チコリの花 [野菜]
チコリ
キク科 キクニガナ属の多年生草本
学名 Cichorium intybus
和名 菊苦菜(キクニガナ) 英名 Chicory 別名 アンディーヴ
ヨーロッパ原産の帰化植物
草丈 80~150cmほど
花期 6~10月
今年初めてチコリの苗を見つけ、家庭菜園に植えてみました。
高さ150cm近くになってオクラと競って咲いています。
オクラの花の淡い黄色とチコリの淡いブルーのコラボはなかなか良い眺めです。

朝日に映えるチコリの花達。

近くで見ると花の大きさは3cm前後。ニガナの花をブルーに染めたような印象です。
キク科の花としてはシンプルな構造。
これは8時に撮ったものですが、すでに雌しべが開いています。

朝7時に訪れてみました。
まだ開ききっていないふんわりした花はやさしい雰囲気です。

真上から見ると10数枚の花弁と濃い青色に縁取られた未熟な雄しべだけが見えます。

拡大して雄しべを見てみましょう。
チコリの雄しべは5本が合着して集約雄しべとなり雌しべを囲んでいます。
中央の白い所が花糸、青い柱状の部分は葯が合着して筒状になっている葯筒です。
舌状花のみで筒状花はありません。
もう小さな虫が1匹入っています。

次第に葯筒から突き出すように雌しべが伸びていきます。
雌しべはすでに白い花粉に覆われています。
葯筒の内面に花粉が産出され、雌しべはその花粉を付けながら伸び出したのです。
しかし雌しべの柱頭は開かず、自家受粉を避けています(雄性先熟)。

さらに伸びた雌しべは2裂して開きますがこの内側が柱頭になっています。
開いたばかりの柱頭にはまだほとんど花粉はついていません。

柱頭が成熟するとくるりと反転して、他の花の花粉を付けて訪れる昆虫から花粉を受け易い体勢になります。

早々とやってきたのはホソヒラタアブ。
左右の複眼の間が開いているので雌でしょう。
体に付けてきた花粉が柱頭にしっかり付着します。

左右に花粉団子をつけたセイヨウミツバチも夢中で蜜を吸っています。

この大きなお腹はバラハキリバチでしょうか。

チコリは開花直後から花粉を出します。蕾の中で準備が始まっているのでしょうね。
雨の休日、1枝もらって観察してみました。
葉腋に総苞にくるまれた蕾が付いています。
午後1時、すでに青い花弁が覗いている大きな蕾がありました。

キク科の頭花はたくさんの小花が集っているはずです。
蕾を採って総苞の一部を除くとやはり、小さな子房、短い花柱、卷かれた花弁と続く小花が並んでいました。

その小花を一つ採って花弁を針で裂いて左右に開きました。
全体の長さは約1cm。
中から葯筒が現れ、驚いたことに先端からすでに2裂した雌しべが覗いていました。
雌しべは成熟後に2裂するものと今までは思っていました。

さらに葯筒を開きますと、内側には白いブツブツが見えます。未熟な花粉でしょう。
柱頭はしっかり2本に分かれていました。
花柱の外側にはブラシ状の毛があり、雌しべはこのブラシでまわりの花粉をこそげとりながら、葯筒共々成熟しつつ伸長していくのでしょう。
雄性先熟のため開花時は葯筒の方が長く、雌しべは花粉の粘着物質のため開かず1本に見えますが、さらに伸長して本来の2裂した姿を現すものと思われます。

