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アカンサス・モリス [草花(夏)]

アカンサス・モリス
 キツネノマゴ科ハアザミ属の常緑多年草
 和名:ハアザミ(葉薊)
 学名:Acanthus mollis
 原産:地中海地域
 高さ:1〜2m

アカンサス・モリスは寒さに強く、冬の間も艶やかな緑色の大きな葉を拡げていました。
6月になると長い穂状花序が直立します。
右端の1本は今年170cmに達しました。
アカンサス2014全wb.jpg

蕾は淡いピンク色、花は下から咲き初め、咲き進むにつれて白色になります。
アカンサス1wb.jpg

葉は根性・羽状複葉。深い切れ込みがあります。
光沢ある濃緑色の厚い葉は冬を越しているのに傷みや虫食いもなく艶やかです。
アカンサス葉3wb.jpg

この庭では半日陰のせいか大きな葉は90cmほどになります。
特に葉柄が長く30〜50cm、葉身は長さ30〜40cm・巾20〜30cm。
ハアザミ属の葉には棘がある種類が多いのですが、アカンサス・モリスの葉には棘がありません。
アカンサス葉柄wb.jpg

この葉はコリント様式の建築で柱の頭部の文様として図案化され、ギリシャの神殿などを飾っていることで有名です。
(厳密にいえばこの葉は近縁で葉にも棘があるアカンサス・スピノサスの葉のようです。)
追記:19世紀のイギリスの詩人・デザイナー ウィリアム・モリス(William Morris)もアカンサスの葉をよく装飾に用い、今なお内装にも活かされています。
アカンサス葉wb.jpg

穂状花序上部。
上にいくほど小さい緑白色の蕾が整然と並んでいます。
アカンサス花段上wb.jpg

蕾の下部は棘のある苞に囲まれています。
この棘は鋭く、触れるととても痛い。
花弁は淡いピンク色に染まっています。
その上と下に紫紅色の部分があります。はて、これは何でしょう?
調べたところ、これは萼が変形したものだそうです。
アカンサス若花wb.jpg

穂状花序中部。花は約5cm。
花弁が大きくなってやや下垂します。
上の萼は庇(ひさし)のように花弁を覆い、下の萼は花弁を支えているようです。
アカンサス花段中wb.jpg

花弁には紅い脈模様が入り、初めは淡いピンク、次第に白っぽくなります。
唇形花弁ですが、上唇は退化してなく、下唇のみ。
下唇花弁は先が3裂していますが1枚です。
上の萼の下にめしべと雄しべが見えています。
アカンサス雄しべ2wb.jpg

この花では葯から花粉が出ています。
よその花粉を付けた昆虫が入って来て雌しべに花粉を渡し、蜜を求めて潜り込んだあと花粉を付けて出て行く仕組のようです。
アカンサス雌しべ花粉1wb.jpg

暗いので上の萼を反転しようと触れた瞬間、花粉がどっとこぼれました。
昆虫が訪れた時もこうなるのでしょうか。
アカンサス雌しべ花粉2wb.jpg

ヒメハナバチの一種が逆さになりながら花粉を舐めています。
花の構造からはもっと大きなハナバチを期待しているように見えますが..........。
アカンサス昆虫wb.jpg

萼を反転して若い雄しべの構造を見ました。
雄しべは細長い雌しべの左右に2本づつあり、下の雄しべが先熟、上の雄しべは後で熟すようです。
アカンサス雄しべ4本3wb.jpg

確認のため、成熟した雄しべの花を採り、上の葯を外側に固定して並べました。
4つの葯のうち内側2つの葯は花粉放出中、外側の2本の葯はまだこれからのようです。
アカンサス雄しべ4本2wb.jpg

穂状花序を上から撮りました。
3花づつ並んで見えます。
アカンサス花前wb.jpg

真正面から撮ると種明かし。
花が十字対生で並んでいました。上下2段の花が1段3花のように見えたのですね。
アカンサス十字対生wb2.jpg

アカンサス・モリスはギリシャの国花だそうです。
何となく歴史と気品が漂うように感じられます。

今回初めてアカンサス・モリスについて検索しましたが、花の構造については記載が少なく悩みました。誤りがありましたら教えていただけますようお願いします。


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ポンポンアザミ(3)種子 [草花(夏)]

ポンポンアザミ(1)「この花は何でしょう?キク科のピンクの花。」
ポンポンアザミ(2)香りあざみ 桃色花火 

ポンポンアザミ(3)種子

ポンポンアザミは「愛知県で対策が必要な外来種」であるとわかりましたから、種子を飛ばさぬよう見守りながらこの1株の1年を観察することにしました。
この花の構造からは間もなく冠毛をもった種子ができて風で散布されるはずです。

花の経過をたどってみます。
7月29日。初めの花を発見。
ポンポンアザミ0728wb.jpg

8月3日。
5日間でこの伸長、開花の早さ。
ポンポンアザミ0803wb.jpg

8月13日。
最盛期。最初の花は画面下端に天辺だけ見えています。
ポンポンアザミ多0813wb.jpg

8月15日。
種子が飛ばないかと心配で、暑くても毎日見に行きます。
おや、左最上部の花についているのは?
よく見ると下の赤い矢印のところにも(画面をクリックすると大きくなります。)。
ポンポンアザミ種子0815wbL2.jpg

接写します。
やはり冠毛のついた種子です! 
驚きました。この花だけ早熟なのでしょうか。
ポンポンアザミ種子早熟wb.jpg

この花と初めに咲いた花(最下部)を切り取りました。
そーっと室内に持ち込んでの撮影です。
これはピンクのまま種子?を散らした花です。
冠毛はありますが、多くの花では退化中の雌しべが残っています。
種子は白っぽく未成熟のように見えます。
ポンポンアザミ種子若2wb.jpg

