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タリクトラム デラバイ など  [草花(夏)]

タリクトラム デラバイ
 キンポウゲ科 / カラマツソウ属の多年草
 学名: Thalictrum delavayi
 別名: オオシキンカラマツ(大紫錦唐松)・ヘンシカラマツ(偏翅唐松)
 原産地:中国の四川省、雲南省、チベット

この花は4年前「カラマツソウ(タリクトラム)デラバイ」として購入しました。
花はネットで見るシキンカラマツとそっくりです。
どう違うのでしょう? 
先月の記事「ゴミグモ」では蜘蛛の網を張られたのがこの花。
この時は「みんなの趣味の園芸 NHK出版」に依り「オオシキンカラマツ」としました。
しかし、この名称も未だ一般的ではないようです。
今回は学名を片仮名にした「タリクトラム デラバイ」として記載することにします。

デラバイ1wb2.jpg

「朝日百科植物の世界」では「タリクトラム・デラウァイイ」とし、高さ60〜200センチ、花の直径2センチほどの大型の植物と書かれていますが、この庭の花は直径12mm前後です。
一方、シキンカラマツ Thalictrum rochebrunianum は福島県、群馬県、長野県にわずかに自生するとされていましたが、近年、茨城県でも確認されています。
花の直径は1cmくらいでタリクトラム デラバイよりやや小さいようです。

今年一番賑やかな頃のタリクトラム デラバイ(6月29日)。
シキンカラマツ20170629-3wb4.jpg

「紫錦唐松」の名は赤紫色の萼片と黄色の雄しべにちなんだようです。
花は一気に咲かず、蕾が順に大きくなってバラバラに開花しますから花期が長い。
今年は6月20日ころから咲き始め、まだほんの少し花が見られます。
デラバイ2016-1wb5.jpg

花弁のように見えるのは萼片で4〜5枚。多くは4枚です。
デラバイ後wb2.jpg

若い蕾から若い果実まで混在。
デラバイ20150622wb3.jpg

花の中心に雌しべ、周辺に雄しべ多数。
左は萼片と雄しべが落ちた後。子房がふくらんでいます。
デラバイ20170826-2wb3.jpg

大きさまちまちの痩果。
デラバイ果実wb.jpg

この庭では1花に10個以上結実するのは珍しい。
デラバイ果実20170825-4wb.jpg

柔らかい葉はアジアンタムに似ています。
いつか是非シキンカラマツも見てみたいものです。
デラバイ2013葉2wb.jpg
「追加」
赤城自然園のシキンカラマツの美しい画像が 花紀行2014.7.25.の記事で紹介されています。花はタリクトラム デラバイよりやや小さいようですが、茎はやや太くがっしりしているように思えます。

オミナエシ
年々大きくなるヤエザクラの下で萎縮していたオミナエシを昨年駐車場跡に移植しました。
今年は一気に大きくなって花が咲き続けています。
オミナエシ2017−1wb.jpg

これも撮りにくい花ですね。
花弁5枚、雄しべ4本、雌しべ1本。
オミナエシ花1wb.jpg

ナツズイセン
2010年記事にした時は2茎しかなかったナツズイセンが今年は9茎。
周りの花たちもそれぞれ大きくなって、一同揃っての記念撮影には剪定鋏が要りました。
ナツズイセン2017-4wb.jpg

葉が出るのは3〜4月。
後にコバノズイナ、直前に房咲き水仙、その周りにクリスマスローズ。
花が咲く時には葉はすでになく、突然花を見つけて歓声が上がります。
ナツズイセン葉2015-04-02wb.jpg

さらに2mほど離れたところにも一株増えて、ここにも6茎。
放っておいても増えるありがたい花です。
ナツズイセン2017-7wb.jpg

キツネノカミソリ
植える場所が悪くて日が当たりすぎて気の毒なキツネノカミソリですが、今年も咲いてくれました。
植え替えようと思ってはいても花が終わると球根の位置がわからなくなってしまうのです。
葉が出た時に植え替えた方が良さそうですね。
キツネノカミソリwb2.jpg

この花も葉が現れるのは3〜4月。
自生したオルラヤ‘ホワイトレース’の大群に囲まれていました。
キツネノカミソリ葉20150406wb2.jpg

暑かった8月も今日で終わり、辛うじて2記事目を滑り込ませました。
今回の花は放りっぱなしの庭の優等生達です。
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白絹病(2)2017  [庭便り(夏)]

白絹病(2)2017

今年の夏は梅雨が長引き、やっと上がったと思えば早々と台風、その後は厳しい猛暑で庭に出るのもためらわれます。
台風5号の最中、居間の前庭のタカサゴユリ(追記参照)が大揺れしていました。
しかし、自生のタカサゴユリは強かった!
1本も倒れず難を逃れました。
タカサゴユリ0809wb.jpg

花弁の傷みも目立ちません。
タカサゴユリ0809-2wb2.jpg

数日前までその株元に咲いていたのがフシグロセンノウ。
フシグロセンノウ2017-1wb.jpg

左は白花ユーパトリウム。
ここは昨年9月白絹病に気付いた所ですが、今のところ異常はありません。 
それについては2016. 9.10.の記事「白絹病」に書きました。   
フシグロセンノウ2017-4wb.jpg

