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カイヅカイブキ [庭便り(春)]

カイヅカイブキ
  貝塚伊吹
  ヒノキ科ネズミサシ属(ビャクシン属)イブキ(Juniperus chinensis )の変種。

庭の西南部は家庭菜園で南と西の境にはカイズカイブキが植えられています。
植えてから35年、常緑を誇った生垣もさすがに老朽化してきました。
特に西側は隣が水田のため、稲刈りが終わってから年1回しか剪定できません。
生垣の巾は年々広くなり隣地へはみ出してしまうため強剪定しますから、生垣にも枯色が目立ってきました。
悩んだ末、今年は思いきって西側の生垣を撤去し、ウリン材のフェンスにすることにしました。
この画像は生垣の右半分が撤去されたところです。
カイズカ抜去0wb.jpg

北側から断面を見て驚きました。
高さ約2m、巾が180cmくらいありました。
けれども幹は意外に細く、撤去作業はあっけなく終わりました。
カイズカ抜去10wb.jpg

枝はほぼ水平に東西に伸び、緑の葉はほんの表層だけです。
中は枯れ枝が密集し、これでは日光も風も届きませんね。
カイズカ抜去1wb.jpg

電動鋸で枝をどんどん切り落していきます。
カイズカ抜去2wb.jpg

田んぼの方に頼んで厚い鉄板を敷かさせてもらい、軽トラックが並んで切った枝を積み込みます。
カイズカ抜去3wb.jpg

幹だけ残して生垣が撤去されると、散りかけたロウバイが名残惜し気に輝いて見えました。
カイズカ生垣西3wb.jpg

昔のアルバムを探して35年前の写真を見つけました。
カイヅカイブキを植えた年、出来立ての家庭菜園と生垣が写っています。
岐阜から名古屋へ向う名鉄電車がよーく見えます。
同じページに幼い子どもと一緒に写っている私達も若いこと!
カイヅカイブキ植樹wb.jpg

今将に切られんとするカイヅカイブキ。
緑色と褐色の部分がまだらになっています。
カイズカ抜去wb.jpg

年末に剪定した後まだ葉が出ていない所がかなりあります。
カイヅカ針葉1wb.jpg

本来常緑のカイヅカイブキは冬でもこの色をしているはずです。
これは今回撤去しない南側の生垣です。
カイヅカ鱗片状葉1wb.jpg

葉を拡大します。
カイヅカ鱗片葉3wb.jpg

正常部の葉はヒノキと同じく鱗片状です。
カイヅカ鱗片葉4wb.jpg

拡大すると小さな鱗片が鎖や組紐のように十字対生で並んでいます。
カイヅカ鱗片葉5wb.jpg

南側の生垣にも枯れたところはあります。
その部分の葉は鱗片葉とは全く異なるトゲトゲしい印象です。
カイズカ針葉4wb.jpg

近くで見ると葉は針状で触れると痛く、枯れていても刺します。
カイズカ針葉4wb2.jpg

青白色の葉と鋭い棘。何故このようなことになるのでしょう。
カイヅカ針様葉2wb.jpg

岡山理科大学植物生態研究室のホームページによれば、カイヅカイブキの母種のイブキは幼樹の頃は針葉で、次第に鱗片状の葉を付けるようになるそうです。そして常にこの鱗片状の葉を付けるものが選抜されてカイヅカイブキとされたそうですから、先祖帰りはあり得るということです。

一旦先祖帰りしたものはそのあとずっと針葉になるのでしょうか。
この画像をごらん下さい。
針葉化された枝がまた鱗片状に戻ることもあるようです。
カイヅカ両葉1wb2.jpg

針葉を出そうか鱗片葉っを出そうか迷っているような小枝です。
カイヅカ両葉4wb.jpg

長い間カイヅカイブキの生垣に囲まれて暮らしてきたはずですが、この期に及ぶまでカイヅカイブキについて調べたこともありませんでした。
今回はじめて雌雄異種とも知りました。
南側のカイヅカイブキは側溝のある道路に面しているためまだ残しました。
4月頃目立たない花が咲くようですから花も実も見てみようと思います。

追記:
今回調べてみてもカイヅカイブキとイブキとの明らかな違いがわかりません。
イブキは時には25mにもなる大木ですが、カイヅカイブキは大体6〜7mと書いてあります。
この木を庭木にするために、あまり大きくならず、針葉が出にくいイブキの子孫を栽培して育てたものがカイヅカイブキかと考えています。
コメント(16) 

