ダンドク [草花(夏秋)]
ダンドク
カンナ科 ダンドク属(カンナ属)
学名 Canna indica L.
漢名 曇華・檀特
熱帯アメリカ原産の多年生草本。草丈1〜2m。
広く世界の熱帯から温帯で栽培され、一部は野生化。
日本には江戸時代初期に渡来、沖縄その他に帰化(沖縄方言では マーランバショウ)。
5月に淡路の703さんからいただいたダンドクです。
http://kochira703.exblog.jp/15180260/
鮮やかな緑色の葉の中央にすっきりした蕾がひとつ見えます。
これは小笠原諸島に残存していたダンドクの子孫という稀少な1株です。
初めて咲いた花。
鮮やかな朱赤色と黄色の組み合わせが絶妙です。
花の大きさは約5cm。
カンナのイメージからはほど遠く、こじんまりとおとなしい印象です。
ダンドクを検索すると赤、橙、黄色の3色がありました(アカバナダンドク・キバナダンドク)。
でもこの花のように上部3弁は朱赤色、下弁に黄色の模様が入った花は見つかりません。
原種には模様がないようですから、これは初期に作られた園芸品種でしょうか?
ちなみに牧野植物園(高知県)では橙色の花が植えられ「オランダダンドク Canna Patens」と表示されています。
しかし、オランダダンドクという語はダンドクのみならずカンナの別名ともされ混乱しているようです。
花は5月に1花、7月1花、9月4花、10月2花と1花づつぽつりぽつりと咲きました。
1枝に1〜3花、花の命は3日くらいです。
側面はさらにほっそり。
白いのは雌しべ?雄しべ?
今までの画像からは花の構造が不明瞭でした。
そこでカンナの花の構造をしらべたところ、かなり特殊性がありました。
ダンドクも同じ仕組みでしょう。
驚いたことにまず、この紅い花弁に見えるところは雄しべが変化したものでした。
外側の黄色い尖った部分が花弁です。
最後に咲いたこの花の画像が最も判り易いものでした。
花弁状の紅い3枚とまだら模様のある2枚は変形した雄しべ(計5本)。
真ん中から左に伸びた白い細い棒状に見える1本が花粉を出す雄しべ。
雄しべは6本のうち5本は機能を失って花弁化したのです。
そして右側の白い花粉を付けたへら状のものが雌しべでした。
本来の花弁は右下の黄色く尖った部分で3枚あります。
(画面をクリックして大きい画像でごらん下さい。)
ポット苗が5か月でこんなに成長しました。
全部で花軸8本。一番高いものは130cm。
子房が膨らんでイガイガの青い果実になります。
天辺に3枚の萼をつけたまま大きくふくらんでいます。
熟した蒴果は長さ約3cm。
完熟すると開いて弾丸のような黒い種子が並んでいるのが見えました。
英名Indian shot は種子に由来。
2つ目の果実。
ダンドクは耐寒性がないようです。
この苗は淡路の703さんが種子から育てられたものです。
http://kochira703.exblog.jp/15210544/
カンナの種子は長期保存が出来るようですから私も試してみます。
花の構造についてはカンナの花の観察から理解できるようになりました。
これについては次回の記事にしたいと思います。
カンナ科 ダンドク属(カンナ属)
学名 Canna indica L.
漢名 曇華・檀特
熱帯アメリカ原産の多年生草本。草丈1〜2m。
広く世界の熱帯から温帯で栽培され、一部は野生化。
日本には江戸時代初期に渡来、沖縄その他に帰化(沖縄方言では マーランバショウ)。
5月に淡路の703さんからいただいたダンドクです。
http://kochira703.exblog.jp/15180260/
鮮やかな緑色の葉の中央にすっきりした蕾がひとつ見えます。
これは小笠原諸島に残存していたダンドクの子孫という稀少な1株です。
初めて咲いた花。
鮮やかな朱赤色と黄色の組み合わせが絶妙です。
花の大きさは約5cm。
カンナのイメージからはほど遠く、こじんまりとおとなしい印象です。
ダンドクを検索すると赤、橙、黄色の3色がありました(アカバナダンドク・キバナダンドク)。
でもこの花のように上部3弁は朱赤色、下弁に黄色の模様が入った花は見つかりません。
原種には模様がないようですから、これは初期に作られた園芸品種でしょうか?
