シナノアキギリ? サクキバナアキギリ? [草花(秋)]
2年前、園芸店で「キバナアキギリ」のラベルがついた苗を購入し半日陰に植えました。
キバナアキギリ(黄花秋桐 Salvia nipponica )は シソ科アキギリ属の多年草です。
たちまち驚くほど勢い良く繁殖、タイワンホトトギスにも負けぬほどです。
草丈は40〜50cm。
ただし、倒れている茎を引き上げると80〜90cmになるものもありました。
倒れた茎から根が出て繁殖しています。
花は上下に裂けた唇形、上唇からは黄色い雌しべが飛び出しています。
ネット画像で見るキバナアキギリの雌しべの先端は薄紫色でしたがこれは2裂した柱頭まで黄色です。花の大きさは3cm弱。
花冠は5枚の花弁が筒状にくっついた合弁花冠。
中央に二つづつ見えるのは仮雄しべ。
仮雄しべもキバナアキギリは紫色のはずですが、これはクリーム色です。
キバナアキギリではなさそうですね?
近縁種を調べると「シナノアキギリ」がありました。
シナノアキギリ (信濃秋桐)
学名:Salvia koyamae
長野県で小山海太郎氏が発見、牧野富太郎博士が発表された日本固有種。
絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
その花は雌しべや仮雄しべもクリーム色でこの庭の花とよく似ています。
キバナアキギリとシナノアキギリの第1の鑑別点は葉で、前者は矛形(ほこがた)、後者は円心形で大きく20cmにもなるそうです。
この庭のは円心形に近いのですがやや長めのハート形が多いようです。
大きな葉は長径が15cmありました。
まれに矛形の名残のような出っ張りがある葉もあります。
花が咲く前の若葉。
円心形とは言いにくいところがあります。
次に花を拡大してみます。
腺毛に覆われた萼から筒状の花弁が伸び、上下に分かれて開いています。
花冠にも細い繊毛が見られます。
雌しべの先端は二つに分岐。
雄しべはどこでしょう?
上唇は左右から中央まで伸び筒状になります。
その裂け目の上端から雌しべ、下端から仮雄しべが2個飛び出しています。
たまたま裂け目から葯が飛び出している花がありました。
雄しべは上唇の中にあったのです。
1花採取して上唇を開いてみました。
2本の雄しべが並び、その上端にある葯から花粉がこぼれました。
下端は花粉を出さない仮雄しべとなり、ここにハナバチが乗ると、てこの仕組みで葯が飛び出しハチに花粉を振り掛ける仕組みです。
アキギリ属の同定には「毛環」が参考になるようですが、ネット画像が確認できません。
この花の花冠を開くと確かに環状に毛が密生している部分がありました。
この節の4つの花は開花時期がバラバラです。
例外的ですが、右上の花はまだ花粉を出さない葯が露出しています。
上の画像の左下の萼はすでに花冠が脱落した後です。
軽く閉じた萼を開くと中に種子が4個見えました。
萼も腺毛に覆われています。
熟した種子も見つかりました。
茎は四角形で腺毛が密集し、触れるとべとべとします。
葉の表には細かい軟毛。
葉の裏にはやや太い軟毛が密生。
さてこの花は何でしょう?
キバナアキギリとは花も葉も異なります。
シナノアキギリとは花は同じ、葉の形も似ていますがやや小さく長いようです。
さらに検索すると「サクキバナアキギリ」というキバナアキギリとシナノアキギリの自然交配種があることがわかりました。
サクキバナアキギリ(佐久黄花秋桐)
1998年、小澤正幸・井上健氏が佐久地方で発見、翌年日原誠介氏らが新雑種として発表されました。
その詳細は分かりませんが、両者の中間形かと推定されます。
この庭に来た黄花の秋桐はシナノアキギリもしくはサクキバナアキギリかと思われます。
未だ文献不足で同定しきれませんが、記録として残しました。
キバナアキギリ(黄花秋桐 Salvia nipponica )は シソ科アキギリ属の多年草です。
たちまち驚くほど勢い良く繁殖、タイワンホトトギスにも負けぬほどです。
草丈は40〜50cm。
ただし、倒れている茎を引き上げると80〜90cmになるものもありました。
倒れた茎から根が出て繁殖しています。
花は上下に裂けた唇形、上唇からは黄色い雌しべが飛び出しています。
ネット画像で見るキバナアキギリの雌しべの先端は薄紫色でしたがこれは2裂した柱頭まで黄色です。花の大きさは3cm弱。
花冠は5枚の花弁が筒状にくっついた合弁花冠。
中央に二つづつ見えるのは仮雄しべ。
仮雄しべもキバナアキギリは紫色のはずですが、これはクリーム色です。
キバナアキギリではなさそうですね?
近縁種を調べると「シナノアキギリ」がありました。
シナノアキギリ (信濃秋桐)
学名:Salvia koyamae
長野県で小山海太郎氏が発見、牧野富太郎博士が発表された日本固有種。
絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
その花は雌しべや仮雄しべもクリーム色でこの庭の花とよく似ています。
キバナアキギリとシナノアキギリの第1の鑑別点は葉で、前者は矛形(ほこがた)、後者は円心形で大きく20cmにもなるそうです。
この庭のは円心形に近いのですがやや長めのハート形が多いようです。
大きな葉は長径が15cmありました。
まれに矛形の名残のような出っ張りがある葉もあります。
花が咲く前の若葉。
円心形とは言いにくいところがあります。
次に花を拡大してみます。
腺毛に覆われた萼から筒状の花弁が伸び、上下に分かれて開いています。
花冠にも細い繊毛が見られます。
雌しべの先端は二つに分岐。
雄しべはどこでしょう?
上唇は左右から中央まで伸び筒状になります。
その裂け目の上端から雌しべ、下端から仮雄しべが2個飛び出しています。
たまたま裂け目から葯が飛び出している花がありました。
雄しべは上唇の中にあったのです。
1花採取して上唇を開いてみました。
2本の雄しべが並び、その上端にある葯から花粉がこぼれました。
下端は花粉を出さない仮雄しべとなり、ここにハナバチが乗ると、てこの仕組みで葯が飛び出しハチに花粉を振り掛ける仕組みです。
アキギリ属の同定には「毛環」が参考になるようですが、ネット画像が確認できません。
この花の花冠を開くと確かに環状に毛が密生している部分がありました。
この節の4つの花は開花時期がバラバラです。
例外的ですが、右上の花はまだ花粉を出さない葯が露出しています。
上の画像の左下の萼はすでに花冠が脱落した後です。
軽く閉じた萼を開くと中に種子が4個見えました。
萼も腺毛に覆われています。
熟した種子も見つかりました。
茎は四角形で腺毛が密集し、触れるとべとべとします。
葉の表には細かい軟毛。
葉の裏にはやや太い軟毛が密生。
さてこの花は何でしょう?
キバナアキギリとは花も葉も異なります。
シナノアキギリとは花は同じ、葉の形も似ていますがやや小さく長いようです。
さらに検索すると「サクキバナアキギリ」というキバナアキギリとシナノアキギリの自然交配種があることがわかりました。
サクキバナアキギリ(佐久黄花秋桐)
1998年、小澤正幸・井上健氏が佐久地方で発見、翌年日原誠介氏らが新雑種として発表されました。
その詳細は分かりませんが、両者の中間形かと推定されます。
この庭に来た黄花の秋桐はシナノアキギリもしくはサクキバナアキギリかと思われます。
未だ文献不足で同定しきれませんが、記録として残しました。
2016-10-26 23:03
コメント(10)
秋の庭にて(メヒシバなど) [庭便り(秋)]
秋の庭にて(メヒシバなど)
台風の後、足早に秋の気配が深まってきました。
ここのシロホトトギスはまあまあ葉も残って見頃です。
左下部にはキンミズヒキが侵入中。
キンミズヒキの緑色の実の間にメヒシバの穂が見えました。
これは困ります。見つけた時に退治しなければと踏み込んで数本抜去(↓抜去後)。
近くで見るとまた茎や葉が見えて次々とメヒシバを抜きました。
これを繰り返して一株分終了。
ふと足元を見ると「わ〜!」。
ズボンにキンミズヒキの実がびっしり付いていました!
副萼片の先端がカギ状に曲がっていて、いとも簡単にくっつきます。
ズボンを履き替え、キンミズヒキの実を一粒づつ取りました。
全部で142粒(笑)。
黒褐色になったものからまだとても小さい実まであります。
こんなに若い実までしっかりくっつくとは思っていませんでした。
(キンミズヒキについては2014年に記事にしました。)
近くのカリガネソウの花ももう終盤。
キタキチョウが名残惜しげにゆっくり蜜を吸っていました。
寄せ植えの大きな植木鉢からもメヒシバの葉が見えました。
引き抜くとあらら、梅の実です。
茎の先端が実の中へ入っているのかな?
