今年も咲いた!(2017初夏) [草花(初夏)]
今年も咲いた!
元気な頃は休日は朝から夕まで庭に這いつくばっていたものでした。
でも16年前腰痛に悩むようになってからは「放っておいても年中花が見られる庭」を目指してきました。
今日は今年も咲いた初夏の草花のうち目立ったものを並べてみます。
赤いポピーはこぼれ種で勝手に育ったものです。
白い花は オルラヤ ‘ホワイトレース’(オルレア グランデフロラ) 。
Orlaya grandiflora 'White Lace'
ヨーロッパ原産のセリ科園芸品種。
本来は多年草だそうですが、ここでは1年草です。
数年前通販で取り寄せた2株が今や、庭中に広がりました。
オルラヤは放りっぱなしの庭の代表選手といえます。
優しい花と柔らかい葉に似合わぬトゲトゲの種子が出来、零れ種で繁殖します。
半日陰でもホタルブクロと一緒に育ちました。
日向では大きく育ってサルビア・グアラニチカの引き立て役。
ジャーマンアイリスの周りはニゲラが消えてここにもオルレア。
ハルザキシュウメイギク
キンポウゲ科イチリンソウ属の宿根草。アメリカ原産。
目立たないおとなしい花で、毎年木陰で静かに咲いていました。
ところが今年は日向に1株増え、花に似合わぬ大きな果実をつけていて驚きました。
花はシュウメイギクと同じ造り。
花弁の形がまちまちなのもシュウメイギクに似ています。
ペンステモン・ハスカーレッド
個性的な銅葉に柔らかいピンクの花が咲きます。
2年前 Iさんが大株を持って来て植えて下さった花です。
周りは白・青のニゲラとヒルザキツキミソウ。
10本のハナミズキの下の通路には毎秋ビオラを植えますが、5月には花が終わります。
そのあとに1年草の苗を植えても水切れで育ちにくく苦労しました。
でも今ではハルシャギク、宿根バーベナ、ホタルブクロ、カワラナデシコなどの宿根草がひとりでに咲いてくれるようになりました。
モナルダ ホワイト
シソ科の多年草。北アメリカ原産の園芸品種。
草丈 約1m。
接写すると面白い花です。
和名「タイマツバナ」は赤い品種モナルダ レッドに似合いそう。
右は薄紫のモナルダ ラベンダー。
左のモナルダ ホワイトより丈が高く1.5m以上にもなります。
5年前Mさんからいただいたダンドク。
うちで種子から育てた2世もこんなに大きくなりました。
オオバボダイジュの下の半日陰の芝生にどんどん生えてくるカワラナデシコ。
芝生が育ちにくいのでありがたい自生です。
白とピンクのミックスも好都合。
満開のナデシコが朝日に輝いています。
これを眺めるのは至福のひと時です。
窓の下の半日陰の紅白はヒメフウロとペラペラヨメナ。
野道のようで楽しい組み合わせです。
そうそう、右下にはまだクリスマスローズの花も残っています。
これからは宿根草やこぼれ種で生えてくれる植物を守っていこうと思います。
でもカタバミやツメクサ、スギナ、クローバーなどの雑草の攻勢激しく大変です。
昨夜来の改行トラブル、やっと先ほど遠隔操作のサポートを受けて直りました。 (2017.6.26.11:30)
元気な頃は休日は朝から夕まで庭に這いつくばっていたものでした。
でも16年前腰痛に悩むようになってからは「放っておいても年中花が見られる庭」を目指してきました。
今日は今年も咲いた初夏の草花のうち目立ったものを並べてみます。
赤いポピーはこぼれ種で勝手に育ったものです。
白い花は オルラヤ ‘ホワイトレース’(オルレア グランデフロラ) 。
Orlaya grandiflora 'White Lace'
ヨーロッパ原産のセリ科園芸品種。
本来は多年草だそうですが、ここでは1年草です。
数年前通販で取り寄せた2株が今や、庭中に広がりました。
オルラヤは放りっぱなしの庭の代表選手といえます。
優しい花と柔らかい葉に似合わぬトゲトゲの種子が出来、零れ種で繁殖します。
半日陰でもホタルブクロと一緒に育ちました。
日向では大きく育ってサルビア・グアラニチカの引き立て役。
ジャーマンアイリスの周りはニゲラが消えてここにもオルレア。
ハルザキシュウメイギク
キンポウゲ科イチリンソウ属の宿根草。アメリカ原産。
目立たないおとなしい花で、毎年木陰で静かに咲いていました。
ところが今年は日向に1株増え、花に似合わぬ大きな果実をつけていて驚きました。
花はシュウメイギクと同じ造り。
花弁の形がまちまちなのもシュウメイギクに似ています。
ペンステモン・ハスカーレッド
個性的な銅葉に柔らかいピンクの花が咲きます。
2年前 Iさんが大株を持って来て植えて下さった花です。
周りは白・青のニゲラとヒルザキツキミソウ。
10本のハナミズキの下の通路には毎秋ビオラを植えますが、5月には花が終わります。
そのあとに1年草の苗を植えても水切れで育ちにくく苦労しました。
でも今ではハルシャギク、宿根バーベナ、ホタルブクロ、カワラナデシコなどの宿根草がひとりでに咲いてくれるようになりました。
モナルダ ホワイト
シソ科の多年草。北アメリカ原産の園芸品種。
草丈 約1m。
接写すると面白い花です。
和名「タイマツバナ」は赤い品種モナルダ レッドに似合いそう。
右は薄紫のモナルダ ラベンダー。
左のモナルダ ホワイトより丈が高く1.5m以上にもなります。
5年前Mさんからいただいたダンドク。
うちで種子から育てた2世もこんなに大きくなりました。
オオバボダイジュの下の半日陰の芝生にどんどん生えてくるカワラナデシコ。
芝生が育ちにくいのでありがたい自生です。
白とピンクのミックスも好都合。
満開のナデシコが朝日に輝いています。
これを眺めるのは至福のひと時です。
窓の下の半日陰の紅白はヒメフウロとペラペラヨメナ。
野道のようで楽しい組み合わせです。
そうそう、右下にはまだクリスマスローズの花も残っています。
これからは宿根草やこぼれ種で生えてくれる植物を守っていこうと思います。
