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マルバノキ [花木(冬)]

マルバノキ
  マンサク科の落葉低木
  学名:Disanthus cercidifolius
  別名:ベニマンサク
  自生地:本州中部以西、四国
  高さ:1〜3m
  花期:10〜12月(当地では11〜12月)
 
花の少なくなった晩秋のころ、マルバノキの暗赤色の花が開き始めます。
マンサクの花のようにねじれた花弁があっちこっちに伸びて、エイリアンがアクロバットをしているかのようです。
下方の円いのは蕾、3個。
((画面は全てクリックすると大きくなります。)
マルバノキ開花wb1.jpg

花は1cmくらいに思えますが、花弁の先端から計ると直径2cmほどあります。
下は開花したばかりの花。花弁はまだ開ききらず、細く伸びやかです。
雌しべの回りに雄しべが5本、各々に未開の葯が2個づつ並んでいます。
マルバノキ花正面wb1.jpg

満開の花を真っ正面から撮りました。
花弁は開いて基部では巾広く先端にいくにつれ細く縮れつつ、10枚(?)が放射線状に広がっています。
すでに葯も開いて白い花粉が見えます。
マルバノキ花2011wb1.jpg

でも何かちょっと変です。
少し斜めから見ると、何と、花弁は10枚ではなく、花弁5枚の花が前後に2輪、背中合わせに開いていることがわかりました。
5枚の花弁がそれぞれ星形に開いていたのです。
マルバノキ花背合わせ2wb.jpg

真横から見ると、さらにはっきりします。
横向きの花が背中合わせに2個、ほとんど同時に開花し、同時に散っていきます。
マルバノキ花側面3wb.jpg

咲き初めの蕾を探してみました。
紅い苞の間から短い花柄が伸びその左右に蕾が膨らんでいます。
薄紫色の小さな萼の間から、紅い花弁がのぞいています。
基部は柔らかい毛のマフラーのよう。
マルバノキ蕾2wb@.jpg

左は間もなく散る花。
右の花は花弁と雄しべが散って、萼と子房が残っています。
子房は2室ですね。
マルバノキ花後4wb2.jpg

今朝は庭に置いた最低温度計は−4℃。
昨日も来ていたハナアブ(?)は今日は吸蜜どころか、冷たい風に揺れても固まってしまったかのように動きません。
マルバノキ・ハナアブwb.jpg

2010.12.31. 初雪の日。白い画面に紅い斑点がちらほら。
花がまだ残っていました。右上にはカマキリの卵。
マルバノキ10雪wb.jpg

今年も花が咲く頃には葉は既に枯れて落ちてしまいました。
ベニマンサクの別名はこのような姿からと頷けます。
暗赤色の小さな花は遠目には目立たず、知る人ぞ知るという存在です。
手前の葉はフヨウ、後はソヨゴの葉。
マルバノキ遠景2wb.jpg

4月の若葉。
葉は和名の通り丸っぽく、5〜12cmのハート形(円心形・卵円心形)。
長い柄があり、互生。  
マルバノキ若葉wb.jpg

2010.8.1.真夏に見られた部分的紅葉。
緑色の葉だけでも1枝切って生花に添えると風雅でいいものです。
マルバノキ10-8紅葉wb.jpg

2006.12.14. 
本来は紅葉の美しい木のはずですが、当地ではなかなかきれいには紅葉しません。
植えて間もない頃の紅葉はこんなに色とりどりだったのですが.........。
マルバノキ紅葉06wb.jpg

マルバノキは日本に自生しながら、群生地は少ないようです。
やはり、昆虫が少い季節に開花するので結実しにくいのでしょう。
絶滅が心配される県もあるようですが、種子を育てた苗は販売されています。

花の咲き方が独特で、花弁5枚の両性花2つが背中合わせに咲くことがわかりました。
美しい紅葉と同時に開花するところもあるようですが、この庭では葉は黄褐色のまま、花の前に落ちてしまいます。
果実も面白い形で1年かかって熟すそうです。
また来年こそはと紅葉と果実を楽しみにしましょう。

追記:花の臭い
マルバノキの花には良い香りはありません。
花に近接して写真を撮っても私は臭いを感ずることはなかったのですが、検索するとドクダミのような臭いとか、生臭いにおいとかの記載も見られました。
そのつもりでクンクンすると微かな刺激臭を感じましたが、ドクダミ臭とは思えません。

コメント(14) 

コメント 14

エフ・エム

はじめて知りました。咲く季節といい、花のかたちといい、背中合わせに1対の花がさくことといい、とても変わった植物ですね。へそまがりというか。
緑から紫への紅葉の移り変わりがとても美しい画像になっています。葉は気持のよいかたちですね。
by エフ・エム (2012-12-09 16:28) 

とんとん

形の良い紅葉が散ったころ枝に小さな赤い花を見つけるって、何とも夢がありますね。
葯迄赤いのがとても可愛いくて、開くと黄色に変身するところ、見ていても張り合いがありますね。^^
花の付き方もユニークで面白い。
知っていれば庭に植えたかったところです。
希少なマルバノキを見にいらっしゃる方も多いのではないですか?
by とんとん (2012-12-09 16:50) 

