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ドウダンツツジの果実 [花木(冬)]

この果実は何でしょう?
12月15日撮影、長径約8mm、ラグビーボール状です。
(写真は全て画面をクリックすると大きくなります。)
ドウダン果実2wb2.jpg

その1月前の画像です。
この紅葉、そうです。ドウダンツツジです。

ドウダン実4wb.jpg

4月下旬のドウダンツツジの花。
長さ7〜8mmの白い壷状の花が多数下垂しています。
ドウダンツツジ1wb.jpg

ドウダンツツジ 
 ツツジ科 ドウダンツツジ属 落葉低木
 学名 Enkianthus perulatus
 和名 灯台躑躅、 満天星

「満天星」と言われるように満天の星に見えるでしょうか。
ドウダン09-全wb.jpg

11〜12月、葉は真っ赤に紅葉します。
その葉に近づくと、すでに果実が出来ていました。
ドウダン実2wb.jpg

ところが果実は上を向いています。
花は軽やかに下垂してましたのに。
ドウダン紅葉実2wb2.jpg

壷型で下垂した小さな花には昆虫も入りにくいかと思っていましたが、果実がこれまた満天星のようにたくさん出来ています。
ドウダン実4wb1.jpg

この化石のようなものは前年の果実と思われます。
5裂した果実の1片はすでに落ちたのでしょう。
ドウダン実3wb2.jpg

12月27日、初雪の後。果実は5つに割れて少し開いていました。
さらに乾燥して開き、褐色の花のようになるのでしょう。
赤い冬芽も1枚目の画像のより少し膨らんでいます。
ドウダン実割れwb.jpg

この庭で紅葉が一番美しいのはこのドウダンツツジです。
でも今まで、紅い葉の間からのぞいている果実には気付きませんでした。
今年初めていつのまにか頭をもたげて上を向いている果実を発見したのです。
その途中の像や、さらに弾けた果実も撮れたら追加したいと思います。

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12月は年賀状もあってブログの更新が遅れました。
明日からはまた忙しくなりますので、これが今年最後になると思います。

このようなブログをご覧いただいてありがとうございました。
さらにコメントをお寄せいただいた方々には厚く御礼申し上げます。
忘れ得ぬこの年もあと僅かです。
どうぞよいお年をお迎え下さい。

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サネカズラの粘液は整髪料? [花木(冬)]

先週、サネカズラの果実について記事にしました。今回はその続編です。

サネカズラはビナンカズラ(美男葛)とかビンツケカズラ・トロロカズラともいわれ、鬢付け油の代用として整髪料に使われたそうです。
どのように用いられたのでしょうか。
ネット検索では、利用部位は枝、蔓、実、葉などそれぞれ、また利用方法も、つぶす、皮を剥ぐ、煮る、揉むなど多様で具体的にどうするのかはよくわかりません。

サネカズラの試食後、この果実の薄い果皮を剝いでみました。
果皮の下は淡いピンクのゼリー様物質で、真ん中の白っぽい種子を包んでいました。


サネカズラ果実と種子2wb.jpg

ゼリー様物質には粘着性があるかどうか試してみます。
人の髪の代わりにさばいた小筆を用いました。

筆1wb.jpg

1個分のゼリーを付けながら毛先を整えました。

筆2wb.jpg

毛先は容易にきれいにまとまり、乾いても、翌日になってもこの状態を保ちました。
匂いもありません。その後水洗すればさらりと流れ、これなら鬢付け油の代用になりうると思いました。しかし小さな果実の果皮や種子を除くのは面倒です。

そこで長く伸びた蔓を1本切って、枝から出る粘液を確かめることにしました。

サネカズラ蔓wb.jpg

同時に花床と葉も比較確認してみます。
左から花床、若枝、葉。

花床は半分に切りました。ネバネバ感はなく、水の中でこすっても粘性は出じません。
若枝は1cmくらいに切って水に浸しました。そのままではかすかな粘性を感じるほどでしたが、親指と人差し指で揉むうちにとろとろになってきました。
葉はちぎって水に浸しました。これも指で揉むと多少粘り気が出てきました。