ちなみに牧野植物園(高知県)では橙色の花が植えられ「オランダダンドク Canna Patens」と表示されています。
しかし、オランダダンドクという語はダンドクのみならずカンナの別名ともされ混乱しているようです。
花は5月に1花、7月1花、9月4花、10月2花と1花づつぽつりぽつりと咲きました。
1枝に1〜3花、花の命は3日くらいです。
側面はさらにほっそり。
白いのは雌しべ?雄しべ?
今までの画像からは花の構造が不明瞭でした。
そこでカンナの花の構造をしらべたところ、かなり特殊性がありました。
ダンドクも同じ仕組みでしょう。
驚いたことにまず、この紅い花弁に見えるところは雄しべが変化したものでした。
外側の黄色い尖った部分が花弁です。
最後に咲いたこの花の画像が最も判り易いものでした。
花弁状の紅い3枚とまだら模様のある2枚は変形した雄しべ(計5本)。
真ん中から左に伸びた白い細い棒状に見える1本が花粉を出す雄しべ。
雄しべは6本のうち5本は機能を失って花弁化したのです。
そして右側の白い花粉を付けたへら状のものが雌しべでした。
本来の花弁は右下の黄色く尖った部分で3枚あります。
(画面をクリックして大きい画像でごらん下さい。)
ポット苗が5か月でこんなに成長しました。
全部で花軸8本。一番高いものは130cm。
子房が膨らんでイガイガの青い果実になります。
天辺に3枚の萼をつけたまま大きくふくらんでいます。
熟した蒴果は長さ約3cm。
完熟すると開いて弾丸のような黒い種子が並んでいるのが見えました。
英名Indian shot は種子に由来。
2つ目の果実。
ダンドクは耐寒性がないようです。
この苗は淡路の703さんが種子から育てられたものです。
http://kochira703.exblog.jp/15210544/
カンナの種子は長期保存が出来るようですから私も試してみます。
花の構造についてはカンナの花の観察から理解できるようになりました。
これについては次回の記事にしたいと思います。
2012-10-14 23:39
コメント(21)
ジュズサンゴ [草花(夏秋)]
ジュズサンゴ(数珠珊瑚)
学名:Rivina humilis L.
ヤマゴボウ科の常緑多年草(小低木)
熱帯アメリカ原産、日本では明治後期に小笠原に帰化し野生化。
草丈:30〜100cm
昨年、園芸店で初対面、野草的な雰囲気に惹かれましたが、寒さに弱いという説明でしたから1株だけ購入、朝日が当たる軒下に植えました。
しかし、思いのほか発育良好で大きな株になりました。
そして今春、枯れたと思った株元から新たに芽が出てさらに大きく繁りました。
愛知県北部のこの庭では昨冬最低気温−5℃になった日があり、雪も2度降りましたが軒下は暖かかったのでしょうか。
小枝が多数分岐し、対生の葉の葉腋から出た総状花序に白い小さな花が咲きます。
間もなく緑色の果実ができ、熟して紅く輝きます。
ジュズサンゴは夏から秋にかけて長い間、花と実が同時に見られるのが特徴です。
1枝切って1輪差しに活けても風情があります。
微風に揺れる花はなかなかピントが合いません。
花の直径は約5mm、花弁のように見えるのは萼で4枚。
4枚の萼の間から雄しべが4本、雌しべは1つ。
花は白色ですがやや淡桃色を帯びたものもあります。
花を拡大すると雄しべの花粉、子房から突出する柱頭が確認できました。
雌しべの子房は1心皮からなり、柱頭も1本です
受精を終えると萼や子房は緑色になります。まだ葯が残っていますね。
緑色の蕾のように見えますが、これらは果実で種子が形成されつつあります。
果実は緑色から白色に、さらにピンクに染まっていきます。
珊瑚にもこんな色のものがありますね。
果肉がつくと果実は直径4〜5mmになります。
この房は珍しく、下の実はまだ緑色ですが、上は赤、ピンクの実が1個だけあります。
紅い果実の萼は反り返って完熟、落下の準備完了です。
幼い頃のホオズキ遊びを思い出します。
果実の数もまちまち、20個以上のこともあります。
よく見ると果実の天辺には柱頭の後がぽつんと残っています。
7月29日。
親株から2m程離れた所からは、こぼれ種から発芽したと思われる新株が育ち、花が咲き始めました。
庇の下で乾燥気味な場所ですが元気に育っています。
9月6日。既に高さ60cmになり、花穂がいっぱいです。赤い実も数房ありますね。
9月26日、最盛期。(画面をクリックして見て下さい。)
果実をひらいてみますと、黒っぽい円盤状の種子が出てきました。
周りの果肉は熟した柿のように柔らかく、紙に圧すと黄橙色に染まりました(右上)。
左下の緑色の果実からも黒い種子がごろんと出てきてびっくり。
この紅いおいしそうな実、鳥が食べに来ている様子も無く、アリが運んでいくのも見たことがありません。
購入時のラベルには「*注意 食べられません!」と書かれています。
毒性があるのでしょうか? しかし試食体験記事はみつかりません。
検索中、「ジュズサンゴの果肉の色素にはベタレイン系色素が含まれ、ワインや菓子などの食品の着色、織物の染色に利用されている」と明記されている文献を見つけました。
それではやはり試食です。
5粒舌に載せて圧しました。
ほのかに甘いかなと思われるくらいで、刺激も香りもありません。
口を漱ぐと水がオレンジ色!!!
