ヒルザキツキミソウの糸引く花粉 [草花(夏)]
庭のヒルザキツキミソウの花の中に花粉が飛び散っていることは少ないようです。
真ん中は今日咲いた花、左右は前日咲いた花々。いずれにも花粉はこぼれていません。
8本のおしべは健在なのに何故でしょうか?
花瓶に挿した花を照明の下で見ると、おしべに黄色いクモの巣のような糸が絡んでいるように見えます。
そしておしべの葯は花粉をまぶし付けたように「もこもこ」しています。
下の花ではおしべから右のつぼみへ黄色い糸が伸びて絡んでいます。
この糸は納豆のようにネバネバしているかに見えますが、触れてみると意外にさらっとした感じでした。
糸状のものをよく見ると、花粉がネックレスのように連なっています。
雨上がりの朝、ミツバチが蜜を求めて勇ましく花筒に飛び込んでいきました。
出てきたミツバチの頭部には糸状の花粉が絡み、後肢には花粉の塊が付いています。
そのミツバチは脚先にも糸状の花粉をぶらさげて、せわしなく飛び立って行きました。
花の中に散った花粉が少ないのは、このような形で昆虫に運び去られるからでしょう。
室内の花瓶に生けた花には昆虫が訪れないため、花粉が保存されていたのだと思いました。
黒い和紙の色紙を花の中に差し込み、軽く押すと糸状の花粉がが付着しました。
あっ! これです!
これが前の記事に書いた「ズボンの異変」の正体だったのだと分かりました。
庭の小径を一周すると、ズボンに黄色いクモの糸のようなものが付くのです。
一体どこでこんなものが付くのかとこのところいぶかしく思っていました。
顕微鏡で見ると花粉が糸で繋がって、塊や紐になっていました。
この糸は「粘着糸」というもので、ヒルザキツキミソウだけではなく、マツヨイグサの仲間やツツジにもあるそうです。
糸に焦点を合わせると、太さもいろいろ、複雑にからんでいることがわかります。
花粉を拡大すると、中央が凹んだ「テトラポッド」のような形でした。
球形よりも糸が絡まり易く見えます。
スズメガは吸蜜するだけで花粉を運ばないこともあるようです。
これに対応して粘着糸を生み出し、花粉の形も変えたのかもしれませんね。
..............................................................................................................................................................................
ニックネームの変更 ( yuusuge → 夕菅 )
一昨年、何もわからず始めたこのブログ、何故かニックネームに漢字が
入力できず、「yuusuge」としてきました。
梅雨の日曜日、画面の整理をしつつ再試すると難なく入力できました。
今後「夕菅」と表示しますのでよろしくお願いします。
真ん中は今日咲いた花、左右は前日咲いた花々。いずれにも花粉はこぼれていません。
8本のおしべは健在なのに何故でしょうか?
花瓶に挿した花を照明の下で見ると、おしべに黄色いクモの巣のような糸が絡んでいるように見えます。
そしておしべの葯は花粉をまぶし付けたように「もこもこ」しています。
下の花ではおしべから右のつぼみへ黄色い糸が伸びて絡んでいます。
この糸は納豆のようにネバネバしているかに見えますが、触れてみると意外にさらっとした感じでした。
糸状のものをよく見ると、花粉がネックレスのように連なっています。
雨上がりの朝、ミツバチが蜜を求めて勇ましく花筒に飛び込んでいきました。
出てきたミツバチの頭部には糸状の花粉が絡み、後肢には花粉の塊が付いています。
そのミツバチは脚先にも糸状の花粉をぶらさげて、せわしなく飛び立って行きました。
花の中に散った花粉が少ないのは、このような形で昆虫に運び去られるからでしょう。
室内の花瓶に生けた花には昆虫が訪れないため、花粉が保存されていたのだと思いました。
黒い和紙の色紙を花の中に差し込み、軽く押すと糸状の花粉がが付着しました。
あっ! これです!
これが前の記事に書いた「ズボンの異変」の正体だったのだと分かりました。
庭の小径を一周すると、ズボンに黄色いクモの糸のようなものが付くのです。
一体どこでこんなものが付くのかとこのところいぶかしく思っていました。
顕微鏡で見ると花粉が糸で繋がって、塊や紐になっていました。
この糸は「粘着糸」というもので、ヒルザキツキミソウだけではなく、マツヨイグサの仲間やツツジにもあるそうです。
糸に焦点を合わせると、太さもいろいろ、複雑にからんでいることがわかります。
花粉を拡大すると、中央が凹んだ「テトラポッド」のような形でした。
球形よりも糸が絡まり易く見えます。
スズメガは吸蜜するだけで花粉を運ばないこともあるようです。
これに対応して粘着糸を生み出し、花粉の形も変えたのかもしれませんね。
..............................................................................................................................................................................
