モモイロヒルザキツキミソウの雨滴散布 [草花(夏)]
モモイロヒルザキツキミソウの雨滴散布
今月初め多摩NTの住人さんのブログで「アカバナユウゲショウの雨滴散布」を知りました。雨水散布とは雨が降ると果実が開いて種子を散布する仕組です。
雨の代わりに水をかければいつでも実験できるそうです。
うちの庭にはまだモモイロヒルザキツキミソウが少しだけ花を咲かせています。
ユウゲショウとヒルザキツキミソウは同じくアカバナ科マツヨイグサ属。
同じく雨滴散布するかどうか確認したくなりました。

7月3日。
ぷっくりふくらんだモモイロヒルザキツキミソウ(以後ヒルザキツキミソウと略記)の果実。どれが完熟しているのでしょう。
如雨露(じょうろ)で水を掛けてみました。

大きい緑色・えんじ色のストライプの果実と小さい黄褐色・濃褐色の果実は?

10分ほどすると下の果実が開き始めました。
大きくても緑色の果実は未熟らしくまだ開きません。

20分後。
予想通り、ヒルザキツキミソウも水を含むと果実が開きました!
まるで4枚の花弁のある褐色の花のようです。

本物の雨が降った後が見たいと思いましたが、梅雨のはずなのに今年は雨が少なく、タイミングが合いません。
7月13日、やっと雨の止み間に観察することができました。
さすがに水をかけた時よりたくさん褐色の花があります!

下から順に熟した果実が開き、3個目は半開になりました。
一番下の果実の種子は雨が降ればあふれてこぼれるでしょう。
勢いよく落ちた雨滴でははじき飛ばされそうです。

けれども陽が射して乾いてくるとまた閉じます。
上から撮ると一番若い果実はもうきっちり閉まっていました。
この黄色い部分に弾力性があって曲げたり反ったりできるようです。

まだ種子がこぼれていない新しい果実を探しました。
種子が子房の中心軸の周りにピラミッド型に積み上がっています!
ヒルザキツキミソウの果実は4つの心皮からなる蒴果(さくか)です。

いつまで開閉をくり返すのでしょう?
こんな枯れ色になったらもうお終いでしょうか?
また雨が降ってきました。傘をさしての撮影です。

いえいえ10分程で開き始めました。
小雨20分後まだたくさん種子が残っています。

翌朝再確認、種子はかなり減りましたがまだまだあります。

こちらは雨のため種子があふれて落ちていくところです。
白ごまのような種子。
さらさらと流れ過ぎないように粘着性のある膜があるようです。

ほぼ空になった蒴果、もう種子の残りは数個です。
子房の中心軸が残っています。

それでも晴れるとまた閉じるのです。
あ、中心軸がはみだしていますよ。

こちらは外側に種子が落ちずに張り付いています。

黒くなった古い果実は固くて割れません。一つ採って真2つに切ってみました。
中にまだ3個の種子が残っていました。
やはり8稜のうち4稜には開閉するための支柱が入っていますね。

追加
続いて多摩NTの住人さんのブログでヒルザキツキミソウの花の紅いストライプのスカーフが紹介されていました。
その目で見ると、撮り置きの画像にピンぼけながら同じような模様が見つかりました!

もう7月も中旬、庭の花はごく僅かですがうっすらと萼片の辺縁が紅い花がありました。

スカーフは赤ばかりではなく緑色の無地も。
これは案山子卷きとでもいうのでしょうか。

ヒルザキツキミソウはもうお終いと思っていましたが、またまたの登場です。
今回調べ直すと「ヒルザキツキミソウは日本では結実しない」とする文献があるようです。
確かに結実率は帰化植物としては少なく、ほとんど果実を見ない株が多くあります。
むしろ、1枚目の画像のようにたくさん結実している株は例外です。
お蔭様で身近に雨滴散布を確認できる材料があって楽しい観察ができました。
梅雨が明けて猛暑が続きそうです。
蒴果の中に残されたヒルザキツキミソウの種子はどうなるのかと気になります。
今月初め多摩NTの住人さんのブログで「アカバナユウゲショウの雨滴散布」を知りました。雨水散布とは雨が降ると果実が開いて種子を散布する仕組です。
雨の代わりに水をかければいつでも実験できるそうです。
うちの庭にはまだモモイロヒルザキツキミソウが少しだけ花を咲かせています。
ユウゲショウとヒルザキツキミソウは同じくアカバナ科マツヨイグサ属。
同じく雨滴散布するかどうか確認したくなりました。