コメント 16

エフ・エム

カイズカイブキも生長するとすごいことになりますね。わが家の庭の垣根は住宅を購入したとき、すでにカイズカイブキを庭の垣根として植えてありました。10年程家を空けており、手入れをしなかったせいで枝が横に張り、たいへん格好のわるい状態ですが、交換にはいたっていません。深く剪定すると杉葉が生えるし、一度繁らしてしまうと厄介です。
それと、根が凄いんです。トイレの汚水槽の中で根が伸びて、はびこって、水路をふさぎ、汚水がトイレに逆流してきたことがあります。ちょっと恐怖でした。汚い話で申し訳ありません。
by エフ・エム (2014-03-17 09:10) 

703

深く考えず、イブキと呼び倣わして来たとおり、
イブキ、イブキと使ってきましたが、うちのもカイヅカイブキですね。
同じ状態です。
イブキを切るとスギになると言って、友だちにそんな訳ないやろと
笑われてきましたが、先祖がえりだということで、納得!
大きくなるのがイブキで、垣根はカイヅカイブキ。別物なんですねえ!

ぶ厚い壁になっていたカイヅカイブキを撤去すると、庭の感じが変わりますね。
どんなに変身するか楽しみです。
by 703 (2014-03-17 13:04) 

夕菅

エフ・エム さんコメントありがとうございました。
35年前は建築がやっとで生垣まで考える余裕もなく安くて丈夫とてカイヅカイブキが植えられました。
生垣は生き物、まめに手入れをしないときれいに維持できませんね。
木の根と汚水槽や排水溝のトラブル、うちでもボウガシなどで経験しました。
細い根が僅かな隙間から入って中でモップのように繁茂したのです。
これは深刻な問題、今後さらに頻繁に起きそうでひやひやしています。

by 夕菅 (2014-03-17 17:33) 

夕菅

703さん コメントありがとうございました。
イブキの苗は販売してないはずですから、カイヅカイブキでしょうね。
でもカイヅカイブキを奔放に育てたらイブキと区別がつくかどうか、疑問に思っています。かって京都府立植物園でカイヅカイブキの大木を見た覚えがあります。
「カイヅカイブキは切りすぎると杉葉になる」ですね。
今まで緑の有機質だった場所が濃茶色の無機質になる、なじむまで抵抗がありそうです。

by 夕菅 (2014-03-17 17:48) 

とんとん

バッサリと切ったカイズカイブキはまた芽を出して茂ってくるのでしょうか。
楽しみですね。
強剪定するととげ状の葉になることがあると読んだことがありますが、このようにまた鱗変の葉に変化していくとは想像もしませんでした。
きっと生物学的な理由がちゃんとあるのでしょうね。

初め尖っていて育つと丸くなるのは、他の木でもあることですが、逆ってあるのでしょうかね。
by とんとん (2014-03-17 20:16) 

夕菅

とんとんさん コメントありがとうございました。
今回西側のカイヅカイブキの生垣は根まで抜いて塀になります。
南側はまだばっさり切る決断がつかず現状維持です。
今回先祖帰りもまた可逆的だとわかりましたので、新芽に期待したいところです。
針葉を出そうか鱗片葉にしようか、どうして決めるのでしょうね。
by 夕菅 (2014-03-17 23:25) 

リンちゃんママ

すごい幅に成長しましたね。我が家も自宅の生垣はカイズカイブキです。以前の生垣は私が適当に時期も考えずいい加減に切ったせいでところどころ先祖返りして見た目も悪くそばで触れると痛かった記憶があります。主人がバッサリカットし枯れるかと思ったら意外と幹の側から綺麗な枝になった事があります。今の生垣は五年ほど前に道路拡張工事で新しい植えたものでやっと枝と枝が重なり目隠しになりました。庭師さんがとても良く手入れして下さり緑を保っています。花も木も手がかかりますがやっぱりいいですよね。南側の生垣は残せれば残してあげて観察してあげて下さい。今回は我が家にある枝で観察できるので枝を取ってきて観てみます。
by リンちゃんママ (2014-03-17 23:39) 

夕菅

リンちゃんママさんコメントありがとうございました。
ばっさりカットしてもまた再生できたのですね。
5年目くらいからは一番良い状態でしょう。
4月頃花が咲くはずです。下から7枚目の写真の下の方に褐色に見えるところが蕾かと思います。雌株雄株があるようですから観察してみて下さい。
by 夕菅 (2014-03-18 00:48) 

