ヒメシャラ [花木(夏)]
ヒメシャラ
姫沙羅 ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木
学名:Stewartia monadelpha
花期:6月
分布:神奈川県以西の本州(中国地方を除く)、四国、九州
先週のナツツバキに続いてヒメシャラの登場です。
ヒメシャラの花はナツツバキより1週ほど早く咲きます。
ほっそり伸びた高い枝から咲き始めるので花に気付かず、落花を先に見ることになります。
落花はナツツバキによく似ていますが小さめです。

見上げると花はたくさん咲いていますが、逆光になりうまく撮れません。

ナツツバキより小さく控えめな花です。

日陰に植えられたばかりか、低い所で咲いた花も葉の陰になりやすくうまく撮れません。

ナツツバキに比べ、花弁のフリルも少なめで、素朴な印象です。

日の当たる位置で咲いた花にもナツツバキで認めた紅班はみられません。
一番外にあった花弁はやや緑色を帯びていることがあります。

花の両側に突き出した小さな葉は苞葉です。
苞葉が長いこと、これがヒメシャラの特徴です。

花の後ろを見ると、ナツツバキでは確認しにくかった苞葉が2枚、萼の2倍以上の長さに伸びていました。
やはり花弁の裏面は細毛に覆われています。

ナツツバキの花と並べました。
直径はナツツバキ5〜6cm、ヒメシャラ2〜3cm。
小さいナツツバキという意味でヒメシャラと命名されたのでしょう。
やはり離弁花ですが花冠と雄しべの基部は合着していて、花の姿のまま1日で落ちます。

クマバチが蜜を吸っています。
クマバチの体長は2〜2.5cmですから、さらに花が小さく見えます。

花冠が散っても2枚の苞葉は残ります。

花が咲くころになってもまだ前年の果実が残っていました。

実については「ナツツバキの実」の項でナツツバキとヒメシャラの実を並べました。
ここに再掲しておきます。

葉もやや小型で長さ8cmくらいまで。ナツツバキより薄い。
表面は光沢が無く、触れるとざらつきがあります。

拡大すると短い細毛が密生していました。

上はナツツバキの葉、下はヒメシャラ、共に表面です。
ナツツバキの葉は厚めですが、表面には毛がありません。

裏面を見ると逆にナツツバキ(上)ではやや長い毛が密集していますが、ヒメシャラ(下)は光沢があって毛は無いように見えます。

但しヒメシャラの葉裏にも葉脈には白い細かい毛がありました。

紅葉はナツツバキより紅みが深いように思います。

秋晴れに紅葉が映えます。

ヒメシャラの樹皮は年を重ねると赤褐色のごく薄い樹皮に変わるといわれます。
この庭のヒメシャラの樹皮は一部がはがれたり、灰褐色や黄褐色を呈したり、未だなかなか複雑な様相です。

冬季の樹皮。
ところどころ、鱗状に剥がれているところもありました。

ヒメシャラは花期が短く、毎年写真を撮り損ねて「また来年」の繰り返しでした。
今年も不満が残りますが、ナツツバキとの違いを見るには並べた方がいいと思い、このまま公開することにしました。
姫沙羅 ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木
学名:Stewartia monadelpha
花期:6月
分布:神奈川県以西の本州(中国地方を除く)、四国、九州
先週のナツツバキに続いてヒメシャラの登場です。
ヒメシャラの花はナツツバキより1週ほど早く咲きます。
ほっそり伸びた高い枝から咲き始めるので花に気付かず、落花を先に見ることになります。
落花はナツツバキによく似ていますが小さめです。

見上げると花はたくさん咲いていますが、逆光になりうまく撮れません。

ナツツバキより小さく控えめな花です。

日陰に植えられたばかりか、低い所で咲いた花も葉の陰になりやすくうまく撮れません。

ナツツバキに比べ、花弁のフリルも少なめで、素朴な印象です。

日の当たる位置で咲いた花にもナツツバキで認めた紅班はみられません。
一番外にあった花弁はやや緑色を帯びていることがあります。

花の両側に突き出した小さな葉は苞葉です。
苞葉が長いこと、これがヒメシャラの特徴です。

花の後ろを見ると、ナツツバキでは確認しにくかった苞葉が2枚、萼の2倍以上の長さに伸びていました。
やはり花弁の裏面は細毛に覆われています。

ナツツバキの花と並べました。
直径はナツツバキ5〜6cm、ヒメシャラ2〜3cm。
小さいナツツバキという意味でヒメシャラと命名されたのでしょう。
やはり離弁花ですが花冠と雄しべの基部は合着していて、花の姿のまま1日で落ちます。

クマバチが蜜を吸っています。
クマバチの体長は2〜2.5cmですから、さらに花が小さく見えます。

花冠が散っても2枚の苞葉は残ります。

花が咲くころになってもまだ前年の果実が残っていました。

実については「ナツツバキの実」の項でナツツバキとヒメシャラの実を並べました。
ここに再掲しておきます。

葉もやや小型で長さ8cmくらいまで。ナツツバキより薄い。
表面は光沢が無く、触れるとざらつきがあります。

拡大すると短い細毛が密生していました。

上はナツツバキの葉、下はヒメシャラ、共に表面です。
ナツツバキの葉は厚めですが、表面には毛がありません。

裏面を見ると逆にナツツバキ(上)ではやや長い毛が密集していますが、ヒメシャラ(下)は光沢があって毛は無いように見えます。

但しヒメシャラの葉裏にも葉脈には白い細かい毛がありました。

紅葉はナツツバキより紅みが深いように思います。

秋晴れに紅葉が映えます。

ヒメシャラの樹皮は年を重ねると赤褐色のごく薄い樹皮に変わるといわれます。
この庭のヒメシャラの樹皮は一部がはがれたり、灰褐色や黄褐色を呈したり、未だなかなか複雑な様相です。

冬季の樹皮。
ところどころ、鱗状に剥がれているところもありました。

ヒメシャラは花期が短く、毎年写真を撮り損ねて「また来年」の繰り返しでした。
今年も不満が残りますが、ナツツバキとの違いを見るには並べた方がいいと思い、このまま公開することにしました。
2017-07-14 23:37
コメント(16)
ナツツバキ 2017 [花木(夏)]
ナツツバキ 2017
夏椿
ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。
学名: Stewartia pseudocamellia
別名:シャラノキ(娑羅樹)(沙羅の木)
原産地:宮城県以西の本州・四国・九州、朝鮮半島
ナツツバキについては2009年6月28日に花、2015年12月29日に実について書きました。
読み返すと特にブログ初年度の記事は物足りなく、また少々追加したいと思います。
この庭に3本のナツツバキが植えられてからもう39年経ちました。
これは日当たりも風通しも良いところに植えられた樹の満開の頃の写真です。
一日花ですから翌朝は一面の落花ということになります。

朝は開きかけの花を見るのが楽しい。
中心に雌しべが1本、オレンジ色の葯をつけた雄しべの群れに囲まれています。

ヤマシャクヤクの開花を想い出させせるふくよかさ。
花弁の周りは皺状で細かい歯状の切れ込みがあります。

やはり花粉が散る前が美しい。
花の直径は5〜6cm。

満面の微笑み。
左上の花弁にうっすらと頬紅?
この花弁は一番小さく、窪みの部分に着色を認めます。
また他の花弁より辺縁のフリルが少ないようです。

そのつもりで探すと濃淡様々な斑のある花が見つかりました。

左の花には鮮やかな紅斑、右はこの花の裏面です。
対応する部位に表よりやや薄い紅斑が見られます。

しかし着色が殆ど見られない花もあります。
これは日陰に咲くナツツバキ、どの花もほぼ純白です。
むしろ紅斑がある方が例外かもしれません。

蕾が膨らんでくると5枚の萼片では覆いきれなくなり、最上部の花弁が露出します。
ここに日光が当たると淡褐色や淡紅色に染まるようです。

よく日の当たる場所では萼片も赤く染まっています。

ナツツバキの花には2枚の苞があると記載されていますが、花茎が短く確認できません。
花を採って裏から写すと、確かに小さな苞が2枚あるようですが、わかりにくいですね。
花弁の裏側は絹のような細い毛で覆われ、光沢があります。

