シチダンカ [花木(初夏)]
シチダンカ
七段花
アジサイ科アジサイ属(←ユキノシタ属)ヤマアジサイの一変種
学名:Hydrangea serrata Ser. f. prolifera H. Ohba
この花はシーボルトの「日本植物誌」(1835〜1870年発行)に載録されていましたが、その後確認されず、「幻の花」と呼ばれていました。
ところが1959年六甲山で再発見され、神戸市森林植物園や六甲山小学校で挿し木増殖されて、今では日本中に広まっています。
シーボルトはドイツ人の医師でしたが、オランダの軍医として幕末(1823年)来日し7年間滞在しました。彼は西洋医学を伝授する傍ら、日本の植物の情報も集め、帰国後ツッカリーニの助力を得て「日本植物誌」を刊行しました。

シチダンカは八重咲きの装飾花が星のように見えるのが特徴といわれる花です。
先が尖った花弁状の萼片が数段、上にいくほど長さも巾も小さくなりながら重なっています。 萼片の枚数は8〜13枚くらい。 装飾花の長径は2〜2.5cm。

シチダンカは淡い青紫色が美しい花ですが、咲き始めは淡いピンク、咲き進むと薄紫、紅紫、藍紫色などに変色することもあり、個体差もあるようです。
左上の葉はクレマチス。

もう一つの特徴は両性花が退化していること。
1・2枚目のように始めは蕾かと思えた両性花は開花せず、そのまま枯れて脱落します。

色あせた装飾花が反転し始めました。
まだ両性花が残っています。

両性花はそれぞれ異なる複雑な形をしています。

拡大すると一部に花弁や雌しべらしい部分が見えますが、どれも形が崩れ、雄しべは認められません。

退色して反転した萼片の裏面が見たくて1枝手折りました。

裏返すと大きな萼片は緑っぽく、また小さい萼片は赤紫色で縁取られていました。

反転した装飾花は白く映え、名残の薄紫の花を引き立たせています。
反転はガクアジサイやヤマアジサイにも認められることがあり、特異的ではありません。

さらにもう一つのシチダンカの特徴は細い葉です。
先の尖った長楕円形の葉が対生しています。長さは大きい葉で約12cm。
但し、ヤマアジサイの中にも細い葉を持つものがあります。

花も終盤、反転した白い萼片は緑色を帯び、さらに褐色になります。

シチダンカはヤマボウシの下に植えてあります。
今年はしっかり大株になりました。高さ約1m。
むしろ他のヤマアジサイ達より勢いが良く、絶滅寸前だったことが不思議なほどです。

比較のためシチダンカに似たヤマアジサイを載せておきます。
これは「ミヤマヤエムラサキ」。
萼片の先端がやや円く、両性花も揃っています。

これもヤマアジサイの園芸品種です。
花はシチダンカに似た星型ですが葉が全く違います。

今年はシチダンカの咲き始めの花を撮りそびれました。
うちのアジサイの中ではシチダンカが最も早く5月下旬から咲くため、見逃しやすいのです。
シチダンカについては「幻の花」の説明は多いのですが、具体的な文献が乏しいため我が家の1株について観察した記録を残しました。
間違いがあったらお教えいただけますようお願いします。
参考文献:大場秀章「シーボルト 日本植物誌」2007年、筑摩書房(ちくま学芸文庫)
七段花
アジサイ科アジサイ属(←ユキノシタ属)ヤマアジサイの一変種
学名:Hydrangea serrata Ser. f. prolifera H. Ohba
この花はシーボルトの「日本植物誌」(1835〜1870年発行)に載録されていましたが、その後確認されず、「幻の花」と呼ばれていました。
ところが1959年六甲山で再発見され、神戸市森林植物園や六甲山小学校で挿し木増殖されて、今では日本中に広まっています。
シーボルトはドイツ人の医師でしたが、オランダの軍医として幕末(1823年)来日し7年間滞在しました。彼は西洋医学を伝授する傍ら、日本の植物の情報も集め、帰国後ツッカリーニの助力を得て「日本植物誌」を刊行しました。