サネカズラ粘液試1wb.jpg

やはり、ヘアージェルとしては枝が有用です。葉や液果も補助的には使えそうです。

サネカズラ粘液試2wb.jpg

枝片と粘液を掬って垂らしてみたところです。水飴のようですね。
これで筆先を整えると、果実のゼリー状物質をつけた時と同じようになりました。

サネカズラ粘液wb.jpg

若い枝を斜めに切った断面。
サネカズラ枝断面wb.jpg

枝の処理方法を変えてみました。
左は上記のぶつ切りのまま。
新たに、すりまぜ(ぶつぎりをすり鉢ですりまぜたもの)、樹皮を除去したもの、その樹皮のみの3様を用意し、それぞれ水を加えました。
いずれも指で揉むとよりネバネバになりました。
敢えてすり混ぜる必要はなさそうです。
一方、樹皮を除去したものは淡黄緑色のきれいな液になりました。
当初、樹皮には粘液が無いのではと思っていたのですが、樹皮のみでも少ないながら粘性が認められました。樹皮内層には若干の形成層が付着しているためでしょう。

サネカズラ粘液4Lwb.jpg

検索すると「茎を煮沸して用いる」と書かれたものもありました。そこで新たにつるをぶつ切りにし煮沸してみました。オクラやヤマイモのように煮沸するとたちまちネバネバになるのとは異なり、僅かに粘性が出ただけでした。これを広口瓶に入れ、撹拌すると「ぶつ切り」と同じく液は淡褐色に濁り、粘性が出てきました。煮沸はむしろ滅菌保存のために有用だったのでないかと考えました。
樹皮を剥いでから煮沸保存すれば、さらにきれいなヘアージェルになるでしょう。

美男カズラといっても、男性のみならず女性も頭髪養毛料や整髪用として、あるいは薄めて洗髪用にも用いていたようです。リンスの効果があるのでしょう。
この他、絹の糊づけとし光沢を出させたり、製紙にも使われたという記載もありました。
この粘性物質はキシログルクロニド( xyloglucuronide )だそうです。
昔の人々の生活の知恵は誠に深遠ですね。


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サネカズラの果実 [花木(冬)]

サネカズラ(実葛)
 マツブサ科 サネカズラ属 Kadsura japonica
 
 別名:ビナンカズラ(美男葛)常緑つる性木本

晩秋から初冬にかけての花の少ない頃、サネカズラの果実の紅が目立ちます。

サネカズラ1wb.jpg

数年前、低い垣根に常緑のサネカズラを選んで植えました。
程よく葉が茂って、赤い果実も楽しめるようになった頃の写真です。
今では葉が多くなりすぎて、むしろ果実は隠れ気味です。

サネカズラ垣根wb.jpg

夏に花が咲いたあと花床が丸く膨らみ、その上にたくさんの子房が球状の液果になって集合果を形成します。
右は若い果実、左は個々の子房が膨らんでできた若い集合果です。

サネカズラ実090903wb.jpg

液果は直径6〜9mm、1つの花床に数個から30個ほどついて、集合果の直径は2〜3.5cmになります。
熟すにつれ、色は緑色から淡紅色、赤色、真紅へ変っていきます。

サネカズラ10実wb.jpg

熟した液果は次第にぽろぽろと落ちて、左のように萎びたイチゴのような花床だけが残ります。
イチゴとよく似た構造ですが、イチゴは花床の周りに果肉に包まれない種子(痩果)を付けています。

サネカズラ新旧wb.jpg

12月になると花床だけのものや、1〜2個の液果が残っているものが多くなります。

サネカズラ10wb.jpg

真っ赤に熟した果実、次は味見です。
別名の美男カズラの謂れは、鬢付け油の代わりに整髪に用いられたからだそうです。
果実も油っぽいのでしょうか?
毒性の報告は見当たりませんが、鳥が食べに来ているのを見たことはありません。

思いきって大きな真っ赤な液果を1つ、かじってみました。
意外にもほのかな酸味と甘味があっただけで、油っぽさはなさそうです。
安心して丸ごと口に含みました。
殆ど味はありません。あとで僅かに松か杉のような香りがしました。
やはり飲み込む気にはなれなくて、うがいしました。
中からは褐色腎臓型の堅い種子が1個づつ出てきました(6個試食)。
(追記:後日見た友人宅の果実では種子は2〜3個づつ入っていました。)

種子wb.jpg

次に花床の試食です。
イチゴはこの花床がおいしのですが、サネカズラではどうでしょう。
半分に割ると中は思ったより堅く真っ白です(上の画像右二つ)。
かじりましたが、味も素っ気もないかたまりでした。

鳥が食べに来ないのは、葉が多くて食べにくいからでしょうか?
昨年味見したセンリョウ、マンリョウよりサネカズラの方が中身が多いのに、鳥には美味しくないのかもしれませんね。

