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ルリハコベとアカバナルリハコベ  [草花(春)]

ルリハコベとアカバナルリハコベ 
  サクラソウ科の1年草
 ルリハコベ      Anagallis arvensis f. coerulea
 アカバナルリハコベ Anagallis arvensis f. arvensis

2年前花友達さんからいただいた種子からルリハコベとアカバナルリハコベが咲きました。
ブログの記事にしようかと検索した時なかなかさんのHPに興味ある記事を発見しました。
   http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/akabana-rurihakobe.htm
ところが、さっそく確認に行くと何とまあ、すでに花は萎れ花期は終わったようでした。
昨秋は種子を蒔きそびれましたが、幸いにも零れ種で両方とも芽生えました。
今年は2種の ルリハコベを自分の目で見てみたいと思います。

ルリハコベ
ルリハコベ全2wb.jpg

ルリハコベの花は直径1cmほど、茎は平地を這いつつ斜上し10〜30cmになります。
葉は対生、2〜3cmの細い花柄の先に瑠璃色の花が一つ咲きます。
ルリハコベ2upwb.jpg

花冠・萼共に深く5裂。花の中心部は濃いピンク。
雄しべ5本、雌しべ1本。
花冠の辺縁のギザギザに注目!
ルリハコベ花B1wb3.jpg

1花採って白紙に載せてコンデジで接写しました。
ルリハコベ花B2wb.jpg

拡大すると小さい突起が並んで見えました。
これならルーペでも見えそうですね。
ルリハコベ花B2wb2.jpg

顕微鏡で見ると突起の先端は赤い玉のように見えます。
ルリハコベ花弁縁1wb2.jpg

さらに拡大。突起は3個の細胞から作られているようです。
一番上は濃いピンク色の大きい楕円球です。
ルリハコベ花弁突起1wb2.jpg

アカバナルリハコベ 
ルリハコベとアカバナルリハコベとは花冠の色が異なるだけで、他は同じようです。
ルリハコベ全1wb.jpg

花の中央の色もルリハコベと同じ濃いピンク色。
半球状の子房の中央に雌しべ1本、周辺に雄しべ5本。
花糸には赤い毛が生えています。
ルリハコベR2wb.jpg

やはり花冠の辺縁には点状の突起が並んでいます。
ルリハコベR突起6wb.jpg

顕微鏡で拡大。                   
ルリハコベR花弁upwb2.jpg

さらに拡大すると、ルリハコベと同じく、美しい突起が見えました。
(2016.5.18.画像入れ替えました。)
ルリハコベR突起3wb.jpg

これはルリハコベの雄しべと雌しべです。
花糸には長い毛がたくさん生えています。
花糸と毛の色はルリハコベ・アカバナルリハコベ共に同じくピンク色。
この毛はムラサキツユクサの雄しべの毛に似ていますね。
なんの役割を果たしているのかはわかりません。
_ルリハコベB腺毛1wb.jpg

顕微鏡で確認。
花糸から出た細胞が10個ほど1列に並んでいます。
細胞は先端では球形、基部に行くほど長くなります。
ルリハコベ腺毛wb.jpg

ルリハコベの実は花柄が抱え込むような形で大きくなります。
ルリハコベ実1wb.jpg

大きくなると地球でいうなら赤道部に条が入り、完熟すると直径4mmの淡褐色の球形になります。
ルリハコベ果実1wb.jpg

まだ完熟した果実が見つからないので、この緑色の果実を赤道面で開いてみました。
上半球の帽子がポッカリ開きました。
ルリハコベ果実4wb.jpg

やや褐色になった果実を見つけて再挑戦。
今度は帽子の下から種子が18個こぼれ落ちました。
熟すと暗褐色、若い種子は緑色です。
ルリハコベ種子2wb2.jpg

ルリハコベ・アカバナルリハコベは共にヨーロッパ原産で世界の熱帯から温帯に分布する帰化植物と考えられています。
日本ではルリハコベが伊豆七島・本州・四国・九州・琉球諸島の海岸近くに生育し、瑠璃色の花が咲くハコベ と名付けられ、のちに赤い花が咲くルリハコベが本州~九州に帰化したため、アカバナルリハコベという奇妙な和名がついたようです。
しかし、世界的に見るとアカバナルリハコベが母種(基準品種)とされています。
詳しくはなかなかさんのHPをご覧ください。

やっとルリハコベとアカバナルリハコベを観察することができました。
この花達は朝日が昇ってから開花し午後3時頃には花冠を閉じてしまいます。
花冠の色が瑠璃色と橙赤色で対照的ですが、花の内部や花糸・毛の先端の色は濃いピンク色で共通だったことも印象的でした。
コメント(20) 