ニックネームの変更 ( yuusuge → 夕菅 )
一昨年、何もわからず始めたこのブログ、何故かニックネームに漢字が
入力できず、「yuusuge」としてきました。
梅雨の日曜日、画面の整理をしつつ再試すると難なく入力できました。
今後「夕菅」と表示しますのでよろしくお願いします。
2010-06-25 21:59
コメント(6)
ヒルザキツキミソウ (モモイロヒルザキツキミソウ) と スズメガ [草花(夏)]
ヒルザキツキミソウ(昼咲き月見草)
アカバナ科マツヨイグサ属
北米原産の多年草 花期 5〜7月
一般に月見草というと黄色い花を思い浮かべますね。
しかし正しくはツキミソウ(月見草)は夜咲く白い花の名です。
そして夜咲く黄色い花はマツヨイグサ(待宵草)の種類なのです。
また月見草とか待宵草と書くと日本の植物のようですが、これらも江戸時代アメリカから渡来した外来植物です。
これら夜咲く花とは別に早朝開花するのがヒルザキツキミソウです。
最近日本で咲いているヒルザキツキミソウの多くはピンクの花ですが白花もあり、白花をヒルザキツキミソウ、ピンクの花をモモイロヒルザキツキミソウと区分されることもあります。
また園芸品種では昼咲き月見草として黄花も販売されています。
ヒルザキツキミソウは繁殖力強く、花壇に植えるとたちまち辺り一面に咲き乱れます。
花はマツヨイグサ属の特徴を備え、花弁4枚、おしべ8本、めしべの柱頭は4本に分かれ、開くと十文字になります。花径 3〜5cm.
草丈30〜50cm。葉は濃い緑色で披針形、互生。
開花した日はおしべはクリーム色。次第に淡褐色になり、花は3日ほどで萎みます。
花弁の下に萼があり、子房に続く萼筒の中に蜜があります。
この蜜は長い吻を持っているスズメガの仲間か、ごく小さな昆虫しかありつけませんね。
ガは夜行性ですが、偶々ある朝、吸蜜中の大きなガを見つけました。
長い口吻を萼筒に差し込んでいます。初めて見る光景でした。
調べるとコスズメというスズメガでした。
受粉すると子房が膨らんで果実になります。
今年ヒルザキツキミソウはミニトマトとレタスの畑の隙間を埋め尽くしてしまいました。
食べ残したレタスはつぼみを付けて立ち上がっています。
右のブルーの花はセアノサス ベルサイユ。
ヒルザキツキミソウは野生化しているところもあり、殖え過ぎて嫌う方もありますが、手間要らずでピンクの園を演出してくれる重宝な花でもあります。
この周りの通路を通るとズボンに異変が起きます。どうしてでしょうか?
この続きは次回に。
アカバナ科マツヨイグサ属
北米原産の多年草 花期 5〜7月
一般に月見草というと黄色い花を思い浮かべますね。
しかし正しくはツキミソウ(月見草)は夜咲く白い花の名です。
そして夜咲く黄色い花はマツヨイグサ(待宵草)の種類なのです。
また月見草とか待宵草と書くと日本の植物のようですが、これらも江戸時代アメリカから渡来した外来植物です。
これら夜咲く花とは別に早朝開花するのがヒルザキツキミソウです。
最近日本で咲いているヒルザキツキミソウの多くはピンクの花ですが白花もあり、白花をヒルザキツキミソウ、ピンクの花をモモイロヒルザキツキミソウと区分されることもあります。
また園芸品種では昼咲き月見草として黄花も販売されています。
ヒルザキツキミソウは繁殖力強く、花壇に植えるとたちまち辺り一面に咲き乱れます。
花はマツヨイグサ属の特徴を備え、花弁4枚、おしべ8本、めしべの柱頭は4本に分かれ、開くと十文字になります。花径 3〜5cm.
草丈30〜50cm。葉は濃い緑色で披針形、互生。
開花した日はおしべはクリーム色。次第に淡褐色になり、花は3日ほどで萎みます。
花弁の下に萼があり、子房に続く萼筒の中に蜜があります。
この蜜は長い吻を持っているスズメガの仲間か、ごく小さな昆虫しかありつけませんね。
ガは夜行性ですが、偶々ある朝、吸蜜中の大きなガを見つけました。
長い口吻を萼筒に差し込んでいます。初めて見る光景でした。
調べるとコスズメというスズメガでした。
受粉すると子房が膨らんで果実になります。
今年ヒルザキツキミソウはミニトマトとレタスの畑の隙間を埋め尽くしてしまいました。
食べ残したレタスはつぼみを付けて立ち上がっています。
右のブルーの花はセアノサス ベルサイユ。
ヒルザキツキミソウは野生化しているところもあり、殖え過ぎて嫌う方もありますが、手間要らずでピンクの園を演出してくれる重宝な花でもあります。
この周りの通路を通るとズボンに異変が起きます。どうしてでしょうか?
