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センニンソウとキイロハバチ  [庭便り(夏秋)]

センニンソウ
 仙人草
 キンポウゲ科センニンソウ属の木性つる植物
 学名: Clematis terniflora
 分布:日本各地・朝鮮半島南部・中国・台湾

10年ほど前にセンニンソウの苗を植えました。
花は咲いたのですが、花後のひげを見るには至らず枯れてしまいました。
3年前に再び苗を購入、これはこの時開花した花です。
センニンソウ2012wb.jpg

直径約3cmの白い花がたくさん集まって上むきに咲いています。
でもこの花もひげや果実は見られずみすぼらしく終わりました。
センニンソウ20080923wb.jpg

その後は昨年も一昨年も花が咲く前に蕾も葉も全部虫に食べられ、もう諦めようかと思ったほどでした。
それでも枯れはせず、今年はまた花が咲き始めました。
センニンソウ花2wb.jpg

ところがその数日後、この惨状に愕然!
上の方の花や葉はほとんど食べられてしまいました。
センニンソウ虫害wb.jpg

犯人は何者? 
これです! やや白っぽい緑色の1cmほどの幼虫!
検索により虫の名は「キイロハバチ」と判明。
キイロハバチの弱齢幼虫wb.jpg

キイロハバチ
原色草花・野菜病害虫図鑑(保育社)によれば:
「成虫は長さ7〜8mm、全体橙黄色で頭部は黒色、翅は暗色を帯びる。」
「寄生植物:アネモネ・センニンソウ。」
しかしそれらしき橙黄色の昆虫を見たことがありません。

大小3頭の幼虫。大きい幼虫は1.5cmほど。
頭部は褐色で1対の大型黒色斑紋があります。
キイロハバチ5wb1.jpg

大きな幼虫は薄緑色で白っぽく見えます。
上の図鑑によれば:
「老熟幼虫は長さ15mm、全体緑〜黄緑色であるが、白色のろう状物質を分泌するため白色に見える」。
拡大すると白い細かい横縞模様のようです。
キイロハバチ幼虫2wb2.jpg

太い葉脈のみ残してすべて食べ尽くした幼虫。
今までこの庭にはできるだけ農薬や殺虫剤を使わず、害虫は手で取っていました。
でも今回はもう無理、殺虫用スプレイを用いました。
キイロハバチ2wb.jpg

さすがに効果てき面、たくさんの幼虫がぼとぼと落ちました。
センニンソウの花や葉には変化なく、むしろ元気になって次々と開花し始めました。
花は房のようにたくさん咲きます。
「朝日百科植物の世界8」のセンニンソウの解説には「3出集散状の花序」と書いてあります。
センニンソウ3出wb.jpg

真ん中に数個の雌しべ、その周りに多数の雄しべがあります.
センニンソウ雌しべ4wb2.jpg

「がく片は縁に白い毛を密集する」とありましたが、これは肉眼では確認できません。
花の裏面を拡大しました。
センニンソウ萼裏wb.jpg

さらに接写して拡大したら辛うじて細い繊維のような毛が見えました。
萼片は織物で造られたような感じです(画面をクリックすると大きくなります)。
センニンソウ萼の毛wb.jpg

葉は対生、5つの小葉からなる羽状複葉。
センニンソウの葉2wb.jpg


これは10年ほど前、別の場所に植えた初代のセンニンソウの花です。
こんなに花が咲いたのに何故か実らずに枯れてしまいました。
センニンソウ09wb1.jpg

センニンソウ(仙人草)の名は花の後に花柱に密生する銀白色の長毛を仙人の髭に見立てて付けられたのではないかともいわれています。
この髭を今年こそは見たいものです。
センニンソウはプロトアネモニンを含む有毒植物とされ、生薬としても用いられているそうです。

コメント(10) 

コメント 10

花咲かばあば

近所のあちこちに、今盛りです。雪をかぶったように咲き、風に乗って
いい香りも届けています。思わず立ち止まってながめて、一枝失敬して、
玄関に。花持ちがいいですね。
お庭に咲いているんですね。繁殖力のすごさに、庭では、、、と思っていました。以前、生けた花の下は細かい糞でびっくりしましたので、慎重に幼虫がいないか確認して、、、。キイロハバチですか。
美しい花ですが、毒があるために、「馬食わず」ともいうそうですね。
今年はどこもきれいな姿で咲いています。ハチ、やムカデ、蚊が今年は少ないように思います。仙人のひげ、面白い種も沢山出来そうです。

by 花咲かばあば (2015-09-13 20:57) 