12時頃になると花はみすぼらしく萎れていきます。
チコリははかない半日花。雌しべも縮んで固まっています。

チコリの瑞々しい葉です。かじるとタンポポの葉のような苦みがありました。

花が咲く前のチコリ。後はトマト、右はフェンネル。

ふつうチコリとしてお店に並ぶのは白菜の芯のような野菜。
こんなに大きくなって美しい花が咲くとは知らない方も多いでしょう。
花は半日で枯れ、午後はみすぼらしい花がらだけというはかない花です。
朝だけしか見られないことが多いのですが、この清々しいブルーの花は印象的でした。
キク科 キクニガナ属の多年生草本
学名 Cichorium intybus
和名 菊苦菜(キクニガナ) 英名 Chicory 別名 アンディーヴ
ヨーロッパ原産の帰化植物
草丈 80~150cmほど
花期 6~10月
今年初めてチコリの苗を見つけ、家庭菜園に植えてみました。
高さ150cm近くになってオクラと競って咲いています。
オクラの花の淡い黄色とチコリの淡いブルーのコラボはなかなか良い眺めです。

朝日に映えるチコリの花達。

近くで見ると花の大きさは3cm前後。ニガナの花をブルーに染めたような印象です。
キク科の花としてはシンプルな構造。
これは8時に撮ったものですが、すでに雌しべが開いています。

朝7時に訪れてみました。
まだ開ききっていないふんわりした花はやさしい雰囲気です。

真上から見ると10数枚の花弁と濃い青色に縁取られた未熟な雄しべだけが見えます。

拡大して雄しべを見てみましょう。
チコリの雄しべは5本が合着して集約雄しべとなり雌しべを囲んでいます。
中央の白い所が花糸、青い柱状の部分は葯が合着して筒状になっている葯筒です。
舌状花のみで筒状花はありません。
もう小さな虫が1匹入っています。

次第に葯筒から突き出すように雌しべが伸びていきます。
雌しべはすでに白い花粉に覆われています。
葯筒の内面に花粉が産出され、雌しべはその花粉を付けながら伸び出したのです。
しかし雌しべの柱頭は開かず、自家受粉を避けています(雄性先熟)。

さらに伸びた雌しべは2裂して開きますがこの内側が柱頭になっています。
開いたばかりの柱頭にはまだほとんど花粉はついていません。

柱頭が成熟するとくるりと反転して、他の花の花粉を付けて訪れる昆虫から花粉を受け易い体勢になります。

早々とやってきたのはホソヒラタアブ。
左右の複眼の間が開いているので雌でしょう。
体に付けてきた花粉が柱頭にしっかり付着します。

左右に花粉団子をつけたセイヨウミツバチも夢中で蜜を吸っています。

この大きなお腹はバラハキリバチでしょうか。

チコリは開花直後から花粉を出します。蕾の中で準備が始まっているのでしょうね。
雨の休日、1枝もらって観察してみました。
葉腋に総苞にくるまれた蕾が付いています。
午後1時、すでに青い花弁が覗いている大きな蕾がありました。

キク科の頭花はたくさんの小花が集っているはずです。
蕾を採って総苞の一部を除くとやはり、小さな子房、短い花柱、卷かれた花弁と続く小花が並んでいました。

その小花を一つ採って花弁を針で裂いて左右に開きました。
全体の長さは約1cm。
中から葯筒が現れ、驚いたことに先端からすでに2裂した雌しべが覗いていました。
雌しべは成熟後に2裂するものと今までは思っていました。

さらに葯筒を開きますと、内側には白いブツブツが見えます。未熟な花粉でしょう。
柱頭はしっかり2本に分かれていました。
花柱の外側にはブラシ状の毛があり、雌しべはこのブラシでまわりの花粉をこそげとりながら、葯筒共々成熟しつつ伸長していくのでしょう。
雄性先熟のため開花時は葯筒の方が長く、雌しべは花粉の粘着物質のため開かず1本に見えますが、さらに伸長して本来の2裂した姿を現すものと思われます。

