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ハナミズキの花 [花木(春)]

ハナミズキ
 花水木
 ミズキ科サンシュユ属の落葉高木
 学名 : Cornus florida 
 別名:アメリカヤマボウシ
 分布:北アメリカ東部~メキシコ北東部

ハナミズキは1912年、当時の東京市がアメリカ合衆国へサクラを贈った返礼としてアメリカから贈られた樹です。
アプローチに植えたハナミズキ達が今年は特にたくさん花を付けました。
ハナミズキ並木3wb.jpg

これらのハナミズキはもう3m以上もあって花はほとんど見上げる位置についています。
花の色は白・ピンク・赤。
ハナミズキ満開WPwb@.jpg

白い花びらが4枚あるように見えますが、正しくは花びらではなく総苞です。
ハナミズキW背wb.jpg

できるだけ低い位置の花。
ハナミズキ並木5upwb.jpg

赤い花はベニバナハナミズキという品種です。
ハナミズキR3輪wb.jpg

さらにピンク色の品種もあります。
ハナミズキ満開Pwb.jpg

この花が咲くまでを追ってみましょう。
ハナミズキの果実については既に2013.11.23.「赤い実 2013(ハナミズキなど)」として記事にしました。
この紅い実が熟す頃、すでに蕾が出来ていたのです。
紅い実の左右にある帯緑色の塊が蕾です。
ハナミズキ実と蕾wb.jpg

2014.4.17.
ハナミズキは花が樹を覆うように見えるため、葉は花の後で展開するように思われがちですが、蕾が開く前に既に葉が開き始めています。
冬を越した総苞は霜焼けしたように紫褐色に変っていました。
ハナミズキR蕾wb1.jpg

続いて総苞が開き、中から本当の花である小花の蕾が現れます。
これから4枚の総苞片が急速に大きくなって花びらのようになるのです。
ハナミズキ蕾開くwb.jpg

あでやかに変身です。
開いて間もない白花のハナミズキ。
総苞片の内側はクリーム色、辺縁はやや赤みを帯びています。
ハナミズキW蕾開
wb.jpg

総苞片は次第に大きく白くなります。
ハナミズキW花色wb.jpg

総苞片が長さ3〜4cmになリ平開しました。
中央には20個くらいの小花が頭状についています。
ハナミズキ未開Wwb.jpg

裏面を見れば種明かし。
総苞片の先端中央部の凹みの裏には褐色または赤紫色の膨らみがあります。
これが蕾を包んでいた時の総苞片に相当する部分です。
ハナミズキ裏wb.jpg

ぽってり膨らんで先端の真ん中が凹んだ総苞片の形は、同属のヤマボウシの尖った総苞片と対照的です。
中心部の小花が開き始めています。
ハナミズキ満開W1wb.jpg

小花は4弁花、雄しべ4本、雌しべ1本。黄色の花弁は長さ5〜6mm。
ハナミズキW小花初3wb.jpg

中心の花はすでに花弁が落ち、雌しべだけ見えています。
その左は満開で花粉を散らしています。未だ蕾もいくつかありますね。
ハナミズキの小花は一斉に開花せず、次々と開くのです。
総苞に守られながら長期間にわたって受粉を待つ作戦なのでしょう。
ハナミズキW小花1wb.jpg

この花は総苞片が固着して開かないまま大きくなっています。
内外2枚づつ四方から畳み込まれていた紫褐色の総苞片の基部は大きく広がり、周辺は反転しています。ほぼ帯緑色、周辺がうっすら赤く染まっています。
ハナミズキW蕾4wb.jpg

このように総苞片が開かずそのまま大きくなると、花はメガネのようになります。
ハナミズキメガネW2wb.jpg

上から見ると赤紫色の総苞片が蕾のときのまま、離れずぴったりくっついていました。
ハナミズキ未開W4wb.jpg

やっと離れました。
総苞片が伸びないうちに右側の小花は一つ開花したようです。
ハナミズキ未開W3wb.jpg

これは左側の総苞片が1枚外れた紅いハナミズキです。
中の小花はまだ緑色の蕾。
ハナミズキR蕾2wb.jpg

ピンクの花は総苞片の大小不同、変形が目立ちます。
総苞片の長さが5cmにも達する花もあります。
さらに次々と新たな園芸品種も作られているようです。
ハナミズキPwb.jpg

今までハナミズキは遠くから見る花と思っていましたが、近くで見てみると知らなかったことも見えてきて親しみが増しました。

岡山理科大学植物生態研究室のホームページの「赤紫褐色であった小さくて硬い総苞は、開くにつれて色が薄くなり、薄緑色から白色(あるいは紅色)の花弁状のものへと変化していく。大きさは何十倍にもなるわけであるが、細胞分裂はしていないはずで、ただ単に細胞の大きさが大きくなることによっての変身である。」との記載を興味深く読みました。
コメント(14) 

コメント 14

703

ハナミズキの並木道が素晴らしい景色でしょうね。
木の大きくて、花も多くて、さぞ見応えあることでしょう。

ただ漠然と花びらかと思っていましたが、苞ですか!
詳しく見せていただいて、いろいろな形があると知りました。
指を丸めてメガネを作ったり、手を合わせたりと、
どの形も愛敬がありますよね。面白い!

by 703 (2014-05-03 23:19) 

夕菅

ハナミズキも年によって花や実の多少があります。
ぱっと見るときれいですが、写真に撮るとうまくいかず、まだ登場していませんでした。
今年は咲き始めに注目したら面白い形が見られ楽しくなりました。
それから今頃アニソドンティアが満開です。
by 夕菅 (2014-05-04 00:17) 

