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クフェア・アスタリスク [草花(夏)]

クフェア・アスタリスク
 Cuphea 'Asterrisk’

昨夏、園芸店で夏の丈夫な花を探している時、「梅雨に負けない丈夫なクフェア」というラベルの花に出会いました。
商品名「アスタリスク ピンク」。
しかしその花の色はやや濃いめのピンクで、うちの庭では最も派手な色になりそうです。
迷った挙句、濃い緑の葉色に惹かれて2株だけ購入し、1株づつ2カ所に植えました。

アスタリスク2011P2wb.jpg

2株とも確かに丈夫に育って、梅雨にも猛暑にも負けず秋まで咲き続けました。
ラベルには 一、二年草扱(非耐寒性多年草)とありましたが、ここでは越冬は期待できません。
アスタリスク2011P1wb.jpg

アスタリスクとは 「」この星形マークのことです。
  英 : asterisk 、語源 :「小さい星」
確かに花の形が  です。花の直径は約3cm。
アスタリスクP柱頭wb.jpg  

背面。萼筒には線模様があり、毛が生えています。
アスタリスク背面wb.jpg

ところが今春、昨年花が咲いた辺り2カ所に、それぞれ若い苗がひしめくように生えてきました。こぼれ種が芽生えたのでしょう。
でもあのピンク色があまり殖えても困ると思い一部を他所に移植。
ところが7月になって開花したピンクの花の隣に薄紫色や白色の花をみつけました。
アスタリスク3花@wb.jpg

淡い薄紫色の花も確かにアスタリスク
花弁の中央に赤紫色の葉脈様の模様が途中まで入っています。真ん中は紫色。
アスタリスク薄紫@2.jpg

萼筒はこれまた赤紫色の縞模様です。
アスタリスクV2輪wb.jpg

さらに淡い紫色の花で花の構造を観察してみました(参考文献無く、見たままです)。
花弁は6枚、そのうち上部の2枚は他の4枚より大型でやや濃色です。
その間にある萼片1枚は他の5枚に比べ、大きく固く発育し、花筒に昆虫を導く入り口の看板になっているかのようです。アリが屢々出入りしていました。
また花筒の中央部には薄紫色の細い繊維が毛玉のように絡まっていて、その間から雄しべの葯が数個のぞいています。これでは花筒に入った昆虫はすぐには出られないでしょう。

アスタリスク白花紫線条2wb.jpg

ほぼ白色の花。花弁は白色ですが、中央部は淡い紫色。
アスタリスク白花4wb2.jpg

純白に近い花。中央部はかすかにベージュ。
皺のある大小不同の花弁が趣があります。
アスタリスクW0818wb.jpg

淡いピンクの花。「アスタリスク ピンク」に比べて花弁の色は淡く、真ん中も薄紫色。
アスタリスク淡Pwb.jpg

濃いピンク。昨年の「アスタリスク ピンク」とほぼ同じ。
画面をクリックすると、真ん中の紫色の毛玉の間にのぞく雄しべに混じって、雌しべの柱頭がそれぞれ一つづつ見えます。
アスタリスクP柱頭2wb.jpg

真紅ともいえる花。中央部は紫色。
ネット検索では「アスタリスク パープルレッド」というこの色に近い品種も販売されていました。
アスタリスク2012R1wb.jpg

こぼれ種から生えた苗は約50株、このうち花色を識別出来るのは現在42株。
内訳は、真紅3、濃いピンク12、薄いピンク4、淡い紫14、白9株。

花の特徴は既に小さな蕾の頃から現れています。小さな蕾も「」。
葉にも蕾にも毛が密生。
アスタリスク蕾星型wb.jpg

2枚の大きな花弁とその間の丈夫な萼片を納めた部分が大きく膨らんでいます。
この花は薄紫色のようです。
アスタリス蕾星形2wb.jpg

開花間近。何との先端6カ所にトゲが生えています。
大きな萼片部はポケットの上蓋のようになっていて、開花に伴って開きます(赤花)。
アスタリスR蕾開花wb.jpg

横から見ると茎にも萼筒にも柔らかい毛が密生して毛むくじゃら。
アスタリスク横白花wb.jpg

今年6月、新たに「アスタリスク ラベンダー」というラベルの品種を見つけ2株購入しました。
(このときはまだ、我が家の2世は親と同じピンク色の花が咲くものと思っていました。)
アスタリスク-ラベンダ1wb.jpg