12時頃になると花はみすぼらしく萎れていきます。
チコリははかない半日花。雌しべも縮んで固まっています。

チコリの瑞々しい葉です。かじるとタンポポの葉のような苦みがありました。

花が咲く前のチコリ。後はトマト、右はフェンネル。

ふつうチコリとしてお店に並ぶのは白菜の芯のような野菜。
こんなに大きくなって美しい花が咲くとは知らない方も多いでしょう。
花は半日で枯れ、午後はみすぼらしい花がらだけというはかない花です。
朝だけしか見られないことが多いのですが、この清々しいブルーの花は印象的でした。
2013-07-30 21:48
コメント(16)
こんにちは。
チコリの青い色が本当に綺麗ですね。
これだけ咲くと楽しいですね。
爽健美茶の原料にチコリの名前を見つけた時は驚きでした。
by 多摩NTの住人 (2013-07-31 08:19)
以前、道ばたに自生しているチコリを見つけました。
http://michikusanojikan.at.webry.info/200906/article_12.html
青い花がとてもきれいでしばらく見とれていました。
しかし、その後は同じ場所でも見ておりません。帰化植物としてはたくましさがないように思いました。
なお、学名ですが、ニガナがIxeris dentata 、キクニガナがCichorium intybus、キクジシャがCichorium endiviaと思います。
by エフ・エム (2013-07-31 09:56)
多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
7月13日貴ブログでも紹介されたばかりでしたね。
今年初めて実物と対面してこの色に魅せられました。
たくさん咲いて賑やかに見えますがこれで1株です。
爽健美茶の原料になっているのですか。根に芳香と苦味があり、コーヒーの代用としても利用されたとの文献もありました。
by 夕菅 (2013-07-31 12:57)
エフ・エム さん 貴重なコメントありがとうございました。
学名、大まちがいでした。早速訂正させていただきました。
ニガナと取り違えていました。ご指摘感謝しております。
貴ブログの記事も見せていただきました。
タイトルはキクニガナ?チコリ?と迷いましたが、朝日百科植物の世界に倣い「チコリ」としました。
野草としても、野菜としても、植物園でも見たことがなく、今回はたいへん新鮮な気持ちで、蚊に刺されることがわかっていても朝7時から見に行くことができました。
by 夕菅 (2013-07-31 13:13)
チコリって綺麗な花ですね。青い雄しべがオシャレ!
ブログ拝見して、チコリを見直しました。
うちでも倒れて咲いていますが、ほったらかし。
ちょっと反省しなきゃ(笑)
これってこぼれ種で増えるんですよ、確か。
白いのは暗い所で育てるんでしたよね?
中津川のちこり村に行って、ランチバイキングで食べました。
by 703 (2013-07-31 22:58)
うわ~ きれいですね!
チコリってこんなにきれいなのかとあらためて見直しました。
特に雄しべのストライプが好きです!
つぼみを開いてみるともう雌しべが開いているのですね。
花粉の準備も早々とできてる!
始めのうち、柱頭が反り返った姿などしおれる前ってきれいです。
チコリに似ているものってなにかあったんだけど・・・
と考えてみたらキクチシャでした。
自分で見ていても忘れることばかり増えてがっかりです。
次にチコリを見るときには夕菅さんの観察記を思い出しながら見てみますね♪
by とんちゃん (2013-08-01 07:37)
703さん コメントありがとうございました。
チコリはきれいな花は朝しか見られず、午後はみすぼらしい花がらのみになりますからやはり花庭には不向きですね。
うちでも畑(キッチンガーデン)の中だからこそ映えました。
中津川ちこり村を経営するのはモヤシをつくる会社、そこのいろんなモヤシをいただいたことがあります。
by 夕菅 (2013-08-01 09:15)
とんちゃん コメントありがとうございました。
ふつうにチコリを撮るすると花がらがたくさん入ってむさ苦しい写真になってしまいます。
このうっとりするような青い優しい花弁、清々しい葯筒、華やかに開く雌しべを強調してトリミングしました。