でもカタバミやツメクサ、スギナ、クローバーなどの雑草の攻勢激しく大変です。
昨夜来の改行トラブル、やっと先ほど遠隔操作のサポートを受けて直りました。 (2017.6.26.11:30)
2017-06-25 23:57
コメント(16)
スタージャスミン・ハツユキカズラ [花木(初夏)]
庭にはもう2種類のテイカカズラ属の園芸種が育っています。
スタージャスミン
テイカカズラ属の常緑つる性木本
学名:Trachelospermum jasminoides
別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
英名 : star jasmine
原産:中国、台湾
中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
花期:5月 テイカカズラより約1週間後。
この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。
純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。
花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。
但し、テイカカズラとは萼片が異ります。
花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。
花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。
中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。
花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。
葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。
この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?
一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。
(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)
ハツユキカズラ
テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)
10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。
その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。
時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。
5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。
花はスタージャスミンに似ていますが小型です。
これも散房花序。
萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。
花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。
花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。
左より ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
花の直径 約2cm 2〜3cm 2〜2.5cm
花の裏側 ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
葉(右は裏面)ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。
ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
スタージャスミン
テイカカズラ属の常緑つる性木本
学名:Trachelospermum jasminoides
別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
英名 : star jasmine
原産:中国、台湾
中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
花期:5月 テイカカズラより約1週間後。
この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。
純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。
花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。
但し、テイカカズラとは萼片が異ります。
花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。
花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。
中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。
花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。
葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。
この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?
