サネカズラの果実 [花木(冬)]
サネカズラ(実葛)
マツブサ科 サネカズラ属 Kadsura japonica
別名:ビナンカズラ(美男葛)常緑つる性木本
晩秋から初冬にかけての花の少ない頃、サネカズラの果実の紅が目立ちます。
数年前、低い垣根に常緑のサネカズラを選んで植えました。
程よく葉が茂って、赤い果実も楽しめるようになった頃の写真です。
今では葉が多くなりすぎて、むしろ果実は隠れ気味です。
夏に花が咲いたあと花床が丸く膨らみ、その上にたくさんの子房が球状の液果になって集合果を形成します。
右は若い果実、左は個々の子房が膨らんでできた若い集合果です。
液果は直径6〜9mm、1つの花床に数個から30個ほどついて、集合果の直径は2〜3.5cmになります。
熟すにつれ、色は緑色から淡紅色、赤色、真紅へ変っていきます。
熟した液果は次第にぽろぽろと落ちて、左のように萎びたイチゴのような花床だけが残ります。
イチゴとよく似た構造ですが、イチゴは花床の周りに果肉に包まれない種子(痩果)を付けています。
12月になると花床だけのものや、1〜2個の液果が残っているものが多くなります。
真っ赤に熟した果実、次は味見です。
別名の美男カズラの謂れは、鬢付け油の代わりに整髪に用いられたからだそうです。
果実も油っぽいのでしょうか?
毒性の報告は見当たりませんが、鳥が食べに来ているのを見たことはありません。
思いきって大きな真っ赤な液果を1つ、かじってみました。
意外にもほのかな酸味と甘味があっただけで、油っぽさはなさそうです。
安心して丸ごと口に含みました。
殆ど味はありません。あとで僅かに松か杉のような香りがしました。
やはり飲み込む気にはなれなくて、うがいしました。
中からは褐色腎臓型の堅い種子が1個づつ出てきました(6個試食)。
(追記:後日見た友人宅の果実では種子は2〜3個づつ入っていました。)
次に花床の試食です。
イチゴはこの花床がおいしのですが、サネカズラではどうでしょう。
半分に割ると中は思ったより堅く真っ白です(上の画像右二つ)。
かじりましたが、味も素っ気もないかたまりでした。
鳥が食べに来ないのは、葉が多くて食べにくいからでしょうか?
昨年味見したセンリョウ、マンリョウよりサネカズラの方が中身が多いのに、鳥には美味しくないのかもしれませんね。
でもこの果実を細かくして乾燥させたものは南五味子(なんごみし)といい、生薬として滋養・強壮・鎮咳剤に用いられるそうです。
(後半一部、追記しました。2010.12. 6.)
マツブサ科 サネカズラ属 Kadsura japonica
別名:ビナンカズラ(美男葛)常緑つる性木本
晩秋から初冬にかけての花の少ない頃、サネカズラの果実の紅が目立ちます。
数年前、低い垣根に常緑のサネカズラを選んで植えました。
程よく葉が茂って、赤い果実も楽しめるようになった頃の写真です。
今では葉が多くなりすぎて、むしろ果実は隠れ気味です。
夏に花が咲いたあと花床が丸く膨らみ、その上にたくさんの子房が球状の液果になって集合果を形成します。
右は若い果実、左は個々の子房が膨らんでできた若い集合果です。
液果は直径6〜9mm、1つの花床に数個から30個ほどついて、集合果の直径は2〜3.5cmになります。
熟すにつれ、色は緑色から淡紅色、赤色、真紅へ変っていきます。
熟した液果は次第にぽろぽろと落ちて、左のように萎びたイチゴのような花床だけが残ります。
イチゴとよく似た構造ですが、イチゴは花床の周りに果肉に包まれない種子(痩果)を付けています。
12月になると花床だけのものや、1〜2個の液果が残っているものが多くなります。
真っ赤に熟した果実、次は味見です。
別名の美男カズラの謂れは、鬢付け油の代わりに整髪に用いられたからだそうです。
果実も油っぽいのでしょうか?
毒性の報告は見当たりませんが、鳥が食べに来ているのを見たことはありません。
思いきって大きな真っ赤な液果を1つ、かじってみました。
意外にもほのかな酸味と甘味があっただけで、油っぽさはなさそうです。
安心して丸ごと口に含みました。
殆ど味はありません。あとで僅かに松か杉のような香りがしました。
やはり飲み込む気にはなれなくて、うがいしました。
中からは褐色腎臓型の堅い種子が1個づつ出てきました(6個試食)。
(追記:後日見た友人宅の果実では種子は2〜3個づつ入っていました。)
次に花床の試食です。
イチゴはこの花床がおいしのですが、サネカズラではどうでしょう。
半分に割ると中は思ったより堅く真っ白です(上の画像右二つ)。
かじりましたが、味も素っ気もないかたまりでした。
鳥が食べに来ないのは、葉が多くて食べにくいからでしょうか?
昨年味見したセンリョウ、マンリョウよりサネカズラの方が中身が多いのに、鳥には美味しくないのかもしれませんね。
でもこの果実を細かくして乾燥させたものは南五味子(なんごみし)といい、生薬として滋養・強壮・鎮咳剤に用いられるそうです。
(後半一部、追記しました。2010.12. 6.)
