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タンチョウソウ [草花(春)]

タンチョウソウ
丹頂草 Mukdenia rossii
ユキノシタ科 タンチョウソウ属 の多年草(1属1種)
別名:イワヤツデ ・ イワヒメヤツデ
自生地:朝鮮半島から中国東北部
 
タンチョウソウ060319wb.jpg

3月中旬、紅い花芽が頭をもたげているのを発見。
タンチョウソウです! 今年も出てきてくれました。
(以下の画像は画面をクリックすると大きくなります。)
タンチョウソウ2012芽生えwb.jpg

葉が開く前にまず花径がすっくと伸びて蕾が白っぽくなります。
タンチョウソウ2012-1wb.jpg

白くなった蕾を覗くと中には紅い雄しべの葯がぎっしり。
雌しべの柱頭らしい黄色の点々も見えます。
タンチョウソウ20110327-3wb.jpg

左はヒマラヤユキノシタ。同じくユキノシタ科ながら対照的に見えます。
ヒマラヤユキノシタと1wb.jpg

先ず白い小花が咲き、次いでヤツデのような大きな葉が開きます。
このような姿が白いツル(タンチョウ)に見立てられたのでしょうか。

ヒマラヤユキノシタと3wb.jpg

上から見ると径数ミリの白い花が数十個、集散状に咲いています。
ヒマラヤユキノシタと2wb.jpg

花は純白ではなく中心が多彩に見えます。
タンチョウソウ100404wb.jpg

拡大すると花弁に大小が認められました。
外側の大きい花弁に見えたのは萼で6枚くらいあります。
内側の小さい方がほんとうの花弁で萼より多いようです。
雌しべの柱頭は2〜3個に分かれ、その周りを8本前後の雄しべが囲んでいます。
タンチョウソウ蕊wb3.jpg

紅い雄しべは未開の葯でした。
葯は開くと白い花粉が出て紫色に変わります。
この紅い葯から、ツルの中でも頭部が紅いタンチョウを連想し、タンチョウソウと命名されたのでしょうか。タンチョウの頭部の紅い部分は露出した皮膚の色だそうですから、4枚目の写真のように蕾が開いて紅い葯がみえている状態がぴったりです。
しかし、後で日本で見られるツルを調べましたところ、留鳥はタンチョウのみ、冬鳥はナベヅルとマナヅルで、白いのはタンチョウのみでした。頭の色のことは考え過ぎかもしれません。(この項一部訂正追加しました。)
タンチョウソウ蕊2wb.jpg

展開中の若い葉。
タンチョウソウ若葉wb.jpg

葉は次第に緑色になり、びっしりと繁ります。
タンチョウソウ花葉wb.jpg

5月初めには花は萼を残して褐色になり、大きな葉が重なり合って地を覆います。
タンチョウソウ葉wb.jpg

タンチョウソウは和風の趣がある花で、山野草として販売されています。
そのため最近までタンチョウソウは日本に自生する植物と思い込んでいました。
この庭ではやや日陰の所に地植えしていますが、暑さ寒さにも強く丈夫です。

和名については混乱しているようです。
一般にはタンチョウソウ、もしくはイワヤツデと呼ばれていますが、かってはイワヒメヤツデ属だったらしく、「朝日百科植物の世界」ではイワヒメヤツデとして掲載されています。
しかしDNAによる新しい植物分類表ではタンチョウソウ属タンチョウソウになっていますので、ここではタンチョウソウとしました。

古い写真を見直したところ、花の趣が異なる1枚がありました(2009.3.15.写)
タンチョウソウ090315wb.jpg
萼がより長く純白で花弁の枚数も6枚くらいで蕊の色合も静かです。
ひょっとしたら、こちらの方が原種に近く、上記の花々は園芸品種かしらとも思えます。
朝日百科植物の世界では「がく片、花弁、雄しべともに5〜6個」と記載され符合します。しかし、うちの花は花弁、雄しべが8個くらいあるのです。
撮影日が3月15日と早いので、購入したばかりの株かもしれません。
すでに花期は終わりましたが、来春、今年は葉しか出なかった株に注目してみます。
また来年はトップの全体像も撮り直しです(接写ばかりに夢中になってピンぼけしかありませんでした)。
コメント(12) 

コメント 12

satton

札幌の北大植物園にありましたが北海道には自生していないようです。小さな花だからタンチョウソウの名前の由来は花に超接近しなければかりませんね。
by satton (2012-05-05 17:23) 

703

初めて見る花です。
拡大するとお菓子のようで面白いですね。

和名のタンチョウソウは、なるほどという面白いネーミングですね。
紅い葯を丹頂鶴の頭に見立てたというのは、そうだろうと思いますが、写真を見ていて、蕾の頃の茎の伸び方が鶴の首に見えました。白い羽や首の長さも丹頂鶴なんでしょうね。

by 703 (2012-05-05 23:16) 