7月3日。
ぷっくりふくらんだモモイロヒルザキツキミソウ(以後ヒルザキツキミソウと略記)の果実。どれが完熟しているのでしょう。
如雨露(じょうろ)で水を掛けてみました。

大きい緑色・えんじ色のストライプの果実と小さい黄褐色・濃褐色の果実は?

10分ほどすると下の果実が開き始めました。
大きくても緑色の果実は未熟らしくまだ開きません。

20分後。
予想通り、ヒルザキツキミソウも水を含むと果実が開きました!
まるで4枚の花弁のある褐色の花のようです。

本物の雨が降った後が見たいと思いましたが、梅雨のはずなのに今年は雨が少なく、タイミングが合いません。
7月13日、やっと雨の止み間に観察することができました。
さすがに水をかけた時よりたくさん褐色の花があります!

下から順に熟した果実が開き、3個目は半開になりました。
一番下の果実の種子は雨が降ればあふれてこぼれるでしょう。
勢いよく落ちた雨滴でははじき飛ばされそうです。

けれども陽が射して乾いてくるとまた閉じます。
上から撮ると一番若い果実はもうきっちり閉まっていました。
この黄色い部分に弾力性があって曲げたり反ったりできるようです。

まだ種子がこぼれていない新しい果実を探しました。
種子が子房の中心軸の周りにピラミッド型に積み上がっています!
ヒルザキツキミソウの果実は4つの心皮からなる蒴果(さくか)です。

いつまで開閉をくり返すのでしょう?
こんな枯れ色になったらもうお終いでしょうか?
また雨が降ってきました。傘をさしての撮影です。

いえいえ10分程で開き始めました。
小雨20分後まだたくさん種子が残っています。

翌朝再確認、種子はかなり減りましたがまだまだあります。

こちらは雨のため種子があふれて落ちていくところです。
白ごまのような種子。
さらさらと流れ過ぎないように粘着性のある膜があるようです。

ほぼ空になった蒴果、もう種子の残りは数個です。
子房の中心軸が残っています。

それでも晴れるとまた閉じるのです。
あ、中心軸がはみだしていますよ。

こちらは外側に種子が落ちずに張り付いています。

黒くなった古い果実は固くて割れません。一つ採って真2つに切ってみました。
中にまだ3個の種子が残っていました。
やはり8稜のうち4稜には開閉するための支柱が入っていますね。

追加
続いて多摩NTの住人さんのブログでヒルザキツキミソウの花の紅いストライプのスカーフが紹介されていました。
その目で見ると、撮り置きの画像にピンぼけながら同じような模様が見つかりました!

