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ハナアブ [昆虫]

伊吹おろしの季節になりました。
冬枯れの庭を歩いてもブログに書きたいものが見つかりません。
思い切って未整理のファイル「ハナアブ」を開きました。
予想通りの難航の末、なんとか名前を付けて公開することにしました。
間違いがありましたら、お教えいただけましたら幸いです。

「ハナアブ」
 花虻  ハエ目ハナアブ科に属する昆虫の総称
 日本では89属400種は分布するのではないかと推定され、世界では188属約6000種が記載されているそうです(Wikipedia)。

庭で撮ったハナアブに名前を付けて並べてみます。
(体長は測っていませんのでネット情報から拝借しました。)

ヒメヒラタアブ♂(花はシュウメイギク)
日本のヒメヒラタアブはかってはキタヒメヒラタアブと称されていたのに、近年ミナミヒメヒラタアブと判明したそうです。
体長8〜9mm、腹部が細長くこの中では最も小さいヒラタアブです。
これは複眼が接しているので♂、♀は腹部が少し膨らんでいます。
胸部は銅黒色、周りの黄色が鮮やかです。
白雪ゲシ・ヒメヒラタアブ♂1wb2.jpg

ホソヒラタアブ(1)♂(セアノサス)
庭で最もよくみられる小型種です。体長約11mm。
赤っぽい大きな複眼。胸部は銅金色で縦に線条が入っています。
腹部は細長く平らで黄色、そこに黒色の太い帯・細い帯が組み合わさった縞模様が鮮やかです。
ヒラタアブ♂・セアノサス1wb2.jpg

ホソヒラタアブ(2)♂(シラユキゲシ)
腹部の縞模様には個体差があり、これはオレンジ色が目立ちます。
複眼が左右接しているので♂です。
花から花へホバリングしながら、蜜や花粉を求めて飛び交います。
白雪ゲシ・ホソヒラタアブ♂wb2.jpg

ホソヒラタアブ(3)♀(ロニセラ・タタリカ・ロゼア)
腹部の横縞模様が多く、黄褐色・クリーム色・オレンジ色など複雑ですが、これもホソヒラタアブでしょうね?
ヒラタアブ♀2013wb.jpg

ホソヒラタアブ(4)♀(サクラタデ)
腹部の黄色の帯の中央に黒色が入って、左右に分かれています。
サクラタデ・ホソヒラタアブ2wb.jpg

ホソヒラタアブ(5)♀(葉の名前は不明)
複眼が離れているのが明瞭。
これも腹部の黄色の帯が左右に分かれています。
ホソヒラタアブ2011wb.jpg

ホソヒラタアブ(6)(チコリ)
♀の顔。短い触覚!(役者さんの顔を連想しました。)
チコリホソヒラタアブ雌wb3.jpg

シマハナアブ(1)(ナバナ)
体長約12mm。
頭部に2本の灰白色の帯、腹部は一対の三角班と4本の白い横縞があリます。
シマハナアブ3wb2.jpg

シマハナアブ(2)(シュウメイギク)
上の画像に比べてずんぐりしていますが、白い横縞が鮮明ですからこれもシマハナアブでいいかと思います。
シマハナアブ4wb2.jpg

ナミハナアブ(ラッパスイセン)
体長14~16mm。
全体に黒っぽく、黄褐色の毛で覆われています。
腹部の橙色の大きな三角斑が特徴です。
ナミハナアブとの鑑別が難しいことがありますが、まずは体長がより大きい。
ナミハナアブ2012-1wb.jpg

アシブトハナアブ?(ミズナ)
体長12−16mm。
胸部に2本の黄褐色の縦縞、腹部には1対の黄色の三角班があります。
この画像では三角班の色が薄くはっきりしませんが.......。
アシブトハナアブ・ミズナ-?wb3.jpg

キゴシハナアブ(ツバキ)
体長9〜10mm。
全体に黄褐色で胸部に大胆な4本の黒い縦縞があります。
腹部第1・2節が黄色いことで黄腰と命名されたようです。
斑点のある黄色い複眼が特徴ですが、この画像では見にくいですね。
キゴシハナアブwb2.jpg

オオハナアブ(1)(メランポジウム)
体長14~16mm。
オオハナアブとはいえ、体長はナミハナアブと同じくらい。
でも全体に太くて円っこく、上半身が黒いので大きく見えます。
腹部に巾広の橙色の帯があるのが特徴です。
オオハナアブ1wb.jpg

14 オオハナアブ(2)(シャクヤク)
真っ黒い毛むくじゃらの脚も特徴に上げてよさそうです。
複眼の模様も独特のようですが、この画像ではわかりません。
オオハナアブ2012-1wb2.jpg

「ハナアブ」を整理しようと思い立ったのですが、昆虫は花よりなお大変でした。
花に集まるハナアブたちは送粉の役目を担う上、幼虫はアブラムシを捕食する益虫です。
花を撮るときハナアブが飛んでくると一緒に写したくなります。
しかし幼虫はやはり近縁のハエと似ていて生活排水や汚水に生息し、「オナガウジ」とも呼ばれます。
幸い(?)まだこの庭では幼虫にお目にかかっていません。
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ツルヤブコウジ [花木(冬)]