一番初めに咲いた花はすっかり毛皮に包まれているような外観ですが、まだ種子は飛んでいません。
ポンポンアザミ果実1-0815wb.jpg

毛の部分を摘むとすぐ冠毛の付いた種子が固まって剥がれました。
ポンポンアザミ種子完熟wb.jpg

冠毛の下は黒い痩果。
白いのもありますがやや細く、不捻性の種子かもしれません。
ポンポンアザミ種子4-1wb.jpg

拡大像です。
クーラーの風でもふわふわ動くので暑い中、冷房無しでの撮影です。
ポンポンアザミ種子4-2wb.jpg

冠毛はどの状態から出来ているのか確かめるために満開の花を1花採取して総苞を剥がしました。
もう黒い種子になっているらしい部分もありました。
ポンポンアザミ種子未熟wb.jpg

種子が黒いものでは冠毛も黄色っぽくなり、すでに飛翔の準備が進んでいました。
ポンポンアザミ若種子3wb.jpg

急に種子が飛ぶと厄介なので、この下方の褐色になった花4個も切り捨てました。
ポンポンアザミ種子採取0816w.jpg

8月18日。
残りももう切り花にした方が無難そう、上部の花と蕾をまとめてカットしました。
花瓶に挿して室内でよく見るとやはり、満開に見える花に冠毛のついた種子が付着しているのがありました。この花から飛んだのか、他の花からの種子かはわかりません。
ポンポンアザミ種子早熟2wb.jpg

ポンポンアザミの種子が出来るまでをまとめました。
予想より早く種子になるのは繁殖力の旺盛さを裏付けます。
未だ雌しべが枯れずピンク色の花でも冠毛のある種子が飛ぶことがあるようです。
これは思いもよらぬことでした。
この若い種子がもし発芽するならば、この花を切り花として栽培するのも避けるべきとなります。
ポンポンアザミは花の可愛らしさから繁殖力の強さを知らずに栽培されそうです。
どうぞ、ご注意下さい。

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ポンポンアザミ(2)・香りあざみ 桃色花火 [草花(夏)]

ポンポンアザミ
 キク目キク科の多年生草本。
 和 名:ポンポンアザミポンポン ウィード 
 学 名: Campuloclinium macrocephalum (Less.) DC.
 英 名:pom pom weed 
 原産地:南アメリカ(アルゼンチン・ブラジル)
  高さ:40~150cm

前の記事で「この花は何でしょう?キク科のピンクの花。」と問うた花です。
8月8日の花姿。
ポンポンアザミ0808wb.jpg

高さ170cm。支柱代わりの隣の木から一時的にはずして撮影。
ポンポンアザミ全wb2.jpg

お蔭様で名前がわかりましたが、驚いたことにこの花は私の住む愛知県では
「対策が必要な外来生物30種」に指定されていました(平成23年3月30日〜)。
ポンポンアザミ詳細
当県には「自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例」があり、生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある移入種の公表を行い、みだりに野外に放つ行為を規制していたのです。
県民ながらこんな条例があることも知りませんでした。

8月10日。
連日の猛暑にも負けず青空に向ってまだ元気に咲き誇っています。
ポンポンアザミ多wb.jpg

ポンポンアザミは花卉栽培のメッカ渥美半島(田原市)で大繁殖したようです。
種子は風で散布され、根は地下深くまで張るため、1回の作業では完全に除去しがたいという厄介な植物でした。
ポンポンアザミが最も深刻な問題になっているのは、南アフリカです。
南アメリカから観賞用植物として帰化したポンポンアザミが草原や湿原で猛威を振るい、排除できない状態になっているようです。

愛知県の条例に指定された生物には意外にもコイ、スイレン属、モウソウチクも入っていました。
しかし、飼育・栽培禁止ではなく「公表種の生きている個体をみだりに放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくことは禁止されています。なお、適切な管理のもとで飼育、栽培することは、規制対象ではありません。」と付記されています。

側枝の蕾も膨らんできました。
総苞にも葉にも柔らかい毛が密生しています。
ポンポンアザミ開花wb.jpg

緑色からピンクへのグラデーションが美しく、トゲもなく一見優しい印象です。
ポンポンアザミ開花2wb2.jpg

頭花はピンクの小花が密集し周辺から開花していきます。
小さな花冠が開いて葯筒を通りつつ周囲に花粉をまとった雌しべが現れます。
雌しべの花柱は2裂していて開いた形で伸び出します。
まだ花粉が付いていない内面が柱頭でしょうか(雄性先熟)。
ポンポンアザミ若い雌しべwb.jpg

更にネット検索を続けました。
すると、この花には流通名があり園芸品種として通販でも販売されたことがわかりました。その名は「香りあざみ 桃色花火」(追加「桃色香りアザミ」)。
画面に花のラベルが現れました。
えっ??? どこかで見たような..........................。
ガーン!
庭の花のラベルを集めたファイルを探すと「咲かずに枯れた花」の所に入っていました!!!
全く忘れていたのです!

香りあざみタグ2wb.jpg
ラベルにはキク科ヴァーノニア属 Vernonia glabra 
原産地 南アフリカ、草丈100〜200cm と。
赤字の部分は誤りだと思います。
草丈は肥育によって野生のものより大きくなるのでしょう。うちのも170cmあります。

記憶をたどれば、3月、宿根草の苗を買いに行ったとき、ケースに1株だけ売れ残っていた苗がありました。多年草のアザミ、試してみようかと買い物かごに入れたことを思い出しました。
あの弱々しい苗がこんなに背が高くなり、大きな花を咲かせるとは思いもよらず、やはり枯れたんだと思い込んでいました。
おー、お恥ずかしい!

