
細い枯れ枝はシモバシラの花軸、もっと早く切るべきでした。
オリエンタリスの緑色系。
サンシュユの根元のクリスマスローズが最も大株、100花以上咲いています。
この場所のクリスマスローズはどれも純白の2世達。
桜の樹の下には10年ほど前初めて購入した白色の八重。
セアノサスの根元の八重も大株です。
この花粉が運ばれたらしく、あちこちで八重の2世誕生。
太い茎が頼もしげな黄色の八重。
最近はメリクロン(茎頂培養)により八重の品種も入手しやすくなりました。
どれも増えすぎるほど順調かと思われそうですが、そうはいきません。
この庭で最も高価な品種「ピコティダブルホワイト」。
2008年購入時すでに花期は終盤でしたが、濃い緑色の葉も美しい気品ある花でした。
花後庭に植えたところ、年々草丈も小さくなり、花数も減少するためまた植木鉢に移植。
しかしさらに縮小し昨年は花も咲かなくなってしまいました。
昨春堆肥を入れた花壇に戻したところ、今年は小さいながらも10輪ほど開花。
花をもたげると、花被片(花弁に見えるのは萼片)が細く縁取られてやはり美しい花です。
ただし、うちでは落葉樹であるハナミズキの下ではうまく育ちません。
ニホンズイセンやビオラと比べ小さく貧弱なクリスマスローズ。
この株は葉ばかりで花がありません。
10本のハナミズキの並木に植えたクリスマスローズはどれも生育不良です。
ここは埋立地なので下の土が悪いのかもしれません。
クリスマスローズは落葉樹の下に植えると良いと言われます。
しかし、常緑のツバキやカイヅカイブキの下でも大丈夫です。
腰痛のためしゃがめなくなったとき、この庭の広さは苦痛になりました。
それを救ってくれたのはクリスマスローズ。
2世を増やしつつ、大きな常緑の葉で庭を覆い、雑草を防いでくれました。
日向の夏の暑さにも、霜柱のできる寒さにも耐え、毎年開花。
今年もまた花がみすぼらしくなるまで楽しみます。
今年もクリスマスローズが満開になりました。ここは日向の庭です。
冬の間の寂しさを補うため、毎年11月ビオラを少々植え込みます。
ビオラの色はクリスマスローズが咲いたとき目立ち過ぎないものを選びます。
でもパンジーやビオラは春になると急成長し、色も派手になる傾向がありますね。
共に楽しむためにここではクリスマスローズの花の色と近いビオラを選びます。
西の庭は雑草がはびこり苦労しましたが、クリスマスローズが増えてグランドカバーの役目をになってくれました。
奥の方は2世、3世。
プロペラの下の「スノーホワイト」は昨年よりさらに大株に。
細い枯れ枝はシモバシラの花軸、もっと早く切るべきでした。
オリエンタリスの緑色系。
サンシュユの根元のクリスマスローズが最も大株、100花以上咲いています。
この場所のクリスマスローズはどれも純白の2世達。
桜の樹の下には10年ほど前初めて購入した白色の八重。
セアノサスの根元の八重も大株です。
この花粉が運ばれたらしく、あちこちで八重の2世誕生。
太い茎が頼もしげな黄色の八重。
最近はメリクロン(茎頂培養)により八重の品種も入手しやすくなりました。
どれも増えすぎるほど順調かと思われそうですが、そうはいきません。
この庭で最も高価な品種「ピコティダブルホワイト」。
2008年購入時すでに花期は終盤でしたが、濃い緑色の葉も美しい気品ある花でした。
花後庭に植えたところ、年々草丈も小さくなり、花数も減少するためまた植木鉢に移植。
しかしさらに縮小し昨年は花も咲かなくなってしまいました。
昨春堆肥を入れた花壇に戻したところ、今年は小さいながらも10輪ほど開花。
花をもたげると、花被片(花弁に見えるのは萼片)が細く縁取られてやはり美しい花です。
ただし、うちでは落葉樹であるハナミズキの下ではうまく育ちません。
ニホンズイセンやビオラと比べ小さく貧弱なクリスマスローズ。
この株は葉ばかりで花がありません。
10本のハナミズキの並木に植えたクリスマスローズはどれも生育不良です。
ここは埋立地なので下の土が悪いのかもしれません。
クリスマスローズは落葉樹の下に植えると良いと言われます。
しかし、常緑のツバキやカイヅカイブキの下でも大丈夫です。
腰痛のためしゃがめなくなったとき、この庭の広さは苦痛になりました。
それを救ってくれたのはクリスマスローズ。
2世を増やしつつ、大きな常緑の葉で庭を覆い、雑草を防いでくれました。
日向の夏の暑さにも、霜柱のできる寒さにも耐え、毎年開花。
今年もまた花がみすぼらしくなるまで楽しみます。
2017-03-29 23:48
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早春の草花 2017 [草花(春)]
早春の草花 2017
もたもたしているうちにラッパスイセンの蕾が膨らんできました。
私の庭ではラッパスイセンは本格的な春の到来を告げる花です。
昨年は2月末まで病室にいて早春の草花が見られませんでした。
今年の一番乗りはやはり「スノードロップ」。
暖かい地方では年末から咲くようですが、この庭では2月の花です。
ほんとうに雪の妖精のよう。
続いての登場はフクジュソウ。
柔らかい葉は初め濃褐色を帯びています。
2013年にいただいた大株が今年は20輪くらい咲きそうです。
3月になると葉はほぼ緑色。
フクジュソウというと今までは真上からの輝く花姿を撮ってきたようです。
でも年のせいでしょうか、今年は花弁の裏面の細い褐色線条に見とれました。
今年は2輪しか咲かないコシノコバイモ。
でもこの花と葉の渋い色合いは花の骨董品。
雪割草はキンポウゲ科ミスミソウ属。
日本にはミスミソウ、スハマソウ、オオミスミソウ、ケスハマソウが自生します。
園芸店では主にオオミスミソウから生み出されたたくさんの品種が「雪割草」として流通しています。
地植えのピンクの雪割草はまだ小さな蕾です。
新たに加えた2種は鉢に植えたため早くも満開、特に紫色の株は生育良好。
これら2種はともに雄しべから花粉を出しています。
最近の新種では雄しべが退化したり、弁化して八重になったりしているようです。
白の花弁の方は葉の生育が悪く3輪しか咲いていません。
これは大型ヒメリュウキンカ。とにかく元気で明るいのが取り柄です。
従来のヒメリュウキンカはまだ咲きません。
これはこれは!
