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ゼンマイ [野草]

ゼンマイ
 薇  ウラボシ綱(シダ綱) ゼンマイ目 ゼンマイ科の多年生シダ植物。
 学名Osmunda japonica 

毎春、庭の真ん中で踏み込み難いところに、植えた覚えのない植物が出てきます。
今年も3月下旬、白っぽい若芽を見つけました。
これは何でしょう?
胞子葉芽出し2015wb.jpg

ワラビが毛で包まれたような形。ひょっとしてゼンマイ?
検索してみますと、やはりゼンマイでよさそうです。
胞子葉芽出し1-2015wb.jpg

大きくなると頭部の綿の間から黄緑色の若芽(?)がのぞきました。
これがゼンマイの胞子葉。
胞子葉芽出し2-2015wb.jpg

胞子葉の頭部。
胞子葉3wb.jpg

赤い葉軸のまわりに黄緑色の粒々がびっしりと付いています。
これは胞子嚢です。
胞子葉4wb.jpg

続いてまたニョキニョキと白い毛に包まれたワラビのようなものが生えてきました。
ゼンマイの栄養葉です。
栄養葉芽生えwb.jpg

栄養葉の若芽は赤褐色。
栄養葉2wb.jpg

胞子葉が先に大きく育ちます。
胞子葉と栄養葉、どちらも食べられるのでしょうか?
ゼンマイの産地では栄養葉を「女ぜんまい」、胞子葉を「男ぜんまい」と呼び、採るのは「女ぜんまい」のみ。それも翌年のために少し残します。
胞子葉先熟2wb.jpg

左は胞子葉、右は葉が開いた栄養葉。
ゼンマイ胞子葉栄養葉wb.jpg

胞子葉の先端部を拡大します。緑色の魚の卵のよう。
胞子葉成熟1wb.jpg

さらに拡大すると胞子嚢は緑色のブドウのような球形。
ゼンマイの胞子には葉緑体が含まれているそうです。
胞子葉成熟1wb2.jpg

胞子放出中。
まだ胞子が残っている胞子嚢があります。画面をクリックしてごらんください。
前回書いたトキワシノブの胞子嚢には環帯があり、ここが収縮して胞子嚢を裂開させましたが、ゼンマイには環帯がなく、厚壁細胞が一カ所に集まっているだけだそうです(Wikiwand)。
またゼンマイでは胞子嚢が一斉に熟する性質があるそうですが、この日は、煙のように胞子が飛び立つのが見られて幸いでした。
胞子散布中2wb.jpg

胞子を顕微鏡で見てみました。
確かに大きな胞子です。
胞子1wb.jpg

拡大すると葉緑体が見えました。
胞子3wb.jpg

空になった胞子嚢。
胞子散布後3wb2.jpg

胞子葉は褐色になって退化していきます。
一方、栄養葉はたくまく葉を広げて赤褐色から緑色になりました。
ゼンマイ0420wb.jpg

2回羽状複葉。
葉脈は遊離(先で癒合して網を作らない)。これも画面をクリックすると見られます。
ゼンマイ葉0503表wb.jpg

5月21日、崩れた胞子葉が中左寄りにわずかに見えます。
栄養葉の緑色が深まって葉が硬くなっていました。
ゼンマイ葉完wb.jpg

2本切り取って長さを図りました。
80〜90cmあります。
ゼンマイ葉2枚wb.jpg

切った葉の葉柄にまだ綿毛が残っていました。
これで2本分です。
昔はこれに真綿を足して綿糸の代用にして布を織ったり、手まりをつくったりしたそうです。
ゼンマイ綿毛wb.jpg

庭に自生したゼンマイを追ってみました。
山野にたくさん生えて食用にするものとは、育ち方が違うかもしれません。
この庭のゼンマイの記録です。

食用のぜんまいの作り方をYou Tubeで見ました。大変な作業ですね。
やはりワラビとゼンマイは全然違います。
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2017年春の庭  [庭便り(春)]

2017年春の庭
この庭は17年前、歩けなくなっても自宅で花が見られるようにとの思いで造りました。
昨年ついに大手術を受け、幸いにも少しは歩けますが、しゃがめないので植え付け、草取り、花殻摘みはできません。
そのため庭は放りっぱなしでも咲く花がメインになりました。
今日はそういう花たちを並べます。

ダッチアイリス アポロ アヤメ科アヤメ属
朝の庭に突如予期せぬ花2輪、2年前に一度だけ咲いて消えてしまったかと思っていたアイリスです。
大きな花が誇らしげに朝日に輝いていました。
そういえば左の長く細い葉は去年もあったのです。
右下のピンクの花は大株になったリクニス フロスククリ。
ダッチアイリスwb1.jpg

コンロンソウ 崑崙草 アブラナ科タネツケバナ属
5年前いただいて日向に植えたら消え入りそうになり、日陰に移植しました。
今年はしっかり増えてもう安心です。
コンロンソウ2017−1wb.jpg

近くで見るとやはりタネツケバナに似ています。
コンロンソウ2016-2wb2.jpg

キボタン ボタン科ボタン属
白やピンクのボタンが今年は花をつけなかったのに、キボタンは元気です。
今年は20輪ほど咲きました。
黄ボタン2017wb.jpg

開花直前。
黄ボタン3wb.jpg

シロヤマブキ バラ科シロヤマブキ属
シロヤマブキは裏の日陰にあって剪定も水遣りもしたことがありませんが、気品のある花が毎年咲きます。
花が咲いてもまだ黒い種子が残っていて、離れたところに2世が2株開花しました。
シロヤマブキ2017-1wb2.jpg

アニソドンテア・ピンククイーン アオイ科アニソドンテア属
何度もブログに登場しましたが、今年は最も大株です。
大株になると突然立ち枯れしますから、挿し木をしておく必要があります。
サクラアオイと呼びたい色です。
サクラアオイ2017-3wb.jpg

アリウム トリクエトルム ミツカドネギ(三角葱) 
ネギ科ネギ属 南欧地中海沿岸原産の帰化植物
友人から頂いて裏庭に植え、ほどほどに増えています。
しかし友人宅では猛烈に増えて退治に大わらわのようです。
アリウム2017−3wb.jpg

俯いて咲く花を覗くように撮りました。
アリウム2017−4wb.jpg

ブルンネラ ‘ジャックフロスト’
ムラサキ科ブルンネラ属
東ヨーロッパ・西アジア・西シベリア原産の園芸種。
葉も観葉植物のようで美しく、ワスレナグサのような花が咲きます。
日陰の庭で一時はわーっと増えましたが、今は一株が辛うじて花を見せてくれます。
ブルンネラ1wb.jpg

ユキザサ 雪笹 キジカクシ科(←ユリ科)マイズルソウ属
端正な緑色の葉の間から花穂が伸びて清楚な白い花を咲かせます。
毎春見つけると歓声をあげたくなる花です。
ユキザサ2017−2wb2.jpg

チオノドクサ
和名 ユキゲユリ(雪解百合)キジカクシ科ツルボ属
クリスマスローズなどの陰になりそうな隙間からかわいい花を見せてくれます。
放ったらかしを詫び、来年は移植しようと思いながら花が終わると忘れてしまって申し訳なく思っています。
チオノドクサ1wb.jpg

ヒトリシズカ センリョウ科チャラン属
2012年の記事に書いた時は11本でしたが、今年は20本ほどに増えています。
この花も本当に手間いらずです。
ヒトリシズカ2017wb.jpg

4月末、母が98歳の生涯を終えました。
花が好きでここに来ると真っ先に庭を一周する習いでした。
別れの日にはこの庭で撮った写真を飾りました。
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