コフキサルノコシカケ [その他の植物]
コフキサルノコシカケ
ヒダナシタケ目マンネンタケ科
学名: Ganoderma applanatum
世界に広く分布。広葉樹の生木や枯木に発生。
多年生。大きいものでは幅50cmにも発育。
2014年 8月 3日。
モモの幹の下の方に突如生え出したきのこはサルノコシカケでしょうか?
昨年この桃の木にはテッポウムシが入りました。
業者の方に駆除してもらいましたが、サルノコシカケが着くのは枯れる前兆かと心配です。

ところでこれは本当に「サルノコシカケ」でいいのかと調べると・・・意外や意外!
サルノコシカケ科はあってもサルノコシカケという種はないと!
このきのこはコフキサルノコシカケのようです。
しかも、サルノコシカケ科ではなくマンネンタケ科!
傘の表面には灰白色から茶褐色の年輪状の環紋が波模様のように広がり、外縁は白く縁取られています。

真正面から見ると下面も真っ白で柔らかそう。
きのこの記載は初めてで用語が全くわかりません。
まず、このきのこ全体を子実体と呼びます。
傘の下の白い部分は子実層托で胞子を形成します。
子実層托は典型的には管孔状だそうですが、ヒダ状のきのこが多いためか コフキサルノコシカケは「ヒダナシタケ目」です。

9月7日。
褐色調が増して外縁の白色の部分が狭くなっています。
大きさ幅約10cm、奥行き6cm。中心部に細かい亀裂が見られます。

9月18日。
全体に褐色の濃淡になり、外縁部にまで4本の深い亀裂が入りました。
よく見ると傘の褐色の濃い部分や幹の樹皮にはココアの粉を撒いたように見える部分があります。
これがコフキサルノコシカケの特徴ですが、典型例ではもっと顕著です。
ホースで散水する時流してしまったのでしょうか? 予備知識がなかったので好機を見逃し、胞子を顕微鏡で見ることもできなかったことが悔やまれます。

9月28日。
胞子の放出も終盤のようです。それにしても傘の下で放出された胞子が傘の上にたくさん付着するのがふしぎです。
それは「放出された担子胞子が子実体と異なる極性に帯電しており、いったん空気中に放出された胞子が子実体にもう一度引き寄せられる」からだそうです。
(吹春俊光.2008.菌類のふしぎ 国立科学博物館編 58. 東海大学出版会)

10月23日。
ココア色は薄れ、再び白っぽく乾燥した感じになりました。

11月11日、さらに灰色がかってきました。
きのこは一つだけで多発しなかったから桃は枯れないかもしれませんね。

2015年 1月12日、灰色が濃くなりすっかり硬くなりました。
とんと叩いたら落ちるかと思いましたが、とんでもない! かんかんです。

下面はどうなっているのでしょう。
低くて覗けないのでコンデジで下から写しました。

管孔面は細かい穴の空いたプラスチックのように見えます。

これで「コフキサルノコシカケ」を終了しようとした時、また新たな情報を見つけました。
コフキサルノコシカケによく似た オオミノコフキタケ Ganoderma tornatum があり、むしろ平地ではこの可能性が高いというのです(丹沢大山総合調査学術報告書 (2007) )。
その鑑別にはきのこの断面を作らねばなりませんし、それでも確定できるかどうかわかりません。
今や硬くて叩いても剥がれないため鋸で挽くしかなさそうですが、このきのこがこれからどうなるのかも見たいし、桃の木も傷めたくないのでこれまでとしました。
2006年、我が家のシンボルツリーであったケヤキが枯れて伐採した後、切り株に大きなサルノコシカケのようなきのこが発生しました。

これはカイメンタケ(サルノコシカケ科カイメンタケ属)の写真と似ていますが、確定するのは難しそうです。

「コフキサルノコシカケは以前はコフキサルノコシカケ属として別種に分類されることが多かったが、現在では胞子の形状からマンネンタケ属に含めることが多い」(服部 力. 1997. 朝日百科 キノコの世界 95. 朝日新聞社)そうです。
一般に不老長寿の薬サルノコシカケといわれる生薬は大量生産ができるマンネンタケ(和名:霊芝(れいし))が主原料といわれています。
『追加』コフキサルノコシカケやサルノコシカケ科の菌は木材腐朽菌の一つで、古木や木製建造物などを腐らせることがあります。
この庭においた陶卓下面の板が腐ったときもサルノコシカケ型のきのこが多発しました。
簡単そうだと思ったこのきのこも調べるほど難しくなりたいへんでした。
誤りがありましたらお教え頂けますようお願いいたします。
ヒダナシタケ目マンネンタケ科
学名: Ganoderma applanatum
世界に広く分布。広葉樹の生木や枯木に発生。
多年生。大きいものでは幅50cmにも発育。
2014年 8月 3日。
モモの幹の下の方に突如生え出したきのこはサルノコシカケでしょうか?
昨年この桃の木にはテッポウムシが入りました。
業者の方に駆除してもらいましたが、サルノコシカケが着くのは枯れる前兆かと心配です。