この続きは次回に。
2010-06-19 23:28
コメント(8)
トレニアの不思議(2) [草花(夏)]
トレニアの不思議(2)
もうひとつのトレニアの不思議は生物の神秘の世界の入り口にありました。
左はトレニアの花粉、右は花びらが落ちたあとの雌しべです。
今夏ユウスゲの花に人工授粉をしながら、この花粉がどのようにして卵細胞
まで到達するのか、見たいなーと思いました。
花粉管はかなり速く伸びるようでした。なぜならば受精が完了した証拠にすぐ
子房がふくらんでくるからです。ユウスゲの花殻は1日で落ちるので子房の膨
らみは直接目で見えます。
けれども花粉管とか受精とかは遠い神秘の世界だと思っておりました。
今度トレニアを取り上げようと検索しましたところ、何とこのトレニアが花
粉管の研究に貢献し、すでに神秘の扉は開けられていたことがわかりました。
1869年、フランスのヴァンティーゲムは「花粉管が培地上で胚珠に向かう」
ことを報告しました。このあと世界中の学者が「胚珠にあって花粉管を誘う
何か」を求めて探究してきました。
2001年名古屋大学の東山 哲也教授はトレニアを用いて卵細胞の隣にある二
つの助細胞が誘引物質を分泌することを発見。
2009年 東山教授はついにその花粉管を誘引する2種類のたんぱく質の同
定に成功し、これをルアー(LURE1・LURE2)と命名されました。
ルアーは釣のとき使う疑似餌。魚がルアーを追うように、花粉管がこのたん
ぱく質に誘引されてのびるからだそうです。
140年の謎が解かれたこの成果はイギリスの科学雑誌「Nature」3月19日号
に掲載され、その表紙をも飾ったのです。
これについてはこれらのHPにも詳しく説明されています。
http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/2009/2009-06/page05.html
http://www.nagoya-u.ac.jp/extra/topics/pdf/no193.pdf
東山教授の成功は実験にトレニアを選ばれたことに始まります。
「卵の部分が胚珠の外に飛び出している」これがトレニアのもう1つの不
思議でした。
普通の植物の卵装置(胚のう)は胚珠(受精して種子になる部分)の中に
埋まっています。しかしトレニアでは外に突出していて受精の瞬間を観察
できるということです。
さて、このトレニアの不思議な構造を私もうちのトレニアで見ることがで
きないでしょうか?
まず筒状の花弁をそっと抜き取ります。下部には蜜がたまっていました。
雌しべの子房部分を縦に2つに切り開きました。
拡大すると白いぶつぶつがたくさん見えます。これが後に種子になる
胚珠でしょう。
左:胚珠の部分を塊のまま顕微鏡で見てみましたが、よく見えません。
右:試しに仕事用の苛性カリを滴下して軽く暖めると見事に透けました。
たくさんの胚珠が並んでいます。
拡大すると遊離した胚珠に袋のようなものがついています。これが胚のうで
しょうか?
同じような袋状の突出があちこちに見られます。やはりこれが胚のうでしょ
うね。中に卵細胞とルアーを分泌する2個の助細胞が存在する卵装置です。
花粉管はルアーに引き寄せられて卵細胞目指して伸びてくるのですね。
模式図では実感がなかったトレニアのユニークな胚のうが染色もせず簡単に
見られました。これは私にとっては感激でした。
この顕微鏡には撮影装置はついていません。付設の小型モニターに映してそ
の画面をデジカメで撮ることにしました。
これまた難行、テレビ画面を撮ると横線や縞模様が写ってしまいます。何と
か撮れたのがこれらの画像です。
予め苛性カリ処理をしましたから細胞はかなり変性しているかもしれません。
ですからこれらは私の遊びの記録としてごらんください。
こんなにたくさんの胚珠がそれぞれ種子になるためには、あの細い花柱の中
をおびただしい花粉管がのびてくるはずです。それがもつれないでよくお相
手をみつけるものだとまたまた神秘を感じます。
今頃は東山教授らのチームを初め世界中の生物学者の皆さんが、さらに次な
る疑問の解明のため日夜探究中でしょう。
追記1 2009.10.25.
今日は苛性カリをかけずに、水を垂らしてからカバーグラスの上から押した
だけで観察してみました。
うまく押すと胚のうが苛性カリをかけたときよりふっくらとよく見えました。
胚のうだけを拡大すると卵細胞まで見えそうな感じのものもありました。
追記2 2010.10.29.
1年後の秋、もう一度トレニアに取り組みました。
そして遂に、トレニアの花粉管が伸びていって卵細胞に接合する様子を撮影することができました。
お導きいただきました東山先生に感謝しています。
→トレニアの花粉管
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2010-10-17-2
もうひとつのトレニアの不思議は生物の神秘の世界の入り口にありました。
左はトレニアの花粉、右は花びらが落ちたあとの雌しべです。
今夏ユウスゲの花に人工授粉をしながら、この花粉がどのようにして卵細胞
まで到達するのか、見たいなーと思いました。
花粉管はかなり速く伸びるようでした。なぜならば受精が完了した証拠にすぐ
子房がふくらんでくるからです。ユウスゲの花殻は1日で落ちるので子房の膨
らみは直接目で見えます。
けれども花粉管とか受精とかは遠い神秘の世界だと思っておりました。
今度トレニアを取り上げようと検索しましたところ、何とこのトレニアが花
粉管の研究に貢献し、すでに神秘の扉は開けられていたことがわかりました。
1869年、フランスのヴァンティーゲムは「花粉管が培地上で胚珠に向かう」
ことを報告しました。このあと世界中の学者が「胚珠にあって花粉管を誘う
何か」を求めて探究してきました。
2001年名古屋大学の東山 哲也教授はトレニアを用いて卵細胞の隣にある二
つの助細胞が誘引物質を分泌することを発見。
2009年 東山教授はついにその花粉管を誘引する2種類のたんぱく質の同
定に成功し、これをルアー(LURE1・LURE2)と命名されました。
ルアーは釣のとき使う疑似餌。魚がルアーを追うように、花粉管がこのたん
ぱく質に誘引されてのびるからだそうです。
140年の謎が解かれたこの成果はイギリスの科学雑誌「Nature」3月19日号
に掲載され、その表紙をも飾ったのです。
これについてはこれらのHPにも詳しく説明されています。
http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/2009/2009-06/page05.html
http://www.nagoya-u.ac.jp/extra/topics/pdf/no193.pdf
東山教授の成功は実験にトレニアを選ばれたことに始まります。
「卵の部分が胚珠の外に飛び出している」これがトレニアのもう1つの不
思議でした。
普通の植物の卵装置(胚のう)は胚珠(受精して種子になる部分)の中に
埋まっています。しかしトレニアでは外に突出していて受精の瞬間を観察
できるということです。
さて、このトレニアの不思議な構造を私もうちのトレニアで見ることがで
きないでしょうか?
