ワレモコウ [草花(秋)]
ワレモコウ
吾亦紅 吾木瓜
バラ科ワレモコウ属の多年草。
ワレモコウは秋の風物詩として庭に植えたい花でした。
幸い園芸店で苗を見つけたのですが、庭隅に植えてもうまく育ちません。そこで日当りと風通しのよい駐車場の余地に移植しました。そちらでは1m以上に伸び伸び育って切り花として床の間を飾ることも出来るようになりました。(どの画像もクリックすると大きくなります。)

やはり野の花なのですね。風の吹くまま揺れています。

長く伸びた小枝の先に暗赤色の花穂。これで花なのでしょうか?

花穂を拡大しても花らしいものはありません。

しかし、若い花穂には蕾が規則正しく並び、下の方は緑色、次第に紫っぽくなり、上の方では白〜ピンクの花が開いています。

この大きな花穂では下は赤紫色の蕾、上は花が終わり、その境に黄色い花粉が出ていました。

下部の花が開花中です。花には花弁がなく、白い部分は4枚の萼、その中心にピンクの雌しべ1本と雄しべ4本が認められます。

おや、最後の花にホソヒラタアブが訪れました。

昨年6月、若葉が繁った頃。根生葉は羽状複葉。

ワレモコウは雌しべ・雄しべが退縮しても萼は長く残るため、晩秋まで咲いているように見えます。
種子はどこにあるのでしょう。萼が鎧状に厚く広がっています。

ピンセットで萼の基部をつまみ出してみました。種子が出来ているようです。

萼は軽くつまむとバラバラと落ちます。
その下に四角錐型にそう果(痩果)が並んでいました。

痩果を3個取り出し、1個は果皮を除いてみると白い固い種子が出てきました。

ワレモコウは漢字では 吾亦紅とも吾木瓜とも書かれ、よくそのネーミングが話題になります。
実は私は秘かに「ワレモコウ」は「吾も恋う」が隠された命名だと思ってきました。
花びらもないこんな地味な花ながら、短時間といえども雌しべ雄しべ揃った両性花として昆虫も呼んでいるのです。人の心にも共感を呼ぶことがあるように思えました。
ところがこの度、日本に古くからある家紋の中に木瓜紋(もっこうもん)と言う模様があることを知りました。この紋は多くの神社の御簾の帽額(もこう)にも使われてきたそうです。

これを見た時、この萼の印象(下から4枚目の画像)とぴったりだと思いました。しかし、何故「ワレ」が付くのかがわかりません。「吾」でしょうか、「割れ」でしょうか。
調べてみると蕾が割れて花が咲く、その花が木瓜紋に似るからという説がありました。
他にも吾亦紅(吾も紅)とか、木瓜の香とかの説もあります。
吾も亦(また)紅(くれない)なりとひそやかに 高浜虚子
枯れてなお悩ませそうなワレモコウです。
吾亦紅 吾木瓜
バラ科ワレモコウ属の多年草。
ワレモコウは秋の風物詩として庭に植えたい花でした。
幸い園芸店で苗を見つけたのですが、庭隅に植えてもうまく育ちません。そこで日当りと風通しのよい駐車場の余地に移植しました。そちらでは1m以上に伸び伸び育って切り花として床の間を飾ることも出来るようになりました。(どの画像もクリックすると大きくなります。)

やはり野の花なのですね。風の吹くまま揺れています。

長く伸びた小枝の先に暗赤色の花穂。これで花なのでしょうか?

花穂を拡大しても花らしいものはありません。

しかし、若い花穂には蕾が規則正しく並び、下の方は緑色、次第に紫っぽくなり、上の方では白〜ピンクの花が開いています。

この大きな花穂では下は赤紫色の蕾、上は花が終わり、その境に黄色い花粉が出ていました。

下部の花が開花中です。花には花弁がなく、白い部分は4枚の萼、その中心にピンクの雌しべ1本と雄しべ4本が認められます。

おや、最後の花にホソヒラタアブが訪れました。

昨年6月、若葉が繁った頃。根生葉は羽状複葉。

ワレモコウは雌しべ・雄しべが退縮しても萼は長く残るため、晩秋まで咲いているように見えます。
種子はどこにあるのでしょう。萼が鎧状に厚く広がっています。

ピンセットで萼の基部をつまみ出してみました。種子が出来ているようです。

萼は軽くつまむとバラバラと落ちます。
その下に四角錐型にそう果(痩果)が並んでいました。

痩果を3個取り出し、1個は果皮を除いてみると白い固い種子が出てきました。

ワレモコウは漢字では 吾亦紅とも吾木瓜とも書かれ、よくそのネーミングが話題になります。
実は私は秘かに「ワレモコウ」は「吾も恋う」が隠された命名だと思ってきました。
花びらもないこんな地味な花ながら、短時間といえども雌しべ雄しべ揃った両性花として昆虫も呼んでいるのです。人の心にも共感を呼ぶことがあるように思えました。
ところがこの度、日本に古くからある家紋の中に木瓜紋(もっこうもん)と言う模様があることを知りました。この紋は多くの神社の御簾の帽額(もこう)にも使われてきたそうです。

