ヒレタゴボウ(アメリカミズキンバイ) (2) [野草]
ヒレタゴボウ(アメリカミズキンバイ) (2)
10月2日、ヒレタゴボウ(アメリカミズキンバイ)(1)を公開しました。
しかし、隣地のヒレタゴボウが急に刈り取られてしまったため、雄しべの数など未確認のままの記事になり、何となく心残りでした。
ところが、垣根の切れ目からふと西方の稲田を見ると少し離れた休耕田に黄色の点々が見えました。
ひょっとしてこれもヒレタゴボウでしょうか?

10月6日(日)、確認に行きました。
道端のセイタカアワダチソウと競うがごとくに伸び伸びと育ったヒレタゴボウの群れ。
茎や葉の一部はは紅葉しています。
今まで隣地で見ていたヒレタゴボウは草丈1mを越えず、緑っぽいやさしい印象でした。
しかしここでは150cm以上ありそうで、別の植物のようにも思えるほどたくましい姿です。

田んぼには入れませんが、ヒレタゴボウには間違いなさそうです。

水路の脇ではセイタカアワダチソウと並んでいますが、ひけをとらない育ちっぷりです。

一方、足元の側溝に沿う畦にはもろもろの野草の中に黄色く目立つ花。
これも地面を這うように広がったヒレタゴボウの花です。花も小さめで1.5cmほど。
休耕田の大きなヒレタゴボウと畦の小さなヒレタゴボウ。
この対比は衝撃的でした!

まわりは一面に黄色く染まった稲田。
その1画だけが暗褐色に霞んでいます。
近づいてみると紅葉したヒレタゴボウが稲の間から枝を拡げていました。
その勢い、休耕田にも勝っています。稲の肥料を吸ったのでしょう。

田んぼの東北部はとくに密集していて稲は穂も出さずに枯れかかっています。
草丈170cmくらいありそうなヒレタゴボウが覆い被さっているのです。。
前の記事にエフエムさんからいただいたコメントに紹介されていたアメリカの文献では、草丈3〜6フィ−ト(90〜180cm)と書かれていました。
日本でも養分がある水田ではこのように大きくなるのですね。

境界のコンクリート柵に境された東隣の田んぼにはヒレタゴボウは全く見られません。
除草さえすれば防げるのでしょう。

たくさん実が出来ています。
一粒の種子から生えたヒレタゴボウが、いくつ種子を残すのか、空恐ろしい感じです。

ヒレタゴボウのひれはなかなか理解しづらいようです。
断面を撮ればよかったのではと反省していました。
畦に倒れ込んだ1本をいただきました。
ひれが紅葉してよく目立ちます。

断面を作るために包丁ですぱっと切ろうと思いましたが、固くて切れません。
やはり剪定鋏で力を入れてがじっと切りました。
紅いひれが3枚、張り出しています。
中心部は上記の文献に書かれていたように半ば木質化しているといえます

花の裏面も撮り忘れていましたので追加します。
葉腋から短い花柄が出て倒四角錐型の長い子房、4枚の萼と続きます。

花の中央に丸い柱頭、その周りに雄しべが4本あるかに見えます。
しかし諸文献では8本となっています。
雄しべ8本を確認しようとしましたが、これが思いの外難しいことでした。

例外的に未開の葯が撮れました。
オレンジ色の葯が2本1組で4組あるようです。

ふつうは花粉を出していない雄しべが見られるのは朝だけのようです。
7時頃見に行きましたがもう葯は開いていました。
この画像では前方に花糸が4本見えます。

2本1組になった葯から花粉が出始めるところです。

雄しべが8本に分かれて数えられる画像はなかなか得られません。
やっと撮れたかと思ったら、小さな虫がたくさん写っていました。
このお邪魔虫はアザミウマでしょうか。

白っぽい花粉が出て散乱しています。
花粉には粘着性があり、ますます隣と1塊のように見え易くなるようです。

午後になると花弁はさらりと落ちます。
続いて花粉を出し終えた雄しべも散り、花殻を残しません。

前回、ヒレタゴボウを田んぼの隅に咲く美しい野草として記事にしました。
ところがその後に知ったヒレタゴボウの逞しい繁殖力と荒々しい侵略性。
どうしてもこれを併記しておかないと誤解を生みそうです。
辺りの田んぼを見てみましたが、ここまで甚だしい被害が出ているのはこのⅠ区画だけのようでした。
ゴボウのような根は抜き易いので、ポンポンアザミのようにはならないかもしれませんが、イネの有害雑草として蔓延を防ぐべきと考えます。
10月2日、ヒレタゴボウ(アメリカミズキンバイ)(1)を公開しました。
しかし、隣地のヒレタゴボウが急に刈り取られてしまったため、雄しべの数など未確認のままの記事になり、何となく心残りでした。
ところが、垣根の切れ目からふと西方の稲田を見ると少し離れた休耕田に黄色の点々が見えました。
ひょっとしてこれもヒレタゴボウでしょうか?