ニホンスイセンの根元に自生した白花のオキザリス。
その周りに青く光るのはオオイヌノフグリ。
可愛いからもう少し咲かせておきましょう。
オオイヌノフグリはオオバコ科クワガタソウ属。
華奢な雌しべの両脇に太めの花糸の雄しべが一対、真ん中に蜜があります。
今年は今ひとつ物足りません。
昨年私の留守中に咲いたセツブンソウの鉢に花が見られなかったのです。
出たのは1枚づつの葉のみ。
ネット検索にて近くの河川環境楽園に咲いていることがわかり行ってきました。
車で行って写して帰るまで1時間足らず、良いところを見つけました。
もたもたしているうちにラッパスイセンの蕾が膨らんできました。
私の庭ではラッパスイセンは本格的な春の到来を告げる花です。
昨年は2月末まで病室にいて早春の草花が見られませんでした。
今年の一番乗りはやはり「スノードロップ」。
暖かい地方では年末から咲くようですが、この庭では2月の花です。
ほんとうに雪の妖精のよう。
続いての登場はフクジュソウ。
柔らかい葉は初め濃褐色を帯びています。
2013年にいただいた大株が今年は20輪くらい咲きそうです。
3月になると葉はほぼ緑色。
フクジュソウというと今までは真上からの輝く花姿を撮ってきたようです。
でも年のせいでしょうか、今年は花弁の裏面の細い褐色線条に見とれました。
今年は2輪しか咲かないコシノコバイモ。
でもこの花と葉の渋い色合いは花の骨董品。
雪割草はキンポウゲ科ミスミソウ属。
日本にはミスミソウ、スハマソウ、オオミスミソウ、ケスハマソウが自生します。
園芸店では主にオオミスミソウから生み出されたたくさんの品種が「雪割草」として流通しています。
地植えのピンクの雪割草はまだ小さな蕾です。
新たに加えた2種は鉢に植えたため早くも満開、特に紫色の株は生育良好。
これら2種はともに雄しべから花粉を出しています。
最近の新種では雄しべが退化したり、弁化して八重になったりしているようです。
白の花弁の方は葉の生育が悪く3輪しか咲いていません。
これは大型ヒメリュウキンカ。とにかく元気で明るいのが取り柄です。
従来のヒメリュウキンカはまだ咲きません。
これはこれは!
ニホンスイセンの根元に自生した白花のオキザリス。
その周りに青く光るのはオオイヌノフグリ。
可愛いからもう少し咲かせておきましょう。
オオイヌノフグリはオオバコ科クワガタソウ属。
華奢な雌しべの両脇に太めの花糸の雄しべが一対、真ん中に蜜があります。
今年は今ひとつ物足りません。
昨年私の留守中に咲いたセツブンソウの鉢に花が見られなかったのです。
出たのは1枚づつの葉のみ。
ネット検索にて近くの河川環境楽園に咲いていることがわかり行ってきました。
車で行って写して帰るまで1時間足らず、良いところを見つけました。
2017-03-06 22:34
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ルリハコベとアカバナルリハコベ [草花(春)]
ルリハコベとアカバナルリハコベ
サクラソウ科の1年草
ルリハコベ Anagallis arvensis f. coerulea
アカバナルリハコベ Anagallis arvensis f. arvensis
2年前花友達さんからいただいた種子からルリハコベとアカバナルリハコベが咲きました。
ブログの記事にしようかと検索した時なかなかさんのHPに興味ある記事を発見しました。
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/akabana-rurihakobe.htm
ところが、さっそく確認に行くと何とまあ、すでに花は萎れ花期は終わったようでした。
昨秋は種子を蒔きそびれましたが、幸いにも零れ種で両方とも芽生えました。
今年は2種の ルリハコベを自分の目で見てみたいと思います。
ルリハコベ
ルリハコベの花は直径1cmほど、茎は平地を這いつつ斜上し10〜30cmになります。
葉は対生、2〜3cmの細い花柄の先に瑠璃色の花が一つ咲きます。
花冠・萼共に深く5裂。花の中心部は濃いピンク。
雄しべ5本、雌しべ1本。
花冠の辺縁のギザギザに注目!