コメント 20

panda

夕菅さん、こんにちは
アカバナルリハコベもルリハコベも庭に咲くのに、こんなに細かいところまで見たことがありませんでした。花糸の毛も面白いですね。それに、果実のふたが2つにぱかっと割れるところまでは見たけれど、中の構造まで見たのも初めてです。夕菅さんのところにくると新しい発見がありとても楽しいです。ありがとう!

by panda (2016-05-17 11:32) 

とんちゃん

pandaさんと同じ びっくりです~
どっちも色が好きなのでほれぼれしていたのですがこんなに奥深い仕組みになっていたなんて目をみはりました
ギザギザのように見えただけでもへぇ~なのに・・・
玉のような突起というのが衝撃的です~
雄しべと雌しべも面白い!ほんとうにムラサキツユクサを思い出すようです
果実はぱっくりあいて! しかも種の収容部分は見事な形ですね
なにもかもが知らない事実だらけ  ワクワクして見せていただきました!
by とんちゃん (2016-05-17 14:40) 

エフ・エム

これだけの観察、はっきりした写真、熱のこもった説明には感嘆するばかりです。ルリハコベの突起の写真は芸術品のようです。突起のついた帽子は巧まざる自然の造形物。驚きました。
ルリハコベとアカバナルリハコベの花は本当に同形なんですね。色の違いには興味があります。
ちょっと話が違いますが、ウィリアム・モリスの装飾、Pimpernelが頭に浮かびました。好きなデザインです。
by エフ・エム (2016-05-17 15:21) 

夕菅

pandaさん コメントありがとうございました。
お庭に両方ともおありだったのですね。
私も昨年は「あ〜きれいな瑠璃色!」と思っただけでした。
いつもそうですが、少し調べてみると先人の業績が見え、自分が何も見ていなかったことに気付き慌てます。
pandaさんのブログは難しいのでなかなかコメントも出来ずすみません。
by 夕菅 (2016-05-17 15:53) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
ルリハコベとアカバナルリハコベ、お好きな花で過去に度々ブログに登場していたのですね。
今回、私はただなかなかさんの記事を自分で見てみたいと、追試しただけです。
でも特に顕微鏡写真はかなり劣ります。装置の違い?・素人の限界とあきらめました。
果実は面白いそうですから、機会があったらまた見てください。


by 夕菅 (2016-05-17 16:09) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
過分なお言葉をいただきましてただただ恐縮です。
この帽子を見たとき、ローマ法皇の帽子を連想してしまいました。
ルリハコベとアカバナルリハコベは花冠の色の違いだけなようですので、「変種に区別せず、Anagallis arvensisとすることも多い。」との
記載も見られました。
ウィリアム・モリスの装飾、Pimpernel を見てみました。
小花がルリハコベ(Pimpernel)ですね。落ち着いたデザインなので今なお愛好されているのでしょう。

by 夕菅 (2016-05-17 16:58) 

デスタントドラムス

ルリハコベ、すてきな色合いそしてこんな不思議な花弁・・・
タネもユニーク。
とても勉強になりました。

顕微鏡を使ってこんな美しい写真が写せるのですね。
すごいなあ。
私はデジイチで写しますが使いこなせていないです。

ルリハコベ赤花ルリハコベ、そだててみたくなりました。
by デスタントドラムス (2016-05-17 20:12) 

夕菅

デスタントドラムス さん コメントありがとうございました。
ルリハコベは実際には直径1cmくらいの小さな花で、花が咲いていなかったらハコベと間違えて抜きそうです。
今回は先人のお手本に導かれるまま、細部まで確認できてありがたいことでした。
ルリハコベは朝遅く咲いて3時頃には萎んでしまいますから、お勤めの方は休日しか花が見られません。
by 夕菅 (2016-05-17 22:15) 

703

びっくり!!
花の縁のぎざぎざには気づいていましたが、
顕微鏡で見るとすごいですねえ!
なんて美しいんでしょう、シベの形も、と
あ然としていますよ(笑)
可愛くて綺麗な花が咲いたと喜ぶだけでは、窺い知ることができない、
奥深い世界があることを、またまた思い知りました。
なかなかさんという方のHPも訪問してきましたが、
これまた本格的で、今夜は目を見張り続けています(笑)
あ~、ルリハコベは綺麗ですね~!
by 703 (2016-05-17 23:59) 