いいえ、違います。
葉腋から出た細い根がウメの実の中に入っているようです。
でも、植木鉢に梅の種があるのはなぜでしょう?
梅の木の下に堆肥場があるのです。完熟して落ちた梅の実はそのまま堆肥になります。
残った種が堆肥に含まれたまま植木鉢に撒かれたのでしょう。
実をペンチで二つに割りました。
さらに2分割。
根は硬い殻(木化した内果皮)に入り込んでいます。
逆さにすると根が殻の中に入り込んでいるのが見えました。
どこまで侵入してるのかな?
もっと小さく割ったら根が外れて出ました。
たったこれだけ?
思いの外、あっけない結末!
今年は白絹病に驚かされましたが、大多数のシュウメイギクはまだ健在でした。
花弁の形はまちまちで素朴な花、しばらく楽しめそうです。
台風の後、足早に秋の気配が深まってきました。
ここのシロホトトギスはまあまあ葉も残って見頃です。
左下部にはキンミズヒキが侵入中。
キンミズヒキの緑色の実の間にメヒシバの穂が見えました。
これは困ります。見つけた時に退治しなければと踏み込んで数本抜去(↓抜去後)。
近くで見るとまた茎や葉が見えて次々とメヒシバを抜きました。
これを繰り返して一株分終了。
ふと足元を見ると「わ〜!」。
ズボンにキンミズヒキの実がびっしり付いていました!
副萼片の先端がカギ状に曲がっていて、いとも簡単にくっつきます。
ズボンを履き替え、キンミズヒキの実を一粒づつ取りました。
全部で142粒(笑)。
黒褐色になったものからまだとても小さい実まであります。
こんなに若い実までしっかりくっつくとは思っていませんでした。
(キンミズヒキについては2014年に記事にしました。)
近くのカリガネソウの花ももう終盤。
キタキチョウが名残惜しげにゆっくり蜜を吸っていました。
寄せ植えの大きな植木鉢からもメヒシバの葉が見えました。
引き抜くとあらら、梅の実です。
茎の先端が実の中へ入っているのかな?
いいえ、違います。
葉腋から出た細い根がウメの実の中に入っているようです。
でも、植木鉢に梅の種があるのはなぜでしょう?
梅の木の下に堆肥場があるのです。完熟して落ちた梅の実はそのまま堆肥になります。
残った種が堆肥に含まれたまま植木鉢に撒かれたのでしょう。
実をペンチで二つに割りました。
さらに2分割。
根は硬い殻(木化した内果皮)に入り込んでいます。
逆さにすると根が殻の中に入り込んでいるのが見えました。
どこまで侵入してるのかな?
もっと小さく割ったら根が外れて出ました。
たったこれだけ?
思いの外、あっけない結末!
今年は白絹病に驚かされましたが、大多数のシュウメイギクはまだ健在でした。
花弁の形はまちまちで素朴な花、しばらく楽しめそうです。
2016-10-12 23:35
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ツキミソウ受難(コスズメとセスジスズメなど) [草花(夏秋)]
ツキミソウ受難(コスズメとセスジスズメなど)
白く清らかな花、ツキミソウについてはすでに2015.5.31.の記事にしました。
昨年は種をまいてベランダで育て、その苗を花壇に植えました。
しかし、ツキミソウが咲き始めるのは7時頃。
丁度夕食時間と重なり、ライトとカメラをを持って往復するのはたいへんでした。
そこで今年はベランダの植木鉢で育てることにしました。
昨年は種まき用トレーに種まき用土を使用。
今年はお彼岸過ぎに昨年採取した種を植木鉢に直播きにしました。
ところが、発芽少数、発育も不良。
やむなく、発芽していない部分に追加して種まきしたところ、今度はよく生えました。
6月12日、柔らかい葉が茂っています。
6月24日、えっ? 葉が無い!
隣の鉢にいたのは丸々太った大きな幼虫!
この鉢は初めの苗が辛うじて1花咲いて、もう青い実ができています(左端)。
調ベてみると、コスズメ(小雀)の幼虫です! 左が頭。
大きな眼状紋と尾状突起が目立ちます。
一鉢分食べ尽くすと隣へ移動!
よくよく見ると幼虫は他の鉢にもいて合計3匹逮捕しました。
さらに、葉の裏にいたのは長い細かい毛が密集した毛虫です。
これはアメリカシロヒトリの幼虫。
毎年オオバボダイジュ・ハナミズキ・サクラにつきますが、草本は初めてです。
この毛虫は触れても痛くも痒くもないので助かります。
さらに8月3日、植木鉢の緑色が激減していました。
よく見ると葉が全部なくなった茎に茶色の幼虫がいました。左が頭。
これもコスズメの幼虫のようです。右が頭。
もう食べる葉がない。果実は硬くて歯が立たない?
そして今度の茶色の幼虫も近くの鉢に合わせて3匹いました!
9月8日
この鉢は今年最初に蒔いた種から花が咲き、種ができ、それが落ちて発芽した2世。
でも急に葉がみすぼらしくなりました。
よく見ると、うわー!
ここにまた3匹の黒い幼虫がいるのがわかりますか?
(右の中ほど・左の上部・左の下部。)
これはセスジスズメ(背筋雀)の幼虫!
黄色やオレンジ色の眼状紋が並んでいます。右が頭。
幾多の苦難を乗り越えて、最後の1鉢の花が今年2度目の花を咲かせました。
深夜には花は淡いピンク色に染まります。
9月15日、中秋の名月。
この夜は2輪のツキミソウが咲きました。
5輪期待していたのですが、3輪は明日の分でした。
9月29日、またまたびっくり仰天です。
大きな茶色のコスズメの幼虫が立位で葉や茎を食べ散らしていました!
今度は1匹だけです。
この他、昨年瑠璃色のカメムシとハムシで紹介したアカバナトビハムシは今年もしつこく付き纏いました。
葉が全部食べられてもツキミソウの硬い果実は残りました。
そして雨が降ると、雨滴散布です!
ヒルザキツキミソウに比べて萼片が丸くて優しい感じです。
左の葉の穴ぼこはアカバナトビハムシの仕業です。
最後に過去にこの庭で写したコスズメとセスジスズメの成虫の画像を添付します。
コスズメ−1 羽ばたきながらヒルザキツキミソウの蜜を吸っています。
コスズメ−2 静止してゆっくり吸蜜中。
セスジスズメ
コスズメとセスジスズメでは幼虫の印象はだいぶ違いますが、成虫はよく似ています。
背中中央の2本の白線が特徴です。まさしく背筋。
今年のツキミソウは波乱万丈でしたが、一鉢は今年2世代目がまだ蕾を持っています。
もうしばらく楽しめそうです。
白く清らかな花、ツキミソウについてはすでに2015.5.31.の記事にしました。
昨年は種をまいてベランダで育て、その苗を花壇に植えました。
しかし、ツキミソウが咲き始めるのは7時頃。
丁度夕食時間と重なり、ライトとカメラをを持って往復するのはたいへんでした。
そこで今年はベランダの植木鉢で育てることにしました。
昨年は種まき用トレーに種まき用土を使用。
今年はお彼岸過ぎに昨年採取した種を植木鉢に直播きにしました。
ところが、発芽少数、発育も不良。
やむなく、発芽していない部分に追加して種まきしたところ、今度はよく生えました。
6月12日、柔らかい葉が茂っています。
6月24日、えっ? 葉が無い!
隣の鉢にいたのは丸々太った大きな幼虫!
この鉢は初めの苗が辛うじて1花咲いて、もう青い実ができています(左端)。
調ベてみると、コスズメ(小雀)の幼虫です! 左が頭。
大きな眼状紋と尾状突起が目立ちます。
一鉢分食べ尽くすと隣へ移動!
よくよく見ると幼虫は他の鉢にもいて合計3匹逮捕しました。
さらに、葉の裏にいたのは長い細かい毛が密集した毛虫です。
これはアメリカシロヒトリの幼虫。
毎年オオバボダイジュ・ハナミズキ・サクラにつきますが、草本は初めてです。
この毛虫は触れても痛くも痒くもないので助かります。
さらに8月3日、植木鉢の緑色が激減していました。
よく見ると葉が全部なくなった茎に茶色の幼虫がいました。左が頭。
これもコスズメの幼虫のようです。右が頭。
もう食べる葉がない。果実は硬くて歯が立たない?
そして今度の茶色の幼虫も近くの鉢に合わせて3匹いました!
9月8日
この鉢は今年最初に蒔いた種から花が咲き、種ができ、それが落ちて発芽した2世。
でも急に葉がみすぼらしくなりました。
よく見ると、うわー!
ここにまた3匹の黒い幼虫がいるのがわかりますか?
(右の中ほど・左の上部・左の下部。)
これはセスジスズメ(背筋雀)の幼虫!
