ノリウツギ2種 [花木(夏)]
ノリウツギ
糊空木 アジサイ科アジサイ属の落葉低木
学名:Hydrangea paniculata
別名:サビタ・ノリノキ
分布:北海道、本州、四国、九州
花期:6〜8月
高さ:2〜5m
ノリウツギは円錐花序と粘着性のある樹液を特徴とするアジサイ属の低木です。
この庭には2種のノリウツギの園芸種が咲きます。
ダルマノリウツギ
達磨糊空木
15年前に植えた1株がこんな大株になりました。
はじめ「達磨乗り空木」かとも思いましたが、糊空木の矮性種でした。
さらに調べるとノリウツギの中でも早咲きのエゾノリウツギの変異種のようで、苗は園芸店で販売されています。
ガクアジサイのように周辺に装飾花、中央に両性花が開きます。
高さは約1m。剪定もほとんど要らず、庭には重宝な花木です。
円錐花序。
装飾花は白い萼片4枚が花弁のように開きます。直径約3cm。
この花はハナムグリの大好物らしく、咲くや否やどこからともなく集まってきます。
アオハナムグリは緑色に光って美しい。
貪食中の大きなアオハナムグリ。
両性花は花弁5枚、雄しべ10本、雌しべは3本が多いようです。直径約1cm。
装飾花の蕾は開きません。
両性花が散る頃、装飾花はピンク色を帯びます。
さらに装飾花は下垂して俯きます。
びっしりと集簇する若い果実。
概ね3個づつ、柱頭の跡が残っています。
昨年9月23日の画像。
蒴果はすでに開いていますが、装飾花の萼はまだ残っています。
そのまま放置したら雪の日のアクセサリーに。
ピラミッドアジサイ
学名:Hydrangea paniculata f. grandiflora
花期:7〜8月
もう一種類は殆どが装飾花で両性花が無い、もしくは非常に少ない園芸種です。
水無月(旧暦)に咲くので「ミナヅキ」とも呼ばれます。
高さは2〜3mになりますが枝は直立しにくくしな垂れて、花は1〜1.5mの高さで咲きます。
葉は対生または3輪生。
クリーム色を帯びた白色の花が先の方へと咲き進みます。
量感たっぷりの見頃の花。
この他、花の色がライムグリーンの「ライムライト」という品種も普及しています。
さて、やはり「糊空木」たる証拠を確認したくなります。
まず、ダルマノリウツギ(右)とピラミッドアジサイ(左)の枝を切り断面を見ました。
共に中心部は白く、発泡スチロールのように崩れます。これが空木の所以でしょう。
次に糊の成分はどこにあるのでしょう。
ピラミッドアジサイの若い枝を切って茶色の樹皮(1段目)を剥ぐと、2段目の美しい緑色の靭皮(じんぴ)が現れます。
3段目は薄く剥いだ靭皮、この内側はネバネバします。
靭皮を剥いだあとは4段目のように白っぽくなりました。
今度は出来るだけ1枚になるように樹皮(左)と靭皮(中)を剥ぎました。
やはり靭皮に粘液があるらしく、指で軽く押すと指に着いて持ち上がりました。
そこで同じように靭皮を数枚剥いで水を加えて放置したところ、とろりとした粘液が得られました。
これは2010年サネカズラで試したことを参考にしたのです。
手作り和紙の作り方をブログ検索すると、コウゾ・ミツマタ・ガンピなどに「ねり」としてトロロアオイの根やノリウツギの皮を古くから用いていたと記されていました。
ノリウツギはトロロアオイのように温度の影響を受けることなく、夏季にも安定しているそうです。
気になっていたノリウツギをやっと記事にすることができました。
ピラミッドアジサイは今まだ蕾が出来かけたところです。
果実はできなかったと思いますが、今年また観察してみます。
糊空木 アジサイ科アジサイ属の落葉低木
学名:Hydrangea paniculata
別名:サビタ・ノリノキ
分布:北海道、本州、四国、九州
花期:6〜8月
高さ:2〜5m
ノリウツギは円錐花序と粘着性のある樹液を特徴とするアジサイ属の低木です。
この庭には2種のノリウツギの園芸種が咲きます。
ダルマノリウツギ
