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トウワタ [草花(夏秋)]

トウワタ
   唐綿
 キョウチクトウ科トウワタ属(←ガガイモ科)の多年草(日本では1年草)
 学名: Asclepias curassavica
 原産地:熱帯アメリカ
 花期:夏〜秋
 草丈:1〜2m

熱帯原産のトウワタは寒さに弱く日本では冬越ししにくいようですが、この1株だけはここ数年毎年咲いています。
今年は遅くから芽を出して秋から咲き初め、もう霜も降り雪も少々降ったのにまだ花が残っています(12月9日)。
トウワタ1209-1wb2.jpg
12月7日、紅葉を撮りに庭に出るとトウワタの花と果実に気付きました。
夏の花は鮮やかな黄色と赤でもっと派手ですが、今では花も葉もくすんでいます。
トウワタ2014wb.jpg

橙色の花冠裂片が5枚、小さな萼片も5枚。
中心の蕊柱の先端に黄色い副花冠裂片が5個。
これはフードと呼ばれ、5本の雄しべを包囲しています。
トウワタ1208-2wb.jpg

副花冠の内側に突き出るのは角(つの)と呼ばれる突起。
蕊柱の頂上を柱冠といい、紅白のぼけた模様は雄しべの葯。
黒っぽい点状のものが花粉塊のクリップです。
トウワタの花の構造は前に書いたフウセントウワタとよく似ています。
トウワタ1209-5wb.jpg

クリップを見つけるとまた花粉塊を取り出してみたくなります。
花を採取し、副花冠を2個除去しました。
クリップの下の隙間は蜜を貯めるところです。
トウワタ花粉塊1wb.jpg

針の先でクリップの下部を持ち上げるようにすると、花粉塊が出てきました。
蜜を求めて来た昆虫の脚に花粉塊が引っ掛かって他花に運ばれる仕組です。
トウワタ花粉塊3wb.jpg

花粉塊は粘着性があるため針に付くとなかなか離れず、無理するとちぎれてしまいます。
やっと1組、紙の上に乗りました。 長さ1.5mmくらいです。
トウワタ花粉塊4wb.jpg

下の方の果実は裂けて種子が飛び始めていました。
フウセントウワタとは異なり細長い果実です。
トウワタ1207-2wb.jpg

綿毛というより輝くような絹毛(種髪)が付いた褐色の種子。
トウワタ1209-3wb.jpg

風が強くなくて幸いです。
トウワタ1209-4wb.jpg

隣のランタナの葉に引っ掛かってゆーらゆら。
トウワタ1207-1wb.jpg

うわっ! 急に風が吹いて隣の道路まで飛んで行ってしまいました。
トウワタ綿毛路上wb.jpg

夏に咲いた賑やかな花を画像ストックから探しました。
こちらの方がトウワタらしい姿です。
反り返った花冠が楽しい。(2008.7.31.)
トウワタ080731-1wb.jpg

副花冠の角が封印するかのように中心に集っています。(2008.7.31.)
(どの画像も画面をクリックすると大きくなります。)
トウワタ080730wb.jpg

角が開いて柱冠の雄しべの葯(ピンク色)が5つづつ見えています。
花粉塊のクリップも揃っています。(2012.5.20.)
トウワタ20120520wb.jpg

果実は細長くカヤックのような形。
背面が縦に割れます。
葉も同じく細長い線形で対生。(2008.11.20.)
トウワタ果実081120wb.jpg

裂けたばかりの果実。
種子が鱗状に並び。種髪が飛び立とうとしています。
ガガイモと同じですね。(2009.8.23.)
トウワタ果実2009-1wb.jpg

キョウチクトウ科はガガイモの果実ガガイモの花フウセントウワタと記事にしました。
トウワタは初めて植えた2008年にヒメジュウジナガカメムシが付き驚きました。
このときはブログもなく花も虫もよくわからないまま、写真だけ撮ってありました。
それをやっと記事「ヒメジュウジナガカメムシは何故群れる」にできたのは2011年。
初めの株は種子を確認することなく枯れ、翌年植えた株が貧弱ながら毎年花を咲かせ、今年は種子が飛び立つところを撮る事ができました。
夏の花の写真が古くて不満ですが、これらがないとこの花の特徴がつかめませんので付加しました。

コメント(18) 