黄色やオレンジ色の眼状紋が並んでいます。右が頭。
幾多の苦難を乗り越えて、最後の1鉢の花が今年2度目の花を咲かせました。
深夜には花は淡いピンク色に染まります。
9月15日、中秋の名月。
この夜は2輪のツキミソウが咲きました。
5輪期待していたのですが、3輪は明日の分でした。
9月29日、またまたびっくり仰天です。
大きな茶色のコスズメの幼虫が立位で葉や茎を食べ散らしていました!
今度は1匹だけです。
この他、昨年瑠璃色のカメムシとハムシで紹介したアカバナトビハムシは今年もしつこく付き纏いました。
葉が全部食べられてもツキミソウの硬い果実は残りました。
そして雨が降ると、雨滴散布です!
ヒルザキツキミソウに比べて萼片が丸くて優しい感じです。
左の葉の穴ぼこはアカバナトビハムシの仕業です。
最後に過去にこの庭で写したコスズメとセスジスズメの成虫の画像を添付します。
コスズメ−1 羽ばたきながらヒルザキツキミソウの蜜を吸っています。
コスズメ−2 静止してゆっくり吸蜜中。
セスジスズメ
コスズメとセスジスズメでは幼虫の印象はだいぶ違いますが、成虫はよく似ています。
背中中央の2本の白線が特徴です。まさしく背筋。
今年のツキミソウは波乱万丈でしたが、一鉢は今年2世代目がまだ蕾を持っています。
もうしばらく楽しめそうです。
2016-10-01 17:50
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メガネツユクサ [草花(夏秋)]
メガネツユクサ
ツユクサ科ケツユクサCommelina communis L. f. ciliata Pennellの園芸品種
別名:フクリンツユクサ
3年前Tさんから頂いたメガネツユクサの苗をオオバボダイジュの下に植えました。
1年草のため種がこぼれてそその後毎年周囲に生えてくるのですが、葉が虫に食べられ写真を撮る気になれません。
でも今年は北側の窓の下に偶々自生、こちらは虫も少なくのびのびと育ちました。
隣に毎年出てくるツユクサと並ばせました。
花の印象はメガネツユクサはふくよかで円く、ツユクサは面長でやや小さい。
ここのメガネツユクサの花の巾は25mm前後、ツユクサは18mm前後。
花弁は3枚。
2枚の大きい花弁は各々巾15mm弱、中は水色、周辺は白色の覆輪。
3枚目の白い小さい花弁は雄しべの下にあって目立ちません。
その後に半透明の萼片が2枚、萼片はもう1枚、後にあります。
ツユクサの特徴は華やかな雄しべですが、メガネツユクサも同じようです。
雄しべには3種類あります。
1段目 X字形( π 字形 ) 3個 花粉 ± メガネツユクサではキノコ形 仮雄しべ
2段目 Y字形(逆V字形) 1個 花粉++ メガネツユクサでは「人」字形の雄しべ
3段目 O字形 (楕円形) 2 個 花粉+++ 主たる雄しべ
ツユクサのY字形とO字形の雄しべの花粉からは果実が出来ますが、X字形雄しべの花粉は不稔性だそうです。Y字形雄しべはかっては仮雄しべかと思われていたのですが、なかなかさんの実験により正常な雄しべであることが確認されました( ※1 )。
メガネツユクサではX字形雄しべはキノコ形をしていて、肉眼では花粉は認められませんが、Y字形雄しべからはかなり花粉が出ています。
O字形雄しべはツユクサのようにすぐ褐色にならずより美しい。
メガネツユクサの雌しべはたいていX字形雄しべの陰になってよく見えません。
この画像では円い子房と長い花柱がよく見えます。
後姿もまた美しい。
花弁の間に小さい萼片がかすかに見えます。
大きな苞には白い毛がたくさん生えています。これはツユクサにはありません。
花の色が白っぽい。
もっと白い花が咲きました。よく見ると真ん中にうっすらと青い色が残っています。
白花ツユクサでは純白の花が咲くそうです( ※2 )。
今年の楽しみは一つの苞に二つ咲く花。これが2〜3組、見つかる日もあります。
苞を折り曲げてみると中に2本の軸がありました。
右は直立する主軸で1花、左は斜めに向かう側枝で花が1つと蕾が一つ。
ツユクサでも同じような咲き方をすることがあります。
主軸には花がつかないこともあり、ついても雌しべが不完全な雄花のことが多いそうです。
しかしもっと早い季節には主軸にも両性花が見られ、結実も観察されています( ※3 )。
これら3枚の1苞2花の画像の上の花には正常の雌しべは認められません。
重なると後姿もより華やかです。
右が主軸で直立して1個の花をつけるものと、花をつけないものがあります。
左は側枝で斜めに伸びて2〜3個の蕾をつけます。
この二つの蕾は同じ日に咲きそうですね。
昆虫がやってきました。
まずは明るい黄色が目立つX字形雄しべへ。
何と、このハナバチは2つのO字形雄しべを丸抱え!
想定ではY字形雄しべの花粉を食べながら、尾部にO字形雄しべの花粉をつけるはずだったのです。
でも全身に花粉が付いていますから花粉運搬には役立つのでしょう。
花は午前中でほとんど閉じます(半日花)。
12時すぎには花弁に黒いシミが入り、しべを包むように閉じてきます。
しべの方も花糸や花柱をくるりと巻き上げて花弁に包まれながら苞の中に納まります。
大きな果実が二つ並んでいます。
蕾は4〜5個できても苞におさまる果実は2個が多いようです。
ツユクサは先ず蕾の中で自家受粉、さらに昆虫による他家受粉と花糸の巻き上げによる自家受粉により多くの種子を作ります( ※4 )。
メガネツユクサも同様でしょうか? 蕾の中で自家受粉については確認していません。
右がメガネツユクサ、左がツユクサの果実です。
苞はメガネツユクサのは円く、ツユクサでは先端がやや尖っています。
共に主軸には実が付かず、側枝に2個づつ俵型の実ができています。
花はメガネツユクサの方が大きかったのですが、実はほとんど変わりません。
苞が褐色になり、中の種子が黒く乾燥して完熟です。
種子は1個の俵型果実の中に上下2個づつ、合わせて4個出来ます。
追加:葉は互生、披針形で、基部は鞘となって茎を取り巻いています。
鞘にも毛があります。
ツユクサについては多くの観察・研究がなされ、大変難しい植物として敬遠してきました。
でも今年はメガネツユクサが虫に食べられずに育ち、1つの苞に2花並んで咲く姿が多く見られたためブログに載せたくなりました。
この際また、なかなかさんの「花*花・Flora」の「ツユクサについて」 を参考にさせていただきました。( ※ )では参考ページをリンクしました。
"http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/tuyu-kusa-top.htm"
なかなかさんによればメガネツユクサの染色体数は関東地方以北に分布しているケツユクサと同じく 2n=48 のようです。( ※5 )
誤りが有りましたらどうぞお教えいただけますようお願いします。
ツユクサ科ケツユクサCommelina communis L. f. ciliata Pennellの園芸品種
別名:フクリンツユクサ
3年前Tさんから頂いたメガネツユクサの苗をオオバボダイジュの下に植えました。
1年草のため種がこぼれてそその後毎年周囲に生えてくるのですが、葉が虫に食べられ写真を撮る気になれません。
でも今年は北側の窓の下に偶々自生、こちらは虫も少なくのびのびと育ちました。
隣に毎年出てくるツユクサと並ばせました。
花の印象はメガネツユクサはふくよかで円く、ツユクサは面長でやや小さい。
ここのメガネツユクサの花の巾は25mm前後、ツユクサは18mm前後。
花弁は3枚。
2枚の大きい花弁は各々巾15mm弱、中は水色、周辺は白色の覆輪。
3枚目の白い小さい花弁は雄しべの下にあって目立ちません。
その後に半透明の萼片が2枚、萼片はもう1枚、後にあります。
ツユクサの特徴は華やかな雄しべですが、メガネツユクサも同じようです。
雄しべには3種類あります。
1段目 X字形( π 字形 ) 3個 花粉 ± メガネツユクサではキノコ形 仮雄しべ
2段目 Y字形(逆V字形) 1個 花粉++ メガネツユクサでは「人」字形の雄しべ
3段目 O字形 (楕円形) 2 個 花粉+++ 主たる雄しべ
ツユクサのY字形とO字形の雄しべの花粉からは果実が出来ますが、X字形雄しべの花粉は不稔性だそうです。Y字形雄しべはかっては仮雄しべかと思われていたのですが、なかなかさんの実験により正常な雄しべであることが確認されました( ※1 )。
メガネツユクサではX字形雄しべはキノコ形をしていて、肉眼では花粉は認められませんが、Y字形雄しべからはかなり花粉が出ています。
O字形雄しべはツユクサのようにすぐ褐色にならずより美しい。
メガネツユクサの雌しべはたいていX字形雄しべの陰になってよく見えません。
この画像では円い子房と長い花柱がよく見えます。
後姿もまた美しい。
花弁の間に小さい萼片がかすかに見えます。
大きな苞には白い毛がたくさん生えています。これはツユクサにはありません。
花の色が白っぽい。
もっと白い花が咲きました。よく見ると真ん中にうっすらと青い色が残っています。
白花ツユクサでは純白の花が咲くそうです( ※2 )。
今年の楽しみは一つの苞に二つ咲く花。これが2〜3組、見つかる日もあります。
苞を折り曲げてみると中に2本の軸がありました。
右は直立する主軸で1花、左は斜めに向かう側枝で花が1つと蕾が一つ。
ツユクサでも同じような咲き方をすることがあります。
主軸には花がつかないこともあり、ついても雌しべが不完全な雄花のことが多いそうです。
しかしもっと早い季節には主軸にも両性花が見られ、結実も観察されています( ※3 )。
これら3枚の1苞2花の画像の上の花には正常の雌しべは認められません。
重なると後姿もより華やかです。
右が主軸で直立して1個の花をつけるものと、花をつけないものがあります。
左は側枝で斜めに伸びて2〜3個の蕾をつけます。
この二つの蕾は同じ日に咲きそうですね。
昆虫がやってきました。
まずは明るい黄色が目立つX字形雄しべへ。
何と、このハナバチは2つのO字形雄しべを丸抱え!
