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ハルオコシ・ヤブイチゲ・ニリンソウ [草花(春)]

ハルオコシ・ヤブイチゲ・ニリンソウ
 キンポウゲ科 イチリンソウ属 Anemoneの多年草
 これらイチリンソウ属の花には花弁はなく、花弁状の萼片と多数の雄しべがあります。
 いずれもスプリング・エフェメラルとして知られています。

ハルオコシ
 学名:Anemone nemorosa ‘bractea plena’
 ユーラシア大陸原産のAnemone nemorosaの八重咲き品種。
 花の大きさ 2〜2.5cm。葉は3出複葉。
ハルオコシ2013-1wb.jpg

半八重咲きの白い花びらは萼片。
周りにも緑色の花びらがあるのでしょうか?
ハルオコシ2012wb.jpg

この花は周りの緑色は葉のように見えます。
ハルオコシ2013-2wb2.jpg

緑色の花弁のように見えるものは萼片と総苞だそうです。
後から見てみましょう。
総苞が葉に変化したのですね。
ハルオコシ後姿wb.jpg

3月、日陰の庭に何か妖しいものが芽生えました。
これは一体なんだろうと悩みました。
特徴ある3出複葉が開いてやっとハルオコシとわかりました。
とても妖精の手には見えません。
ハルオコシ芽wb.jpg

ヤブイチゲ(八重咲きイチリンソウ)
 薮一華
 キンポウゲ科 イチリンソウ属 Anemoneの多年草
 学名:Anemone nemorosa 'Alba Plena'
 英名:Wood anemone、 Windflower 

イチリンソウ属には約150種があり汎世界的にに分布するそうです。
これもその1種でヨーロッパに自生するAnemone nemorosaの変種だそうです。
八重咲きイチリンソウ3輪wb.jpg

白い花弁にみえるのはやはり萼片で6〜9枚くらいあります。直径約2.5cm。
中央部はしべがが弁化したものだそうで、ボンボン飾りをつけたようでかわいい。
八重咲き一輪草wb.jpg

白絹のような白い花は白飛びして撮り難い。
ヤブイチゲの名に違和感を感じるような明るい花です。
八重咲きイチリンソウ09wb.jpg


キクザキイチゲ
 菊咲一華
 キンポウゲ科 イチリンソウ属 Anemoneの多年草
 学名:Anemone pseudoaltaica
 別名:キクザキイチリンソウ(菊咲一輪草)
 分布:近畿地方以北~北海道

長く憧れだった花。最近、意を決して苗を入手しました。
この花は一部の県ではレッドリストの絶滅危惧種に指定されています。
送られた時咲いていたこの花はまだ「夕菅の庭の花」ではありません。
来春花が見られますよう大切に育てます。
キクザキイチゲ1wb.jpg

ニリンソウ
 二輪草
 キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。
 学名:Anemone flaccida
 分布:東アジア(日本では北海道から九州)。

5枚の白い萼片が花弁のように輝いています。
花の大きさ 1.5~2cm.。
ニリンソウ2013wb2.jpg

白い多数の雄しべと黄色の雌しべ。
複数の心皮からなる雌しべが中央に集まり、それぞれの柱頭を球状に配列しています。
この多心皮の構造はキンポウゲ科の特色で、原始的な植物の形態と考えられています。
ニリンソウ2013-5wb.jpg

葉腋から2輪目の蕾が出始めました。これで二輪草になれます。
ニリンソウ09-3wb.jpg

これは3輪咲きそう。
ニリンソウ09-1wb.jpg

多くは2輪、時々1輪や3輪・4輪も。
ニリンソウ08-2wb3.jpg

側面を見てみます。
長い花柄の上にも萼は見当たりません。
ゆらゆらと風にそよぐ様子は小さなシュウメイギクのようです。
確かにシュウメイギクもキンポウゲ科 イチリンソウ属ですから当然ですね。
ニリンソウも蜜は作りませんが花粉に来る昆虫による虫媒花です。
一番上の花にいるのはクモ。
ニリンソウ2013-2wb.jpg

上の花では雌しべのひとつが膨らんで緑色の果実が出来つつあります。
ニリンソウ07-実wb.jpg

儚げな花は意外に丈夫でまわりのホタルブクロやキチジョウソウなど繁殖力旺盛な花々に埋もれそうになりながらも毎年殖えています。
地下茎と種子との併用によって見掛け以上にたくましく生きる花のようです。
ニリンソウ2013-1wb3.jpg

