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クロメンガタスズメ [昆虫]

クロメンガタスズメ
黒面形天蛾
チョウ目スズメガ科の昆虫
学名: Acherontia lachesis

10月14日( 祝日)11時頃。
完熟したイチジクを探しに行ったとき、近くに自生しているサトイモの葉っぱの裏に目が引きつけられました。
 ?
「出た〜。」
そう、これが「面形蛾」?
今まで見たこともない大きな蛾です。
背中に顔型のワッペンを付けています。
あとで検索しましたところ「クロメンガタスズメ」でよさそうです。
クロメンガタ成虫2wb2.jpg

迫力のある大きな蛾です。
そっと物差しを近づけると頭から翅端までが約8cm。
開翅長は90-120mmにも達するそうです。
日本で成虫が見られるのは4月から11月。
分布:日本(東北以南)、朝鮮半島、台湾、中国、ベトナム、マレーシア、インド。 

クロメンガタ成虫1wb.jpg

これはフラッシュ撮影した画像です。
前翅の模様がはっきり浮かび上がりました。
近似種にメンガタスズメがいます。
メンガタスズメでは腹部背面に縦に走る藍色の帯が細く、クロメンガタスズメでは巾広いそうです。しかしこれは開張しないとよくわかりません。
両方共、胸部背面に面形模様がありますが、クロメンガタスズメの方は灰色を帯びているといわれます(名前と逆なような気がしますね)。
この蛾の模様は明らかに白っぽいのでクロメンガタスズメにしたのです。
クロメンガタ成虫3wb.jpg

面形模様を拡大します。
この模様からドクロ蛾とか骸骨蛾ともいわれ、英名はdeath’s‐head‐moth 。
この個体では洋犬の顔のようにも見えますが、白い部分だけをみるとドクロにも見えるのでしょうか。
いずれにしてもこの模様の白っぽい色からクロメンガタスズメとしました。
クロメンガタ成虫2wb3.jpg

逆さにすると子猫の顔?
クロメンガタ成虫2wb3逆.jpg

この日の5時半ころもういないだろうと思いつつも見に行ってみました。
すると意外にもクロメンガタスズメはまだいました!
里芋の葉を5cmほどよじ上っていたのは出発の準備でしょうか。
しかし翌朝行った時にはもう見つかりませんでした。
クロメンガタ成虫1733wb.jpg

実は昨年10月6日、今まで見たこともないような大きな芋虫を植えたばかりのプリペットの生垣で見つけました。大きさ約8cmありぷくぷくに太っていました。
このとき面形蛾という存在を知り、一度出会いたいものとは思っていたのです。
終齢になると成虫の開翅長とほぼ同じ120mmに達するそうです。
幼虫には緑色・黄色・褐色のものがいます。
クロメンガタ幼虫1wb.jpg

横から見ると細い枝に巻き付いた何ともグロテスクな、でも何故かユーモラスな姿。
この幼虫の食草はナス科、ヒルガオ科、ノウゼンカズラ科、マメ科、モクセイ科、ゴマ科、ナス科およびクマツヅラ科といろいろで広食性と言われます。
卵はこれらの植物の古い葉に一つだけ産み付けられるそうです。
クロメンガタ幼虫2wb.jpg

顔を拝見。
うーん。
体表はしわがたるんだようですが、よく見ると細かい顆粒状です。
(画面をクリックすると大きくなります。)
クロメンガタ幼虫顔wb2.jpg

尾角は若齢幼虫では滑らかでまっすぐだそうですが、次第に弯曲してS字形を呈し、その表面はイボのような突起に覆われています。
尾角の弯曲はクロメンガタスズメでは強く、メンガタスズメでは僅かといわれています。
クロメンガタ幼虫尾wb2.jpg

メンガタスズメやクロメンガタスズメの成虫は蜂蜜泥棒といわれ養蜂農家から嫌われています。
スズメガには口吻が発達して花の蜜を吸うものが多いのですが、メンガタスズメ達の口吻は短く、花の蜜は吸えません。しかし口吻の先端が強靭なためミツバチの巣盤に穴を開けて盗蜜するのです。
また果実の表面に穴を開けて果汁を吸う、果樹の害虫でもあります。
一方、幼虫はナスやトマト、ジャガイモ、ゴマを食害し、大きいだけに被害も甚大です。
珍しい蛾を見つけたと喜んでいると、翌年からは家庭菜園がたいへんなことになるかもしれません。
もう一つの特徴はチョウ目としては珍しく鳴くことです。幼虫は触れるとピシッという音を出し、成虫は危険を感じるとキイキイと大きな音を出すそうですが、私はまだ聞いたことがありません。

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ツマグロヒョウモン [昆虫]

ツマグロヒョウモン
 褄黒豹紋
 チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科
 学名: Argyreus hyperbius
 前翅長:27〜45mm (文献により区々 )
 分布:本州・四国・九州・沖縄
 幼虫の食草:スミレ類

ツマグロヒョウモンがベランダのオンシジウムに止まった一瞬。
珍しく華やかな組み合わせになりました。
これは雌? 雄? 
雌です!
昆虫は雄の方が大きく美しいことが多いのに、ツマグロヒョウモンの雌は雄よりカラフルで美しく、やや大きいのです。
雌の翅の模様は毒を持つマダラチョウの仲間、カバマダラに擬態しているといわれています。
ツマグロヒョウモン♀2wb.jpg

この数年の間に撮ったツマグロヒョウモンの写真をまとめてみます。
雄が降り立ったのはセアノサス ベルサイユ。
雄の翅の表側の模様はヒョウモンチョウ類に共通の豹柄ですが、後翅の外縁が黒く縁取られているのが特徴です。
ツマグロヒョウモン090627wb.jpg

口吻を伸ばして蜜を吸います。
ツマグロヒョウモン090627-2w.jpg

翅を開いたり閉じたり。後翅外縁の黒い帯模様がよくわかります。
ツマグロヒョウモン090627-3w.jpg

メキシコ原産のネム カリアンドラ・エマルギナタに茶褐色の蛹を発見。
調べるとツマグロヒョウモンの蛹でした。
頭部に左右5個づつの宝石か金属のように光る棘状突起があります。
幼虫を飼育しても羽化の経過はなかなか見られません。
30秒くらいで変身してしまうようです。
このまま観察することにしました。
ツマグロヒョウモン蛹wb.jpg