満開になると花火みたい? そういえば桃色の花火?
ポンポンアザミ満開wb.jpg

香りあざみ? 今まで何度も花を見に行きましたが香りには気付きませんでした。
さあ、確認です。そのつもりで近づいても香りは感じません。
茎をたわめて花に鼻を近づけますと..............かすかな芳香がありました。
葉は嗅いでも擦っても香りはありません。

葉は互性。前述のごとく下部のものはやや大きく卵形で円い鋸歯があります(長さ約10cm)。
上部の葉は細長く先端鈍形の被針形(長さ5〜6cm)。
ポンポンアザミ葉2wb.jpg

まとめ:
私の庭に自生したかと思った花はポンポンアザミといってここ愛知県ではオオキンケイギクと同じく、殖やしてはならない植物でした。
ところが実はこの花は私が購入して、植えたことを忘れていた花だったのです。
その流通名は「香りあざみ 桃色花火」。
偶然にも、ポンポンアザミと香りあざみとが同一種であることを確認するに至りました。
愛知県では条例規制の植物が、一方では園芸品種として流通している、この事実に驚き、戸惑いました。
しかし、この花は日本でも繁茂させてはならないと思い、恥をさらしてこの記事を書きました。
検索するうちにすでに各地で栽培されていることがわかりました。
切り花で楽しんで、種子を散布させぬように抜去されることをお勧めします。

この後、冠毛をもつ種子が出来るはず、それは次回に報告しましょう。

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この花は何でしょう? キク科のピンクの花。→ ポンポンアザミ(!) [草花(夏)]

「この花は何でしょう?キク科のピンクの花。」のタイトルで記載した花は
「ポンポンアザミ」と判明しました。 下に「追記」を添えました。 ................................................................................................................................................
この春から庭隅に見知らぬ植物が育っていました。
何だろうとは思いながらも、花が咲けばわかるでしょうとそのままにしていました。
暑くなるとどんどん成長して私の身長を超えました。
そして7月28日、ついに花が咲きました。
草丈約170cm。
不明の野草?全wb.jpg

淡いピンクの頭花が上向きに咲いています。
キク科植物でしょう。
アザミに似ていますが、総苞が違います。
アザミのようにきりっとせず、ふわ〜っとやさしい形です。
不明の野草?花5wb.jpg

右上部を拡大しました。
取り巻く総苞はカップ型。
総苞片はアザミノように何層も重なり合わず、2層のみです。
苞の下部は黄緑色、上部にいくにつれて紅く染まっています。
総苞にも花柄にも細かい軟毛が密生していますが、触れても粘らず、痛くもありません。
不明の野草?花5wb2.jpg

茎をたわめて頭花を上から見ると直径3cm、全て筒状花です。
右の花は初めの小花一つが 2裂した雌しべを出したところです。
不明の野草?花4wb.jpg

頭花は小花の集合。小花は周辺から順に開花します。
筒状花の小さな5枚の花冠の中には葯筒があり、その中を2裂した雌しべの柱頭が花粉をまといながら出てきます。
不明の野草花8wb2.jpg

伸びた柱頭は先端がやや濃いピンクで細い花弁のよう。
花粉に飾られて華やかです。
不明の野草花花粉wb.jpg

花柄は紅みを帯びています。毛は開出毛。
小さな蕾はチューリップを想わせます。
不明の野草?蕾茎2wb.jpg

茎は黄緑色。葉は先端鈍形の被針形で互性。
不明の野草?葉1wb.jpg

側枝にまた蕾が出来そうです。
不明の野草?若い蕾wb.jpg

葉の裏にも柔らかい毛が密生しています。
不明の野草?葉裏wb.jpg

茎の下部の葉は卵形で円い鋸歯があります。
根生葉は認められません。
葉はトゲや切れ込みのあるアザミの葉とは全く異なっています。
不明の野草?葉茎棘wb.jpg

うわー、もうハナムグリがやってきました。
全部食べないで〜。
不明の野草?虫wb.jpg

トゲのないアザミとしてはキツネアザミ(キツネアザミ属)が庭でも自生しました。
でも、総苞が全く異なります。
キツネアザミwb.jpg

キツネアザミの葉はトゲはありませんが切れ込みが顕著です。
キツネアザミ葉wb.jpg

キク科植物の項をネット上や朝日百科植物の世界など手持ちの参考書を繰って調べましたが、同じような花は見つかりません。
アザミ属で葉が似ているのはエゾノキツネアザミですが、やはり総苞が異なります。
またタムラソウ(タムラソウ属)は花はアザミにそっくり、葉にはトゲはないのですが切れ込みがあります。

いったい、この花は何でしょう?
そしてどこから来たのでしょう?
花友達は「購入した花の苗に外国の花の種が付いてきたのでは?」と。
悩み始めて10日、もう疲れました。
皆さん どうか教えて下さい。

追 記 2013.8.11.18.20.
農文協で「 のらのら」を編集されている中村 安里様からメールをいただきました。
「植物に詳しい上司に聞いてみたところ、ポンポンアザミのようです。」
参考文献も添えられていました。

愛知県環境部 自然環境課野生生物グループ
  http://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/gairai/measure30/pdf/pdf_data28.pdf
「花夢ギャラリー」
  http://g-kamu.com/htm/ponponazami.htm

これで「この花は何でしょう?」の検索から開放されました。
中村 安里様、ありがとうございました。
お調べいただきました皆様にも厚く御礼申し上げます。
ポンポンアザミとして次の記事で補足したいと思います。

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ネジバナ  [草花(夏)]