日陰の庭を作ってから山野草を育てる楽しみがふえました。
今回はその中からイチリンソウ・ニリンソウをまとめました。

コメント(17) 

コメント 17

703

この間アオバナヤブイチゲを買ったのですが、
水切れであわや全滅かとあせったのですが、半分が生き残ってくれました。鉢の管理は私には向きません。
夕菅さんのお庭に自然な感で育っているのを拝見して、私もそのうちいい場所をみつけて植えてみようと思いました。


by 703 (2013-04-19 23:46) 

夕菅

703さん 早速のコメントありがとうございました。
アオバナヤブイチゲという品種もあるのですね〜。
ヤブイチゲはうちの庭でも生き延びていますから地植えにできるかもしれませんね。
私は植木鉢が苦手ですから全て地植えを原則にしています。
by 夕菅 (2013-04-20 00:02) 

ebisu-mama

夕菅さん、いつも楽しく拝見しています
楽しむばかりで、なかなかコメントを書けずいますが…・
今回は、大好きな山野草。sapporo-mama時代楽しんだ山野草探しを思い出し、幸せな気分になりました。
凍てつく土が春の日差しで緩むのをずっと待っていたのでしょうね。
もう春かな?と恐る恐る出した時は、あのような姿だったのですか…
妖精の手には確かに見えません。おもしろいです。

儚げで 可憐で 弱々しく見える花達が 実は逞しく生きている・・・
ますます、山野草が好きになりました。
またご紹介くださいね。楽しみにしています。



by ebisu-mama (2013-04-20 03:35) 

とんちゃん

ハルオコシにヤブイチゲって初めて見ました!
八重咲きのハルオコシの花 言葉が出てこないほどきれいです。
総苞が葉に変化して緑色の花びらのように見えるのですね。
周りを囲んでいるので花が大きく見えて豪華だと思いました!
八重咲きイチリンソウのヤブイチゲもなんてきれいなんでしょう♪
真ん中のぽんぽん飾りが愛らしいですね
本当に「ヤブ」を返上してほしいくらいに華やかに咲きますね。
キクザキイチゲはきれいに開いて申し分なくあこがれの花です。
ニリンソウはとっても強くてよく増えるみたいですね。
農家の庭先などでもフル回転で咲き誇っているのを見ることがあります。
地下茎と種子の両方で増えるからなんですね。
可憐な花たちがこぞって咲いてくれるお庭は一日中見ていてもあきないでしょう!!!
山野草から送られるパワーははかりしれないです。

by とんちゃん (2013-04-20 08:35) 

夕菅

ebisu-mamaさん お久し振りです!
やはり山野草はいいですね。年と共にさらに惹かれていきます。
でももうそれらを探して歩くことが出来ないので、庭隅で育ててちょっぴり楽しませてもらっています。
山野草展で立派な株を見るより、芽出しのころから今か今かと開花を待つ一花の方がより愛おしく感じられます。
でも本当はもっと群生してほしいのですがなかなかそうは参りません。
札幌時代、今はなつかしい思い出になりましたね。

by 夕菅 (2013-04-20 15:17) 

夕菅

とんちゃん コメントありがとうございました。
ハルオコシやヤブイチゲの花は園芸品種のようですが、それらの原種Anemone nemorosa はヨーロッパなどでは林に群生しているそうです。
日本ではニリンソウの自生地はあちこちにありますが、イチリンソウは稀少ですね。
キクザキイチゲは地下茎が少しついたのを水苔で卷いただけの状態で届きましたので根付くかどうか心配です。

by 夕菅 (2013-04-20 15:51) 

花咲かばあさん

可憐で優しい感じの山野草、イチリンソウ、ニリンソウは、一輪でも存在感がありますね。大好きな山野草はなかなか庭で育てるのは難しいですが、このイチリンソウ、ニリンソウはうちの庭でも少しづつ増えています。
その季節が来ると、確かここらあたりと待ち遠しいです。
「あ-ここにも、そこにも」と叫んでしまいます。
しゃがみこんで、顔を寄せて、にらめっこして。
ニリンソウの花は同時に開かないで、片方が少し遅れて咲きますね。
夫唱婦随(今の時代は死語になったでしょうか?)の花と呼んで愛おしむ方もあるとか聞きました。



by 花咲かばあさん (2013-04-20 22:11) 