ところでこれは本当に「サルノコシカケ」でいいのかと調べると・・・意外や意外!
サルノコシカケ科はあってもサルノコシカケという種はないと!
このきのこはコフキサルノコシカケのようです。
しかも、サルノコシカケ科ではなくマンネンタケ科!
傘の表面には灰白色から茶褐色の年輪状の環紋が波模様のように広がり、外縁は白く縁取られています。

真正面から見ると下面も真っ白で柔らかそう。
きのこの記載は初めてで用語が全くわかりません。
まず、このきのこ全体を子実体と呼びます。
傘の下の白い部分は子実層托で胞子を形成します。
子実層托は典型的には管孔状だそうですが、ヒダ状のきのこが多いためか コフキサルノコシカケは「ヒダナシタケ目」です。

9月7日。
褐色調が増して外縁の白色の部分が狭くなっています。
大きさ幅約10cm、奥行き6cm。中心部に細かい亀裂が見られます。

9月18日。
全体に褐色の濃淡になり、外縁部にまで4本の深い亀裂が入りました。
よく見ると傘の褐色の濃い部分や幹の樹皮にはココアの粉を撒いたように見える部分があります。
これがコフキサルノコシカケの特徴ですが、典型例ではもっと顕著です。
ホースで散水する時流してしまったのでしょうか? 予備知識がなかったので好機を見逃し、胞子を顕微鏡で見ることもできなかったことが悔やまれます。

9月28日。
胞子の放出も終盤のようです。それにしても傘の下で放出された胞子が傘の上にたくさん付着するのがふしぎです。
それは「放出された担子胞子が子実体と異なる極性に帯電しており、いったん空気中に放出された胞子が子実体にもう一度引き寄せられる」からだそうです。
(吹春俊光.2008.菌類のふしぎ 国立科学博物館編 58. 東海大学出版会)

10月23日。
ココア色は薄れ、再び白っぽく乾燥した感じになりました。

11月11日、さらに灰色がかってきました。
きのこは一つだけで多発しなかったから桃は枯れないかもしれませんね。

2015年 1月12日、灰色が濃くなりすっかり硬くなりました。
とんと叩いたら落ちるかと思いましたが、とんでもない! かんかんです。

下面はどうなっているのでしょう。
低くて覗けないのでコンデジで下から写しました。

管孔面は細かい穴の空いたプラスチックのように見えます。

これで「コフキサルノコシカケ」を終了しようとした時、また新たな情報を見つけました。
コフキサルノコシカケによく似た オオミノコフキタケ Ganoderma tornatum があり、むしろ平地ではこの可能性が高いというのです(丹沢大山総合調査学術報告書 (2007) )。
その鑑別にはきのこの断面を作らねばなりませんし、それでも確定できるかどうかわかりません。
今や硬くて叩いても剥がれないため鋸で挽くしかなさそうですが、このきのこがこれからどうなるのかも見たいし、桃の木も傷めたくないのでこれまでとしました。
2006年、我が家のシンボルツリーであったケヤキが枯れて伐採した後、切り株に大きなサルノコシカケのようなきのこが発生しました。

