バイカアマチャ [花木(夏)]
バイカアマチャ
梅花甘茶
アジサイ科バイカアマチャ属(←ユキノシタ科)の落葉低木
学名:Platycrater arguta
分布:日本と中国、日本では東海・紀伊・四国・九州の太平洋側
花期:この庭では6〜7月(諸文献では7〜8月)
この花木は10年ほど前からこの庭にあり、梅雨時に目立たない花を付けていました。
初めに覚えた名は「アマチャ」。
先月ブログ交流にて「アマチャ」はアジサイ属の別の植物であることを知りました。
それではこの樹は何でしょう?
辿り着いた名は「バイカアマチャ」でした。
2014年6月8日、蕾をたくさんつけたバイカアマチャです。
左の方にホタルブクロの花とモンシロチョウ。

葉は対生で長さ10cm前後の長楕円形、先が尖り、鋸歯があります。
枝の先端から花茎が伸びて散房状に数個の花が下垂。

大きな3個の蕾の脇に小さな蕾(?)が2個。
なんとこれはアジサイと同じく装飾花だそうです(後述)。

花は直径2cm前後で4枚の尖った萼片、4枚の花弁、多数の雄しべ、2本の雌しべが揃った両性花です。
花弁は純白で驚くほど肉厚です。

早速やってきたのはヒメハナバチの一種?

花の背面。
中央の花はすでに花弁が散り、花柱が2本残っています。
萼筒はやや膨らんでいますね。

花の散り方が特徴的です。
花弁と雄しべがⅠ塊になってはらりと落ちます。

花弁3枚と多数の雄しべが風に揺れています。
よく見ると細いクモの糸に絡まっていました。

両性花が散った後、残ったのは装飾花です。
アジサイと異なり、バイカアマチャの装飾花は小さく直径5〜15mm。
両性花の両脇に1個づつ控えめに付いています。
萼片は合着して皿状になり浅く3〜4裂し、網状脈が透けて見えます。

装飾花の蕾が大きくピンク色になっていますが、両性花が散っても開きません。

蕾は開かぬまま縮小していきます。

しかし、例外がありました。
このところの雨で両性花が全て散ってしまった7月8日、開花している装飾花を見つけました!
1株で5花、しかし花は下垂して咲いているので全部見たわけではありません。
実際にはもっとあるかもしれません。

この装飾花の花弁は3枚、雄しべは20本ほど、雌しべは1本見えています。

花は何日咲いているのでしょう。
左の花序の中央の花はこの日咲いたばかりです。

2日目。昨日と同じ状態のままでした。

3日目。3花序に1花づつ咲きました。

4日目は生憎の雨。花は全部散っていました。
雨が降らなければ3日は保つようですが雨が振るとⅠ日でもう落花してしまうのですね。

下の方の葉の上に落下した花弁が残っていました。

花弁と雄しべが散った両性花は花柱を残して子房が膨らんでいます。
装飾花は不捻性でしょう。

花柱はたいてい2本ですが、時々3本のものもあります。

おやおや、まだ昨年の果実が残っていました。

名前を間違って覚えていたバイカアマチャ。
今年初めて近くで観察してみるとなかなか面白い花でした。
小さくて目立たない装飾花、それでも開花する例外もありました。
朝日百科世界の植物5-303にバイカアマチャについて「バイカウツギ属に近縁のものと考えられるが、キレンゲショウマやギンバイソウと同じように、遺存植物であろう」と記載されています。
絶滅が心配される県もあるようですから、大切に育てないといけませんね。
( 追加:ここ愛知県では準絶滅危惧種。)
梅花甘茶
アジサイ科バイカアマチャ属(←ユキノシタ科)の落葉低木
学名:Platycrater arguta
分布:日本と中国、日本では東海・紀伊・四国・九州の太平洋側
花期:この庭では6〜7月(諸文献では7〜8月)
この花木は10年ほど前からこの庭にあり、梅雨時に目立たない花を付けていました。
初めに覚えた名は「アマチャ」。
先月ブログ交流にて「アマチャ」はアジサイ属の別の植物であることを知りました。
それではこの樹は何でしょう?
辿り着いた名は「バイカアマチャ」でした。
2014年6月8日、蕾をたくさんつけたバイカアマチャです。
左の方にホタルブクロの花とモンシロチョウ。