幼虫を飼育しても羽化の経過はなかなか見られません。
30秒くらいで変身してしまうようです。
幸いなことに4日後の朝、羽化直後の姿を見ることが出来ました。
左に抜け殻も残っています。
ツマグロヒョウモン♀羽化直後wb.jpg

3時間後、既に移動していました。
翅が乾いてもう飛翔できそうです。
ツマグロヒョウモン羽化後wb.jpg

雌のツマグロヒョウモン。
前翅の裏側の一部は紅と紺で彩られています。
ツマグロヒョウモン♀側面0.jpg

この翅の畳み方では雌雄不明です。
ツマグロヒョウモン20110626♂wb.jpg

交尾中は写真が撮り易い。翅の端の色から左が雌かと思います。
ツマグロヒョウモン交尾1wb.jpg

と思ったのですがその後は?
ツマグロヒョウモン交尾2wb.jpg

ツマグロヒョウモン交尾3wb.jpg

ツマグロヒョウモン交尾4wb.jpg

ツマグロヒョウモン交尾5wb.jpg

ツマグロヒョウモンは幼虫も派手派手です。
黒地に赤いラインとトゲ。但し刺すことはなく毒もありません。
赤色は警告色として役立っているのでしょう。
食草がスミレ類ですから、花を愛するものには嫌われ者です。
蛹になる所を探しているのでしょうか。
ツマグロヒョウモン幼虫wb.jpg

最後はサワフジバカマとツマグロヒョウモンの雌。
明るい画像で終わりましょう。
ツマグロヒョウモン♀1wb.jpg

この庭には冬も花がほしくてパンジーやビオラをたくさん植えますし、スミレ類も大好きですから、ツマグロヒョウモンの成虫も幼虫もよく見られます。
花が好き、チョウも好きという者にとってツマグロヒョウモンの幼虫は複雑な存在です。

同じことがルリタテハにもいえます。昨年はホトトギスの花がほとんど見られませんでした。ホトトギスを食草とするルリタテハの幼虫が葉や蕾を食べてしまったからです。
スミレ類はホトトギスより数も多く、咲く期間も長いのでツマグロヒョウモンの幼虫が食べても今のところ被害は目立ちません。
でもあの赤い幼虫にはやはり余り出会いたくありませんね。
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夏の昆虫(カブトムシ・スズメバチ・シオヤアブ・ウズグモ) [昆虫]

カブトムシ

暑い暑い今年の夏、少し涼しくなるのは6時過ぎ。
庭のキュウリは朝夕採りに行かないと大きくなり過ぎてしまいます。
さあ、夕食前にキュウリを見回り。
えっ?
一瞬、見なれない黒い影が目に入りました。
ひょっとして?
もう一度もどって確認します。
やっぱり! 大きなカブトムシの雄のようです。
でもこんな格好で? 生きてる?
カブトムシ201307181809-1wb.jpg

後に回ってみました。
丈夫な鍵爪でしっかりキュウリの枝に絡み付いていました。
カブトムシ1809-2wb2.jpg

りっぱな大小2本の角をもつオスのカブトムシです!
逆さにぶら下がってどうしたのでしょう?
逃げる気配もありません。
夕食後、懐中電灯をもって確認に行きました。
..........もぬけの殻! 下にも落ちていません。
夜の活動に備えて仮眠熟睡していたのでしょうか。
カブトムシ2013-5wb.jpg

カブトムシの幼虫は庭隅の堆肥場でときどき見られます。
その時は傷つけないようにそうっと落葉をかけておくのです。
数年前にはこんな場面もありました。
真っ昼間、病虫害で落果したモモにかぶりついていました。
おやっ? 右側に痩せ蛙もいたのですね。偶然写っていたようです。
カブトムシ桃・蛙1wb.jpg

チョコレート色の見事なカブトムシですが、こうなると恥も外聞もないようです。
この完全無農薬のモモはきれいに熟すと本当においしいのですが、多くはそうなる前に落果してしまいます。
カブトムシ桃wb.jpg

スズメバチ
イチジクも同じく完熟するまで木においたものは本当に美味しい!
コガネムシやハチ達はそれを良く知っていて完熟を待って寄ってきます。
ややっ!
これはスズメバチ? 
コガタスズメバチ1wb.jpg

夢中になってイチジクを食べています。
目が合わないようにそうっとこの場を離れました。
スズメバチ3wb.jpg

シオヤアブ
これも夏庭の常連です。
でもこの場面を見たのは初めてでした。
この庭でもいつもこのような生きるための闘いが続いているはずです。
(どれも画面をクリックすると大きくなります。)
シオヤアブ2wb.jpg

シオヤアブの雄は尾に白い毛束がついています。
さすがに精悍な姿です。脚の先の構造はすごい!
シオヤアブ1wb2.jpg

ウズグモ
最後は朝陽に輝く優雅なレース編み。
だれの作品でしょう?
クモの巣レースwb2.jpg

こんなきれいなレース編みをつくるのはウズグモ。
コガネグモやナガコガネグモの多いうちの庭では初めて見るクモです。
クモの巣レースwb.jpg

追記
後で検索してみるとウズグモの画像は割に少なくて、普通見られるのは白い網です。
この画像ではたまたま朝日が当たって虹色に見えたのでしょう。
このレース編みに見える部分は「隠れ帯」といってクモの種類によって特徴のある形をつくります。
ウズグモの隠れ帯は体長5〜6mmの小さなクモにしては大きく、ふつうこの裏にかくれているようです。この写真を撮る時は偶然表にいてくれたことも幸いでした。
写真はたった1枚撮っただけ、それも時間がなく大急ぎでした(上下2枚はトリミング)。
クモはピンぼけですが拡大しておきます。
クモの巣レースwb3.jpg

夏の昆虫の一瞬の生態、画像が少ないものの印象的だった4種をまとめました。


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小さなアリ2種(ケアリ?とアミメアリ) [昆虫]