1花採って白紙に載せてコンデジで接写しました。
拡大すると小さい突起が並んで見えました。
これならルーペでも見えそうですね。
顕微鏡で見ると突起の先端は赤い玉のように見えます。
さらに拡大。突起は3個の細胞から作られているようです。
一番上は濃いピンク色の大きい楕円球です。
アカバナルリハコベ
ルリハコベとアカバナルリハコベとは花冠の色が異なるだけで、他は同じようです。
花の中央の色もルリハコベと同じ濃いピンク色。
半球状の子房の中央に雌しべ1本、周辺に雄しべ5本。
花糸には赤い毛が生えています。
やはり花冠の辺縁には点状の突起が並んでいます。
顕微鏡で拡大。
さらに拡大すると、ルリハコベと同じく、美しい突起が見えました。
(2016.5.18.画像入れ替えました。)
これはルリハコベの雄しべと雌しべです。
花糸には長い毛がたくさん生えています。
花糸と毛の色はルリハコベ・アカバナルリハコベ共に同じくピンク色。
この毛はムラサキツユクサの雄しべの毛に似ていますね。
なんの役割を果たしているのかはわかりません。
顕微鏡で確認。
花糸から出た細胞が10個ほど1列に並んでいます。
細胞は先端では球形、基部に行くほど長くなります。
ルリハコベの実は花柄が抱え込むような形で大きくなります。
大きくなると地球でいうなら赤道部に条が入り、完熟すると直径4mmの淡褐色の球形になります。
まだ完熟した果実が見つからないので、この緑色の果実を赤道面で開いてみました。
上半球の帽子がポッカリ開きました。
やや褐色になった果実を見つけて再挑戦。
今度は帽子の下から種子が18個こぼれ落ちました。
熟すと暗褐色、若い種子は緑色です。
ルリハコベ・アカバナルリハコベは共にヨーロッパ原産で世界の熱帯から温帯に分布する帰化植物と考えられています。
日本ではルリハコベが伊豆七島・本州・四国・九州・琉球諸島の海岸近くに生育し、瑠璃色の花が咲くハコベ と名付けられ、のちに赤い花が咲くルリハコベが本州~九州に帰化したため、アカバナルリハコベという奇妙な和名がついたようです。
しかし、世界的に見るとアカバナルリハコベが母種(基準品種)とされています。
詳しくはなかなかさんのHPをご覧ください。
やっとルリハコベとアカバナルリハコベを観察することができました。
この花達は朝日が昇ってから開花し午後3時頃には花冠を閉じてしまいます。
花冠の色が瑠璃色と橙赤色で対照的ですが、花の内部や花糸・毛の先端の色は濃いピンク色で共通だったことも印象的でした。
サクラソウ科の1年草
ルリハコベ Anagallis arvensis f. coerulea
アカバナルリハコベ Anagallis arvensis f. arvensis
2年前花友達さんからいただいた種子からルリハコベとアカバナルリハコベが咲きました。
ブログの記事にしようかと検索した時なかなかさんのHPに興味ある記事を発見しました。
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/akabana-rurihakobe.htm
ところが、さっそく確認に行くと何とまあ、すでに花は萎れ花期は終わったようでした。
昨秋は種子を蒔きそびれましたが、幸いにも零れ種で両方とも芽生えました。
今年は2種の ルリハコベを自分の目で見てみたいと思います。
ルリハコベ
ルリハコベの花は直径1cmほど、茎は平地を這いつつ斜上し10〜30cmになります。
葉は対生、2〜3cmの細い花柄の先に瑠璃色の花が一つ咲きます。
花冠・萼共に深く5裂。花の中心部は濃いピンク。
雄しべ5本、雌しべ1本。
花冠の辺縁のギザギザに注目!
1花採って白紙に載せてコンデジで接写しました。
拡大すると小さい突起が並んで見えました。
これならルーペでも見えそうですね。
顕微鏡で見ると突起の先端は赤い玉のように見えます。
さらに拡大。突起は3個の細胞から作られているようです。
一番上は濃いピンク色の大きい楕円球です。
アカバナルリハコベ
ルリハコベとアカバナルリハコベとは花冠の色が異なるだけで、他は同じようです。
花の中央の色もルリハコベと同じ濃いピンク色。
半球状の子房の中央に雌しべ1本、周辺に雄しべ5本。
花糸には赤い毛が生えています。
やはり花冠の辺縁には点状の突起が並んでいます。
顕微鏡で拡大。
さらに拡大すると、ルリハコベと同じく、美しい突起が見えました。
(2016.5.18.画像入れ替えました。)
これはルリハコベの雄しべと雌しべです。
花糸には長い毛がたくさん生えています。
花糸と毛の色はルリハコベ・アカバナルリハコベ共に同じくピンク色。
この毛はムラサキツユクサの雄しべの毛に似ていますね。
なんの役割を果たしているのかはわかりません。
顕微鏡で確認。
花糸から出た細胞が10個ほど1列に並んでいます。
細胞は先端では球形、基部に行くほど長くなります。
ルリハコベの実は花柄が抱え込むような形で大きくなります。
大きくなると地球でいうなら赤道部に条が入り、完熟すると直径4mmの淡褐色の球形になります。
まだ完熟した果実が見つからないので、この緑色の果実を赤道面で開いてみました。
上半球の帽子がポッカリ開きました。
やや褐色になった果実を見つけて再挑戦。
今度は帽子の下から種子が18個こぼれ落ちました。
熟すと暗褐色、若い種子は緑色です。
ルリハコベ・アカバナルリハコベは共にヨーロッパ原産で世界の熱帯から温帯に分布する帰化植物と考えられています。
日本ではルリハコベが伊豆七島・本州・四国・九州・琉球諸島の海岸近くに生育し、瑠璃色の花が咲くハコベ と名付けられ、のちに赤い花が咲くルリハコベが本州~九州に帰化したため、アカバナルリハコベという奇妙な和名がついたようです。
しかし、世界的に見るとアカバナルリハコベが母種(基準品種)とされています。
詳しくはなかなかさんのHPをご覧ください。
やっとルリハコベとアカバナルリハコベを観察することができました。