コメント 18

とんちゃん

花粉塊ってこうなっているのですね
これだけを取り出せるなんて目が疲れそうです~
でもきれいにはっきり見ることができました。
12月になってもまだ花が咲いていたのですね
花色はくすんでいても秋らしい色合いでこれはこれでシックでいいです~
日に当たった絹の毛が光っていますね!!!
これを見るだけで大満足♪ トウワタもガガイモもこれを見る楽しみがあるのでたくさん咲いてほしいです
by とんちゃん (2014-12-13 08:25) 

703

トウワタは色あせているのと、黄色いアブラムシがついているので、
先日地際から切ってしまいました。
アブラムシが必ずと言っていいほど付くのですが、
夕菅さんのところではそんなことありませんか?
うちではどれも多年草本来の姿で、庭のあちこちに広がっています。
花が可愛いのでそこそこ残すのです。

種の旅立ちの写真が、行儀よく順番待ちしているようで、面白い!
by 703 (2014-12-13 09:01) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
花粉塊を取り出すのは3回目。いつも目がしょぼしょぼになります。
トウワタの花は派手過ぎるのですが、ヒメジュウジナガカメムシがもう一度来ないかなと期待して植え直しました。
でも2年前はトウワタには付かず、フウセントウワタに来ました。
今年晩秋から咲いた花は今の私に合わせるかのように渋い色でしたからカメラを向けると、運良く種子も飛びつつあったのです。

by 夕菅 (2014-12-13 13:50) 

夕菅

703さん コメントありがとうございました。
やはり暖かい淡路島ではトウワタも多年草なんですね。
こちらは西風も強いので種子は遠くへ飛び去ってしまうのか自生することはありません。
黄色いアブラムシ、いっぱい付きます!
この2〜3年は花の写真を撮ろうとするとアブラムシが写ってしまうのでシャッターを押す気になれませんでした。
今年は遅かったせいかアブラムシがいないので撮れたのです。

by 夕菅 (2014-12-13 14:02) 

多摩NTの住人

こんにちは。
フウセントウワタは見たことがありますが、トウワタは見たことがありません。こんなに鮮やかな花色なんですね。興味深く読ませていただきました。
by 多摩NTの住人 (2014-12-14 18:35) 

花咲かばあば

育てたことのない花です。近くで眺めてこともない花でした。
花の色と形がなんともいえない可愛い花ですね。
種が行儀よく並んでいるさまも面白く見せていただきました。
種が風に乗って飛んでいくさまは素敵でしょう。追っかけていきたくなります。遠い遠い旅に出るんでしょうか?野で見ることはあまりありませんね。同じ科のガガイモは時々見つけることができますが、、、。
ヤナギトウワタとも言わないのかしらと検索してみましたら、二つは違ったものでした。ヤナギトウワタの方は葉が互生でした。
トウワタの茎は強い毒性があるということですので、なめてみないでくださいね。
ヤナギトウワタは薬草に使ったこともあるようですね。
今日は雪が一日中降りました。積もるほどではありませんでしたが、寒い寒い日となりました。


by 花咲かばあば (2014-12-14 20:35) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
さすがに熱帯の花という雰囲気です。
苗を買った年はさすがに熱帯の花とばかりに華やかでしたが、辛うじて宿根した翌年からは日本の風土に感化されたかのようにくすんできました。
by 夕菅 (2014-12-14 23:09) 

夕菅

花咲かばあばさん コメントありがとうございました。
えっ? 初めてでしたか?
そういえば園芸店では「アスクレピアス」の名札が付いている事もありますが、日本に来たのが1842年(天保13年)のようで「トウワタ」という和名をもらっています。
これを本文に追加しようと思ったのですが、何故かログインできません。???
ヤナギトウワタ Asclepias tuberosaは北アメリカ原産で寒さに強く葉は互生、花は橙~黄色だそうですが未だ見たことがありません。

by 夕菅 (2014-12-14 23:34) 

エフ・エム

私はトウワタには馴染みがないのですが、写真を見るととてもきれいな花をつけるのですね。見たことがあるのかないのか、よくおぼえていません。だだ、トウワタという名前は記憶にあります。記憶にあることはアスクレピンを含む毒草で、食べると危険なこと、北米にいるオオカバマダラの食草で、蝶自体もこの毒を含む個体があることで、鳥の餌にならないことなどです。
以前、コーネル大学の研究者が昆虫が食べると死ぬという遺伝子組換えトウモロコシの花粉をトウワタにまぶしてオオカバマダラの幼虫に食べさせたところ、半数近くの幼虫が死んだという発表をして、逆に批判を受けたということも記憶にあります。
そんな記憶があるのに、トウワタを見たことがないとは。これからは注意して見たいと思います。
by エフ・エム (2014-12-16 11:43) 