朝、仕事場へ行く途中、廊下の隅の窓際が視野に入りました。
何やら黒っぽい点々! 動いています。
アリ窓1wb.jpg

えっ? アリの行列?
隅の白っぽい物は手作りのレザーカバーを被せたティッシュボックス。
行列はこの下に向っています。
アリ窓2wb.jpg

ティッシュボックスをのけると.........わあ〜 アリの卵?
まさかの現実でした!
急いで、近くにあったコンパクトデジカメで写しました。
アリ1wb.jpg

白い卵が数百個ありそうです。
でも私よりもっと驚いたのはアリ達でしょう。
大童で右往左往しています。
アリ2wb.jpg

危険を感じたのでしょう。卵をかかえて運び始めました。
人が米俵を運ぶような姿です。
アリ3wb.jpg

卵は孵化間近なのでしょう、真ん中がくびれて一部が黒く見えるのもあります。
アリの大きさは4mmくらい、卵は3mmくらいでしょうか。
艶やかな光沢のある黒っぽいアリです。女王アリらしいのは見えません。
アリ4wb.jpg

さあ、どうしましょう? 私は始業時刻、もう待った無しです。
以前、こんなアリが台所に行列を成して長く悩んだことがありました。
アリが室内に侵入しては困ります。
咄嗟に横のティッシュをとって卵塊を包み込みました。
あ、痛い! アリの逆襲、手首を2カ所刺されました。
ごめんなさいね。でも住居侵入罪というのがあるのですよ。
残ったアリがウロウロ歩き回っています。
アリ5wb.jpg

約2時間後、仕事の合間に見に行くとアリは1匹もいませんでした。やれやれ!
後で画像を見ながら何というアリだったのか調べたくなりました。
検索するとすばらしいアリ学のWBサイトがありました。
日本産アリ類画像データベース」です。
日本産アリだけで277種もあるとは知りませんでした。

薄暗い所で撮った画像では鑑別は困難ですが、形と大きさから「ケアリの仲間」かと思います。追加:一応、クサアリモドキ、クロクサアリ、トビイロケアリなどを疑っています。
(ここで何日もブログ作成が停滞して悩んでいました。)
ケアリ属は顕著なアリ道を作る性質があるそうです。

そういえば、かってフウセントウワタにアリがたくさん集っていました。
同じアリかと画像を拡大しましたが、やはりこれでは鑑別不能です。
アリ多数1wb.jpg

翌日庭に出ると完熟前に病虫害を受けたモモがたくさん落ちていました。
拾って捨てようとすると、裏面におびただしいアリ!
驚いてモモの傷の中に隠れてしまいました。
モモとアリ4wb.jpg

昨日のアリと同じくらい3〜4mmの大きさです。
モモとアリ1wb.jpg

画像をパソコンで拡大してみると、前のアリとは異なるようです。
モモとアリ1wb2.jpg

このアリは腹部は球形で光沢がありますが、頭と胸部には点々があるように見え、網目模様と表現されています。
これはアミメアリ(学名 Pristomyrmex punctatus)でいいと思います。
このアリは女王アリをもたず,働きアリが産卵して働きアリを生産するのだそうです。
また定住する巣を作らず,野営の巣をつくり,頻繁に移住するので道路脇などに長いアリ道が見られるのも特徴です。
モモとアリ3wb.jpg

過去の画像を見直すとガガイモの花にいたのもアミメアリだったようです。
アリの名前が判らず保留になっていました。
ガガイモとアリ3wb2.jpg

今まで庭に来る小さなアリは皆同じかと思っていましたが、少なくとも2種いることがわかりました。
早速今日、庭隅でアリ路発見、暗くて画像はボケていましたが、アミメアリと思われました。
しかし、ケアリ属の鑑別はたいへん難しく、今回は不能とわかっただけでもよい勉強になりました。

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ナガメ [昆虫]

裏の家庭菜園でこんな昆虫を発見、初めて見る虫です。
さあ、何でしょう。
ナガメ4令幼虫2尾wb.jpg

季節外れに自生したコマツナの大型のような菜に群れて、菜は枯れそうです。
どうもカメムシの幼虫のように思えます。
体長6〜7mm。左下のは小型、若齢でしょうか?
「カメムシ・幼虫」と入力して検索。
ナガメ幼虫集団2wb.jpg

やはり、ナガメの幼虫のようです。これは5令。

ナガメ 菜亀 
  カメムシ目カメムシ科の昆虫。
  学名:Eurydema rugosa
  食草:アブラナ科の植物(菜)
  体長:8〜9mm
菜につく亀虫だから菜亀、ナガメの命名は簡潔明瞭です。
ナガメ5令幼虫2wb.jpg

小型の方は4令幼虫。模様も単純です。よく動いて写真が撮れません。
隣のオオセンナリ(ナス科)の葉に見つけました。体長5〜6mm。
ナガメ4令幼虫4wb.jpg

翌日見に行くともう成虫になったものもありました。
ナガメ5令・成虫@2.jpg

明るい所で見ようとナガメが付いた葉をそのまま切り取って、室内で見ることにしました。
臭いも確認できるよう、葉についたままポリ袋に入れました。
窓際で袋を開けましたが、特に臭いはこもっていません。
朝の光に漆のような黒とオレンジ色の模様が輝いて美しい。
ナガメ成虫室内2wb.jpg

腹側を見るためにひっくり返すともうたいへん、大暴れでした。
ここで臭いが出るかと思いましたが、パニック後も臭いは感じられませんでした。
ナガメの臭いについての検索では、あると書いてあるのも、ないというのもありました。
ナガメ腹側wb.jpg

ナガメの成虫は確かに撮った覚えがあります。
探すと2009年のファイルの中にルッコラにいたペアーが見つかりました。
ナガメ交尾2-2wb.jpg

今回孵った成虫よりオレンジ色が濃い個体です。
ナガメ交尾1wb.jpg

表のミニ菜園のナスジャガイモ(ナス科)に、黒字に黄褐色の模様のナガメがいました。
裏の畑で孵ったものより薄い色です。どこかから飛んできたのでしょう。
今年はナガメが大量に発生しているようです。
追加:ナスではなくジャガイモの葉でした。但し、翌日にはいなくなり葉を食べた痕は見つかりませんでした。
ナガメ成虫黄色4尾wb.jpg

