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木曽川堤の桜 (2)  [庭の外]

木曽川堤の桜 (2)

木曽川堤の桜は先ずエドヒガンとシダレザクラが咲き、数日後にヤマザクラとソメイヨシノが続きます。
4月5日、早く咲いたエドヒガンはもう緑の若葉が目立っていました(左)。
エドヒガンは木によって開花がまちまちで、右はこの日まだ満開。
トンネル緑白wb.jpg


ヤマザクラ
日本のほぼ南部と朝鮮半島南部に分布する日本の野生のサクラの代表的な種。
奈良県吉野山の桜はほとんどこのヤマザクラだそうです。
4月5日、強い風が吹く中でヤマザクラは咲き始めていました(右)。
左はまだ咲き続けているエドヒガン。
エドヒガン・ヤマwb.jpg

ヤマザクラの大木。
ヤマザクラ2017wb.jpg

えっ? ヤマザクラの枝垂れ?
ヤマザクラ枝折れwb2.jpg

よく見ると枝が折れてぶら下がっていました。
ヤマザクラ枝折れ1wb.jpg

葉も花も一気に開いて重くなった枝が強風に煽られて折れたのでしょうか。
ヤマザクラ枝折れ2wb.jpg

ヤマザクラの若芽は褐色を帯びることが多いのですが、黄緑色、緑色、褐色、紅紫色のこともあります。
ヤマザクラ0410花3wb.jpg

白い花と褐色を帯びた葉との組み合わせには落ち着いた美しさがあります。
ヤマザクラ1wb.jpg

ソメイヨシノ
ソメイヨシノはエドヒガン系の桜とオオシマザクラの雑種の交配で生まれた園芸品種です。
現存する最古のソメイヨシノといわれるのは小石川植物園の樹齢140年の株。
この並木ではソメイヨシノは後から植えられた少数派です。
天然記念物認定後、災害などで枯れた所に補植されたものかと思います。
ソメイヨシノ0410花3wb.jpg

幹もエドヒガンに比べて細いようです。
ソメイヨシノ札2wb.jpg

エドヒガンと同じように、古い樹では花が密集して咲くので丸い房状に見えます。
ソメイヨシノ0410花4wb.jpg

4月10日、車も少なくなった堤でソメイヨシノはまだ満開。
エドヒガンやヤマザクラの若葉に引き立てられて輝いていました。
20170410wb.jpg

花の特徴
木曽川堤に植えられた4種について付記します。
1)エドヒガン
花の色は白から淡紅色。
萼筒の下半分が球状に膨らみます。
エドヒガン萼1wb.jpg

萼筒は全体として壺型になるのが特徴です。花柄に毛が多い。
エドヒガン萼2wb.jpg

2)シダレザクラ
シダレザクラはエドヒガンの枝が枝垂れた種ですから花はエドヒガンと同じです。
20170401シダレ花1wb.jpg

そのため花だけを見るとエドヒガンと区別できません。
シダレザクラ花wb.jpg

花弁の色はエドヒガンより濃いものが多く、特に補植された若い樹では濃い目のピンクが目立ちます。
シダレザクラ12wb2.jpg

ヤマザクラ
ここの花の色は白が多いのですが、淡紅色、さらに濃い紅色までいろいろあるそうです。
ヤマザクラ花5wb.jpg

萼筒は細長い筒型。
ヤマザクラ蕾wb2.jpg

ソメイヨシノ
花はオオシマザクラに似てエドヒガンより大きく華やか。萼筒は筒型。
ソメイヨシノ11wb.jpg

咲いたばかりの花は白色ですが、次第に花弁の基部や花糸が紅くなります。                                                                                          ソメイヨシノ花wb.jpg

今春はこの桜を見るのも44年目。今まではドライブスルーの桜でした。
今年初めて4種の桜を比較しながら眺めることができました。
この年にしてやっとサクラ入門、葉や幹についてはまだ宿題です。

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木曽川堤の桜 (1) [庭の外]

「木曽川堤の桜(1)」

近くの138タワーに接して桜の名所「木曽川堤の桜」があります。
1885年(明治18年)一宮市北方町から江南市草井までの堤防約8kmに植えられた桜の並木です。
(画像は全て画面をクリックすると大きくなります。)
ツインタワー2wb.jpg