萼片と苞の周辺が赤く着色した若い果実がありました。
やっと苞の形がはっきり見えて納得。
萼も基部は合着しているようです。

蜜を求めてナミアゲハがやってきました。

花は夕方から次々と落ちていきます。
基部で合着した花弁と雄しべが一塊りのまま落下します。
ツバキと同じですね。

種子を落とし終えた昨年の蒴果が花期になっても残っていることがあります。
蒴果は5稜あり、縦に5裂、その先端は鋭く尖っています。
反転した萼片も残存。

葉は互生。大きい葉は長さ10cm強。
やや厚めで光沢はありません。

裏面には細かい毛が生えています。

居間から眺められるナツツバキの株。
日陰になるためか、赤い班は見当たりません。

樹皮は所々から薄片状にはげ落ちて斑紋のようになります。

冬季には金銀の模様のようにも見えました。

近縁種にヒメシャラがあります。
近々、ナツツバキと比較しながら記録したいと思っています。
夏椿
ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。
学名: Stewartia pseudocamellia
別名:シャラノキ(娑羅樹)(沙羅の木)
原産地:宮城県以西の本州・四国・九州、朝鮮半島
ナツツバキについては2009年6月28日に花、2015年12月29日に実について書きました。
読み返すと特にブログ初年度の記事は物足りなく、また少々追加したいと思います。
この庭に3本のナツツバキが植えられてからもう39年経ちました。
これは日当たりも風通しも良いところに植えられた樹の満開の頃の写真です。
一日花ですから翌朝は一面の落花ということになります。

朝は開きかけの花を見るのが楽しい。
中心に雌しべが1本、オレンジ色の葯をつけた雄しべの群れに囲まれています。

ヤマシャクヤクの開花を想い出させせるふくよかさ。
花弁の周りは皺状で細かい歯状の切れ込みがあります。

やはり花粉が散る前が美しい。
花の直径は5〜6cm。

満面の微笑み。
左上の花弁にうっすらと頬紅?
この花弁は一番小さく、窪みの部分に着色を認めます。
また他の花弁より辺縁のフリルが少ないようです。

そのつもりで探すと濃淡様々な斑のある花が見つかりました。

左の花には鮮やかな紅斑、右はこの花の裏面です。
対応する部位に表よりやや薄い紅斑が見られます。


しかし着色が殆ど見られない花もあります。
これは日陰に咲くナツツバキ、どの花もほぼ純白です。
むしろ紅斑がある方が例外かもしれません。

蕾が膨らんでくると5枚の萼片では覆いきれなくなり、最上部の花弁が露出します。
ここに日光が当たると淡褐色や淡紅色に染まるようです。

よく日の当たる場所では萼片も赤く染まっています。

ナツツバキの花には2枚の苞があると記載されていますが、花茎が短く確認できません。
花を採って裏から写すと、確かに小さな苞が2枚あるようですが、わかりにくいですね。
花弁の裏側は絹のような細い毛で覆われ、光沢があります。

萼片と苞の周辺が赤く着色した若い果実がありました。
やっと苞の形がはっきり見えて納得。
萼も基部は合着しているようです。

蜜を求めてナミアゲハがやってきました。

花は夕方から次々と落ちていきます。
基部で合着した花弁と雄しべが一塊りのまま落下します。
ツバキと同じですね。

種子を落とし終えた昨年の蒴果が花期になっても残っていることがあります。
蒴果は5稜あり、縦に5裂、その先端は鋭く尖っています。
反転した萼片も残存。

葉は互生。大きい葉は長さ10cm強。
やや厚めで光沢はありません。

裏面には細かい毛が生えています。

居間から眺められるナツツバキの株。
日陰になるためか、赤い班は見当たりません。

樹皮は所々から薄片状にはげ落ちて斑紋のようになります。

冬季には金銀の模様のようにも見えました。

近縁種にヒメシャラがあります。
近々、ナツツバキと比較しながら記録したいと思っています。
2017-07-05 14:39
コメント(14)
今年も咲いた!(2017初夏) [草花(初夏)]
今年も咲いた!
元気な頃は休日は朝から夕まで庭に這いつくばっていたものでした。
でも16年前腰痛に悩むようになってからは「放っておいても年中花が見られる庭」を目指してきました。
今日は今年も咲いた初夏の草花のうち目立ったものを並べてみます。
赤いポピーはこぼれ種で勝手に育ったものです。

白い花は オルラヤ ‘ホワイトレース’(オルレア グランデフロラ) 。
Orlaya grandiflora 'White Lace'
ヨーロッパ原産のセリ科園芸品種。
本来は多年草だそうですが、ここでは1年草です。
数年前通販で取り寄せた2株が今や、庭中に広がりました。

オルラヤは放りっぱなしの庭の代表選手といえます。
優しい花と柔らかい葉に似合わぬトゲトゲの種子が出来、零れ種で繁殖します。
半日陰でもホタルブクロと一緒に育ちました。

日向では大きく育ってサルビア・グアラニチカの引き立て役。

ジャーマンアイリスの周りはニゲラが消えてここにもオルレア。

ハルザキシュウメイギク
キンポウゲ科イチリンソウ属の宿根草。アメリカ原産。
目立たないおとなしい花で、毎年木陰で静かに咲いていました。
ところが今年は日向に1株増え、花に似合わぬ大きな果実をつけていて驚きました。

花はシュウメイギクと同じ造り。
花弁の形がまちまちなのもシュウメイギクに似ています。

ペンステモン・ハスカーレッド
個性的な銅葉に柔らかいピンクの花が咲きます。
2年前 Iさんが大株を持って来て植えて下さった花です。
周りは白・青のニゲラとヒルザキツキミソウ。

10本のハナミズキの下の通路には毎秋ビオラを植えますが、5月には花が終わります。
そのあとに1年草の苗を植えても水切れで育ちにくく苦労しました。
でも今ではハルシャギク、宿根バーベナ、ホタルブクロ、カワラナデシコなどの宿根草がひとりでに咲いてくれるようになりました。

モナルダ ホワイト
シソ科の多年草。北アメリカ原産の園芸品種。
草丈 約1m。

接写すると面白い花です。
和名「タイマツバナ」は赤い品種モナルダ レッドに似合いそう。

右は薄紫のモナルダ ラベンダー。
左のモナルダ ホワイトより丈が高く1.5m以上にもなります。

5年前Mさんからいただいたダンドク。
うちで種子から育てた2世もこんなに大きくなりました。

オオバボダイジュの下の半日陰の芝生にどんどん生えてくるカワラナデシコ。
芝生が育ちにくいのでありがたい自生です。
白とピンクのミックスも好都合。

満開のナデシコが朝日に輝いています。
これを眺めるのは至福のひと時です。

窓の下の半日陰の紅白はヒメフウロとペラペラヨメナ。
野道のようで楽しい組み合わせです。
そうそう、右下にはまだクリスマスローズの花も残っています。

これからは宿根草やこぼれ種で生えてくれる植物を守っていこうと思います。
でもカタバミやツメクサ、スギナ、クローバーなどの雑草の攻勢激しく大変です。
昨夜来の改行トラブル、やっと先ほど遠隔操作のサポートを受けて直りました。 (2017.6.26.11:30)
元気な頃は休日は朝から夕まで庭に這いつくばっていたものでした。
でも16年前腰痛に悩むようになってからは「放っておいても年中花が見られる庭」を目指してきました。
今日は今年も咲いた初夏の草花のうち目立ったものを並べてみます。
赤いポピーはこぼれ種で勝手に育ったものです。