夕菅

そういえば私もうちの庭でしかトウワタの実物を見たことがありません。園芸店には苗で「アスクレピアス」のラベルを付けて販売されていました。
有毒とは知っていたのですが、オオカバマダラへの実験に使われ、非難を浴びる程強い毒性を示したとは要注意ですね。
ところが、ヒメジュウジナガカメムシはガガイモやフウセントウワタと同じくトウワタのミルクを吸って生きます。
一般の公園で植えられないのは毒性と関係があるのでしょうか。
by 夕菅 (2014-12-16 18:07) 

リンちゃんママ

トウワタの花を時系列でみるととてもおもしろいですね。可愛い色で綺麗な鮮やかな色で実際に見たことはないので来年は実物をみたいです。結構長く咲く花ですか?先日お庭に咲いていたのでしょうか?来年は花の構造を確認できればいいなと思います。写真を撮るためには手先が器用でないと無理ですね。細かい作業に感動してます。
by リンちゃんママ (2014-12-16 20:43) 

夕菅

この花は中庭ではなく東側の道路の近くで1本だけ咲いています。
個性が強過ぎてパステルトーンの中庭には植えられません。
今日は冷たい雨でどうなったのかしらと先程懐中電灯を持って見に行くと、真ん中は未だ蕾のまま寒風に翻弄されていました。
花粉塊の取り出しはやはり目と手の作業ですね。
(2日前からログイン出来ず悩んでいます。ブログ更新不能?)
by 夕菅 (2014-12-16 23:19)

→やっとログインできるようになりました。
by 夕菅 (2014-12-17 23:07) 

panda

こんにちは、夕菅さん。
長崎も寒い日が続いています。中途半端に暖かい地方は冬の暖房が一部屋だけなので、さぶい・・・です。
フウセントウワタは長崎ではあちらこちらで見かけちょっと気になる存在ですが、トウワタは個人のお庭でしかみたことがありません。でもガガイモ科の花は面白いのでそれだけで許せてるかも^m^なんて、しょうもないことを書いてしまいました。さて、コタツを出て活動します!
by panda (2014-12-18 11:39) 

夕菅

pandaさん コメントありがとうございました。
こちらは昨夜から雪になり、今朝は20cm程積もっていました。
昔は好きだった雪も雪かきを思うと悩みの種!
まだ手伝ってもらえる人達があってありがたいことです。
ブログも無い頃、ネットでガガイモの種髪を見て自分の眼で見たくなり、ガガイモの代用としてトウワタを植えました。
花は派手派手、果実より先にカメムシを見て驚きました。
by 夕菅 (2014-12-18 13:44) 

白竜 (はく りゅう)

おはようございます!
初めまして!
今年 初めて わが家の坪庭に、このトオバナが 顔を出しました!
鳥が運んで来たのだろうと想像しています。
花が咲き・・・やっと名前が判ったので、「トオバナ」で検索したら 貴BLOGがヒットしました!
説明文が お詳しいので、このページをリンクさせて頂きました!
よろしくお願いします♪(^^) 
by 白竜 (はく りゅう) (2018-08-04 06:52) 

夕菅

白竜さん 初めまして!
お庭に生えたのは「トウワタ」ですね。
綿毛のついた種子が風に乗って飛んできたのかと思います。
「トウバナ」はシソ科の植物ですが私はまだ本物を見たことがありません。
トウワタは順調に育つと晩秋綿毛が見られますのでまた楽しんでください。
by 夕菅 (2018-08-04 23:25) 

白竜 (はく りゅう)

夕菅さま  おはようございます!
Re_コメント ありがとうございます m(_ _)m
北関東に引っ越されたようですが・・・以前お住まいの所は、広大な御庭だったようで、植物から昆虫まで 沢山の種類が見られたのですね!d(^^) 

今は、ブログは おやめになったのでしょうか!
自然観察をしながら歩くことは 健康に良いと思われますので、可能でしたら自然観察をされ・・・『北関東の自然の中で・・・』^^;;の、ブログ再開を お願いしま〜す♪(^^) 
by 白竜 (はく りゅう) (2018-08-05 08:44) 

夕菅

白竜 さん 再度のコメントありがとうございました。
転居は9月、猛暑の中、引っ越し準備に明け暮れています。
またブログが再開できればいいのですが...........?
お励まし、ありがとうございました。


by 夕菅 (2018-08-05 23:11) 

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