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ヒメシャラ [花木(夏)]

ヒメシャラ
  姫沙羅  ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木
  学名:Stewartia monadelpha  
  花期:6月
  分布:神奈川県以西の本州(中国地方を除く)、四国、九州

先週のナツツバキに続いてヒメシャラの登場です。
ヒメシャラの花はナツツバキより1週ほど早く咲きます。
ほっそり伸びた高い枝から咲き始めるので花に気付かず、落花を先に見ることになります。
落花はナツツバキによく似ていますが小さめです。
ヒメシャラ落花2wb.jpg

見上げると花はたくさん咲いていますが、逆光になりうまく撮れません。
ヒメシャラ3wb2.jpg

ナツツバキより小さく控えめな花です。
ヒメシャラ4wb3.jpg

日陰に植えられたばかりか、低い所で咲いた花も葉の陰になりやすくうまく撮れません。
ヒメシャラ4wb.jpg

ナツツバキに比べ、花弁のフリルも少なめで、素朴な印象です。
ヒメシャラ20090603wb.jpg

日の当たる位置で咲いた花にもナツツバキで認めた紅班はみられません。
一番外にあった花弁はやや緑色を帯びていることがあります。
ヒメシャラ花1wb.jpg

花の両側に突き出した小さな葉は苞葉です。
苞葉が長いこと、これがヒメシャラの特徴です。
ヒメシャラ2013-2wb.jpg

花の後ろを見ると、ナツツバキでは確認しにくかった苞葉が2枚、萼の2倍以上の長さに伸びていました。
やはり花弁の裏面は細毛に覆われています。
ヒメシャラ苞wb.jpg

ナツツバキの花と並べました。
直径はナツツバキ5〜6cm、ヒメシャラ2〜3cm。
小さいナツツバキという意味でヒメシャラと命名されたのでしょう。
やはり離弁花ですが花冠と雄しべの基部は合着していて、花の姿のまま1日で落ちます。
ヒメシャラ・シャラwb.jpg

クマバチが蜜を吸っています。
クマバチの体長は2〜2.5cmですから、さらに花が小さく見えます。
ヒメシャラ・クマバチwb2.jpg

花冠が散っても2枚の苞葉は残ります。
ヒメシャラ若い果実wb.jpg

花が咲くころになってもまだ前年の果実が残っていました。
ヒメシャラ古い実wb.jpg

実については「ナツツバキの実」の項でナツツバキとヒメシャラの実を並べました。
ここに再掲しておきます。
ナツツバキ果実1wb.jpg

葉もやや小型で長さ8cmくらいまで。ナツツバキより薄い。
表面は光沢が無く、触れるとざらつきがあります。
ヒメシャラ葉表毛wb.jpg

拡大すると短い細毛が密生していました。
ヒメシャラ葉表毛2wb.jpg

上はナツツバキの葉、下はヒメシャラ、共に表面です。
ナツツバキの葉は厚めですが、表面には毛がありません。
ヒメシャラ・シャラ葉表wb2.jpg

裏面を見ると逆にナツツバキ(上)ではやや長い毛が密集していますが、ヒメシャラ(下)は光沢があって毛は無いように見えます。
ヒメシャラ・シャラ葉裏2wb2.jpg

但しヒメシャラの葉裏にも葉脈には白い細かい毛がありました。
ヒメシャラ葉裏2wb2.jpg

紅葉はナツツバキより紅みが深いように思います。
ヒメシャラ落ち葉wb2.jpg

秋晴れに紅葉が映えます。
ヒメシャラ紅葉091123wb.jpg

ヒメシャラの樹皮は年を重ねると赤褐色のごく薄い樹皮に変わるといわれます。
この庭のヒメシャラの樹皮は一部がはがれたり、灰褐色や黄褐色を呈したり、未だなかなか複雑な様相です。
ヒメシャラ幹2wb.jpg

冬季の樹皮。
ところどころ、鱗状に剥がれているところもありました。
ヒメシャラ幹1wb.jpg

ヒメシャラは花期が短く、毎年写真を撮り損ねて「また来年」の繰り返しでした。
今年も不満が残りますが、ナツツバキとの違いを見るには並べた方がいいと思い、このまま公開することにしました。
コメント(16) 

コメント 16

とんちゃん

夕菅さんこれはいいですね
ナツツバキとヒメシャラと!
毎年思い通りにいかなくて苦々しい思いばかりしているのですがこうして比べていただくとすっきりします
「また来年」私も同じでヒメシャラはまたしても時期を逃した・・・そればかりです。
ヒメシャラの苞葉のことは新鮮!
小さな花の割に大きめの苞葉2枚つくのですね
花は随分たくさん咲いて! それでも写真に撮るとなると位置が難しそうです
葉も実も両方揃えられて充実しています~
ヒメシャラの幹は樹皮のお蔭というか模様になってすてき!

by とんちゃん (2017-07-15 14:59) 

デスタントドラムス

比較していただき参考になりました。
研究熱心な夕菅さん。
白い花は素敵です。
by デスタントドラムス (2017-07-15 20:31) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
今日はつくばの息子のところに来ました。
築2年の家の庭に植えられた数本の樹の中にヒメシャラがありました。
お蔭様で若い実の包葉と赤い木肌から一目でわかりました。
やはりヒメシャラは皆さんも撮りにくく見逃されやすい樹なんですね。

by 夕菅 (2017-07-15 22:15) 