白い花は オルラヤ ‘ホワイトレース’(オルレア グランデフロラ) 。
Orlaya grandiflora 'White Lace'
ヨーロッパ原産のセリ科園芸品種。
本来は多年草だそうですが、ここでは1年草です。
数年前通販で取り寄せた2株が今や、庭中に広がりました。

オルラヤは放りっぱなしの庭の代表選手といえます。
優しい花と柔らかい葉に似合わぬトゲトゲの種子が出来、零れ種で繁殖します。
半日陰でもホタルブクロと一緒に育ちました。

日向では大きく育ってサルビア・グアラニチカの引き立て役。

ジャーマンアイリスの周りはニゲラが消えてここにもオルレア。

ハルザキシュウメイギク
キンポウゲ科イチリンソウ属の宿根草。アメリカ原産。
目立たないおとなしい花で、毎年木陰で静かに咲いていました。
ところが今年は日向に1株増え、花に似合わぬ大きな果実をつけていて驚きました。

花はシュウメイギクと同じ造り。
花弁の形がまちまちなのもシュウメイギクに似ています。

ペンステモン・ハスカーレッド
個性的な銅葉に柔らかいピンクの花が咲きます。
2年前 Iさんが大株を持って来て植えて下さった花です。
周りは白・青のニゲラとヒルザキツキミソウ。

10本のハナミズキの下の通路には毎秋ビオラを植えますが、5月には花が終わります。
そのあとに1年草の苗を植えても水切れで育ちにくく苦労しました。
でも今ではハルシャギク、宿根バーベナ、ホタルブクロ、カワラナデシコなどの宿根草がひとりでに咲いてくれるようになりました。

モナルダ ホワイト
シソ科の多年草。北アメリカ原産の園芸品種。
草丈 約1m。

接写すると面白い花です。
和名「タイマツバナ」は赤い品種モナルダ レッドに似合いそう。

右は薄紫のモナルダ ラベンダー。
左のモナルダ ホワイトより丈が高く1.5m以上にもなります。

5年前Mさんからいただいたダンドク。
うちで種子から育てた2世もこんなに大きくなりました。

オオバボダイジュの下の半日陰の芝生にどんどん生えてくるカワラナデシコ。
芝生が育ちにくいのでありがたい自生です。
白とピンクのミックスも好都合。

満開のナデシコが朝日に輝いています。
これを眺めるのは至福のひと時です。

窓の下の半日陰の紅白はヒメフウロとペラペラヨメナ。
野道のようで楽しい組み合わせです。
そうそう、右下にはまだクリスマスローズの花も残っています。

これからは宿根草やこぼれ種で生えてくれる植物を守っていこうと思います。
でもカタバミやツメクサ、スギナ、クローバーなどの雑草の攻勢激しく大変です。
昨夜来の改行トラブル、やっと先ほど遠隔操作のサポートを受けて直りました。 (2017.6.26.11:30)
2017-06-25 23:57
コメント(16)
スタージャスミン・ハツユキカズラ [花木(初夏)]
庭にはもう2種類のテイカカズラ属の園芸種が育っています。
スタージャスミン
テイカカズラ属の常緑つる性木本
学名:Trachelospermum jasminoides
別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
英名 : star jasmine
原産:中国、台湾
中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
花期:5月 テイカカズラより約1週間後。
この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。

純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。

花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。

但し、テイカカズラとは萼片が異ります。

花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。

花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。

中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。

花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。

葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。

この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?

一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。

(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)
ハツユキカズラ
テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)
10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。

その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。

時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。

5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。

花はスタージャスミンに似ていますが小型です。

これも散房花序。

萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。

花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。

花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
E4BA94E889B2E381A5E3819F3wb2.jpg)
雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
E4BA94E889B2E381A5E3819F2wb.jpg)
5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。
左より ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
花の直径 約2cm 2〜3cm 2〜2.5cm
-1)-2)E6A8AAwb3-9c40e.jpg)
花の裏側 ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
-1)-2)E5BE8Cwb2.jpg)
葉(右は裏面)ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン

ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。
ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
スタージャスミン
テイカカズラ属の常緑つる性木本
学名:Trachelospermum jasminoides
別名:トウキョウチクトウ(唐夾竹桃)、トウテイカカズラ(唐定家蔓)
英名 : star jasmine
原産:中国、台湾
中国名は絡石。根、茎、果実は薬用とされます。
花期:5月 テイカカズラより約1週間後。
この花は‘スタージャスミン’ の名で流通していますが、中国・台湾に分布するトウキョウチクトウと同一かと思われます。
植えて10年余、テイカカズラよりこじんまりして棚ではなく、フェンスに収まっています。
テイカカズラが満開になった頃開花し始めます。

純白の花は咲き進んでも黄色くならず、清楚な感じです。
対生の葉はテイカカズラに比べて先が尖って長く、やや明るい緑色。
香りはテイカカズラより強いようです。

花は房咲き(集散花序)。
テイカカズラによく似ていて花冠も5裂。

但し、テイカカズラとは萼片が異ります。

花筒の細い部分がテイカカズラより短く、5枚の萼片が反り返ります。
近畿以西にはトウキョウチクトウの変種とされる「ケテイカカズラ」があります。
ケテイカカズラは花柄や葉の裏面に毛が多いそうですが、これは毛が目立ちません。

花冠は5裂し辺縁の一部が襞状。

中心部の着色は少なく副花冠は黄緑色、細かい毛が密生しています。

花筒を割るとテイカカズラと同じ構造です。
雌しべの花柱がやや短いので、花筒の太い部分と細い部分はほぼ同じ長さになります。

葯が囲む円錐形の部分に白い花粉が詰まっています。

この割面では5本の雄しべが数えられます。
雌しべは粘液の下の色が薄い部分が柱頭でしょうか?

一度だけ果実が育ったことがあります。
しかし完熟を見届けることはできませんでした。

(和名をボルネオソケイという植物の英名もstar jasmine、混同にご注意ください。)
ハツユキカズラ
テイカカズラ属の常緑つる性木本 園芸品種
別名:フイリテイカカズラ(斑入り定家葛)
10年以上前、美しい葉に魅せられてグランドカバーにしようと苗を購入しました。
当時はこれがテイカカズラの仲間でこのように生育旺盛とは知らなかったのです。
数年後勢いよく繁茂し、周りの植物に這い上がって撤去に苦労しました。

その性質を知ってから植える場所を選べばよかったのです。
コンクリートの階段から垂らすと良い眺めになりました。

時には白やピンクの花が咲いたかと思うほどの美しさです。

5月18日、初めて花を見つけました。
一部がサネカズラの垣根に侵入してよじ登っていたのです。
下の方の緑色の葉の間に小さな白い花が見えます。

花はスタージャスミンに似ていますが小型です。

これも散房花序。

萼片は花筒に密着せず開いています。
子房から花柄にかけて細かい毛が密生。
これはケテイカカズラに見られる特徴です。

花冠の基部は淡黄色、副花冠は発達せず、毛が目立ちます。

花筒の下部はスタージャスミンよりまたさらに短く、遊離した萼片が大きい。
E4BA94E889B2E381A5E3819F3wb2.jpg)
雄しべは低い位置にあり、隙間が見えます。
E4BA94E889B2E381A5E3819F2wb.jpg)
5月23日、ハツユキカズラの最後の花を採って3種を並べました。
左より ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
花の直径 約2cm 2〜3cm 2〜2.5cm
-1)-2)E6A8AAwb3-9c40e.jpg)
花の裏側 ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン
-1)-2)E5BE8Cwb2.jpg)
葉(右は裏面)ハツユキカズラ テイカカズラ スタージャスミン