葉は対生で長さ10cm前後の長楕円形、先が尖り、鋸歯があります。
枝の先端から花茎が伸びて散房状に数個の花が下垂。

大きな3個の蕾の脇に小さな蕾(?)が2個。
なんとこれはアジサイと同じく装飾花だそうです(後述)。

花は直径2cm前後で4枚の尖った萼片、4枚の花弁、多数の雄しべ、2本の雌しべが揃った両性花です。
花弁は純白で驚くほど肉厚です。

早速やってきたのはヒメハナバチの一種?

花の背面。
中央の花はすでに花弁が散り、花柱が2本残っています。
萼筒はやや膨らんでいますね。

花の散り方が特徴的です。
花弁と雄しべがⅠ塊になってはらりと落ちます。

花弁3枚と多数の雄しべが風に揺れています。
よく見ると細いクモの糸に絡まっていました。

両性花が散った後、残ったのは装飾花です。
アジサイと異なり、バイカアマチャの装飾花は小さく直径5〜15mm。
両性花の両脇に1個づつ控えめに付いています。
萼片は合着して皿状になり浅く3〜4裂し、網状脈が透けて見えます。

装飾花の蕾が大きくピンク色になっていますが、両性花が散っても開きません。

蕾は開かぬまま縮小していきます。

しかし、例外がありました。
このところの雨で両性花が全て散ってしまった7月8日、開花している装飾花を見つけました!
1株で5花、しかし花は下垂して咲いているので全部見たわけではありません。
実際にはもっとあるかもしれません。