黄色やピンクの実ができる園芸品種もあるそうですが、まだ見たことはありません。
学名:Rivina humilis L.
ヤマゴボウ科の常緑多年草(小低木)
熱帯アメリカ原産、日本では明治後期に小笠原に帰化し野生化。
草丈:30〜100cm
昨年、園芸店で初対面、野草的な雰囲気に惹かれましたが、寒さに弱いという説明でしたから1株だけ購入、朝日が当たる軒下に植えました。
しかし、思いのほか発育良好で大きな株になりました。
そして今春、枯れたと思った株元から新たに芽が出てさらに大きく繁りました。
愛知県北部のこの庭では昨冬最低気温−5℃になった日があり、雪も2度降りましたが軒下は暖かかったのでしょうか。
小枝が多数分岐し、対生の葉の葉腋から出た総状花序に白い小さな花が咲きます。
間もなく緑色の果実ができ、熟して紅く輝きます。
ジュズサンゴは夏から秋にかけて長い間、花と実が同時に見られるのが特徴です。
1枝切って1輪差しに活けても風情があります。
微風に揺れる花はなかなかピントが合いません。
花の直径は約5mm、花弁のように見えるのは萼で4枚。
4枚の萼の間から雄しべが4本、雌しべは1つ。
花は白色ですがやや淡桃色を帯びたものもあります。
花を拡大すると雄しべの花粉、子房から突出する柱頭が確認できました。
雌しべの子房は1心皮からなり、柱頭も1本です
受精を終えると萼や子房は緑色になります。まだ葯が残っていますね。
緑色の蕾のように見えますが、これらは果実で種子が形成されつつあります。
果実は緑色から白色に、さらにピンクに染まっていきます。
珊瑚にもこんな色のものがありますね。
果肉がつくと果実は直径4〜5mmになります。
この房は珍しく、下の実はまだ緑色ですが、上は赤、ピンクの実が1個だけあります。
紅い果実の萼は反り返って完熟、落下の準備完了です。
幼い頃のホオズキ遊びを思い出します。
果実の数もまちまち、20個以上のこともあります。
よく見ると果実の天辺には柱頭の後がぽつんと残っています。
7月29日。
親株から2m程離れた所からは、こぼれ種から発芽したと思われる新株が育ち、花が咲き始めました。
庇の下で乾燥気味な場所ですが元気に育っています。
9月6日。既に高さ60cmになり、花穂がいっぱいです。赤い実も数房ありますね。
9月26日、最盛期。(画面をクリックして見て下さい。)
果実をひらいてみますと、黒っぽい円盤状の種子が出てきました。
周りの果肉は熟した柿のように柔らかく、紙に圧すと黄橙色に染まりました(右上)。
左下の緑色の果実からも黒い種子がごろんと出てきてびっくり。
この紅いおいしそうな実、鳥が食べに来ている様子も無く、アリが運んでいくのも見たことがありません。
購入時のラベルには「*注意 食べられません!」と書かれています。
毒性があるのでしょうか? しかし試食体験記事はみつかりません。
検索中、「ジュズサンゴの果肉の色素にはベタレイン系色素が含まれ、ワインや菓子などの食品の着色、織物の染色に利用されている」と明記されている文献を見つけました。
それではやはり試食です。
5粒舌に載せて圧しました。
ほのかに甘いかなと思われるくらいで、刺激も香りもありません。
口を漱ぐと水がオレンジ色!!!
黄色やピンクの実ができる園芸品種もあるそうですが、まだ見たことはありません。
2012-09-30 11:08
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