この花達は朝日が昇ってから開花し午後3時頃には花冠を閉じてしまいます。
花冠の色が瑠璃色と橙赤色で対照的ですが、花の内部や花糸・毛の先端の色は濃いピンク色で共通だったことも印象的でした。
2016-05-17 08:00
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丈夫な花たち [草花(春)]
毎年のことながら、早春の花たちは惜しまれながら消えて行きます。
代わってその後には暑さ寒さに強い丈夫な花たちが登場します。
駐車場と裏の畑の間には赤いヒナゲシとオルラヤ・グランディフローラが「自主的に」紅白の花壇を作ってくれました。全て零れ種です。
昨年はピンクもあったヒナゲシが今年はほとんど赤色です。
これは少数派の赤の覆輪。
白い花はオルラヤ・グランディフローラ(Orlaya grandiflora)。
ヨーロッパ原産のセリ科植物ですが、雑草並みの繁殖力です。
白い大きな花が次々と開花、昆虫の訪問も頻繁です。
これは奥の家庭菜園に自生したボリジ。最近まで周りはナバナでした。
こんなに大きな株ですが、1株です。
ボリジはムラサキ科、学名 Borago officinalis。
青い星型の花が俯き加減にたくさん咲きます。
茎も葉も毛むくじゃらです。
リクニス フロスククリも大株になりました。
暑さ寒さに強い丈夫な宿根草です。ナデシコ科。
個々の花は5枚の花弁がそれぞれ4裂してなかなか繊細です。
一緒に植えた白い花の園芸種‘ホワイトロビン’は消えてしまいました。
ツルニチニチソウの青紫色が今年も輝いています。
壺は初めから口が割れていたものを昔骨董屋さんで買ったもの。
古備前風です。
ツルニチニチソウの花は誠に端正です。
Iさんから頂いた春咲きグラジオラスも年々大きくなり、今年はこんなにたくさん開花。
細い葉にやさしいクリーム色の花が上品です。
日陰のチョウジソウが増えすぎたので半分モモの木の下に移植しました。
たちまち大株になって、日陰の花より明るいブルーの花をたくさん付けました。
やはりチョウジソウは半日陰の方が育ちやすいようです。
名の如く丁子型に咲く花。
イベリスはアブラナ科。
イベリスには1年草と多年草があります。
これは多年草のイベリス・センペルビレンス(Iberis sempervirens)です。
日当たりが良い方がいいのかと思ったら、朝日だけ当たる日陰でマット状に広がりました。
むしろ夕日に弱いようです。
別名 トキワナズナ の名の如く、常緑の葉もきれいです。
半球状の花は1cmくらいの小花の集まりです。
それぞれの小花の花弁は4枚、そのうち外側2枚が大きく張り出しています。
(どの画像も画面をクリックすると大きくなります。)
続く日陰の庭では赤い花のヒューケラ、ヒメフウロ、ペラペラヨメナが咲き乱れています。
何もしなくても咲き続けてくれる愛すべき花たちです。
10年ほど前、腰痛との付き合いが始まった頃から、四季を通じて花が咲く庭を作っておこうと思いました。
今年は大きな手術を受け、今後も庭仕事は無理なようですが、幸い、自分で歩いて庭を見ることはできます。
ほとんど手入れがいらない丈夫な花たちはこれからも庭歩きを楽しませてくれることでしょう。
代わってその後には暑さ寒さに強い丈夫な花たちが登場します。
駐車場と裏の畑の間には赤いヒナゲシとオルラヤ・グランディフローラが「自主的に」紅白の花壇を作ってくれました。全て零れ種です。
昨年はピンクもあったヒナゲシが今年はほとんど赤色です。
これは少数派の赤の覆輪。
白い花はオルラヤ・グランディフローラ(Orlaya grandiflora)。
ヨーロッパ原産のセリ科植物ですが、雑草並みの繁殖力です。
白い大きな花が次々と開花、昆虫の訪問も頻繁です。
これは奥の家庭菜園に自生したボリジ。最近まで周りはナバナでした。
こんなに大きな株ですが、1株です。
ボリジはムラサキ科、学名 Borago officinalis。
青い星型の花が俯き加減にたくさん咲きます。
茎も葉も毛むくじゃらです。
リクニス フロスククリも大株になりました。
暑さ寒さに強い丈夫な宿根草です。ナデシコ科。
個々の花は5枚の花弁がそれぞれ4裂してなかなか繊細です。
一緒に植えた白い花の園芸種‘ホワイトロビン’は消えてしまいました。
ツルニチニチソウの青紫色が今年も輝いています。
壺は初めから口が割れていたものを昔骨董屋さんで買ったもの。
古備前風です。
ツルニチニチソウの花は誠に端正です。
Iさんから頂いた春咲きグラジオラスも年々大きくなり、今年はこんなにたくさん開花。
細い葉にやさしいクリーム色の花が上品です。
日陰のチョウジソウが増えすぎたので半分モモの木の下に移植しました。
たちまち大株になって、日陰の花より明るいブルーの花をたくさん付けました。
やはりチョウジソウは半日陰の方が育ちやすいようです。
名の如く丁子型に咲く花。
イベリスはアブラナ科。
イベリスには1年草と多年草があります。
これは多年草のイベリス・センペルビレンス(Iberis sempervirens)です。
日当たりが良い方がいいのかと思ったら、朝日だけ当たる日陰でマット状に広がりました。
むしろ夕日に弱いようです。
別名 トキワナズナ の名の如く、常緑の葉もきれいです。
半球状の花は1cmくらいの小花の集まりです。
それぞれの小花の花弁は4枚、そのうち外側2枚が大きく張り出しています。
(どの画像も画面をクリックすると大きくなります。)
続く日陰の庭では赤い花のヒューケラ、ヒメフウロ、ペラペラヨメナが咲き乱れています。
何もしなくても咲き続けてくれる愛すべき花たちです。
10年ほど前、腰痛との付き合いが始まった頃から、四季を通じて花が咲く庭を作っておこうと思いました。
今年は大きな手術を受け、今後も庭仕事は無理なようですが、幸い、自分で歩いて庭を見ることはできます。
ほとんど手入れがいらない丈夫な花たちはこれからも庭歩きを楽しませてくれることでしょう。
2016-05-10 21:38