想定ではY字形雄しべの花粉を食べながら、尾部にO字形雄しべの花粉をつけるはずだったのです。
でも全身に花粉が付いていますから花粉運搬には役立つのでしょう。
花は午前中でほとんど閉じます(半日花)。
12時すぎには花弁に黒いシミが入り、しべを包むように閉じてきます。
しべの方も花糸や花柱をくるりと巻き上げて花弁に包まれながら苞の中に納まります。
大きな果実が二つ並んでいます。
蕾は4〜5個できても苞におさまる果実は2個が多いようです。
ツユクサは先ず蕾の中で自家受粉、さらに昆虫による他家受粉と花糸の巻き上げによる自家受粉により多くの種子を作ります( ※4 )。
メガネツユクサも同様でしょうか? 蕾の中で自家受粉については確認していません。
右がメガネツユクサ、左がツユクサの果実です。
苞はメガネツユクサのは円く、ツユクサでは先端がやや尖っています。
共に主軸には実が付かず、側枝に2個づつ俵型の実ができています。
花はメガネツユクサの方が大きかったのですが、実はほとんど変わりません。
苞が褐色になり、中の種子が黒く乾燥して完熟です。
種子は1個の俵型果実の中に上下2個づつ、合わせて4個出来ます。
追加:葉は互生、披針形で、基部は鞘となって茎を取り巻いています。
鞘にも毛があります。
ツユクサについては多くの観察・研究がなされ、大変難しい植物として敬遠してきました。
でも今年はメガネツユクサが虫に食べられずに育ち、1つの苞に2花並んで咲く姿が多く見られたためブログに載せたくなりました。
この際また、なかなかさんの「花*花・Flora」の「ツユクサについて」 を参考にさせていただきました。( ※ )では参考ページをリンクしました。
"http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/tuyu-kusa-top.htm"
なかなかさんによればメガネツユクサの染色体数は関東地方以北に分布しているケツユクサと同じく 2n=48 のようです。( ※5 )
誤りが有りましたらどうぞお教えいただけますようお願いします。
2016-09-22 23:45
コメント(18)
白絹病 [庭便り(夏)]
白絹病
ここ2〜3年ユーパトリウム・フジバカマ・シュウメイギクなどがところどころ枯れます。
抜去すると白い糸くずのようなものが見えました。
白絹病では?と思いながらも抜いただけで放置。
ところが今夏はクリスマスローズ・ホトトギス・ホタルブクロ・ワレモコウにも感染?
そしてさらに菜園のトウガラシにまで波及しました。
一番驚いたのはこのフジバカマです。
大半の葉が枯れていました(左上と右下はシュウメイギク)。
その株元を見ると褐色の粒々!
さらにその周りから敷石に向かって白く輝くものは何?
拡大します。
まるで粒状肥料を撒いたようです。
その周りに白い羽のようなものが放射状に広がっています。
枯れ葉を除けると茎の根元にも白色や褐色の粒子がいっぱい!
その間には細くて白い糸のようなものが這っています。
ひょっとしてこれも白絹病?
急いで「白絹病」を検索、まさしくこれと確認しました。
まだ枯れていない株元にも白い繊維が絡まっています。
これが「菌糸」です。
白色または褐色の粒子は「菌核」でした。
病変は地際部に顕著であまり深くへは及んでいません。
光沢のある白い絹糸のような菌糸。
まずは葉が枯れた株を抜去しました。
茎の下部から根元にかけて菌糸が膜状に覆っています。
まるでソックスを履いたように限局。
菌糸は光沢があって写真がどれもボケてしまいました。
根元はほとんど白い菌糸に包まれています。
枯死寸前にも生き残ろうと新芽を伸ばす生命力!
今年は辛くないトウガラシ「万願寺」を3本植えました。
食べきれないほど豊作だったのに、一番大きい株が枯れ、左の株も萎れ始めました。
根元の藁や葉を除去してみるとやはり白色や褐色の菌核が現れました。
野菜にも白絹病が広がったのです!
白絹病の病原菌はきわめて多犯性で 55科160余種の植物に寄生するそうです。
野菜ではトマト・ナス・キュウリ・スイカ・トウガラシ・ダイコン・ネギ・ニンジン・インゲン・ダイズ・サトイモ・ジャガイモ・フキなど。
ユーパトリウムの枯れた茎を抜くとやはり根元は真っ白でした。
しかしまだ菌核は形成されていません。
茎の最下部が白変しています。
ユーパトリウムもフジバカマと同じくキク科ヒヨドリバナ属。
好発するのはキク・クレマチス・ミヤコワスレ・アルストロメリア・ガーベラ・ボタン・シャクヤク・パンジー・チューリップ・アイリス・ユリ・バラ・ギボウシ・ジンチョウゲなどと。
菌糸を顕微鏡で見てみました。
確かに糸状菌です。
検索すると病原菌は Sclerotium rolfsii という土壌生息菌。
菌糸から菌核を形成し土中で越冬、翌年発芽して菌糸を伸長させ植物に寄生するのです。
菌核は1〜2mmの球形。初め白色、次第に淡褐色から濃褐色へと変化します。
菌の最適生育温度:32〜33℃。至適pH :5.9。
かくして今年はフジバカマを殆ど抜き捨てました。
フジバカマは万葉の時代から日本で親しまれてきた花ですが、自生種は絶滅が危ぶまれるほど稀少となり、近年「フジバカマ」の名で市販されているものの多くは、フジバカマとサワヒヨドリの雑種(サワフジバカマ)だそうです。
この庭ではアズレアとの共演も良い雰囲気でした。
2007年の秋、このフジバカマにアサギマダラが舞い降りてくれました。
こんなことは一生に一度の幸運と思いながらも、今一度の夢を残してフジバカマを育てていたのです。
今年の猛暑はこの庭の白絹病を一気に増悪させてしまったようです。
とにかく病変のある株は抜き、菌核や菌糸は可能な限り掬い取りました。
菌核は古くなると濃褐色になって土と見分けがつかなくなってしまうそうです。
除菌にはどうすればいいのでしょうか? 検索してみました。
1)深く掘って上層部の土と入れ替える(天地返し)。
2)暑い日に黒いビニールで覆って高温にする。
3)薬品を用いる(フルトラニルなど)。
4)石灰を撒く(土をアルカリ性にする)。
1)を試したいのですが、体力がありません。
今年は初めて3)のフルトラニル製剤を蒔きました。効果があるといいのですが...........。
ここ2〜3年ユーパトリウム・フジバカマ・シュウメイギクなどがところどころ枯れます。
抜去すると白い糸くずのようなものが見えました。
白絹病では?と思いながらも抜いただけで放置。
ところが今夏はクリスマスローズ・ホトトギス・ホタルブクロ・ワレモコウにも感染?
そしてさらに菜園のトウガラシにまで波及しました。
一番驚いたのはこのフジバカマです。
大半の葉が枯れていました(左上と右下はシュウメイギク)。
その株元を見ると褐色の粒々!
さらにその周りから敷石に向かって白く輝くものは何?
拡大します。
まるで粒状肥料を撒いたようです。
その周りに白い羽のようなものが放射状に広がっています。
枯れ葉を除けると茎の根元にも白色や褐色の粒子がいっぱい!
その間には細くて白い糸のようなものが這っています。
ひょっとしてこれも白絹病?