夕菅

花咲かおばさん コメントありがとうございました。
まさに「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時」の季節ですね。
お互いに花を交換しても相性があってこちらで殖えてそちらは絶えたり、その逆があったりして面白いですね。
ニリンソウは「夫唱婦随の花」といわれたのですか。
花びらが萼片の花は花期が長いから後から咲く2輪目とペアーになれるのですね。でも確かに最近の若い方達には当てはまらないかも。

by 夕菅 (2013-04-20 23:14) 

多摩NTの住人

こんにちは。
キクザキイチゲが来年から、お庭で見られるんですか。
楽しみですね。
我が家の庭の隅では、ニリンソウの実生の葉が出ています。
花が咲くのが楽しみです。
by 多摩NTの住人 (2013-04-21 18:49) 

夕菅

多摩NTの住人さん コメントありがとうございました。
今年お宅でセツブンソウやセリバオウレンを咲かせられたのでしたね。
私も思い切ってキクザキイチゲを加えましたが、来春咲いてくれるかどうか心配です。
実生のニリンソウも来春咲くといいですね。


by 夕菅 (2013-04-21 22:26) 

satton

ハルオコシについて、「欧州産イチリンソウのシベが八重に弁化した個体」という記述がありました。画像を見るとヤブイチゲはそういう感じがしますが、ハルオコシは萼片ですよね。
by satton (2013-04-22 11:42) 

夕菅

satton さん コメントありがとうございました。
ハルオコシは雄しべも雌しべも見えるので、satton さんと同じく私も萼片だけが花弁に変化したものと思っています。
ヤブイチゲには雌しべも雄しべも無く、代わりに短い花弁とさらにその外側のごく短い黄色の花弁(?)だけあります。



by 夕菅 (2013-04-22 15:42) 

エフ・エム

スプリングエフェメラルたち、みな可憐な花ですね。エフェメラルは短命を意味しますが、むしろ春の妖精とよびたいところです。
今年は妖精たちに会わず、残念でした。
by エフ・エム (2013-04-22 18:04) 

とんとん

ハルオコシの萼、苞の形が何ともお洒落ですね。
自然に生まれてくる形は美しくてうっとりします。
ニリンソウの群生も清々しいですね。
4輪のも出現するのは、栄養がいいせい?
ニリンソウ以前植えたのに無くなってしまってから自信がありません。
by とんとん (2013-04-22 19:51) 

夕菅

エフ・エム さんコメントありがとうございました。
「春の妖精」初めに訳された方はどなただったのでしょう。
美しい言葉ですね。今度も「スプリング エフェメラル」とどちらにしようか、迷った挙句でした。
大好きな花達ですので何とか居ながらにして見たくて植えてみました。
意外にこの地の厳しい暑さにも耐えてくれます。願わくばさらに群生してほしく大切にしています。

by 夕菅 (2013-04-22 22:43) 

夕菅

とんとん さん コメントありがとうございました。
ハルオコシの花は襟巻きをしたように見え、さらに後姿を撮りたくて花を持ち上げると細い首に重い兜が乗っかったようで折れそうでした。
これだけは風に揺れません。
ニリンソウ、枯れてしまいましたか。植えた場所がよかったのか、ここでは順調に育って嬉しく思っています。
by 夕菅 (2013-04-22 23:04) 

ran1005

始めまして
私は長野県の諏訪湖近くに住居しています
今回ハルオコシの詳しい情報が知りたくて検索していてこのblogに到着しました
ここ数年ハルオコシや八重咲きイチリンソウが野草店で市販されるようになり近隣の庭や野草園でも春先に元気な姿を見る事が出来ます
ハルオコシの咲き終わった後は仰せの通り小さな花型を残して葉の先端が3裂した葉が花の余韻を見せていますネ
私は野草は育てた事はなく豊富な近隣の野草園で楽しませてもらっていますが育てていらっしゃる方の観察力のスバラシサに脱帽です!
コメントの中にとんとんさんを目にして歓喜!
私はかなり以前からとんとんさんの観察力の素晴らしさ写真の妙のファンでもありますヨ(笑)
これからも時々伺わせてくださいネ!
by ran1005 (2013-05-19 06:54) 

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