10月6日(日)、確認に行きました。
道端のセイタカアワダチソウと競うがごとくに伸び伸びと育ったヒレタゴボウの群れ。
茎や葉の一部はは紅葉しています。
今まで隣地で見ていたヒレタゴボウは草丈1mを越えず、緑っぽいやさしい印象でした。
しかしここでは150cm以上ありそうで、別の植物のようにも思えるほどたくましい姿です。

田んぼには入れませんが、ヒレタゴボウには間違いなさそうです。

水路の脇ではセイタカアワダチソウと並んでいますが、ひけをとらない育ちっぷりです。

一方、足元の側溝に沿う畦にはもろもろの野草の中に黄色く目立つ花。
これも地面を這うように広がったヒレタゴボウの花です。花も小さめで1.5cmほど。
休耕田の大きなヒレタゴボウと畦の小さなヒレタゴボウ。
この対比は衝撃的でした!

まわりは一面に黄色く染まった稲田。
その1画だけが暗褐色に霞んでいます。
近づいてみると紅葉したヒレタゴボウが稲の間から枝を拡げていました。
その勢い、休耕田にも勝っています。稲の肥料を吸ったのでしょう。

田んぼの東北部はとくに密集していて稲は穂も出さずに枯れかかっています。
草丈170cmくらいありそうなヒレタゴボウが覆い被さっているのです。。
前の記事にエフエムさんからいただいたコメントに紹介されていたアメリカの文献では、草丈3〜6フィ−ト(90〜180cm)と書かれていました。
日本でも養分がある水田ではこのように大きくなるのですね。

境界のコンクリート柵に境された東隣の田んぼにはヒレタゴボウは全く見られません。
除草さえすれば防げるのでしょう。

たくさん実が出来ています。
一粒の種子から生えたヒレタゴボウが、いくつ種子を残すのか、空恐ろしい感じです。

ヒレタゴボウのひれはなかなか理解しづらいようです。
断面を撮ればよかったのではと反省していました。
畦に倒れ込んだ1本をいただきました。
ひれが紅葉してよく目立ちます。

断面を作るために包丁ですぱっと切ろうと思いましたが、固くて切れません。
やはり剪定鋏で力を入れてがじっと切りました。
紅いひれが3枚、張り出しています。
中心部は上記の文献に書かれていたように半ば木質化しているといえます

花の裏面も撮り忘れていましたので追加します。
葉腋から短い花柄が出て倒四角錐型の長い子房、4枚の萼と続きます。

花の中央に丸い柱頭、その周りに雄しべが4本あるかに見えます。
しかし諸文献では8本となっています。
雄しべ8本を確認しようとしましたが、これが思いの外難しいことでした。