白花は青花より遅れて咲きます。
ここは日陰ですからやっと咲き始めたばかりです。
ユーパトリウムW2017-1wb2.jpg

点検しつつ庭を一周。
これは? 駐車場脇の花壇に自生した青花ユーパトリウムに異変発見!
真ん中の株が立ち枯れしています。
ユーパトリウム白絹病1wb.jpg

抜去すると、やはり根元は真っ白。
白い小球状の菌塊も見えます。やはり白絹病です!
(白絹病はSclerotium rolfsiiという糸状菌による植物の病気)
白絹病2017-1wb.jpg

昨年発症した南の花壇のユーパトリウムはどうでしょう?
昨年撒いた薬品が効いたらしく、すでに大株になって次々と開花して元気です。
ユーパトリウム2017-1wb.jpg

ユーパトリウムは青色フジバカマともいわれるキク科の多年草です。
ユーパトリウム4wb.jpg

さらに、枯れたユーパトリウムから3mくらい離れたところが異様に枯れて汚い!
白絹病スミレサイシン3wb.jpg

よく見ると株元に白い菌糸と菌塊! 
一体どの植物に発症したのでしょう? 
白絹病スミレサイシン1wb.jpg

驚いたことに枯れたのは ビオラ ソロリア ‘ルブラ’ の自生株でした。
スミレの仲間にも白絹病が発生したのです!
ビオラ ソロリア ルブラ1wb.jpg

秋から初夏まで咲き続けたビオラの後に今夏はトレニアとペンタスを植えました。
しかしペンタス16株中4株が枯れました。抜いてみるとどれも白絹病!
白い花が元気なペンタス(アカネ科クササンタンカ属)です。
ペンタス2017-1wb.jpg

白絹病は多犯性と言われ、日本植物病名データベースで病名「白絹病(完全一致)」として検索すると266件出てきました。
この中にはスミレ類やトレニアはありましたが、ペンタスは見つかりません。
初めは苗に菌がついてきたかと思いましたが、ビオラからの感染も疑わねばなりませんね。
幸い、それ以上には病変は拡大せず、酷暑の中でペンタス・トレニア・ヒメイワダレソウが揃って咲いています。
ペンタス2017-5wb.jpg

白絹病の対処法については昨年9月10日のブログにも書きましたが、土を入れ替える(天地返し)、高温にする、石灰を撒くなどが勧められています。しかしこれらは体力を要し、私にはもう無理です。

しかし原因菌は糸状菌、水虫の菌の仲間です。ならば薬剤を試すべきではと思いました。
検索してフルトラニル(モンカットフロアブル40)を知り1本購入。
先ずは菌糸 と菌塊を出来るだけすくい取って捨てます。
その後説明に従って薬剤を水で希釈し、1回づつ撒布しました。
今の所、撒布部位には再発していません。「著効あり」です。
昨夏一旦枯れたフジバカマは新たな芽が出て、11月にはこのように復活しました。
今年新たに発生したところにも早速昨年の残りを撒きました。
フジバカマ再生wb.jpg

本来、庭では薬剤を用いたくありません。
私は毛虫もできるだけ薬剤を用いず手で取っています。
しかし、白絹病には無農薬を全うできませんでした。
調べて見ると白絹病は多くの野菜にも感染し、すでにフルトラニルが用いられていました。
食品安全委員会による農薬評価書(2007年12月)も公開されています。

次々と枯れていく花を見るのは辛いことです。
何とかしたいと焦っている方も多いことを知り、私が用いた薬剤の効果を報告しました。
薬剤の使用にあたっては適正に希釈し、正しい用法を厳守してください。

まだ今夏後半に再発や新規の発症があるかもしれませんが、取り敢えずここまで。

追記
エフ・エムさんからコメントをいただき、タカサゴユリについて悩んでいます。
このタカサゴユリは台湾原産種の純粋な子孫ではなく、タカサゴユリとテッポウユリとの交雑種「シンテッポウユリ」の疑いがあります。
このことは2012年に「タカサゴユリ 花と種子」を書いた時からの難問です。
現在「シンテッポウユリ」の名称はタカサゴユリに近いものから、テッポウユリに近いものまで多種の園芸種に用いられています。
この庭のユリはテッポウユリよりタカサゴユリに近い姿ですので、今回はまだ「タカサゴユリ」のままにしておきます。


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ゴミグモ [昆虫]

ゴミグモ
 塵蜘蛛   クモガタ綱 クモ目 クモ亜目 コガネグモ科のクモ
 学名:Cyclosa octotuberculata
 大きさ ♂ 7~8mm ・♀ 10~14mm
 時 期 4-11月
 分 布 本州・四国・九州・沖縄

咲き始めたオオシキンカラマツ(タリクトラム デラバイ)がたわんでいます。
右側の白い糸に引っ張られているようです。
1シキンカラマツ-クモ-06230923wb.jpg