まず筒状の花弁をそっと抜き取ります。下部には蜜がたまっていました。
雌しべの子房部分を縦に2つに切り開きました。
拡大すると白いぶつぶつがたくさん見えます。これが後に種子になる
胚珠でしょう。
左:胚珠の部分を塊のまま顕微鏡で見てみましたが、よく見えません。
右:試しに仕事用の苛性カリを滴下して軽く暖めると見事に透けました。
たくさんの胚珠が並んでいます。
拡大すると遊離した胚珠に袋のようなものがついています。これが胚のうで
しょうか?
同じような袋状の突出があちこちに見られます。やはりこれが胚のうでしょ
うね。中に卵細胞とルアーを分泌する2個の助細胞が存在する卵装置です。
花粉管はルアーに引き寄せられて卵細胞目指して伸びてくるのですね。
模式図では実感がなかったトレニアのユニークな胚のうが染色もせず簡単に
見られました。これは私にとっては感激でした。
この顕微鏡には撮影装置はついていません。付設の小型モニターに映してそ
の画面をデジカメで撮ることにしました。
これまた難行、テレビ画面を撮ると横線や縞模様が写ってしまいます。何と
か撮れたのがこれらの画像です。
予め苛性カリ処理をしましたから細胞はかなり変性しているかもしれません。
ですからこれらは私の遊びの記録としてごらんください。
こんなにたくさんの胚珠がそれぞれ種子になるためには、あの細い花柱の中
をおびただしい花粉管がのびてくるはずです。それがもつれないでよくお相
手をみつけるものだとまたまた神秘を感じます。
今頃は東山教授らのチームを初め世界中の生物学者の皆さんが、さらに次な
る疑問の解明のため日夜探究中でしょう。
追記1 2009.10.25.
今日は苛性カリをかけずに、水を垂らしてからカバーグラスの上から押した
だけで観察してみました。
うまく押すと胚のうが苛性カリをかけたときよりふっくらとよく見えました。
胚のうだけを拡大すると卵細胞まで見えそうな感じのものもありました。
追記2 2010.10.29.
1年後の秋、もう一度トレニアに取り組みました。
そして遂に、トレニアの花粉管が伸びていって卵細胞に接合する様子を撮影することができました。
お導きいただきました東山先生に感謝しています。
→トレニアの花粉管
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2010-10-17-2
トレニアの不思議(1) [草花(夏)]
トレニア
ゴマノハグサ科(旧分類) 新分類ではアゼナ科
別名:ナツスミレ、 ハナウリクサ
酷暑の夏、トレニアはこぼれ種からどんどん生え、草丈20〜30cm の華奢な
小花ながらたくましく茂って夏から秋にかけて花壇を彩ってくれます。
長年見なれた花ですが、よく見ると意外にも面白い特性がありました。
身をかがめて花をのぞき込んでみます。
「はい、お口開けて。あーん。」…….という感じですね。
でも普通のメシベ・オシベは見えず、構造がよくわかりません。
検索してみましたところ、面白いことがわかりました。
花の真ん中にメシベがあって、ここを触れると閉じるというのです。
探すとメシベがよく見える花が見つかりました(写真左)。花の中央に幅2mm
くらいの唇状の白いメシベが上下に開いています。
早速その表面を葉柄でつついてみました。
すると見る見る唇が閉じてきました(写真右)。
→
しかしオシベはどこにあるのでしょう。
左写真は咲いて間もない花です。中央に閉じたメシベが見えます。
右写真ではメシベの下にオシベが2組開いています。
2対のオシベの花糸がメシベの上と下にアーチ状に伸び、それぞれの葯が
合体したように見えます。花粉も成熟しています。
メシベは開いていましたが、この写真はつついてしっかり閉じたところです。
しばらくするとまた開き、再び触れると閉じました。
唇のように二枚に開いたメシベの柱頭が触れると閉じるという反応は
柱頭運動といわれ、振動性傾性運動の一種だそうです。花粉の取り込
みを確かにするためといわれています。
見なれた花の中にこのような営みを発見してまた楽しみがふえました。
しかしこの花にはさらなる特性があって、植物の神秘に迫る研究に用い
られていたのです。これは次の記事にしましょう。
追記(2010. 9.18.)