急いで「白絹病」を検索、まさしくこれと確認しました。
まだ枯れていない株元にも白い繊維が絡まっています。
これが「菌糸」です。
白色または褐色の粒子は「菌核」でした。
病変は地際部に顕著であまり深くへは及んでいません。
光沢のある白い絹糸のような菌糸。
まずは葉が枯れた株を抜去しました。
茎の下部から根元にかけて菌糸が膜状に覆っています。
まるでソックスを履いたように限局。
菌糸は光沢があって写真がどれもボケてしまいました。
根元はほとんど白い菌糸に包まれています。
枯死寸前にも生き残ろうと新芽を伸ばす生命力!
今年は辛くないトウガラシ「万願寺」を3本植えました。
食べきれないほど豊作だったのに、一番大きい株が枯れ、左の株も萎れ始めました。
根元の藁や葉を除去してみるとやはり白色や褐色の菌核が現れました。
野菜にも白絹病が広がったのです!
白絹病の病原菌はきわめて多犯性で 55科160余種の植物に寄生するそうです。
野菜ではトマト・ナス・キュウリ・スイカ・トウガラシ・ダイコン・ネギ・ニンジン・インゲン・ダイズ・サトイモ・ジャガイモ・フキなど。
ユーパトリウムの枯れた茎を抜くとやはり根元は真っ白でした。
しかしまだ菌核は形成されていません。
茎の最下部が白変しています。
ユーパトリウムもフジバカマと同じくキク科ヒヨドリバナ属。
好発するのはキク・クレマチス・ミヤコワスレ・アルストロメリア・ガーベラ・ボタン・シャクヤク・パンジー・チューリップ・アイリス・ユリ・バラ・ギボウシ・ジンチョウゲなどと。
菌糸を顕微鏡で見てみました。
確かに糸状菌です。
検索すると病原菌は Sclerotium rolfsii という土壌生息菌。
菌糸から菌核を形成し土中で越冬、翌年発芽して菌糸を伸長させ植物に寄生するのです。
菌核は1〜2mmの球形。初め白色、次第に淡褐色から濃褐色へと変化します。
菌の最適生育温度:32〜33℃。至適pH :5.9。
かくして今年はフジバカマを殆ど抜き捨てました。
フジバカマは万葉の時代から日本で親しまれてきた花ですが、自生種は絶滅が危ぶまれるほど稀少となり、近年「フジバカマ」の名で市販されているものの多くは、フジバカマとサワヒヨドリの雑種(サワフジバカマ)だそうです。
この庭ではアズレアとの共演も良い雰囲気でした。
2007年の秋、このフジバカマにアサギマダラが舞い降りてくれました。
こんなことは一生に一度の幸運と思いながらも、今一度の夢を残してフジバカマを育てていたのです。
今年の猛暑はこの庭の白絹病を一気に増悪させてしまったようです。
とにかく病変のある株は抜き、菌核や菌糸は可能な限り掬い取りました。
菌核は古くなると濃褐色になって土と見分けがつかなくなってしまうそうです。
除菌にはどうすればいいのでしょうか? 検索してみました。
1)深く掘って上層部の土と入れ替える(天地返し)。
2)暑い日に黒いビニールで覆って高温にする。
3)薬品を用いる(フルトラニルなど)。
4)石灰を撒く(土をアルカリ性にする)。
1)を試したいのですが、体力がありません。
今年は初めて3)のフルトラニル製剤を蒔きました。効果があるといいのですが...........。
2016-09-10 11:27
コメント(16)
ヒメイワダレソウ [草花(夏)]
ヒメイワダレソウ
クマツヅラ科イワダレソウ属の多年草
学名:Lippia canescens
別名:リッピア
原産地:南アメリカのペルー(日本には昭和初期に導入)
花期:5〜10月
庭のヒメイワダレソウ、この花を初めて植えたのは12年前でした。
園芸店で苗を見つけ、駐車場周辺のグランドカバー用に購入したのです。
冬期葉は枯れますが丈夫な茎が残り、春には緑の葉が蘇って5月頃より花が咲きます。
6月、最盛期の花。
淡いピンクの花が溢れんばかりに咲きました。
雑草が生える隙間も残さぬ地披植物、その上花も美しく満足でした。
その年増設した駐車場の周囲には雑草がたくさん生えそうでした。
そのためグランドカバープランツを植えて草取りを減らしたかったのです。
踏まれても大丈夫でないと困ります。
初めに植えた「玉竜」は日が当たり過ぎたのか枯れました。
奥に植えたコバノランタナもクマツヅラ科、これはシチヘンゲ属で花も葉も一回り大きい。
その周りにもヒメイワダレソウがびっしり茂り、文字通り土が見えなくなりました。
ところが、その後ヒメイワダレソウは花壇や家庭菜園にも侵入してきたのです。
右側の通路(トレニアの右)のヒメイワダレソウは踏まれて葉も小さい。
しかし土が柔かく肥料分のある畑の葉は大きく艶も良く、菜っ葉は負けそうです。
黄色の花はこぼれ種で自生したメランポジウム、これまたたくましい園芸種です。
前の緑のふわふわはアスパラガスの苗。
それらをも覆い尽くしそうなヒメイワダレソウの勢い!
家庭菜園を保つためにはヒメイワダレソウを撤去せざるを得ません。
一方、最も茂らせたかった駐車スペースでは逆にイネ科の雑草に負けました。
ここは水はけが悪いため、ヒメイワダレソウが育ちにくいのかもしれません。
ヒメイワダレソウの花にはミツバチやチョウが頻繁に訪れています。
このセイヨウミツバチは花の中央に口吻を差し込んでいます。
私も花冠をつまんで抜き、下端を舐めてみました。
かすかに甘い。やはり蜜があるようです。
穂状花序の直径は1cm強。下から順に唇形花が開いて周辺に並びます。
花冠中央に黄色の斑紋(蜜票)があり、雄しべが2つ覗いています。
後姿もなかなか美しい。
葉は対生し、やや厚目、粗い鋸歯があります。
葉は長くても2cm弱。
葉腋から長い柄のある穂状花序が立ち上がります。
一方、下へは葉腋ごとに不定根を出して匍匐増殖。
切り刻んでばらまいても増えるわけです。
一般にヒメイワダレソウは不捻性と言われていますが、種子を作る場合もあるようです。
枯れて褐色になった花冠を引き抜いてみました。
数個は子房が膨らんでいるように見えますが?
黒褐色になった穂の花がらをバラバラにしてみました。
この中に稔性のある種子があるのかどうか?
この花はポット苗やマットで販売され、種子としては流通していないようです。
この10年、増えすぎたヒメイワダレソウはこの庭の畑や花壇から抜去してきました。
しかし、さすがに強い!
縁石を乗り越え、アスファルトの上を這ってマット状に広がっていくのです。
長く横に這う枝は太くなるとロープのように強く、つまずいて転びそうになります。
温暖な地方では常緑のようですが、当地では冬は枯れますから花が終わるとカットして捨てます。
それでも春にはいつの間にか芽生えて再生。
美しい花を咲かせるグランドカバープランツ。
魅惑的なことばに飛びつきましたが、この庭では使いこなせませんでした。
法面の緑化・建物緑化・芝生の代用などにも利用が考えられたようですが結果はどうでしょうか?
なお、平成27年3月、環境省生態系被害防止外来種リスト(緊急対策外来種ではなく重点対策外来種として)に追加指定されたようです。
これを改善して種子を作らない「クラピア」という品種が作られ販売されています。
芝生の代わりに植えて柔らかく美しいグリーンを楽しまれている方の記事も読みました。
やはり従来のヒメイワダレソウの種子の発芽率が気になります。
クマツヅラ科イワダレソウ属の多年草
学名:Lippia canescens
別名:リッピア
原産地:南アメリカのペルー(日本には昭和初期に導入)
花期:5〜10月
庭のヒメイワダレソウ、この花を初めて植えたのは12年前でした。
園芸店で苗を見つけ、駐車場周辺のグランドカバー用に購入したのです。
冬期葉は枯れますが丈夫な茎が残り、春には緑の葉が蘇って5月頃より花が咲きます。
6月、最盛期の花。
淡いピンクの花が溢れんばかりに咲きました。
雑草が生える隙間も残さぬ地披植物、その上花も美しく満足でした。
その年増設した駐車場の周囲には雑草がたくさん生えそうでした。
そのためグランドカバープランツを植えて草取りを減らしたかったのです。
踏まれても大丈夫でないと困ります。
初めに植えた「玉竜」は日が当たり過ぎたのか枯れました。
奥に植えたコバノランタナもクマツヅラ科、これはシチヘンゲ属で花も葉も一回り大きい。
その周りにもヒメイワダレソウがびっしり茂り、文字通り土が見えなくなりました。
ところが、その後ヒメイワダレソウは花壇や家庭菜園にも侵入してきたのです。
右側の通路(トレニアの右)のヒメイワダレソウは踏まれて葉も小さい。
しかし土が柔かく肥料分のある畑の葉は大きく艶も良く、菜っ葉は負けそうです。
黄色の花はこぼれ種で自生したメランポジウム、これまたたくましい園芸種です。
前の緑のふわふわはアスパラガスの苗。
それらをも覆い尽くしそうなヒメイワダレソウの勢い!
