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ポンポンアザミ(2)・香りあざみ 桃色花火 [草花(夏)]

ポンポンアザミ
 キク目キク科の多年生草本。
 和 名:ポンポンアザミポンポン ウィード 
 学 名: Campuloclinium macrocephalum (Less.) DC.
 英 名:pom pom weed 
 原産地:南アメリカ(アルゼンチン・ブラジル)
  高さ:40~150cm

前の記事で「この花は何でしょう?キク科のピンクの花。」と問うた花です。
8月8日の花姿。
ポンポンアザミ0808wb.jpg

高さ170cm。支柱代わりの隣の木から一時的にはずして撮影。
ポンポンアザミ全wb2.jpg

お蔭様で名前がわかりましたが、驚いたことにこの花は私の住む愛知県では
「対策が必要な外来生物30種」に指定されていました(平成23年3月30日〜)。
ポンポンアザミ詳細
当県には「自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例」があり、生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある移入種の公表を行い、みだりに野外に放つ行為を規制していたのです。
県民ながらこんな条例があることも知りませんでした。

8月10日。
連日の猛暑にも負けず青空に向ってまだ元気に咲き誇っています。
ポンポンアザミ多wb.jpg

ポンポンアザミは花卉栽培のメッカ渥美半島(田原市)で大繁殖したようです。
種子は風で散布され、根は地下深くまで張るため、1回の作業では完全に除去しがたいという厄介な植物でした。
ポンポンアザミが最も深刻な問題になっているのは、南アフリカです。
南アメリカから観賞用植物として帰化したポンポンアザミが草原や湿原で猛威を振るい、排除できない状態になっているようです。

愛知県の条例に指定された生物には意外にもコイ、スイレン属、モウソウチクも入っていました。
しかし、飼育・栽培禁止ではなく「公表種の生きている個体をみだりに放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくことは禁止されています。なお、適切な管理のもとで飼育、栽培することは、規制対象ではありません。」と付記されています。

側枝の蕾も膨らんできました。
総苞にも葉にも柔らかい毛が密生しています。
ポンポンアザミ開花wb.jpg

緑色からピンクへのグラデーションが美しく、トゲもなく一見優しい印象です。
ポンポンアザミ開花2wb2.jpg

頭花はピンクの小花が密集し周辺から開花していきます。
小さな花冠が開いて葯筒を通りつつ周囲に花粉をまとった雌しべが現れます。
雌しべの花柱は2裂していて開いた形で伸び出します。
まだ花粉が付いていない内面が柱頭でしょうか(雄性先熟)。
ポンポンアザミ若い雌しべwb.jpg

更にネット検索を続けました。
すると、この花には流通名があり園芸品種として通販でも販売されたことがわかりました。その名は「香りあざみ 桃色花火」(追加「桃色香りアザミ」)。
画面に花のラベルが現れました。
えっ??? どこかで見たような..........................。
ガーン!
庭の花のラベルを集めたファイルを探すと「咲かずに枯れた花」の所に入っていました!!!
全く忘れていたのです!

香りあざみタグ2wb.jpg
ラベルにはキク科ヴァーノニア属 Vernonia glabra 
原産地 南アフリカ、草丈100〜200cm と。
赤字の部分は誤りだと思います。
草丈は肥育によって野生のものより大きくなるのでしょう。うちのも170cmあります。

記憶をたどれば、3月、宿根草の苗を買いに行ったとき、ケースに1株だけ売れ残っていた苗がありました。多年草のアザミ、試してみようかと買い物かごに入れたことを思い出しました。
あの弱々しい苗がこんなに背が高くなり、大きな花を咲かせるとは思いもよらず、やはり枯れたんだと思い込んでいました。
おー、お恥ずかしい!

満開になると花火みたい? そういえば桃色の花火?
ポンポンアザミ満開wb.jpg

香りあざみ? 今まで何度も花を見に行きましたが香りには気付きませんでした。
さあ、確認です。そのつもりで近づいても香りは感じません。
茎をたわめて花に鼻を近づけますと..............かすかな芳香がありました。
葉は嗅いでも擦っても香りはありません。

葉は互性。前述のごとく下部のものはやや大きく卵形で円い鋸歯があります(長さ約10cm)。
上部の葉は細長く先端鈍形の被針形(長さ5〜6cm)。
ポンポンアザミ葉2wb.jpg

まとめ:
私の庭に自生したかと思った花はポンポンアザミといってここ愛知県ではオオキンケイギクと同じく、殖やしてはならない植物でした。
ところが実はこの花は私が購入して、植えたことを忘れていた花だったのです。
その流通名は「香りあざみ 桃色花火」。
偶然にも、ポンポンアザミと香りあざみとが同一種であることを確認するに至りました。
愛知県では条例規制の植物が、一方では園芸品種として流通している、この事実に驚き、戸惑いました。
しかし、この花は日本でも繁茂させてはならないと思い、恥をさらしてこの記事を書きました。
検索するうちにすでに各地で栽培されていることがわかりました。
切り花で楽しんで、種子を散布させぬように抜去されることをお勧めします。