夕菅

デスタントドラムスさん コメントありがとうございました。
ナツツバキはもちろん魅力がありますが、ヒメシャラは更に清楚な花ですね。
今日つくばで見た樹は日向ですっくと伸びていました。

by 夕菅 (2017-07-15 22:29) 

多摩NTの住人

こんにちは。ヒメシャラの樹皮も触ると気持ち良いですね。当地では庭木や公園樹で見ることができますが、みな、ひょろひょろと細い幹です。以前、屋久島で直径50センチ以上あるヒメシャラの大木を見て驚いたことがありました。
by 多摩NTの住人 (2017-07-16 14:16) 

花咲かばあば

ナツツバキとヒメシャラ、花の大きさがずいぶん違っているんですね。
暑い季節、庭に一本あると、、、とうらやましいですが、移植を嫌う、、、との説明もあります。うちの庭ではあきらめたほうがよさそうです。

一昨日のゲリラ豪雨と雷には驚きました。犬山全域が避難指示が出ましたが、あの状態では移動もむつかしかったですね。
五条川や近くの郷瀬川が氾濫しました。隣の川の濁流も恐怖を感じました。パソコンも怖くて開けられませんでした。
お疲れが出ませんように。
by 花咲かばあば (2017-07-16 19:27) 

夕菅

多摩NTの住人さん コメントありがとうございました。
私の見たヒメシャラは皆細っそりした株立ちです。
屋久島ではヒメシャラまで直径50cm にもなるのですか。
これでは姫とは言いにくくなりますね。
by 夕菅 (2017-07-17 19:16) 

 夕菅

花咲かばあばさん コメントありがとうございました。
豪雨、怖かったでしょうね!
犬山城の鯱鉾が落ちたのもその時でしょうか。
でもとにかくこうしてコメントをいただけて幸いでした。
私の方は何事もなく申し訳ないほどです。
今、帰途の新幹線車内です。やはり疲れました。
by 夕菅 (2017-07-17 19:31) 

エフ・エム

ナツツバキとヒメシャラは、単独で見るとどちらか決めかねますが、長い苞葉を持つのがヒメシャラ。いいことをお聞きしました。ヒメシャラの方が全体的に小ぶりでやさしい感じ。両種ともよく似ているので、ナツツバキが姉さん、ヒメシャラが妹に見立てられます。姉・妹、どちらが大きいか、現実は半々ですが。すみません、下らない話になってしまいました。
by エフ・エム (2017-07-19 11:48) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
今日も暑いですね!外気温36℃、つくばより4〜5℃暑いようです。
今年やっと「ナツツバキとヒメシャラの鑑別は苞葉が決め手」と気づきました。花も実もなければ幹の色合いです。
ナツツバキが姉・ヒメシャラが妹というのもいいですね(確かに現実には逆転もしばしばですが)。
絵でいうなら満開のナツツバキは棟方志功の美人画を思わせることもありましたが、ヒメシャラは竹久夢二でしょうか(笑)。
by 夕菅 (2017-07-19 15:49) 

花咲かばあば

ナツツバキは棟方志巧の美人画、ヒメシャラは竹久夢二ですか。
ちなみにうちの娘たち姉妹は、妹の方がが図体がでかいです(笑)。
図体がでかいという言い方も不思議、図体は大きいことですね。
話がそれました。
犬山城のしゃちほこの落ちたのは12日の落雷でした。
そのあと14日のゲリラ豪雨であちこち被害が出たようです。
いつも登っている山もあちこち崩落し、通行止めの所も。
普段ほとんど水のない川に魚が打ち上げられたり、、、。
異常気象で各地に被害が出ていますね。
by 花咲かばあば (2017-07-19 22:30) 

夕菅

花咲かばあばさんコメントありがとうございました。
見つかってしまいましたね(笑)。
前のナツツバキの5枚目の写真、あ!棟方美人と思ってしまったのです。
娘さん達も現代風なんですね。従姉妹のところも同じくです。

15日は新聞もテレビも見ずに新幹線に乗ってしまったので、犬山のゲリラ豪雨のことは全く知らなかったのです!
頼りにならなくてごめんなさい。
帰ればまたいろいろあって今また車中からの送信です。
by 夕菅 (2017-07-20 12:06) 

Minoru

 こんばんは。ヒメシャラとナツツバキ、とても詳しい説明よく理解出来ました。
 ヒメシャラの苞葉が長いのを初めて知りました。樹皮は両方ともバクチノキみたいですね。
by Minoru (2017-07-21 00:00) 

夕菅

Minoru さんコメントありがとうございました。
毎年ヒメシャラとナツツバキとを並べたいと思いながら見送っていましたが、やっと果たせました。
バクチノキは見たことがありません。ネット検索で見たら幹が似てますね。赤いのでヒメシャラにより近いかもしれません。


by 夕菅 (2017-07-21 11:34) 

703

久しぶりの訪問になりました。
棟方志功か竹久夢二か、どちらがいいかな?
どちらか植えてみたくなりました。
by 703 (2017-07-27 22:58) 

夕菅

703 さん お帰りなさい。
そういえばどちらもなかったのですね。どちらがいいかな?
植える場所にもよりますね。
どちらかというとナツツバキは和風、ヒメシャラは洋風かしら?
by 夕菅 (2017-07-28 00:15) 

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