シラン [草花(春)]
シラン
紫蘭
ラン科 シラン属の宿根草
原産地:日本 台湾 中国
草丈:30〜50 cm
花期: 4〜5 月
シランは一度植えると放りっぱなしでも毎年咲いてくれる重宝な宿根草です。
自生種の花は赤紫色。
うつむき加減に咲く花ですが、正面から見れば正しくラン。
栽培種の口紅シランは気品があります。
唇弁が淡いピンク。口紅シランとは言い得て妙な命名です。
もう1種の栽培種はシロバナシラン。
これも和室の1輪差しにぴったりの清楚な花です。
葉の縁が白いのはフクリンシランというようです。これはシロバナフクリンシランというのでしょうか。
花は庭では純白に見えましたが、この拡大画像を見ると唇弁にかすかなピンクが浮かんでいます。
今までランの花の構造を確認したことがありません。
まずはクチベニシランを覗き見してみます。
何だかヒトの口の中を見るような感じです。あーん。
覗いただけではわかりません。自庭の草花ならでは、1花摘み取って調べてみます。
上顎にあたる部分は蕊柱といって、雄しべと雌しべが合着して柱状になっています。
蕊柱を起こします。
先端にある白い塊は葯です。葯の中には花粉があるはず。
赤い矢印のところに細い枝を差し込みます。
はーい、枝先に着いてきたのは花粉の塊。
葯(左)は空っぽになりました。
この花粉の塊の存在は2年前、なかなかさんのブログで教わりました(後述)。
昨年は機を逃し、今年やっとこれを追試することが出来ました。
もう一度赤いシランで確認します。
蕊柱を背萼片の上に倒したところです。
先端に葯、その下に柱頭があります。
そうっと葯を反転させると1対の黄色い塊が現れました。
これは花粉塊といって花粉が塊状になったもので、ラン科の特徴とされます。
花粉塊は昆虫に持ち運ばれるように粘着性がありますので、小枝の先でつつくと容易に付着するのです。
シランはこうして受粉結実し、細長い果実を作ります。
花の近くに昨年の蒴果の殻が未だ残っていました。
シランは偽球茎と種子との両方で繁殖するため、放っておいても殖えていくようです。
なかなかさんはホームページ「花*花・Flora」「なかなかの植物ルーム」の中の「ラン科の花 花粉塊」の項で花粉塊のことをわかり易く説明されています。
そこには背中に花粉塊をつけたハナバチ の貴重な画像もありますので是非ごらん下さい。
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/kahun-kai.htm
紫蘭
ラン科 シラン属の宿根草
原産地:日本 台湾 中国
草丈:30〜50 cm
花期: 4〜5 月
シランは一度植えると放りっぱなしでも毎年咲いてくれる重宝な宿根草です。
自生種の花は赤紫色。
うつむき加減に咲く花ですが、正面から見れば正しくラン。
栽培種の口紅シランは気品があります。
唇弁が淡いピンク。口紅シランとは言い得て妙な命名です。
もう1種の栽培種はシロバナシラン。
これも和室の1輪差しにぴったりの清楚な花です。
葉の縁が白いのはフクリンシランというようです。これはシロバナフクリンシランというのでしょうか。
花は庭では純白に見えましたが、この拡大画像を見ると唇弁にかすかなピンクが浮かんでいます。
今までランの花の構造を確認したことがありません。
まずはクチベニシランを覗き見してみます。
何だかヒトの口の中を見るような感じです。あーん。
覗いただけではわかりません。自庭の草花ならでは、1花摘み取って調べてみます。
上顎にあたる部分は蕊柱といって、雄しべと雌しべが合着して柱状になっています。
蕊柱を起こします。
先端にある白い塊は葯です。葯の中には花粉があるはず。
赤い矢印のところに細い枝を差し込みます。
はーい、枝先に着いてきたのは花粉の塊。
葯(左)は空っぽになりました。
この花粉の塊の存在は2年前、なかなかさんのブログで教わりました(後述)。
昨年は機を逃し、今年やっとこれを追試することが出来ました。
もう一度赤いシランで確認します。
蕊柱を背萼片の上に倒したところです。
先端に葯、その下に柱頭があります。
そうっと葯を反転させると1対の黄色い塊が現れました。
これは花粉塊といって花粉が塊状になったもので、ラン科の特徴とされます。
