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アサギマダラ [昆虫]

アサギマダラ
フジバカマの花が咲く頃、毎日心待ちにしていたのはアサギマダラという
蝶の来訪でした。

2年前の10月29日のことです。
休憩時間に偶々庭を通ったとき、フジバカマの花にとまっている大きな蝶
が目に入りました。
アゲハチョウくらいの大きさですが、ひらひらと飛び交わさず、ゆっくり
蜜を吸っています。
アサギマダラ1040wb.jpg
急いでカメラを取りにいきました。その間にいなくなってしまいません
ようにと祈りながら。
でも大丈夫でした。蝶は羽を開閉しながら夢中で蜜を吸っているらしく
10枚ほど写真を撮ることができました。

アサギマダラ4wb.jpg

フジバカマは庭の3カ所に咲いています。蝶は他の花には近づかず、
その3株のフジバカマを次々と訪問しています。
羽の明るいブルーの部分は陽の光りに透けるよう。古代色のステンド
グラスのようなおもむきです。
私が今まで見た蝶の中で一番美しいと思いました。

アサギマダラ071029wb.jpg

私が近づいても接写しても逃げる気配はありません。
何と人なつっこい蝶!
もっと写真を撮りたかったのですが、CFカードFuLLの表示。
まだ仕事も途中です。やむなくここであきらめました。

1時間半くらいあと、仕事を終えて飛んでいってみると・・・・・・・?
なんと、まだいました!
カードを入れ替えたカメラを持って撮影再開。
けれども今度は写真映えがしないようなところばかりを飛び交っています。
逃げないからついこちらも大胆になりました。もっと明るいところへ来てと
手で導こうとしました。しかしさすがにこれは行き過ぎだったようです。
蝶は突然、明るい青い空に向かって飛んでいってしまいました。

アサギマダラ横upwb.jpg

その後この蝶の名前を検索、「アサギマダラ」とわかりました。

浅葱色(淡い緑色を帯びた水色)のマダラチョウです。
羽を広げると約8cm。
驚いたことにこの蝶は海を渡る蝶ともいわれ、たいへん謎の多い蝶
だったのです。
他の蝶に比べて鱗粉が少ないので羽はステンドグラスのように透け
て見えます。右側の羽の白っぽい部分は特に鱗粉が少ないため、こ
こに文字を記入して放つマーキング調査が各地で行われています。
その結果、山形から与那国島まで2246kmを飛んだチョウが確認さ
れるなど、生態が解明されつつあります。

右下方の黒い模様はオスだけにある性班です。
オスは生殖に必要なフェロモンをつくるため、PA (ピロリジディン
アルカロイド)を含むフジバカマなどの蜜を吸います。
PAは有毒物質なので鳥などに襲われにくくなり「逃げない」習性
が備わったのでしょう。

アサギマダラの幼虫はアルカロイドをもつガガイモ科の植物を食べて
育ちます。成虫は秋には南西方面に飛び産卵して一生を終え、翌春そ
の子は親と逆ルートで北上するといわれます。長い旅の途中にも鋭い
嗅覚でPAの香りを感知し補給しつつ飛ぶようです。

こんな謎めいた美しい蝶が、私の庭のわずかなフジバカマを上空から
感知してよくぞ舞い降りてきてくれたものです。この年、不調で滅入り
がちだった私には特にうれいいプレゼントでした。

その日、こんなことは1生に1度しかないと思いました。
でもやはり、昨年もそして今年も小さな期待を抱いてアサギマダラを
待ってしまいました。
夢はかなわず、今年もフジバカマは静かに枯れていきます。







コメント(7) 

コメント 7

花咲かばあさん

やはり、アサギマダラ、夕菅庭に舞い降りていたんですね。
「春」
てふてふが一匹 韃靼海峡を 渡って行った
安西冬衛の詩に出会ったときから、この蝶との出会いを心待ちにしていました。
ことしの9月に三度も出会い、感動しました。植物園では2頭のアサギマダラが美しい舞を見せてくれました。あまり人を警戒しないとか、でもなかなか静かに羽を休めてはくれませんでした。
お腹が満ち足りていたのか?人相がわるかったんでしょうか?