もう7月も中旬、庭の花はごく僅かですがうっすらと萼片の辺縁が紅い花がありました。

スカーフは赤ばかりではなく緑色の無地も。
これは案山子卷きとでもいうのでしょうか。

ヒルザキツキミソウはもうお終いと思っていましたが、またまたの登場です。
今回調べ直すと「ヒルザキツキミソウは日本では結実しない」とする文献があるようです。
確かに結実率は帰化植物としては少なく、ほとんど果実を見ない株が多くあります。
むしろ、1枚目の画像のようにたくさん結実している株は例外です。
お蔭様で身近に雨滴散布を確認できる材料があって楽しい観察ができました。
梅雨が明けて猛暑が続きそうです。
蒴果の中に残されたヒルザキツキミソウの種子はどうなるのかと気になります。
2014-07-23 23:44
コメント(18)
えーっ、雨で種を飛ばす?!!!
またまたこの小さい目が大きく点になりましたよ(笑)
そうなんですか、そこらにあるヒルザキツキミソウでさえ、こんな不思議があるのだから、植物の世界はまだまだ奥が深いですね。
種を飛ばし、根を伸ばし・・・・強い訳です。
繁殖力旺盛なのはみなそんなですね。
今回も面白い記事を楽しませていただきました。
by 703 (2014-07-24 08:18)
こんにちは。
素晴らしい観察記録ですね。
とても興味深く拝見しました。
開きたてのピラミッドのような種子は、ネット画像では見たことがありましたが、実際のものは見ていません。
私も次はこの姿を撮ってみたいと思っています。
スカーフはいろいろあるんですね。
今年はこの花でずいぶん楽しめました。
by 多摩NTの住人 (2014-07-24 08:22)
意外でした!!!
そんなに何度も開閉を繰り返すなんて!!!
それにしっかりした仕組みが分かりました
8稜のうち4本がミソでしたね 支柱が備わっているなんてたいしたものです。
若い果実は4本ずつ色がきれいですね
ピエロの洋服みたい
ほぼ空っぽになってもまだ閉じたり開いたりするのですね~
DNAのおかげなのかしら・・・
若い果実の姿 ピラミッド型に積まれている蒴果 縞のスカーフ型萼片等々 ヒルザキツキミソウって愛おしくなりました
by とんちゃん (2014-07-24 14:52)
703さん コメントありがとうございました。
毎年ヒルザキツキミソウを見ているのに、雨の日は庭に出ないからこんな開閉があるとは知りませんでした。
植物の基本知識も無いまま始めたブログですが、庭の花だけからでもたくさんのことを学ばせてもらいました。
まだまだほんの入り口です。
by 夕菅 (2014-07-24 16:53)
多摩NTの住人 さん 早速コメントありがとうございました。
タイムリーに雨滴散布を教えていただきましたので、ちょうど見頃な果実がまだ残っていて経過観察できました。
仕事の繁忙期とも重なり遅くなりましたが記事にできて幸いです。
リンクも快くお許しいただきましてありがとうございました。
by 夕菅 (2014-07-24 17:04)
とんちゃん コメントありがとうございました。
目線を変えると違うものが見えてくることがしばしばありますね。
初日は小雨が降ったり止んだりしたので、花弁も開いたり閉じたり忙しそうでした。
雨の日、傘をさしての撮影はピンボケが多くて残念です。
果実の稜が緑色と紅色の縞になっていることも今回初めて気付きました。
緑色の部分には開閉を司る支柱が入っているようです。
これが水を含むと伸び、乾くと縮むのでしょうか。面白いですね。
by 夕菅 (2014-07-24 17:43)
雨滴散布、初めて聞く用語でした。日本では種を結実しないという文献も
あるようですから、めったに見られないのでしょうか。ラッキーな出会いでしたね。
開いたり閉じたりを何度も繰り返し、開いても流れすぎないように粘着性がある。植物の不思議さ、すごさを、またモモイロヒルザキツキミソウから教わりました。アカバナユウゲショウが庭に広がっています。
水をかけてみてみます。
by 花咲かばあさん (2014-07-24 22:27)
花咲かおばさん コメントありがとうございました。
雨滴散布は私も初めて聞く用語でしたが、後で調べると果実がカップ型の植物(ネコノメソウ やハルリンドウなど)の種子散布法でした。
でもユウゲショウとヒルザキツキミソウは雨の日に見ないとわかりませんね。出し惜しみするかのように少しづつ散布してはまた閉じるのも面白く思いました。
種を蒔いて水をかけるのは種蒔きの原則、合理的な仕組に驚きます。
by 夕菅 (2014-07-25 07:30)
アカバナユウゲショウでなくともヒルザキツキミソウでもできると、実験されるところがすごいところです。
アカバナユウゲショウは庭に一輪だけあった・・かな? とってしまったかしら。
結実するのかも見たこともないので、まだ残っていたらぜひ観察したいです。