本日、エフ・エム先生のマイ・ボタニカル・ノートのトレニアの小さな花壇よりを拝読して、トレニアについてまたいろいろ教わりました。
マイ・ボタニカル・ノートは専門知識に基づく格調高いブログです。
それによりますと、トレニアは古くから遺伝子の研究に用いられ、今なお育種に関連した最先端の研究に役立っているということです。
また分類学上トレニアは旧分類ではゴマノハグサ科でしたが、DNAの塩基配列による新分類ではアゼナ科 (Linderniaceae) に属しているそうです。
私は分類に関しては全くわかりませんので、その他の植物に関しても同じような事があるかと思います。どうぞ懐疑的に見て頂けますようお願いいたします。
本日酷暑に耐えた花木達 にコメントをいただきましたエフ・エム先生に深く感謝します。
ゴマノハグサ科(旧分類) 新分類ではアゼナ科
別名:ナツスミレ、 ハナウリクサ
酷暑の夏、トレニアはこぼれ種からどんどん生え、草丈20〜30cm の華奢な
小花ながらたくましく茂って夏から秋にかけて花壇を彩ってくれます。
長年見なれた花ですが、よく見ると意外にも面白い特性がありました。
身をかがめて花をのぞき込んでみます。
「はい、お口開けて。あーん。」…….という感じですね。
でも普通のメシベ・オシベは見えず、構造がよくわかりません。
検索してみましたところ、面白いことがわかりました。
花の真ん中にメシベがあって、ここを触れると閉じるというのです。
探すとメシベがよく見える花が見つかりました(写真左)。花の中央に幅2mm
くらいの唇状の白いメシベが上下に開いています。
早速その表面を葉柄でつついてみました。
すると見る見る唇が閉じてきました(写真右)。
→
しかしオシベはどこにあるのでしょう。
左写真は咲いて間もない花です。中央に閉じたメシベが見えます。
右写真ではメシベの下にオシベが2組開いています。
2対のオシベの花糸がメシベの上と下にアーチ状に伸び、それぞれの葯が
合体したように見えます。花粉も成熟しています。
メシベは開いていましたが、この写真はつついてしっかり閉じたところです。
しばらくするとまた開き、再び触れると閉じました。
唇のように二枚に開いたメシベの柱頭が触れると閉じるという反応は
柱頭運動といわれ、振動性傾性運動の一種だそうです。花粉の取り込
みを確かにするためといわれています。
見なれた花の中にこのような営みを発見してまた楽しみがふえました。
しかしこの花にはさらなる特性があって、植物の神秘に迫る研究に用い
られていたのです。これは次の記事にしましょう。
追記(2010. 9.18.)
本日、エフ・エム先生のマイ・ボタニカル・ノートのトレニアの小さな花壇よりを拝読して、トレニアについてまたいろいろ教わりました。
マイ・ボタニカル・ノートは専門知識に基づく格調高いブログです。
それによりますと、トレニアは古くから遺伝子の研究に用いられ、今なお育種に関連した最先端の研究に役立っているということです。
また分類学上トレニアは旧分類ではゴマノハグサ科でしたが、DNAの塩基配列による新分類ではアゼナ科 (Linderniaceae) に属しているそうです。
私は分類に関しては全くわかりませんので、その他の植物に関しても同じような事があるかと思います。どうぞ懐疑的に見て頂けますようお願いいたします。
本日酷暑に耐えた花木達 にコメントをいただきましたエフ・エム先生に深く感謝します。
モミジアオイ−2 [草花(夏)]
モミジアオイ-2
モミジアオイには立派な果実がたくさんできています。
しかし花粉を運ぶ昆虫の訪問はそう多くありません。にも拘らず種が易々と
作られるのは何か仕組みがありそうです。今回はそこをのぞいてみました。
モミジアオイの花の真ん中には赤いブラシのようなものが突き出ています。
これはメシベとオシベが合着して柱状になったもので、蕊柱(ずいちゅう) と
いうそうです。
長い蕊柱はアオイ科植物(フヨウ・ハイビスカスなど)の特徴ですが、モミジ
アオイでは特に長く、8cmくらいあります(花の直径は17〜20cm)。
その基部はモミジアオイ−1で示したように子房につながっています。
蕊柱の先端はメシベの柱頭で5つに分かれ、その下に多数のオシベがブラシのよう
に取り巻いています。このままでは下にある花粉は上の柱頭には付きにくい構造
です。
先日、なかなかさんのHPのヤノネボンテンカ(高砂芙蓉)の記事で、メシベが
ねじれながら自分のオシベの方に動いていくという現象を知りました。
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/
高砂芙蓉は私のブログの最初を飾った花です。今年も咲いていますので確認しま
すと、確かに夕方にはメシベがねじれながら下垂していました。
モミジアオイとヤノネボンテンカは共にアオイ科で花の構造がよく似ています。
モミジアオイでもメシベの下垂はあるのでしょうか? メシベの変化を追ってみます。
朝8時(左写真)。オシベには花粉がついているが、直立した5本のメシベの
柱頭には花粉はついていない。
午後2時(右の写真)。やはりメシベは下方へ弯曲した。
