アキチョウジとセキヤノアキチョウジ [草花(秋)]
アキチョウジ
秋丁字
シソ科 ヤマハッカ属
愛知県以西の本州・四国・九州に自生する多年草
花期:9月~10月
草丈:約1mくらいまで
セキヤノアキチョウジについては2010年11月の記事にしました。
しかしアキチョウジとの違いがわかりにくく疑問が残りました。
その後ここ愛知県は東のセキヤノアキチョウジと西のアキチョウジとが重なる地域だと知り、2種を庭に植えて比較することにしました。
昨年アキチョウジの苗を入手、セキヤノアキチョウジに比べて成育が思わしくありませんが今年は両者の違いを確認することにします。
青紫色の長い花冠はセキヤノアキチョウジとそっくりです。
花冠の大きさも同じく約2cm。
アキチョウジの最もわかりやすい特徴は、花柄が短く1cm未満であることです。
花柄の分岐も少なく、花はしばしば並んで密集して咲いています。
葉はセキヤノアキチョウジと同じく対生。
セキヤノアキチョウジとの二つ目の鑑別点は萼片の形です。
アキチョウジの萼片はセキヤノアキチョウジのようには尖らず、切れ込みが浅い。
花冠はセキヤノアキチョウジと同じく上唇4裂、下唇は浅く2裂して舟形に突出。
雄しべの葯が4つ、にこやかに覗いています。
日陰の株は淡い桃青色でした。
花冠には柔らかい細毛がびっしり生えています。
花冠が落ちて萼が露出すると萼片の形がよくわかります。
上部の3裂片の先は尖らず、切れ込みが浅い。下部は四角に見えます。
三つ目の違いは花柄に密生する細毛があることです。
そのため短い花柄はセキヤノアキチョウジよりやや白っぽく、いくらか太く感じます。
種子は4個づつ出来る(4分果)はずですが、植えて2年目のせいか、今年は多くて3個でした。
平開気味だった萼が筒状になって種子を守ります。
セキヤノアキチョウジ
比較のためセキヤノアキチョウジの画像も並べます。
3株3カ所に植えたセキヤノアキチョウジは日当たりの良い順に咲き、最後の1株は11月になってもまだ咲いています。
植えてから10年ほどになり、日陰のせいか1mを越す茎もあります。
しな垂れやすく、倒れかかって風に揺れています。
途中で茎が折れると分枝がたくさん出て房状に咲くこともあります。
花の大きさはアキチョウジと同じく2cmくらい。
葯が4個と雌しべ1本が覗いています。
花冠にはアキチョウジと同じく細毛が密生。
零れ種から自生した2世。草丈20cm弱ですが花が咲きました。
アキチョウジと異なり、下段の花柄は1cm以上あります。
一般には花柄は分岐が多く、細く褐色を帯びて1〜3cmあります。
5裂した萼片の先端はアキチョウジより尖っています。
花冠が落ちると中心部に種子4個が辛うじて見えます(4分果)。
花柄を接写してもアキチョウジにあったような細毛は目立ちません。
早く咲いた株ではすでに種子が褐色になってこぼれ落ちつつあります。
今のところアキチョウジより結実しやすく、ここでは4個がづつ揃って実っています。
種子は直径約1mm。白く見えるのはエライオソームでしょうか?