もっと黄色っぽいのもいました。
ナガメ成虫黄色1尾wb.jpg

2009年にはアリッサムに赤と黒のナガメが来ていました。
ナガメは赤からオレンジ色、褐色、黄色と個体差があるようです。
一般に赤と黒の配色は警戒色と言われ、鳥から身を守るのに役立っています。
その分、臭いが弱くなったのでしょうか。
以前取り上げた赤と黒のカメムシ「ヒメジュウジナガカメムシ」も無臭でした。
ナガメ赤色wb.jpg

菜っ葉は幼虫の大群に取り憑かれると白っぽくなって枯れてしまいます。
今回はまだ葉の野菜がない季節で助かりましたが、冬の葉もの野菜を育てる秋の初めだったら被害甚大。ナガメはかわいいカメムシですが、退治を要するでしょう。
ナガメ菜被害1wb.jpg

ここまできたら、ナガメの卵も見たくなります。
保存してあった不明の卵の写真がナガメの卵?よく似た幼虫に見えます。
これが1令、上のナガメが4・5令なら連続性があるように思えます。
ところが検索では、ナガメの卵は白黒模様の小さな独楽のようなのが12個、2列にきっちり並んでいました。
ではこの大量の卵の親は誰? また検索です。
孵化20110821wb.jpg

わかりました。クサギカメムシでした。
目立たない場所のガラス窓に産みつけられそのまま孵化したようです。
そしてすぐ幼虫達はどこかへ消えてしまいました。

孵化2011-8-3wb.jpg

やはりクサギカメムシの成虫写真も保存してありました(2009.10.28.)。
網戸にじっとしていて気味が悪い大きな茶色のカメムシでした。体長約16mm。
クサギカメムシ091028wb.jpg

カメムシの幼虫はよく似たものが多く鑑別が難しいことがあるようです。
今回はナガメの4〜5令幼虫を見て、クサギカメムシの初令幼虫をナガメの初令幼虫かと間違えそうでした。
今年は是非ナガメの卵を見てみたいのですが、家庭菜園の菜類が食べ尽くされても困りますし、複雑な思いです。

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ヒメジュウジナガカメムシの越冬 [昆虫]

ヒメジュウジナガカメムシの越冬

多忙多難だった師走、まさにその最終日になってしまいました。
たまたまこのブログの記事はあと一つで200になります。
今年最後の記事を追加してぴったり新年を迎えようと最後の追い込みです(笑)。

11月6日、フウセントウワタに住み着いたヒメジュウジナガカメムシについて記載しましたが、その後もこのカメムシ達はどこで越冬するのか、とても気になっていました。
思わぬ寒波に見舞われた当地の12月、カメムシ達はどうなったか、今日はその経過を報告したいと思います。

今年ヒメジュウジナガカメムシを発見したのは10月2日。
10月下旬になると、カメムシ達はフウセントウワタの果実2〜3個と葉とで囲まれた隙間に3群に分かれて潜り込み、外からは見えなくなりました。
フウセントウワタ隠れ家wb.jpg

11月14日、そうっと枝を回して裏を見ると数は減ったもののまだ群居していました。
20121114wb.jpg

一方、フウセントウワタは11月下旬になると果実が紅く変色するものもありました。
フウセントウワタ実りwb.jpg

ついに破裂したものもあります(11月25日)。
フウセントウワタ割れwb.jpg

しかし待望の綿毛付きの種子は飛び出さず、白く乾いてしまいました(12月6日)。
おやおや? こうしてみると白い恐竜のように見えますね。
フウセントウワタ実枯2wb.jpg

果実が裂けたフウセントウワタの茎には運悪くアブラムシがびっしり寄生しています。
両者から栄養分を吸われて結実できなくなってしまったのでしょうか。
フウセントウワタ実枯油虫wb.jpg

12月とは思えぬ寒い日々、次第にヒメジュウジナガカメムシの数が減っていきます。
下に落ちていまいかと探しても落下した様子は見られません。
時々群れから離れて一人逍遥する(?)カメムシもいます。
翅を開きかけて、あ、飛ぶ?と思ったこともありましたが、すぐ畳んでしまいました。
やはり、ヒメジュウジナガカメムシも飛べるのですね。
カメムシ飛翔?wb.jpg

確かに今までいたのにちょっと目を離した途端、何かが飛んだ影を見たことがあります。
この子がそうでした。
やはり翅を拡げて飛んでいってしまったのでしょう。
さてどこへ? また一カ所に集れるのでしょうか?
かくして一番奥の群れを残してあとの二つの群は消えてしまいました。
フウセントウワタ1206飛去?wb.jpg

12月9日夜、思いがけなく早くも初雪、約10cm積もりました。
翌朝フウセントウワタはぐにゃりと曲がって地面に届いていました。
フウセントウワタ雪1wb.jpg

あわてて雪を払いましたが、元には戻れません。
支柱を建てて起こしてもらいました。
フウセントウワタ雪2wb.jpg

カメムシたちがいた枝は特に強くうなだれていて、紐で茎を持ち上げられました。
それでもカメムシ達はじっと隙間に潜んでおとなしくしていました。
右側の果実に1匹いますね。
フウセントウワタ雪後wb.jpg

雪の日から1週後、カメムシ達の様子が変なのに気付きました。
数匹が外へ出てうろうろと歩き回っていました。
ふと見ると、その枝の葉がしおれています。たどってみると枝が折れていました。
カメムシ達も寄生主が枯れていくのに気付いて慌てたのでしょうか。
フウセントウワタ1216転居1wb.jpg

茎は丈夫な皮だけで繋がっていました。
切り離して下に置いてもカメムシ達は飛び立ちません。
フウセントウワタ1216転居2wb.jpg

上部を拡大してみますと、むしろ、奥に隠れるように群れていることがわかります。
フウセントウワタ転居3wb2.jpg

カメムシ達を驚かさないよう、枝ごとまだ元気そうな枝におんぶさせるように結わえました。
さて、カメムシ達はどうしたでしょう?
はい、作戦成功。私のもくろみ通り、その下の元気な果実に転居しました。
フウセントウワタ1216転居4wb.jpg

