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ツキミソウ  [草花(夏)]

ツキミソウ
 月見草
 アカバナ科マツヨイグサ属に属する2年草または多年草
     (2016.10.2. 追記:この庭では1年草でした。)
 学名:Oenothera tetraptera
 別名:つきみぐさ、白花夜咲月見草
 原産:メキシコ
 花期:5〜9月

月見草というと一般には黄色い花が咲くマツヨイグサ(待宵草)を思い浮かべます。
しかし標準和名ツキミソウは夜、白い花が咲くマツヨイグサ属の一種です。
そのツキミソウは江戸時代、マツヨイグサと同じ頃に園芸植物として渡来したものの、繁殖力や適応性が弱いため野生化せず、また園芸植物としても普及しませんでした。
しかし愛好家の間では大切に育てられてきたらしく、今年はその貴重な種子をいただくことができました。

粉末かと思うほど細かい種子でした。
春分の頃種を蒔き、発芽はしたもののなかなか大きくならず心配しました。
5月24日、はじめて大きな蕾を発見!
ツキミソウ蕾1wb.jpg

紅い縁取りのある萼片が蕾を包み込んでいました。
続く萼筒の下の子房は細かい毛に覆われています。
夕方6時半、萼片の隙間から白い花弁が伸び出してきました。
ツキミソウ2015蕾3wb.jpg

7時少し前、花弁がゆっくり開き始めました。
ツキミソウ0525蕾1wb.jpg

蕾にカメラを向けている最中、突然むくむくと花弁が広がり始めました。
慌ててパシャリ。
ツキミソウ0526開花直後花粉wb.jpg

7時過ぎると小さなヘッドライト(LED 電灯色)を点けて撮ります。
後ろのピンクの花は零れ種から広がったモモイロヒルザキツキミソウです。
ツキミソウの葉の方がやや幅広く明るい緑色です。
明るすぎて虫喰いの穴まで見えます。ハムシ(?)にしっかり食べられています。
ツキミソウ株wb.jpg

2花揃って開花。
ツキミソウ0526-2wb.jpg

左はモモイロヒルザキツキミソウ。
ツキミソウの花はモモイロヒルザキツキミソウより少し大きく直径7〜8cmあります。
ツキミソウ0525-3wb.jpg

9時頃、全開の花弁は輝くような純白。
4枚の花弁、大きく4裂した薄黄緑色の柱頭、クリーム色の雄しべ8本。
ツキミソウの花wb.jpg

11時半、深夜の花。
花弁が大きくなり包み込む気配です。柔和な白色。
ツキミソウ0525深夜5wb.jpg

5月28日、1株5花の豪華版。
虫喰いの葉が被さったのが残念でした。
ツキミソウ0528宵光5花wb3.jpg

朝はどうなっているのでしょう。
7時、白かった花はすでにピンクに変わっていました。
花弁は閉じて萼が反転、スカーフを結んだよう。左はヒルザキツキミソウの花です。
ツキミソウ201505260707wb2.jpg

8時頃、朝日が当たって逆光に輝くヒルザキツキミソウ。
草丈はヒルザキツキミソウの方が大きく、ツキミソウの倍くらいあります。
一番下の萎んだ2花がツキミソウ。
ツキミソウ株朝日wb.jpg

花は何時頃ピンクに変わるのでしょう。
自庭とはいえ深夜何度も庭に出るのはあまり気持ちの良いものではありません。
ベランダのプランターに1株移植して観察することにしました。
こうすると居間から写真が撮れます。
6時、夕暮れとともに蕾が解け始めました。
ツキミソウ鉢蕾3本wb.jpg

6時半、半開。
萼片も反転しかかっています。
ツキミソウ0528鉢蕾wb.jpg

開花直後の花、花粉はヒルザキツキミソウと同じように糸を引いていますが少な目です。
(画面をクリックすると見やすくなります。)
ツキミソウ開花直後雄しべ糸0528wb.jpg

9時頃、開いた花を真横から見ると雌しべが高く突き出て4裂していることがわかります。
右のぼけた塊は3日前に咲いた花の子房、もうかなり大きくなっています。
ツキミソウ真横wb.jpg

