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ウラナミシジミ [昆虫]

ウラナミシジミ
 シジミチョウ科 ヒメシジミ亜科
 Lampides boeticus
 大きさ(前翅長)13-18mm
 時 期: 7-11月
 分 布:アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの熱帯~亜熱帯とハワイ諸島。
     日本では本州以南。
 食 草:マメ科植物(エンドウ、アズキ、クズなど)

11月3日、おだやかな秋日和に誘われて垣根の外に出てみました。
稲刈りが終わって淋しくなった田んぼの道端にはアイノコセンダングサが群生しています。
ここで花より目立つのはモンシロチョウとキチョウの乱舞でしたが、近づいてみるとシジミチョウらしい小型の蝶がたくさんいて、花から花へせわしく飛び交っていました。
ウラナミシジミ8wb4.jpg

あとで調べるとこのチョウはウラナミシジミでした!
名前のように翅の裏面は美しい波模様。
ウラナミシジミ1wb.jpg

背面は銀青色で白毛が密生し、ヤマトシジミより少し大きく派手やかです。
但し、これは雄で黒っぽい縁取りがあります。
ウラナミシジミ4wb.jpg

一方、雌の翅はほとんど黒褐色。
ウラナミシジ♀wb.jpg

後翅の後端には黒点と突起(尾状突起)が左右1組づつありました。
これらは複眼と触覚のように見せかけて敵の目をあざむき、頭部を守るための擬態だそうです。
この尾状突起の有無はシジミチョウの同定にも役立ちます。
ウラナミシジミ3wb2.jpg

あら、次の瞬間、尾状突起は下向きに曲がりました。
ウラナミシジミ2wb2.jpg

後翅裏側は白の縁取りで後端に黒色の斑があります。
ウラナミシジミ7wb.jpg

黒点の周りのオレンジ色は警告色ですね。
ウラナミシジミ7wb2.jpg

黒色の斑は後にももうひとつあるようです。
また構造色の輝きがありますね。
ウラナミシジミ8wb3.jpg

ウラナミシジミはセンダングサが食草かと思いましたが、実際には幼虫はマメ科植物の蕾・花・若い果実を食べて育ちます。英名は pea blue butterfly。

センダングサは昆虫に好かれる植物らしく、いろんな昆虫が寄って来ていました。
一番目立ったのはモンシロチョウ。でも目まぐるしく飛び交い写真が撮り難い。
モンシロチョウ3wb.jpg

キチョウはバレリーナのように優しい。
キチョウ4wb3.jpg

働き者のセイヨウミツバチは蜜を吸いながら花粉団子も作っています。
コセンダングサ蜜蜂4wb.jpg

冬の準備に大童のようです。
コセンダングサ蜜蜂3wb.jpg

ウラナミシジミにはこの日初めて出会いました。
生垣で区切られただけのうちの庭で見たことがないのは、センダングサとの強い結びつきがあるのでしょうか。ウラナミシジミを検索するとコセンダングサと写っている画像が多いのです。

ウラナミシジミは食草のマメ類の害虫とされ、かっては有害動植物として取り扱われていましたが、平成16 年の農林水産省の見直しにより、非検疫有害動植物となり公的防除の対象から外されました。

卵は淡黄色のまんじゅう形、幼虫は暗緑色~緑褐色のワラジムシ形だそうです。
枝豆の害虫としてはカメムシばかり注意していましたが、来年はウラナミシジミも念頭において見てみましょう。
コメント(8) 

コメント 8

703

またしてもフームと唸ってしまいましたよ。
毎日“自然”がいっぱいの中に暮らしているつもりでも、
自然界のできごとには知らないことばかり。
いい勉強をしました!
ウラナミシジミ、アップで見ると綺麗ですね。
こんな蝶を見たことあるような気がします。
今度は注視してみます。

by 703 (2013-11-17 21:57) 

夕菅

703 さん こんばんは。
うちの庭の花は大体紹介してしまいましたから、ちょっと外へ出てみました。
703さんのお庭はお花がいつもいっぱいだから、昆虫が目立たないかもしれませんが、きっといろいろ訪れていると思います。
花も昆虫もアップしてみると思いの外美しくて感動しますね。
いろいろおつきあいいただいてありがとうございます。
by 夕菅 (2013-11-17 23:20) 

とんちゃん

ウラナミシジミ!!!私は初めて見たときに感動しました。
突起が目印だと教えていただいたのです。
そのときもコセンダングサの周りを飛んでいました。
こちらでオスにメス 両方見られてその違いも確認できました。
私が見てもどっちがどっちなのか未だにすぐには分からないと思っています。
あの突起はバランスをとるのに使われているのかしら・・・
ぐっと下向きに曲がってきましたね。
目玉に見える黒点で敵の目も欺くのかもしれない
波模様がはっきりときれいに撮れています!
幼虫がいたら観察お願いします。
モンシロチョウにキチョウ 昆虫が花に集まる光景はいいですね。
by とんちゃん (2013-11-18 09:27) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
ご覧になったウラナミシジミはやはりコセンダングサを訪れていたのですね。
写真を撮るときはどうしても美しい方を追ってしまいますので、♀の写真が撮れているか心配でしたが1枚ありました。
尾状突起は飾りだけかと思ったら、よく動くんでびっくり!
幼虫や卵はクズの葉でよく見つかるようです。栽培マメ科植物には寄らずに繁茂過剰なクズを食べてほしいと思います。
by 夕菅 (2013-11-18 12:21) 

エフ・エム

コセンダングサはきれいでもないし、ヒッツキムシとしてときにわれわれを困らせる植物ですが、ほんとうにこの花の上に昆虫をみることがおおいですね。われわれには見たり感じたりするような魅力を昆虫たちは感じるのでしょうか。花に来る昆虫を追うようになってから、昆虫とわれわれの嗜好がまったく一致しないことに気付きました。
ウラナミシジミの裏の模様はやはり自然による優れた造形だと思います。
by エフ・エム (2013-11-18 14:53) 

夕菅

エフ・エムさんコメントありがとうございました。
昆虫には人と違った見え方や感じ方があるようですが、コセンダングサは特に魅力的なようですね。
中でもウラナミシジミの集中率が高いようですので、アサギマダラとヒヨドリバナと同じような関係があるのでは?と疑いたくなりました。
検索にてシロノセンダングサにもピロリジジンアルカロイドが含まれていて、アサギマダラが集って吸蜜するという記載を見つけましたが、詳細は未明です。
ウラナミシジミの模様には絵画的な美しさがありますね。

by 夕菅 (2013-11-18 17:59) 

花咲かばあさん

ウラナミシジミ、初めて聞く名前です。突起にもびっくりしました。初めて見ました。黒点も突起も敵を欺くためなんですね。目玉に見せる黒点については昨日、
「ワイルドライフ」という番組で見たばかりでした。
蝶には多いようですね。実を守るための擬態の映像には驚きでした。
コセンダングサは昆虫にとっては大変魅力的な植物のようですね。
昆虫の気持ちは人間には理解できない(笑)。



by 花咲かばあさん (2013-11-20 22:24) 

夕菅

花咲かおばさん こんばんは。
ウラナミシジミ、私もこの日まで全く知りませんでした。
黒点も突起も画像にしてから確認しましたが、おもしろいですね。
「ワイルドライフ」も見ていませんが、NHKオンデマンドで見ることができることを確認しました。長いので続きはまた明日。
花は美しい花弁や良い香りで昆虫を誘っているのかと思いきや、意外にもこんな地味に見える花が大もてでした。
コセンダングサには何か魔力がありそうです(笑)。
by 夕菅 (2013-11-21 00:47) 

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