ネジバナ
 捩花 
 ラン科 ネジバナ属の多年草
 学名:Spiranthes sinensis var. amoena
 別名:モジズリ(綟摺)
 草丈:10〜40cm

植えても種蒔きしてもいないのに、いつの間にか芝生にネジバナが咲くようになりました。
芝生の中ではあまり大きくならず邪魔にもならず、優しいピンク色は芝生の緑とよく合います。
学名のSpiranthesは ギリシャ語の 螺旋(speira )と花 (anthos)に由来するそうですが、まさしく小さな花が螺旋状に咲き登っていきます。
ネジバナ全景2013-1wb1.jpg

ネジバナは芝生の間が好きな花です。
芝生のカタバミは嫌われ者ですが、ネジバナは芝刈り機からも守られて年々殖えています。
カワラナデシコが先に住み着いたオオバボダイジュの木陰に昨年から目立つようになりました。
ネジバナ2012wb2.jpg

今年はさらに殖えています。炎天下よりやはり寄らば大樹の蔭ということでしょうか。
ネジバナには右巻きも左巻きもあり、捩じれていないようにみえる例外もあるそうです。
ネジバナ群2013wb.jpg

仲良く並んで双生児のようなペアー。
花はピンクと白の2色の濃淡でさっぱりしたつくりです。
ネジバナ2011-1wb.jpg

ランの花は萼片3枚と花弁3枚が基本です。
ネジバナはラン科といえどもわずか5mmほどの小さな花です。
花の構造はどうなっているのでしょう?
ネジバナ2011-2wb.jpg

真上に背萼片1枚とその下に重なるように側花弁2枚、横に伸びる側萼片2枚、大きな白い唇弁1枚。やはり萼片計3枚、花弁3枚(うち1枚は唇弁)。
小さくてもランの花の構造を受け継いでいました。
花の真ん中の奥の方にやや黄色く見えるのが花粉塊です。
ラン科の花粉塊については昨年シランの項に書きましたが、ネジバナにも花粉塊があったのです。
ネジバナ花粉塊4wb.jpg

1花採って上の背萼片と側花弁をおしのけて蕊柱をあらわにしました。
先端に小さな黒っぽいクリップを付け、2つに分かれている黄色い部分が花粉塊です。
昆虫が花に入ると花粉塊が昆虫の背にくっついて他花に運ばれます。
ネジバナ花粉塊wb.jpg

これは箸ではありません。最も細い竹の爪楊枝の先を花に突っ込み花粉塊を付着させたところです。
花粉塊に触れるともろくてすぐ壊れてしまいます。
1mmあるかなしかの花粉塊、老眼には厳しい作業でした。
ネジバナ花粉塊9wb.jpg

ネジバナの花はピンク色ですが花によって濃淡があります。
この花はやや濃いピンクです。
ネジバナ花2013wb.jpg

今年は初めて白花を見つけました。
ネジバナ白花1wb.jpg

殆ど白色ですが一部の花弁にうっすらと淡いピンクを認めます。
シロバナネジバナと言えるかどうか?
でも清楚な白花、もっと殖えてほしいものです。
ネジバナ白花2wb.jpg

花を覗くとやはり花粉塊がありました。
ネジバナ花粉塊W2wb.jpg

葉は5〜6枚、細長くやや厚めです。文献によればこれは夏葉だそうです。
ネジバナは常緑で冬は短く丸っぽい葉。春になると冬葉の間から夏葉が出て交代、秋には冬葉が出て夏葉は冬枯れるそうです。
ネジバナ葉2013wb.jpg

だんだん花は上の方だけになり、下ではぷっくりした果実ができています。
ネジバナ果実2wb.jpg

もう種子が出来ているでしょうか?
一番下の果実を採って開いてみました。
ネジバナ果実1wb.jpg

黒っぽい粉が飛散しました!
埃か砂のように細かい粒です。
これが種子なのでしょうか?
ネジバナ種子wb.jpg

顕微鏡で見ることにしました。
確かに種子です。中心に楕円形の影、前後に薄い羽根のような翼があります。
これなら風にのって遠くへ飛べそうです。
ネジバナ種子3wb3.jpg

芝生の他、ヒメイワダレソウも好きなのか、駐車場の隅のヒメイワダレソウの間にも1叢育っていました。
写真を撮ろうと思いつつ時期を逃し、すでに茶色になっています。
ネジバナ枯れ花リピアwb.jpg

おやおや、果実はもう殻だけ。
ネジバナの蒴果は天辺は開かず、脇の裂け目から粉のような種子を飛ばすようです。
ネジバナ枯果実wb.jpg

小さな野生のラン、ネジバナ。
よくよく見ると興味深い花でした。
これを殖やそうと思うとまたまた難題があります。
ランの種子はこんなに小さく、発芽に必要な養分を蓄えた胚乳をもっていません。
このためランはその根に寄生するラン菌と共生し、発芽時にはラン菌が種子に栄養分を補給するのだそうです。
ネジバナの種子もそのまま蒔いても育たず、ネジバナが育っている所や他のランの株元に蒔くと育ち易いといわれています。
(ひとり言:芝生の間の初めの1株はどうして育ったのでしょう?)
近年のラン栽培のプロ用にはそれぞれのランに対応した 無菌播種用培地が用いられているようです。
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クフェア・アスタリスク [草花(夏)]

クフェア・アスタリスク
 Cuphea 'Asterrisk’

昨夏、園芸店で夏の丈夫な花を探している時、「梅雨に負けない丈夫なクフェア」というラベルの花に出会いました。
商品名「アスタリスク ピンク」。
しかしその花の色はやや濃いめのピンクで、うちの庭では最も派手な色になりそうです。
迷った挙句、濃い緑の葉色に惹かれて2株だけ購入し、1株づつ2カ所に植えました。