1時頃、花弁は淡いピンクに染まり内へ巻き始めているように見えます。
ツキミソウ05300104wb.jpg

2時、花弁の色は辺縁がやや濃くなり張りが失われつつありますが、まだ柱頭には艶があり、花粉も糸を引いています(画面をクリックすると大きくなります)。
徹夜はしません。もうこれでおやすみなさい。
ツキミソウ201505290147wb3.jpg

朝7時、まだ開いているような花もありました。
ツキミソウ朝2wb2.jpg

朝9時、そろそろお別れ、ピンクが濃くなり花は萎れていきます。
萼片のスカーフが粋ですね。
ツキミソウ0521閉花3wb.jpg

小さなポットに蒔いた種が芽生えたもののなかなか大きくならなかったため、花壇に植えました。
するとたちまち大きく育って美しい花を見ることができました。
初花が咲いてから今日でちょうど1週間、ツキミソウに取り憑かれて朝な夕なに、いえ深夜まで花壇を行ったり来たり。
仕事の多忙さと相俟っていささか疲れましたのでここで小休止としました(笑)。
これからできる種子はまたモモイロヒルザキツキミソウのように雨滴散布しそうです。
また一緒に見ているとモモイロヒルザキツキミソウとの比較もしたくなりました。
またのお楽しみとさせていただきます。
コメント(16) 

コメント 16

多摩NTの住人

こんにちは。ツキミソウを育てていらっしゃるんですね。メマツヨイグサなどは良く見ますが、ツキミソウはまだ見たことがありませんでした。雨滴散布の様子は楽しみですね。
by 多摩NTの住人 (2015-06-01 08:18) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
ツキミソウは野生化してないし、夕方からしか咲かないので植物園でも普通では見られないでしょうね。
ツキミソウの雨滴散布もまた観察したいと思っています。
by 夕菅 (2015-06-01 12:39) 

花咲かばあば

高貴で清楚ななんと美しい花、初めて見ました。
時間の経過とともに色が変化していく様子やヒルザキツキミソウとの違いも見せていただきました。
多年草、二年草ですと来年も同じ株から花が見られるんですね。
貴重な種を分けていただいて、種蒔きをしましたが、それから二か月近い月日がながれました。米粒ほどの二葉のまま、待てど暮らせど変化はありません。最近その中に何かの種が飛び込んで芽がでたら、それはあれよとおもう間に大きく育っていますのに。
ツキミソウは成長が緩やかと解説されてもいますが、、、、。
古くに日本に入ってきたようですが、ほとんど目にしないのも、野生化もしないのもうなづけます。
ヒルザキツキミソウやアカバナユウゲショウは困るほど勢いよく拡大しています。
もう少し待ってみることにします。
深夜の二時までの観察、くれぐれもお気をつけください。

by 花咲かばあば (2015-06-01 21:51) 

夕菅

花咲かばあば さん コメントありがとうございました。
挿し木も種まきも先輩なのに今度は私の方が運が良かったようですね。
江戸時代から多くの先人が繁殖を試みられたのではないかと思います。
にも関わらず成功しなかったのですからかなり気むづかしい植物なのでしょう。
画像はヘッドライトとフラッシュで眩しいほどですが、今頃の月明かりではぼーっと白く見えるだけです。
雌しべ雄しべなどはパソコンに取り込んでからの観察です。
大げさにかきたてて申し訳ありません。
by 夕菅 (2015-06-01 23:23) 

703

白のツキミソウは貴重な花だったのですね。
そうとも知らず、いただいたのをテキトーに植えて、
2年ぐらいは花を見たものの、いつの間にか消えていました。
清楚で、好きだったのですが、仕事の忙しい頃でした。
今なら育てられたかもしれないのに!

ガクの動きが面白いですね。
夕菅さんの観察眼をして初めて気づかせてもらうことです!

by 703 (2015-06-02 01:01) 

エフ・エム

ヒルザキツキミソウは野原に出て野生化しているものをよく見ます。やはり繁殖能力からすれば、昼も咲いている方が受粉の機会も多く有利なんでしょうか。ツキミソウは朝、赤くしぼんだ姿にも風情がありますね。
by エフ・エム (2015-06-02 10:14) 

panda

夕菅さん、こんにちは
ツキミソウはまだ見たことがないので興味津々で見せてもらいました。花の色がピンクに変わるというのもはじめて知りました。夜中まで観察してくださってありがとうございます。みたいところ全部見せていただいたって感じです。
ヒルザキツキミソウもかわいいけれど、ツキミソウは格別な感じがします。
by panda (2015-06-02 12:22) 