ケテイカカズラは葉の裏面にも毛があるそうですが、これら3種は葉には毛がありません。
ハツユキカズラはケテイカカズラに近い品種のようです。
ハツユキカズラに花を見たのは今年が初めてです。
これを機にテイカカズラを纏めたいと思ったのですが、花の構造を調べているうちに花期が終わってしまいました。花の写真が不出来で見難いことをお詫びします。
2017-06-12 22:18
コメント(16)
テイカカズラ [花木(初夏)]
テイカカズラ
定家葛 キョウチクトウ科テイカカズラ属の木本性つる植物
学名: Trachelospermum asiaticum
別名:マサキノカズラ
分布:本州、四国、九州、朝鮮半島。
花期:5月
2000年に植えたテイカカズラが最も美しかったのは2012年。
使わなくなったキウイの棚を覆い、シャクナゲと同時に開花しました。

5月、一斉に開花すると辺りに芳香が漂います。

大きな房状の花(集散花序)。

花の直径は2.5〜3cm、花弁は風車やプロペラのように5裂。
花筒の下部は細く、上部は襞があってふっくらしています。
それにしても不思議な花です。雄しべも雌しべも見えません。

7月、長い豆のような果実を見つけました。
一対の長さ20cm弱の袋果です。花に比べて大きいのに驚きます。
花はあんなに多かったのにこの年の果実は一つだけ。

11月下旬、やっと果実が割れ、白い毛と茶色の種子が見えました。

これがテイカカズラの種子です。白絹のような種髪が美しい。

花の構造は上から見ても横から見てもわかりません。
今年はネット検索をしてから花を採取して室内で観察することにしました。
テイカカズラは茎を切ると白い液が出ます。これは有毒だそうです。
開花したばかりの真っ白な花弁、中心部は黄色。

中央の黄色の部分には細かい毛が見えます。
中心に向かって5つの突起、これを副花冠というそうです。
真ん中の白っぽい部分は5本の雄しべの先端。
穴のように見える5つの隙間に昆虫が長い口吻を差し込んで蜜を吸う仕組みです。

副花冠の周りにも微小な毛があります。

花を縦に切り開きました。
左の中央の緑色の部分が雌しべ。
雄しべは上部の円錐形の部分で、上の方が葯、花粉は円錐上部に出ます。
下の細い花筒には蜜が溜まります。

若い花を浅く切り開いてみました。
円錐を構成する葯が見えます。
下部の中央が雌しべ、その上部は粘液に覆われています。

柱頭は雌しべの先端ではなく、粘液の下の膨らみにあるようです。

花の凹みに細い針金を通そうと試みられた方もありましたが成功しなかったようです。
今回ネット検索にて見つけた「杉並の自然学/植物/テイカカズラ 」で 田中肇先生が毛髪で成功された記事(牧野植物同好会誌94号)を読み、追試させていただきました。

毛髪は容易に下まで入り、引き抜くと先端に白いものがついてきました。
とすると、口吻は入り口の毛によって葯の隙間に誘導され、柱頭の周りの毛で他花からの花粉を落とし、蜜を吸った帰りに粘液と花粉をまとって出てくるのではないでしょうか。

顕微鏡で確認すると粘液が絡んだ花粉が付いていました。

粘液を溶かして、やっとテイカカズラの花粉を見ることができました!

しかし、こんなに多くの花を咲かせてたった1〜2個の果実を残すのはいかにも能率が悪い。
この庭に口吻の長い昆虫が飛び交うのは夏期、開花期に見られるのは少数のアゲハチョウくらいです。
でもテイカカズラにとって花は万一の備えに過ぎないかもしれません。
これは棚を下から見上げて絡み合った蔓の一部を写したものです。

蔓といっても基部は直径4cmほどになり、太い蔓の各所にイボ状の突起があります。

これらの突起や中央のブラシ状の部分は気根(朝日百科では付着根)といって絡みつくために出した根が遺残したもののようです。

和名「テイカカズラ」は謡曲「定家」に由来し、藤原定家と愛し合った式子内親王の墓に、定家葛(テイカカズラ)がまとわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるという曲だそうです。
やはりこんなに絡みつかれては恐ろしくなりますね。
定家葛 キョウチクトウ科テイカカズラ属の木本性つる植物
学名: Trachelospermum asiaticum
別名:マサキノカズラ
分布:本州、四国、九州、朝鮮半島。
花期:5月
2000年に植えたテイカカズラが最も美しかったのは2012年。
使わなくなったキウイの棚を覆い、シャクナゲと同時に開花しました。

5月、一斉に開花すると辺りに芳香が漂います。

大きな房状の花(集散花序)。

花の直径は2.5〜3cm、花弁は風車やプロペラのように5裂。
花筒の下部は細く、上部は襞があってふっくらしています。
それにしても不思議な花です。雄しべも雌しべも見えません。

7月、長い豆のような果実を見つけました。
一対の長さ20cm弱の袋果です。花に比べて大きいのに驚きます。
花はあんなに多かったのにこの年の果実は一つだけ。

11月下旬、やっと果実が割れ、白い毛と茶色の種子が見えました。

これがテイカカズラの種子です。白絹のような種髪が美しい。

花の構造は上から見ても横から見てもわかりません。
今年はネット検索をしてから花を採取して室内で観察することにしました。
テイカカズラは茎を切ると白い液が出ます。これは有毒だそうです。
開花したばかりの真っ白な花弁、中心部は黄色。

中央の黄色の部分には細かい毛が見えます。
中心に向かって5つの突起、これを副花冠というそうです。
真ん中の白っぽい部分は5本の雄しべの先端。
穴のように見える5つの隙間に昆虫が長い口吻を差し込んで蜜を吸う仕組みです。

副花冠の周りにも微小な毛があります。

花を縦に切り開きました。
左の中央の緑色の部分が雌しべ。
雄しべは上部の円錐形の部分で、上の方が葯、花粉は円錐上部に出ます。
下の細い花筒には蜜が溜まります。

若い花を浅く切り開いてみました。
円錐を構成する葯が見えます。
下部の中央が雌しべ、その上部は粘液に覆われています。

柱頭は雌しべの先端ではなく、粘液の下の膨らみにあるようです。

花の凹みに細い針金を通そうと試みられた方もありましたが成功しなかったようです。
今回ネット検索にて見つけた「杉並の自然学/植物/テイカカズラ 」で 田中肇先生が毛髪で成功された記事(牧野植物同好会誌94号)を読み、追試させていただきました。

毛髪は容易に下まで入り、引き抜くと先端に白いものがついてきました。
とすると、口吻は入り口の毛によって葯の隙間に誘導され、柱頭の周りの毛で他花からの花粉を落とし、蜜を吸った帰りに粘液と花粉をまとって出てくるのではないでしょうか。

顕微鏡で確認すると粘液が絡んだ花粉が付いていました。

粘液を溶かして、やっとテイカカズラの花粉を見ることができました!

しかし、こんなに多くの花を咲かせてたった1〜2個の果実を残すのはいかにも能率が悪い。
この庭に口吻の長い昆虫が飛び交うのは夏期、開花期に見られるのは少数のアゲハチョウくらいです。
でもテイカカズラにとって花は万一の備えに過ぎないかもしれません。
これは棚を下から見上げて絡み合った蔓の一部を写したものです。

蔓といっても基部は直径4cmほどになり、太い蔓の各所にイボ状の突起があります。

これらの突起や中央のブラシ状の部分は気根(朝日百科では付着根)といって絡みつくために出した根が遺残したもののようです。

和名「テイカカズラ」は謡曲「定家」に由来し、藤原定家と愛し合った式子内親王の墓に、定家葛(テイカカズラ)がまとわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるという曲だそうです。
やはりこんなに絡みつかれては恐ろしくなりますね。
2017-06-04 16:13
コメント(18)
ゼンマイ [野草]
ゼンマイ
薇 ウラボシ綱(シダ綱) ゼンマイ目 ゼンマイ科の多年生シダ植物。
学名Osmunda japonica
毎春、庭の真ん中で踏み込み難いところに、植えた覚えのない植物が出てきます。
今年も3月下旬、白っぽい若芽を見つけました。
これは何でしょう?