この装飾花の花弁は3枚、雄しべは20本ほど、雌しべは1本見えています。

花は何日咲いているのでしょう。
左の花序の中央の花はこの日咲いたばかりです。

2日目。昨日と同じ状態のままでした。

3日目。3花序に1花づつ咲きました。

4日目は生憎の雨。花は全部散っていました。
雨が降らなければ3日は保つようですが雨が振るとⅠ日でもう落花してしまうのですね。

下の方の葉の上に落下した花弁が残っていました。

花弁と雄しべが散った両性花は花柱を残して子房が膨らんでいます。
装飾花は不捻性でしょう。

花柱はたいてい2本ですが、時々3本のものもあります。

おやおや、まだ昨年の果実が残っていました。

名前を間違って覚えていたバイカアマチャ。
今年初めて近くで観察してみるとなかなか面白い花でした。
小さくて目立たない装飾花、それでも開花する例外もありました。
朝日百科世界の植物5-303にバイカアマチャについて「バイカウツギ属に近縁のものと考えられるが、キレンゲショウマやギンバイソウと同じように、遺存植物であろう」と記載されています。
絶滅が心配される県もあるようですから、大切に育てないといけませんね。
( 追加:ここ愛知県では準絶滅危惧種。)
2014-07-08 23:51
コメント(12)
こんにちは。
バイカアマチャの登場ですね。
解説を興味深く拝読しました。
装飾花も開花するのですね。
実際に見てみたいものです。
by 多摩NTの住人 (2014-07-09 07:53)
バイカアマチャも見たことがありません。装飾花は通常虫をよぶためにあるそうなのですが、中心となる花の方がよほど目立ちますね。花がそんな風に進化したので、装飾花の方はお役御免となって、退化の方向に向かっているのでしょうか。
アマチャの方はアジサイの変種ですから、変わった感じはしないですね。
by エフ・エム (2014-07-09 13:01)
これがバイカアマチャなのですね!!!
すっごくステキ~
アマチャなんかどうでもよくなりそうです
こういう植物こそ!植物園にあってほしいとつくづく思いました。
アジサイ属 バイカアマチャ属 とあるわけですね
ほれぼれするような花を見て大感激しました。
本当に肉厚ですね
落ちた花が宙に浮いているみたいに見えて特別な散り方!
装飾花もちゃんと咲くのですね これも少し厚みを感じます
ずいぶんたくさん花をつけているようなのでまだ当分楽しめそうですね
by とんちゃん (2014-07-09 14:13)
多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
バイカアマチャは文献が少なかったので、ボチボチ書き込んでいるうちにまた遅くなりました。
そのお蔭で装飾花の開花が見られてよかったかもしれません。
どこかで会えるといいですね。
by 夕菅 (2014-07-09 15:28)
エフ・エムさん コメントありがとうございました。
この花の小さな装飾花の役目はもう無いのだろうかと思いつつ見ていると、貧弱ながら開花する例外が現れ目を見張りました。
でもやはり「退化の方向に向かっている」と考えていいのでしょうね。
私はまだアマチャを見たことがなく、長年誤っていました。
「アマチャ」はすぐアジサイ属とわかりますね。
by 夕菅 (2014-07-09 17:37)
とんちゃん コメントありがとうございました。
この花がバイカアマチャとわかったのは とんちゃんのブログで「アマチャ」を見せていただいたからです。
お蔭様でバイカアマチャをしっかり観察することができました。
蕾の大きさからは考えられないような厚い花弁が大きく開くのが手品のようです。花の散り方も潔く汚い花がらを残しません。
今年は6月10日頃から開花、1か月で両性花は終了、あとは装飾花のみです。
by 夕菅 (2014-07-09 17:49)
珍しい花木が庭で立派に生長していますね。
花の付き方も花びらの分厚さも、他にない、個性的な木。
絶滅危惧種となれば、大事にしなきゃ!
面白いものを見せていただきました。
by 703 (2014-07-09 21:36)
大きな株のバイカアマチャですね。宮崎のIさんと2,3日前にギンバイソウの花を九州の山で見たという話を聞いて、初めて聞く花の名前でしたので検索してみました。「バイカアマチャに花が似てる」と。細々と咲いている庭のバイカアマチャを眺めたばかりでした。
背丈が20センチほど、こんな風にじっくり下から覗き込むことはありませんでした。不思議な花の構造がとてもよくわかりました。
肉厚な花びらは梅に似ていて梅花(バイカ)は納得です。
こうしてじっくり見せていただくと風情のある可愛い花でした。
日本固有の珍花だそうですね。
装飾花の花が開くのも珍しいことなんですね。残っている花をもう一度じっくり観察してみます。まだ間に合いそうです。
by 花咲かばあさん (2014-07-09 22:40)
703 さん コメントありがとうございました。
バイカアマチャは一見地味な目立たない低木ですが、その目で見ると味わい深い花木でした。
草花は何かと手をかける必要がありますが、花木は放っておいても咲きますから楽です。
この花は花がらも目立たず、虫にも強くて助かります。
by 夕菅 (2014-07-09 23:33)
花咲かおばさん コメントありがとうございました。
こんもり繁っているのに花の観察もろくろくしてなかったバイカアマチャを初めてまじめに見ました。
花はギンバイソウととてもよく似ています。でも私はまだギンバイソウの本物を見たことがありません。
雨で落花し易いのでこの豪雨の後では残花があるかと心配ですが、是非覗いて見て下さい。
by 夕菅 (2014-07-09 23:51)
夕菅さんこんにちは
バイカアマチャは九州の山では時々出会います。アジサイとは反対に大きくて目立つ両性花があるのに、装飾花もつけるのね・・・というところまでは観察していたのですが、その装飾花も開くのですね。アジサイの装飾花も咲いているので不思議はないのですが、バイカアマチャでは未確認でした。
それから、小さな装飾花でも、両性花がはやく散るためかけっこう目立っていて伊達じゃないのかもと思ったりしました ^m^
by panda (2014-07-14 08:56)
pandaさん コメントありがとうございました。
バイカアマチャは九州の山にも自生しているのですね。
私は山でも公園でも見た事がなく、園芸種かと思いながら注目もせず過ごしてきました。
今年は本名を知った勢いで10年分くらい通って経過を見てきました。
装飾花の乳首のような蕾は開かぬまま萎縮し、これでお終いかと思った頃、開花している花を見つけて感激しました。
花は美しく、散り方も潔く、最後に愛嬌を添えるとは、誠に愛すべき花でした。
by 夕菅 (2014-07-14 12:37)