午後6時。花は次第に閉じていく。下垂した柱頭には花粉が多数ついている。
落ちた花を開いて見るとメシベはさらにC字型に弯曲しているものもあり、
柱頭に花粉がいっぱいついているのもある。
しおれた花弁が蕊柱を巻き込んでいく時、さらに花弁の内側にたくさんの
花粉がつく。その際また柱頭に 花粉の上乗せがありそう。
8月も中旬になると花は少なくなり、つぼみより果実の方が多くなります。実らな
かった果実は落花し、あとに花軸のみ残っています。
この花には香りもないようですが、時にはチョウが訪れます。
今日は観察中タイミングよくナミアゲハが来てくれました。しかし毎日見掛ける
ものではありませんし、受粉を助けているかどうかは確認できませんでした。
この庭での短い観察からは、モミジアオイの受粉はほとんどメシベの下垂に
よる自家受粉であろうと推察されました。
こんなしくみで果実はたくさんできて、自然に種が落ち、あちこちに2世が
誕生しています。
モミジアオイには立派な果実がたくさんできています。
しかし花粉を運ぶ昆虫の訪問はそう多くありません。にも拘らず種が易々と
作られるのは何か仕組みがありそうです。今回はそこをのぞいてみました。
モミジアオイの花の真ん中には赤いブラシのようなものが突き出ています。
これはメシベとオシベが合着して柱状になったもので、蕊柱(ずいちゅう) と
いうそうです。
長い蕊柱はアオイ科植物(フヨウ・ハイビスカスなど)の特徴ですが、モミジ
アオイでは特に長く、8cmくらいあります(花の直径は17〜20cm)。
その基部はモミジアオイ−1で示したように子房につながっています。
蕊柱の先端はメシベの柱頭で5つに分かれ、その下に多数のオシベがブラシのよう
に取り巻いています。このままでは下にある花粉は上の柱頭には付きにくい構造
です。
先日、なかなかさんのHPのヤノネボンテンカ(高砂芙蓉)の記事で、メシベが
ねじれながら自分のオシベの方に動いていくという現象を知りました。
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/
高砂芙蓉は私のブログの最初を飾った花です。今年も咲いていますので確認しま
すと、確かに夕方にはメシベがねじれながら下垂していました。
モミジアオイとヤノネボンテンカは共にアオイ科で花の構造がよく似ています。
モミジアオイでもメシベの下垂はあるのでしょうか? メシベの変化を追ってみます。
朝8時(左写真)。オシベには花粉がついているが、直立した5本のメシベの
柱頭には花粉はついていない。
午後2時(右の写真)。やはりメシベは下方へ弯曲した。
午後6時。花は次第に閉じていく。下垂した柱頭には花粉が多数ついている。
落ちた花を開いて見るとメシベはさらにC字型に弯曲しているものもあり、
柱頭に花粉がいっぱいついているのもある。
しおれた花弁が蕊柱を巻き込んでいく時、さらに花弁の内側にたくさんの
花粉がつく。その際また柱頭に 花粉の上乗せがありそう。
8月も中旬になると花は少なくなり、つぼみより果実の方が多くなります。実らな
かった果実は落花し、あとに花軸のみ残っています。
この花には香りもないようですが、時にはチョウが訪れます。
今日は観察中タイミングよくナミアゲハが来てくれました。しかし毎日見掛ける
ものではありませんし、受粉を助けているかどうかは確認できませんでした。
この庭での短い観察からは、モミジアオイの受粉はほとんどメシベの下垂に
よる自家受粉であろうと推察されました。
こんなしくみで果実はたくさんできて、自然に種が落ち、あちこちに2世が
誕生しています。
モミジアオイ −1 [草花(夏)]
モミジアオイ(紅葉葵)-1
アオイ科 フヨウ属 Hibiscus caccineus 北米原産
モミジアオイが青空に開くといかにも夏らしくなります。
この花は高さ2mを越えてまるで木のように大きくなる宿根草です。
直径20cm近い大輪ながら1日花で、夕方にはしぼんでしまいますが、次々と毎日
咲いて、花の少ない盛夏の庭の主役になります。
一見、フヨウやハイビスカスと似ています。けれどもモミジアオイの5枚の花弁は
重ならず隙間を空けて配列し、平に開くのが特徴です。
今年は梅雨が長くてなかなかいい写真が撮れませんでした。
8月1日は雨が降るのに、めずらしく1株に11輪も咲いていました。
もったいなくて小雨の中カメラを向けました。クリックすると雨滴が見えます。
つぼみもまた趣があります。
つぼみのまわりを細い副萼片が針金細工のように囲んでいます。
左のつぼみは明朝開花するでしょう。
花の後面もきりっとまとまっています。
5枚の萼(ガク)と十余本の副萼片が確認できます。
モミジアオイの名は葉がモミジと似ているからのようです。
下の方の葉は大きく、掌状に深く切れ込んでいます(多くは5裂)。
赤みを帯びた太い茎は白い粉に覆われています。
夕方、花弁がしおれ、たたみ込むように巻き込まれていきます(写真左)。
翌日、蕾かと思うほどきれいにしぼんでいることもあります(写真右)。
次の日、たたまれた花弁は自然に落ち、5枚のガクが子房を包み(写真左)、果実が
育っていきます(写真右)。
今年の一番花にはもう種ができているようです。