今日は今年の最終日、カメムシ達はまだいるのでしょうか。
まだしおれた枝もつけたままで数個の果実がかたまっています。
左手で果実をそっと持ち上げて、右手でカメラを支えながらシャッターを押します。
ボケ画像ですが生存確認のため添えておきます。
1231wb.jpg
下側です。
急に光が入ってカメムシ達は驚いているようです。
でもいつものことながらすぐ飛び立つ気配はありません。
上下に分かれましたが10匹は数えられました。
1231下wb.jpg

初めは20〜30匹くらいの群れが3つありましたから激減ではありますが、夏に吸汁した食草でそのまま越冬したヒメジュウジナガカメムシがいたことを記録しました。
越冬中のカメムシはフウセントウワタのミルク摂取可能ながら、ほとんど吸汁していないようです。そのため重なるように身を寄せ合っているカメムシの周りには排泄物はなくいつもきれいです。
まださらに大寒を越し、春を迎えなければ越冬したことにはならないでしょうが、ここで初雪や −4℃に耐えられたのですから、ヒメジュウジナガカメムシはかなり耐寒性があるようです。

いつも暖かいコメントをお送りいただく方々に感謝しながら、200番目の記事を閉じます。
どうぞよいお年をお迎え下さい。


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夜の蛾を撮る [昆虫]

夜の蛾を撮る
 ( 蛾の名前、追記しました。「追記3」2012.11.28.夜. )
フウセントウワタの複雑な受粉の仕組みを知ると昆虫との関係が気になります。
なかなかさんの「ガガイモの両性花と雄花」では、送粉者は夜行性の蛾か、日中の昆虫かが問題になっていました。
残り少ないながらまだフウセントウワタの花が咲いています。確認してみましょう!

小さなヘッドライトを点けて夜の庭へ。
フウセントウワタの花を順に見ていっても何も見つかりません。
と、茎に何かルビー色に輝くものが見えました。
オートで撮って見るとルビー色の玉はなく、みすぼらしいガが一匹!
このガの目が赤く光っていたのですね。
フ・トウワタ蛾1-1wb.jpg

夜な夜なガ探し。
やはりガの眼はヘッドライト( panasonic BF-AH11 LED 電灯色)に光ります。
焦点を光る眼に合わせてパチリ。夜でもガが撮れることがわかりました。
フウセントウワタの葉で一休みしているガ。鎧をまとっているみたいですね。
フウセントウワタ蛾2-2wb.jpg

顔写真。大きな眼です。口吻は収納されています。
初めに驚いたルビー色ほど紅い眼はあの時一度限り、あとは赤っぽいときも、白っぽいときもあります。
姿が見えなくても光ればガの眼。但し雨後の水滴とは区別できません。
フウセントウワタ蛾2-3wb.jpg

翅の模様から検索すると、このガはヤガ(夜蛾)科 キリガ亜科 のノコメトガリキリガ(訂正しました)のようです。
チョウと異なりじっと止まっているので撮り易い。
フウセントウワタ蛾2-1wb.jpg

フウセントウワタの隣にブットレア(フサフジウツギの園芸種)の白い花がたくさん咲いています。
昼間はここにモンシロチョウ、ナミアゲハ・ツマグロヒョウモンなどが訪れ賑やかです。
ブットレア2012-1wb.jpg

ブットレアの花は芳香性でチョウを呼ぶ花と言われます。
眼が慣れるとブットレアには夜も訪問客があることがわかりました。
闇に現れた白い羽ばたきはガで、ブットレアの花に降りて蜜を吸っているようです。
ブットレアw3wb.jpg

花に顔を埋めているガ。
ウスキシャチホコ( シャチホコガ科)でしょうか?
冬の蛾にはシャクガ科 フユシャク亜科 のガ達もいます。
ヤガ5wb.jpg

フクロウのような顔がのぞいていました。
ヤガ赤い目wb.jpg

ホバリングしながら花を一周。
ヤガ4wb.jpg
                       
                    ウスチャヤガ(ヤガ科モンヤガ亜科)
葉に止まって触覚を180度に開いているのはウンモンクチバ?
ヤガ2wb.jpg

地面の別個体。
触覚は翅の外縁に添わせて休憩でしょうか。
フ・トウワタ蛾1-2wb.jpg

ブットレアの蕾にも1匹。これもウンモンクチバ? クロクモヤガ(ヤガ科モンヤガ亜科)
ヤガ3wb.jpg

吸蜜体勢です。翅を畳んでいるのかスリムに見えます。
蛾花粉塊2wb.jpg

口吻をたわめて花筒に突っ込み、蜜を吸っています。
蛾花粉塊1109-1wb.jpg

口吻を真っすぐ花筒に差し込んで吸蜜するのは ガ? チョウ?
ヤガ吸蜜1wb.jpg

同じ個体です。胴体が太くでっぷりしていますし、ガだろうとは思うのですが.......。
ヤガ6-2wb.jpg

決められません。もう1枚追加します。
エグリヅマエダシャク(シャクガ科エダシャク亜科)のようです。
キイロアツバ(ヤガ科 クルマアツバ亜科 )? 
クロコノマチョウ(タテハチョウ科 ジャノメチョウ亜科 )?
ヤガ6-1wb.jpg

日本のチョウ目の昆虫は3,500種類、このうち「チョウ」と呼ばれるものは250種、残りは「ガ」だそうです。
しかし一般にチョウに比べて地味なガの写真を撮る人は少数派ですね。
その上、夜活動するガは写真が撮り難く思えますし、時間的制約もあります。

今回フウセントウワタの花を観察したご縁で、夜の昆虫を確認に行くことにしました。
ところが意外にも、ヘッドライトをつけると夜のガは昼間のチョウより撮り易くさえ思えました。
検索してもガが花の蜜を吸う画像は少ないようですので、虫の名もあいまいですがとりあえず記事にしてみました。昆虫名をお教えいただければ幸いです。

虫ナビによればチョウ目の中でもヤガ上科は最も種類が多く、全世界では7万種もいるそうです。どうぞ皆さんもお試し下さい。

追 記 1
夜のガはフウセントウワタよりブットレアを好んでいましたが、昼間のフウセントウワタにはしばしばセイヨウミツバチを見つけました。まだ新しい果実が誕生しているのはこのミツバチのお蔭かと思います。