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シュンランの種子 [草花(春)]
シュンランの種子
前の記事「シュンランの花粉塊」の続きです。
昆虫に花粉を運んでもらう花の多くはその報酬に蜜を与えます。
しかし「シュンランの花は蜜を出さない」そうです。
そういえばシュンランには香りもありません。
それでは受粉はどのように行われるのでしょう。
昆虫(多くはハナバチ)は蜜を求めて飛んできて先ず唇弁に止まります。
唇弁を前に倒してみると、内側には2列の大きな襞がありました。
いかにも蜜がありそうですが、底まで行っても蜜はありません。
念のためシュンラン5花について唇弁の溝を舐めてみましたが甘みは感じられませんでした。
この花の花粉塊を見てみます。
葯帽をそっと除けると黄色い花粉塊が2組現れました。
爪楊枝でつつくと花粉塊がついてきました。
注目すべきは花粉塊についている強力な粘着体(粘着盤)です。
これでこの隙間に入り込む昆虫の背に張り付き他花へ運ばれます。
この時、花粉塊は「初めは葯帽を被っているが、やがて外れて次に訪れた花の蕊柱のくぼみに渡される」そうです(#1)。
これは葯帽と花粉塊を取り除いた蕊柱(ずいちゅう)です。
「蕊柱のくぼみ」とは中央の帯緑色の部分で、ここが柱頭です。
艶やかで粘液が分泌されているように見えます。
ここも爪楊枝の頭の方で擦ってなめましたが甘くはありませんでした。
「シュンランの花粉塊」の2枚目の写真を撮る時、手前に黒褐色の果実が1個あることに気付きました。
これは2012年1月28日撮ったシュンランの緑色の実です。
4月に咲いた花が結実したものですが、未だに完熟していません。
2013.3.31.撮影の花と実。
シュンランの実は花に比べてずいぶん大きく、翌年花が咲く頃やっと熟すのです。
受粉後、花茎は再び伸び出して大きな蒴果を作ります。
2013.4.14. 蒴果残存。
残念ながらこの年は中の種子を確認していません。
今年は1個だけ見つけた蒴果を採取し指で開いてみました。
下の方に白い細かい繊維のようなものがありました。これが種子です。
大部分はすでに飛び散り、下の方にだけ残っています。
雨の後に採取したため種子もまだ湿っていました。
翌日乾いた種子を観察しました。
上に散らした埃のようなものが種子。
全部詰まっていたら何十万個もありそうです。
種子は長さ種子は長さ1mmほど、大きいものでも1.5mm未満です。
吹けば飛んでしまいますが、本当にこれで種子でしょうか?
種子を顕微鏡で確認してみました。
中央部の黒い塊が胚のようです。
ランの種子は共生する菌から栄養を受けて発芽するため、胚乳がありません。
そのため種子は小さく軽く、翼や毛がなくても遠くまで風に運んでもらえるのです。
「虫媒花植物の多くは、蜜や花粉などを昆虫に提供して誘引しているのだが、ランの場合、半分くらいの種が蜜を提供せず、擬態など様々な方法で昆虫を誘っている」そうです(#2)。
シュンランは香りも蜜も出さず、花粉も与えず、昆虫に大きな花粉塊を運ばせることがわかりました。
受粉が成功すると、吹けば飛ぶような軽い種子がたくさんできます。
但し種子ができるのに1年、その種子が花を咲かせるためにはさらに数年かかるようです。
今年はシュンランの花がたくさん咲きました。来年蒴果がいくつできるか楽しみです。
文献
(#1)田中 肇. 2009. 昆虫の集まる花ハンドブック. 総合出版
(#2)井上 健. 1997. 朝日百科 植物の世界 9-223. 朝日新聞社
前の記事「シュンランの花粉塊」の続きです。
昆虫に花粉を運んでもらう花の多くはその報酬に蜜を与えます。
しかし「シュンランの花は蜜を出さない」そうです。
そういえばシュンランには香りもありません。
それでは受粉はどのように行われるのでしょう。
昆虫(多くはハナバチ)は蜜を求めて飛んできて先ず唇弁に止まります。
唇弁を前に倒してみると、内側には2列の大きな襞がありました。
いかにも蜜がありそうですが、底まで行っても蜜はありません。
念のためシュンラン5花について唇弁の溝を舐めてみましたが甘みは感じられませんでした。
この花の花粉塊を見てみます。
葯帽をそっと除けると黄色い花粉塊が2組現れました。
爪楊枝でつつくと花粉塊がついてきました。
注目すべきは花粉塊についている強力な粘着体(粘着盤)です。
これでこの隙間に入り込む昆虫の背に張り付き他花へ運ばれます。
この時、花粉塊は「初めは葯帽を被っているが、やがて外れて次に訪れた花の蕊柱のくぼみに渡される」そうです(#1)。
これは葯帽と花粉塊を取り除いた蕊柱(ずいちゅう)です。
「蕊柱のくぼみ」とは中央の帯緑色の部分で、ここが柱頭です。
艶やかで粘液が分泌されているように見えます。
ここも爪楊枝の頭の方で擦ってなめましたが甘くはありませんでした。
「シュンランの花粉塊」の2枚目の写真を撮る時、手前に黒褐色の果実が1個あることに気付きました。
これは2012年1月28日撮ったシュンランの緑色の実です。
4月に咲いた花が結実したものですが、未だに完熟していません。
2013.3.31.撮影の花と実。
シュンランの実は花に比べてずいぶん大きく、翌年花が咲く頃やっと熟すのです。
受粉後、花茎は再び伸び出して大きな蒴果を作ります。
2013.4.14. 蒴果残存。
残念ながらこの年は中の種子を確認していません。
今年は1個だけ見つけた蒴果を採取し指で開いてみました。
下の方に白い細かい繊維のようなものがありました。これが種子です。
大部分はすでに飛び散り、下の方にだけ残っています。
雨の後に採取したため種子もまだ湿っていました。
翌日乾いた種子を観察しました。
上に散らした埃のようなものが種子。
全部詰まっていたら何十万個もありそうです。
種子は長さ種子は長さ1mmほど、大きいものでも1.5mm未満です。
吹けば飛んでしまいますが、本当にこれで種子でしょうか?