2010-12-05 23:48
コメント(10)
サネカズラの生垣は珍しいです。ですが、万葉にも歌われたサネカズラですから、これは古典的な生垣かも知れませんね。樹皮から美男のもとの粘液がとれるようですから、栽培もされていたのでしょうか。
こんなにきれいなのに、鳥が来ないのは不思議です。鳥に聞いてみないと分かりませんね。
by エフ・エム (2010-12-06 12:15)
エフ・エム さん。コメントありがとうございました。
サネカズラは学名に japonica がついているし、万葉集にはサネカズラを詠んだ歌が10首もあるとか、日本の木という感じですが、意外に庭で見ることは少ないように思います。
生垣としても良さそうですが、つる性ですからかなり剪定しないと暴れるかもしれませんね。
夕べは遅くなって書き足らぬまま、投稿してしまいました。
先程「試食」の項、少々追記いたしましたのでお許し下さい。
「サネカズラの粘液」については次の記事にする予定です。
by 夕菅 (2010-12-06 14:47)
サネカズラは北海道に自生していないようではじめて見ました。桑の実のつぶつぶを大きくしたようにも見えますが、甘くはないのですね。
by satton (2010-12-08 10:41)
satton さん コメントありがとうございました。
そうなんです。こんなに美味しそうに見えても甘さも香りもありません。
確かにサネカズラの自生は関東地方以西のようです。
北海道と愛知県とでは植物分布や花期が違っていて面白いなと思いつつ、 satton さんのブログを見せていただいています。
夕べはso-net.ブログに全くログインできなくてちょっと不安でした。
この頃トラブルが多いですね。
by 夕菅 (2010-12-08 17:47)
夕菅さん こんばんわ~~
夕菅さんちのサネカズラは優秀ですね、いっぱい実がついてますね
二枚目の写真が
↓ご近所さんのkさんちの庭の様子と同じなんですよ、ビックリです。
http://blog.goo.ne.jp/mn1944/e/286044a1850272f22a9b2f531dff8867
この時から、ちょくちょく、いろんな所でサネカズラに出合うようになりました
前からそこに居たんでしょうけど、気がついてなかったんですね、
お墓参りする墓地の傍の竹林の所にも可愛い赤い実がいっぱいついていました。
去年初めて出会ったんです、お墓参りはよ~く行ってますのにね。
可愛いなって写真に撮るだけのわんちゃんです。
夕菅さん、サネカズラの実の考察かつ試食
スバラシイです。
by わんちゃん (2010-12-08 20:16)
こんばんは
サネカズラの実の試食6粒にちょっと笑ってしまいましたよ。
私も一緒に試食したかったです。
サネカズラ、初めて見ました。
おもしろい実ですね。
一本の木に種類の違う実がなっているような姿。
説明を聞かなければ、ちょっと驚いてしまいそうです。
液果と花床 共に美しい色で華やかですね。
万葉集のころから親しまれたと思うとますます、ロマンを感じます。
早く、自分の目で見てみたいものです。
夕菅さんがブログで紹介して下さった植物に、
その後 身近で出逢えることがあります。
札幌にいたときでは、ナツツバキ。
最近では、いちごの木。
見つけたときの嬉しいこと。嬉しいこと。
意識の問題で
目の前にあっても、目に映っていないもの
情報として流れていても 気がつかないもの
いっぱいありますね。
いつも、コメントできませんが、
どの植物も、楽しく心に届いています。
by ebisu-mama (2010-12-08 21:54)
わんちゃん コメントありがとうございました。
さすが大先輩、もう昨年ブログに書いていらっしゃったんですね。
雄花がきれいに撮れていますね。
花が咲くのは暑ーい頃、しかも葉が繁ると掻き分けないと花は見つかりません。私はつい見逃してしまい、まだちょっとボケた雌花しか撮れていません。雌雄異株?とか同株?とかも確認したく、また花は来年の宿題にしました。
宿題がたくさんたまって鬼に笑われっぱなしでーす。
by 夕菅 (2010-12-08 23:18)
ebisu-mamaさん コメントありがとうございました。
ほんと、試食ご一緒したかった!
真面目ーな顔して、おそるおそるかじって、お互いに顔を見合う......想像するだけでも楽しいこと! でもなんとなく滑稽(笑)。
やっぱりサネカズラはそんなに植えられてない植物ですね。
園芸店で苗を見つけた時、名前に惹かれて花も実もわからぬままに買ってしまいました。
イチゴの木は見つかりましたか。今咲いてますね。
まことに私も見れども見えずの連続です。少し知ると写真の撮り方も変ってきます。
いろんな眼で見て、新鮮な感想をまた聞かせて下さいね。
by 夕菅 (2010-12-08 23:41)
サネカズラの赤い実は本当にいかにも美味しそうです。
やはり試食をされたんですね。美味しくなかったんですか。
私も、鳥が実をついばんでいるのは、目にしたことはありません。
うちの庭のサネカズラは、剪定もしないで居たら、今大暴れしています。
美しい実も葉に隠れてしまっています。
花の咲く季節は、うっかり見過ごしてしまいそうです。
雌花より雄花が圧倒的に多いと説明もありますが、
うちはほとんどが雌花で、雄花はまったく目にしたことはありません。
モクレン科と説明のものもありますが?
いよいよ冬枯れの庭になってきましたが、ユウスゲ庭はこれからも
にぎやかさが続きそうですね。
by 花咲かばあさん (2010-12-09 20:01)
花咲かおばさん コメントありがとうございました。
安心しました。内心、よそでは鳥がついばんでるかもしれないと按じていたんです。やっぱり、鳥はサネカズラを食べないようですね。
それから雄花もご覧になってないのですね。不思議な一致です!
来年は「サネカズラの花」が追加できるよう、度々のぞくことにしましょう。
分類に関してはかってはモクレン科に含まれていたそうですが、現在はマツブサ科が正しいようです(朝日百科 植物の世界 9-24)。
ネット検索では誤った情報も混じってますから判断がむつかしいですね。
by 夕菅 (2010-12-09 23:20)