アニソドンテア・ピンククイーン [花木(秋)]
アニソドンテア・ピンククイーン
アオイ科 アニソドンテア属
南アフリカ原産の低木
高さ 1〜2m
花径 約3cm
夏の初め園芸店で試しに買ったポット苗を花壇に植えました。
1m以上にすくすく育ち葉は繁るものの花はなかなか開きませんでした。
8月4日、やっと開花、これがアニソドンテア・ピンククイーン。
花は小型ですがアオイ科の特徴を備えた花と葉です。
次第に花数が増え、今尚花の少なくなった庭を彩ってくれています。
(どの画面もクリックすると大きくなります。)
これは11月13日の写真。草丈約170cm。
アニソドンテア属の園芸植物は数種販売されています。
ピンククイーンはそのうち最も優しい色合いの品種です。
葉もやや白っぽい緑で花の色とよく合います。
さて、この二つの花、花の中央のつくりがちょっと違います。
どちらが若いのでしょう。
蕾から確認していきます。
葉腋から花柄がのびて蕾が1つ、葉も茎も萼もうっすらと毛に覆われてます。
萼の外側にあるのは副萼でしょう。
開花中の花を覗くと、もう蕊柱が伸びていて、雄しべの葯も開きかけていました。
5枚の花弁が開く頃、蕊柱は灰色の花粉に覆われます。
この直前の状態が上の右側の花ですね。
この頃の花にはハナバチ達がたくさんやってきます。
背にも花粉をつけたセイヨウミツバチ。
逆光で見ると雄しべがほぐれているのがわかります。
この時期、まだ雌しべは見当たりません。雄性先熟です。
雌しべが現れました。
5枚の花弁は真ん中が少し凹んだハート型。
多くのアオイ科の花は1日花、朝咲いて夕方には萎みます。
しかしアニソドンテア・ピンククイーンは数日間咲き続けます。
中央を拡大します。
葯は花粉をほぼ出し終えて後退していきます。
代わって雌しべが中央に伸び出し、10数本に分かれた赤い花柱が現れました。
花柱は放射線状に伸び、それぞれの柱頭には花粉がついています。
さらに花柱は弓なりに曲がって先に下垂した雄しべの花粉に届く位置に達します。
この現象はモミジアオイのところで詳しく書きましたが、ヤノネボンテンカやスイフヨウにもみられました。
その頃には花弁も閉じていきます(開花後4〜5日)。
左は折り畳むように閉じた花です。これから開花する蕾のようにも見えますね。
花の後ろ姿。
先の尖った5枚の萼片の外に3枚の小さな副萼片があります。
葉の裏は陽の光りに当たると細かい毛がキラキラ光っています。星状毛?
よく見ると茎・葉の表・花柄・萼・副萼にもあります。
顕微鏡で覗いてみました。
これが星状毛でしょう。ウニのトゲのようですね。
アニソドンテア・ピンククイーンを草本ととしている文献もありました。
苗のときは草本かとも思いましたが、今や見るからに低木です。
剪定を兼ねて枝を切って割面を見ました。
右2本がアニソドンテア・ピンククイーン、中2本はヤノネボンテンカ、左2本は今年伸びたスイフヨウの枝です(いづれもアオイ科)。
今年初めて出合ったアニソドンテア・ピンククイーン。
サクラアオイという名で販売されることもあるようですが、まだ一般的ではありません。
この花はアオイ科の植物としては珍しく切り花にしても水揚げよく、花持ちが良いことに驚きました。
アオイ科の花はほとんど1日花で花瓶に挿してもたちまち萎れますのに、この花は4〜5日は大丈夫、さらにその頃には次の蕾が開花します。長く楽しむことができました。
ただ難点は耐寒性がないらしいこと、こんな大きな株立ちになるともう掘り上げて室内に入れることも出来ません。シモバシラの霜柱が見られるこの庭で冬を越すことは出来ないのではと案じています。
アオイ科 アニソドンテア属
南アフリカ原産の低木
高さ 1〜2m
花径 約3cm
夏の初め園芸店で試しに買ったポット苗を花壇に植えました。
1m以上にすくすく育ち葉は繁るものの花はなかなか開きませんでした。
8月4日、やっと開花、これがアニソドンテア・ピンククイーン。
花は小型ですがアオイ科の特徴を備えた花と葉です。
次第に花数が増え、今尚花の少なくなった庭を彩ってくれています。
(どの画面もクリックすると大きくなります。)
これは11月13日の写真。草丈約170cm。
アニソドンテア属の園芸植物は数種販売されています。
ピンククイーンはそのうち最も優しい色合いの品種です。
葉もやや白っぽい緑で花の色とよく合います。
さて、この二つの花、花の中央のつくりがちょっと違います。
どちらが若いのでしょう。
蕾から確認していきます。
葉腋から花柄がのびて蕾が1つ、葉も茎も萼もうっすらと毛に覆われてます。
萼の外側にあるのは副萼でしょう。
開花中の花を覗くと、もう蕊柱が伸びていて、雄しべの葯も開きかけていました。