ワラビが毛で包まれたような形。ひょっとしてゼンマイ?
検索してみますと、やはりゼンマイでよさそうです。

大きくなると頭部の綿の間から黄緑色の若芽(?)がのぞきました。
これがゼンマイの胞子葉。

胞子葉の頭部。

赤い葉軸のまわりに黄緑色の粒々がびっしりと付いています。
これは胞子嚢です。

続いてまたニョキニョキと白い毛に包まれたワラビのようなものが生えてきました。
ゼンマイの栄養葉です。

栄養葉の若芽は赤褐色。

胞子葉が先に大きく育ちます。
胞子葉と栄養葉、どちらも食べられるのでしょうか?
ゼンマイの産地では栄養葉を「女ぜんまい」、胞子葉を「男ぜんまい」と呼び、採るのは「女ぜんまい」のみ。それも翌年のために少し残します。

左は胞子葉、右は葉が開いた栄養葉。

胞子葉の先端部を拡大します。緑色の魚の卵のよう。

さらに拡大すると胞子嚢は緑色のブドウのような球形。
ゼンマイの胞子には葉緑体が含まれているそうです。

胞子放出中。
まだ胞子が残っている胞子嚢があります。画面をクリックしてごらんください。
前回書いたトキワシノブの胞子嚢には環帯があり、ここが収縮して胞子嚢を裂開させましたが、ゼンマイには環帯がなく、厚壁細胞が一カ所に集まっているだけだそうです(Wikiwand)。
またゼンマイでは胞子嚢が一斉に熟する性質があるそうですが、この日は、煙のように胞子が飛び立つのが見られて幸いでした。

胞子を顕微鏡で見てみました。
確かに大きな胞子です。

拡大すると葉緑体が見えました。

空になった胞子嚢。

胞子葉は褐色になって退化していきます。
一方、栄養葉はたくまく葉を広げて赤褐色から緑色になりました。

2回羽状複葉。
葉脈は遊離(先で癒合して網を作らない)。これも画面をクリックすると見られます。

5月21日、崩れた胞子葉が中左寄りにわずかに見えます。
栄養葉の緑色が深まって葉が硬くなっていました。

2本切り取って長さを図りました。
80〜90cmあります。

切った葉の葉柄にまだ綿毛が残っていました。
これで2本分です。
昔はこれに真綿を足して綿糸の代用にして布を織ったり、手まりをつくったりしたそうです。

庭に自生したゼンマイを追ってみました。
山野にたくさん生えて食用にするものとは、育ち方が違うかもしれません。
この庭のゼンマイの記録です。
食用のぜんまいの作り方をYou Tubeで見ました。大変な作業ですね。
やはりワラビとゼンマイは全然違います。
薇 ウラボシ綱(シダ綱) ゼンマイ目 ゼンマイ科の多年生シダ植物。
学名Osmunda japonica
毎春、庭の真ん中で踏み込み難いところに、植えた覚えのない植物が出てきます。
今年も3月下旬、白っぽい若芽を見つけました。
これは何でしょう?

ワラビが毛で包まれたような形。ひょっとしてゼンマイ?
検索してみますと、やはりゼンマイでよさそうです。

大きくなると頭部の綿の間から黄緑色の若芽(?)がのぞきました。
これがゼンマイの胞子葉。

胞子葉の頭部。

赤い葉軸のまわりに黄緑色の粒々がびっしりと付いています。
これは胞子嚢です。

続いてまたニョキニョキと白い毛に包まれたワラビのようなものが生えてきました。
ゼンマイの栄養葉です。

栄養葉の若芽は赤褐色。

胞子葉が先に大きく育ちます。
胞子葉と栄養葉、どちらも食べられるのでしょうか?
ゼンマイの産地では栄養葉を「女ぜんまい」、胞子葉を「男ぜんまい」と呼び、採るのは「女ぜんまい」のみ。それも翌年のために少し残します。

左は胞子葉、右は葉が開いた栄養葉。

胞子葉の先端部を拡大します。緑色の魚の卵のよう。

さらに拡大すると胞子嚢は緑色のブドウのような球形。
ゼンマイの胞子には葉緑体が含まれているそうです。

胞子放出中。
まだ胞子が残っている胞子嚢があります。画面をクリックしてごらんください。
前回書いたトキワシノブの胞子嚢には環帯があり、ここが収縮して胞子嚢を裂開させましたが、ゼンマイには環帯がなく、厚壁細胞が一カ所に集まっているだけだそうです(Wikiwand)。
またゼンマイでは胞子嚢が一斉に熟する性質があるそうですが、この日は、煙のように胞子が飛び立つのが見られて幸いでした。

胞子を顕微鏡で見てみました。
確かに大きな胞子です。

拡大すると葉緑体が見えました。

空になった胞子嚢。

胞子葉は褐色になって退化していきます。
一方、栄養葉はたくまく葉を広げて赤褐色から緑色になりました。

2回羽状複葉。
葉脈は遊離(先で癒合して網を作らない)。これも画面をクリックすると見られます。

5月21日、崩れた胞子葉が中左寄りにわずかに見えます。
栄養葉の緑色が深まって葉が硬くなっていました。

2本切り取って長さを図りました。
80〜90cmあります。

切った葉の葉柄にまだ綿毛が残っていました。
これで2本分です。
昔はこれに真綿を足して綿糸の代用にして布を織ったり、手まりをつくったりしたそうです。

庭に自生したゼンマイを追ってみました。
山野にたくさん生えて食用にするものとは、育ち方が違うかもしれません。
この庭のゼンマイの記録です。
食用のぜんまいの作り方をYou Tubeで見ました。大変な作業ですね。
やはりワラビとゼンマイは全然違います。
2017-05-22 01:40
コメント(16)
2017年春の庭 [庭便り(春)]
2017年春の庭
この庭は17年前、歩けなくなっても自宅で花が見られるようにとの思いで造りました。
昨年ついに大手術を受け、幸いにも少しは歩けますが、しゃがめないので植え付け、草取り、花殻摘みはできません。
そのため庭は放りっぱなしでも咲く花がメインになりました。
今日はそういう花たちを並べます。
ダッチアイリス アポロ アヤメ科アヤメ属
朝の庭に突如予期せぬ花2輪、2年前に一度だけ咲いて消えてしまったかと思っていたアイリスです。
大きな花が誇らしげに朝日に輝いていました。
そういえば左の長く細い葉は去年もあったのです。
右下のピンクの花は大株になったリクニス フロスククリ。

コンロンソウ 崑崙草 アブラナ科タネツケバナ属
5年前いただいて日向に植えたら消え入りそうになり、日陰に移植しました。
今年はしっかり増えてもう安心です。

近くで見るとやはりタネツケバナに似ています。

キボタン ボタン科ボタン属
白やピンクのボタンが今年は花をつけなかったのに、キボタンは元気です。
今年は20輪ほど咲きました。

開花直前。

シロヤマブキ バラ科シロヤマブキ属
シロヤマブキは裏の日陰にあって剪定も水遣りもしたことがありませんが、気品のある花が毎年咲きます。
花が咲いてもまだ黒い種子が残っていて、離れたところに2世が2株開花しました。

アニソドンテア・ピンククイーン アオイ科アニソドンテア属
何度もブログに登場しましたが、今年は最も大株です。
大株になると突然立ち枯れしますから、挿し木をしておく必要があります。
サクラアオイと呼びたい色です。

アリウム トリクエトルム ミツカドネギ(三角葱)
ネギ科ネギ属 南欧地中海沿岸原産の帰化植物
友人から頂いて裏庭に植え、ほどほどに増えています。
しかし友人宅では猛烈に増えて退治に大わらわのようです。