花粉塊は昆虫に持ち運ばれるように粘着性がありますので、小枝の先でつつくと容易に付着するのです。
シランはこうして受粉結実し、細長い果実を作ります。
花の近くに昨年の蒴果の殻が未だ残っていました。
シランは偽球茎と種子との両方で繁殖するため、放っておいても殖えていくようです。
なかなかさんはホームページ「花*花・Flora」「なかなかの植物ルーム」の中の「ラン科の花 花粉塊」の項で花粉塊のことをわかり易く説明されています。
そこには背中に花粉塊をつけたハナバチ の貴重な画像もありますので是非ごらん下さい。
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/kahun-kai.htm
2012-05-31 23:00
コメント(16)
花の構造がたいへんよく分かり、しかも非常に美しい写真です。
シランは旺盛に増え、花も適当に大きいので、ランの花の構造を知るには最適の材料ですね。
シロバナシランは葉が斑入りに見えます。これもシロバナシランという品種に特徴的なものでしょうか。
by エフ・エム (2012-06-01 09:21)
シンクロと言っても内容の深さが全然違いますね。
それぞれ色違いで固まって咲いていて、一色より楽しめます♪
分解してみたのですが、柱頭が柱頭に見えなくて何だろう~と思っていました。
本文を訂正して、こちらのブログもリンクさせていただきました。
by とんとん (2012-06-01 12:51)
エフ・エムさん コメントありがとうございました。
今年のシランも終わりかけ、慌てて2年越しの宿題に取り組みました。
なかなかさんの追試ですが、できるだけ誰にもわかり易くを心掛けて書きました。
うちのシロバナシランは葉が白く縁取られています。でもシロバナシランには緑1色の品種もあります。
葉の縁が白い栽培種はフクリンシランとよばれます。もとは赤花で葉が覆輪のものを指したようですが私は見たことがありません。
by 夕菅 (2012-06-01 18:15)
とんとん さん
私は2年前になかなかさんの花粉塊の記事を読んでいますから今回は追試記事になりました。
その知識がなかったら葯を反転するなど思いつくはずがありません。
とんとんさんだったらもっと鮮明に花粉塊をお撮りになったことでしょう。
by 夕菅 (2012-06-01 18:29)
我が家の庭でもこれから咲きますが、これまでなんとなく花を見るだけでした。気をつけてみると興味深いですね。これから見る視点が変わりそうです。
by satton (2012-06-02 19:35)
シランの実はドライフラワーとして利用していますが、種が落ちて発芽するんですか?! 根で広がっているとばかり思っていました!
今春、友人がシランをくれました。一つは中国シランと名前を教わりました。もう一つはフクリンシランというのだと、御ブログで知りました。
高校生の時に通学路で自生するシランを見ているので、なんだか愛着があって、また何より丈夫だし、形よくまとまるので、好きな花です。
by 703 (2012-06-02 22:30)
satton さん お庭に咲くのでしたら是非花粉塊をご確認下さい。
でも咲いたばかりの花の花粉塊を撮ると花の寿命を縮めるそうですから、花弁が少し傷んだので実験した方がよさそうです。
by 夕菅 (2012-06-02 23:25)
703さん Wikipediaによれば「ラン科としては異例に発芽しやすく、普通に鉢に播くだけで苗を得られる場合がある。」とありました。
中国シランは黄色の黄花小白笈ではありませんか。これはうちにもありますが、普通のシランより遅れてクリーム色の上品な花が咲きます。
by 夕菅 (2012-06-02 23:41)
こんにちは。
シランは手の掛からない花ですね。
ほったらかしでも毎年綺麗な花を咲かせてくれます。
我が家の狭い庭では、増えすぎて、可哀相ですが少し減らしました。
花の構造は、たいへん参考になりました。
by 多摩NTの住人 (2012-06-03 17:03)
多摩NTの住人さん コメントありがとうございました。
そうです!シランは殖え過ぎて困ることがありますね。
それでも放っておくと根っこが岩盤状(?)のようになって花が咲かなくなりました。それを掘り捨てるのがこれまたたいへんでした!
