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スタージャスミン・ハツユキカズラ  [花木(初夏)]

庭にはもう2種類のテイカカズラ属の園芸種が育っています。

スタージャスミン
 テイカカズラ属の常緑つる性木本

 学名:Trachelospermum jasminoides
 別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
 英名 : star jasmine
 原産:中国、台湾
    中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
 花期:5月 テイカカズラより約1週間後。

この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。
スタージャスミンwb.jpg

純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。
スタージャスミン09-2wb2.jpg

花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。
スタージャスミン花序wb.jpg

但し、テイカカズラとは萼片が異ります。
スタージャスミン花序2wb.jpg

花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。
スタージャスミン3wb.jpg

花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。
スタージャスミン1wb.jpg

中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。
スタージャスミン5wb.jpg

花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。
スタージャスミン6wb.jpg

葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。
スタージャスミン花粉wb.jpg

この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?
スタージャスミン割面3wb.jpg

一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。
スタージャスミン実07.8wb..jpg
(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)


ハツユキカズラ
 テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
 別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)

10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。
ハツユキカズラ侵略20060817-1wb.jpg

その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。
初雪カズラ11-2wb.jpg

時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。
ハツユキカズラ2012-4wb.jpg

5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。
ハツユキカズラ花wb2.jpg

花はスタージャスミンに似ていますが小型です。
ハツユキカズラ花1wb.jpg

これも散房花序。
ハツユキカズラ横2wb5.jpg

萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。
ハツユキカズラ横2毛wb.jpg

花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。
ハツユキカズラ花2wb3.jpg

花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
3)五色づた3wb2.jpg

雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
3)五色づた2wb.jpg

5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。

左より ハツユキカズラ    テイカカズラ      スタージャスミン
花の直径   約2cm      2〜3cm         2〜2.5cm
3)-1)-2)横wb3.jpg

花の裏側  ハツユキカズラ    テイカカズラ    スタージャスミン
3)-1)-2)後wb2.jpg

葉(右は裏面)ハツユキカズラ     テイカカズラ     スタージャスミン
テイカカズラ3種葉wb1.jpg

ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。

ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
コメント(16) 

コメント 16

703

スタージャスミンは知りませんでしたが、
ハツユキカズラはうちでも広がって、広がりすぎて邪魔者扱いされています(笑)
これが斑入りのテイカカズラなんですね!
花を並べてもらうと、みな同じ仲間だと、よく分かりました。
いつも夕菅さんの調べられたことを見て、いい勉強をしたと思っている私は、夏休みの宿題を写させてもらって提出している横着者のよう。なぞるだけで頭に残っていません(笑)

by 703 (2017-06-12 23:47) 

デスタントドラムス

ありがとうございます。
勉強になりました。
先日買った斑入りの葉のテイカカズラとタグがあったものなのですが今、見てみたらがくが反り返ってました。
小さいので老眼鏡かけてみましたよ。
ということはスタージャスミンなのかな。

ハツユキカズラは以前からあるのですが
花咲くことあるのですね。
気が付かなかっただけなのかな。

そかし、区別がむつかしいものですね。
似すぎてます。
by デスタントドラムス (2017-06-13 07:30) 

多摩NTの住人

こんにちは。実はずっとハツユキカズラの花を探しているのです。夕菅さんも初めてでしたか。何とか見てみたいものです。
by 多摩NTの住人 (2017-06-13 08:17) 

夕菅

703さん お疲れのところ、早速のコメントありがとうございました。
初めは私もハツユキカズラがテイカカズラの園芸種とは知らずに、大切に育てたものでした(笑)。
ブログのために調べると知らないことがいっぱい出てきます。
それを確認しながら書くと長くなり申し訳ありません。
これぞまさしく備忘録 です!
私も703さんのお庭の難しい花の名前は全く覚えられませんが、感心しながら見せていただいています。


by 夕菅 (2017-06-13 09:58) 

夕菅

デスタントドラムス さん コメントありがとうございました。
「斑入りの葉のテイカカズラ」、スタージャスミンの斑入りかもしれませんね。花筒の太い部分と細い部分の比も鑑別点です。
ハツユキカズラの花は珍しいようですね。
葉が白いし、花が小さいし、見つけにくいことも確かです。
また来年のお楽しみですね。

by 夕菅 (2017-06-13 10:10) 

夕菅

多摩NTの住人 さんコメントありがとうございました。
テイカカズラの仲間は地を這っているときは花が咲かないらしいですね。
今年ハツユキカズラに花が咲いたのも、生垣によじ登っていったからかもしれません。
来年はフェンスに登っているようなハツユキカズラにご注目ください。
by 夕菅 (2017-06-13 10:20) 