例外的に未開の葯が撮れました。
オレンジ色の葯が2本1組で4組あるようです。

ふつうは花粉を出していない雄しべが見られるのは朝だけのようです。
7時頃見に行きましたがもう葯は開いていました。
この画像では前方に花糸が4本見えます。

2本1組になった葯から花粉が出始めるところです。

雄しべが8本に分かれて数えられる画像はなかなか得られません。
やっと撮れたかと思ったら、小さな虫がたくさん写っていました。
このお邪魔虫はアザミウマでしょうか。

白っぽい花粉が出て散乱しています。
花粉には粘着性があり、ますます隣と1塊のように見え易くなるようです。

午後になると花弁はさらりと落ちます。
続いて花粉を出し終えた雄しべも散り、花殻を残しません。

前回、ヒレタゴボウを田んぼの隅に咲く美しい野草として記事にしました。
ところがその後に知ったヒレタゴボウの逞しい繁殖力と荒々しい侵略性。
どうしてもこれを併記しておかないと誤解を生みそうです。
辺りの田んぼを見てみましたが、ここまで甚だしい被害が出ているのはこのⅠ区画だけのようでした。
ゴボウのような根は抜き易いので、ポンポンアザミのようにはならないかもしれませんが、イネの有害雑草として蔓延を防ぐべきと考えます。
2013-10-10 21:00
コメント(14)
あるある、こんな休耕田風景~
なるほど、硬くて、こんな形の茎!
ふむふむ、こんなガク。
O~~さすがおしべめしべ観察の達人!
と、感想を持ちつつ、
まるで自分が知っているような錯覚に陥りました。
近頃は、雑草の生えたままの田んぼも時々見られますね。
栽培の敵のひとつでしょう。
by ミセスサニー (2013-10-10 23:27)
ミセスサニーさんのお近くにもこんなヒレタゴボウがありますか。
私は今まで井の中の蛙、目の前のかわいい花だけしか見ていませんでした。
こんな田んぼ、休耕田というのか耕作放棄田というのかわかりませんが、イネに難儀な雑草の温床になっているようで心配です。
ここへ引っ越してきた頃は昔ながらの田植え風景も見えたのですが、今はほとんど機械が請け負っています。
by 夕菅 (2013-10-11 00:02)
まさにこれとそっくりな光景でした!
私が見てきたときと全く似ているので同じような経過をたどっているなと思いました。
休耕田全体を覆って勢いがたけだけしかったです。
それが畦道に入って行ったときには健気で小さいままちょこんとだけ遠慮がちにあったのです。
どちらか一方だけ見ていたのでは抱く印象が全然異なると思います。
茎を切断するとヒレの部分がよく分かりますね。
そうしてみられた夕菅さんは頭の回転が違います!
雄しべをよく見るためには朝早くなんですね。
時間との勝負になりそう 見つけ出すのは大変
夕菅さんのお陰で2本一組が四つの雄しべを見ることができました。
よく調べていただいてありがとうございました
by とんちゃん (2013-10-11 09:49)
なるほど、北米でも部分的には似ている風景かも知れません。やはりインベーダーの様相をしていますね。
競争相手はミズキンバイ、チョウジタデ(タゴボウ)でしょうか。ミズキンバイはすでに絶滅危惧1Aですから、風前の灯火です。チョウジタデが危惧種になるとはとても思えませんが、絶対にとは言えないとおもいます。
花についている虫は、アザミウマにしては触角が長く、尻が丸いように見えますが、何なんでしょう。
by エフ・エム (2013-10-11 10:28)
とんちゃんが見られたのも同じだったのですね。
ヒレタゴボウの2面性を見せられると複雑な気持ちになりました。
畦道のヒレタゴボウだけ見ているとかわいらしくて毎年楽しみにしていましたが、田んぼの中に繁ったものはやはりインベーダーですね。
花が咲き始めるのは早朝のようです。夜型の私は7時の花しか撮れませんでしたが、これで大体わかりますでしょうか。
by 夕菅 (2013-10-11 13:03)
エフ・エム さん コメントありがとうございました。
前回いただいたコメントと文献を再掲させていただきました。
事前にご了解も得ず申し訳ありませんでしたがよろしくお願いします。
ほんの近くで思いがけない光景を目にして驚きました。
ミズキンバイに競合するオオミズキンバイが問題になって駆除が行われた記事を読みましたが、こちらではミズキンバイは見たことがありません。
むしろ美しい稲田に侵略が拡大しないかと心配しています。
小さなミズキンバイより大きなヒレタゴボウの方が種子が細かくて数が圧倒的に多いのが気になります。
あの虫はやはりアザミウマとは違いますか。画像も不明瞭でお手上げです。
by 夕菅 (2013-10-11 13:33)
所を得れば、すさまじい勢いで経ちあがって行くのですね。
本性を見たという感じで、空恐ろしく見えます。
畦に小さく咲くのとは別物のようです。
おびただしい種の量を心配されていますが、
私は当地のナルトサワギクに同じ恐怖を感じます。
侵略的なのは本当に困りますね。
by 703 (2013-10-11 22:46)
703 さんコメントありがとうございました。
「所を得れば」正にその通りです。
かわいい花だと思っていましたが、この逞しさを見ると裏切られたかんじでした。
このままでは蔓延を助長するといけないと思って、あわてて続編を追加した次第です。
淡路のナルトサワギクも花はきれいだから余計広がってしまったのでしょうね。
by 夕菅 (2013-10-12 00:08)
我が家の田んぼを管理されてる農家は除草をしっかりされ田んぼの際に少しだけありましたが道路を挟んだ田んぼにはヒレタゴボウだけでなくよく見る他の雑草にも埋め尽くされ稲刈りがたいへんと心配になります。我が家の田んぼに種がいっぱい飛んでくるのかしら?可愛い花ですがちょっと困ります。ブログで名前をしり親しみを感じたのですが。
by リンちゃんママ (2013-10-12 18:28)
リンちゃんママさん コメントありがとうございました。
私が写真を撮った田んぼもお隣はしっかり除草されていました。
でも隣を見ると先が思いやられるのではと同情したくなります。
畦道にだけにこやかに咲いててくれたら喜ばれる花ですのにね。
by 夕菅 (2013-10-12 21:31)
こんにちは。
休耕田の狩り残しがあって良かったですね。
いつもながらの詳しい説明で、理解が深まりました。
有り難うございました。
by 多摩NTの住人 (2013-10-16 09:35)
多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
今年はもう見られないかと思いきや、生垣の外には恐ろしい勢いで群生していました。
昨日隣の田んぼの地主さんに話をする機会がありました。
すると「うちにも生えてその年のわらを畑に入れたら、畑にも黄色い花がいっぱい咲いて往生した」と言われました。
湿地だけではなく畑にも生えることがわかって驚きました。
by 夕菅 (2013-10-16 18:02)
はじめまして
最近我が家の周りで見る黄色いお花はなんだろうとずーっと気になり調べていたところ
こちらのサイトでよーくわかりました
丁寧な詳しい説明ありがとうございます
休耕田の中や畦道にたくさん見かけるようになりました
可愛い黄色いお花と思っていましたが
はびこる雑草だったのですね
セイタカアワダチソウにまけない草のようですね
by ナデシコ (2017-09-04 21:44)
ナデシコ さん 初めまして!
ヒレタゴボウの記事がお役に立ったようでうれしく思います。
私も全くの素人、知らない花があると気になって懸命にネット検索、わかった時はすっきりしますね!
でも次にヒレってどこ? ゴボウって根の形? などとはまってくると結構苦しみもあります(笑)。
ヒレタゴボウは可愛い花ですが、結構したたかですね!
by 夕菅 (2017-09-05 15:59)