シチダンカは八重咲きの装飾花が星のように見えるのが特徴といわれる花です。
先が尖った花弁状の萼片が数段、上にいくほど長さも巾も小さくなりながら重なっています。 萼片の枚数は8〜13枚くらい。 装飾花の長径は2〜2.5cm。

シチダンカは淡い青紫色が美しい花ですが、咲き始めは淡いピンク、咲き進むと薄紫、紅紫、藍紫色などに変色することもあり、個体差もあるようです。
左上の葉はクレマチス。

もう一つの特徴は両性花が退化していること。
1・2枚目のように始めは蕾かと思えた両性花は開花せず、そのまま枯れて脱落します。

色あせた装飾花が反転し始めました。
まだ両性花が残っています。

両性花はそれぞれ異なる複雑な形をしています。

拡大すると一部に花弁や雌しべらしい部分が見えますが、どれも形が崩れ、雄しべは認められません。

退色して反転した萼片の裏面が見たくて1枝手折りました。

裏返すと大きな萼片は緑っぽく、また小さい萼片は赤紫色で縁取られていました。

反転した装飾花は白く映え、名残の薄紫の花を引き立たせています。
反転はガクアジサイやヤマアジサイにも認められることがあり、特異的ではありません。

さらにもう一つのシチダンカの特徴は細い葉です。
先の尖った長楕円形の葉が対生しています。長さは大きい葉で約12cm。
但し、ヤマアジサイの中にも細い葉を持つものがあります。

花も終盤、反転した白い萼片は緑色を帯び、さらに褐色になります。

シチダンカはヤマボウシの下に植えてあります。
今年はしっかり大株になりました。高さ約1m。
むしろ他のヤマアジサイ達より勢いが良く、絶滅寸前だったことが不思議なほどです。