でもこの果実を細かくして乾燥させたものは南五味子(なんごみし)といい、生薬として滋養・強壮・鎮咳剤に用いられるそうです。

(後半一部、追記しました。2010.12. 6.)
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センリョウ・マンリョウ 味比べ [花木(冬)]

晩秋から年初までセンリョウとマンリョウの赤い実が庭を彩ります。
共に常緑小低木ですが、センリョウはセンリョウ科、マンリョウは
ヤブコウジ科に分類されます。

11月初旬、センリョウはもう赤く実っています。
右端にわずかに見えるのがマンリョウ。

千両09.11.8全@.jpg

拡大して確認しましょう。
右端のマンリョウはまだ赤緑まだらでした。

千両09.11.8wb.jpg

12月5日、マンリョウもすっかり紅くなりました。

千両091205wb.jpg

たわわに実ったマンリョウ。センリョウの実は上向き、マンリョウは
下に垂れ下がっています。

万両091205wb.jpg

センリョウはお正月の活け花に重宝します。
12月20日、そろそろ切っておこうかと思って行ってみると、
なんとまあ、実が激減しています。
また鳥達に先を越されてしまったようです。

千両091220wb.jpg

1月8日、センリョウはもうほとんど残っていません。
ヒヨドリがホバリングしながら食べているのも目撃しました。
しかしすぐ隣のマンリョウはまだしっかり実がついています。
この違いは何故でしょうか?

千両万両100108wb.jpg

鳥は何故センリョウから食べるのでしょう。
これはどうしても両種の味比べをすべきですね。
とりあえず毒性の有無を検索、幸い共になさそうです。

センリョウとマンリョウの実を1房ずつ準備。
但しセンリョウは庭にないため、花瓶に生けてあったものです。
それぞれの実を1つずつ、口に入れて味見してみました。
慎重に口をすすいでは次の1粒。
写真下方の白っぽい2粒がそれぞれ中に入っていた種子です。

万両千両果実1wb.jpg

ついでにナンテンも比べたくなりました。
しかしナンテンは鳥が真っ先に食べてしまって、庭には皆無。
仕方なく正月過ぎドライフラワー仕立てにしてあった実で試しました。

それぞれの葉の上に、赤い実2つ。
真ん中は赤い外皮を取り除いた果肉。
一番上は果肉を洗い落とした種子です。

3果実3態1Lwb.jpg

さて味見の結果は如何に。

センリョウ 甘みはなく微かにハーブティーのような香りがある。
      比較的小さい黄色っぽい種子。

マンリョウ 初めはわずかに甘みがあるが、後に生豆を噛んだような 
      生臭さが不快。
      白い種子は大きくて固く模様がある。

ナンテン  乾燥したせいか外皮がモサモサしているが味は感じない。
      1個の果実の中に黄色い半球形種子が2個入っている。

3種とも人は食べないはず、どれも美味しくはありませんでした。


マンリョウの種子は拡大すると手まりのような模様が見えます。

万両果実3@upwb.jpg


やはりマンリョウは後味が悪く、大きくて固い種子が出てくるので鳥にも
敬遠されるのでしょう。
しかし他に食べるものが無くなるとマンリョウも食べます。それが証拠に
マンリョウの実もだんだん減り、うちの庭木の下にはマンリョウの実生苗
がいっぱい出てきます。
主にヒヨドリが食べて木の上から種を排出するからでしょう。
しかしセンリョウはこんなに食べられているのにあまり自生しません。

来年は一番人気のナンテンの実を早めに試食したいと思います。
この実にはアルカロイドが含まれ、南天実(なんてんじつ)として薬用に利
用されるそうです。



ヒメイチゴノキ [花木(冬)]

ヒメイチゴノキ
 ツツジ科イチゴノキ属の常緑低木。
 学名:Arbutus unedo L. ‘Compacta’   英名: Strawberry tree
 
ヒメイチゴノキは花の少ない11月から1月にかけてスズランのような花をびっしり咲かせてくれる貴重な花木です。
イチゴの木08-3wb.jpg
花は早春咲くアセビや4〜5月に開花するドウダンツツジに似て釣鐘状です。