一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。
(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)
ハツユキカズラ
テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)
10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。
その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。
時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。
5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。
花はスタージャスミンに似ていますが小型です。
これも散房花序。
萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。
花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。
花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。
左より ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
花の直径 約2cm 2〜3cm 2〜2.5cm
花の裏側 ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
葉(右は裏面)ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。
ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
2017-06-12 22:18
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テイカカズラ [花木(初夏)]
テイカカズラ
定家葛 キョウチクトウ科テイカカズラ属の木本性つる植物
学名: Trachelospermum asiaticum
別名:マサキノカズラ
分布:本州、四国、九州、朝鮮半島。
花期:5月
2000年に植えたテイカカズラが最も美しかったのは2012年。
使わなくなったキウイの棚を覆い、シャクナゲと同時に開花しました。
5月、一斉に開花すると辺りに芳香が漂います。
大きな房状の花(集散花序)。
花の直径は2.5〜3cm、花弁は風車やプロペラのように5裂。
花筒の下部は細く、上部は襞があってふっくらしています。
それにしても不思議な花です。雄しべも雌しべも見えません。
7月、長い豆のような果実を見つけました。
一対の長さ20cm弱の袋果です。花に比べて大きいのに驚きます。
花はあんなに多かったのにこの年の果実は一つだけ。
11月下旬、やっと果実が割れ、白い毛と茶色の種子が見えました。
これがテイカカズラの種子です。白絹のような種髪が美しい。
花の構造は上から見ても横から見てもわかりません。
今年はネット検索をしてから花を採取して室内で観察することにしました。
テイカカズラは茎を切ると白い液が出ます。これは有毒だそうです。
開花したばかりの真っ白な花弁、中心部は黄色。
中央の黄色の部分には細かい毛が見えます。
中心に向かって5つの突起、これを副花冠というそうです。
真ん中の白っぽい部分は5本の雄しべの先端。
穴のように見える5つの隙間に昆虫が長い口吻を差し込んで蜜を吸う仕組みです。
副花冠の周りにも微小な毛があります。
花を縦に切り開きました。
左の中央の緑色の部分が雌しべ。
雄しべは上部の円錐形の部分で、上の方が葯、花粉は円錐上部に出ます。
下の細い花筒には蜜が溜まります。
若い花を浅く切り開いてみました。
円錐を構成する葯が見えます。
下部の中央が雌しべ、その上部は粘液に覆われています。
柱頭は雌しべの先端ではなく、粘液の下の膨らみにあるようです。
花の凹みに細い針金を通そうと試みられた方もありましたが成功しなかったようです。
今回ネット検索にて見つけた「杉並の自然学/植物/テイカカズラ 」で 田中肇先生が毛髪で成功された記事(牧野植物同好会誌94号)を読み、追試させていただきました。
毛髪は容易に下まで入り、引き抜くと先端に白いものがついてきました。
とすると、口吻は入り口の毛によって葯の隙間に誘導され、柱頭の周りの毛で他花からの花粉を落とし、蜜を吸った帰りに粘液と花粉をまとって出てくるのではないでしょうか。
顕微鏡で確認すると粘液が絡んだ花粉が付いていました。
粘液を溶かして、やっとテイカカズラの花粉を見ることができました!