よく見ると太い糸の他にも細い糸が何本かあるようです。
(画面をクリックすると見えます。)
シキンカラマツ クモ06230924wb2.jpg

その先に細い糸の蜘蛛の巣があり、ゴミのようなものがぶら下がっています。
シキンカラマツ-クモ06230925wb2.jpg

ゴミの一番上にいるのがゴミグモの雌。
その下にリボンのようにゴミがぶら下がっていますが、この中に卵嚢が包まれています。
周りには細かい同心円状の蜘蛛の巣。
(画像はどれもクリックすると大きくなります。)
シキンカラマツ クモ06230925wb3.jpg

せっかく咲いたオオシキンカラマツ(タリクトラム デラバイ)の花にゴミグモが絡んではかわいそう。
やはりカットしましょう。
一番太い絹のような糸を切りました。
3シキンカラマツ クモ 06230926wb.jpg

一番太い糸を切られたのに、ゴミグモは動きません。
4ゴミクモ06230928wb.jpg

毅然として巣を守っています。
一見、猫の顔のよう。
上が胴体、下に頭と脚。クモの脚は8本、左右に4本づつあります。
目のように見えるところは脅しのための模様でしょうか?
模様や色には個体差があります。
ゴミグモ06281551wb2.jpg

ゴミグモの巣を落とそうとつつくとクモが葉の上に飛び降りました。
体を縮めて動きません。死んだふり?
腹部の黒い模様の上に2個、尾部に6個の突起があります。
ゴミグモ06281552wb.jpg

裏返しましたが動きません。まるでゴミのようです。
ゴミグモ06281552-2wb.jpg

1分後、危険を感じたのでしょう。
突如動き出して糸を手繰りながら巣に戻ろうとしました。
ゴミグモ06281553-1wb.jpg

でも困るのです。
せっかくのオオシキンカラマツ(タリクトラム デラバイ)の花にゴミは邪魔です。
糸を切ってしまいました。
葉の上に落ちたゴミグモの巣。
瑠璃色の昆虫の羽も付いていました(6月28日15時55分)。
ゴミグモ06281555wb.jpg

翌日花を見に来て驚きました(6月29日11時5分)。
何と昨日葉の上に落としたゴミグモの巣が上のモクレンの下で輝いていたのです。
ゴミクモ06291105wb.jpg

この19時間の間に、雌グモは単身で落ちた巣を引き上げ、さらに高いところへ運んで吊るし、その周りに大きなネットを編み上げたのです!
ゴミグモにとってヒトは最も怖い天敵!
しかしゴミグモには1夜で巣を再生させる能力があったのです。
この美しい巣をもう壊すことはできません。
ゴミクモ06291105-2wb3.jpg

おっと、次の瞬間、ゴミグモの姿が消えました。
天敵が怖かったのでしょうか? 
網の端っこまで行ったかと思ったら、また一目散に巣に戻りました。
ゴミクモ帰宅06291107-2wb.jpg

やっぱり卵を守るのが雌の役目?
ゴミクモ帰宅-06291107-3wb.jpg

定位置に帰りました。この間わずか2分!
ゴミクモ帰宅06291108upwb.jpg

翌日も定位置に鎮座。
蜘蛛の巣はまた作り変えられたようでこの日のはややこじんまりしています。
ゴミクモ06301446wb4.jpg

下の茶色の膨らんだ部分2個が卵嚢のようです。
ゴミクモ06301446wb3.jpg

この間にオオシキンカラマツ(タリクトラム デラバイ)の花も咲き進みました。
これでめでたしめでたしかと思ったのですが...................?
シキンカラマツ06291110wb.jpg

7月6日、ゴミグモの巣はまだありました。
でも..........クモがいません。卵嚢はそのままです!
親は次の巣を作るために移動したのでしょうか?
鳥にでも襲われたのでしょうか?
翌日も翌々日も親は戻って来ませんでした。
ゴミグモ卵嚢wb.jpg
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ヒメシャラ [花木(夏)]

ヒメシャラ
  姫沙羅  ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木
  学名:Stewartia monadelpha  
  花期:6月
  分布:神奈川県以西の本州(中国地方を除く)、四国、九州

先週のナツツバキに続いてヒメシャラの登場です。
ヒメシャラの花はナツツバキより1週ほど早く咲きます。
ほっそり伸びた高い枝から咲き始めるので花に気付かず、落花を先に見ることになります。
落花はナツツバキによく似ていますが小さめです。
ヒメシャラ落花2wb.jpg

見上げると花はたくさん咲いていますが、逆光になりうまく撮れません。
ヒメシャラ3wb2.jpg

ナツツバキより小さく控えめな花です。
ヒメシャラ4wb3.jpg

日陰に植えられたばかりか、低い所で咲いた花も葉の陰になりやすくうまく撮れません。
ヒメシャラ4wb.jpg

ナツツバキに比べ、花弁のフリルも少なめで、素朴な印象です。
ヒメシャラ20090603wb.jpg

日の当たる位置で咲いた花にもナツツバキで認めた紅班はみられません。
一番外にあった花弁はやや緑色を帯びていることがあります。
ヒメシャラ花1wb.jpg

花の両側に突き出した小さな葉は苞葉です。
苞葉が長いこと、これがヒメシャラの特徴です。
ヒメシャラ2013-2wb.jpg

花の後ろを見ると、ナツツバキでは確認しにくかった苞葉が2枚、萼の2倍以上の長さに伸びていました。
やはり花弁の裏面は細毛に覆われています。
ヒメシャラ苞wb.jpg