たしかにキクニガナ属はキクヂシャ(エンダイブ)とキクニガナ(チコリ)の2種だけです。花はそっくりだそうですが、私はまだチコリの花しか見ていません。
by 夕菅 (2013-08-01 09:36)
以前、どこから迷い込んできたのか、一本のチコリが庭に出現しました。痩せた土地のせいか背丈も50センチほど、花も数輪咲いただけでした。
こんなに美しい花でしたか。ズ-ムインされた画像にはいつも驚かされます。
清々しい花色は貴婦人のようです。雄蕊が変化していく様子の写真を魅入っています。
縞模様の美しさが特にいいですね。
蒸し蒸しする毎日に涼風が送られてきました。
また育ててみたくなりました。
by 花咲かばあさん (2013-08-01 16:19)
花咲かおばさん コメントありがとうございました。
青いチコリの花を画像で見たことがあり、一度実物を見たいと思っていました。
朝、やっぱり美しいと思ったのに、午後カメラを持っていくともう花がら。
半日花だとわかって朝撮りしました。
こぼれ種で生えてきそうですから畑の隅に残ってほしいと思っています。
by 夕菅 (2013-08-01 23:40)
夕菅さん、おひさしぶりです。
なかなか、コメントできませんが、いつも楽しみに拝見していますよ。
チコリの青い花、本当にきれいです。花は朝しか見られないとのこと。
その清楚で可憐な花に魅力が増しますね。
是非、一度この花に会いたいものです。
夕菅さんのブログを機に いろいろな植物が目に入るようになりました。今回のチコリもしっかり心に響いていますから、見つけられるといいのですが 朝限定の花となると、難しいかもしれませんね。
皆様のコメントを読ませていただき、野生のものもあるようだから期待をしながら、お散歩したいと思います。
さて、ebisu-mama としてのコメントも最後となります。1週間後引っ越しになりました。ダンボールと格闘中です。
一人、引っ越し準備をしていると疲れ切ってしまい・・・、そんなとき、夕菅さんのブログを開きます。-
可憐な、美しい、逞しい植物生き物を見て、癒されています。
次回は、oohasi-mamaです。よろしくお願いします。
by ebisu-mama (2013-08-03 18:26)
ebisu-mama さん お忙しい中、コメントありがとうございました。
「最後」にどきっとしましたがお引っ越しだったのですね。
ダンボールの山、昔を思い出します。たいへんですね〜!
チコリは都内では植物園にあるかな?と思うほど少ないかもしれません。ベランダで育てては大きくなり過ぎるでしょうし........。
いざ、ブログにと思うと拡大やトリミングをして誇張する傾向にあり、肉眼で実物を見るとがっかりさせはしないかと心配です。
真夏のお引っ越し、よりたいへんと思います。どうぞ、ご無理なさいませんように。
by 夕菅 (2013-08-03 22:13)
この暑い時期の青い花は格別美しく感じます。
殊に蕊の様子が繊細で、花粉の白が良く映えること。
雌蕊の柱頭が初めから分れていること、分れていても開いているわけではなく受粉が出来ないこと、説明で良く分かりました。
私なら、分れているだけで雌性期と早とちりしてしまいます。
夕菅さんの記事は表面的でなく、いつも詳しくて興味深いです。
by とんとん (2013-08-04 15:51)
チコリの花にこんなにスカっとした雄しべが見られると知っていたらもっと早く植えていたのですが、今年写真を撮って初めて確認できました。
雌しべの柱頭、出てきた時には成熟していると思いたくなりますね。
でも粘液が出て花粉を保持出来るようになった時が成熟のようです。
蕾のなかの2裂した雌しべを見たとき納得できました。
by 夕菅 (2013-08-04 23:26)
newもマークがつかなくて記事の更新を見逃していました。チコリの花を見るのは初めてです。ブルーがさわやかですね。雌しべが葯筒から花粉を押し出す役目をしながら自家受粉を避ける仕組みなど生命の神秘を感じます。
by satton (2013-08-06 20:10)
satton さんコメントありがとうございました。
チコリは耐寒性があり、むしろ高温多湿に弱いらしいので北海道では栽培されているかと思いましたが、そうでもないのですね。
キク科植物は難しそうですが、チコリは舌状花のみのシンプルな構造でしたから、雄しべ雌しべの変化を順に見ることができました。
by 夕菅 (2013-08-06 23:01)