703

エイリアンのアクロバットの喩えが秀逸。思わず、全くだ、と!
面白い花の咲き方を見せていただきました。

今日は-4℃ですって!!
こちら車の車外温度が、午後4時に5℃でした。だいぶ違いますね。
今年は早々と寒くなって、先が思いやられます。
by 703 (2012-12-09 16:58) 

多摩NTの住人

こんにちは。
マルバノキはまだ見たことがありません。
マンサク科なんですね。
細い花弁が面白いです。
とても参考になりました。
by 多摩NTの住人 (2012-12-09 18:05) 

夕菅

エフ・エムさんコメントありがとうございました。
マルバノキは庭に植えて楽しい木だと思いますが、あまり普及していませんね。それほど大きくならないし、特に病虫害もなくお勧めです。
花はちょっと「へそまがり」?(笑)
でも葉は素直でやさしいハートマーク。
願わくば毎年もっと紅葉の妙を見せてほしいものです。
by 夕菅 (2012-12-09 22:23) 

夕菅

とんとん さんコメントありがとうございました。
マルバノキの花はデジカメで撮って画面に拡げると面白いのですが、
実物はあまり目立たず、気付く方は少ないようです。
同じ頃開花するヤツデには昆虫が集りますが、マルバノキは蜜も香りも少ないのでしょうか、昆虫にも人気がありません。
「開花中」と書いてぶら下げましょうか(笑)。
by 夕菅 (2012-12-09 22:39) 

夕菅

703さん コメントありがとうございました。
マルバノキの花、初めの頃は小さな変った花と思っていました。
構造を知って画像を拡大してみたら「面白ーい」。
こちらは夜中に早くも-4℃を記録しました。
今朝はまだベランダにあったネム(カリアンドラ・エマルギナタ)を室内に仮置きしました。夕方からは初雪がうっすら積もりましたよ。
by 夕菅 (2012-12-09 22:58) 

夕菅

多摩NTの住人 さん コメントありがとうございました。
関東には自生しないはずですが、園芸店では購入できると思いますのでもっとあちこちで見てほしい花です。
細く縮れた花弁はマンサクと同じですね。
うちにはまだマンサクは植えてありません。

by 夕菅 (2012-12-09 23:38) 

花咲かばあさん

この冬初めての雪がが降りました。
今朝の景は2010年の写真を思い浮かべています。
レンズを通しての花は初めてでした。
面白い花のつくりですね。冬芽の脇からのものや
枝からむっくりと頭を出したり、、、。
紅葉の美しさは素晴らしいですね。一枚一枚の色は何色というのでしょうか?日本には美しい色の呼び名がついています。
色見本帳で調べてみましょうか。葉の形もいいですね。
山で見たマルバノキの紅葉に会って感嘆の声をあげたとき時のこと思い出しています。ずいぶん前になりますが、うちの庭にも、、、と思って
探しましたが出会えませんでした。




by 花咲かばあさん (2012-12-10 11:46) 

夕菅

花咲かおばさん コメントありがとうございました。
こちらも夕べ降りましたよ。今年は特に早いですね。
積雪は10cmくらいでしたから、裏庭の方は踏まないようにしてまだ雪景色を残してあります(笑)。
マルバノキは老眼で見ただけではあまりよくわかりませんので、何枚も写真を撮って拡大・トリミングして良さそうなのを選びました。
自生のマルバノキは山の冷気でもっと美しく紅葉するのでしょうね。
種子が出来難いようですが、挿し木で殖やせないのかしら?

by 夕菅 (2012-12-10 18:26) 

satton

マルバノキをはじめて見ました。ユニークな花姿ですね。マンサクの仲間であるということで、イメージが少しつながりました。
by satton (2012-12-10 19:20) 

ミセスサニー

マルバノキは、いつも園芸通販に載っていて魅力的だなあ、
と眺めています。
でもきっと、暑さや乾燥には弱いのではとあきらめています。
こんな花とはどこにも書いてありませんね。
開いた花弁の白い筋が素敵です。

by ミセスサニー (2012-12-10 21:41) 

夕菅

satton さん コメントありがとうございました。
北海道にはマルバノキもマンサクも自生してないはずですね。
小さい花なので拡大しないとよく判りませんが、何とかまとめてみました。
葉は素直ですが、花は対照的にちょっと小悪魔的ですね。
by 夕菅 (2012-12-10 23:04) 

夕菅

ミセスサニーさん コメントありがとうございました。
マルバノキは暑さや乾燥にも強いはずです。
今植えている所はたまたま西日が当たらない所ですが、散水はあまりしていません。
ミセスサニーさんのお庭にはよく合いそうな気がします。
花弁の白い筋は拡大して初めて気がつきました。私の老眼ではここまで見えません。
by 夕菅 (2012-12-10 23:12) 

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