白いタオルの一方をつかんでぐるぐる回すと,寄ってくるとか,利き手で
網をを持ち、逆の手でタオルを回すと捕獲ができるんだそうですが
それはやめておきましょう。
日本本土と南西諸島、台湾の間を往復していることが知られていますが
渡り鳥の移動とは違って、北上する固体と南下する固体は子孫の関係とか
、同じものは、二度と帰れないことを知りました。
その旅は片道だけなんですね。
うちの庭の藤袴で、まだ見たことがありません。
こんな素敵な出会い、数日間の幸福を保証されたような気分にさせてくれました。


by 花咲かばあさん (2009-12-01 00:40) 

yuusuge


花咲かおばさんもアサギマダラに感動されたのですね。やっぱり!
「今年3度も会えた」とは羨ましい。

本当に夢のような幸福感を与えてくれる蝶ですね。
寿命は20~70日と書いてあったり、まだまだわからないことがたくさんあるようです。北は北海道から南は台湾まで、親が飛んだルートを子が逆に辿っていくなんて神秘的ですね。

「もう一度」と願ってはいけないと思いつつも、今年もフジバカマを繁るに任せてしまいました。


by yuusuge (2009-12-01 17:23) 

TOKO

はずかしながら、アサギマダラ、といという蝶のこと,yuusugeさんのブログで初めて知りました。

ブログが更新されるたび、楽しい発見がたくさんあって、そしてyuusugeさんの知識と探求心と根気!に感服しています。

フジバカマ、亡くなった祖母から教わったたくさんの花の名前の一つでもあります。
マンション暮らしの唯一の楽しみはお部屋のパキラとガジュマルです。

これからも、私にとっての新しい発見を楽しみにブログをのぞかせていただきますね。

12月に入り寒さも厳しくなってきましたので、すてきなお庭で、冷えてお風邪などひかれませんように。
by TOKO (2009-12-07 09:29) 

yuusuge

TOKOさん コメントありがとうございました。

アサギマダラについては私もうちの庭で見た日に調べて初めてわかったのです。それまでは全く知りませんでした。

でも何か引きつけられる魔力のようなものがあるようです。
「アサギネット」を見るとさらに熱気が伝わってきます。
http://asaginet.online.ac/cgi-asaginet/gbbsasagi/joyfulyy.cgi
   
今年はこのブログを書きながらいろいろ勉強させていただきました。
時間が足りなくて季節外れになってしまった花達はまた来年のお楽しみにします。
   
でも本音をいうと深みにはまりかけてちょっと苦しくなったかんじ。
これからはやはり浅く広くが楽でいいかなー。


by yuusuge (2009-12-07 21:26) 

わんちゃん    

>その日、こんなことは1生に1度しかないと思いました。
でもやはり、昨年もそして今年も小さな期待を抱いてアサギマダラを
待ってしまいました。
夢はかなわず、今年もフジバカマは静かに枯れていきます。

はぁ~~なんとも切ない・・・
解ります解ります。

伊吹山のてっぺんでヨツバヒヨドリに戯れるアサギマダラを飽きることなく眺めてました。
伊吹山は1377㍍
そ~んな高いところまでも?

不思議です、しっかり写真に撮れました
というのは、そうなんですよね、
ヨツバヒヨドリにもアルカロイドがですね。
アサギマダラにしたら怖いモンなしってところでしょうか。

夕菅さんちのお庭にふらっと迷い込んだアサギマダラ
とても詳しく、ふんふんふんとナルホドです。
改めてアサギマダラを見つめなおしました



by わんちゃん     (2010-08-04 15:20) 

わんちゃん    

夕菅さん こんばんわ~

いっぺん目に行った時の伊吹山はスゴイ悪天気でしたが
にへん目に行ったときはまあまあのお天気でした
今年、二回も伊吹山に行ったんです。

だいたい伊吹山の駐車場は3合目あたりと頂上のちょっと手前にありほとんどは後者の方に止めて山頂のお花畑をブラブラするというケースが多いみたいです。

ふもとからしっかり登山すると、3号目あたりでユウスゲに出会うと聞きました。
伊吹山の特徴から登山道には木陰が無く今の時季ふもとからの登山はキツイみたいです。
登ってはった方たちもいはりましたけど・・・




by わんちゃん     (2010-08-09 00:27) 

夕菅

わんちゃん 8/4のコメントに気付かずごめんなさい。

気持ちわかっていただけて嬉しい!
伊吹山のてっぺんでアサギマダラに出会えたら、もっともっと感激でしょうね。
でもね、2年前の10月、六甲高山植物園でシオンに飛び交うペアーを見たことがありますよ。あの時も予期してなかったから嬉しかった!

伊吹山では3合目ゴンドラ駅前で美しい群落が見られるそうですね。
ライトアップもあるとか。なかなかタイミングがむつかしそう。
わざわざユウスゲを見に夕方出かけたという元気な方もいらっしゃいますよ。
by 夕菅 (2010-08-09 13:09) 

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