とんちゃん

ハナミズキのこといっぱい知ることができたような気がしています!
つぼみのうちからこうして見てみるとなんだか愛おしくなりました。
そういえばつぼみがついたな~とは思っていてもそこから進歩はなかったです。
すでにそのときには葉が出ていたのですね
色のことも全く知りませんでした。
こうしてみると咲き始めの色ってきれいですね これだけ集めてもいいくらい
花は次々と咲いていくわけですね
総苞は単に細胞が大きくなっただけ!!!面白いですね~
by とんちゃん (2014-05-04 15:13) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
ハナミズキが終わる頃ヤマボウシが咲き始めます。
ハナミズキは一見華やかでも近くで見ると少々お行儀が悪い娘のように見え、ヤマボウシの方が控えめで気品があると思ってきました。
でも今年はハナミズキの総苞に寒気に耐えた証しを見つけ、とんちゃん がおっしゃるように愛おしくなりました。

by 夕菅 (2014-05-04 22:50) 

多摩NTの住人

こんにちは。
ハナミズキは当地では、街路樹で多く使われていて、我が家にも1本植えています。桜が終わったあと、この花を楽しんでいます。
もちろん夕菅さんのお庭のように広くありませんので、大きくなるとすぐに剪定される運命にあります。

by 多摩NTの住人 (2014-05-05 17:56) 

とんとん

花水木といえば、せいぜい一本庭先に植えられているお宅を見かけますが、それでも十分美しい眺めです。
このように三色のハナミズキがずらりと並んでいるのですから、どんなに広いお庭かわかります。^^
ホントに見事です。公園の様ですね。

冬芽の頃のネギ坊主の様な姿や、苞が離れないところなど、花開く前でも特別な可愛らしさが有る花ですね。
中心の小花も宝石の集まりの様です。
by とんとん (2014-05-05 23:22) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
ハナミズキは大きくなると 高さ12mにもなるようですね。
うちの庭は埋め立て地だからか、あまり大きくはならないので助かります。

by 夕菅 (2014-05-06 00:29) 

夕菅

とんとん さん コメントありがとうございました。
ハナミズキの季節には他の花々も一斉に開花するため、忙しくて詳しい観察をしていませんでした。
今年は、その目で見るといろいろ楽しい形を見せてくれるものだと反省させられました。

by 夕菅 (2014-05-06 00:42) 

エフ・エム

なるほど、総苞の大変身に驚きました。また、中の花にはちゃんと花弁も付いている。漠然と花を見ているだけでは気が付かないことが多いですね。
赤やピンクのハナミズキはどのようにして作ったのでしょうか。木本ですから、そうやすやすと品種改良することもできないでしょう。すごいことですね。
by エフ・エム (2014-05-07 14:30) 

夕菅


エフ・エム さんコメントありがとうございました。

毎年春の小さな花達を見逃すまいと下を見ている間に、ハナミズキの花は終盤でした。

今年はやっと開花前から見ていくと知らなかったことがいろいろ出てきました。

ハナミズキの品種は20種以上あるようです。
この中にはアメリカのラドガーズ大学がハナミズキとヤマボウシを交配して育苗したハイブリット系ハナミズキ(ステラピンク他)も含まれます。



by 夕菅 (2014-05-07 23:55) 

リンちゃんママ

ハナミズキなんとなく名前も素敵です。我が家にも白とピンクがありますがいまは新緑の若葉に変わっています。庭の真ん中あたりにあり近くで見たこともなく写真を見させていただきこのようになっていたのかと。来春は近くに行き観察しようと思います。近くのお宅の赤いハナミズキと思われるのはまだ綺麗にさいています。主人は
あれは赤いハナミズキ出ないと言いますが。色も形もおもしろいですね。感心することばかりです。
by リンちゃんママ (2014-05-11 22:46) 

夕菅

リンちゃんママさん コメントありがとうございました。
来年は蕾の頃からじっくり見て下さい。楽しいですよ。
うちのハナミズキももう散りはてました。
これからはヤマボウシがきれいですね。
ヤマボウシにも赤花がありますが白花よりやや遅く開花します。


by 夕菅 (2014-05-12 00:04) 

花咲かばあさん

広い広いお庭も何度か寄せていただいて、この花はあそこ、あの花はあそこ、、、と想像しながらブログ拝見できるのが幸せ。開花の経過が見られ、そのときどきがまた素敵ですね。総苞が開き始めのシックな色がいいですね。あわてないで、もう少しそのままそのまま、、、と。
うちの庭に小鳥からのプレゼントか?ハナミズキが初めて仲間入り、5個の花をつけました。ミズキ科に似た苗をみつけてから7,8年になります。
花を付けると数えたくなりますね。いただいて挿し木したナツロウバイの
花が48個の花を付けました、感動です。
ハンショウヅルが100個までで数えるのはあきらめました。うれしいこと。
そうですね、アニソドンティアが今が花も葉も美しくて盛りですね。

by 花咲かばあさん (2014-05-12 11:14) 

夕菅

花咲かおばさん お帰りなさい。
ハナミズキを小鳥がプレゼントしてくれるとは将にサプライズ!
うちの並木の下に自生したことは無いように思います。
今年は改めてこの花は咲き初めが面白いことを確認しました。
ナツロウバイの初花が48個とはこれまた驚きですね。
ハンショウヅルは今年も100以上も! すばらしい!!!
うちでは昨年植えた愛鷹ハンショウズルがたった2つ、小さな蕾をつけました。
アニソドンティアはこちらも100以上開花中、想定外の賑やかさです。
by 夕菅 (2014-05-12 21:30) 

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