Minoru

 こんばんは。テイカカズラによく似てますね。区別は覚えても覚えても、すぐ忘れていきます。
 お庭にこれらが咲くととても涼し気ですね。
by Minoru (2017-06-13 21:43) 

夕菅

Minoru さんコメントありがとうございました。
そうです。私もすぐ忘れますから備忘録としてここに残しています。
庭にはスタージャスミンが扱いやすいと思います。
by 夕菅 (2017-06-13 23:43) 

とんちゃん

テイカカズラのそっくりさん!
スタージャスミンもテイカカズラの花の頃と同じ頃なんですね
花の縁のうねりがすごくステキ それに少し大きめなんですね
華やかさが感じられたのはそのせいなのでしょう
ハツユキカズラにはびっくりです!
花が咲くということさえ思えなくて・・・
私もこの目で見てみたい!
もしも花を見つけたら大騒ぎしそうです~
by とんちゃん (2017-06-14 08:18) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
テイカカズラは賑やかですが、スタージャスミンには静かな美しさを感じます。
花はむしろテイカカズラの方が大きめです。
ハツユキカズラにも花が咲くらしいとは知っていたのですが、初め驚きました。どこかで会えるといいですね!
ハツユキカズラは植える場所が難しいと思います。
by 夕菅 (2017-06-14 14:03) 

花咲かばあば

スタージャスミン、もテイカカズラも、疑いもなく今まで違ったものとして見ていなかったように思います。テイカカズラの園芸種でも、果実の数は少ないようですね。
ハツユキカズラの花は初めてです。繁殖力旺盛で、怖くて、どんどん退治(笑)しているせいか、花は見られません。地を這っていることも原因ですか。場所を選ぶと美しい姿をみられるのですが、、、、。性質を知って、植栽を考えないと、、、といつも反省しています。
知らなかったー。いつも感動をいただいているんですが、覚えていられたらーと。
パソコンがおかんむりでした。
by 花咲かばあば (2017-06-16 07:34) 

夕菅

花咲かばあばさん コメントありがとうございました。
パソコン、不調でしたか。
私はこの2〜3日、メール不調で悩んでいました。
ハツユキカズラ、一時は何にでも巻きついてよじ登っていくので全部撤去しようかとも思いました。
今回花が見られたからハツユキカズラも生き残れそうです。
やはり、それぞれその植物にあった環境を見つけて植えるべきですね。
by 夕菅 (2017-06-16 16:08) 

エフ・エム

前回のテイカカズラを読ませていただいて、テイカカズラ属の共通の祖先が繁殖する環境に、口吻の長いチョウ目の何らかの種が多かったのではないかと、いい加減な推測をしました。受粉を効率的に行うには、やはりハナバチを利用するのが一番ではないかと推測するのですが、チョウ目を利用するように花を進化させると、ハナバチは利用できないですね。共進化の相手をチョウ目からハナバチに変えることは容易なことではなさそうです。目でいうと、ハチ目はチョウ目より古いようですが、ハナバチはずっと後に現れたのかもしれません。共進化という現象は難しいけど、興味尽きないです。
by エフ・エム (2017-06-20 21:18) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
私はなぜテイカカズラは花が多いのに種子が少ないのかという単純な疑問にだけとらわれてきました。
コメントを読んで、昆虫を待つ花もハナバチ媒花とチョウ・ガ媒花があり、花粉の位置や性状が違うことを整理させていただきました。
生物の長い歴史の中の共進化という視点から見ると、またロマンがあるのですね。
なぜ花粉を奥に秘めてチョウ目専用にしたのか、さらにハナバチの口吻の進化も気になってきました。

by 夕菅 (2017-06-21 10:40) 

りんちゃんママ

満開の時期がずれている花があると良いですね。ジャスミンと名前の一部についていてもジャスミンではないんですね。風ぐるまのような可愛い花がいっぱい咲くと綺麗ですね。つる性のものは植える場所が難しいです。ちょうど良い所で止まってくれると良いのですがそんなわけにはいかないです。グランドカバーに使いたいのですが難しいです。なかなか思うようにならないです。
by りんちゃんママ (2017-06-21 22:12) 

夕菅

リンちゃんママさん コメントありがとうございました。
ハツユキカズラはグランドカバーには失敗しました。
スタージャスミンはとても良い香りですが、本物のジャスミンとの違いはわかりません。
うちも庭も雑草との闘いに負けそうです。
by 夕菅 (2017-06-22 11:52) 

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