達磨糊空木
15年前に植えた1株がこんな大株になりました。
はじめ「達磨乗り空木」かとも思いましたが、糊空木の矮性種でした。
さらに調べるとノリウツギの中でも早咲きのエゾノリウツギの変異種のようで、苗は園芸店で販売されています。
ガクアジサイのように周辺に装飾花、中央に両性花が開きます。
高さは約1m。剪定もほとんど要らず、庭には重宝な花木です。
円錐花序。
装飾花は白い萼片4枚が花弁のように開きます。直径約3cm。
この花はハナムグリの大好物らしく、咲くや否やどこからともなく集まってきます。
アオハナムグリは緑色に光って美しい。
貪食中の大きなアオハナムグリ。
両性花は花弁5枚、雄しべ10本、雌しべは3本が多いようです。直径約1cm。
装飾花の蕾は開きません。
両性花が散る頃、装飾花はピンク色を帯びます。
さらに装飾花は下垂して俯きます。
びっしりと集簇する若い果実。
概ね3個づつ、柱頭の跡が残っています。
昨年9月23日の画像。
蒴果はすでに開いていますが、装飾花の萼はまだ残っています。
そのまま放置したら雪の日のアクセサリーに。
ピラミッドアジサイ
学名:Hydrangea paniculata f. grandiflora
花期:7〜8月
もう一種類は殆どが装飾花で両性花が無い、もしくは非常に少ない園芸種です。
水無月(旧暦)に咲くので「ミナヅキ」とも呼ばれます。
高さは2〜3mになりますが枝は直立しにくくしな垂れて、花は1〜1.5mの高さで咲きます。
葉は対生または3輪生。
クリーム色を帯びた白色の花が先の方へと咲き進みます。
量感たっぷりの見頃の花。
この他、花の色がライムグリーンの「ライムライト」という品種も普及しています。
さて、やはり「糊空木」たる証拠を確認したくなります。
まず、ダルマノリウツギ(右)とピラミッドアジサイ(左)の枝を切り断面を見ました。
共に中心部は白く、発泡スチロールのように崩れます。これが空木の所以でしょう。
次に糊の成分はどこにあるのでしょう。
ピラミッドアジサイの若い枝を切って茶色の樹皮(1段目)を剥ぐと、2段目の美しい緑色の靭皮(じんぴ)が現れます。
3段目は薄く剥いだ靭皮、この内側はネバネバします。
靭皮を剥いだあとは4段目のように白っぽくなりました。
今度は出来るだけ1枚になるように樹皮(左)と靭皮(中)を剥ぎました。
やはり靭皮に粘液があるらしく、指で軽く押すと指に着いて持ち上がりました。
そこで同じように靭皮を数枚剥いで水を加えて放置したところ、とろりとした粘液が得られました。
これは2010年サネカズラで試したことを参考にしたのです。
手作り和紙の作り方をブログ検索すると、コウゾ・ミツマタ・ガンピなどに「ねり」としてトロロアオイの根やノリウツギの皮を古くから用いていたと記されていました。
ノリウツギはトロロアオイのように温度の影響を受けることなく、夏季にも安定しているそうです。
気になっていたノリウツギをやっと記事にすることができました。
ピラミッドアジサイは今まだ蕾が出来かけたところです。
果実はできなかったと思いますが、今年また観察してみます。
2016-06-29 22:43
コメント(14)
大変勉強になりました。
ありがとうございます
雨が多く、体調、崩されて見えませんか。
はやく梅雨が明けてほしいですね。
by デスタントドラムス (2016-06-30 07:38)
ダルマノリウツギというんですね
普通のノリウツギよりかなり低木!
円錐型の花は美しいですね 剪定しなくてもこの高さを保っていてくれたらありがたいでしょう
咲いた後もすごく好き!
ピラミッドアジサイですか!これも形がいいですね
カシワバアジサイとは別の魅力を感じます。
枝を切って確認されたのですね
目で見ても分かります! 発泡スチロールみたいにすかすかしているような感じ
皮をはいでいくと・・・そこに粘りが・・・
そういうわけなんですね 糊空木!