しかし、こんなに多くの花を咲かせてたった1〜2個の果実を残すのはいかにも能率が悪い。
この庭に口吻の長い昆虫が飛び交うのは夏期、開花期に見られるのは少数のアゲハチョウくらいです。
でもテイカカズラにとって花は万一の備えに過ぎないかもしれません。
これは棚を下から見上げて絡み合った蔓の一部を写したものです。
蔓といっても基部は直径4cmほどになり、太い蔓の各所にイボ状の突起があります。
これらの突起や中央のブラシ状の部分は気根(朝日百科では付着根)といって絡みつくために出した根が遺残したもののようです。
和名「テイカカズラ」は謡曲「定家」に由来し、藤原定家と愛し合った式子内親王の墓に、定家葛(テイカカズラ)がまとわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるという曲だそうです。
やはりこんなに絡みつかれては恐ろしくなりますね。
定家葛 キョウチクトウ科テイカカズラ属の木本性つる植物
学名: Trachelospermum asiaticum
別名:マサキノカズラ
分布:本州、四国、九州、朝鮮半島。
花期:5月
2000年に植えたテイカカズラが最も美しかったのは2012年。
使わなくなったキウイの棚を覆い、シャクナゲと同時に開花しました。
5月、一斉に開花すると辺りに芳香が漂います。
大きな房状の花(集散花序)。
花の直径は2.5〜3cm、花弁は風車やプロペラのように5裂。
花筒の下部は細く、上部は襞があってふっくらしています。
それにしても不思議な花です。雄しべも雌しべも見えません。
7月、長い豆のような果実を見つけました。
一対の長さ20cm弱の袋果です。花に比べて大きいのに驚きます。
花はあんなに多かったのにこの年の果実は一つだけ。
11月下旬、やっと果実が割れ、白い毛と茶色の種子が見えました。
これがテイカカズラの種子です。白絹のような種髪が美しい。
花の構造は上から見ても横から見てもわかりません。
今年はネット検索をしてから花を採取して室内で観察することにしました。
テイカカズラは茎を切ると白い液が出ます。これは有毒だそうです。
開花したばかりの真っ白な花弁、中心部は黄色。
中央の黄色の部分には細かい毛が見えます。
中心に向かって5つの突起、これを副花冠というそうです。
真ん中の白っぽい部分は5本の雄しべの先端。
穴のように見える5つの隙間に昆虫が長い口吻を差し込んで蜜を吸う仕組みです。
副花冠の周りにも微小な毛があります。
花を縦に切り開きました。
左の中央の緑色の部分が雌しべ。
雄しべは上部の円錐形の部分で、上の方が葯、花粉は円錐上部に出ます。
下の細い花筒には蜜が溜まります。
若い花を浅く切り開いてみました。
円錐を構成する葯が見えます。
下部の中央が雌しべ、その上部は粘液に覆われています。
柱頭は雌しべの先端ではなく、粘液の下の膨らみにあるようです。
花の凹みに細い針金を通そうと試みられた方もありましたが成功しなかったようです。
今回ネット検索にて見つけた「杉並の自然学/植物/テイカカズラ 」で 田中肇先生が毛髪で成功された記事(牧野植物同好会誌94号)を読み、追試させていただきました。
毛髪は容易に下まで入り、引き抜くと先端に白いものがついてきました。
とすると、口吻は入り口の毛によって葯の隙間に誘導され、柱頭の周りの毛で他花からの花粉を落とし、蜜を吸った帰りに粘液と花粉をまとって出てくるのではないでしょうか。
顕微鏡で確認すると粘液が絡んだ花粉が付いていました。
粘液を溶かして、やっとテイカカズラの花粉を見ることができました!
しかし、こんなに多くの花を咲かせてたった1〜2個の果実を残すのはいかにも能率が悪い。
この庭に口吻の長い昆虫が飛び交うのは夏期、開花期に見られるのは少数のアゲハチョウくらいです。
でもテイカカズラにとって花は万一の備えに過ぎないかもしれません。
これは棚を下から見上げて絡み合った蔓の一部を写したものです。
蔓といっても基部は直径4cmほどになり、太い蔓の各所にイボ状の突起があります。
これらの突起や中央のブラシ状の部分は気根(朝日百科では付着根)といって絡みつくために出した根が遺残したもののようです。
和名「テイカカズラ」は謡曲「定家」に由来し、藤原定家と愛し合った式子内親王の墓に、定家葛(テイカカズラ)がまとわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるという曲だそうです。
やはりこんなに絡みつかれては恐ろしくなりますね。
2017-06-04 16:13
コメント(18)