家庭菜園を保つためにはヒメイワダレソウを撤去せざるを得ません。
一方、最も茂らせたかった駐車スペースでは逆にイネ科の雑草に負けました。
ここは水はけが悪いため、ヒメイワダレソウが育ちにくいのかもしれません。
ヒメイワダレソウの花にはミツバチやチョウが頻繁に訪れています。
このセイヨウミツバチは花の中央に口吻を差し込んでいます。
私も花冠をつまんで抜き、下端を舐めてみました。
かすかに甘い。やはり蜜があるようです。
穂状花序の直径は1cm強。下から順に唇形花が開いて周辺に並びます。
花冠中央に黄色の斑紋(蜜票)があり、雄しべが2つ覗いています。
後姿もなかなか美しい。
葉は対生し、やや厚目、粗い鋸歯があります。
葉は長くても2cm弱。
葉腋から長い柄のある穂状花序が立ち上がります。
一方、下へは葉腋ごとに不定根を出して匍匐増殖。
切り刻んでばらまいても増えるわけです。
一般にヒメイワダレソウは不捻性と言われていますが、種子を作る場合もあるようです。
枯れて褐色になった花冠を引き抜いてみました。
数個は子房が膨らんでいるように見えますが?
黒褐色になった穂の花がらをバラバラにしてみました。
この中に稔性のある種子があるのかどうか?
この花はポット苗やマットで販売され、種子としては流通していないようです。
この10年、増えすぎたヒメイワダレソウはこの庭の畑や花壇から抜去してきました。
しかし、さすがに強い!
縁石を乗り越え、アスファルトの上を這ってマット状に広がっていくのです。
長く横に這う枝は太くなるとロープのように強く、つまずいて転びそうになります。
温暖な地方では常緑のようですが、当地では冬は枯れますから花が終わるとカットして捨てます。
それでも春にはいつの間にか芽生えて再生。
美しい花を咲かせるグランドカバープランツ。
魅惑的なことばに飛びつきましたが、この庭では使いこなせませんでした。
法面の緑化・建物緑化・芝生の代用などにも利用が考えられたようですが結果はどうでしょうか?
なお、平成27年3月、環境省生態系被害防止外来種リスト(緊急対策外来種ではなく重点対策外来種として)に追加指定されたようです。
これを改善して種子を作らない「クラピア」という品種が作られ販売されています。
芝生の代わりに植えて柔らかく美しいグリーンを楽しまれている方の記事も読みました。
やはり従来のヒメイワダレソウの種子の発芽率が気になります。
2016-09-01 13:00
コメント(14)
スズメバチ [昆虫]
スズメバチ
雀蜂 ハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科(Vespinae)に属するものの総称。
日本のスズメバチ亜科は次のの3属に分類されます。
スズメバチ属、クロスズメバチ属、ホオナガスズメバチ属
このうち本州に生息するスズメバチ属は次の6種です。
オオスズメバチ, キイロスズメバチ, コガタスズメバチ,
ヒメスズメバチ, モンスズメバチ, チャイロスズメバチ。
毎年、7月と12月に大きな庭木の剪定をプロに頼んでいます。
今年は3メートルを超えるボウガシの剪定の際、スズメバチの巣が見つかりました。
庭師さんに呼ばれて行った時にはもう処理が終わっていました。
こんなに細い枝に巣が造られていたのです。
すでに巣の一部を壊して殺虫スプレーが撒かれた後で、成虫は1匹もいません。
しかし、まだ巣の中はそっくり残っていました。
巣の形はコガタスズメバチまたはキイロスズメバチの巣のようです。
コガタスズメバチの巣は初めはとっくり型ですが、7月になるととっくりの先の部分がなくなり、キイロスズメバチの巣と見分けがつきにくくなるそうです。
巣は約10x12cm。
6角形の育房が整然と並んで巣盤を形成します。
育房の中には卵・幼虫・蛹が1つづつ入っています。
左下方に見えるのは新たに出来つつある巣盤。4〜5段まで造られることもあるそうです。
この巣は何段だったか、壊して確認すればよかったのですがこのまま処分してしまい残念です。
最も外側に卵、次に幼虫そして蛹。
殺虫剤が効いたらしく幼虫ももう動きません。
綿帽子のような蛹の殻を6個、ピンセットで剥ぎ取りました。
殻は薄くても手作り和紙のように強靭です。
すでに顔の造りが出来かかっているものもあります。
穴の開いたところは羽化して飛び立った跡。
次に←の黒っぽい殻を2個破りました。
羽化直前だったのでしょう、顔もすでにオレンジ色を帯びています。
これは3年前に庭のイチジクに来たスズメバチです。
こわごわ接写しました。
両脇の黒い勾玉様の部分が複眼、額中央の黒点部が単眼。
同定できないでしょうか。
上記スズメバチ属6種のうち、尾部が黄色なのはコガタスズメバチとオオスズメバチです。
また、オオスズメバチは上から2本目の縞模様が細いそうですがこれは太い。
触覚の下にある中央の頭楯(とうじゅん)の形でも両者を鑑別できるようですが、上の画像では確定できません。
オオスズメバチは攻撃性大、コガタスズメバチは最も攻撃性が少ないといわれます。
多分これはコガタスズメバチでしょう。
感心するのはこの巣の美しさです。
一般にコガタスズメバチの巣の方がキイロスズメバチの巣より濃色だそうです。
この巣もやはりコガタスズメバチの巣かもしれません。
モダンアートの大家の作品といっても通る様なすばらしい造形美です。
複雑な色と縞模様にただただ感嘆!
「スズメバチ」の由来は雀の様に大きい蜂とか、巣の模様が雀の羽の模様に似ているからとも言われています。
比較のためにアシナガバチの写真を追加します。
やはりアシナガバチにも種類があって、これはセグロアシナガバチのようです。
アシナガバチの巣は素朴です。
これはまだ小さな巣、上部の育房の中に卵が1個、見えます。
大きなアシナガバチの巣。
中は空っぽの古い巣でした。
この庭にスズメバチの巣があるとは思ってもみませんでした。
しかし、これを機にスズメバチのことを調べると一般にスズメバチと言われているものに6種あり、それぞれ巣の形や場所、性質や捕獲方法なども異なることを知りました。
最も凶暴なのはオオスズメバチ、次がキイロスズメバチ。
オオスズメバチは主に土の中に大きな巣を作り、近寄ると攻撃してくるそうです。
コガタスズメバチやヒメスズメバチは攻撃性弱く、巣の場所によっては駆除しなくてもいいようです。
アシナガバチはヒトが攻撃しなければ刺しませんし、毛虫を退治してくれる益虫とも言えます。
でもこの日庭師さんが一人、剪定中にアシナガバチに刺されました。
私も病葉を取ろうとした時、アシナガバチに刺されたことがあります。
スズメバチやアシナガバチと共存すべきか否か、なかなか悩ましい問題です。
雀蜂 ハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科(Vespinae)に属するものの総称。
日本のスズメバチ亜科は次のの3属に分類されます。
スズメバチ属、クロスズメバチ属、ホオナガスズメバチ属
このうち本州に生息するスズメバチ属は次の6種です。
オオスズメバチ, キイロスズメバチ, コガタスズメバチ,
ヒメスズメバチ, モンスズメバチ, チャイロスズメバチ。
毎年、7月と12月に大きな庭木の剪定をプロに頼んでいます。
今年は3メートルを超えるボウガシの剪定の際、スズメバチの巣が見つかりました。
庭師さんに呼ばれて行った時にはもう処理が終わっていました。
こんなに細い枝に巣が造られていたのです。
すでに巣の一部を壊して殺虫スプレーが撒かれた後で、成虫は1匹もいません。
しかし、まだ巣の中はそっくり残っていました。
巣の形はコガタスズメバチまたはキイロスズメバチの巣のようです。
コガタスズメバチの巣は初めはとっくり型ですが、7月になるととっくりの先の部分がなくなり、キイロスズメバチの巣と見分けがつきにくくなるそうです。
巣は約10x12cm。
6角形の育房が整然と並んで巣盤を形成します。
育房の中には卵・幼虫・蛹が1つづつ入っています。
左下方に見えるのは新たに出来つつある巣盤。4〜5段まで造られることもあるそうです。
この巣は何段だったか、壊して確認すればよかったのですがこのまま処分してしまい残念です。
最も外側に卵、次に幼虫そして蛹。
殺虫剤が効いたらしく幼虫ももう動きません。
綿帽子のような蛹の殻を6個、ピンセットで剥ぎ取りました。
殻は薄くても手作り和紙のように強靭です。
すでに顔の造りが出来かかっているものもあります。
穴の開いたところは羽化して飛び立った跡。
次に←の黒っぽい殻を2個破りました。
羽化直前だったのでしょう、顔もすでにオレンジ色を帯びています。
これは3年前に庭のイチジクに来たスズメバチです。
こわごわ接写しました。
両脇の黒い勾玉様の部分が複眼、額中央の黒点部が単眼。
同定できないでしょうか。
上記スズメバチ属6種のうち、尾部が黄色なのはコガタスズメバチとオオスズメバチです。
また、オオスズメバチは上から2本目の縞模様が細いそうですがこれは太い。
触覚の下にある中央の頭楯(とうじゅん)の形でも両者を鑑別できるようですが、上の画像では確定できません。
オオスズメバチは攻撃性大、コガタスズメバチは最も攻撃性が少ないといわれます。
多分これはコガタスズメバチでしょう。
感心するのはこの巣の美しさです。
一般にコガタスズメバチの巣の方がキイロスズメバチの巣より濃色だそうです。
この巣もやはりコガタスズメバチの巣かもしれません。
モダンアートの大家の作品といっても通る様なすばらしい造形美です。
複雑な色と縞模様にただただ感嘆!