5年前に植えた木はもう2mくらいになりました。
イチゴノキ08全景wb.jpg

スズランのような花を下から見上げてみました。
ツボミ、めしべの柱頭、おしべ、花粉といろいろなステージが認められますね。
イチゴの木・下からwb2.jpg

鮮やかな黄と赤の実が並んでいます。今年の花が咲く頃昨年の実が熟します。
去年も花はいっぱい咲きましたが、今年の果実はわずか4個でした。
イチゴというよりヤマモモの果実を小さくしたような球形の実です。
食べられるそうですがたった4個では味見をする気にもなれず、観賞用としました。
イチゴの木09実2wb.jpg

濃い緑色の常緑の葉は花のない季節でも美しいのですが、今年はヒロヘリアオイラガがたくさんついてたいへんでした。私も一度刺されました。
いつものように殺虫剤は用いず、虫のついている葉っぱや小枝をハサミで切って焼却しました。
全部取ったと思っても翌日まだ見つかるので、数日間根比べが続きました。
この黄と赤の2個の果実を見つけた時、お礼のしるしのように見えたものです。

成熟したヒロヘリアオイラガ幼虫       多くは葉っぱの裏側にいます。 イラガ1wb.jpg イラガ葉wb.jpg

追加:2014.1.26.
この記事ははじめ「イチゴノキ」として公開していました。
本日「ヒメイチゴノキ 花の仕組み」を追加したあと、「ヒメイチゴノキ」と訂正しました。
詳細は「ヒメイチゴノキ 花の仕組み」に記載しました。

ツバキ「侘 助」 [花木(冬)]

侘助は花の少ない年末から早春にかけて私の庭の主役となるツバキです。
居間の南庭に植えたピンクと白の侘助は年々大きくなって競って咲いています。
「侘助」という風流な名の由来は侘数奇(わびすき)から転じたとか、侘助という茶人が好んだからとか、侘助という人が朝鮮半島から運んだとか諸説あるようです。
一般に華やかな椿の中で、侘助の花はその名の通り小さめでおとなしく、多くは一重で猪口咲き。特徴は花粉をつくらないことで、これは雄しべの葯(ヤク)が退化したからだそうです。
ツバキを生花にする時、いつの間にか花がぽとりと落ち、周りに花粉が散って困るものですが、侘助にはそれがなくて助かります。ツバキ科ツバキ属。

淡いピンクの侘助。猪口咲きで花粉がなく雌しべは長く突出している。
侘助東小1wb.jpg
白侘助
侘助Wwb.jpg
ピンクの大株
侘助Pwb.jpg
この花も雌しべが長い。
ワビスケP07wb.jpg
「数寄屋」と言う品種の侘助。ラッパ咲き。
侘助数寄屋wb2.jpg
やはり雌しべは突出。その他多数の園芸品種がある。
侘助数寄屋1wb.jpg


ソシンロウバイ [花木(冬)]

植えて30年のロウバイの古木に淡黄色の小花が一面に咲き、近くへ行くと馥郁たる香りが漂ってくる。
庭の隅にもう1株あるロウバイの若木には濃い黄色の花が咲く。
これらは一般にはロウバイと呼ばているが、詳しくは花の芯まで黄色なので「ソシンロウバイ(素心蝋梅)」である。これに対して分類上「ロウバイ」というのは花芯が暗紫色のものをいう。
花はたいてい下向きに開くが、枝はたくましく空に向かって伸びる。

ロウバイ1wb.jpg

花を見上げると花びらは蝋のように透けて見える。
蝋梅09-1wb.jpg

さらによく観察すると花には2つのタイプがある。
左は雄しべが開いているが、右は雄しべが真ん中に集っている。
雌性先熟wb.jpg

雌性期;咲いたばかりの花では左のように雄しべが開き、中央の雌しべが成熟して花粉を受け入れる。
雄性期;ついで右下の花のように雄しべは閉じて真ん中に寄り、さらに右上の様に集って葯から花粉が出る。
これらを雌性先熟という。
ロウバイ雌性先熟3wb.jpg

園芸品種の若木は花の黄色が濃く、より光沢があり、花弁はまるっこい。
ロウバイ南wb.jpg

花が散ると葉が茂り、夏にはこんな実がたくさん出来る。
ロウバイ実2wb.jpg

年が明けても前年の実のいくらかは黒くなってまだ枝に残り、中の種が落ちて自生する。
蝋梅の古実wb.jpg

雪の日のロウバイはこれまたうっとりするほど美しい(2006.2.28.写)。
ロウバイ雪大wb08.2..jpg
                   (画面をクリックすると拡大されます。)

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