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アニソドンテアの果実 [花木(冬)]

アニソドンテア
アオイ科アニソドンテア属の低木
  南アフリカ原産

この花は2011.11.21.「アニソドンティア・ピンククイーン」というタイトルで記事にしました。
今年初めてこの花の種子を確認し、補遺として追加するつもりでした。
ところが改めて検索してみると、最近はアニソドンティアではなく属名のまま「アニソドンテア」といわれているようです。
また2011年に和名・学名を参考にしたサイトも消去されていました。
この花はAnisodontea capensis の栽培種かと思っていましたが、筑波実験植物園などで撮られたAnisodontea malvastroides の画像にもよく似ています。
WikipediaによればAnisodontea属は南アフリカにAnisodontea capensis・Anisodontea malvastroidesを含む21種があるそうです。
悩んだ末、今回は「アニソドンテア」として今年初めて出来た種子を報告します。

アニソ20141127-1wb2.jpg

小径の左右にⅠ株づつ残ったアニソドンテアが今年は5月に満開を迎えました。
左は4年前植えた苗、右は挿し木して得た2世です。
アニソドンティア2014-5wb.jpg

この2世は家の南側に植えたのが幸いしたのか、よく育って今年果実をつけました。
アニソドンティア2014-1wb.jpg

花の大きさは3cmくらい。
アニソドンテアの中では最も淡く桜を連想させる花色で、サクラアオイの別名も頷けます。
花がらが残らないのですっきりしています。
アニソドンティア2014-3wb.jpg

咲かんとする蕾と花弁が落ちて萼に包まれた若い果実。
アニソ蕾果実wb.jpg

2011年に書いたように花は雄性先熟、この花は雄性期でまだ雌しべは出ていません。
アオイ科の花は1日花が多いのですが、この花は数日間咲きます。
下は若い果実。
アニソドンテア実るwb.jpg

花持ちが良く生け花にも重宝です。
花瓶に活けてあった花が平開していましたので正面から撮りました。
花の直径3.5cm。雄しべだけの雄性期。
アニソドンテアには多くの栽培品種があり、花弁の大きさ、色、紅い筋模様などが微妙に異なります。
アニソ花全開1wb2.jpg

(画像追加 12月4日)
同じ花の3日目、雌性期が終わる頃。雌しべが開き花弁が萎れ始めました。
アニソ1204wb2.jpg

昆虫にも人気があり、寒くなったのにセイヨウミツバチがいつも来ています。
花粉を運ぶ役目はしっかり果たしているようです。
今までもミツバチはたくさん訪れていましたのに果実を結ばないのが不思議でした。
アニソ20141127ミツバチ2wb.jpg

萼が褐色になると完熟です。
アニソ果実枝5wb.jpg

果実は直径約1cmの乾果。萼が開いて鞘のような構造がたくさん見えます。。
このような果実を分離果というようです。
アニソ果実5wb.jpg

萼を守っていた毛はなお健在。
中軸のまわりに10個以上の分果が並んでいます。
アニソ果実1wb.jpg

枯れた果実を3個採って分果を取り出しました。
それぞれ10個、11個、13個の分果が出てきました。分果は雌しべと同数だそうです。
なんとも不思議な形をしています! 
アニソ種子3wb.jpg

(12月4日、エフ・エムさんからいただいたコメントで誤りがあるのに気付き、
訂正追加しました。ご指摘ありがとうございました。)

上半分だけブーツのように開いています。
鞘の中に種子があるのかと思って逆さにしても何も落ちてきません。
アニソ種子6wb.jpg

分果の下半分は襞があってアンモナイトのかけらのようです。
大きいもので3x4mm。
アニソ種子5wb.jpg

固くて割れないかと思った小さな実ですが何とか種子が1個転がり出ました。
ということは皺の部分は果皮だったのですね。
種子は1mm強で真ん中にくびれがあります。
アニソ種子4wb.jpg

比較のため隣でたくさん実を付けているヤノネボンテンカも試してみました。
こちらは5分果で、5mm程の皺のある黒褐色の果実の中に、茶色の種子が1個入っていました。
アニソドンテアではこの黒褐色の果皮の上半分が裂け、下半分に皺が多いだけですね。
ヤノネ果実wb.jpg

こんな変った種子はどうしてできるのか知りたくて若い果実の萼を開いてみました。
緑色の若い分果が放射状にびっしり並んでいます。
アニソ若い果実wb.jpg

上半分を崩すと若い分果が転がり出ました。
みかんの房のようですがもうかなり固くなっています。
アニソ種子4wb2.jpg


葉は互性で深い切れ込みと鋸歯があります。
やや白っぽい艶のない葉の深い色が花を引き立てます。
アニソ葉wb.jpg

葉の裏には星状毛が密集。
アニソ葉裏2wb.jpg

葉が黄変したままぶら下がっています。
花は潔く散りますが、葉は枯れてもなかなか落ちないのが欠点。
でも秋の葉は黄色くなったり赤みがかったりして楽しい。
アニソ枯葉wb.jpg