「スズメバチ」の由来は雀の様に大きい蜂とか、巣の模様が雀の羽の模様に似ているからとも言われています。
比較のためにアシナガバチの写真を追加します。
やはりアシナガバチにも種類があって、これはセグロアシナガバチのようです。
アシナガバチの巣は素朴です。
これはまだ小さな巣、上部の育房の中に卵が1個、見えます。
大きなアシナガバチの巣。
中は空っぽの古い巣でした。
この庭にスズメバチの巣があるとは思ってもみませんでした。
しかし、これを機にスズメバチのことを調べると一般にスズメバチと言われているものに6種あり、それぞれ巣の形や場所、性質や捕獲方法なども異なることを知りました。
最も凶暴なのはオオスズメバチ、次がキイロスズメバチ。
オオスズメバチは主に土の中に大きな巣を作り、近寄ると攻撃してくるそうです。
コガタスズメバチやヒメスズメバチは攻撃性弱く、巣の場所によっては駆除しなくてもいいようです。
アシナガバチはヒトが攻撃しなければ刺しませんし、毛虫を退治してくれる益虫とも言えます。
でもこの日庭師さんが一人、剪定中にアシナガバチに刺されました。
私も病葉を取ろうとした時、アシナガバチに刺されたことがあります。
スズメバチやアシナガバチと共存すべきか否か、なかなか悩ましい問題です。
2016-08-20 23:15
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フシグロセンノウ [草花(夏)]
フシグロセンノウ
節黒仙翁 ナデシコ科マンテマ属(←センノウ属)の多年草
学名:Lychnis miqueliana Rohrb.
花期:7〜8月(当地)
分布:本州・四国・九州の山地の林下など(日本の固有種)
高さ:数十センチ
広葉樹の下の半日陰の庭。
タカサゴユリと白花のユーパトリウムとの間に橙色の花が見えます。
これがフシグロセンノウです。
今年の一番花。
野草らしからぬ鮮やかな朱赤色の花は1輪でも人目を引きます。
そのため各地で絶滅が危ぶまれているのです。
咲いたばかりの花。花弁は5枚。直径約5cm。
中心に5個の紫色の葯が見えます。まだ花粉は出ていません。
(これから花の経過を追いますが、以下は同じ花ではありません。)
葯が開いて花粉が出ています。
はじめに出た雄しべが役目を終える頃、さらに5個の葯が現れます。
その周りの濃い朱赤色をしたものは鱗片と呼ばれ、花弁の基部に2個ずつあります。
この花では雄しべが10本のように見えますが、外側5本の葯は花粉を出しつつ花糸が伸びて退縮中。
遅れて出た内側の5個の葯は花粉真っ盛りです。
この花では初めの雄しべは花糸を長く伸ばして後退。
二度目の雄しべが出揃った後、おもむろに雌しべが現れます。
雄性先熟ですね。
雌しべの花柱は5本、先端の曲がっているところが柱頭です。
雄しべ計10本が鱗片の後ろに倒れた頃、花柱が伸び、柱頭が熟して他花からの花粉を待つのでしょう。
接写すると柱頭はやや彎曲し白く輝いていました。
この状態では花粉が付いているようには見えません。
人工授粉してみましょう。
小筆に他花の花粉を付けてから、この柱頭を撫でました。
その後接写すると柱頭は薄い紫色を帯びて見えますが、花粉までは見分けられません。
柱頭を1個採って顕微鏡で見ると、円い花粉10余個が突起の間に付着していることを確認できました。
開花直前の蕾、萼は約3 cm、先端が5裂しています。
花は3つ並んで咲くことが多い。
フシグロセンノウとは節黒仙翁、節が黒いことから、また「仙翁」は京都嵯峨の仙翁寺にちなむ花からの命名のようです。
本当に節が黒いかどうか、確認します。
上の方の葉は小さく長さ2cmほどで対生、節は確かにやや黒ずんでいました。
葉は下部にいくほど大きく卵形になります。
しかし節の色はあまり目立たないこともありました。
この節は膨れて暗紫褐色に染まっています。
茎や葉に白い軟毛が生えているのもみえます。
さらに下の方では葉が大きくなり、長さ10cmほどの長楕円状披針形。
そのまた下に明らかに「節黒」といえる節がありました。
左の節は特に色濃く、紫黒色です。
庭にはナミアゲハなどの蝶は時々見かけますが、フシグロセンノウを訪れた昆虫は確認できませんでした。
そのためか、結実は少なく、ほとんどの花が脱落していきます。
ここでは6花中1花だけ子房が膨らんでいます。
このところ当地は37℃に達する猛暑が続いています。
昨日は外出したため、今朝見に行くと葉の一部が萎れ、まだ咲いているはずの花が既に閉じていました。
すぐたっぷり散水したところ葉は元気になりましたが、このまま実が熟すかどうか心配です。
盗掘のみでなく結実率の低さや温暖化もフシグロセンノウの絶滅に関与しているのかもしれません。
節黒仙翁 ナデシコ科マンテマ属(←センノウ属)の多年草
学名:Lychnis miqueliana Rohrb.
花期:7〜8月(当地)
分布:本州・四国・九州の山地の林下など(日本の固有種)
高さ:数十センチ
広葉樹の下の半日陰の庭。
タカサゴユリと白花のユーパトリウムとの間に橙色の花が見えます。
これがフシグロセンノウです。
今年の一番花。
野草らしからぬ鮮やかな朱赤色の花は1輪でも人目を引きます。
そのため各地で絶滅が危ぶまれているのです。
咲いたばかりの花。花弁は5枚。直径約5cm。
中心に5個の紫色の葯が見えます。まだ花粉は出ていません。
(これから花の経過を追いますが、以下は同じ花ではありません。)
葯が開いて花粉が出ています。
はじめに出た雄しべが役目を終える頃、さらに5個の葯が現れます。
その周りの濃い朱赤色をしたものは鱗片と呼ばれ、花弁の基部に2個ずつあります。
この花では雄しべが10本のように見えますが、外側5本の葯は花粉を出しつつ花糸が伸びて退縮中。
遅れて出た内側の5個の葯は花粉真っ盛りです。
この花では初めの雄しべは花糸を長く伸ばして後退。
二度目の雄しべが出揃った後、おもむろに雌しべが現れます。
雄性先熟ですね。
雌しべの花柱は5本、先端の曲がっているところが柱頭です。
雄しべ計10本が鱗片の後ろに倒れた頃、花柱が伸び、柱頭が熟して他花からの花粉を待つのでしょう。
接写すると柱頭はやや彎曲し白く輝いていました。
この状態では花粉が付いているようには見えません。
人工授粉してみましょう。
小筆に他花の花粉を付けてから、この柱頭を撫でました。
その後接写すると柱頭は薄い紫色を帯びて見えますが、花粉までは見分けられません。
柱頭を1個採って顕微鏡で見ると、円い花粉10余個が突起の間に付着していることを確認できました。
開花直前の蕾、萼は約3 cm、先端が5裂しています。
花は3つ並んで咲くことが多い。
フシグロセンノウとは節黒仙翁、節が黒いことから、また「仙翁」は京都嵯峨の仙翁寺にちなむ花からの命名のようです。
本当に節が黒いかどうか、確認します。
上の方の葉は小さく長さ2cmほどで対生、節は確かにやや黒ずんでいました。
葉は下部にいくほど大きく卵形になります。
しかし節の色はあまり目立たないこともありました。
この節は膨れて暗紫褐色に染まっています。
茎や葉に白い軟毛が生えているのもみえます。
さらに下の方では葉が大きくなり、長さ10cmほどの長楕円状披針形。
そのまた下に明らかに「節黒」といえる節がありました。
左の節は特に色濃く、紫黒色です。
庭にはナミアゲハなどの蝶は時々見かけますが、フシグロセンノウを訪れた昆虫は確認できませんでした。
そのためか、結実は少なく、ほとんどの花が脱落していきます。
ここでは6花中1花だけ子房が膨らんでいます。
このところ当地は37℃に達する猛暑が続いています。
昨日は外出したため、今朝見に行くと葉の一部が萎れ、まだ咲いているはずの花が既に閉じていました。
すぐたっぷり散水したところ葉は元気になりましたが、このまま実が熟すかどうか心配です。
盗掘のみでなく結実率の低さや温暖化もフシグロセンノウの絶滅に関与しているのかもしれません。
2016-08-09 16:03
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クロアゲハ [昆虫]
クロアゲハ
黒揚羽 チョウ目・アゲハチョウ科
学名 : Papilio protenor
大きさ(前翅長):45-70mm
分布:台湾・中国・日本(本州以南)
食草:柑橘類の葉
裏庭に黒い蝶が舞っています。
部屋に戻ってカメラを持ってくる頃にはもういない? いつもその繰り返しです。
ところがこの日はゼラニウムの花の上で待っていてくれました。
またナガサキアゲハかと思ったのですが、短い尾状突起がありました。
まだ一度も写真を撮ったことがない「クロアゲハ」のようです。
一瞬、両翅を開いてくれました。
雄は後翅前縁に白い帯があるそうです。これにはないから雌でしょう。
白花に移動。橙赤色の斑紋が美しい。これも雌の方が明瞭と。
そして尾状突起がくっきりみえました。ナガサキアゲハには尾状突起がありません。
もう少し長いのはオナガアゲハ、さらに長いのがカラスアゲハ、一番長いのがジャコウアゲハ。これら3種はまだ見たことがありません。
クロアゲハには赤い花が似合いそう。
でも今満開のモミジアオイには寄ってきてくれません。
モミジアオイの花はあっけらかんとしていて、蜜が出ているように見えません。
アオイ科の花には蜜がないのでしょうか?