俯いて咲く花を覗くように撮りました。

ブルンネラ ‘ジャックフロスト’
ムラサキ科ブルンネラ属
東ヨーロッパ・西アジア・西シベリア原産の園芸種。
葉も観葉植物のようで美しく、ワスレナグサのような花が咲きます。
日陰の庭で一時はわーっと増えましたが、今は一株が辛うじて花を見せてくれます。

ユキザサ 雪笹 キジカクシ科(←ユリ科)マイズルソウ属
端正な緑色の葉の間から花穂が伸びて清楚な白い花を咲かせます。
毎春見つけると歓声をあげたくなる花です。

チオノドクサ
和名 ユキゲユリ(雪解百合)キジカクシ科ツルボ属
クリスマスローズなどの陰になりそうな隙間からかわいい花を見せてくれます。
放ったらかしを詫び、来年は移植しようと思いながら花が終わると忘れてしまって申し訳なく思っています。

ヒトリシズカ センリョウ科チャラン属
2012年の記事に書いた時は11本でしたが、今年は20本ほどに増えています。
この花も本当に手間いらずです。

4月末、母が98歳の生涯を終えました。
花が好きでここに来ると真っ先に庭を一周する習いでした。
別れの日にはこの庭で撮った写真を飾りました。
この庭は17年前、歩けなくなっても自宅で花が見られるようにとの思いで造りました。
昨年ついに大手術を受け、幸いにも少しは歩けますが、しゃがめないので植え付け、草取り、花殻摘みはできません。
そのため庭は放りっぱなしでも咲く花がメインになりました。
今日はそういう花たちを並べます。
ダッチアイリス アポロ アヤメ科アヤメ属
朝の庭に突如予期せぬ花2輪、2年前に一度だけ咲いて消えてしまったかと思っていたアイリスです。
大きな花が誇らしげに朝日に輝いていました。
そういえば左の長く細い葉は去年もあったのです。
右下のピンクの花は大株になったリクニス フロスククリ。

コンロンソウ 崑崙草 アブラナ科タネツケバナ属
5年前いただいて日向に植えたら消え入りそうになり、日陰に移植しました。
今年はしっかり増えてもう安心です。

近くで見るとやはりタネツケバナに似ています。

キボタン ボタン科ボタン属
白やピンクのボタンが今年は花をつけなかったのに、キボタンは元気です。
今年は20輪ほど咲きました。

開花直前。

シロヤマブキ バラ科シロヤマブキ属
シロヤマブキは裏の日陰にあって剪定も水遣りもしたことがありませんが、気品のある花が毎年咲きます。
花が咲いてもまだ黒い種子が残っていて、離れたところに2世が2株開花しました。

アニソドンテア・ピンククイーン アオイ科アニソドンテア属
何度もブログに登場しましたが、今年は最も大株です。
大株になると突然立ち枯れしますから、挿し木をしておく必要があります。
サクラアオイと呼びたい色です。

アリウム トリクエトルム ミツカドネギ(三角葱)
ネギ科ネギ属 南欧地中海沿岸原産の帰化植物
友人から頂いて裏庭に植え、ほどほどに増えています。
しかし友人宅では猛烈に増えて退治に大わらわのようです。

俯いて咲く花を覗くように撮りました。

ブルンネラ ‘ジャックフロスト’
ムラサキ科ブルンネラ属
東ヨーロッパ・西アジア・西シベリア原産の園芸種。
葉も観葉植物のようで美しく、ワスレナグサのような花が咲きます。
日陰の庭で一時はわーっと増えましたが、今は一株が辛うじて花を見せてくれます。

ユキザサ 雪笹 キジカクシ科(←ユリ科)マイズルソウ属
端正な緑色の葉の間から花穂が伸びて清楚な白い花を咲かせます。
毎春見つけると歓声をあげたくなる花です。

チオノドクサ
和名 ユキゲユリ(雪解百合)キジカクシ科ツルボ属
クリスマスローズなどの陰になりそうな隙間からかわいい花を見せてくれます。
放ったらかしを詫び、来年は移植しようと思いながら花が終わると忘れてしまって申し訳なく思っています。

ヒトリシズカ センリョウ科チャラン属
2012年の記事に書いた時は11本でしたが、今年は20本ほどに増えています。
この花も本当に手間いらずです。

4月末、母が98歳の生涯を終えました。
花が好きでここに来ると真っ先に庭を一周する習いでした。
別れの日にはこの庭で撮った写真を飾りました。
2017-05-06 22:44
コメント(16)
木曽川堤の桜 (2) [庭の外]
木曽川堤の桜 (2)
木曽川堤の桜は先ずエドヒガンとシダレザクラが咲き、数日後にヤマザクラとソメイヨシノが続きます。
4月5日、早く咲いたエドヒガンはもう緑の若葉が目立っていました(左)。
エドヒガンは木によって開花がまちまちで、右はこの日まだ満開。

ヤマザクラ
日本のほぼ南部と朝鮮半島南部に分布する日本の野生のサクラの代表的な種。
奈良県吉野山の桜はほとんどこのヤマザクラだそうです。
4月5日、強い風が吹く中でヤマザクラは咲き始めていました(右)。
左はまだ咲き続けているエドヒガン。

ヤマザクラの大木。

えっ? ヤマザクラの枝垂れ?

よく見ると枝が折れてぶら下がっていました。

葉も花も一気に開いて重くなった枝が強風に煽られて折れたのでしょうか。

ヤマザクラの若芽は褐色を帯びることが多いのですが、黄緑色、緑色、褐色、紅紫色のこともあります。

白い花と褐色を帯びた葉との組み合わせには落ち着いた美しさがあります。

ソメイヨシノ
ソメイヨシノはエドヒガン系の桜とオオシマザクラの雑種の交配で生まれた園芸品種です。
現存する最古のソメイヨシノといわれるのは小石川植物園の樹齢140年の株。
この並木ではソメイヨシノは後から植えられた少数派です。
天然記念物認定後、災害などで枯れた所に補植されたものかと思います。

幹もエドヒガンに比べて細いようです。

エドヒガンと同じように、古い樹では花が密集して咲くので丸い房状に見えます。

4月10日、車も少なくなった堤でソメイヨシノはまだ満開。
エドヒガンやヤマザクラの若葉に引き立てられて輝いていました。

花の特徴
木曽川堤に植えられた4種について付記します。
1)エドヒガン
花の色は白から淡紅色。
萼筒の下半分が球状に膨らみます。

萼筒は全体として壺型になるのが特徴です。花柄に毛が多い。

2)シダレザクラ
シダレザクラはエドヒガンの枝が枝垂れた種ですから花はエドヒガンと同じです。

そのため花だけを見るとエドヒガンと区別できません。

花弁の色はエドヒガンより濃いものが多く、特に補植された若い樹では濃い目のピンクが目立ちます。

ヤマザクラ
ここの花の色は白が多いのですが、淡紅色、さらに濃い紅色までいろいろあるそうです。

萼筒は細長い筒型。

ソメイヨシノ
花はオオシマザクラに似てエドヒガンより大きく華やか。萼筒は筒型。

咲いたばかりの花は白色ですが、次第に花弁の基部や花糸が紅くなります。
今春はこの桜を見るのも44年目。今まではドライブスルーの桜でした。
今年初めて4種の桜を比較しながら眺めることができました。
この年にしてやっとサクラ入門、葉や幹についてはまだ宿題です。
木曽川堤の桜は先ずエドヒガンとシダレザクラが咲き、数日後にヤマザクラとソメイヨシノが続きます。
4月5日、早く咲いたエドヒガンはもう緑の若葉が目立っていました(左)。
エドヒガンは木によって開花がまちまちで、右はこの日まだ満開。

ヤマザクラ
日本のほぼ南部と朝鮮半島南部に分布する日本の野生のサクラの代表的な種。
奈良県吉野山の桜はほとんどこのヤマザクラだそうです。
4月5日、強い風が吹く中でヤマザクラは咲き始めていました(右)。
左はまだ咲き続けているエドヒガン。

ヤマザクラの大木。

えっ? ヤマザクラの枝垂れ?