こちらは2011年に植え、冬越しに苦労した1世です。
5月には初めの画像のように開花したのに、秋になると葉が萎びてしまいました。
やむを得ず枝を切りましたが、春になったらまた芽を出してくれるでしょう。
アニソ枯れ幹wb.jpg

アニソドンテアを植えて4年たちました。
過去3年間は果実に気付かず、繁殖は挿し木によってきました。
アフリカ生まれにしては寒さに強いのですが、2mほどに育つと突然枯れる事があり、既に2株枯れました。
今年は初めて果実が出来ました。4年目に何故種子ができたのかと不思議です。
さらに、この花をAnisodontea malvastroides と決めていいのかどうか、悩んでいます。
検索してもアニソドンテアの種子の記載が見当たらないので、素人がおそるおそる記事にしました。また誤りがありましたらどうぞ教えて下さい。

コメント(18) 

コメント 18

多摩NTの住人

こんにちは。
アニソドンテアというのは初めて見ました。アオイ科なんですね。大きさがわかりませんが、アカバナユウゲショウのような感じにも見えます。種子のでき方を興味深く拝見しました。ここにもアンモナイトがあったんですね。
by 多摩NTの住人 (2014-12-03 08:19) 

とんちゃん

アニソドンテアと呼ばれることになったのですね
お花のことは前の記事を見せていただいてきれいな画像でうっとりしました。
ヤノネボンテンカのようにシベの動きが面白いです!
ガクはふかふかであったかそうですね
果実はアンモナイトそっくり1
このような形をした果実をほかの植物でも見たことがあります
初めての果実ができて観察が細かくてさすがです~
この種から発芽したらいいですね♪
by とんちゃん (2014-12-03 08:41) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
この花は高さ約2mの低木ですが草本かと迷う姿です。
花はアカバナユウゲショウより大きく(約3cm)5弁花、もっと淡いピンクです。
アンモナイトといってもアオツヅラフジのように全形ではなく、黒っぽくかけらっぽい形でした。

by 夕菅 (2014-12-03 15:31) 

夕菅

とんちゃん  コメントありがとうございました。
今、この花の学名が Anisodontea malvastroidesかどうか、悩んでいます。
よく似た花が和名アニソドンテア・マルヴァストロイデス、あるいは
アニソドンテア・マルバストロイデスとして報告されていますが、花の色がやや濃いのもあります。
貴ブログ10月2日のアオツヅラフジのアンモナイト、とってもきれいでしたね。これは、敢えて言えばちょっとそういう形という程度です。
by 夕菅 (2014-12-03 18:25) 

703

「アニソドンテア」ですか!
花の名前もややこしいことです。
うちのアニソドンテアは遂に0本になりました。
台風で傾いたのを戻して剪定しましたが、新芽が出てきませんでした。
あちこちにもらわれていったのを戻してもらわなきゃ(笑)
昨日訪ねたお宅では、朱色っぽいのや赤紫っぽいのがありました。
でもこの桜色のが「アニソドンティア」らしくって、いいですよね(笑)
by 703 (2014-12-03 23:21) 

夕菅

703 さん コメントありがとうございました。

実は703 さんとこにも果実が出来たかどうか、お報せしていただけるだろうと楽しみにしていたのです。
残念!
大きくなりすぎて台風の被害を受けてしまったのですね。

やはりこの種を蒔いておきます。お嫁に行けるように。

Anisodontea には紅くて小さいサンレモクイーンとか、もう少し濃い色のタラーズピンクとかレッドの栽培品種もあるようです。
でもやはり私もこの桜色が好きです。
by 夕菅 (2014-12-04 00:11) 

エフ・エム

西洋式の庭によく似合いそうなきれいな植物ですね。まだ見たことがないように思います。やはり有る程度の年月がたたないと実がつかないのですね。実の早速の観察、素敵です。
アンモナイト様のしわしわの部分が種子ですか。すると、このしわしわは種皮ということになるのでしょうか。それとも果皮の一部?
いずれにしてもおもしろいですね。他のアオイ科の植物にはこのようなものは見られますか。
by エフ・エム (2014-12-04 09:55) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
ご指摘いただいて誤りに気付き、再試しましたところ、やはりしわしわの部分は果皮で、中に種皮を被った種子がありました。
何とか写真を撮りましたので追加し記事を訂正しました。
いつもありがとうございます。今日は仕事が休みで幸いでした。

アオイ科といえばまずは隣でたくさん実を付けているヤノネボンテンカの種子も参考に添付しました。
果皮に裂け目ができないというだけで、構造は同じでした。
キンゴジカやイチビの分果には裂け目があるようですが、しわしわはなくトゲがあります。でも私は両者とも見たことがありません。

アニソドンテアは園芸店で少々販売されただけかと思います。
画像検索で同じような花が筑波実験植物園と 愛知県安城市「デンパーク」では Anisodontea malvastroidesとして、名古屋市立東山植物園では Anisodontea capensisとしてブログに紹介されていました。



by 夕菅 (2014-12-04 14:55) 