ナツツバキの花と並べました。
直径はナツツバキ5〜6cm、ヒメシャラ2〜3cm。
小さいナツツバキという意味でヒメシャラと命名されたのでしょう。
やはり離弁花ですが花冠と雄しべの基部は合着していて、花の姿のまま1日で落ちます。
ヒメシャラ・シャラwb.jpg

クマバチが蜜を吸っています。
クマバチの体長は2〜2.5cmですから、さらに花が小さく見えます。
ヒメシャラ・クマバチwb2.jpg

花冠が散っても2枚の苞葉は残ります。
ヒメシャラ若い果実wb.jpg

花が咲くころになってもまだ前年の果実が残っていました。
ヒメシャラ古い実wb.jpg

実については「ナツツバキの実」の項でナツツバキとヒメシャラの実を並べました。
ここに再掲しておきます。
ナツツバキ果実1wb.jpg

葉もやや小型で長さ8cmくらいまで。ナツツバキより薄い。
表面は光沢が無く、触れるとざらつきがあります。
ヒメシャラ葉表毛wb.jpg

拡大すると短い細毛が密生していました。
ヒメシャラ葉表毛2wb.jpg

上はナツツバキの葉、下はヒメシャラ、共に表面です。
ナツツバキの葉は厚めですが、表面には毛がありません。
ヒメシャラ・シャラ葉表wb2.jpg

裏面を見ると逆にナツツバキ(上)ではやや長い毛が密集していますが、ヒメシャラ(下)は光沢があって毛は無いように見えます。
ヒメシャラ・シャラ葉裏2wb2.jpg

但しヒメシャラの葉裏にも葉脈には白い細かい毛がありました。
ヒメシャラ葉裏2wb2.jpg

紅葉はナツツバキより紅みが深いように思います。
ヒメシャラ落ち葉wb2.jpg

秋晴れに紅葉が映えます。
ヒメシャラ紅葉091123wb.jpg

ヒメシャラの樹皮は年を重ねると赤褐色のごく薄い樹皮に変わるといわれます。
この庭のヒメシャラの樹皮は一部がはがれたり、灰褐色や黄褐色を呈したり、未だなかなか複雑な様相です。
ヒメシャラ幹2wb.jpg

冬季の樹皮。
ところどころ、鱗状に剥がれているところもありました。
ヒメシャラ幹1wb.jpg

ヒメシャラは花期が短く、毎年写真を撮り損ねて「また来年」の繰り返しでした。
今年も不満が残りますが、ナツツバキとの違いを見るには並べた方がいいと思い、このまま公開することにしました。
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ナツツバキ 2017  [花木(夏)]

ナツツバキ 2017
   夏椿
  ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。
  学名: Stewartia pseudocamellia
  別名:シャラノキ(娑羅樹)(沙羅の木)
  原産地:宮城県以西の本州・四国・九州、朝鮮半島

ナツツバキについては2009年6月28日に花、2015年12月29日に実について書きました。
読み返すと特にブログ初年度の記事は物足りなく、また少々追加したいと思います。

この庭に3本のナツツバキが植えられてからもう39年経ちました。
これは日当たりも風通しも良いところに植えられた樹の満開の頃の写真です。
一日花ですから翌朝は一面の落花ということになります。
ナツツバキ2011-1wb.jpg

朝は開きかけの花を見るのが楽しい。
中心に雌しべが1本、オレンジ色の葯をつけた雄しべの群れに囲まれています。
ナツツバキ開花wb.jpg

ヤマシャクヤクの開花を想い出させせるふくよかさ。
花弁の周りは皺状で細かい歯状の切れ込みがあります。
ナツツバキ開花2wb2.jpg

やはり花粉が散る前が美しい。
花の直径は5〜6cm。
ナツツバキ斑点wb.jpg

満面の微笑み。
左上の花弁にうっすらと頬紅?
この花弁は一番小さく、窪みの部分に着色を認めます。
また他の花弁より辺縁のフリルが少ないようです。
ナツツバキ花満開1wb.jpg

そのつもりで探すと濃淡様々な斑のある花が見つかりました。
ナツツバキ斑点2花wb3.jpg

左の花には鮮やかな紅斑、右はこの花の裏面です。
対応する部位に表よりやや薄い紅斑が見られます。
ナツツバキ斑点表wb.jpg  ナツツバキ斑点裏wb.jpg

しかし着色が殆ど見られない花もあります。
これは日陰に咲くナツツバキ、どの花もほぼ純白です。
むしろ紅斑がある方が例外かもしれません。
ナツツバキ11-3wb.jpg

蕾が膨らんでくると5枚の萼片では覆いきれなくなり、最上部の花弁が露出します。
ここに日光が当たると淡褐色や淡紅色に染まるようです。
ナツツバキ蕾日焼けwb.jpg