アスタリスク2011P2wb.jpg

2株とも確かに丈夫に育って、梅雨にも猛暑にも負けず秋まで咲き続けました。
ラベルには 一、二年草扱(非耐寒性多年草)とありましたが、ここでは越冬は期待できません。
アスタリスク2011P1wb.jpg

アスタリスクとは 「」この星形マークのことです。
  英 : asterisk 、語源 :「小さい星」
確かに花の形が  です。花の直径は約3cm。
アスタリスクP柱頭wb.jpg  

背面。萼筒には線模様があり、毛が生えています。
アスタリスク背面wb.jpg

ところが今春、昨年花が咲いた辺り2カ所に、それぞれ若い苗がひしめくように生えてきました。こぼれ種が芽生えたのでしょう。
でもあのピンク色があまり殖えても困ると思い一部を他所に移植。
ところが7月になって開花したピンクの花の隣に薄紫色や白色の花をみつけました。
アスタリスク3花@wb.jpg

淡い薄紫色の花も確かにアスタリスク
花弁の中央に赤紫色の葉脈様の模様が途中まで入っています。真ん中は紫色。
アスタリスク薄紫@2.jpg

萼筒はこれまた赤紫色の縞模様です。
アスタリスクV2輪wb.jpg

さらに淡い紫色の花で花の構造を観察してみました(参考文献無く、見たままです)。
花弁は6枚、そのうち上部の2枚は他の4枚より大型でやや濃色です。
その間にある萼片1枚は他の5枚に比べ、大きく固く発育し、花筒に昆虫を導く入り口の看板になっているかのようです。アリが屢々出入りしていました。
また花筒の中央部には薄紫色の細い繊維が毛玉のように絡まっていて、その間から雄しべの葯が数個のぞいています。これでは花筒に入った昆虫はすぐには出られないでしょう。

アスタリスク白花紫線条2wb.jpg

ほぼ白色の花。花弁は白色ですが、中央部は淡い紫色。
アスタリスク白花4wb2.jpg

純白に近い花。中央部はかすかにベージュ。
皺のある大小不同の花弁が趣があります。
アスタリスクW0818wb.jpg

淡いピンクの花。「アスタリスク ピンク」に比べて花弁の色は淡く、真ん中も薄紫色。
アスタリスク淡Pwb.jpg

濃いピンク。昨年の「アスタリスク ピンク」とほぼ同じ。
画面をクリックすると、真ん中の紫色の毛玉の間にのぞく雄しべに混じって、雌しべの柱頭がそれぞれ一つづつ見えます。
アスタリスクP柱頭2wb.jpg

真紅ともいえる花。中央部は紫色。
ネット検索では「アスタリスク パープルレッド」というこの色に近い品種も販売されていました。
アスタリスク2012R1wb.jpg

こぼれ種から生えた苗は約50株、このうち花色を識別出来るのは現在42株。
内訳は、真紅3、濃いピンク12、薄いピンク4、淡い紫14、白9株。

花の特徴は既に小さな蕾の頃から現れています。小さな蕾も「」。
葉にも蕾にも毛が密生。
アスタリスク蕾星型wb.jpg

2枚の大きな花弁とその間の丈夫な萼片を納めた部分が大きく膨らんでいます。
この花は薄紫色のようです。
アスタリス蕾星形2wb.jpg

開花間近。何との先端6カ所にトゲが生えています。
大きな萼片部はポケットの上蓋のようになっていて、開花に伴って開きます(赤花)。
アスタリスR蕾開花wb.jpg

横から見ると茎にも萼筒にも柔らかい毛が密生して毛むくじゃら。
アスタリスク横白花wb.jpg

今年6月、新たに「アスタリスク ラベンダー」というラベルの品種を見つけ2株購入しました。
(このときはまだ、我が家の2世は親と同じピンク色の花が咲くものと思っていました。)
アスタリスク-ラベンダ1wb.jpg

淡いピンク色の花弁には赤紫色の葉脈様の模様が広く染み出しています。
アスタリスク-ラベンダー2wb.jpg

クフェア・アスタリスクを検索すると「アスタリスク ピンク」・「アスタリスク ラベンダー」・「アスタリスク・パープルレッド」の3色の花が出てきました。
まだ白花・薄紫色・淡桃色は販売されていないようです。
でも私はむしろこれらの淡い色が好きです。
ネット検索にて「赤とピンク色から翌年白花が咲いた」という記事を1件見つけましたが、薄紫色・淡桃色の2世の記載は未確認です。

「アスタリスク ラベンダー」は既に果実(蒴果)が形成されつつあります。
確認のため、花後ふくらんだ花筒をひとつ採り、萼筒を半分はがしてみました(左)。
真ん中に花柱が残り、その下に緑色円盤状の種子が詰まっています。
右は枯れた果実、中に成熟した黒褐色の種子が2個残っていました。
アスタリスク果実wb.jpg

クフェア(Cuphea)はミソハギ科 タバコソウ属の小低木もしくは草本で南・北アメリカに約250種分布しますが、園芸に利用されているのは数種だそうです。
そのうちでクフェア・アスタリスクに最も近いのは Cuphea hyssopifolia(メキシコハコヤナギ)かと思われます。
メキシコハコヤナギの花はクフェア・アスタリスクより小さく直径約1cmですが白色品種もあるようです。(別名:メキシコハヤナギ?)

さて来年もこぼれ種で様々な色の花が咲くでしょうか。
色々な花の園芸品種を育てましたが、こぼれ種からこんなにいろいろな花色が現れたのは初めてです。
これらの淡い色もそのうち固定されて販売されるかもしれませんね。

追 加 2012.8.30.

