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ヒレタゴボウ(アメリカミズキンバイ)(1) [野草]

ヒレタゴボウ
 鰭田牛蒡
 アカバナ科チョウジタデ属の一年草。
 学名:Ludwigia decurrens
 別名:アメリカミズキンバイ
 原産地:熱帯アメリカ
 花期:8〜9月

隣接する田んぼの辺縁に咲くヒレタゴボウ、稲の緑を背景に真黄色に輝いています。
花の大きさは2〜3cm。
葉脈のような筋が入った卵形の花弁が4枚、隣とは隙間を作って十文字に開きます。
ヒレタゴボウ2011花1wb.jpg

1955年に愛媛県で見いだされた後、水田雑草として各地に拡大、今や北九州から関東地方にまで広がっているようです。
ヒレタゴボウ2013-1wb.jpg

草丈:50〜150cm →20〜170cmに訂正。
葉は広線形、ほとんど無柄で互生。
ヒレタゴボウ201wb.jpg

水田の外縁部、日当りや風通しの良いところに群生しています。
ヒレタゴボウ2011-3wb.jpg

この辺りのイネは「初霜」、この花が咲く頃ヒレタゴボウも満開です(2013.9.15.写)。
ヒレタゴボウ2013-7wb.jpg

葉は赤っぽくなることもあります。
ヒレタゴボウ2012紅葉wb.jpg

4枚の萼片と4枚の花弁。
チョウジタデの花とよく似た形ですが、花の大きさから区別できそうです。
ヒレタゴボウの花は2〜3cm。チョウジタデは1cm未満。
ヒレタゴボウ最後の花wb.jpg

中央に逆さ電球状の柱頭があり、花糸の短い雄しべに囲まれています。
雄しべは8本だそうですが、この画像では花粉が多くて数えられません。
ヒレタゴボウ花粉wb.jpg

上は蕾。下は若い果実。共に葉腋にひとつづつ。
蕾を包んでいた4枚の萼は花弁が散ってからもしばらく残ります。
ヒレタゴボウ実・蕾wb.jpg

花弁が散った後に白い模様が4つ、最後に残っていた柱頭もポロリと落ちた直後です。
ヒレタゴボウ実・蕾2wb.jpg

若い果実は赤色や紫黒色を帯びた4角柱形。
ヒレタゴボウ実2wb.jpg

果実は熟すと萼が脱落し、帯緑色から褐色になります。
更に莢が乾いて薄くなり、破れた所から細かい種子が飛び散ります。
黄色い小粒は種子。右はまだ若い果実を2つに切ったもの。
既に黄色い種子の粒がびっしり詰まっていました。
種子の大きさは0.5mm。
ヒレタゴボウ種子wb.jpg

ヒレタゴボウは鰭のあるタゴボウ。
鰭を見ようと思っても茎の上部でははっきりしません。
しかし下部の茎には巾広い翼が認められました。
ヒレタゴボウひれ2wb.jpg

横から見た所です。鰭(翼)は稜線部が隆起したかんじです。
ヒレタゴボウひれ1wb.jpg

やや上部の茎の鰭です。
日本帰化植物写真図鑑1-206には「葉の基部は茎に流れて稜につながって翼となる」と表現されていました。
ヒレタゴボウひれ3wb.jpg

ヒレタゴボウはゴボウに似ているかどうか、根を調べたくなります。
引っこ抜いて、根を取り巻いていた土を洗い流しました。
細かい根がたくさんありますが、一番太いところは若いゴボウの根に似ているようです。
ヒレタゴボウ根2wb.jpg

9月29日(日曜日)朝。
ヒレタゴボウを記事にするために、もう少し写真を追加したいと思い現地へ行きましたところ、なんと刈られた直後でした。
稲刈り前の除草だったのでしょう。
でもよく見たら、境界の土留め部分(うちの土地)には鎌が届かなかったらしく、1本残っていました。
引き抜くと下の方の茎に翼もあり、根の部分もついてきました。
ぎりぎりで辛うじてセーフ、根を見ることができたのです!