とんちゃん

聞いてみて 見てみて驚きました。
二種類の植物なのかと思うほど葉が違っているので!
カイヅカイブキなんて全く知らなかったです。
生垣を思い切って取り払ったときの形 ぶわ~んと伸びていましたね
植えたときはあんなにほっそりしていたのに・・・
とげとげしい葉より鱗片状の葉のほうが安心
花はどんな風になるのかも見てみたくなりました。
それにしてもどのようなきっかけで姿を変えていくのか不思議が詰まっていそうです。
by とんちゃん (2014-03-18 07:50) 

多摩NTの住人

こんにちは。
長年見慣れてきた生け垣を切るのは、感慨も一入でしょうね。
雌雄異株でしたか。
そういわれれば、まだ花も見たことがありませんでした。
by 多摩NTの住人 (2014-03-18 08:09) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
カイヅカイブキはこの辺りで最も多く見る生垣です。
でも梨の産地では赤星病を媒介するため栽培できないそうです。
初めは業者さんにお任せで遠目で見ていましたが、切り口の迫力を見た時、これは記録しておかなければと慌てました。
まったく違った檜葉と杉葉、目を疑うほどでしょう?
花は小さくて目立たないようですが雌花の蕾かなと思う部分がありました。お近くにあったらまたご覧になって下さい。
by 夕菅 (2014-03-18 08:57) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
伐採前、まだ咲いているソシンロウバイがカイヅカイブキの深緑色をバックに西日で逆光の美しさを見せていました。
一時、切りたくなーいと迷いました(笑)。
今になって、身近過ぎて何も知らないで過ごしたことに気付きました。
by 夕菅 (2014-03-18 09:02) 

panda

夕菅さん、こんばんは
35年前のカイズカイブキと伐採される前のカイズカイブキは、35年の年月を感じさせられます。でも、お花や野菜を作られているところは変わらず、なんてステキなのでしょう。夕菅さんが植物を好きなことがよくわかります。
それから、このカイヅカイブキでも、スギ科がヒノキ科に含まれるようになったのがよくわかりますよね。
by panda (2014-03-22 22:34) 

夕菅

panda さん コメントありがとうございました。
35年前、将来生垣の巾が2m近くになるとは思いもしませんでした。
今回庭師さんから田んぼへはみ出した部分をどうするかの相談があり、やむを得ず伐採を決断したものの、ぎりぎりまで迷いが残りました。
この部分は一番日当りがいいので家庭菜園のコーナーです。春は食べ残したナバナが花を咲かせて賑やかです。
これが終わるとトマト、ナス、キュウリなど夏野菜の植え込み準備です。庭で作った野菜のおいしさを知ると止められません。
スギ科は今はスギ属としてヒノキ科に含まれているのですね。
そしてカイヅカイブキが含まれるネズミサシ属にはヒノキ葉とスギ葉が混在することも今回初めて知りました。
by 夕菅 (2014-03-23 00:58) 

ミセスサニー

我が家の生け垣もカイヅカで40数年、年に一度しか手入れをしないので幅が広く見苦しくなっています。ご近所には、ずっと同じ生垣の厚みを保っているお庭もあるので、手入れ次第なのでしょう。今更強く刈り込むことも、切ってしまうこともできない苦しい状況です。夕菅さんのお宅では、よく決心されましたね。
よく伸びた公園などのカイヅカの枝には丸い緑の実がついているものや、芋虫がいる場合があります。盆栽のシンパクは園芸品種ではなく自生のイブキなのかいつも疑問に思っています。
花を観察できたらおもしろそうですね。

昼咲きユウスゲ、3月になって発芽しました!
by ミセスサニー (2014-03-28 23:49) 

夕菅

ミセスサニーさんのお宅のカイヅカイブキはうちのよりもっと古いのですね。
やはりまめに刈り込んで手入れすれば盆栽と同じく同じ形を保てるのでしょう。
今度決心したのは敷地の西側で、隣が田んぼだからです。
写真でわかるようにもう越境していますのでやむを得ません。
でも南側は側溝がありその南は農道ですから、人様にご迷惑にはなっていないと思い保留にしました。
花は4月に咲くそうですからまた確認しようと思います。

昼咲きユウスゲ、発芽してよかったですね。
うちのは発芽したもののなかなか大きくなりません。
by 夕菅 (2014-03-29 17:01) 

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