夕菅

satton さん 北海道にはタンチョウヅルはいてもタンチョウソウは自生していないのですね。
タンチョウソウは確かによくよく近づいて見ないと紅い部分を確認出来ませんね。
北海道ではシラネアオイやエゾエンゴサクなど春の妖精達が一気に咲きそろう頃でしょうか。
by 夕菅 (2012-05-05 23:50) 

夕菅

703さん コメントありがとうございました。

私は6枚目の写真からツルを連想したのですが、703さんは3枚目の写真ですでに鶴の首と見られたのですね。

実は私はツルはあまり見た事がなく、「日本の留鳥はタンチョウのみで、冬鳥として渡来するのがナベヅルとマナヅル」ということも今回知ったばかりです。

タンチョウの頭部の紅い部分は露出した皮膚の色だそうです(本文一部訂正追加しました)から、蕾が開いて葯が見える頃の状態が最もそれらしく見えるかと思ったのです。
でもツルの画像を見ると、日本の3種のツルのうち白いのはタンチョウのみでした。頭のことは考え過ぎたのでしょうか?
単純に連想できる白いツル(タンチョウ)だけでよかったかもしれませんね。
by 夕菅 (2012-05-06 08:25) 

多摩NTの住人

こんにちは。
タンチョウソウは初めて知りました。
タンチョウヅルに見立てるとは、命名者はセンスがありますね。
by 多摩NTの住人 (2012-05-06 12:06) 

とんとん

タンチョウソウは友人に頂いたものを鉢で楽しんでいます。
もう花は終わって葉っぱだけですが、葉っぱもいい形ですね。
咲き始めのピンクの蕾の初々しさが印象的ですが、白花の中心も不思議な感じでどうなっているのかと思っていました。
花びら状のものが二重になっているのは全く気づきませんでした。
来年見るのが楽しみです。
by とんとん (2012-05-06 18:37) 

花咲かばあさん

タンチョウソウを友人に頂いてから、年ごとに大きな株になるものですから、あちこち嫁に出しました。
咲き始めのピンクの花芽の時がもっとも好きな時ですね。
丹頂鶴を連想するのが、みなさんそれぞれで面白いと思いました。
私は、白い花を頭、すっくと伸びた茎が首、葉のぶぶんを白い羽、、、と。
ここまで花を覗き込んでじっくり見たことがありませんでした。
白い花の中心のなんと美しいこと。今年はもう盛りを過ぎてしまいました。
来年はゆっくり向き合ってみましょう、楽しみです。
それにしても花の命名にはいつも驚きです。


by 花咲かばあさん (2012-05-06 19:49) 

エフ・エム

この植物はまだ見たことがありません。
花をアップした写真は装飾的な絵画のようで、とてもきれいです。
たしかに白い花被と赤い葯の印象からタンチョウソウの名付けられたと思いますが、私はむしろ、葉の様子、すっと伸びた茎、その頂端に咲く美しい花全体の印象から丹頂鶴を連想しました。
by エフ・エム (2012-05-06 21:21) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
タンチョウソウは日本に自生していてもいいような植物ですが意外に普及していませんね。
ネット検索の情報もあまり多くなく、ついかってなことを書いてしまい反省しています。
タンチョウソウの命名者のセンスの良さ、同感です。
by 夕菅 (2012-05-06 21:32) 

夕菅

とんとん さんも育てられてたんですね。
うちでも今は大きな葉と花殻の状態です。
ブログ用にマクロレンズで撮ると新たな発見があって、楽しくもあり、苦しくもあり、でした。
花弁状の萼の存在は私も文献で知りましたが、最後の写真は時期の違いか、品種の違いか不明です。
是非来年お庭の株について観察して教えて下さい。



by 夕菅 (2012-05-06 22:12) 

夕菅

花咲かおばさんの方が早くからタンチョウソウを育てていらっしゃったのですね。
なるほど花を頭、茎が首、葉を白い羽と見立てられたのですね。
それぞれ連想のし方が違ってもタンチョウソウの命名については異論なくより楽しくなりました。
ネット検索では柱頭の色が赤いものも見られ、皆さんにも来年それぞれよく観察していただきたく思っています。
by 夕菅 (2012-05-06 22:43) 

夕菅

エフ・エム さんコメントありがとうございました。
この花は外来種ながら道端へ逸出するほどには殖えないのかもしれませんね。
でも一度是非エフ・エム さんにも見ていただきたく思います。
ツルの連想は私も抽象的に全体から浮かび上がりました。
でも日本には白いツルが何種類かいるのだろうと思い、萼の色でタンチョウを特定したつもりでしたのに、コメントをいただいてから検索すると白いツルはタンチョウのみで慌てました。
by 夕菅 (2012-05-06 23:05) 

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