よく見ると枝が折れてぶら下がっていました。

葉も花も一気に開いて重くなった枝が強風に煽られて折れたのでしょうか。

ヤマザクラの若芽は褐色を帯びることが多いのですが、黄緑色、緑色、褐色、紅紫色のこともあります。

白い花と褐色を帯びた葉との組み合わせには落ち着いた美しさがあります。

ソメイヨシノ
ソメイヨシノはエドヒガン系の桜とオオシマザクラの雑種の交配で生まれた園芸品種です。
現存する最古のソメイヨシノといわれるのは小石川植物園の樹齢140年の株。
この並木ではソメイヨシノは後から植えられた少数派です。
天然記念物認定後、災害などで枯れた所に補植されたものかと思います。

幹もエドヒガンに比べて細いようです。

エドヒガンと同じように、古い樹では花が密集して咲くので丸い房状に見えます。

4月10日、車も少なくなった堤でソメイヨシノはまだ満開。
エドヒガンやヤマザクラの若葉に引き立てられて輝いていました。

花の特徴
木曽川堤に植えられた4種について付記します。
1)エドヒガン
花の色は白から淡紅色。
萼筒の下半分が球状に膨らみます。

萼筒は全体として壺型になるのが特徴です。花柄に毛が多い。

2)シダレザクラ
シダレザクラはエドヒガンの枝が枝垂れた種ですから花はエドヒガンと同じです。

そのため花だけを見るとエドヒガンと区別できません。

花弁の色はエドヒガンより濃いものが多く、特に補植された若い樹では濃い目のピンクが目立ちます。

ヤマザクラ
ここの花の色は白が多いのですが、淡紅色、さらに濃い紅色までいろいろあるそうです。

萼筒は細長い筒型。

ソメイヨシノ
花はオオシマザクラに似てエドヒガンより大きく華やか。萼筒は筒型。

咲いたばかりの花は白色ですが、次第に花弁の基部や花糸が紅くなります。

今春はこの桜を見るのも44年目。今まではドライブスルーの桜でした。
今年初めて4種の桜を比較しながら眺めることができました。
この年にしてやっとサクラ入門、葉や幹についてはまだ宿題です。
2017-04-20 07:39
コメント(14)
木曽川堤の桜 (1) [庭の外]
「木曽川堤の桜(1)」
近くの138タワーに接して桜の名所「木曽川堤の桜」があります。
1885年(明治18年)一宮市北方町から江南市草井までの堤防約8kmに植えられた桜の並木です。
(画像は全て画面をクリックすると大きくなります。)

この堤防は江戸時代に犬山市から弥富市にいたる木曽川左岸の全長47kmに造られ「御囲堤」と呼ばれましたが、前年の洪水により一部が崩落。
再建に際し、愛知県知事間田稔の創意に基づき堤の両側に桜の苗木が植えられました。
植樹されたのはヒガンザクラ・シダレザクラ・ヤマザクラの3種。

42年後の1927年(昭和2年)これらの桜は「木曽川堤の桜」として国の名勝および天然記念物に二重指定されました。
樹齢40年を超える桜 1871本が堤の両側にそびえ、花のトンネルを成したそうですから、壮観極まりなかったことでしょう。ソメイヨシノを含まないことも評価されたようです。
その後、大地震、戦争、台風、病虫害などによりサクラの本数は400本あまりまで減少し、100本ほどが追加植樹されました。
この中には少数のソメイヨシノが混じっていたようです。
さらに2001年一宮市が挿し木で増やした「二世サクラ」を追加、今年は合計750本ほどが見事な競演を披露しました。
樹齢130年余の古木が多いのは138タワーの東と西それぞれ約2km。
この区間の堤の道路は一方通行、桜のアーチの下を車で通り抜けることができます。

満開の頃には路肩に駐車する車の列ができ、通り抜けは徐行運転です。

昭和2年指定当時は藁葺きの花見小屋が並び、夜にはぼんぼりがともって、一宮駅から行列ができたそうです(きそがわ かわなみ通信 Vol.4 2001)。

左の濃いピンクは2世のシダレザクラ。右は古木のエドヒガンです。
その後にも淡いピンクのシダレザクラが重なります。

常緑樹があると白色が引き立ちます。

エドヒガン
高木になったエドヒガンの大株。
エドヒガンはサクラの中で最も寿命が長く、樹齢1000年以上の樹も各地にあります (根尾谷の淡墨桜の桜は樹齢1500年)。
花の色は白色から淡紅色までいろいろ。

これもエドヒガン。
小さいブーケのような花の塊がいっぱい。

大木の根元近くから出た細い枝にも花がついています。

これで1株でしょうか。

苔むした幹に「334 エドヒガン」の名札。
名札は紐が切れて落ちてしまった木が多いようです。

幹が割れて副え木で支えられながら開花する老木。

シダレザクラ
エドヒガンの枝が枝垂れたものをシダレザクラ(イトザクラ)といいます。
花の色はエドヒガンと同じはずですが、やや濃いものが多いようです。

やはり古木の中には枯死寸前のものもあります。

低く垂れた花が艶やかです。

包帯を巻かれた痛々しい樹。
「336 シダレザクラ」の札が付いています。

ヤマザクラ
エドヒガンより遅れて葉と花が同時に開くのが特徴。
花の色は白または淡紅色からかなり濃い紅色まで様々。
まだ開花直前という状態でした。

ヤマザクラの幹
痛々しい幹に「290 ヤマサクラ」の札。

2世が大きくなって138mのタワーもだんだん見えなくなりそうです。

毎年「木曽川堤の桜」のトンネルをドライブスルーするのが春の楽しみです。
今年初めに訪れたのは4月3日、校庭のソメイヨシノは2〜3分咲きでしたが木曽川堤のエドヒガンやシダレザクラは満開、今年は色が濃い目で、ここ数年で一番美しかったように思いました。
2001年に植えられた2世たちが頼もしい若木になって、老木の間隙を埋めていました。
ヤマザクラは未開、ソメイヨシノは咲き始めですから、満開の桜はエドヒガンとシダレザクラのみ。鑑別に悩むことがなく気楽です。
画像の枚数が多くなりましたので、花の特徴などは次回に。
近くの138タワーに接して桜の名所「木曽川堤の桜」があります。
1885年(明治18年)一宮市北方町から江南市草井までの堤防約8kmに植えられた桜の並木です。
(画像は全て画面をクリックすると大きくなります。)

この堤防は江戸時代に犬山市から弥富市にいたる木曽川左岸の全長47kmに造られ「御囲堤」と呼ばれましたが、前年の洪水により一部が崩落。
再建に際し、愛知県知事間田稔の創意に基づき堤の両側に桜の苗木が植えられました。
植樹されたのはヒガンザクラ・シダレザクラ・ヤマザクラの3種。

42年後の1927年(昭和2年)これらの桜は「木曽川堤の桜」として国の名勝および天然記念物に二重指定されました。
樹齢40年を超える桜 1871本が堤の両側にそびえ、花のトンネルを成したそうですから、壮観極まりなかったことでしょう。ソメイヨシノを含まないことも評価されたようです。
その後、大地震、戦争、台風、病虫害などによりサクラの本数は400本あまりまで減少し、100本ほどが追加植樹されました。
この中には少数のソメイヨシノが混じっていたようです。
さらに2001年一宮市が挿し木で増やした「二世サクラ」を追加、今年は合計750本ほどが見事な競演を披露しました。
樹齢130年余の古木が多いのは138タワーの東と西それぞれ約2km。
この区間の堤の道路は一方通行、桜のアーチの下を車で通り抜けることができます。