よく日の当たる場所では萼片も赤く染まっています。
ナツツバキ蕾苞wb.jpg

ナツツバキの花には2枚の苞があると記載されていますが、花茎が短く確認できません。
花を採って裏から写すと、確かに小さな苞が2枚あるようですが、わかりにくいですね。
花弁の裏側は絹のような細い毛で覆われ、光沢があります。
ナツツバキ裏苞2枚wb2.jpg

萼片と苞の周辺が赤く着色した若い果実がありました。
やっと苞の形がはっきり見えて納得。
萼も基部は合着しているようです。
ナツツバキ表苞赤2wb.jpg

蜜を求めてナミアゲハがやってきました。
ナツツバキ・アゲハ1wb.jpg

花は夕方から次々と落ちていきます。
基部で合着した花弁と雄しべが一塊りのまま落下します。
ツバキと同じですね。
ナツツバキ落花wb.jpg

種子を落とし終えた昨年の蒴果が花期になっても残っていることがあります。
蒴果は5稜あり、縦に5裂、その先端は鋭く尖っています。
反転した萼片も残存。
ナツツバキ古い果実wb.jpg

葉は互生。大きい葉は長さ10cm強。
やや厚めで光沢はありません。
ナツツバキ葉表1wb.jpg

裏面には細かい毛が生えています。
ナツツバキ葉裏2wb.jpg

居間から眺められるナツツバキの株。
日陰になるためか、赤い班は見当たりません。
ナツツバキ花と幹1wb.jpg

樹皮は所々から薄片状にはげ落ちて斑紋のようになります。
ナツツバキ樹皮2wb.jpg

冬季には金銀の模様のようにも見えました。
ナツツバキ2012wb2.jpg

近縁種にヒメシャラがあります。
近々、ナツツバキと比較しながら記録したいと思っています。
  
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今年も咲いた!(2017初夏) [草花(初夏)]

今年も咲いた!

元気な頃は休日は朝から夕まで庭に這いつくばっていたものでした。
でも16年前腰痛に悩むようになってからは「放っておいても年中花が見られる庭」を目指してきました。
今日は今年も咲いた初夏の草花のうち目立ったものを並べてみます。

赤いポピーはこぼれ種で勝手に育ったものです。
ポピー20170514-3wb.jpg

白い花は オルラヤ ‘ホワイトレース’(オルレア グランデフロラ) 。
 Orlaya grandiflora 'White Lace'
ヨーロッパ原産のセリ科園芸品種。
本来は多年草だそうですが、ここでは1年草です。
数年前通販で取り寄せた2株が今や、庭中に広がりました。
オルレア2015-1wb.jpg

オルラヤは放りっぱなしの庭の代表選手といえます。
優しい花と柔らかい葉に似合わぬトゲトゲの種子が出来、零れ種で繁殖します。
半日陰でもホタルブクロと一緒に育ちました。
ホタルブクロ2017−2wb.jpg

日向では大きく育ってサルビア・グアラニチカの引き立て役。
オルレアとサルビア・グアラニチカwb.jpg

ジャーマンアイリスの周りはニゲラが消えてここにもオルレア。
ジャーマンアイリス0518wb.jpg

ハルザキシュウメイギク
 キンポウゲ科イチリンソウ属の宿根草。アメリカ原産。
目立たないおとなしい花で、毎年木陰で静かに咲いていました。
ところが今年は日向に1株増え、花に似合わぬ大きな果実をつけていて驚きました。
ハルザキシュウメイギク5wb.jpg

花はシュウメイギクと同じ造り。
花弁の形がまちまちなのもシュウメイギクに似ています。
ハルザキシュウメイギク4wb.jpg

ペンステモン・ハスカーレッド
個性的な銅葉に柔らかいピンクの花が咲きます。
2年前 Iさんが大株を持って来て植えて下さった花です。
周りは白・青のニゲラとヒルザキツキミソウ。
ペンステモン・ハスカーレッド1wb.jpg

10本のハナミズキの下の通路には毎秋ビオラを植えますが、5月には花が終わります。
そのあとに1年草の苗を植えても水切れで育ちにくく苦労しました。

でも今ではハルシャギク、宿根バーベナ、ホタルブクロ、カワラナデシコなどの宿根草がひとりでに咲いてくれるようになりました。
ストケシアBとイトバハルシャギクwb.jpg

モナルダ ホワイト
 シソ科の多年草。北アメリカ原産の園芸品種。
 草丈 約1m。
モナルダ ホワイト1wb.jpg

接写すると面白い花です。
和名「タイマツバナ」は赤い品種モナルダ レッドに似合いそう。
モナルダW2wb.jpg

右は薄紫のモナルダ ラベンダー。
左のモナルダ ホワイトより丈が高く1.5m以上にもなります。
モナルダWV2wb1.jpg

5年前Mさんからいただいたダンドク。
うちで種子から育てた2世もこんなに大きくなりました。
ダンドク20170625−1wb.jpg

オオバボダイジュの下の半日陰の芝生にどんどん生えてくるカワラナデシコ。
芝生が育ちにくいのでありがたい自生です。
白とピンクのミックスも好都合。
カワラナデシコ2017−3wb.jpg