これはカイメンタケ(サルノコシカケ科カイメンタケ属)の写真と似ていますが、確定するのは難しそうです。

「コフキサルノコシカケは以前はコフキサルノコシカケ属として別種に分類されることが多かったが、現在では胞子の形状からマンネンタケ属に含めることが多い」(服部 力. 1997. 朝日百科 キノコの世界 95. 朝日新聞社)そうです。
一般に不老長寿の薬サルノコシカケといわれる生薬は大量生産ができるマンネンタケ(和名:霊芝(れいし))が主原料といわれています。
『追加』コフキサルノコシカケやサルノコシカケ科の菌は木材腐朽菌の一つで、古木や木製建造物などを腐らせることがあります。
この庭においた陶卓下面の板が腐ったときもサルノコシカケ型のきのこが多発しました。
簡単そうだと思ったこのきのこも調べるほど難しくなりたいへんでした。
誤りがありましたらお教え頂けますようお願いいたします。
2015-01-26 23:04
コメント(13)
桃の木に生えてきたキノコですか!!!
先日桜の木に丁度これと同じようなものを見ました。
コフキサルノコシカケ・・・なんともややこしいですね
キノコそのものが複雑で名前のことも生態のことも難しすぎます~
ひび割れもして色もだいぶ変わりましたね
果たして正解はどうなんでしょうね・・・
私が見たのは末広がりというのでもなかったのですが全体の様子が似ています
触ってみたらとても硬くててこでも動きそうもなくハンマーでたたいてもびくともしないくらいの硬さ
それでキノコなのかどうかも分からないと思いながら帰ってきました。
by とんちゃん (2015-01-27 08:13)
サルノコシカケ類を含めて、キノコの種の同定は難しいです。かたちが単純なので、かえって特徴がつかみにくいです。高等植物の方が葉、茎、花とあって、それぞれ特徴があるのでまだしも分かりやすいです。
写真を見せていただいて、コフキサルノコシカケはなんとなく分かりそうな気がしました。
木材腐朽菌のようですので、モモが心配ですね。
by エフ・エム (2015-01-27 09:04)
とんちゃん コメントありがとうございました。
コフキサルノコシカケは丁度ココアのような粉(胞子)を飛ばしていればわかりますが、それだけではオオミノコフキタケとは鑑別できないようです。
桜や梅の木にもできるようです。
ご覧になったのはもう硬くなってからだったのですね。
実は私も持っていた剪定ばさみで叩いたのですが傷もつかず、却って桃の木が傷ついてしまいました。
by 夕菅 (2015-01-27 12:18)
エフ・エム さんコメントありがとうございました。
時々見かけるサルノコシカケ、これならさらっと書けるかと思いましたが難航しました。
木材腐朽菌であること、書き落としましたので追加しました。ありがとうございました。
この桃は無農薬の実験木で、葉や果実を虫に食べられたり、摘果不足で撓んで折れたり、幹にテッポウムシが入ったりしてもまだ生き延びていますがやはりさすがに晩年でしょうか?
稀に残る完熟の果実のおいしさは格別ですから生き延びて欲しいのですが。
by 夕菅 (2015-01-27 12:34)
枯れた木にこんなのができます。
友だちがサルノコシカケやのに置いとき、と言いますが、
こんなんサルノコシカケじゃないやろと、思っていた私の方が、正解?
キノコは難しいのですよね。
間違って毒キノコを食べることもありますね。
“ヒダ ナシ タケ”だけは覚えられそうです(笑)
by 703 (2015-01-27 20:35)
703 さん コメントありがとうございました。
そもそも「キノコ」?・「きのこ」? そんなことから悩みました。
専門書がそれぞれ1997年「キノコ」・2008年「きのこ」なのです。
でも新しい方は「菌類」として「カビ・酵母・きのこ」をまとめてありました。
毒きのこを食べられたのですか? これは怖いことですよ!
ひだの有る無しは分かりやすそうですが、また中間みたいなのがあって困るのです。疲れました¡
by 夕菅 (2015-01-27 22:53)
サルノコシカケは子供の頃の図鑑で知っていましたが、今まで詳しく見たことはありませんでした。大変興味深く拝読させていただきました。機会があれば私も撮ってみたいと思います。
by 多摩NTの住人 (2015-01-28 08:20)
多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
そのうちきっとお目に止まると思います。
ココアの粉のような胞子がたくさん見られるといいですね。
うちのはこれからどうなるのか、経過を見てみようと思っています。
by 夕菅 (2015-01-28 13:39)
サルノコシカケ科なんですね。コフキサルノコシカケですか。特にブナの樹にできると聞いていました。それも非常に発生量も少ないと、、、。
モモの木にできましたか。それでは、うちの庭のスモモの木にできているのもこれなんでしょうか。5年ほど前に切った切り株です。観察してみるととてもよく似ています。さわってもとても固いです。でも一つ古い?のが落ちていました。自然にはがれていくんでしょうか。キノコは倒木など朽ちた樹木でよく見られますね。
木材腐朽菌ですとモモの木が心配ですね。
でも落としてもあまり意味はないとも書かれた文献もありました。
梅の木にでるものは珍重だとも、、、、。キノコの確定は難しいですね。むやみに口にいれないでおきましょう。
by 花咲かばあば (2015-01-29 15:53)
花咲かばあば さん コメントありがとうございました。
お庭ではスモモの木の切り株に出来ていますか。
確か5年前ツバキを見に行った常満寺ではサクラの古木に出来ていましたね。
やっぱりきのこはむつかしいとつくづく思いました。
モモの木がこのコフキサルノコシカケに負けないよう祈っています。
by 夕菅 (2015-01-29 22:37)
「夕菅の庭」ですから、キノコも当然登場ですね。
ハナセンナの幹に茶色の半透明の水っぽいキノコが発生したことがありましたが、気持ち悪くて取って(一応撮って)捨てました。(汗)
4,5,6は貝殻の様です。
キノコの胞子を出し続ける様子を写真に撮れると綺麗でしょうね。
微かな風でもふわっと上に登るのでしょう。
by とんとん (2015-01-30 20:37)
とんとん さん コメントありがとうございました。
やはり庭にもいろいろ出てきますが、このこは同定が難しくて記事にはできません。
キノコの胞子を出し続ける様子は埴沙萠さんがきれいに撮られてNHKの番組にもなりましたね。ただただうっとりでした。
by 夕菅 (2015-01-30 22:39)
サルノコシカケという名前は以前耳にした事が有りますが調べるととても奥が深いですね。腐りかかった木によくきのこを見ますが詳しく観察したことが無くこれからはよく見たいと思います。先週の木曜日初めて我が家で霜柱を見ることができました。記念写真を撮りました。ぐっと冷える朝が楽しみです。
by リンちゃんママ (2015-02-01 21:24)