追記 2013.10.10. 
 ヒレタゴボウ(アメリカミズキンバイ)(2)を追加しました。
是非、併せてお読み下さい。
コメント(20) 

コメント 20

多摩NTの住人

こんにちは。
ヒレタゴボウはネットで拝見しますが、実物を見たことがありません。でも今年、初めてチョウジタデを撮りましたので、こちらの記事を興味深く拝見しました。
いちもながら勉強になります。
by 多摩NTの住人 (2013-10-03 08:44) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
9月20日、チョウジタデとウスゲチョウジタデをアップされてましたね。実は私はこれらを見たことがないのです。
チョウジタデの別名は「タゴボウ」、同じような根なのでしょうね。
多摩地方にはまだ少しは水田が残っているのでしょうか。

by 夕菅 (2013-10-03 13:08) 

とんちゃん

ヒレタゴボウ!こっちでもすごい勢いで今が盛りと咲いています!
愛媛県で最初に見つかったのですね。
放棄された耕作地では田んぼ一面このヒレタゴボウが大手をふるっていました。
何年か前に初めて知ったのですがそのときはヒレタゴボウとチョウジタデの区別もつかずがむしゃらに写真に撮っていました。
こちらでは両方見ることができます。でも多いのはヒレタゴボウのほう
茎のひれの部分 こんな風によく分かるようについていたのですね。
根っこの細いごぼう 滑り込みセーフで写真に撮れてお陰で私も見ることができました。
ひれとごぼう さすがは夕菅さんらしくまとめられて頭が下がります!
by とんちゃん (2013-10-03 14:31) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
関東地方にも勢いよく広がっているのですね。
鰭の部分は上から覗いているとあまり目立ちませんが、今回は刈ったばかりの束が田んぼに放置してあったので、側面を写すことができました。
他人の田んぼでは雑草といえども引き抜き難いでしょうから、ここで根を写すことができてよかったかと思います。
by 夕菅 (2013-10-03 17:55) 

花咲かばあさん

ヒレタゴボウとアメリカミズキンバイが同一のものと、今回知りました。
根はゴボウと似ているようですね。
数年前に初めて見る花でした。庭に植えようかとも思いましたが、
旺盛な繁殖の様子を見て、やめておいてよかった。
チョウジタデは群生しないようですね。
輝く黄色の花は美しいと思いますが、やはり旺盛な植物は庭では嫌われものになりますか。
そばにあったガガイモは刈られてしまわなかったのかしら。種は残っているかしら。
by 花咲かばあさん (2013-10-03 20:41) 

夕菅

花咲かおばさん コメントありがとうございました。
ヒレタゴボウは隣地でこんなに咲いていても私の庭では一度も生えません。湿地でないと発芽しないのかしら?
隣地のガガイモも刈られました。ところがうちの駐車用のガガイモも枯れてきました。どうも根は隣地にあったようです。
せめてもと、もうかなり大きくなっていたガガイモの果実はもらってきて写真を撮りました。
by 夕菅 (2013-10-03 21:39) 

703

名前も顔も初めての植物です。
最初の写真を見て、(いいじゃない、好み)と思いましたが、
繁殖力がものすごいようですね。
種を見ると納得です。
私が田んぼを見に行かないから、
当地でも繁殖しているのかどうなのか、不明です。
愛媛に近いからおそらく咲いているのでしょうね。
可愛いと言って、もらって来ないようにします(笑)
by 703 (2013-10-03 22:16) 

夕菅

703さん コメントありがとうございました。
黄色は目立つ色ですがヒレタゴボウは嫌みなく葉とのバランスも良く、私も庭に植えたくなります(笑)。
まじめに除草している田んぼにはこの花は咲かないようです。
隣地の田んぼでは稲の間にもいろいろ育っていますから、ありがたいことに私はいろいろ楽しませていただけます。
by 夕菅 (2013-10-03 23:28) 

エフ・エム

私の在住地も水田が多いのですが、ヒレタゴボウは水路などに一杯咲いています。花が鮮やかな黄色なのでよく目立ちます。10年ほど前は珍しかったと思います。種子の数がすごいですね。増えて当然という気がします。
アメリカが原産ですが、多分当地には水田はないので、これが生える風景は日本とは全く違うでしょうね。
http://eol.org/pages/595757/overviewを読んだところ、Ludwigia decurrensは、多年草で幾分木質化し、高さは3-6フィートに達するとありました。約90〜180センチ位でしょうか。所かわれば品変わるで、日本のヒレタゴボウは可愛らしいもんだと思いました。
by エフ・エム (2013-10-04 10:49) 

oohasi-mama

こんにちは
ヒレタゴボウ・・初めて聞く名前!
また、私はまだ見たことがない様な…(ただ気が付かないだけかもです)