花だけ見ると同じに見えるセキヤノアキチョウジとアキチョウジ。
こうして比べてみるとどこが異なるのか、納得できました。
アキチョウジは今はまだ30cmくらいしかありませんが、成長が楽しみです。
秋丁字
シソ科 ヤマハッカ属
愛知県以西の本州・四国・九州に自生する多年草
花期:9月~10月
草丈:約1mくらいまで
セキヤノアキチョウジについては2010年11月の記事にしました。
しかしアキチョウジとの違いがわかりにくく疑問が残りました。
その後ここ愛知県は東のセキヤノアキチョウジと西のアキチョウジとが重なる地域だと知り、2種を庭に植えて比較することにしました。
昨年アキチョウジの苗を入手、セキヤノアキチョウジに比べて成育が思わしくありませんが今年は両者の違いを確認することにします。
青紫色の長い花冠はセキヤノアキチョウジとそっくりです。
花冠の大きさも同じく約2cm。
アキチョウジの最もわかりやすい特徴は、花柄が短く1cm未満であることです。
花柄の分岐も少なく、花はしばしば並んで密集して咲いています。
葉はセキヤノアキチョウジと同じく対生。
セキヤノアキチョウジとの二つ目の鑑別点は萼片の形です。
アキチョウジの萼片はセキヤノアキチョウジのようには尖らず、切れ込みが浅い。
花冠はセキヤノアキチョウジと同じく上唇4裂、下唇は浅く2裂して舟形に突出。
雄しべの葯が4つ、にこやかに覗いています。
日陰の株は淡い桃青色でした。
花冠には柔らかい細毛がびっしり生えています。
花冠が落ちて萼が露出すると萼片の形がよくわかります。
上部の3裂片の先は尖らず、切れ込みが浅い。下部は四角に見えます。
三つ目の違いは花柄に密生する細毛があることです。
そのため短い花柄はセキヤノアキチョウジよりやや白っぽく、いくらか太く感じます。
種子は4個づつ出来る(4分果)はずですが、植えて2年目のせいか、今年は多くて3個でした。
平開気味だった萼が筒状になって種子を守ります。
セキヤノアキチョウジ
比較のためセキヤノアキチョウジの画像も並べます。
3株3カ所に植えたセキヤノアキチョウジは日当たりの良い順に咲き、最後の1株は11月になってもまだ咲いています。
植えてから10年ほどになり、日陰のせいか1mを越す茎もあります。
しな垂れやすく、倒れかかって風に揺れています。
途中で茎が折れると分枝がたくさん出て房状に咲くこともあります。
花の大きさはアキチョウジと同じく2cmくらい。
葯が4個と雌しべ1本が覗いています。
花冠にはアキチョウジと同じく細毛が密生。
零れ種から自生した2世。草丈20cm弱ですが花が咲きました。
アキチョウジと異なり、下段の花柄は1cm以上あります。
一般には花柄は分岐が多く、細く褐色を帯びて1〜3cmあります。
5裂した萼片の先端はアキチョウジより尖っています。
花冠が落ちると中心部に種子4個が辛うじて見えます(4分果)。
花柄を接写してもアキチョウジにあったような細毛は目立ちません。
早く咲いた株ではすでに種子が褐色になってこぼれ落ちつつあります。
今のところアキチョウジより結実しやすく、ここでは4個がづつ揃って実っています。
種子は直径約1mm。白く見えるのはエライオソームでしょうか?
花だけ見ると同じに見えるセキヤノアキチョウジとアキチョウジ。
こうして比べてみるとどこが異なるのか、納得できました。
アキチョウジは今はまだ30cmくらいしかありませんが、成長が楽しみです。
2015-11-10 23:53
コメント(12)
こんにちは。当地ではアキチョウジが見られないので、とても参考になりました。萼片の形にも特徴があるんですね。
by 多摩NTの住人 (2015-11-11 08:03)
夕菅さん、こうして並べていただくとどのような違いがあるのか分かりました!
そういってもすべて覚えていられればいいのですが・・・
花柄の長さや細毛の有無だけでも頭に入れておけばいいかもしれないと自分では思っています。
セキヤノアキチョウジはすっきり見えますね
ただのアキチョウジは滅多に見られないのですがセキヤノアキチョウジなら姉の庭にあるので観察できそうです。
長年どのような違いのあるのか積極的に探ってみなかったのでこちらで勉強できてすっごくよかったです!