満開のナデシコが朝日に輝いています。
これを眺めるのは至福のひと時です。
カワラナデシコ2017−1wb.jpg


窓の下の半日陰の紅白はヒメフウロとペラペラヨメナ。
野道のようで楽しい組み合わせです。
そうそう、右下にはまだクリスマスローズの花も残っています。
ヒメフウロとペラペラヨメナwb.jpg

これからは宿根草やこぼれ種で生えてくれる植物を守っていこうと思います。
でもカタバミやツメクサ、スギナ、クローバーなどの雑草の攻勢激しく大変です。

昨夜来の改行トラブル、やっと先ほど遠隔操作のサポートを受けて直りました。 (2017.6.26.11:30)
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スタージャスミン・ハツユキカズラ  [花木(初夏)]

庭にはもう2種類のテイカカズラ属の園芸種が育っています。

スタージャスミン
 テイカカズラ属の常緑つる性木本

 学名:Trachelospermum jasminoides
 別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
 英名 : star jasmine
 原産:中国、台湾
    中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
 花期:5月 テイカカズラより約1週間後。

この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。
スタージャスミンwb.jpg

純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。
スタージャスミン09-2wb2.jpg

花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。
スタージャスミン花序wb.jpg

但し、テイカカズラとは萼片が異ります。
スタージャスミン花序2wb.jpg

花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。
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花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。
スタージャスミン1wb.jpg

中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。
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花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。
スタージャスミン6wb.jpg

葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。
スタージャスミン花粉wb.jpg

この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?
スタージャスミン割面3wb.jpg

一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。
スタージャスミン実07.8wb..jpg
(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)


ハツユキカズラ
 テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
 別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)

10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。
ハツユキカズラ侵略20060817-1wb.jpg

その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。
初雪カズラ11-2wb.jpg

時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。
ハツユキカズラ2012-4wb.jpg

5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。
ハツユキカズラ花wb2.jpg

花はスタージャスミンに似ていますが小型です。
ハツユキカズラ花1wb.jpg

これも散房花序。
ハツユキカズラ横2wb5.jpg

萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。
ハツユキカズラ横2毛wb.jpg

花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。
ハツユキカズラ花2wb3.jpg

花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
3)五色づた3wb2.jpg

雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
3)五色づた2wb.jpg

5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。

左より ハツユキカズラ    テイカカズラ      スタージャスミン
花の直径   約2cm      2〜3cm         2〜2.5cm
3)-1)-2)横wb3.jpg

花の裏側  ハツユキカズラ    テイカカズラ    スタージャスミン
3)-1)-2)後wb2.jpg

葉(右は裏面)ハツユキカズラ     テイカカズラ     スタージャスミン
テイカカズラ3種葉wb1.jpg

ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。

ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
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テイカカズラ [花木(初夏)]

テイカカズラ
 定家葛  キョウチクトウ科テイカカズラ属の木本性つる植物
 学名: Trachelospermum asiaticum
 別名:マサキノカズラ
 分布:本州、四国、九州、朝鮮半島。
 花期:5月

2000年に植えたテイカカズラが最も美しかったのは2012年。
使わなくなったキウイの棚を覆い、シャクナゲと同時に開花しました。
テイカカズラ20120512-1wb.jpg

5月、一斉に開花すると辺りに芳香が漂います。
テイカカズラ2012wb2.jpg

大きな房状の花(集散花序)。
テイカカズラ2012花序wb.jpg

花の直径は2.5〜3cm、花弁は風車やプロペラのように5裂。
花筒の下部は細く、上部は襞があってふっくらしています。
それにしても不思議な花です。雄しべも雌しべも見えません。
テイカカズラ070518wb.jpg

7月、長い豆のような果実を見つけました。
一対の長さ20cm弱の袋果です。花に比べて大きいのに驚きます。
花はあんなに多かったのにこの年の果実は一つだけ。
テイカカズラの実1wb.jpg

11月下旬、やっと果実が割れ、白い毛と茶色の種子が見えました。
テイカカズラ果実割れwb.jpg

これがテイカカズラの種子です。白絹のような種髪が美しい。
テイカカズラ種子4wb.jpg

花の構造は上から見ても横から見てもわかりません。
今年はネット検索をしてから花を採取して室内で観察することにしました。
テイカカズラは茎を切ると白い液が出ます。これは有毒だそうです。
開花したばかりの真っ白な花弁、中心部は黄色。
テイカカズラ1wb.jpg

中央の黄色の部分には細かい毛が見えます。
中心に向かって5つの突起、これを副花冠というそうです。
真ん中の白っぽい部分は5本の雄しべの先端。
穴のように見える5つの隙間に昆虫が長い口吻を差し込んで蜜を吸う仕組みです。
テイカカズラ花拡大wb.jpg