この後、冠毛をもつ種子が出来るはず、それは次回に報告しましょう。

コメント(8) 

コメント 8

多摩NTの住人

こんにちは。
ポンポンアザミのレポートを楽しく拝見させて頂きました。
最後に真相が明かされて、推理小説のようでしたね。
by 多摩NTの住人 (2013-08-16 08:06) 

花咲かばあさん

そうでしたか。「香りアザミ」「桃色花火」という名前を見たら一度育てて見てみたいと思いますね。開花の写真は花火に見えますね。
商標に間違いなしでしたが。香りはあまりしなかったんですね。
種のできないうちに,切ってしまわないといけない植物のようですが、
もっと見てみたくもなりますね。根は地下深くまで張る、、、これもちょっと怖いですが、、、。
繁殖力旺盛な植物は、花の美しさに関係なく嫌われることになるようです。
夏の怪談話でした。
by 花咲かばあさん (2013-08-16 09:40) 

とんちゃん

何度も驚かされてしまったポンポンアザミです!
そんないきさつがあったなんて夕菅さんにとってもまさかの事実があったわけですね。
苗を手に入れて苗から育ったということでしたか!
桃色花火、香りあざみなどの名前がつけられたポンポンアザミは私も忘れることができないと思います。
満開になった花を見ると花火がぽ~んと上がったように見えます。
2裂した花柱はアップで見たらよく分かりますね。
オオキンケイギクは問題視されていますがポンポンアザミも同様に繁殖力旺盛だなんて誰でも分かっていることではないということも問題なのでしょう。
どんな冠毛になるのかその後のレポートもお願いいたします。
by とんちゃん (2013-08-16 09:51) 

夕菅

多摩NTの住人さん コメントありがとうございました。
思わぬ結末になりお恥ずかしいことです。
意図せぬ自作自演、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
でも、ラベルを鵜呑みにしてこの花を流通名でアップするよりはよかったかもと小声でつぶやいています..........。
by 夕菅 (2013-08-16 11:14) 

夕菅

花咲かおばさん お騒がせしてごめんなさい。
まさしく自ら蒔いた種(植えた苗)、ボケを公表してしまいました。
ただ「商標に間違いなし」ではなく、間違いがありました。
商標は属も異なるので違う植物のように感じられそうですが、私はポンポンアザミだと思います。
夏の怪談話、お蔭様で私は暑いお盆の間、冷汗で涼みながらパソコンに向って過ごせました(笑)。
    
by 夕菅 (2013-08-16 11:34) 

夕菅

とんちゃん、 翻弄したような結末になって申し訳ありません。
どうぞお許し下さい。
この苗は楽天でも扱ったようですから関東にも現れるかもしれません。その時は一目でわかります!
条例は栽培禁止ではないようですので、今年は種子まで観察する予定です。でも、さすがに問題種、種子の成長も早そうです。
ご近所に種子を飛ばさぬよう、タイミング良く処理しようと思っています。
たまたま昨夜は近くの花火大会、窓から見た後で記事を公開しました。
by 夕菅 (2013-08-16 11:50) 

703

愛知県の条例も読みました。
うちの庭にもいくつか生存しているものがあります。

ポンポンアザミ・・・・知多半島の花が勢力を拡大して、
愛知県の西の端(余談ながら、拙ブログで岐阜のMさんと書いていたことに気づいて、冷や汗!)にまで広がっているのか、
と思って読み進みましたが、そうではなかったようですね。
購入したのは弱々しい苗だったとか。でもさすが本領発揮ですねえ!
存在を忘れられても、目立つように咲き上がってきた(笑)

夕菅さんの失念はいいタイミングでしたよ。
購入した宿根草として、庭で広がったら、後が大変でした。
でも油断なりませんね。
当地のナルトサワギクみたいなもので、除去しても未だに発芽しています。風で漂っているのでしょう。
by 703 (2013-08-17 12:10) 

夕菅

703 さん 珍しく真昼のコメント、淡路も暑いんでしょうね。
こちらは朝からかんかん照り、簡易スプリンクラーを回すのが精一杯です。
ポンポンアザミの記事から愛知県の条例までお読みいただいて、ありがとうございました。
この失態も「香りあざみは真夏にも強く、お勧めです」なんて書いたら、もっとたいへんだったと図々しく思うことにしました。
環境省には外来生物法があり、県や市にもそれぞれの規制があることも知りました。
ナルトサワギクは環境省は特定外来生物(植物は12種)に入っているのですね。黄色のきれいなキクに見えますから同定が難しくたいへんでしょう。

by 夕菅 (2013-08-17 15:19) 

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