by とんちゃん (2016-06-30 08:01)
こんにちは。“糊”を確認されたんですね。とても興味深く拝見しました。ノリウツギの名前に納得です。
by 多摩NTの住人 (2016-06-30 08:09)
デスタントドラムス さん コメントありがとうございました。
もうやめようかとも思ったブログですが、まだ登場していなかった花もあり、調べ始めるとそれぞれ奥が深く悩ましくなります。
既に以前より草取りはドクターストップの身ですが、取るより早く伸びる雑草を見るのも辛い時期です。
by 夕菅 (2016-06-30 10:16)
とんちゃん コメントありがとうございました。
「花紀行」にも6月18日小石川植物園のノリウツギをアップされてましたね。
おおらかに青空に向かって咲く姿を拝見しました。
両性花も開花して丁度良いタイミング、満足されたことでしょう。
それに比べて園芸種はせせこましい感じですが、庭ではやむを得ません。
その代わり自由に枝を切ることができますから「糊」を確認しました。
by 夕菅 (2016-06-30 10:39)
多摩NTの住人 さんコメントありがとうございました。
ノリウツギが「糊空木」とわかってから、糊を確認したいと思っていました。
和紙を作るときの良質の補助材料として古来用いられたことを知り、また古の人々の知恵に感じ入りました。
by 夕菅 (2016-06-30 10:45)
ノリウツギを糊空木と当てられた文字、そうでしたか。糊状の粘液が靭皮にあったんですね。命名に納得ですね。初めて教わりました。
和紙の原料にもなったんですね。
「びっしりと集ソク、ソウ?する若い果実」この文字も初めてです。
ムラガル、ソウ、ソクとの読み、書けません。薔薇の漢字もようやく覚えました。美しい真っ白なピラミッドアジサイもノリウツギも青い空が似合うように思います。
いただいて挿し木した株が一向に育たず小さな苗木のままです。
あじさいは日当たりがあまりよくなくても育つ植物と思っていました。
そういえば紫陽花,陽の文字が入っていました。日当たりの良い場所のあじさいは花数が多いです。
近くの山のノリウツギは開花が遅いようです。
by 花咲かばあば (2016-06-30 20:44)
花咲かばあばさん コメントありがとうございました。
お恥ずかしいことに、15年前庭の改造時に植えられたこの木について最近までダルマノリウツギという片仮名名だけで過ごしてきました。
達磨が乗っているような空木?
調べてみたら糊空木でした! としたら糊を確認しなくてはと思い至ったわけです。
ダルマノリウツギは日向で元気ですが、ピラミッドアジサイはやや日陰を好むようです。
自生するノリウツギを見たことがありません。きれいでしょうね!
by 夕菅 (2016-06-30 23:10)
ノリウツギのノリが「糊」だなんて考えてもみませんでした。
面白い! 今度であったらさっそくためしてみます。長崎は少し標高の高いところへ行かなければ見かけませんが、これからが見ごろです。
夕菅さん、ありがとう!
by panda (2016-07-02 07:45)
pandaさん コメントありがとうございました。
そうなんです。糊空木でした!
山の木は勝手に切れないかもしれませんが、若い枝の樹皮は容易にめくれます。その下にすぐ緑色の靭皮が現れますからお試しいただけるかと思います。
by 夕菅 (2016-07-02 12:02)
ノリウツギは糊をとる材料になるんだろうと漠然と思っていました。詳細な観察は素晴らしいですし、勉強になりました。それにしても、特定の植物がねばねば成分を持っていることと、なんの役に立っているのか、疑問を感じています。
アオハナムグリが綺麗ですね。こちらではアオハナムグリをほとんど見ません。毛が生えていて小型のコアオハナムグリばかりです。ぜひ、アオハナムグリに出会いたいものです。
by エフ・エム (2016-07-05 10:48)
エフ・エム さんコメントありがとうございました。
ノリウツギが糊空木とわかるとどこで糊ができるのか見たくなり、ノリウツギは靭皮と確認しました。トロロアオイは根のようです。
本当にノリウツギやサネカズラなどの粘液は何の目的で作られているのか知りたいですね。
アオハナムグリとコアオハナムグリ、地域差があるのでしょうか。
今日見に行ったらすでに装飾花は殆ど俯いていて、昆虫も見当たりませんでした。
by 夕菅 (2016-07-05 23:14)
花も漢字で名を書くと奥の深さを一層感じます。何種類のアジサイ科の花が植えられていますか?写真を見てもたくさんの種類があり楽しみです。私もアジサイが大好きで通販を見てみたら種類のおおいことにビックリ。我が家の二種類を挿し木して一カ月あまり。茎と葉の間に芽が出てきましたが育つかどうか?時間がないと言いつつ色々仕事を増やしています。頂いたゆうすげが咲きました。増えていくと良いです。朝夕草取りに励んでいます。
by リンちゃんママ (2016-07-08 23:41)
リンちゃんママさんコメントありがとうございました。
「何種類のアジサイ科?」...うーん、意外に難問です。
アジサイ科にはキレンゲショウマ、バイカウツギ、バイカアマチャも含まれます。これらとその他のアジサイやウツギを加えると20種くらいになりそうです。
アジサイの挿し木成功、お上手!
ユウスゲももう開花、楽しみがふえましたね。
by 夕菅 (2016-07-09 11:19)