副花冠の周りにも微小な毛があります。
テイカカズラ花拡大2wb.jpg

花を縦に切り開きました。
左の中央の緑色の部分が雌しべ。
雄しべは上部の円錐形の部分で、上の方が葯、花粉は円錐上部に出ます。
下の細い花筒には蜜が溜まります。
テイカカズラ花筒両断面wb2.jpg

若い花を浅く切り開いてみました。
円錐を構成する葯が見えます。
下部の中央が雌しべ、その上部は粘液に覆われています。
テイカカズラ柱頭部wb.jpg

柱頭は雌しべの先端ではなく、粘液の下の膨らみにあるようです。
テイカカズラ花割面3wbL.jpg

花の凹みに細い針金を通そうと試みられた方もありましたが成功しなかったようです。
今回ネット検索にて見つけた「杉並の自然学/植物/テイカカズラ 」で 田中肇先生が毛髪で成功された記事(牧野植物同好会誌94号)を読み、追試させていただきました。
テイカカズラ毛髪1wb.jpg

毛髪は容易に下まで入り、引き抜くと先端に白いものがついてきました。
とすると、口吻は入り口の毛によって葯の隙間に誘導され、柱頭の周りの毛で他花からの花粉を落とし、蜜を吸った帰りに粘液と花粉をまとって出てくるのではないでしょうか。
テイカカズラ毛髪2wb.jpg

顕微鏡で確認すると粘液が絡んだ花粉が付いていました。
テイカカズラ毛髪花粉2wb.jpg

粘液を溶かして、やっとテイカカズラの花粉を見ることができました!
粘液KOH3wb.jpg

しかし、こんなに多くの花を咲かせてたった1〜2個の果実を残すのはいかにも能率が悪い。
この庭に口吻の長い昆虫が飛び交うのは夏期、開花期に見られるのは少数のアゲハチョウくらいです。
でもテイカカズラにとって花は万一の備えに過ぎないかもしれません。
これは棚を下から見上げて絡み合った蔓の一部を写したものです。
テイカカズラ蔓絡みwb.jpg

蔓といっても基部は直径4cmほどになり、太い蔓の各所にイボ状の突起があります。
テイカカズラ付着部1wb.jpg

これらの突起や中央のブラシ状の部分は気根(朝日百科では付着根)といって絡みつくために出した根が遺残したもののようです。
テイカカズラ付着部3wb.jpg

和名「テイカカズラ」は謡曲「定家」に由来し、藤原定家と愛し合った式子内親王の墓に、定家葛(テイカカズラ)がまとわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるという曲だそうです。
やはりこんなに絡みつかれては恐ろしくなりますね。
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ゼンマイ [野草]

ゼンマイ
 薇  ウラボシ綱(シダ綱) ゼンマイ目 ゼンマイ科の多年生シダ植物。
 学名Osmunda japonica 

毎春、庭の真ん中で踏み込み難いところに、植えた覚えのない植物が出てきます。
今年も3月下旬、白っぽい若芽を見つけました。
これは何でしょう?
胞子葉芽出し2015wb.jpg

ワラビが毛で包まれたような形。ひょっとしてゼンマイ?
検索してみますと、やはりゼンマイでよさそうです。
胞子葉芽出し1-2015wb.jpg

大きくなると頭部の綿の間から黄緑色の若芽(?)がのぞきました。
これがゼンマイの胞子葉。
胞子葉芽出し2-2015wb.jpg

胞子葉の頭部。
胞子葉3wb.jpg

赤い葉軸のまわりに黄緑色の粒々がびっしりと付いています。
これは胞子嚢です。
胞子葉4wb.jpg

続いてまたニョキニョキと白い毛に包まれたワラビのようなものが生えてきました。
ゼンマイの栄養葉です。
栄養葉芽生えwb.jpg

栄養葉の若芽は赤褐色。
栄養葉2wb.jpg

胞子葉が先に大きく育ちます。
胞子葉と栄養葉、どちらも食べられるのでしょうか?
ゼンマイの産地では栄養葉を「女ぜんまい」、胞子葉を「男ぜんまい」と呼び、採るのは「女ぜんまい」のみ。それも翌年のために少し残します。
胞子葉先熟2wb.jpg

左は胞子葉、右は葉が開いた栄養葉。
ゼンマイ胞子葉栄養葉wb.jpg

胞子葉の先端部を拡大します。緑色の魚の卵のよう。
胞子葉成熟1wb.jpg

さらに拡大すると胞子嚢は緑色のブドウのような球形。
ゼンマイの胞子には葉緑体が含まれているそうです。
胞子葉成熟1wb2.jpg

胞子放出中。
まだ胞子が残っている胞子嚢があります。画面をクリックしてごらんください。
前回書いたトキワシノブの胞子嚢には環帯があり、ここが収縮して胞子嚢を裂開させましたが、ゼンマイには環帯がなく、厚壁細胞が一カ所に集まっているだけだそうです(Wikiwand)。
またゼンマイでは胞子嚢が一斉に熟する性質があるそうですが、この日は、煙のように胞子が飛び立つのが見られて幸いでした。
胞子散布中2wb.jpg