満開の頃には路肩に駐車する車の列ができ、通り抜けは徐行運転です。

昭和2年指定当時は藁葺きの花見小屋が並び、夜にはぼんぼりがともって、一宮駅から行列ができたそうです(きそがわ かわなみ通信 Vol.4 2001)。

左の濃いピンクは2世のシダレザクラ。右は古木のエドヒガンです。
その後にも淡いピンクのシダレザクラが重なります。

常緑樹があると白色が引き立ちます。

エドヒガン
高木になったエドヒガンの大株。
エドヒガンはサクラの中で最も寿命が長く、樹齢1000年以上の樹も各地にあります (根尾谷の淡墨桜の桜は樹齢1500年)。
花の色は白色から淡紅色までいろいろ。

これもエドヒガン。
小さいブーケのような花の塊がいっぱい。

大木の根元近くから出た細い枝にも花がついています。

これで1株でしょうか。

苔むした幹に「334 エドヒガン」の名札。
名札は紐が切れて落ちてしまった木が多いようです。

幹が割れて副え木で支えられながら開花する老木。

シダレザクラ
エドヒガンの枝が枝垂れたものをシダレザクラ(イトザクラ)といいます。
花の色はエドヒガンと同じはずですが、やや濃いものが多いようです。

やはり古木の中には枯死寸前のものもあります。

低く垂れた花が艶やかです。

包帯を巻かれた痛々しい樹。
「336 シダレザクラ」の札が付いています。

ヤマザクラ
エドヒガンより遅れて葉と花が同時に開くのが特徴。
花の色は白または淡紅色からかなり濃い紅色まで様々。
まだ開花直前という状態でした。

ヤマザクラの幹
痛々しい幹に「290 ヤマサクラ」の札。

2世が大きくなって138mのタワーもだんだん見えなくなりそうです。

毎年「木曽川堤の桜」のトンネルをドライブスルーするのが春の楽しみです。
今年初めに訪れたのは4月3日、校庭のソメイヨシノは2〜3分咲きでしたが木曽川堤のエドヒガンやシダレザクラは満開、今年は色が濃い目で、ここ数年で一番美しかったように思いました。
2001年に植えられた2世たちが頼もしい若木になって、老木の間隙を埋めていました。
ヤマザクラは未開、ソメイヨシノは咲き始めですから、満開の桜はエドヒガンとシダレザクラのみ。鑑別に悩むことがなく気楽です。
画像の枚数が多くなりましたので、花の特徴などは次回に。
2017-04-08 21:19
コメント(16)
クリスマスローズの庭 2017 [草花(春)]
クリスマスローズの庭2017
今年もクリスマスローズが満開になりました。ここは日向の庭です。
冬の間の寂しさを補うため、毎年11月ビオラを少々植え込みます。
ビオラの色はクリスマスローズが咲いたとき目立ち過ぎないものを選びます。
でもパンジーやビオラは春になると急成長し、色も派手になる傾向がありますね。

共に楽しむためにここではクリスマスローズの花の色と近いビオラを選びます。

西の庭は雑草がはびこり苦労しましたが、クリスマスローズが増えてグランドカバーの役目をになってくれました。

奥の方は2世、3世。

プロペラの下の「スノーホワイト」は昨年よりさらに大株に。

細い枯れ枝はシモバシラの花軸、もっと早く切るべきでした。
オリエンタリスの緑色系。

サンシュユの根元のクリスマスローズが最も大株、100花以上咲いています。

この場所のクリスマスローズはどれも純白の2世達。

桜の樹の下には10年ほど前初めて購入した白色の八重。

セアノサスの根元の八重も大株です。
この花粉が運ばれたらしく、あちこちで八重の2世誕生。

太い茎が頼もしげな黄色の八重。
最近はメリクロン(茎頂培養)により八重の品種も入手しやすくなりました。

どれも増えすぎるほど順調かと思われそうですが、そうはいきません。
この庭で最も高価な品種「ピコティダブルホワイト」。
2008年購入時すでに花期は終盤でしたが、濃い緑色の葉も美しい気品ある花でした。

花後庭に植えたところ、年々草丈も小さくなり、花数も減少するためまた植木鉢に移植。
しかしさらに縮小し昨年は花も咲かなくなってしまいました。
昨春堆肥を入れた花壇に戻したところ、今年は小さいながらも10輪ほど開花。

花をもたげると、花被片(花弁に見えるのは萼片)が細く縁取られてやはり美しい花です。

ただし、うちでは落葉樹であるハナミズキの下ではうまく育ちません。
ニホンズイセンやビオラと比べ小さく貧弱なクリスマスローズ。

この株は葉ばかりで花がありません。
10本のハナミズキの並木に植えたクリスマスローズはどれも生育不良です。
ここは埋立地なので下の土が悪いのかもしれません。

クリスマスローズは落葉樹の下に植えると良いと言われます。
しかし、常緑のツバキやカイヅカイブキの下でも大丈夫です。

腰痛のためしゃがめなくなったとき、この庭の広さは苦痛になりました。
それを救ってくれたのはクリスマスローズ。
2世を増やしつつ、大きな常緑の葉で庭を覆い、雑草を防いでくれました。
日向の夏の暑さにも、霜柱のできる寒さにも耐え、毎年開花。
今年もまた花がみすぼらしくなるまで楽しみます。
今年もクリスマスローズが満開になりました。ここは日向の庭です。
冬の間の寂しさを補うため、毎年11月ビオラを少々植え込みます。
ビオラの色はクリスマスローズが咲いたとき目立ち過ぎないものを選びます。
でもパンジーやビオラは春になると急成長し、色も派手になる傾向がありますね。

共に楽しむためにここではクリスマスローズの花の色と近いビオラを選びます。

西の庭は雑草がはびこり苦労しましたが、クリスマスローズが増えてグランドカバーの役目をになってくれました。

奥の方は2世、3世。

プロペラの下の「スノーホワイト」は昨年よりさらに大株に。

細い枯れ枝はシモバシラの花軸、もっと早く切るべきでした。
オリエンタリスの緑色系。

サンシュユの根元のクリスマスローズが最も大株、100花以上咲いています。

この場所のクリスマスローズはどれも純白の2世達。

桜の樹の下には10年ほど前初めて購入した白色の八重。

セアノサスの根元の八重も大株です。
この花粉が運ばれたらしく、あちこちで八重の2世誕生。

太い茎が頼もしげな黄色の八重。
最近はメリクロン(茎頂培養)により八重の品種も入手しやすくなりました。

どれも増えすぎるほど順調かと思われそうですが、そうはいきません。
この庭で最も高価な品種「ピコティダブルホワイト」。
2008年購入時すでに花期は終盤でしたが、濃い緑色の葉も美しい気品ある花でした。

花後庭に植えたところ、年々草丈も小さくなり、花数も減少するためまた植木鉢に移植。
しかしさらに縮小し昨年は花も咲かなくなってしまいました。
昨春堆肥を入れた花壇に戻したところ、今年は小さいながらも10輪ほど開花。

花をもたげると、花被片(花弁に見えるのは萼片)が細く縁取られてやはり美しい花です。

ただし、うちでは落葉樹であるハナミズキの下ではうまく育ちません。
ニホンズイセンやビオラと比べ小さく貧弱なクリスマスローズ。

この株は葉ばかりで花がありません。
10本のハナミズキの並木に植えたクリスマスローズはどれも生育不良です。
ここは埋立地なので下の土が悪いのかもしれません。

クリスマスローズは落葉樹の下に植えると良いと言われます。
しかし、常緑のツバキやカイヅカイブキの下でも大丈夫です。

腰痛のためしゃがめなくなったとき、この庭の広さは苦痛になりました。
それを救ってくれたのはクリスマスローズ。
2世を増やしつつ、大きな常緑の葉で庭を覆い、雑草を防いでくれました。
日向の夏の暑さにも、霜柱のできる寒さにも耐え、毎年開花。
今年もまた花がみすぼらしくなるまで楽しみます。
2017-03-29 23:48
コメント(18)