追 記 2「モスアイ構造」
ガの複眼には微細な突起が並んでいて、光を効率的に目の奥に取り入れ、かつ月の光を反射させない構造(モスアイ構造)になっているそうです。
これでコウモリのような天敵から身を守っているのですが、さすがにヘッドライトはよく反射しました。しかしこの光から逃げる気配は皆無でした。

追 記 3 「蛾の名前、教えていただきました。
蛾の同定ができなくて疲れ果てて、そのまま記事をアップしてしまいましたが、やはり気になる虫の名前。
毎日見ていた「むし探検広場」にそっくりな画像が出ました。「ウスチャヤガ」です。
やっぱりまた「むし探検広場」さんにお教えを乞うことにしました。
そして今日、お返事がいただけました!!!
  http://insects.exblog.jp/19549153/

8・9枚目 ウンモンクチバではなく、ウスチャヤガ でした。
10 枚目 「たぶん、ヤガ科モンヤガ亜科のクロクモヤガではないかと思います。」と。
11・12・13枚目
    「シャクガ科エダシャク亜科のエグリヅマエダシャクではないでしょうか」と。
     そして「蝶には夜行性のものはいませんので、夜に吸蜜している時点で、蝶の
     線は消してしまっていいと思います」と。

ありがとうございました。ほっとしました。
オオスカシバ や ホシホウジャクは蛾でも昼に飛びますが、逆に夜飛ぶ蝶はいないのですね。
11枚目のように翅を合わせて止まるのはひょっとして蝶?と混迷の底に落ち込んでいました。
お蔭様で楽になれました。それにしても蛾の同定はむつかしいですね〜!


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ヒメジュウジナガカメムシは何故群れる(2) [昆虫]

ヒメジュウジナガカメムシ(2)

10月2日、花盛りのフウセントウワタにヒメジュウジナガカメムシの群れを発見しました。
4年前このカメムシはトウワタ(アスクレピアス)に到来、このときのことは2011-08-24の記事に書きました。
実はそれ以来、毎年トウワタを植えて再来を待っていたのです。やっと今年はトウワタではなく、フウセントウワタに集ってくれました。
トウワタ・フウセントウワタ・ガガイは皆キョウチクトウ科(←ガガイモ科)でヒメジュウジナガカメムシの食草です。
フウセン・カメムシ1wb2.jpg

柔らかい蕾に群がっています。
フウセン・カメムシ2-2wb.jpg

花から花へ飛び移って元気いっぱい。
副花冠には蜜がありますが、アリと違って蜜を求めているようには見えません。
フウセントウワタ花&カメムシwb.jpg

思い思いの所で食事や散策? 楽しげです。
フウセン・カメムシ1003wb1.jpg

孤高派もいます。
ヒメジュウジカメ1匹wb.jpg

果実をひとつ採取したところ、すぐに切り口から白い乳液が滴り落ちました。
トウワタ類はミルクウィードと呼ばれ、葉からも茎からも果実からも傷を付ければ白いミルクのような液が出ます。
ヒメジュウジナガカメムシはこのミルクを吸う昆虫です。
フウセントウワタ汁1wb.jpg

葉の中にもミルクがいっぱい、葉先を切るとミルクが漏出します。
但し花と蕾からはミルクは出ません。
固い茎は群れの仲間と協力して穿孔する必要があるかもしれませんが、柔らかい葉や果実は単独でも吸汁できそうです。
このミルクにはカルデノライドという強心配糖体が含まれ、これを食べたカメムシを鳥やカマキリが食べると激しい嘔吐をおこします。
フウセントウワタ汁2wb.jpg

10月21日の朝、前夜気温がさがったからでしょうか、カメムシ達は葉に集まっていました。
カメムシ群れ1021wb2.jpg

暖かい陽射しを受けると日向ぼっこ?
一枚の葉に30匹くらい乗っています。
カメムシ1024朝日wb.jpg

あっ、オオカマキリ! カメムシの前で動きません。
カメムシ達は気付いているのかどうか、でも逃げる気配もありません。
カメムシとカマキリ1wb.jpg

じっと見ている私に気付いたようです。
カメムシとカマキリ2wb.jpg

険しい目を向けたもののカメムシには手を出さず姿を消しました。
カマキリにとってヒメジュウジナガカメムシのオレンジ色は警戒色なのでしょう。
追 記
ヒメジュウジナガカメムシには臭いはありません。その代わりに派手なオレンジ色が「食べると危険」と報せる警告色として役立っているようです。
カメムシとカマキリ2wb3.jpg

10月22日夜、雨の後冷えてきました。
カメムシ達はどうしているのでしょう。心配で見に行きました。
いました、いました。何事もなかったように葉や茎に並んでいます。
カメムシ夜1wb.jpg

もう一組は1枚の葉に落っこちそうなほどたくさん群れていました。
カメムシ夜2wb.jpg

さらに夜の気温が下がってきました。
10月25日朝、カメムシが見当たりません。どこかに越冬場所を見つけたのでしょうか。
カメムシ隠れ家1025-1wb.jpg

枝を撓めてこの果実達の裏側を見ると、3つの果実の蔭にカメムシが潜り込んでいるのが見えました。
防寒対策でしょうか。3組に分かれています。
カメムシ隠れ家1030wb.jpg

11月5日夜、まだカメムシは狭い所に群れていますが、総数は減っているようです。
一部はどこかへ移動したのでしょう。一斉に移動するのかと思っていましたが、そうでもなさそうです。
2008年は11月9日には群れていましたが、11月20日には空っぽになっていました。
カメムシ夜1104-1wb.jpg

こうして群生することによって温度・湿度が上がり、寒さや乾燥を防いでいるものと考えられます。
カメムシ1104夜wb2.jpg

いつの世にもまた何にでも例外はあるものです。
同じ11月5日深夜、寒空に果実の上で「お山の大将僕一人」。
カメムし孤高派1105wb.jpg

昨年トウワタに群れたヒメジュウジナガカメムシについての記事を書きました。
  ヒメジュウジナガカメムシ(1)
  http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2011-08-24
この時、藤崎憲治著「カメムシはなぜ群れる?」を参考にさせていただきました。
それにはカメムシが群れるのは摂食・防御・繁殖・越冬などのためと解説されています。