胞子を顕微鏡で見てみました。
確かに大きな胞子です。
胞子1wb.jpg

拡大すると葉緑体が見えました。
胞子3wb.jpg

空になった胞子嚢。
胞子散布後3wb2.jpg

胞子葉は褐色になって退化していきます。
一方、栄養葉はたくまく葉を広げて赤褐色から緑色になりました。
ゼンマイ0420wb.jpg

2回羽状複葉。
葉脈は遊離(先で癒合して網を作らない)。これも画面をクリックすると見られます。
ゼンマイ葉0503表wb.jpg

5月21日、崩れた胞子葉が中左寄りにわずかに見えます。
栄養葉の緑色が深まって葉が硬くなっていました。
ゼンマイ葉完wb.jpg

2本切り取って長さを図りました。
80〜90cmあります。
ゼンマイ葉2枚wb.jpg

切った葉の葉柄にまだ綿毛が残っていました。
これで2本分です。
昔はこれに真綿を足して綿糸の代用にして布を織ったり、手まりをつくったりしたそうです。
ゼンマイ綿毛wb.jpg

庭に自生したゼンマイを追ってみました。
山野にたくさん生えて食用にするものとは、育ち方が違うかもしれません。
この庭のゼンマイの記録です。

食用のぜんまいの作り方をYou Tubeで見ました。大変な作業ですね。
やはりワラビとゼンマイは全然違います。
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2017年春の庭  [庭便り(春)]

2017年春の庭
この庭は17年前、歩けなくなっても自宅で花が見られるようにとの思いで造りました。
昨年ついに大手術を受け、幸いにも少しは歩けますが、しゃがめないので植え付け、草取り、花殻摘みはできません。
そのため庭は放りっぱなしでも咲く花がメインになりました。
今日はそういう花たちを並べます。

ダッチアイリス アポロ アヤメ科アヤメ属
朝の庭に突如予期せぬ花2輪、2年前に一度だけ咲いて消えてしまったかと思っていたアイリスです。
大きな花が誇らしげに朝日に輝いていました。
そういえば左の長く細い葉は去年もあったのです。
右下のピンクの花は大株になったリクニス フロスククリ。
ダッチアイリスwb1.jpg

コンロンソウ 崑崙草 アブラナ科タネツケバナ属
5年前いただいて日向に植えたら消え入りそうになり、日陰に移植しました。
今年はしっかり増えてもう安心です。
コンロンソウ2017−1wb.jpg

近くで見るとやはりタネツケバナに似ています。
コンロンソウ2016-2wb2.jpg

キボタン ボタン科ボタン属
白やピンクのボタンが今年は花をつけなかったのに、キボタンは元気です。
今年は20輪ほど咲きました。
黄ボタン2017wb.jpg

開花直前。
黄ボタン3wb.jpg

シロヤマブキ バラ科シロヤマブキ属
シロヤマブキは裏の日陰にあって剪定も水遣りもしたことがありませんが、気品のある花が毎年咲きます。
花が咲いてもまだ黒い種子が残っていて、離れたところに2世が2株開花しました。
シロヤマブキ2017-1wb2.jpg

アニソドンテア・ピンククイーン アオイ科アニソドンテア属
何度もブログに登場しましたが、今年は最も大株です。
大株になると突然立ち枯れしますから、挿し木をしておく必要があります。
サクラアオイと呼びたい色です。
サクラアオイ2017-3wb.jpg

アリウム トリクエトルム ミツカドネギ(三角葱) 
ネギ科ネギ属 南欧地中海沿岸原産の帰化植物
友人から頂いて裏庭に植え、ほどほどに増えています。
しかし友人宅では猛烈に増えて退治に大わらわのようです。
アリウム2017−3wb.jpg

俯いて咲く花を覗くように撮りました。
アリウム2017−4wb.jpg

ブルンネラ ‘ジャックフロスト’
ムラサキ科ブルンネラ属
東ヨーロッパ・西アジア・西シベリア原産の園芸種。
葉も観葉植物のようで美しく、ワスレナグサのような花が咲きます。
日陰の庭で一時はわーっと増えましたが、今は一株が辛うじて花を見せてくれます。
ブルンネラ1wb.jpg

ユキザサ 雪笹 キジカクシ科(←ユリ科)マイズルソウ属
端正な緑色の葉の間から花穂が伸びて清楚な白い花を咲かせます。
毎春見つけると歓声をあげたくなる花です。
ユキザサ2017−2wb2.jpg

チオノドクサ
和名 ユキゲユリ(雪解百合)キジカクシ科ツルボ属
クリスマスローズなどの陰になりそうな隙間からかわいい花を見せてくれます。
放ったらかしを詫び、来年は移植しようと思いながら花が終わると忘れてしまって申し訳なく思っています。
チオノドクサ1wb.jpg

ヒトリシズカ センリョウ科チャラン属
2012年の記事に書いた時は11本でしたが、今年は20本ほどに増えています。
この花も本当に手間いらずです。
ヒトリシズカ2017wb.jpg

4月末、母が98歳の生涯を終えました。
花が好きでここに来ると真っ先に庭を一周する習いでした。
別れの日にはこの庭で撮った写真を飾りました。
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