今、「クフェア」を再検索中、偶々「クフェア ビアンコ 」なる項目を見つけました。
それを開くと、通販で販売中の花5種が現れ、少々動揺しました。
5種はクフェア・アスタリスクの「ピンク」・「パープルレッド」・「ラベンダー」によく似た色と、もう1種の濃いピンクと淡いピンクです。カタログ?には白色も見えます。
各社でそれぞれ商品名をつけているようですね。
ふつう ビアンコといえばイタリア語で白、紅い花にビアンコは違和感がありますので、タイトルの「クフェア・アスタリスク」はこのままにしたいと思います。
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キレンゲショウマ [草花(夏)]

キレンゲショウマ 黄蓮華升麻
 アジサイ科 キレンゲショウマ属(←ユキノシタ科)の多年生草本
 学名:Kirengeshoma palmata
 草丈:1m前後
 分布:四国(石鎚山・剣山など)紀伊半島(大峰山)、九州。
    朝鮮半島南部、中国東部にも隔離分布。

1890年、東京大学植物学初代教授・矢田部良吉博士がキレンゲショウマ属として発表。
これは日本人が最初に発表した記念すべき属であり、1属1種。

キレンゲショウマは1998年宮尾登美子著「天涯の花」が刊行されてから突如脚光を浴びるようになった花です。それによればこの花は剣山にしか咲かないとのことでした。
しかし、意外にも宿根草を扱う通販店から容易に苗を入手でき、この猛暑の愛知県の庭先で花をみることができました。各地の植物園や公園、愛好家の庭にも咲いているようです。

キレンゲ3花wb.jpg
( ↑ ぼけていますがこの花の雰囲気が伝わりそうなので追加しました。)

7月14日、今年の初花が咲きました。植えて3年目、毎年少しは咲いています。
花は約3cm、花冠はラッパ状に開いています。
キレンゲ花2wb.jpg

植えた場所は2010年、シダを撤去した日陰の庭、その中でも朝だけは陽が当たる東の軒下。
足元にはヒトリシズカやスミレ、奥にはクリスマスローズという環境。
4月モミジのような蒼白い若葉が出てきました。勢い良く成長します。
キレンゲ2012葉1wb.jpg

学名の palmata とは掌のようなという意味。葉の形から付けられたのでしょう。
葉は対生、下部の葉には長い柄があります。下部のものには長い柄があるも,上部のものはほとんど無柄。葉の長さ・幅は共に10~20cm。
キレンゲ2012葉2wb.jpg

柔らかい美味しそうな葉だと思っていたら、案の定、たちまち、葉に穴があきました。
犯人は?
キレンゲ虫害葉wb.jpg

見つけました! クロウリハムシです。
キレンゲウリムシwb.jpg

緑色の幼虫もいます。
キレンゲ青虫wb.jpg

5月2日、小さな蕾を発見。
キレンゲ蕾wb.jpg

葉は日毎に穴が増えていきます。
キレンゲ葉2012wb.jpg

一方、緑色の蕾はなかなか大きくなりません。
2か月かかって蕾が膨らんで黄色くなってきました。
キレンゲ100708wb.jpg

やっと静かに開花です!花は慎ましやかにうつむいたまま咲きます。
キレンゲ20100709wb.jpg

そっと指で持ち上げて、花の奥を覗いてみます。
厚ぼったい花弁が5枚、中に雄しべの葯が見えます。
キレンゲ花6wb.jpg

早速虫がやってきました。ニホンチュウレンジ?
キレンゲ花虫wb.jpg

蜜を求めて入ると、おや、もう先客あり。
キレンゲ花虫wb.jpg

花は夜は萎むのでしょうか?
一昨年、初花を深夜に撮った写真です。
むしろ昼間より花弁が開いている感じです。中心に雌しべの花柱3本、そのまわりを若い雄しべ15本が取り巻いています。
キレンゲ夜wb2.jpg

虫は葉だけではなく花も食べてしまいます。
一昨年はせっかくの蕾が早々とクロウリハムシに食べられました。
キレンゲ2010虫食wb.jpg

昨年はさらに被害甚大でした。
キレンゲ虫食い201107wb.jpg

蕾に次々と穴が開き、変色していきます。
一体何の仕業でしょう。画面中央の褐色の棒は?
キレンゲ尺取り虫1wb2.jpg

何と尺取り虫! これも犯人だったのでしょう。
昨年はまともな花を見ることができないまま、落花してしまいました。
キレンゲ尺取り虫2wb.jpg

花冠は3〜4日で筒状のまま落ちます。集散花序。
キレンゲ花4wb.jpg

球状の蕾が次第に俵型になってラッパ状に開花します。一花づつ、ゆっくりゆっくり。
今日までの2週間でまだ3花、開いたところです。
雌しべの花柱が3本づつ残っています。
キレンゲ20120729wb.jpg

過去2年、果実は見ていません。
この画像は2009年9月20日、六甲高山植物園で撮った果実です。
3本の花柱はまだ残っていて、アンテナを張っているかのように開いています。
キレンゲショウマ果実wb.jpg

キレンゲショウマの花がたくさん咲いている写真を撮りたかったのですが、3年目の今年もこんな具合で開花は揃いません。
この花は葉も花も見るからに美味しそうですから、昆虫の害が大きいのでしょう。またシカにも好かれるようです。
朝日百科植物の世界には剣山での幽玄な写真が掲載されていますが、やはり葉にはところどころ穴が開いていました。

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ユウスゲ 2世 [草花(夏)]