種子を顕微鏡で確認してみました。
中央部の黒い塊が胚のようです。
ランの種子は共生する菌から栄養を受けて発芽するため、胚乳がありません。
そのため種子は小さく軽く、翼や毛がなくても遠くまで風に運んでもらえるのです。
「虫媒花植物の多くは、蜜や花粉などを昆虫に提供して誘引しているのだが、ランの場合、半分くらいの種が蜜を提供せず、擬態など様々な方法で昆虫を誘っている」そうです(#2)。
シュンランは香りも蜜も出さず、花粉も与えず、昆虫に大きな花粉塊を運ばせることがわかりました。
受粉が成功すると、吹けば飛ぶような軽い種子がたくさんできます。
但し種子ができるのに1年、その種子が花を咲かせるためにはさらに数年かかるようです。
今年はシュンランの花がたくさん咲きました。来年蒴果がいくつできるか楽しみです。
文献
(#1)田中 肇. 2009. 昆虫の集まる花ハンドブック. 総合出版
(#2)井上 健. 1997. 朝日百科 植物の世界 9-223. 朝日新聞社
2016-04-17 10:19
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シュンランの花粉塊 [草花(春)]
シュンラン
春蘭
単子葉植物キジカクシ目ラン科シュンラン属の地生蘭
学名: Cymbidium goeringii
別名:ジジババ・ホクロ
花期:3〜4月
分布:日本・済州島・台湾・中国・インド西北部
庭のシュンランは周囲のアイビーに負けそうになりながらも毎年花数を増しています。
花はうつむいて咲くので今年は特に顔も見られません。
葉は常緑、革質で20〜40cmあります。
しからばいっそと、切り取って観察することにしました。
シュンランの花粉塊も見たいものです。
手にとってまず気づいたのは花茎を取り巻く膜の美しさ。
鞘状苞というそうですが、白っぽい絹のような感触で細い紅い筋が目立ちます。
花は直径約5cm、3枚の萼片、2枚の側花弁、中央のずい柱(蕊柱)と紅白の唇弁から成ります。
ずい柱は雄しべと雌しべが合体したものです。
唇弁は分厚く、昆虫を引きつけるよう白地に紅紫色の斑点が目立ちます。
別名のジジババやホクロはこの斑点を老人のしみやほくろにたとえているとか。
ずい柱がよく見えるよう上の花被片を除きました。
ずい柱の上端は前に突き出し、先端に帽子(葯帽)をかぶっています。
葯帽はわずかな刺激で脱落します。これはたまたま引っかかった例外です。
中にあったのは黄色い花粉塊。
葯帽を外すと、一対の花粉塊が露出しました。
裏側はやや膨らんで黄色い貝のような形、白い粘着物質が付いています。
下は葯帽。
表側を見ると大小2枚の花粉塊が重なっていました。
もう少し拡大したいとFabre Photoで見ましたが、写真がきれいに撮れません。
一対の花粉塊はそれぞれ大小2枚の黄色い貝殻のような形をしていて、計4枚。
硬くて触れても崩れません。
一対のまま昆虫に遠くへ運ばれることもあるようです。
幼い頃から春の風物詩として見ていたシュンランもよくよく見れば興味深々です。
次回は種子のことなどもう少し観察しようと思います。
追加:シランの花粉塊 については2012.5.30.シランの記事にしました。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30
春蘭
単子葉植物キジカクシ目ラン科シュンラン属の地生蘭
学名: Cymbidium goeringii
別名:ジジババ・ホクロ
花期:3〜4月
分布:日本・済州島・台湾・中国・インド西北部
庭のシュンランは周囲のアイビーに負けそうになりながらも毎年花数を増しています。
花はうつむいて咲くので今年は特に顔も見られません。
葉は常緑、革質で20〜40cmあります。
しからばいっそと、切り取って観察することにしました。
シュンランの花粉塊も見たいものです。
手にとってまず気づいたのは花茎を取り巻く膜の美しさ。
鞘状苞というそうですが、白っぽい絹のような感触で細い紅い筋が目立ちます。
花は直径約5cm、3枚の萼片、2枚の側花弁、中央のずい柱(蕊柱)と紅白の唇弁から成ります。
ずい柱は雄しべと雌しべが合体したものです。
唇弁は分厚く、昆虫を引きつけるよう白地に紅紫色の斑点が目立ちます。
別名のジジババやホクロはこの斑点を老人のしみやほくろにたとえているとか。
ずい柱がよく見えるよう上の花被片を除きました。
ずい柱の上端は前に突き出し、先端に帽子(葯帽)をかぶっています。
葯帽はわずかな刺激で脱落します。これはたまたま引っかかった例外です。
中にあったのは黄色い花粉塊。
葯帽を外すと、一対の花粉塊が露出しました。
裏側はやや膨らんで黄色い貝のような形、白い粘着物質が付いています。
下は葯帽。
表側を見ると大小2枚の花粉塊が重なっていました。
もう少し拡大したいとFabre Photoで見ましたが、写真がきれいに撮れません。
一対の花粉塊はそれぞれ大小2枚の黄色い貝殻のような形をしていて、計4枚。
硬くて触れても崩れません。
一対のまま昆虫に遠くへ運ばれることもあるようです。
幼い頃から春の風物詩として見ていたシュンランもよくよく見れば興味深々です。
次回は種子のことなどもう少し観察しようと思います。
追加:シランの花粉塊 については2012.5.30.シランの記事にしました。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30
2016-04-09 11:23
コメント(16)
クリスマスローズ 2016 [草花(春)]
クリスマスローズ 2016
今年もクリスマスローズがたくさん咲きました。
クリスマスローズは2月から4月までの夕菅の庭の主役です。
退院後まず目に入ったのはプロペラの下の「スノーホワイト」。
オリエンタリスとニゲルとの交配種です(3月1日撮影)。
ここは日向の庭ですが、クリスマスローズもよく育ちます。
3月28日、周りにラッパスイセンが咲き誇り、スノーホワイト(中央)は帯緑色に変身。
最初にクリスマスローズを植えた前庭は午前中やや日陰。
白・ピンク・紫紅色の花が咲き乱れています。
秋にビオラや一重のストックなど、クリスマスローズの色に近い花を手前に植えると11月から5月まで保てます。
南の庭ではセアノサス・コバノズイナ・ノリウツギなどの株元に植えてあります。
かなり直射日光が当たりますが生育良好です。
8年前にセアノサスの根元に植えた赤い八重の株は大きく育って交配種も誕生しました。
クリスマスローズの古い葉は花が咲く前に切り捨てる方が多いようです。
でもこの庭では昨年出た大きな葉も緑色のうちは切りません。
若葉が育つまで保存すれば雑草が生えるのも防げます。
ただし黄色くなったり、黒くなったりしたものは切り捨てます。
中央の枯れたものはシモバシラの昨年の茎です。
今年は暖冬でしたし、入院していましたから霜柱は貧弱なものを1回見ただけです。