以前頂いたミソハギの中からホタルブクロが咲きました♪
混ざっていたのですね、うれしいです。ありがとうございます。
折を見て見やすい場所に移して毎年楽しめそうです。
by とんとん (2014-07-25 19:31)
炎天下の中、じょうろの水でアカバナユウゲショウに雨滴散布を試してみました。たくさんの種が、みるみるうちに開いてくれました。
種がまだいっぱい入っているもの、少し残っているもの、まったく種が入っていないものも。
ヒルザキツキミソウよりもずいぶん小さい種ですので、肉眼では見ずらいですが。真夏の実験を楽しみました。
by 花咲かばあさん (2014-07-25 21:59)
とんとんさん コメントありがとうございました。
アカバナユウゲショウは花友さんにいただいたはずなのに、消えてしまっていて対比できませんでした。
結果的にはヒルザキツキミソウは花が大きくて助かりました。
お庭にアカバナユウゲショウがあったら是非試してみて下さい。
うちではメガネツユクサガこぼれ種で咲き始めました。ありがとうございました。
ミソハギの周りはホタルブクロ(ピンク・白)やハンゲショウが繁っています。余分なものまでごめんなさい。
by 夕菅 (2014-07-25 21:59)
花咲かおばさん 重ねてのコメントありがとうございました。
先日アカバナユウゲショウをいただいてきたはずですのに、今回探しても見当たりませんでした。また枯らしてしまったのでしょうね。
お庭での実験成功、しばし暑さも忘れられたことでしょう。
それにしても今日は猛烈な暑さ、夢中になり過ぎて搬送されぬようどうぞご注意下さい!
by 夕菅 (2014-07-25 22:21)
夕菅さん、こんにちは
いつもながら夕菅さんの観察には脱帽です。「黄色い部分に弾力性があって曲げたり反ったりできるようです。」こんなところまで気がつくのですもの。
雨滴散布をする植物は属や科を超えて色々あるようですが、どこかに共通点があるのかしら。などと思いをめぐらしてみましたが・・・背のひくい植物に多いような気がします。夕菅さんなら、もっと他にも思い当りそうですね、
by panda (2014-07-26 11:10)
種子が果実から雨で流れ出す様子は、ツキミソウで見ておりますが、雨滴散布と言う術語のあることははじめて知りました。
種子がこぼれないうちに、果実ごと種子を採取しています。
今年も果実が黒くなりましたので、早く採取しなければと思っています。
ツキミソウについては、
http://michikusanojikan.at.webry.info/201006/article_1.html
に書いております。
by エフ・エム (2014-07-26 14:45)
panda さん コメントありがとうございました。
雨滴散布する植物を検索するとネコノメソウ やハルリンドウ・フデリンドウが出てきました。
梅雨時咲く花ばかりでもなく、それらに共通するものは見出せません。
リンドウは反復開閉するようですが、ヒルザキツキミソウのような固い支柱はなさそうです。
ネコノメソウはカップ内に降る雨滴の勢いで種子を飛ばすのですが、開閉はしないようですね。
迷い込んだものの私にはわからないことばかりです。また教えて下さい。
by 夕菅 (2014-07-26 15:34)
エフ・エム さん コメントありがとうございました。
ツキミソウはまだ見ぬ憧れの花、お庭で見られて羨ましいです!
2010・2009年の記事拝読しました。
この花の種子もヒルザキツキミソウと同じように雨で流出するのですね。
やはり雨が降ると種から粘液が出るそうですから、その前に採種しなければならないのでしょう。
最近庭隅にコマツヨイグサが自生してきました。これは逆に要注意外来生物ですが、初めて見るとそれなりに美しい花でした。
でもコマツヨイグサの長い蒴果は雨滴散布しないようです。
by 夕菅 (2014-07-26 17:08)
雨滴散布はじめて聞く言葉でした。感動したのは私一人でなかったようですね。雨で成長し雨で種子を飛ばし次の代を絶やさないように。草花の素晴らしい機能に驚きました。種子にはあまり関心を持っていなかったので感心しました。なにしろこの時期草が種を作る前に抜かなくてはとひたすら草とりに励んでいるしだいです。
by リンちゃんママ (2014-07-29 22:35)
リンちゃんママ さん コメントありがとうございました。
雨滴散布という用語はあまり知られていないようです。
花は晴れた日に開き、果実は雨の日に開いて雨水と共に種子を蒔くとは何と賢い方法かと感心しました。
雑草は種子がこぼれないうちに抜去しないと後がたいへんですね。
酷暑の中、どうぞ熱中症に気をつけてほどほどに頑張って下さい。
by 夕菅 (2014-07-29 23:09)