やはりほどよく間引くべきでしょうね。
by 夕菅 (2012-06-03 22:02)
シランも白花シラン、いただいたクチベニシランもどんどんひろがっています。じっくり美しい写真を見せていただいて急いで残り少なくなった花と
今、向き合っています。
シランをショウビャクキュウとも言いますか。
以前夕菅さんからショウビャクキュウといっていただいた花は、似ていますがシランの仲間でしょうか。これは少し遅れて今頃シランよりも小さめなクリ-ムがかった白い蕾をつけています。
むりやり花を開いてみましたら,蕊柱の部分が濃い紫色のしましまになっています。これが703さんのおはなしの中国シラン,黄花ショウビャクキュウのことでしょうか。シランのように繁殖力はないですが、他の花に埋もれても元気に少しづつ増えています。
おかげでシランの花ともゆっくりとむきあえました。
ありがとうございました。
by 花咲かばあさん (2012-06-04 18:01)
花咲かおばさん、今年のシランはもう終わりですね。
シランの地下塊茎(偽球茎)は漢方薬として用いられ白笈(ビャクキュウ)というようです。
差し上げたクリーム色の花のシランは黄花小白笈、ふつうのシランより遅れて咲くので、今うちでも咲き出しました。
細身ながら花茎が直立、凛とした気高さを感じる花ですね。
咲いたばかりの花ではまだ花粉塊を試す気になれません。
by 夕菅 (2012-06-04 21:08)
ありがとうございました。黄花小白笈というんですね。ギボウシに埋もれているものは花がつかないようです。日当たりがわるいせいでしょう。
移植を考えています。
けさは近くの山でツルアリドオシの白い小さな花を見つけました。一両ともいわれます。
金星が太陽の顔に黒いほくろを、、、。専用めがねがなくお天気は絶好の日でしたのに、残念なことをしましたが、山の中の木漏れ日がまん丸いしゃぼんだまのような形があちら二も、こちらにも、、、携帯の写真に収めてきました。うれしい朝でした。
by 花咲かばあさん (2012-06-06 15:20)
花咲かおばさん 再度のコメントありがとうございました。
この頃は木漏れ日という言葉さえ忘れていましたが、金環日食が思い出させてくれました。そして花咲かおばさん の観察のように、三日月があるならふだんの木漏れ日は満月であるはず。今朝は私ももう一度同じところへ見に行きました。
ありました! おっしゃるように「まん丸いしゃぼんだま模様」がいくつも! 教えていただいてありがとう! これからはここを通るたびに花咲かおばさんの円い笑顔も思い出します。
ツルアリドオシは2輪揃って咲く小さな白い花で2輪で1個の赤い実をつけるんですってね。実物は未だ見たことがありません。 毎朝の山登り、「たのしみ」が多い季節、すばらしいでしょうね。
by 夕菅 (2012-06-07 10:32)
詳細な写真見せていただきました。
花粉塊は、一度虫に運び去られるともうその花にはなくなるということでしょうか?
花粉を渡すこと、花粉をもらうこと、それが花の役割なのですね。
これからはそう思ってシランの花を見ると思います。
我が家では、覆輪の赤花が普通で、白花は縁なしです。
いろいろですね。
by ミセスサニー (2012-06-07 22:47)
ミセスサニー さんとこのシランは赤が覆輪なんですね。
フクリンシランを検索したら赤花でしたが、うちでは白が覆輪なのでシロバナフクリンシランかと書いてしまいました。
園芸種はいろいろあるのですね。
花粉塊は1対2個だけです。1対を1匹の昆虫が持ち去ったらそれで終わりですね。でも花粉塊はたくさんの花粉の集合体ですからその昆虫が訪れる花に次々と花粉を与えていく仕組みになっています。
花粉塊を背負ったミツバチ、見てみたいですね。
by 夕菅 (2012-06-08 08:01)