ツルヤブコウジ
   サクラソウ科ヤブコウジ属(←ヤブコウジ科)の常緑小低木

軒下の一隅に拡がったジュズサンゴがまだ少しばかり赤い実を残したまま紅葉しています。
その陰に大きな真っ赤な実を発見!
ジュズサンゴや落ち葉を除けると赤い実がここにもここにもと現れました。
ツルコウジ1wb.jpg

2010年の晩秋、アイビーを撤去した軒下に園芸店で購入した苗を植えました。
年末には艶やかな葉と真紅の実が楽しめました。
しかし、この植物のラベルが見当たりません。
ヤブコウジ(Ardisia japonica )の園芸種?
ツルコウジ20101231wb2.jpg

その後は隣に植えたジュズサンゴの陰になって目立たぬ存在になっていました。
今期、久方ぶりに見る葉は6年前とは異なり黄色っぽく一部では紅葉も見られます。
紅い実も房状にはならず、1〜2個づつぶら下がっています。
しかし、消え入りそうなヤブコウジとは異なり、逞ましい印象です。
ツルコウジ2wb.jpg

葉には大きな鋸歯があり、葉の幅が広い。茎は直立せず横に這っています。
ヤブコウジの鋸歯はもっと細かく、葉は細長い。
検索すると近縁種「ツルコウジ(Ardisia pusilla )」が見つかりました。
しかし、山地に自生するというツルコウジの画像を見るともっと華奢な感じです。
一体、これは何者でしょう?
ツルコウジ3wb2.jpg

果実の直径は7〜9mm。ネット検索するとツルコウジは5〜8mmです。
ツルコウジ2015wb2.jpg

5裂した萼が残っています。
ツルコウジ実2萼wb.jpg
さらに検索すると「ツルヤブコウジ」・「中国ツルヤブコウジ」が見つかりました。
ヤブコウジやツルコウジのように在来種ではなく、中国原産。
まさしくこれです!やっと納得できました!

花は2014年6月に撮っていました。
花冠にはそばかすのような褐色の斑点があり、5裂して先端は後ろへ反り返っています。
茎には細毛がびっしり。
茎の細毛はヤブコウジにはなく、ツルコウジにはあります。
ツルコウジ花5wb.jpg

花の裏側。
淡いピンクに染まった5裂の萼が美しい。
ツルコウジ2140615-1wb.jpg

蕾にもそばかすがいっぱい!
ツルコウジ花1wb.jpg

画像を拡大すると中心に雌しべ、その周りを取り囲む尖った葯(雄しべ)が5枚。
属名Ardisia はギリシャ語で「矢または槍の先端」を意味する「Ardis」からつけられたそうです(植物の世界:6-28.朝日新聞社)。
ツルコウジ花4upwb.jpg

長く突き出た雌しべ。これは果実になっても残っています。
そばかすは花弁のみならず萼や花柄にも。茎には長い毛が密生。
ツルコウジ花6wb.jpg

この年はこんなに花が咲いたのに果実を観察しなかったことが悔やまれます。
ツルコウジ花4wb.jpg

ツルコウジの葉は光沢が無く両面に長い軟毛があり、長さ3cmくらいだそうです。
この葉には毛は無く光沢があり、大きい葉は長さ7cmもあります。
ツルコウジ花3wb2.jpg

葉の表面。毛はありませんが点状の突起があって触れるとザラザラします。
ツルコウジ葉表2wb.jpg

裏面にも明らかな毛は認められません。
ツルコウジ葉裏3wb.jpg

直径9mmの大きな実を2つ採ってまずは味見。
紅い外果皮を取除くとみずみずしいピンク色の果肉が現れました。
口に含むと............不味い!急いで口をすすぎました。
果肉を洗い落とすと直径6mm、縦に縞模様のある大きな種子が現れました。
これはマンリョウ(Ardisia crenata) の種子とよく似ています。
ツルコウジ種子wb.jpg

ヤブコウジも植えてあったのですが隣のタイワンホトトギスに負けて消えてしまいました。
写真はこの2007年のピンボケ1枚しか残っていません。
和名は薮に生える「柑子(こうじ...ミカン類)」の意味だそうです。
ヤブコウジ200wb2.jpg

先日園芸店でもヤブコウジが見つからず「斑入りヤブコウジ」を購入してきました。
ヤブコウジは万葉集にも「山橘」と詠まれ親しまれた植物です。
江戸〜明治の頃には斑入りの品種が多く作られ、有名品種はべらぼうな値段で取引されたそうです。
別名「十両」のヤブコウジがセンリョウやマンリョウより高価だったとは愉快ですね。
斑入りヤブコウジ1wb.jpg


        学名       分布           特徴
ヤブコウジ Ardisia japonica 北海道・本州・四国・九州  葉の鋸歯が細かい
  藪柑子          朝鮮半島・台湾・中国    葉も茎も無毛
                        
ツルコウジ Ardisia pusilla  千葉以西の本州・四国・九州から 葉の鋸歯が荒い
  蔓柑子         南西諸島・中国・フィリピン    葉も茎も有毛

ツルヤブコウジ       中国            葉の鋸歯が荒い
   蔓藪柑子        (園芸品種)        葉は無毛・茎は有毛
                        
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