比較のためシチダンカに似たヤマアジサイを載せておきます。
これは「ミヤマヤエムラサキ」。
萼片の先端がやや円く、両性花も揃っています。

これもヤマアジサイの園芸品種です。
花はシチダンカに似た星型ですが葉が全く違います。

今年はシチダンカの咲き始めの花を撮りそびれました。
うちのアジサイの中ではシチダンカが最も早く5月下旬から咲くため、見逃しやすいのです。
シチダンカについては「幻の花」の説明は多いのですが、具体的な文献が乏しいため我が家の1株について観察した記録を残しました。
間違いがあったらお教えいただけますようお願いします。
参考文献:大場秀章「シーボルト 日本植物誌」2007年、筑摩書房(ちくま学芸文庫)
2016-06-16 11:00
コメント(14)
あじさいも品種改良されて、どんどん種類を増やしています。
うっとおしい雨の季節、はなやかなあじさいは晴れやかな気分にしてくれますが、山アジサイやシチダンカを特に好ましく思います.七段花、萼片が8枚、9枚10枚以上も、でも七段と。日本人は七、八という数が好きなんでしょうね。
萼片が「反転する」性質を初めて教わりました。水切れで勢いがなくなったのではなかったのですね。うちの庭でも今年はたくさんの花を付けました。両性花が落ちてしまった後の、少し寂しげな今の様子です。
by 花咲かばあば (2016-06-16 21:29)
花咲かばあば さん コメントありがとうございました。
年と共に華やかな花より清楚な花が好ましくなりますね。
その意味ではシチダンカは最後まで残る花かもしれません。
花を裏返すと萼片は1段2〜3枚のことが多く、そういう数え方では4段くらいになってしまいます。
それでも7段とは大袈裟な!と内心思っていました(笑)。
「反転」も今回初めて気付きしおらしく思いました。
by 夕菅 (2016-06-17 00:08)
シチダンカって聞いたことはあったのですが詳しくは全く知りませんでした。
シチダンは萼片が重なることだなんて思ってもみないです~
四方に散らばって咲く様子もなんとなくお星さまを思ってしまいます。
花の咲き方そのものを星にたとえるのですね
両性花のことも聞くと面白いです~アップで見ると本当に形が崩れてこれではどうにもならなくて・・・
終わりになって萼片が反転しているガクアジサイを見ますがそれも好きなんです
アジサイとなるとシーボルト→オタクサと連想します~
by とんちゃん (2016-06-17 08:56)
勘違いしていました。
萼片の枚数ではなくて、段数でした。
相変わらずはやとちりでした。
紫陽花も陽当たりのよい方が花数は多いですね。
by 花咲かばあば (2016-06-17 09:44)
とんちゃん コメントありがとうございました。
シチダンカはまだ花紀行に登場してなかったのですね。
また来年にでもきれいな画像をお願いします。
端正な装飾花と対照的な両性花、興味深い花でした。
さらに、シーボルト→オタクサ ここで「お滝さん」が現れ、その娘「稲」(日本最初の女性医師)、その子「高子」と小説よりも奇なりの展開になるのですね。
by 夕菅 (2016-06-17 10:52)
花咲かばあばさん 再度ありがとうございます。
花の命名にはやはり縁起が関与しているようですね。
「ヤツデ」の時も葉は7裂または9裂がほとんどなのに「8」でした。
実は萼片の段もどこまでが同じ段か不明瞭でしたから記載しなかったのです。
紫陽花は確かに陽当たりが悪いと花が少ないし、当たり過ぎると萎れたりしますね。
by 夕菅 (2016-06-17 11:22)
こんにちは。私も今日シチダンカを見てきたところでした。魅力的な花ですね。両性花をじっくり観察しなかったのですが、いろいろな形になっているんですね。
by 多摩NTの住人 (2016-06-18 20:59)
多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
アジサイは装飾花に焦点を合わせると両性花はボケますね。
ところがシチダンカは両性花の焦点を合わせても何が何だかよくわかりませんでした。
by 夕菅 (2016-06-18 22:04)
シチダンカは2013年6月21日のブログに岡山の半田山植物園で見たことを書いていました。でもあまり花が多くて、それほど気にも止めませんでした。もっとよく見ておけばよかったと思っています。
不思議に思ったのは、両性花が脱落してしまうこと。シーボルトの発見以後、1959年に再発見されるまでに、どうやって自生してきたのでしょうか。それともシーボルトの株の再発見?
by エフ・エム (2016-06-21 09:56)
エフ・エムさん コメントありがとうございました。
シチダンカについて検索してもなかなか詳細がつかめません。
江戸時代に栽培されていた園芸種?
再発見されたのはシーボルトのシチダンカと同一?
何故1株しか残存しなかったのか? これがシーボルト株?
未だにわからないことがいろいろあります。
by 夕菅 (2016-06-21 18:05)
シチダンカはうちにもあるのですが、よく分からないまま育ててきました。
夕菅さんのご説明で、アウトラインが分かりましたが、
シチダンカはミステリアスな存在ですね。
by 703 (2016-06-21 22:58)
703さん お疲れのところコメントありがとうございました。
「風の通る庭」のシチダンカは5月25日のブログに出ていましたね。
うちの庭の花より優雅に咲いていたのを覚えています。
本当にこの花はミステリアス、そしてなお心惹かれる花です。
今後、専門家の解説が待たれます。
by 夕菅 (2016-06-22 00:18)
このところ紫陽花に興味を持っています。比較的長く咲き病気や虫にも強いような気がします。先日挿し木をしてみました。今のところ葉っぱの色も綺麗ですがついているのかどうか?紫陽花の品種の多いのにもビックリします。奥が深いです。
私事ですがキャンディリリーがさきました。発芽率が良く花畑に種からのを沢山植えました。こちらはまだ咲いていませが楽しみにしています。
by リンちゃんママ (2016-06-27 23:25)
リンちゃんママさん コメントありがとうございました。
アジサイは日本の庭にはぴったりですね。
その上園芸品種は和洋山ほど作り出され、選ぶにも迷いそうです。
キャンディリリー、咲きましたか。
うちのも咲き始めましたが、あまり勢いがいいのでタジタジです。
増えすぎたら上手に整理してくださいね。
by 夕菅 (2016-06-28 12:16)