アオイ科の植物にはハマキムシがつきやすいのですが、モミジアオイにはなぜか
付きません。
耐寒性・耐寒性共に強く、剪定や花殻摘みなどの手間もいりませんので、日当り
の良い花壇にはおすすめしたい花です。
次回は「モミジアオイ-2」としてこの花のもう少し細かい部分を追ってみます。
アオイ科 フヨウ属 Hibiscus caccineus 北米原産
モミジアオイが青空に開くといかにも夏らしくなります。
この花は高さ2mを越えてまるで木のように大きくなる宿根草です。
直径20cm近い大輪ながら1日花で、夕方にはしぼんでしまいますが、次々と毎日
咲いて、花の少ない盛夏の庭の主役になります。
一見、フヨウやハイビスカスと似ています。けれどもモミジアオイの5枚の花弁は
重ならず隙間を空けて配列し、平に開くのが特徴です。
今年は梅雨が長くてなかなかいい写真が撮れませんでした。
8月1日は雨が降るのに、めずらしく1株に11輪も咲いていました。
もったいなくて小雨の中カメラを向けました。クリックすると雨滴が見えます。
つぼみもまた趣があります。
つぼみのまわりを細い副萼片が針金細工のように囲んでいます。
左のつぼみは明朝開花するでしょう。
花の後面もきりっとまとまっています。
5枚の萼(ガク)と十余本の副萼片が確認できます。
モミジアオイの名は葉がモミジと似ているからのようです。
下の方の葉は大きく、掌状に深く切れ込んでいます(多くは5裂)。
赤みを帯びた太い茎は白い粉に覆われています。
夕方、花弁がしおれ、たたみ込むように巻き込まれていきます(写真左)。
翌日、蕾かと思うほどきれいにしぼんでいることもあります(写真右)。
次の日、たたまれた花弁は自然に落ち、5枚のガクが子房を包み(写真左)、果実が
育っていきます(写真右)。
今年の一番花にはもう種ができているようです。
アオイ科の植物にはハマキムシがつきやすいのですが、モミジアオイにはなぜか
付きません。
耐寒性・耐寒性共に強く、剪定や花殻摘みなどの手間もいりませんので、日当り
の良い花壇にはおすすめしたい花です。
次回は「モミジアオイ-2」としてこの花のもう少し細かい部分を追ってみます。
ユウスゲの人工授粉 [草花(夏)]
ユウスゲの人工授粉
ブログのタイトルを夕菅の庭と名付けたものの、肝心の夕菅はたった1株あるのみ
です。今までこの花を「見る」「撮る」までで満足し、「殖やす」ことは考えてい
ませんでした。
野原に群生するユウスゲには夜たくさんの蛾が飛び交うそうです。しかしこの庭で
は昼間はチョウやハチ類がかなり飛んでいますが、夜は昆虫の姿はほとんど見られ
ず、ひっそり静まっています。これでは種はあまりできないでしょう。
今年は蛾の代わりに私が人工授粉をしてみました。
方法は至って簡単な自己流です。花粉の成熟を待って夜9時過ぎに、有り合わせの
柔らかい絵筆でオシベの花粉がついているところを撫で、次いでメシベのてっぺん
の柱頭に付けます。
オシベを筆でなでると花粉が懐中電灯の光に輝きながら闇に散りました。
7月9日19:07 授粉前。
23:19 授粉後。花弁に花粉が飛び散った。
上の写真と同じ花ながら4時間を経て、花弁が幅広くなり辺縁がたるんでいる。
筆についた花粉。
柱頭(メシベのてっぺん)に花粉をつけた。
柱頭の拡大。花粉がついている。
授粉後の経過
花を鑑賞するためには花殻は目障りですから取り去るのがふつうです。
しかし種子を残すためには花殻は保存せねばなりません。
7月10日
7月12日 花期の終り頃は花殻がいっぱい。
7月14日18:17
左は昨夕咲いた花。右よりは一昨日の花、子房がいくらかふっくらしている。
枯れた花弁が落ちると緑色の実が現れる。
7月21日
実がだんだん大きくなっている。
熟した実は2〜3cm、中に20個前後の種が入っているという。
これで今年はたくさん種が出来そうと喜んだも束の間、小さいうちに枯れていく実も
かなりある。
若い実はすべて成熟するものと安易に期待してはいけないのですね。
発芽率もあまり高くなさそうですから、まだまだ前途多難でしょうが、来年はなんとか
育ててみたいものです。
ブログのタイトルを夕菅の庭と名付けたものの、肝心の夕菅はたった1株あるのみ
です。今までこの花を「見る」「撮る」までで満足し、「殖やす」ことは考えてい
ませんでした。
野原に群生するユウスゲには夜たくさんの蛾が飛び交うそうです。しかしこの庭で
は昼間はチョウやハチ類がかなり飛んでいますが、夜は昆虫の姿はほとんど見られ
ず、ひっそり静まっています。これでは種はあまりできないでしょう。
今年は蛾の代わりに私が人工授粉をしてみました。
方法は至って簡単な自己流です。花粉の成熟を待って夜9時過ぎに、有り合わせの
柔らかい絵筆でオシベの花粉がついているところを撫で、次いでメシベのてっぺん
の柱頭に付けます。
オシベを筆でなでると花粉が懐中電灯の光に輝きながら闇に散りました。
7月9日19:07 授粉前。
23:19 授粉後。花弁に花粉が飛び散った。
上の写真と同じ花ながら4時間を経て、花弁が幅広くなり辺縁がたるんでいる。
筆についた花粉。
柱頭(メシベのてっぺん)に花粉をつけた。
柱頭の拡大。花粉がついている。
授粉後の経過