by とんちゃん (2015-11-11 09:01)
多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
アキチョウジとセキヤノアキチョウジとは自生地を分けていますね。
こうして比較すると「萼片が尖っている」という表現も納得できました。
萼だけでも鑑別できるかと思います。
by 夕菅 (2015-11-11 11:46)
とんちゃん コメントありがとうございました。
こちらは岐阜県と愛知県を分ける木曽川の愛知県寄りですが、アキチョウジは園芸店にも見たことがなく、ネットで探して苗を購入しました。
今のところやはりこの庭ではセキヤノアキチョウジの方が育ちやすいようです。
検索してもおぼろげだったところが、百聞一見にしかず、すっきりしました。
by 夕菅 (2015-11-11 12:01)
お庭に両種が見られるなんて、すばらしいことですね。それらの違いを鮮明な写真と丁寧な説明によって示して下さってありがとうございます。両種の違いはすぐ忘れそうですが、この記事に戻ってくれば安心。
どちらもいかにも秋の花らしい美しさです。
by エフ・エム (2015-11-11 17:33)
エフ・エムさん コメントありがとうございました。
セキヤノアキチョウジはこの庭に植えてから10年以上経ち、2世も育ってきました。
比較したくて植えたアキチョウジはまだ2年目、でも比較のためには十分な花を咲かせてくれました。
それにしてもなぜこの辺りを境に2種類が重ならずに自生しているのか不思議です。
by 夕菅 (2015-11-11 21:29)
うちのはどちらなのか、確信は持てないできました。
写真とよもに分かりやすく比較していただいたので、
見比べたいところですが、残念ながら今年は哀れな姿だったのが、
多分もう終っていると思います。
また来年、復習に訪問します(笑)
by 703 (2015-11-11 22:18)
703 さん コメントありがとうございました。
花が終わっても刈り取ってなかったら、まだ萼が残っているはずですから見てみてください。
でも「風の通る庭」さんのは過去の画像からセキヤノアキチョウジですね。
アキチョウジの自生地にもの園芸用にはセキヤノアキチョウジの苗が出回っているのでしょう。
by 夕菅 (2015-11-12 00:16)
一時は大きく育って栄華を誇った?我が家のアキチョウジは今にも消えそうになっています。
比べると、全体的にセキヤノアキチョウジの方が繊細で綺麗だな~という印象です。
お庭に両方って、贅沢ですね♪
結実率が違うのは不思議ですね。
by とんとん (2015-11-12 22:34)
九州の山で群生のアキチョウジに出会ったことがありました。
その時はアキチョウジの名しかしりませんでした。こうして二つを並べて説明した頂くと、違いがよくわかりました。じっくり教わった説明を思い出しながら見ないと同じに見えてしまいそう。出会ったのは西日本ですので、たまたまアキチョウジだったのですね。秋を感じさせてくれる花で、野山で出会うとうれしくなる花です。二つともお庭でじっくりと眺められていいですね。以前いただいたことがあるはずですが、今年も見られませんでした。枯らしてしまったようです。
エライオソーム、初めて聞く語でした。甘い味がしてアリが巣の中に運んでいってくれるとか、
子孫の増やし方にもいろいろあるんですね。
by 花咲かばあば (2015-11-12 22:53)
とんとん さん コメントありがとうございました。
関屋(箱根)よりさらに東の関東で「栄華を誇っていた」アキチョウジ、何故消えそうになっているのでしょう?
確かに庭に植えるならセキヤノアキチョウジの方が映えるかもしれません。
うちのアキチョウジはこれからどうなるのか、また見守ってみます。
by 夕菅 (2015-11-12 23:33)
花咲かばあばさん コメントありがとうございました。
アキチョウジの群生、見てみたいものです!
この庭ではセキヤノアキチョウジは相性が良いようです。
アキチョウジがどうなるのか、植えたからには経過も追ってみたいと思います。
エライオソームはスミレで知りましたが、その他にもカタクリ、ケマンソウの仲間、ホトケノザなど多くの植物に観察されていうようです。
セキヤノアキチョウジについては明らかな文献がありませんから、まだ「?」です。
by 夕菅 (2015-11-13 00:04)