淡いピンク色の花弁には赤紫色の葉脈様の模様が広く染み出しています。
アスタリスク-ラベンダー2wb.jpg

クフェア・アスタリスクを検索すると「アスタリスク ピンク」・「アスタリスク ラベンダー」・「アスタリスク・パープルレッド」の3色の花が出てきました。
まだ白花・薄紫色・淡桃色は販売されていないようです。
でも私はむしろこれらの淡い色が好きです。
ネット検索にて「赤とピンク色から翌年白花が咲いた」という記事を1件見つけましたが、薄紫色・淡桃色の2世の記載は未確認です。

「アスタリスク ラベンダー」は既に果実(蒴果)が形成されつつあります。
確認のため、花後ふくらんだ花筒をひとつ採り、萼筒を半分はがしてみました(左)。
真ん中に花柱が残り、その下に緑色円盤状の種子が詰まっています。
右は枯れた果実、中に成熟した黒褐色の種子が2個残っていました。
アスタリスク果実wb.jpg

クフェア(Cuphea)はミソハギ科 タバコソウ属の小低木もしくは草本で南・北アメリカに約250種分布しますが、園芸に利用されているのは数種だそうです。
そのうちでクフェア・アスタリスクに最も近いのは Cuphea hyssopifolia(メキシコハコヤナギ)かと思われます。
メキシコハコヤナギの花はクフェア・アスタリスクより小さく直径約1cmですが白色品種もあるようです。(別名:メキシコハヤナギ?)

さて来年もこぼれ種で様々な色の花が咲くでしょうか。
色々な花の園芸品種を育てましたが、こぼれ種からこんなにいろいろな花色が現れたのは初めてです。
これらの淡い色もそのうち固定されて販売されるかもしれませんね。

追 加 2012.8.30.

今、「クフェア」を再検索中、偶々「クフェア ビアンコ 」なる項目を見つけました。
それを開くと、通販で販売中の花5種が現れ、少々動揺しました。
5種はクフェア・アスタリスクの「ピンク」・「パープルレッド」・「ラベンダー」によく似た色と、もう1種の濃いピンクと淡いピンクです。カタログ?には白色も見えます。
各社でそれぞれ商品名をつけているようですね。
ふつう ビアンコといえばイタリア語で白、紅い花にビアンコは違和感がありますので、タイトルの「クフェア・アスタリスク」はこのままにしたいと思います。
コメント(16) 

コメント 16

satton

花屋さんにあったクフェア・フラメンコサンバという花をブログで取り上げたことがありました。「複雑なつくりの花」という印象がありましたが、自分で育てればいろいろ調べられて面白いですね。
by satton (2012-08-29 19:55) 

夕菅

satton さんのクフェア・フラメンコサンバ、興味深く拝見しました。
形はまさしくクフェア・アスタリスク、色はアスタリスク パープルレッドよりもっと激しく燃える赤ですね。
ますます、ルーツを辿りたくなります。
貴重なコメント、ありがとうございました。
by 夕菅 (2012-08-29 23:30) 

ebisu-mama

こぼれ種から翌年違う色の花が咲き、しかも 自分好みに変色とは!
淡い色合いの夕菅の庭に咲きたかったのでしょう。
来年は、どんな色に・・の楽しみも増してきます
また、姿を見せてくれると良いですね。

アスタリスク・・・・なるほど…とうなずく形。
一つ一つの花だけ見ると、夏の花、サルスベリの花にも似ていますね。

by ebisu-mama (2012-08-30 08:36) 

エフ・エム

大変興味深いです。購入された苗は花色や模様に関するハイブリッドなのでしょうね。自家受粉を繰り返して花型を固定できれば、実験材料としておもしろいかも知れないと思いました。
Cupheaに関するGeneticsを索引してみましたが、花に関する文献は見当たりませんでした。
by エフ・エム (2012-08-30 13:17) 

夕菅

ebisu-mama さん その通りです。
サルスベリもクフェアと同じくミソハギ科なんです(サルスベリ属)。
私も前に書いたサルスベリの記事の写真を思い浮かべました。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2009-09-06

ミソハギ(ミソハギ属)はとても小さい花ですが、花筒のある造りはやはりそっくり。DNAが似ているんですね。
でもこんなにいろんな色をプレゼントされてたじろいでいます。


by 夕菅 (2012-08-30 15:12) 