前回は主に食生活について観察しましたが、今回は気候と住環境の選択を追ってみました。
今回フウセントウワタに集った群れの観察では、トウワタより住まいが広かったせいか、気温によっての移動がしばしば見られましたが、寒くなると最も保温性のよい場所に固定しました。10月末からこの果実の隙間からほとんど出てきません。
一般には地面の落葉の下や樹の洞などに群れて越冬するようです。

近くにトウワタも植えてありますが、こちらへの移住はなく、フウセントウワタは快適な住まいだったようです。トウワタは集中的に吸汁されて果実ができないもののありましたが、今回の合計数十匹の群れではフウセントウワタには明らかな被害はまだ認められません。

ヒメジュウジナガカメムシは春から夏にかけて食草の芽生えを待って、交尾・産卵するようです。
うちの庭へは、始めの食草を食べ尽くしてから移住して来たのではないかと思っています。
さて今年はここにいつまでいるのでしょうか。

追 記 1(11月 8日)
なかなかさんから2枚目・8枚目の画像に花粉塊が写っているのではとご指摘を受けました。その目で見直すと確かにそのようです。
8枚目の画像をもう少し拡大してみます。
カメムシ群れ花粉塊wb.jpg
画像の右の方に2片の花粉塊が見えます。
カメムシも花の上を歩き回って脚に花粉塊を付けていたのですね。
ただカメムシは送粉に貢献できているか否かはわかりません。
蜜を吸わなければ花粉塊は柱頭室に運ばれないでしょう。たまたまクリップが脚に絡んで花粉塊がついただけだったら、むしろ受粉を妨げることになります。

それにしても見逃してはいけない所見でした。ご指摘ありがとうございました。

追 記 2(11月12日)
1匹が果実の蔭の群れから離れて花にきていました。
画像を拡大したら口吻を蜜のある隙間に差し込んでいました。吸蜜しているようです。
ヒメジュウジ吸蜜wb.jpg

横顔も撮れました。かわいい眼です(画面をクリックすると大きくなります)。
ヒメジュウジ横顔wb.jpg
この直後、姿が見えなくなりました。
カロリーを蓄えて新しい越冬場所へ飛び立ったのでしょうか。
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テッポウムシ [昆虫]

30年ほど前、建築に際し日陰の庭のグランドカバーとしてアイビーが植えられました。
アイビーにも多くの品種があります。
これは最もありふれた へデラ(ウコギ科)のコルシカ種デンタータという品種です。

へデラ緑葉wb.jpg

このへデラは丈夫で常緑、塀にも這い上がって覆い尽くし、さらに空に向って伸び上がり、年2回ほど剪定を要するほどたくましいアイビーです。
これは2008年の写真、へデラの塀の手前に植えられたのはイチジク2本(ドーフィンとシュガー)。2種共とても美味しい実を付けていました。
しかし、2年後イチジクは不味くなり、何故か次々と枯れてしまいました。
へデラとイチジク1007wb.jpg

初めて知った庭のイチジクのおいしさが忘れられず、また新たに苗を植え直しました。
しかし、今年9月下旬、今度は突然アイビーが枯れ始めました。
枯れた葉を落とした後の、初秋とは思えないみすぼらしい景色!
右端は昨春植え直したイチジク(ドーフィン)に鳥よけネットを被せた1枝です。
左上は名残のマルオクラの花、右下の赤いのは自生のモミジアオイの大輪。
へデラ枯れる1wb.jpg

さらに後を追うように左側のイチジクの葉が急に枯れてしまいました。
2年前に植えたドイツ系イチジクです。今年はたくさん結実しましたが、美味しかったのは初めだけ、だんだん小粒で不味くなっていました。
またもやあきらめて枝ごと枯葉を切り落としました。
左上の緑は1枝残ったアイビーの葉。
枯れたアイビーとイチジクwb.jpg

丈夫なアイビーが何故枯れたのでしょう?
アイビーは太い根から多数の細かい糸のような気根を伸ばして壁のブロックに張り付いています。
葉が茂っているときは殆ど見えなかった根は既に脱水状態でした。
所々に赤っぽいジャムのようなものがついています。
へデラ分泌物1wb.jpg

干しぶどうのようにたくさんついているところもあります。
これは何でしょう? 枯れた原因でしょうか?
へデラ分泌物3wb.jpg

もろくなった根を引っ張ると容易に剥がれます。
そこには「おがくず」のような粉状のものが多々認められました。
虫が枝の中身を食べて、その糞が堆積したものでしょうか?
それにしても大量です。
へデラ虫糞1wb.jpg

ぽっかり空いた穴を発見。大きさは1cmほどあったように思います。
こんな大きな虫がいるのでしょうか?
へデラ穴wb.jpg

大量の枯れ枝の処分をいつものおじさんに頼みました。
しばらくすると「大きな白い虫がいました」との報せ。
おそるおそる覗き込んでも何もいません。
「あれっ? さっき確かにここにいたんだけど.........?」
おじさんが枯れ枝でつつくと、白いものがちょろりと見えました。
上の穴からトンネルが出来ているよう、上から頭が出たり下からしっぽが出たり、白い幼虫が必死に隠れようとあがいています。
テッポウムシ尾wb.jpg

ついにおじさんがトンネルを壊して虫を掘り出しました。
長さ5cmほどはありそうな、太くて白い幼虫です。
そうだ! 
ひょっとして、これが噂のテッポウムシ?
テッポウムシ1wb.jpg

白日のもと、幼虫は一時もじっとせず、伸びたり縮んだり動き回ります。
黒い牙があるようなたくましい口器。
あとでネット検索しますと、確かに テッポウムシ(鉄砲虫)!
幼虫が羽化する時、木に鉄砲で打ち抜いたような穴を開けることから名付けられたようです。
正しくはカミキリムシの幼虫の俗称です。
テッポウムシ口器1wb.jpg

