ナツロウバイ (2) [花木(春)]
ナツロウバイ 夏蝋梅
ロウバイ科 Sinocalycanthus chinensis
中国原産の落葉低木
この花については 2009.5.21.ナツロウバイ として既に記事にしました。
その後もこの木は毎年5月には魅惑的な花を付けます。
半日陰にあるためなかなか写真が撮りづらいのですが少々追加してみます。
おおかたの花がそうであるように、この花も蕾から開花する頃が最も美しいと思います。
翌日、さらに開いて色も淡くなります。
俯いて静かに咲く花をそっと葉の上に載せて「こんにちは」。
淡いピンクの蝋細工のよう。
開き始めた蕾。
大きな葉の間から花柄が伸びて1輪咲きます。いよいよ開花。
ロウバイと同じく肉厚の花被片。
満開の花。
見上げるとピンクの花被片はやや透けて見えます。おや、クモが1匹。
花の裏面。苞や萼は区別できません。
6花勢揃い。
昨年の果実が未だに残っています。
花とは対照的ないかめしい残骸ながら妙にユーモラス。
この可憐な花がエイリアンのような果実になる過程を追ってみたいと思います。
花の正面。外側は淡いピンク色の花被片、内側には小さい黄色の花被片が蕊を囲んでいます(内花被片)。
中央には多数の葯が成熟して並び、それぞれ縦に裂け目が見えます。
雌しべはどこにあるのでしょう。
どの花も雄しべばかりのような気がしました。
しかしよく見ると咲いたばかりの花の中央に糸状に光る部分がありました。
これが雌しべでしょう。
黄色いバナナのような若い雄しべが雌しべを囲んでいます(雌性期)。
内花被片の内側を拡大すると糸状に分かれた柱頭が10本余、数えられます。
やはりロウバイと同じく雌性先熟ですね。
成熟した葯は背面が縦に裂けて花粉を出しながら雌しべを包み込むように前傾します
(雄性期)。
その後、花被片は次々と散っていきます。
花被片が散った後の壷型の花床に枯れた雄しべが付いています。
瘢痕のように見えるのは花被片が落ちた痕。
若い果実(7月9日)。
1年後、まだ残っていた昨年の果実。
割ると中にはまだ種子が残っていました。
樹下のジャノヒゲの間に芽生えたばかりの双葉と育ちつつある苗木。
樹木の全体像。
植えてから20年近くたっていますが未だに樹高約2.5mほどです。
花美しく手のかからない理想的な庭木としてお勧めできます。
ロウバイ科 Sinocalycanthus chinensis
中国原産の落葉低木
この花については 2009.5.21.ナツロウバイ として既に記事にしました。
その後もこの木は毎年5月には魅惑的な花を付けます。
半日陰にあるためなかなか写真が撮りづらいのですが少々追加してみます。
おおかたの花がそうであるように、この花も蕾から開花する頃が最も美しいと思います。
翌日、さらに開いて色も淡くなります。
俯いて静かに咲く花をそっと葉の上に載せて「こんにちは」。
淡いピンクの蝋細工のよう。
開き始めた蕾。
大きな葉の間から花柄が伸びて1輪咲きます。いよいよ開花。
ロウバイと同じく肉厚の花被片。
満開の花。
見上げるとピンクの花被片はやや透けて見えます。おや、クモが1匹。
花の裏面。苞や萼は区別できません。
6花勢揃い。
昨年の果実が未だに残っています。
花とは対照的ないかめしい残骸ながら妙にユーモラス。
この可憐な花がエイリアンのような果実になる過程を追ってみたいと思います。
花の正面。外側は淡いピンク色の花被片、内側には小さい黄色の花被片が蕊を囲んでいます(内花被片)。
中央には多数の葯が成熟して並び、それぞれ縦に裂け目が見えます。
雌しべはどこにあるのでしょう。
どの花も雄しべばかりのような気がしました。
しかしよく見ると咲いたばかりの花の中央に糸状に光る部分がありました。
これが雌しべでしょう。
黄色いバナナのような若い雄しべが雌しべを囲んでいます(雌性期)。
内花被片の内側を拡大すると糸状に分かれた柱頭が10本余、数えられます。
やはりロウバイと同じく雌性先熟ですね。
成熟した葯は背面が縦に裂けて花粉を出しながら雌しべを包み込むように前傾します
(雄性期)。
その後、花被片は次々と散っていきます。
花被片が散った後の壷型の花床に枯れた雄しべが付いています。
瘢痕のように見えるのは花被片が落ちた痕。
若い果実(7月9日)。
1年後、まだ残っていた昨年の果実。
割ると中にはまだ種子が残っていました。
樹下のジャノヒゲの間に芽生えたばかりの双葉と育ちつつある苗木。
樹木の全体像。
植えてから20年近くたっていますが未だに樹高約2.5mほどです。
花美しく手のかからない理想的な庭木としてお勧めできます。
2011-06-02 21:59
コメント(10)
珍しいお花がお庭にあるのですね!