この堤防は江戸時代に犬山市から弥富市にいたる木曽川左岸の全長47kmに造られ「御囲堤」と呼ばれましたが、前年の洪水により一部が崩落。
再建に際し、愛知県知事間田稔の創意に基づき堤の両側に桜の苗木が植えられました。
植樹されたのはヒガンザクラ・シダレザクラ・ヤマザクラの3種。
2015-03-26-12.35.29wb2.jpg

42年後の1927年(昭和2年)これらの桜は「木曽川堤の桜」として国の名勝および天然記念物に二重指定されました。
樹齢40年を超える桜 1871本が堤の両側にそびえ、花のトンネルを成したそうですから、壮観極まりなかったことでしょう。ソメイヨシノを含まないことも評価されたようです。
その後、大地震、戦争、台風、病虫害などによりサクラの本数は400本あまりまで減少し、100本ほどが追加植樹されました。
この中には少数のソメイヨシノが混じっていたようです。
さらに2001年一宮市が挿し木で増やした「二世サクラ」を追加、今年は合計750本ほどが見事な競演を披露しました。

樹齢130年余の古木が多いのは138タワーの東と西それぞれ約2km。
この区間の堤の道路は一方通行、桜のアーチの下を車で通り抜けることができます。
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満開の頃には路肩に駐車する車の列ができ、通り抜けは徐行運転です。
20170403車-17wb2.jpg

昭和2年指定当時は藁葺きの花見小屋が並び、夜にはぼんぼりがともって、一宮駅から行列ができたそうです(きそがわ かわなみ通信 Vol.4 2001)。
トンネル14wb.jpg

左の濃いピンクは2世のシダレザクラ。右は古木のエドヒガンです。
その後にも淡いピンクのシダレザクラが重なります。
20170403-30wb.jpg

常緑樹があると白色が引き立ちます。
シダレザクラ19wb.jpg

エドヒガン
高木になったエドヒガンの大株。
エドヒガンはサクラの中で最も寿命が長く、樹齢1000年以上の樹も各地にあります (根尾谷の淡墨桜の桜は樹齢1500年)。
花の色は白色から淡紅色までいろいろ。
20170403-14wb.jpg

これもエドヒガン。
小さいブーケのような花の塊がいっぱい。
エドヒガン満開1wb.jpg

大木の根元近くから出た細い枝にも花がついています。
エドヒガン17wb.jpg

これで1株でしょうか。
エドヒガン幹1wb.jpg

苔むした幹に「334 エドヒガン」の名札。
名札は紐が切れて落ちてしまった木が多いようです。
20170401エドヒガン札1wb.jpg

幹が割れて副え木で支えられながら開花する老木。
老木wb.jpg

シダレザクラ
エドヒガンの枝が枝垂れたものをシダレザクラ(イトザクラ)といいます。
花の色はエドヒガンと同じはずですが、やや濃いものが多いようです。
2015-03-26-シダレザクラwb.jpg

やはり古木の中には枯死寸前のものもあります。
20170401枝垂桜1wb.jpg

低く垂れた花が艶やかです。
シダレザクラ16wb.jpg

包帯を巻かれた痛々しい樹。
「336 シダレザクラ」の札が付いています。
2015-03-26-シダレザクラ包帯wb.jpg

ヤマザクラ
エドヒガンより遅れて葉と花が同時に開くのが特徴。
花の色は白または淡紅色からかなり濃い紅色まで様々。
まだ開花直前という状態でした。
ヤマザクラwb.jpg

ヤマザクラの幹
痛々しい幹に「290 ヤマサクラ」の札。
ヤマサクラ札wb.jpg

2世が大きくなって138mのタワーもだんだん見えなくなりそうです。
ツインタワー桜wb2.jpg

毎年「木曽川堤の桜」のトンネルをドライブスルーするのが春の楽しみです。
今年初めに訪れたのは4月3日、校庭のソメイヨシノは2〜3分咲きでしたが木曽川堤のエドヒガンやシダレザクラは満開、今年は色が濃い目で、ここ数年で一番美しかったように思いました。
2001年に植えられた2世たちが頼もしい若木になって、老木の間隙を埋めていました。
ヤマザクラは未開、ソメイヨシノは咲き始めですから、満開の桜はエドヒガンとシダレザクラのみ。鑑別に悩むことがなく気楽です。
画像の枚数が多くなりましたので、花の特徴などは次回に。
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