大きさからはゴマダラカミキリのような大型カミキリムシが疑われます。
但し幼虫から成虫を同定することはかなり難しそうです。
今まで我が家で見つけた大型カミキリムシは2種。
一つ目は2006年のゴマダラカミキリ。
美しいカミキリムシを初めて見つけて大喜びしたものです。
そういえば、その近くにあったメグスリノキが突然枯れたのが2007年。

ゴマダラカミキリwb.jpg

もう一種はノコギリカミキリ。
これは2009年7月、夜の室内で発見しました。
大きな堂々とした成虫でしたが、撮影後あっさり逃がしてやりました。
この頃からイチジクの木が枯れ始めたのと関係があるのでしょうか?
<追記>
ノコギリカミキリは針葉樹やクヌギなどの朽木を食べるカミキリでした。
2017年9月、隣のイチジクの木にキボシカミキリを3匹確認、これらのテッポウムシの成虫かと思われます。(「カミキリムシ」2017.10.29.)
ノコギリカミキリ2wb.jpg

今回のテッポウムシ被害で気になることがもう2つあります。
ひとつは幹に着いていた樹脂のような塊。
まだ葉が枯れていない部分でも緑色の葉をかき分けると、まだ新しそうな樹脂状の固まりがありました。
へデラ分泌物4wb.jpg

やはりアイビーから滲出した樹脂のように思えます。
テッポウムシの産卵孔? 幼虫が齧った後? アイビーの防御機能?
枯れた枝の塊部分の断面を作ってみました(画像は2か所分)。
数個の試みでは虫との関係はわかりませんでした。
樹脂3wb.jpg

もう一つの疑問は同時に枯れたイチジクのこと。
幹を眺めても鉄砲の穴のようなものも、明らかな木屑も見つかりません。
かすかに一部に褐色の粉を擦り付けたような部分を認めただけです。
いままでに枯れた2本にも穴や木屑は認められませんでした。
これは根の方に病変があるのでしょうか?

イチジク幹wb.jpg

今まで花友さんのブログでテッポウムシという語には出合ったものの、実感なく過ごしてきました。
今回は初めてテッポウムシの恐ろしさを目の当たりにして衝撃を受け、その勢いで記事を書きました。
残されたいくつかの疑問に関しては、お教えいただけましたら幸いです。

追記2012.10. 8.
今日改めてイチジクの褐色部分に穴があるかどうか確認に行きました。
まず、その部を擦ってみましたところ、褐色の粉のようなものは全て脱落し、穴らしい部分は見つかりませんでした。イチジクの枯死はテッポウムシ以外の原因かと思われます。
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カレハガ [昆虫]

カレハガ(枯葉蛾)
 学名:Gastropacha orientalis
 チョウ目 カレハガ科
 分布  本州,四国,九州、シベリア,朝鮮
 開張  ♂40-50mm ♀80mm

今年5月14日のことでした。
カモミールの花に何か停まっているようです。
見慣れないものです。一体何でしょう? 
小鳥? 昆虫? 木の葉?
 (画像は画面を全てクリックすると大きくなります。)
カレハガ1wb1.jpg

しゃがみ込んで真上から見ます。
長さ 約5cm。 どうも昆虫のよう。
茶系の濃淡、シックな秋の装いです。
カレハガ5wb.jpg

頭部に何か出ました。
カレハガ2-2wb.jpg

拡大します。
あっ、これは触覚? 右の一部にくし状の部分が見えます。
とすると蛾ですね。
カレハガ2wb2.jpg

でも蛾としても不思議な翅の形です。
横から見ます。
カモミールの花をボールのように抱え込んでいます。
左右の前翅は背中に閉じられ、後翅のみ開いて、陽に透ける枯葉のような模様が見えているようです。
カレハガ4wb1.jpg

頭部は細かい柔らかい毛が哺乳動物の毛皮のように覆っています。
触覚の下には眼もあるよう。
なんと華奢な脚!
カレハガ4-2wb.jpg

逆さですが正面像。
両前翅は背中へ畳まれ、後翅は斜め下に開かれています。
カレハガ3正面wb.jpg

中央部を拡大しますと、一見、立派な角を持った獣のようです。
でもよく見ると、角ではなくて櫛形の触覚です。
カレハガ3頭wb2.jpg

さて、この蛾は何でしょう?
コノハガ ?
「コノハガ」を検索しても同じ姿が見つかりません。ここでしばらく迷宮入り。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

最近また気になって再検索。
たしか「カレハガ」という名の蛾もあったような?
試しに「カレハガ」の画像を検索しましたところ、...............ありました!!! 
それにしても上手に枯葉に擬態していますね。
カモミールの花の直径は約3cm、その大きさから♀であろうと推定されます。

とするとその幼虫は? 
たしか以前、「カレハガの幼虫」という写真を撮ったはずです。
でもその時、成虫の姿を検索していませんでした。

これが「カレハガの幼虫」です。解りますか?
ヤマボウシの枝、右の枝は太くて模様があります。
保護色の大きな幼虫が巻き付いているのです(2008. 5. 4.)。
カレハガヤマボウシwb1.jpg

よく見掛けたのはこのウメの樹。
この画像では紫灰色の幼虫が張り付いています(2008.4.29.)。
これはまだ目立つ方ですが、本当にそっくりの保護色の大きな幼虫を何度か見つけました。
終齢幼虫の体長は約9cmあるそうです。
ウメ、サクラ、ナシ、モモ、ヤナギなどの葉を食べます。
カレハガ梅08wb.jpg

カレハガはカレハガ科の1種ですが、カレハガ科にはその他、オビカレハ、マツカレハ、タケカレハなど枯葉に似た成虫になる多種の蛾が属しています。
カレハガは正式にはGastropacha orientalis Sheljuzhko, 1943のと記載されています。
うちGastroとは胃腸の意、命名のいわれが知りたいのですが、pachaの意味が分かりません(ケチュア語で「大地」?)。

今回の検索で、カレハガの成虫は見つけにくいため画像が意外に少なく、このように花に憩うカレハガは珍しいことがわかりました。
しかし今回の出会いも僅か5分ほどでした。用があって離れた後、急いで戻ったのですがもう見つからなかったのです。
幼虫の画像もたまたま保存していましたから、季節は無視して直ちに報告しておくことにしました。

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