花咲かばあば

素晴らしい花付にびっくりです。種子は見たことありませんでした。ほんとアンモナイトの形ですね。発芽したらいいですね。
アニソドンティアには、いろんな色があるようですが、シルバーの混じった
葉色には、この桜色がよくあって、いいですね。花言葉は「その日限り」だそうですが、アオイ科にしては珍しく一日花ではないので、この花言葉はどうかと?
うちの庭も4本が大きくなりました。いただいて挿し木をして4年ほどになります。一番大きい一本がやはり枯れてしまいました。
時々、用心のため挿し木をしておかないといけないですね。夏よりはいつも11月12月、寒さが増してくる今のこの季節が、我が家の庭では花付がいいようです。夏のきびしい暑さの時は葉ばかりが育ちます。
さびしくなったこの季節の庭を彩ってくれています。
花の少ないこの時期、切り花にもなってうれしいですね。
アフリカ生まれのアニソドンティア、雪景色の中で見る景のアンバランスさ?が面白い。、

きびしい寒さがやってきましたが、驚いたことに今年は11月から水仙が
咲きだしびっくりです。
by 花咲かばあば (2014-12-04 20:51) 

夕菅

花咲かばあばさん コメントありがとうございました。
アニソドンテアまだ3本健在ですか。
やっぱり実はついていないのですね。不思議ですね!
私もアニソドンテアならこの色と思っています。
大きくなり過ぎた枝を切って生け花として重宝ですね。
いつもは夏は葉、秋から初冬に花でしたが、今年は5月に満開、
夏は休んで晩秋からまた咲き出しました。
そうそう、ニホンズイセンはこちらも11月初開花でしたよ。
by 夕菅 (2014-12-05 00:38) 

panda

夕菅さん、こんばんは
長崎は雨が降り出しました。また冬のお天気に戻りそうです。
アニソドンテアの果実は面白いですね、これだけで何かわかりそうなのに、学名で調べてもなかなか出てきません。園芸種だからということはないのかしら?原種があるのかなぁ・・・
でも、種の形からいろんな空想ができて楽しかったです。ありがとうございました。
by panda (2014-12-10 17:28) 

夕菅

panda さん コメントありがとうございました。
こちらも今日は冷たい雨、仕事が休みなのに庭へも行けません。
お忙しいのにアニソドンテアのことまで調べていただいても申し訳ありません。
私もこれはAnisodontea capensisまたはAnisodontea malvastroidesの栽培種だろうと思っていますが、原種の詳細がわからず、これまでとあきらめました。
アニソドンテアの種子は蛹(果皮)から出た蝶ではなく幼虫のようであっと驚きました。


by 夕菅 (2014-12-11 10:11) 

ちごゆり嘉子

アニソドンテア で、初めておじゃましました。
きょうのちごゆりの部屋にこの花らしき・・写真を載せた所
ブログ友さんが、この名前を知らせてくれました。
うれしかったです。
小さなゼニアオイというのも、あり好みですが・・もう少しエレガントな花びらです・・また覗いて見てくださいね
間違っていたら 正しい名前を知りたいのです・・よろしくお願いします。
by ちごゆり嘉子 (2015-01-24 11:04) 

夕菅

ちごゆり嘉子 さん 初めまして。
今年当地は暖冬でアニソドンテア も今までで一番元気です。
ちごゆりの部屋のアニソドンティア、拝見しました。
うちのと同じ「アニソドンティア・ピンククイーン」のようですね。
この品種が一番色が柔らかくサクラアオイと呼びたくなります。
by 夕菅 (2015-01-24 17:40) 

ままさん

初めまして。

やっと見つけました。一年以上前に旅先の露店でこの花の苗を買いました。付いていた名札は適当で、家で調べてみてもなかなか見つからず…名前が分からなくて世話の仕方も知らなくて…「簡単簡単」と言われて買いました。

まあ、今まで雪の日も酷暑の日も頑張って花を咲かせているから良いのでしょうが…

今日からはこちらで勉強します^^ありがとうございます。
by ままさん (2015-05-12 13:00) 

夕菅

まきさん 初めまして。
アニソドンテアは名札がないと検索がむつかしかったでしょうね。
今年は特に元気で冬中咲き続け未だに蕾もあります。
ただし2-3mにもなるとパタリと枯れることがありますから要注意です。
うちでもそろそろ挿し木をしておかないとと思っています。
また遊びに来てください。
by 夕菅 (2015-05-12 13:54) 

ちごゆり嘉子

それらしきが家のもあります。
果実が出来るか楽しみにします。毎年切り戻しています・・・。
3ん年目ですから・・・。
by ちごゆり嘉子 (2018-01-28 08:34) 

夕菅

ちごゆり嘉子 さん コメントありがとうございました。
アニソドンテアは南国の花、こちらでも辛うじて越冬していますが、2mを越すほど大株になるといつも枯れます。
元気が無くなったらあわてて枝を切って挿し木すればすぐ花が見られます。
種子はできたものの種子からの自生は未確認です。
徳島はこちらより暖かいでしょうから種子から育つといいですね。
by 夕菅 (2018-01-28 16:01) 

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