花を鑑賞するためには花殻は目障りですから取り去るのがふつうです。
しかし種子を残すためには花殻は保存せねばなりません。
7月10日
7月12日 花期の終り頃は花殻がいっぱい。
7月14日18:17
左は昨夕咲いた花。右よりは一昨日の花、子房がいくらかふっくらしている。
枯れた花弁が落ちると緑色の実が現れる。
7月21日
実がだんだん大きくなっている。
熟した実は2〜3cm、中に20個前後の種が入っているという。
これで今年はたくさん種が出来そうと喜んだも束の間、小さいうちに枯れていく実も
かなりある。
若い実はすべて成熟するものと安易に期待してはいけないのですね。
発芽率もあまり高くなさそうですから、まだまだ前途多難でしょうが、来年はなんとか
育ててみたいものです。
ユウスゲ [草花(夏)]
ユウスゲ
夕菅
ワスレグサ科(ユリ科)ワスレグサ属
別名:キスゲ
夕菅はこのブログのタイトルを飾る花です。
平成4年の春、今は亡き叔母から小さな夕菅の苗を1株いただきました。
蒔いた種から発芽した3本のうちのひとつでした。
高原に咲くという夕菅が酷暑の当地で育つのでしょうか。不安に思いながらもそ
のか細い苗を日当りのよい場所に植えて見守りました。
その年は葉は伸びたものの、晩秋には枯れて終わりました。
翌年6月27日、待望の初花が開花、そのすがすがしさに感動しました。
以来16年、心配した酷暑にも耐え、花は毎年咲いています。
心にしみるようなこの花の清楚な美しさを讃え、花咲く過程を辿ってみます。
3月29日 新しい葉がどんどん繁る。今年も咲きそう。
6月16日、茎が10本、1〜1.5mほどに立ち上がり、花芽がついている。
午後4時頃、つぼみがふくらみはじめる。
18:00 もう少しで開く。
18:30 梅雨の中、レモンイエローの花びらが夕闇の中にのびやかに開く。
18:52 しだいにメシベが長くなり、オシベに花粉が認められる。
18:51 この夜は10花競演。
花にはかすかな香りがある。
19:08 3花重なって咲く。
花弁は6枚、直径8〜10cm、メシべ1本、オシベ6本。
23:16 懐中電灯で照らして撮る。花弁はやや太くなりたるみが出ている。
メシベには花粉が付いていない。
8:44 翌朝はあっけなく萎んでいる。
その名のごとくユウスゲは夕方咲き始めてもう翌朝には閉じてしまう一夜花。
2週間ほどの花期は梅雨と重なり、見頃の時間帯は夕食時間中、しかも蚊の多い頃、
実際に鑑賞できる時間はごくわずかです。
今年7月4日、主の留守に招いた友人と二人でデジカメと蚊取り線香、暗くなってか
らは懐中電灯まで携えて、つぼみから満開までの写真を撮りつつ、夕食もそこそこに
ユウスゲに熱中しました。梅雨の晴れ間、月も出て最高のユウスゲの宵でした。
その後、夜な夜やユウスゲを見にいっているうちに、虫の来訪がほとんどないのに気
付きました。
これでは種は望めません。思い立って今年は人工授粉を試すことにしました。
さて種はできたでしょうか? この結果は次の記事に。
夕菅
ワスレグサ科(ユリ科)ワスレグサ属
別名:キスゲ
夕菅はこのブログのタイトルを飾る花です。
平成4年の春、今は亡き叔母から小さな夕菅の苗を1株いただきました。
蒔いた種から発芽した3本のうちのひとつでした。
高原に咲くという夕菅が酷暑の当地で育つのでしょうか。不安に思いながらもそ
のか細い苗を日当りのよい場所に植えて見守りました。
その年は葉は伸びたものの、晩秋には枯れて終わりました。
翌年6月27日、待望の初花が開花、そのすがすがしさに感動しました。
以来16年、心配した酷暑にも耐え、花は毎年咲いています。
心にしみるようなこの花の清楚な美しさを讃え、花咲く過程を辿ってみます。
3月29日 新しい葉がどんどん繁る。今年も咲きそう。
6月16日、茎が10本、1〜1.5mほどに立ち上がり、花芽がついている。
午後4時頃、つぼみがふくらみはじめる。
18:00 もう少しで開く。
18:30 梅雨の中、レモンイエローの花びらが夕闇の中にのびやかに開く。
18:52 しだいにメシベが長くなり、オシベに花粉が認められる。
18:51 この夜は10花競演。
花にはかすかな香りがある。
19:08 3花重なって咲く。
花弁は6枚、直径8〜10cm、メシべ1本、オシベ6本。
23:16 懐中電灯で照らして撮る。花弁はやや太くなりたるみが出ている。
メシベには花粉が付いていない。
8:44 翌朝はあっけなく萎んでいる。
その名のごとくユウスゲは夕方咲き始めてもう翌朝には閉じてしまう一夜花。
2週間ほどの花期は梅雨と重なり、見頃の時間帯は夕食時間中、しかも蚊の多い頃、
実際に鑑賞できる時間はごくわずかです。
今年7月4日、主の留守に招いた友人と二人でデジカメと蚊取り線香、暗くなってか
らは懐中電灯まで携えて、つぼみから満開までの写真を撮りつつ、夕食もそこそこに
ユウスゲに熱中しました。梅雨の晴れ間、月も出て最高のユウスゲの宵でした。
その後、夜な夜やユウスゲを見にいっているうちに、虫の来訪がほとんどないのに気
付きました。
これでは種は望めません。思い立って今年は人工授粉を試すことにしました。
さて種はできたでしょうか? この結果は次の記事に。