ユウスゲが咲きました。
淡いレモンイエローの花が黄昏時に咲き始めます。
潔い清々しさが心に響きます。
ユウスゲ0630-1wb3.jpg

日没過ぎの写真ではライトで花の色がやや濃く見えます。
ユウスゲ0630-9wb.jpg

ハンドルネームに用いたユウスゲはこのブログにはなくてはならない花で、もう2回記事にしました。

ユウスゲ(夕菅 )
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2009-07-17

ユウスゲの人工授粉
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25

今日はさらに続編として、人工授粉でできた種子が発芽して開花するまでを記します。

「ユウスゲの人工授粉」ではまだ緑色だった果実は8月には褐色になり、はじけて黒い種子がのぞいています(2009年8月17日)。
ユウスゲ種090819wb.jpg

この蒴果には種子が12個も入っていましたが、1〜2個のこともありました。
夕菅種0821-1wb.jpg
 
2009年8月22日 全部で70個くらい種子を採り、すぐに種蒔きしました。
1か月後、 細い葉が伸びています。ユウスゲはユリ科の単子葉植物です。
ユウスゲ091004wb.jpg

植木鉢にも少し蒔いてみました。
全体では発芽率5割くらいでした。
苗はなかなか大きくなりません。
冬の間は地上部が枯れて何も無くなってしまいます。
ユウスゲ0923計8本wb.jpg

翌年の画像を探しましたが見つかりません。
やっと畑全体を写した1枚を見つけ、わずかにユウスゲの葉が覗いているところを拡大しました。
自生したヒルザキツキミソウに埋もれて、これで育つのかしらと心配です。
(2010.5.20.)
ユウスゲ苗2010wb.jpg

2年目(2011年4月10日)、元気な若芽が伸びてきました。
周りにの緑はまた芽生えたヒルザキツキミソウ。
ユウスゲ苗20110410wb.jpg

2011年5月22日、ヒルザキツキミソウの一斉開花。
ユウスゲは埋もれ気味ですが負けずに伸び上がってきました。
ユウスゲ20110522-2wb.jpg

3年目、伸びた花茎に蕾が見えました!(2012年6月11日)。
蕾が確認出来たのは4株のみです。
ユウスゲ20120611-2wb.jpg

初花開花です!(6月27日)。
6枚の花弁が1枚おきに開いて残りの3枚はまだ離れません。
寒かったからでしょうか、花弁の先端が少し傷んでいます。
ユウスゲ0627-3wb.jpg

これらも開き渋っているようです。
花弁の先端が癒着したのでしょうか。
ユウスゲ0627-2wb.jpg

6月30日、きれいな花が開くようになりました(16時25分)。
ユウスゲ0630-3wb.jpg

2時間後((18時32分)、周りが暗くなってからの写真は雰囲気が変わります。
ユウスゲ0630-12wb.jpg

この画面では開花は左の2株のみ、右の株達は今年はまだ咲けないようです。
ユウスゲ0630wb.jpg

ユウスゲの人工授粉から3年目、やっと少し花を見ることが出来ました。
まだ咲けなかった株もありますので、開花までには3〜4年を要するということになりそうです。
でも10年目の大株1株では絶滅のおそれもありましたので、2世誕生で気が楽になりました。
これは10年目の古株の近影です。
ユウスゲ2012古株wb.jpg

あちこちの隙間に植えて名実共にユウスゲの庭にしたくなりました。
今年はまた人工受粉して種子を採ろうと思います。そのため花殻も保存です。
DSC_0545wb.jpg

 (写真はすべて画面をクリックすると大きくなります。)
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初夏の宿根草 [草花(夏)]

初夏の宿根草
理想は何もしなくても四季の花が咲く庭。
なかなか理想通りには参りません。
この土地に合う宿根草を探しながら試植してきました。
一つづつブログに書いていると季節に遅れてしまいます。
今日はこの1か月の間に咲いた宿根草をまとめて顔見せです。

シャクヤク
 芍薬「滝の粧」
 白にほんの少し紅い縁取りが現れる品種ですが、今年はうっすらピンクに染まりました。
シャクヤクも淡い色が好きです。
シャクヤク11wb3.jpg

フウロソウ(風露草)
フウロソウはこの庭では1年目は咲いても、2年目は勢いがなくなり、3年目は消えてしまうという,
名のごとく儚い花でした。
しかしこの ゲラニウム ‘ジョリービー’ という品種は植えて3年目、草丈70cmほどになり、大きな青い花が次々と咲いています。
後の緑の葉はハンゲショウ。 
ゲラニューム2012wb.jpg

アスチルベ
 ユキノシタ科チダケサシ属の園芸品種。
 チダケサシやアワモリショウマと同属ながら園芸種は細かい花が多数密集して華やかです。黄色の花は秋からずーっと咲き続けているビオラ。
アスチルベPビオラwb.jpg
白花のアスチルベ。
アスチルベWwb.jpg

ストケシア
 別名:ルリギク
 北米の南東部原産のキク科多年草。
 暑さ寒さに強く丈夫なので昨年 白・淡桃・淡青、青紫と各色植えました。
 期待通りよく育っています。
ストケシア2012-1wb.jpg

イトバハルシャギク(糸葉ハルシャ菊)
 濃い緑色の細く柔らかい葉がシンプルな黄色の花を引き立てます。
 繁殖力強く小石混じりの土でも育ちます。
イトバギク09-1wb.jpg

シュッコンバーベナ
 宿根バーベナ ’ポラリス’

   Verbena rigida 'Polaris' 

硬くて鋸歯のある葉が野性的で、初めヤナギハナガサ(サンジャクバーベナ)かと思っていました。
でもこの花は球形にまとまって咲くのでやはり園芸種なのでしょう。
また園芸店には宿根バーベナ○○○というラベルの他品種がありますので要注意です。
それらはうちでは1年以内に枯れてしまいますが、この ’ポラリス’は丈夫です。
宿根バーベナ08-1wb.jpg