ところがいつの間にかシモバシラもクリスマスローズに囲まれていました。
ここはアナベルやリュウキュウオウバイが被さって草取りもしにくいところ。
下草としてヒトツバを植えてみましたが、やはり寂しい。
試しに植えたクリスマスローズはピンクも白もよく育ちました。
クリスマスローズは優秀なグランドカバープランツと言えるでしょう。
日照時間の少ないテイカカズラのアーチの下でもよく育ちます。
タニウツギの根元ぎりぎりのところにも2世が続々生えています。
これは少し抜去しないとタニウツギが弱りそうです。
もっと驚いたのはシマトネリコの根元。
レンガの間から自生してこんなに花を咲かせています。
純白でも中にドットがあっても上から見るときはわかりません。
八重の花も咲き始めは一重か八重か分かりにくい。
クリスマスローズの花は手でひっくり返さないと見えないのです。
今年は特にしゃがめない身、でも上から見て歩けるだけでも幸せです。
白っぽく見える花にも純白、ドットのある白、クリーム色などいろいろあります。
これはロウバイの下にある緑色がかった柔らかいクリーム色の花。
この黄色の八重の花はまだ購入して2年目ですが、さすがに人目を引きます。
クリスマスローズも一時のブームが去ったようですし、メリクロン(栄養繁殖)法による繁殖も進んで以前より求めやすくなりました。
蕾が膨らんだシダレザクラの下ではバイモとクリスマスローズの競演が見頃です。
後ろの紫紅色のクリスマスローズには次々と2世が誕生していますが、9年前初めて買った八重の花(クリーム色)には未だに2世は誕生しません。
残念ながら今後はしゃがみ込んで作業することはできないようです。
元気な頃は休日の朝から夕暮れまで、まるで地球の一部に触れているかのように這いつくばって草取りもしたものです。
これからは草取りを減らすためにもグランドカバープランツが必要です。
クリスマスローズは病虫害も少なく、花期も長いため、この庭には最適のグランドカバープランツかと考えています。
備忘録:クリスマスローズに関する過去の記事
1)2009. 2.26. クリスマスローズ バラーディアエ
2)2009. 3. 6. クリスマスローズ ガーデンハイブリッド
3)2009. 3. 9. クリスマスローズ ガーデンハイブリッド ダブル
4)2009. 3.11. クリスマスローズ ニゲル
5)2009. 3.15. 原種形クリスマスローズ
6)2012. 3.28. クリスマスローズの自然交配
7)2012. 4. 6. クリスマスローズの蜜腺
今年もクリスマスローズがたくさん咲きました。
クリスマスローズは2月から4月までの夕菅の庭の主役です。
退院後まず目に入ったのはプロペラの下の「スノーホワイト」。
オリエンタリスとニゲルとの交配種です(3月1日撮影)。
ここは日向の庭ですが、クリスマスローズもよく育ちます。
3月28日、周りにラッパスイセンが咲き誇り、スノーホワイト(中央)は帯緑色に変身。
最初にクリスマスローズを植えた前庭は午前中やや日陰。
白・ピンク・紫紅色の花が咲き乱れています。
秋にビオラや一重のストックなど、クリスマスローズの色に近い花を手前に植えると11月から5月まで保てます。
南の庭ではセアノサス・コバノズイナ・ノリウツギなどの株元に植えてあります。
かなり直射日光が当たりますが生育良好です。
8年前にセアノサスの根元に植えた赤い八重の株は大きく育って交配種も誕生しました。
クリスマスローズの古い葉は花が咲く前に切り捨てる方が多いようです。
でもこの庭では昨年出た大きな葉も緑色のうちは切りません。
若葉が育つまで保存すれば雑草が生えるのも防げます。
ただし黄色くなったり、黒くなったりしたものは切り捨てます。
中央の枯れたものはシモバシラの昨年の茎です。
今年は暖冬でしたし、入院していましたから霜柱は貧弱なものを1回見ただけです。
ところがいつの間にかシモバシラもクリスマスローズに囲まれていました。
ここはアナベルやリュウキュウオウバイが被さって草取りもしにくいところ。
下草としてヒトツバを植えてみましたが、やはり寂しい。
試しに植えたクリスマスローズはピンクも白もよく育ちました。
クリスマスローズは優秀なグランドカバープランツと言えるでしょう。
日照時間の少ないテイカカズラのアーチの下でもよく育ちます。
タニウツギの根元ぎりぎりのところにも2世が続々生えています。
これは少し抜去しないとタニウツギが弱りそうです。
もっと驚いたのはシマトネリコの根元。
レンガの間から自生してこんなに花を咲かせています。
純白でも中にドットがあっても上から見るときはわかりません。
八重の花も咲き始めは一重か八重か分かりにくい。
クリスマスローズの花は手でひっくり返さないと見えないのです。
今年は特にしゃがめない身、でも上から見て歩けるだけでも幸せです。
白っぽく見える花にも純白、ドットのある白、クリーム色などいろいろあります。
これはロウバイの下にある緑色がかった柔らかいクリーム色の花。
この黄色の八重の花はまだ購入して2年目ですが、さすがに人目を引きます。
クリスマスローズも一時のブームが去ったようですし、メリクロン(栄養繁殖)法による繁殖も進んで以前より求めやすくなりました。
蕾が膨らんだシダレザクラの下ではバイモとクリスマスローズの競演が見頃です。
後ろの紫紅色のクリスマスローズには次々と2世が誕生していますが、9年前初めて買った八重の花(クリーム色)には未だに2世は誕生しません。
残念ながら今後はしゃがみ込んで作業することはできないようです。
元気な頃は休日の朝から夕暮れまで、まるで地球の一部に触れているかのように這いつくばって草取りもしたものです。
これからは草取りを減らすためにもグランドカバープランツが必要です。
クリスマスローズは病虫害も少なく、花期も長いため、この庭には最適のグランドカバープランツかと考えています。
備忘録:クリスマスローズに関する過去の記事
1)2009. 2.26. クリスマスローズ バラーディアエ
2)2009. 3. 6. クリスマスローズ ガーデンハイブリッド
3)2009. 3. 9. クリスマスローズ ガーデンハイブリッド ダブル
4)2009. 3.11. クリスマスローズ ニゲル
5)2009. 3.15. 原種形クリスマスローズ
6)2012. 3.28. クリスマスローズの自然交配
7)2012. 4. 6. クリスマスローズの蜜腺
2016-03-29 13:15
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ヤマシャクヤク いろいろ [草花(春)]
ヤマシャクヤク いろいろ
(ヤマシャクヤク 2015 続き)
昨年咲いたヤマシャクヤクの殆どが今年は葉だけです。
来年咲かせられるかどうか自信がありませんから、昨年の画像をここに追加します。
雨の中開こうか? もう少し待とうか?