これを見た時、この萼の印象(下から4枚目の画像)とぴったりだと思いました。しかし、何故「ワレ」が付くのかがわかりません。「吾」でしょうか、「割れ」でしょうか。
調べてみると蕾が割れて花が咲く、その花が木瓜紋に似るからという説がありました。
他にも吾亦紅(吾も紅)とか、木瓜の香とかの説もあります。
吾も亦(また)紅(くれない)なりとひそやかに 高浜虚子
枯れてなお悩ませそうなワレモコウです。
2010-11-28 17:34
コメント(8)
ワレモコウの花はどうなっているのか、知りませんでしたが、たいへんはっきりした写真で説明していただき、咲き方や花の構造もよくわかりました。
バラ科にしては、かなり変わった花ですね。というよりも、どうしてバラ科に入っているのか、不思議に思います。
普通バラ科だと、花器官は5数なのに、この花はがくは4裂、花弁はなく、雄しべが4本なのですね。
名称のモコウは花のかたちが木瓜紋に似ているから、というお話も興味深いです。
by エフ・エム (2010-11-28 22:12)
エフ・エム さん 早々のコメント、ありがとうございました。
ワレモコウはなんとなく好きな花でしたが、いざブログに書こうとすると、どうなってるのかわからなくて苦労しました。
バラ科? 本当に不思議です。サクラやウメもイチゴもワレモコウもみんなバラ科。信じられない気持ちでした。
朝日百科 植物の世界5-183 には「ワレモコウ属は、バラ科では花弁をなくした異端者であり、...」と書いてありました。
文献的に果実や種子の記載も乏しく、おそるおそる覗いてみました。
誤りがありましたら、どうぞ教えて下さい。
by 夕菅 (2010-11-28 23:35)
大好きな花の一つです。これこそ庭に植えるより野に合う花ですね。
やはり 野に置け 蓮華草ですね。
野で出会うとだれもが?目を細める花ですね。いつのまにか涙がにじんで
深まる秋のわびしさを感じてしまう、そんな花のようです。
遠目には花後の種のようですが、これほど美しい写真を見せていただくと
吾亦紅の名前が、わたしには一番ふさわしいような気がしてきます。
高浜虚子の歌のように。
吾も恋 の名前もいいかも、、、。アブに恋したのでしょうか、アブが恋したのでしょうか?
この花がバラ科というのも想像できませんね。、、、科。、、、属、
むつかしい分野です。
初冬のうれしいプレゼントになりました。
by 花 (2010-11-29 20:34)
ワレモコウの花、初めて見ました。咲き終わった花穂は写真に撮ってもいまいちアピールするものがなくてブログにも出さないでいましたが、若い花穂はきれいですね。
by satton (2010-11-29 21:54)
花さん、花咲かおばさん? ワレモコウ讃歌、ありがとうございました。
この素朴な野の花をともにめでることができる方と出会えて幸せです。
そう、ワレモコウは赤銅色の鎧をまとったような頑さの奥で、こんな可憐な花を咲かせていました。
この瞬間をのがさないようにと懸命にカメラを向けました。
吾亦紅 そして 吾も恋う とさまよいながら。
by 夕菅 (2010-11-29 22:51)
satton さん コメントありがとうございました。
もう北海道は雪とか。
ワレモコウと雪、似合いそうですね。
また来年、秋たけなわの頃、ワレモコウの花を見つけて下さい。
もっと華やかな写真を撮られた方もありましたよ。
by 夕菅 (2010-11-29 23:44)
夕菅さん こんばんわ~~
♪マッチを擦れば おろしが吹いて
線香がやけに つき難い
さらさら揺れる 吾亦紅
ふと あなたの 吐息のようで・・・♪
ワレモコウから連想するものは?って聞かれたら・・・
カラオケで時々歌います。
「ホンマにええ歌やなぁ」ってみんなしみじみ気分に。
この歌を歌って、本物に会いたいなぁと思っていたら
それからは結構、野山で見かけるようになりましてね
♪さらさら揺れる 吾亦紅♪のくだりが
ナルホドと、納得したわんちゃんでした。
お花のしくみは?そうなんだぁ・・・
断然、三枚目の吾亦紅のお写真が大好きです
by わんちゃん (2010-12-01 17:04)
わんちゃん
ワレモコウの歌、ありがとうございました。
同じ花を見ても想いはいろいろなんですねー。
こんな歌もありました。
吾木香 すすきかるかや 秋草の さびしききはみ 君におくらむ
若山 牧水
by 夕菅 (2010-12-02 00:13)