多摩NTの住人

こんにちは。ルリハコベは見たことがありませんが、顕微鏡写真にビックリです。大変興味深い写真を見せていただき有り難うございました。
by 多摩NTの住人 (2016-05-18 08:20) 

花咲かばあば

へーと、驚きました。野で出会ったことはありません。花びらのギザギザは,和紙のちぎり絵のよう、、、。顕微鏡での画像は素晴らしいですね。
王冠にでもつけるガーネットのようですね。実を開くとローマ法王の帽子
いかにも、、、。紅い花もアカバナルリハコベ、命名は摩訶不思議
シロバナヤマブキもですね。山吹色という色がありますよね。
本当にかわいい美しい花ですね。
昔、佐賀県の野で見た花と思っていましたが、どうやらヤマルリソウだったようです。感動のお話でした。
by 花咲かばあば (2016-05-18 09:28) 

夕菅

703さん 長旅でお疲れのところコメントありがとうございました。
2年前種を頂いたおかげでこんな楽しい体験ができました。
703さんが既に花の縁のぎざぎざには気づいていらっしゃたとは素晴らしいです!私など、なかなかさんのHPを見て初めて見直しました。
顕微鏡写真は迫力がありますが、なかなかさんのような素晴らしい写真は撮れません。
でも気になっていたのでアカバナルリハコベの方を再撮影して先程入れ替えました。もう一度見てください!
by 夕菅 (2016-05-18 11:22) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
ルリハコベは雑草化しても良さそうですのにあまり見ませんね。
昨年5月14日「ゆく春」に初登場、今年はやっと宿題が果たせました。
by 夕菅 (2016-05-18 11:29) 

夕菅

花咲かばあばさん コメントありがとうございました。
久しぶりにワクワクしながらブログに取り組めました。
これもなかなかさんのすばらしいHPがあってこそ、私は追体験させていただいたにすぎません。
アカバナルリハコベの顕微鏡画像がよくなかったので、今朝撮り直しました。もう一度確認してくださいね。
今年は忘れないように種を保存しておきます。
by 夕菅 (2016-05-18 11:36) 

リンちゃんママ

ルリハコベの一輪の写真は和紙で作った花ににて、また顕微鏡での拡大写真ではビーズの花のように見え興味深いです。同じ花が拡大する事により想像もしなかった形に変わりいつも興味深々でみています。肉眼で見えない世界をとても楽しみにしてみています。
by リンちゃんママ (2016-05-24 22:35) 

夕菅

リンちゃんママさんコメントありがとうございました。
ルリハコベは花が咲いていない時はハコベと間違えて抜きそうになるような植物ですが、1花採って拡大するとかなり楽しめました。
時には顕微鏡もいいですね。
和紙とビーズの例え、ぴったりですね!
by 夕菅 (2016-05-24 23:39) 

とんとん

更新もとどこっているところですが、久しぶりにおじゃまして寝ぼけた目がパッと覚めました。
フィルムカメラの頃、一度ルリハコベをアップしていて今見直してみたら確かに花びらの縁がギザギザです。
こんなに面白いことになっていたとは!
腺毛の密で虫を呼ぶためでしょうか。
実に線が入っているところもスゴイですね。
顕微鏡写真、素晴らしいです。
by とんとん (2016-07-11 09:09) 

夕菅

とんとんさん コメントありがとうございました。
ルリハコベは私も長い間の宿題でした。
古い写真でも拡大すると花弁の突起がきれいに見えることがありますね。
蜜は入っていないはずですからダマシのテクニックでしょうか?
目下、術後の身体でしゃがめないので、デスクワークで補いました。
by 夕菅 (2016-07-11 15:00) 

華

こんにちは はじめましてよろしくお願いいたします
ブログで分からない時に教えて下さる方が有るのは嬉しいです
数年で有ってから楽しみにルリハコベを写しに海岸に行っているのですがごく最近ホタルカズラではないでしょうかとコメントを頂き調べていて訪問させていただきました ルリハコベが独走と知ったばかりですが色が奇麗で可愛いのです まさに危険信号の様な赤青黄の色で出来ていてびっくりしました 違いが改めて良く分かりました
by 華 (2018-05-13 13:01) 

夕菅

華さん 初めまして。
私の記事は形の面白さだけで毒性については触れてなかったですね。
検索してみるとやはりルリハコベには毒があって、家畜が間違って食べると有害と。但し味が悪いからあまり食べないようです。
ホタルカズラも友人からいただいて庭で咲いています。
by 夕菅 (2018-05-14 12:55) 

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