ロウバイと蕊のしくみは似ているようですね。
初夏にこの優しいピンク色が何とも言えませんね。
ピンクの花弁と蕊の間にある黄色いものはなんでしょう?
日本水仙のように副花冠の様なものなのでしょうか。
実も、種もロウバイと似ていますね。
by とんとん (2011-06-03 22:48)
ナツロウバイ、初めて見ました。面白いつくりの花ですね。中国の原産だと北海道でも育てられるかもしれませんね。
by satton (2011-06-07 09:08)
とんとん さん
そうなんです。この庭の名物にしています。
咲いたばかりの花のふんわりしたやわらかい色合いが大好きです。
花の構造についての詳しい文献がないのですがロウバイに準ずるものとして、黄色の部分は内花被片と考えました。
確かにニホンズイセンの副花冠のようなものでしょうね。
by 夕菅 (2011-06-04 00:29)
by 夕菅 (2011-06-07 11:55)
satton さん
たしかに中国原産ですから北海道でも育ちそうな気がします。
うちでは日照時間の少ない北風の通路に植えてありますが、寒冷の被害は認められません。
やさしい色合いが好きでまた追加記事を書いてしまいました。
by 夕菅 (2011-06-07 12:05)
>植えてから20年近くたっていますが未だに樹高約2.5mほどです。
花美しく手のかからない理想的な庭木としてお勧めできます。
ナツロウバイ初めて聞きました
ほんわか~~とした、優しいピンク色に惹かれました。
by わんちゃん (2011-06-10 14:29)
夕菅さん お久しぶりです
でも ブログはいつも拝見し、
夕菅の庭を目に浮かべて 楽しませて貰っていますよ。
近くだったら毎日のように見に行かせて貰いたいのに・・・残念。
花盛りの春のにぎわいも大好きで素敵ですが、
夕菅の庭の夏の花達は趣がありますね。
緑の中で決して我を張りすぎず、
それでいて、清楚で、しかも品があり、輝いている花達。
このナツロウバイはなんと優しく、かわいらしいこと。
前、ご紹介いた時からナツツバキと共にファンになっています。
さて、今日は友人と高尾山を登ってきました。
前夜の雨で緑がつやつやと輝き、
まさしく、森林浴!の一時でした。
そして、幸運にもセッコクの群生を見ることが出来ましたよ。
(近くにいた方がセッコクという名を教えてくださいました)
花がつくはずもないような木の枝に白い花が咲き乱れ
驚くばかり。
渓谷の奥だったため間近で観察はできませんでしたが
なにやら、心がざわめく花でした。
花達との こんな偶然の出逢いは、また嬉しいものです。
by ebisu-mama (2011-06-10 20:44)
わんちゃん
挿し木の上手な花友さんはうちのナツロウバイの挿し木にも成功、若木が育っています。
皆さんにこの木をお勧めしておきながら私は挿し木をしたこともありませんでした。今年は試してみようかと思っています。
咲き初めの花のうっすらと透けるような色合いに惹かれますね。
by 夕菅 (2011-06-11 00:14)
ebisu-mama さん ずーっとお待ちしてましたよ。
この所いろいろ忙しくて庭の手入れがなかなか出来ません。
それでも花木は季節になると決まって花を見せてくれます。
今はナツロウバイが終わって、アジサイが咲き始めました。
ナツツバキの蕾もふくらんできましたよ。
高尾山のセッコクの群生、素晴らしかったでしょうね。
憧れの花です。
良い時に登られてよかったこと!
なかなかブログの更新ができませんがまた覗いてみて下さいね。
by 夕菅 (2011-06-11 00:51)
夕菅さん さっそくご返事いただきありがとうございます。こちら(2)に気づかず失礼いたしました。丁寧に観察され、お見事!尋ねてきた知人に、このURLを伝えました。言葉はわかりませんが、画像から想像を働かせるでしょう。
外と内の花片、または副花冠、と言うことで了解。’外’は桜の花びらと同じメタモルフォーゼなんでしょうね。進行過程を追った画像の中ごろにある、枯れたオシベ付花床から、その次の細長い緑色の果実への成長変化が面白いですね。外側の保護層は殻のように固いのでしょうか?
初年の双子葉がでて、楽しみですね。どれほどの実生年数?今後の観察や実験、のんびり末永レポをなさってください。感謝。
by Minatoya-yasuda (2014-06-18 02:19)
Minatoya-yasuda さん
2009.5.21.ナツロウバイ からの再度の書き込み、ありがとうございました。
拙い素人ブログですが画像からご賢察いただければ幸いです。
果実はロウバイの果実よりやや大きく、堅牢です。
実生ではなかなか大きくなりません。花が咲くのに10年はかかりそうです。一方、挿し木をした友人は5年ほどで花を咲かせました。
Minatoya-yasuda さんからのコメントは欧州からいただいているのでしょうか。
多彩なテーマの英語と日本語が混じったブログに驚きました。
by 夕菅 (2014-06-18 12:20)