SSブログ

フタリシズカ [草花(春)]

フタリシズカ
二人静
 センリョウ科チャラン属の多年草。草丈15〜30cm。
 学名:Chloranthus serratus

ヒトリシズカから遅れること1か月、フタリシズカが咲きました。
ヒトリシズカと同じ年に記載しておこうとまた小さな花を見つめました。

この花は「しづやしづ しづのをだまき 繰りかへし 昔を今に なすよしもがな」と詠んだ静御前とその亡霊の舞姿に見立てて名付けられたそうです。

フタリシズカ2本1wb.jpg

サンシュユの下の日陰に群生しています。
フタリシズカの名のごとく花穂は2本づつ出るものが多い。
フタリシズカ2012-2wb.jpg

1本のものもありますが対生の2組の葉に対してちょっと淋しいかんじです。
シャガやキチジョウソウと共存しています。
フタリシズカ09-1wb.jpg

花穂3本、さらに4本もあります。
フタリシズカ2006-1wb.jpg

今年最高は5本。これでは静かとは言いかねます。
フタリシズカ5本wb.jpg

花穂といっても白い貝殻が付着しているような造りです(穂状花序)。

フタリシズカ2本wb.jpg

フタリシズカもヒトリシズカと同じく、萼も花弁もなく雄しべが花のように見えます。
その雄しべは短い花糸3本が基部で合着し、貝殻のような形で雌しべを囲んでいます。
角度を変えて見ると花糸の内側にかすかに斑点が見えました。
(画面をクリックしてごらん下さい。)
フタリシズカ雄しべ4wb.jpg

文献には雄しべには4個の葯があると書かれています。
花糸のかたまりは大きくても巾3mmくらい、日陰の庭ではこれ以上観察不能です。
そうっと雄しべを外して明るいところで撮影しました。
うっすらクリーム色の塊が、中央に2個、左右に1個づつあります。
これらが葯で今ちょうど花粉を出しているようです。
フタリシズカ花粉1wb.jpg

大きめの雄しべには褐色の葯がやはり4個ありました。
花粉を出し終えたところでしょうか。
フタリシズカ花粉3wb.jpg

雄しべが落ちた後は雌しべが露出します。
雌しべは子房と柱頭から成ります。
柱頭は半透明で見にくいのですが、この時期には子房の上部の黒点として残っています。
(画面をクリックすると大きくなります。)
フタリシズカ花後1wb.jpg

大きな葉の下を見ると小さな2世がたくさん育っていました。
こぼれ種で芽生えたのでしょう。
フタリシズカ2世wb.jpg

フタリシズカには閉鎖花もあるそうです。
花が終わると忘れがちですが、閉鎖花と果実の写真を次の宿題としましょう。
コメント(10) 

コメント 10

satton

こちらでは今ヒトリスズカが咲いているのでフタリスズカと並べてUPしようと思っていましたが、後者がピンボケで新しいのを探していました。フタリスズカの花の接写が鮮明でいいですね。
by satton (2012-05-24 18:42) 

703

フタリシズカはいつも蕾状態だと、見て過ぎていました。
説明していただくと、不思議の感に打たれます。
実にいろいろな花があるものですね。
by 703 (2012-05-24 22:14) 

夕菅

satton さん 競合してしまいましたか。
でもフタリスズカは北海道ではもっと後でしょうから、大丈夫間に合います。
私は暗いところの写真は苦手です。
どうぞもっときれいな写真を撮って下さい。
by 夕菅 (2012-05-24 22:23) 

夕菅

703さん ごめんなさい。
記事が重複してしまいましたので、2つ目の記事を消去し、19:01 にいただいたコメントをこちらに移動させていただきました。

私も最近まで花の造りもわからぬままに育て、眺めておりました。
難しそうなものはつい後回しです(笑)。
やっと調べて少しわかれば、またその眼で見る楽しみもあります。
昔の植物学者さんはデジカメもなく、拡大鏡とスケッチでの観察・記載、さぞかしたいへんだったでしうね。

by 夕菅 (2012-05-24 22:41) 

エフ・エム

どの植物も花にいろいろ工夫しているのには感心します。フタリシズカはこんな風に軸に花を並べることで、個性を出しているのですね。しかも、花被は退化させてしまって、雄しべを花被の代わりに使うというのは奇想天外です。なるほどこれで非常に目立つ美しい姿を作り出しているわけですね。
花の構造の観察、素敵です。
by エフ・エム (2012-05-25 10:27) 

とんとん

ヒトリシズカも面白い雄蕊でしたが、ヒトリシズカの方がもっと面白いですね。
内側に葯があって花粉を出して、内側の雌蕊につくのですね。
白い花(雄蕊)を撮っているなんて考えても見ませんでした。
今度見つけたら触ってみます。^^
by とんとん (2012-05-25 18:59) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
ヒトリシズカ・フタリシズカは外からは雄しべしか見えないのに実ができる、無駄を一切省いたまことに奇想天外な花ですね。
ここまでシンプルにしてもなお美しさを保っているとは驚きです。
by 夕菅 (2012-05-25 22:56) 

夕菅

とんとん さん、おしべに触れてみたいですか。
若い花は少し押しても落ちませんが、古くなると触れただけでほろほろ落ちました。
でもなんせ日影の白い小さな花は腰痛者にはつらい相手でした。
やっと終わってほっと一息(笑)。
by 夕菅 (2012-05-25 23:19) 

多摩NTの住人

こんにちは。
フタリシズカがたくさんですね。
花序が4本のものは見たことがありますが、5本のものは見たことがありません。確かにこれでは賑やかですね。
花のご説明で良く理解できました。有り難うございました。
by 多摩NTの住人 (2012-05-27 16:46) 

夕菅

多摩NTの住人 さんコメントありがとうございました。
お互いに二人静かにそれぞれフタリシズカを書いていたのですね。
今年はうちは文字通りふたりしずかです。
昨年の今頃は震災避難で5人暮らし、フタリシズカが何本出たのが一番多いかなど見る暇がありませんでした。
やはりこの花は2本が落ち着くようです。

by 夕菅 (2012-05-27 18:38) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。