703

今年初めて、植えてもいないのにセンニンソウが咲いてきました。
綺麗だから庭の住人に認定したところ(笑)
だから、夕菅さんの記事がセンニンソウで、びっくりすると同時に、
(しめた!)と思いましたよ。
いろいろ調べてくれて、労せずして勉強できますから(笑)
近所にものすごいことになっているのを見るから、
花が終わったら早く切ってしまおうと思っていたけど、
しばらくおいて、髭や実を見てみます。
でもキイロハバチは見たくないですねえ!
by 703 (2015-09-13 21:59) 

夕菅

花咲かばあば さん コメントありがとうございました。
センニンソウ、ご近所に自生しているのでしょうか。
園芸種のクレマチスと同属なのにクレマチスにキイロハバチはつかないのですね。
センニンソウの毒もキイロハバチには薬なのか、センニンソウの繁殖力を上回る勢いでした。
「馬食わず」ともいうのですね。「牛の歯こぼれ」ともいうそうです。
細かい糞はやはりキイロハバチがいるのでは?ようく見てみてください。
今年こそは仙人の髭が見たいのですが...............。


by 夕菅 (2015-09-13 22:47) 

夕菅

703 さん コメントありがとうございました。
たまたま今年センニンソウがお庭に自生したんですね!
実は私も初めは邪魔にならないように裏庭の隅に植えたのですが、あっけなく消えてしまったので、仙人の髭見たさに再挑戦。
キイロハバチが消えたら猛烈に増えるかもと、今度は逆の心配です。
「風の通る庭」のナツユキカズラと良い勝負かもしれませんね。
by 夕菅 (2015-09-14 07:29) 

エフ・エム

もうセンニンソウの咲く季節なのですね。庭には植えてありませんが、散歩道ではよく見かけます。もっともこの頃は長く歩けなくなりましたので、出会う機会も少なくなりました。キイロハバチも見てみたいですが。
茎を切ると汁がでますが、皮膚につけると水ぶくれができるとか。試してはいません。
by エフ・エム (2015-09-15 08:34) 

夕菅

エフ・エム さんコメントありがとうございました。
新聞やテレビを見るたびに常総市の惨状が現れ、お近くでは尚更心痛む日々とお察し申し上げます。
そうした時にも通り道に咲く花は気持ちを和らげてくれるかもしれませんね。
センニンソウはかなり毒性が強く、汁がつくと強い皮膚炎を起こすようですね。
これを逆用して扁桃炎のときこの葉を揉んで手首に貼り、そこに水疱を起こさせて扁桃炎を治すという手荒い民間療法もあったそうです。
by 夕菅 (2015-09-15 09:16) 

とんちゃん

そうだったのですね!!!
これを聞いてやっと分かりました。
この前センニンソウがいっぱい咲いていると思って姉の家へ行ったら花はひとつもなく株はなんとか残っていました。
姉に聞いたらとにかく虫がついてどうしようもないと嘆いていました。
センニンソウだけにつく虫だと言っていましたが・・・
いつの間にかやってきてその年は華やかに咲いてよかったのです。
キイロハバチという幼虫なんですね
大量についたそうで聞くだけでも鳥肌立つ感じです・・・
自然の中のセンニンソウはあちこちに群団となって咲きますがまだこの幼虫は見たことがないです。
付き始めたら瞬く間になんでしょうね
花弁のアップを見たらなんてすてきなのかと感動します~
絹織物を思わせるような光沢があり美しいですね
虫にもめげずきれいな花後を見ることができますように!
by とんちゃん (2015-09-16 08:06) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
お姉様のところのセンニンソウにもキイロハバチがついたようですね。
この虫は本当に短期間に食べ尽くして消えてしまいます。
業を煮やして今年は初めて薬剤を使用しました。
でもその後、成虫を確認すべきだったかと気づき、生き残った幼虫1頭を見つけて枝ごと切り、がまんして飼育するつもりでしたが、3日目に隙間から逃げられました!
少しでも髭が見られるといいのですが..........?
by 夕菅 (2015-09-16 18:44) 

りんちゃんママ

かれんそうに見えるセンニンソウに毒があるのですね。キイロハバチの食欲も凄いですね。ヨトウムシにしてもあっと言う間に歯を食べ尽くし驚きます。いろいろな花にムシがつきますが葉の細いものにはムシが少ないようですが葉が細いとくっつきにくいのでしょうか?花を綺麗に咲かせるのは本当に難しいです。いつも悩ませられます。789456789456
by りんちゃんママ (2015-09-18 22:28) 

夕菅

りんちゃんママさん コメントありがとうございました。
センニンソウがびっしり咲いたらきれいでしょうね。
ああそれなのに、それなのに、キイロハバチに狙われたらお終い!
「葉の細いものには虫が少ない」かもしれませんね。
虫もよく知っていて新芽や蕾の柔らかいところを先に食べます。
本当に毎年きれいな花を咲かせるのは難しいですね。








by 夕菅 (2015-09-19 00:00) 

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