夕菅

703 さん コメントありがとうございました。
前に育てられたことがあったのですね。
この花は忙しい時はよほど思い入れがないと観察できません。
夕食どきに咲いてもう夜は懐中電灯でも持っていかないと見られないのですから。
でも一旦虜になると毎晩でも見に行きたくなりますよ(笑)。
来年も再来年も咲かせられるかどうかが課題です。
by 夕菅 (2015-06-02 18:05) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
私がツキミソウの花の存在を知ったのはエフ・エムさんの記事からでした。
今年はこの花をこの目で見ることができて幸せです。
並べて見るとヒルザキツキミソウのほうが咲く時間はもとより、蕾の数も花粉も昆虫の来訪も多いことがわかります。
朝の萎み方はその日、その花によってまちまち。風情が楽しめますね。
by 夕菅 (2015-06-02 18:32) 

夕菅

panda さん コメントありがとうございました。
ツキミソウはまだご覧になってなかったのですね。
この花は自宅で育てて蕾が開くところから萎むまでを順次見て楽しんでいただきたいと思います。
でも種子を播いてもうまく育たないこともあるようです。
初体験で花が見られて幸いでした。
おきゃんなヒルザキツキミソウよりおっとりふくよかです。

by 夕菅 (2015-06-02 18:45) 

宇治のヒカルゲンジ

夕菅さんが御苦労されているのを読み、以前京都植物園で昼夜逆転室でツキミソウの花を見たのを思い出しました。
 ヒルザキツキミソウが日本では結実しない、する?を調べていたら昨年の夕菅さんの記事に行きつきました。その記事の中で雨滴散布のことを知り
早速近所のアカバナユウゲショウで確認しました。本当に面白いですね。

 今私の観察中の野生のヒルザキツキミソウが結実するか、雨滴散布が確認できるか楽しみです。
by 宇治のヒカルゲンジ (2015-06-02 21:07) 

夕菅

宇治のヒカルゲンジさん コメントありがとうございました。
京都府立植物園には「昼夜逆転室」があること、教えていただいてありがとうございました。
今、検索してYou Tubeなど見てきました。
月下美人、バオバブ、ツキミソウ、サガリバナ、カラスウリ、ヨルガオ、ドラゴンフルーツなどたくさんの珍しい植物が育てられていました。
「野生のヒルザキツキミソウ」についてはよくわかりません。
どうぞまた教えてください。
by 夕菅 (2015-06-02 23:09) 

とんちゃん

月見草といったらこの純白の美しい花だったのですね!
そんなことちっとも知らなくて・・・
黄色のマツヨイグサとばかり思っていました。
この清楚な白なら「♪待~てど 暮らせど 来ぬ人を」にふさわしいなと思いました。
粉末状の種子から育てられて感慨深いでしょうね
ひと花が大ぶりで次第にピンク色に染まるところもなんとも愛らしく見えます
ひと花で何度も感動を味わえてステキ♪
by とんちゃん (2015-06-03 12:41) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
私もツキミソウについて知ったのは昨年からです。
画像を見て一度は見たいと思った花を今年はたくさん見られて幸せでした。
竹久夢二の「宵待草」はこの白いツキミソウではなく、黄色のマツヨイグサだったのかもしれませんね。
今朝は雨でしたからベランダの花は余りしぼまないままピンクになっていました。
小石川植物園にも「昼夜逆転室」があるといいですね。


by 夕菅 (2015-06-03 21:47) 

りんちゃんママ

名前からして優しそうで可憐な花ですね。種まきから長丁場の観察でとてもご苦労が察しられますがとてもワクワクして興味をそそる花の変化に魅せられます。来年も再来年も咲くといいですね。今年はだめかなと思っている時土から小さな芽が出ている時の嬉しさはなんとも言えませんね。
by りんちゃんママ (2015-06-08 23:57) 

夕菅

りんちゃんママさん コメントありがとうございました。
お彼岸に種を蒔いてからしばらくして双葉が出たものの1ヶ月間そのままで本葉がでないため焦りました。
でも蕾が出来始めたあとは早い早い!大きな花で驚きました。
「今年はだめかなと思っている時.....」実感がこもっていますね。
全く同感です!
by 夕菅 (2015-06-09 21:44) 

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