ホタルブクロ(蛍袋)
 ホタルブクロについてはすでに2回このブログに書きました。
   2010. 7.10.ホタルブクロとヤマホタルブクロ
   2010. 7.18.ホタルブクロの受粉
 これこそ放っておいても咲いてくれる大好きな花です。
 今年は庭の隅のユキノシタの間から純白の花がたくさん出てきました。
ホタルブクロW2012wb.jpg

赤い花もウツギの若葉の間から顔を出すとしつこくありません。
ホタルブクロ2wb.jpg

白とピンクの花がカワラナデシコと仲良く咲いています。
ホタルブクロナデシコwb.jpg

昨年アップしたカワラナデシコ、今年も手間要らずでオオバボダイジュの下を彩っていてくれます。
カワラナデシコ201206wb.jpg

カワラナデシコW2012wb2.jpg

ハタザオキキョウ(旗竿桔梗)
  キキョウ科ホタルブクロ属の多年草
  
学名:Campanula rapunculoides
  
草丈:60センチくらい。

原産地はユーラシア大陸、
日本へは大正時代に園芸用として渡来。

繁殖力が強く、各地で野生化しているそうですが、ここでは殖え過ぎることもありません。
 追加:2年後かなり大株になりました。→「5月の庭 2014
ハタザオキキョウなどwb3.jpg

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メランポジウム [草花(夏)]

メランポジウム
キク科メランポジウム属
学名は Melampodium paludosum
北アメリカ原産
草丈 30〜60cm

メランポジウムは初夏から晩秋まで元気に咲き続ける1年草です。
この花はセルフクリーニングの性質があり、花殻が目立たないといわれます。
これはどういうことなのか、具体的に画像で追ってみたいと思います。

7月初旬。
こぼれ種で芽生えたメランポジウムが茂り、黄色い花が次々と開花します。

メランポ初期0607wb.jpg

蕾から順に咲き進んでいきます。

メランポ花々wb.jpg

下の花は花弁が11枚あるように見えますが正しくは11個の舌状花(キク科の特徴)です。
中央の帽子状の部分は筒状花の集り、まず周辺から小花が開花し始めます。
舌状花・筒状花・それらを包む総苞をまとめて頭花といいます。
頭花の大きさは2.5cmくらい、舌状花は12個前後です。

メランポ筒状花wb.jpg

筒状花が下から順に開花していきます。

メランポ咲き競うwb.jpg

9月上旬、酷暑の中でもますます花数がふえていきます。
画像をクリックして大きくしても花殻がどこにあるのか、はっきりしません。

メランポ一面wb.jpg

咲き進んだ花を見つけました。
2枚の舌状花は枯れて褐色の棒状になり、筒状花も褐色になっています。

メランポ老若wb.jpg

左寄りの花では舌状花が散った後に緑色の種子が見えています。
しかしまだ4枚の舌状花は黄色を保っていますね。
右の花は褐色の種子が車輪状に並んでいます。
種子は痩果で1つの舌状花に1個ずつ作られます。まもなくほろほろと落ちるでしょう。

種子過程wb.jpg

筒状花が落ちる瞬間は普通撮ることができません。
けれども偶々舌状花3枚と筒状花の塊がクモの糸に引かかっているのが見つかりました。
筒状花の塊は風に揺れて裏と表を見せてくれました。

種子クモの巣表半wb.jpg 種子クモの巣裏半wb.jpg

種子が落ちた後は緑色の花のように見えます。
キク科ですからこれは萼ではなく、合生した5枚の総苞でしょう。
こんなふうに舌状花は枯れたものから縮んで落ち、筒状花は帽子を脱ぐかのようにさらりと散ってしまうため見苦しい花殻はほとんど見られないのです。

メランポ散華wb.jpg

10月になっても花の勢いは衰えず、色鮮やかに咲き広がっています。
奥のブルーの花はサルビア・アズレアです。

メランポ06wb.jpg

自生のトレニアとの競演。
小径が塞がれて回り道したり、はみ出た部分を切って生花にしたり。

メランポ小路1wb.jpg

メランポジウムは庭で最も頑強な1年草かと思います。
繁り過ぎるのが欠点ですが、一度植えたらあとはこぼれ種で生え、肥料不要、病虫害殆どなく、花殻摘みも要らぬ誠に手間要らずの花です。
さすがに晩秋には葉の色もあせ、霜が降りると枯れますから抜き取って堆肥にします。
セルフクリーニングするエコの花と言えましょう。
お蔭様で酷暑の夏も庭には労せずして花々が保たれています。


追記(2011. 9. 27.)
セルフクリーニングに関してもうひとつ書き忘れたことがありますので追記します。

メランポジウムは開花するとその花の両脇の枝がどんどん伸びて葉を開き、また花を咲かせます。

エコ2wb1.jpg

花期が長いので花がみすぼらしくなる頃には同じ葉腋から次の花の茎が伸び、古い花はその葉の陰になって目立たないというわけです。

エコ3wb.jpg

切り花にして花瓶に生けておくとどこからか種子が落ちてきて不思議に思いました。
これがきっかけで調べましたところセルフクリーニングということばを見つけたのです。

メランポジウムのセルフクリーニングは次の二つの性質によるものと考えました。
 1)咲き進むと管状花は1塊となり、舌状花は縮れて容易に落下する。
 2)花が古くなる頃には両腋から新しい茎が育ち、その葉の陰になって目立たない。

こういうわけで、上から見ると花殻はほとんど無く、新鮮な花と葉ばかりのように見えるのです。
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