色鮮やかな、かわいらしい花ですね。
関東にも広がっているとのこと。早速意識して散歩してみます。
この花といつ、どこで出会えるか…楽しみです。  
by oohasi-mama (2013-10-04 11:29) 

ミセスサニー

きれいだなぁ、と車から田んぼのこの花を眺めてましたが、名前の由来を教えてもらって、覚えることができそうです。熱帯産がこんなに広がっているのですね。
by ミセスサニー (2013-10-04 12:33) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
関東の方は稲の品種が違うのでもう稲刈りが終わった頃でしょうか。
この細かい種なら田んぼから水路へと漂ってどんどん殖えていくでしょうね。
文献のご紹介ありがとうございました。6フィートはすごいですね。
広い沼地だったら水田の隅とは異なる植物に見えるかもしれません。
Primrose-willowともいうとか、葉が柳の葉に似ているからでしょう。

by 夕菅 (2013-10-04 12:48) 

夕菅

oohasi-mama さん コメントありがとうございました。
この花は北海道にはまだなさそうですし、都内では見つけにくいかもしれません。
千葉県や茨城県には多いそうですから、都内にもひょいと見つかったら教えて下さいね。
ちょっと涼しくなって散歩も楽しくなるでしょう。
今朝の庭にはキンモクセイン香りがいっぱいでした。
その目で見ながら小さな発見を楽しんで下さい。
by 夕菅 (2013-10-04 13:09) 

夕菅

ミセスサニー さん コメントありがとうございました。
近縁のチョウジタデは在来種で北海道まで分布していますから、熱帯産とはいえまだまだ北へも拡大するかもしれませんね。
この季節、「もう少し刈らないでね」と祈りながら黄色の帯を楽しみにしていますが、今年はちと早くて残念でした。
by 夕菅 (2013-10-04 13:25) 

リンちゃんママ

田んぼの淵に生えている小さい黄色い花の草がヒレタゴボウという名前をはじめて知りました。意識して見るとあちこちに生えていました。我が家の田んぼから一本取ってきて写真に照らしてみて見ました。ボーとしか観ていなかった草をあらためて見なおしました。草の観察をしたのは学生時代以来の事です。気持ちが学生時代に戻るかしら?
by リンちゃんママ (2013-10-05 00:06) 

夕菅

リンちゃんママさん 初めてのコメントありがとうございました。
すぐ「我が家の田んぼから一本取ってきて」観察とはすばらしいですね。
私は初めは植物用語が全くわからず苦労しました。一旦調べてもまた忘れるし、今でもわからないことがいっぱいあります。
リンちゃんママさん、これを機に学生時代に戻って観察してみて下さい。小さな発見が色々あって楽しいですよ。

by 夕菅 (2013-10-05 08:29) 

とんちゃん

夕菅さん、事前の承諾を得ずにヒレタゴボウをリンクしてしまいました。
丁寧に説明されているので助かります。
自分のところでは手抜きをしているのでこちらで勉強することができます。
よろしくお願いいたします
by とんちゃん (2013-10-06 08:12) 

夕菅

とんちゃん リンク、もちろん大丈夫です。
実はまだ撮りたかった画像があったのに刈られてしまったので、それまででアップしてしまいましたが、今日は近くの田んぼにたくさん生えていることに気付き写真を撮りに出かけました。
でもやっぱり、一目で雄しべ8本とわかる写真がとれずがっかりでした。撮れたら追加したいと思っています。
by 夕菅 (2013-10-06 22:32) 

panda

夕菅さん、こんにちは
ヒレタゴボウの根っこがどうなっているのか知りたくてたずねてきました。夕菅さんらしい、丁寧な内容の中に私の求めていることに出会えて嬉しかった。ありがとうございます。
by panda (2013-11-01 10:27) 

夕菅

panda さん ヒレタゴボウの根っこ、少しはお役に立ちましたでしょうか。
ゴボウという名が入っているからにはやはり根が見たくなりますね。
ちょっと引っ張ったらすぐ抜けました。
あとから味もみるべきだったかなと後悔しました(笑)。
by 夕菅 (2013-11-01 12:58) 

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