夕菅

エフ・エム さん 文献まで調べていただいてありがとうございました。
Google検索ではクフェア・アスタリスクの花の構造さえ見当たらず、どう表現したらいいのか悩みました。
ショッキングピンクとは異なる複雑なピンク色が作られる過程には、濃いピンク・淡いピンク・白・薄紫・紫など複雑な組み合わせがあったのだろうと思えました。
ルーツは企業秘密として守秘されているようですね。
とりあえず白色だけでも固定できたらいいなと思っています。
by 夕菅 (2012-08-30 15:48) 

花咲かばあさん

クフェア-・アスタリスク、初めて見る花です。
クフェア-もアスタリスクの名前も。
小さい星、夜空の星、、、そんな言葉にいちだんと魅力を増しますね。
花びらは和紙を絞ったような姿が美しいですね。
親株から違った花色が出てくる花はクリスマスロ-ズやカワラナデシコなど、身近によく見かけますが、これほどの色違の多さは、珍しいように思います。新しい品種がたくさん出来そうですね。
アスタリスク、歌もあるようですね。
ネット検索を楽しんでいましたら、この項目に「はるなつあきふゆ、ユウスゲの庭」が
すでに紹介されていました。


by 花咲かばあさん (2012-08-30 19:59) 

夕菅

花咲かおばさん クフェアの名は初めてでも、クフェア・タイニーマイスなら園芸店で見られたことがあるかもしれませんね。
タイニーマイスの確認のためクフェアを再検索したら、クフェア ビアンコ が見つかり驚きました。
それについて今、「追加」を書いたところです。
種を保存して蒔いて育てるという作業は今まであまりしたことがありませんが、今回は白い花を試してみたい気がします。
花咲かおばさんも一緒にいかがですか?
by 夕菅 (2012-08-30 22:31) 

多摩NTの住人

こんにちは。
アスタリスクの名を持つ花があるんですか。
確かに蕾などは、*の形そのものですね。
とても面白い記事でした。
by 多摩NTの住人 (2012-08-31 12:50) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
アスタリスクの親を見つけたかったのですが、親戚までしか辿れず残念でした。
蕾も小さな*、咲くまでの形の変化も楽しい花です。
by 夕菅 (2012-08-31 23:12) 

花咲かばあさん

そうですね。クフェア-、ビアンコ、、ビアンコを調べてみましたが、
白色という意味があるようですので、赤い花には大変違和感がありますね。
クフェア-、タイニ-マイスも知りませんでした。
今まで野山に咲く花ばかりが気になっていましたが、こうしてたくさんの花を紹介していただいて、魅力ある花がいっぱいありました。
ありがとうございました。
種蒔き、どんな面白い結果が出るか、私も試してみたくなりました。
お願いします。
by 花咲かばあさん (2012-09-02 14:58) 

夕菅

花咲かおばさん 2度目のコメントありがとうございました。
やはり、クフェア- ビアンコ の命名は受け入れがたいですね。
種蒔き、試して下さいますか。
密集している2世の中から、それぞれの花の色の種子を正しく採るのが初めの難問のようです。
花のブログにも栽培種や帰化植物は避けて、日本古来のものだけという方もあります。
はじめ、花咲かおばさんもそうかなと思いましたが、ルドベキア・タカオを紹介されて気楽になりました(笑)。
by 夕菅 (2012-09-02 17:56) 

とんとん

生き物みたいに動きを感じる不思議なお花ですね。
花弁の大きさや縮れ方が違って表情豊かで面白い。
中心部に詰まっている繊維はどういう働きなのでしょうね。

by とんとん (2012-09-02 20:52) 

夕菅

とんとん さん コメントありがとうございました。
花弁の大小と縮れが少しづつ違うばかりか、色も微妙に違っています。
中心の繊維は何のためにあるのか、未だに解りません。
花弁と繊維の色の組み合わせでより複雑な色合いが楽しめます。
by 夕菅 (2012-09-02 23:34) 

703

このところパソコンの調子が悪くて、ようやく今日に回復しました。
久しぶりに訪問したら、興味深い記事。一つの花の種子がこんなに多様な花を咲かせるなんて、思いもよらないことでした。
不思議ですね! 面白いですねえ!!
by 703 (2012-09-03 22:15) 

夕菅

703さん、パソコンが回復してよかったですね!!!
先程確認してコメントを入れ、ちょっと回り道をして、あらあらもう寝なくてはと帰って来たところ、クロスしてたんですね。
クフェア・アスタリスク、本当にふしぎでしょう? 
703さんの分も種を残しておきましょうね?(笑)。
by 夕菅 (2012-09-04 00:34) 

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