確かに表からは見えませんが、萼片の付け根(下の画像の蕾では↑の辺り)から蜜が浸み出すようです(花外蜜腺)。
そういえばオクラも同じでしたね。
今までに撮ったモミジアオイの写真を見直してみました。
萎れた花に憩う(?)ナミアゲハ。
この黒いアゲハは?
尾状突起がないようですからナガサキアゲハでしょうね。
黒い大きなアゲハが飛んでいるのを見ると嬉しくなります。
今回はやっとクロアゲハが撮れました。
ナガサキアゲハ、モンキアゲハに続いて3番目です。
カラスアゲハやジャコウアゲハまでは無理でしょうね。
ミカンの木はありますが、昨年いただいたウマノスズクサ(ジャコウアゲハの食草)の苗はまだなかなか大きくなりません。
黒揚羽 チョウ目・アゲハチョウ科
学名 : Papilio protenor
大きさ(前翅長):45-70mm
分布:台湾・中国・日本(本州以南)
食草:柑橘類の葉
裏庭に黒い蝶が舞っています。
部屋に戻ってカメラを持ってくる頃にはもういない? いつもその繰り返しです。
ところがこの日はゼラニウムの花の上で待っていてくれました。
またナガサキアゲハかと思ったのですが、短い尾状突起がありました。
まだ一度も写真を撮ったことがない「クロアゲハ」のようです。
一瞬、両翅を開いてくれました。
雄は後翅前縁に白い帯があるそうです。これにはないから雌でしょう。
白花に移動。橙赤色の斑紋が美しい。これも雌の方が明瞭と。
そして尾状突起がくっきりみえました。ナガサキアゲハには尾状突起がありません。
もう少し長いのはオナガアゲハ、さらに長いのがカラスアゲハ、一番長いのがジャコウアゲハ。これら3種はまだ見たことがありません。
クロアゲハには赤い花が似合いそう。
でも今満開のモミジアオイには寄ってきてくれません。
モミジアオイの花はあっけらかんとしていて、蜜が出ているように見えません。
アオイ科の花には蜜がないのでしょうか?
確かに表からは見えませんが、萼片の付け根(下の画像の蕾では↑の辺り)から蜜が浸み出すようです(花外蜜腺)。
そういえばオクラも同じでしたね。
今までに撮ったモミジアオイの写真を見直してみました。
萎れた花に憩う(?)ナミアゲハ。
この黒いアゲハは?
尾状突起がないようですからナガサキアゲハでしょうね。
黒い大きなアゲハが飛んでいるのを見ると嬉しくなります。
今回はやっとクロアゲハが撮れました。
ナガサキアゲハ、モンキアゲハに続いて3番目です。
カラスアゲハやジャコウアゲハまでは無理でしょうね。
ミカンの木はありますが、昨年いただいたウマノスズクサ(ジャコウアゲハの食草)の苗はまだなかなか大きくなりません。
2016-07-28 22:57
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ワレモコウの水孔 [草花(夏)]
ワレモコウの水孔
ワレモコウ 吾亦紅 吾木瓜
バラ科ワレモコウ属の多年草
ワレモコウの花については2010-11-28の記事にしました。
今回はワレモコウの葉に並ぶ水玉の観察です。
雨後の朝、葉縁に水玉が並んでいました(2016.7.10.)。
拡大すると水玉は紅や緑の美しい球体でした。
葉縁の紅色や葉の緑色を写し込んでいるようです。
しかし、葉の下半分には雨滴と思われる不定形の水玉も混在しています。
ワレモコウの葉は羽状複葉。
小葉は5−9枚・長楕円形が多いようです。
葉裏は帯白色。
水玉が編笠の縁飾りのように並んでいました。
ほぼ同じ大きさの水滴がずらりと1周。
かと思えば大小様々のことも。
水玉は若い葉にできます。まだ開ききっていない葉では1列縦隊。
朝日が当たると虹色が現れることがありますが、写真には写しにくい。
ピントはずれの部分に写っていた虹色の水滴。
見事な球体。
ワレモコウの水玉は根から吸い上げた水分が過剰になったとき、葉縁にある水孔から排出されて出来ます。
水分が多い時には一夜に何回も落ちては出来るそうです。
ワレモコウの水孔は葉縁の鋸歯の先端にあります。
手前の葉縁では水孔の部分に赤い色素が多いようですね。
水玉が合体して大きくなることも。
これは合体しすぎて破裂寸前。
ここ2〜3日は雨後の朝、期待して見に行っても雨滴のみです。
また来年のお楽しみでしょうか。
ワレモコウの水玉を知ったのは3年前NHKスペシャルで埴沙萠さんの撮られた映像を見てからです。その後うちの庭でも容易に見られて感激しました。
水孔は気孔と同じく1対の孔辺細胞に囲まれていますが、開閉はせずいつも開いているようです。
水玉の内容は単なる水ではなく、ワレモコウの組織を通ってくる間に変化した液体なのでしょう。分析すれば見事な球を形成する成分が分かりそうですが..........。
ワレモコウ 吾亦紅 吾木瓜
バラ科ワレモコウ属の多年草
ワレモコウの花については2010-11-28の記事にしました。
今回はワレモコウの葉に並ぶ水玉の観察です。
雨後の朝、葉縁に水玉が並んでいました(2016.7.10.)。
拡大すると水玉は紅や緑の美しい球体でした。
葉縁の紅色や葉の緑色を写し込んでいるようです。
しかし、葉の下半分には雨滴と思われる不定形の水玉も混在しています。
ワレモコウの葉は羽状複葉。
小葉は5−9枚・長楕円形が多いようです。
葉裏は帯白色。
水玉が編笠の縁飾りのように並んでいました。
ほぼ同じ大きさの水滴がずらりと1周。
かと思えば大小様々のことも。
水玉は若い葉にできます。まだ開ききっていない葉では1列縦隊。
朝日が当たると虹色が現れることがありますが、写真には写しにくい。
ピントはずれの部分に写っていた虹色の水滴。
見事な球体。
ワレモコウの水玉は根から吸い上げた水分が過剰になったとき、葉縁にある水孔から排出されて出来ます。
水分が多い時には一夜に何回も落ちては出来るそうです。
ワレモコウの水孔は葉縁の鋸歯の先端にあります。
手前の葉縁では水孔の部分に赤い色素が多いようですね。
水玉が合体して大きくなることも。
これは合体しすぎて破裂寸前。
ここ2〜3日は雨後の朝、期待して見に行っても雨滴のみです。
また来年のお楽しみでしょうか。
ワレモコウの水玉を知ったのは3年前NHKスペシャルで埴沙萠さんの撮られた映像を見てからです。その後うちの庭でも容易に見られて感激しました。
水孔は気孔と同じく1対の孔辺細胞に囲まれていますが、開閉はせずいつも開いているようです。
水玉の内容は単なる水ではなく、ワレモコウの組織を通ってくる間に変化した液体なのでしょう。分析すれば見事な球を形成する成分が分かりそうですが..........。
2016-07-16 21:00
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