ぽんぽんに膨らんだ蕾。
1株1花。
3〜4枚の複葉の中央にたった1輪だけ咲く花。
この花の花弁は淡いクリーム色でした。
こちらはお多福さんのようにふっくらした純白の花。
今までに咲いた花はこの花と同じく純白色でした。
雄しべは濃黄色で花粉が出ています。
淡いクリーム色の花。花弁は6枚、雌しべは2本。
多くの文献に花弁は5〜7枚と書かれていますが、この庭で咲いた花はほとんど6枚です。
葯が開いて花粉がいっぱい。
白い絹のように柔らかい白色の花弁と紅い雌しべ。
これまで見たことがない花です。
上から見ると雄しべも同じ白色。
3本の雌しべの花柱は黄緑色で柱頭のみ深紅。
痛々しいような美しさでした。
2日後、雄しべは黄褐色を帯びていますが花粉が出ていないようです。
このまま雄しべは萎れました。
この白い雄しべのヤマシャクヤクの全体像です。
この株では葉は互性、4枚。
主な文献では「葉は互性で3〜4枚、2回3出複葉」。
白い雄しべのヤマシャクヤクは園芸種かと思いましたが、徳島県に自生しているようです。
帯緑色の花弁も初めて見る色でした。
たくさんの大きな雄しべが美しい。
花弁が落ちると子房が膨らんでバナナのような袋果ができました(2014. 4.27.)。
袋果は熟成すると弾けて奇怪な形になります。
紅いのは結実していない種子、完熟した種子は黒い球形になるようです。
この年は白い雄しべのヤマシャクヤクや帯緑色やクリーム色の花弁のヤマシャクヤクを初めて見ました。
今までにこの庭で咲いたヤマシャクヤクの花は5花、その花弁は全て純白、その雄しべは全て濃黄色でしたからより印象的でした。
このほか日本にはベニバナヤマシャクヤクというピンク色の花弁の花もごく稀に自生しています。そしてその種子から育てた苗も高価格で販売されているようです。
でも私はヤマシャクヤクはやはり白い花弁の花が好きです。
(ヤマシャクヤク 2015 続き)
昨年咲いたヤマシャクヤクの殆どが今年は葉だけです。
来年咲かせられるかどうか自信がありませんから、昨年の画像をここに追加します。
雨の中開こうか? もう少し待とうか?
ぽんぽんに膨らんだ蕾。
1株1花。
3〜4枚の複葉の中央にたった1輪だけ咲く花。
この花の花弁は淡いクリーム色でした。
こちらはお多福さんのようにふっくらした純白の花。
今までに咲いた花はこの花と同じく純白色でした。
雄しべは濃黄色で花粉が出ています。
淡いクリーム色の花。花弁は6枚、雌しべは2本。
多くの文献に花弁は5〜7枚と書かれていますが、この庭で咲いた花はほとんど6枚です。
葯が開いて花粉がいっぱい。
白い絹のように柔らかい白色の花弁と紅い雌しべ。
これまで見たことがない花です。
上から見ると雄しべも同じ白色。
3本の雌しべの花柱は黄緑色で柱頭のみ深紅。
痛々しいような美しさでした。
2日後、雄しべは黄褐色を帯びていますが花粉が出ていないようです。
このまま雄しべは萎れました。
この白い雄しべのヤマシャクヤクの全体像です。
この株では葉は互性、4枚。
主な文献では「葉は互性で3〜4枚、2回3出複葉」。
白い雄しべのヤマシャクヤクは園芸種かと思いましたが、徳島県に自生しているようです。
帯緑色の花弁も初めて見る色でした。
たくさんの大きな雄しべが美しい。
花弁が落ちると子房が膨らんでバナナのような袋果ができました(2014. 4.27.)。
袋果は熟成すると弾けて奇怪な形になります。
紅いのは結実していない種子、完熟した種子は黒い球形になるようです。
この年は白い雄しべのヤマシャクヤクや帯緑色やクリーム色の花弁のヤマシャクヤクを初めて見ました。
今までにこの庭で咲いたヤマシャクヤクの花は5花、その花弁は全て純白、その雄しべは全て濃黄色でしたからより印象的でした。
このほか日本にはベニバナヤマシャクヤクというピンク色の花弁の花もごく稀に自生しています。そしてその種子から育てた苗も高価格で販売されているようです。
でも私はヤマシャクヤクはやはり白い花弁の花が好きです。
2015-05-05 23:43
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