5枚の花弁が開く頃、蕊柱は灰色の花粉に覆われます。
この直前の状態が上の右側の花ですね。
この頃の花にはハナバチ達がたくさんやってきます。
背にも花粉をつけたセイヨウミツバチ。
逆光で見ると雄しべがほぐれているのがわかります。
この時期、まだ雌しべは見当たりません。雄性先熟です。
雌しべが現れました。
5枚の花弁は真ん中が少し凹んだハート型。
多くのアオイ科の花は1日花、朝咲いて夕方には萎みます。
しかしアニソドンテア・ピンククイーンは数日間咲き続けます。
中央を拡大します。
葯は花粉をほぼ出し終えて後退していきます。
代わって雌しべが中央に伸び出し、10数本に分かれた赤い花柱が現れました。
花柱は放射線状に伸び、それぞれの柱頭には花粉がついています。
さらに花柱は弓なりに曲がって先に下垂した雄しべの花粉に届く位置に達します。
この現象はモミジアオイのところで詳しく書きましたが、ヤノネボンテンカやスイフヨウにもみられました。
その頃には花弁も閉じていきます(開花後4〜5日)。
左は折り畳むように閉じた花です。これから開花する蕾のようにも見えますね。
花の後ろ姿。
先の尖った5枚の萼片の外に3枚の小さな副萼片があります。
葉の裏は陽の光りに当たると細かい毛がキラキラ光っています。星状毛?
よく見ると茎・葉の表・花柄・萼・副萼にもあります。
顕微鏡で覗いてみました。
これが星状毛でしょう。ウニのトゲのようですね。
アニソドンテア・ピンククイーンを草本ととしている文献もありました。
苗のときは草本かとも思いましたが、今や見るからに低木です。
剪定を兼ねて枝を切って割面を見ました。
右2本がアニソドンテア・ピンククイーン、中2本はヤノネボンテンカ、左2本は今年伸びたスイフヨウの枝です(いづれもアオイ科)。
今年初めて出合ったアニソドンテア・ピンククイーン。
サクラアオイという名で販売されることもあるようですが、まだ一般的ではありません。
この花はアオイ科の植物としては珍しく切り花にしても水揚げよく、花持ちが良いことに驚きました。
アオイ科の花はほとんど1日花で花瓶に挿してもたちまち萎れますのに、この花は4〜5日は大丈夫、さらにその頃には次の蕾が開花します。長く楽しむことができました。
ただ難点は耐寒性がないらしいこと、こんな大きな株立ちになるともう掘り上げて室内に入れることも出来ません。シモバシラの霜柱が見られるこの庭で冬を越すことは出来ないのではと案じています。
2011-11-21 23:56
コメント(14)
とてもきれいな花ですね。アオイ科で切り花が可能とは思いがけないです。
写真がとてもきれいで、雄性先熟のモデルとして学習の教材になりますね。画像がないと、言葉だけでは理解するのが難しい場合が多いです。
雄性先熟ということは、他家受精を目的にしているようですが、無駄をしないように花柱を下垂させて、自家受精もしようというのでしょうか。しっかりものですね。
by エフ・エム (2011-11-22 13:27)
本来は夏の花なのでしょうけれど、三カ月も咲き続けるってすごいですね。
サクラアオイと言う名前がぴったりです。
これから園芸店で目にすることも多くなるのでしょうか。
ふさふさの雌蕊ですね、なんと大量なこと。
仕組みは同じだけれど一日花ではなのは嬉しい♪
でも、日本では一年草扱いになるのでしょうね。
by とんとん (2011-11-22 22:27)
エフ・エム さん コメントありがとうございました。
切り花可能とは全く予想していませんでした。
花瓶の花は葉が枯れかけても一番上の蕾まで次々と開花しようとしますので不憫なほどです。お礼に水は時々取り替えています。
アオイ科の花の多くは他家受粉出来なかった場合も自家受粉できるよう、こうした仕組みをもっていると思われます。誠に堅実です。
by 夕菅 (2011-11-23 15:41)
とんとん さん コメントありがとうございました。
この花はまだあまり市場に出回っていないようですね。
アニソドンティア・サンレモクイーンやアニソドンティア・マルバストロイデスなど近縁種があり、ネット検索しても混同?と思われるものもありますので今回はこの1株の事実のみを記しました。
開花期も4〜11月とするものや気温があれば周年性とするものもあります。
「サクラアオイ」の名、花の色や形からぴったりですね。
秋も終盤というのにまだ実は青く、早く種子を完熟するよう願っています。
by 夕菅 (2011-11-23 16:17)
夕菅さん こんにちわ~~
>さて、この二つの花、花の中央のつくりがちょっと違います。
どちらが若いのでしょう。
絶対!左側・・・ってあわてんぼうのわんちゃん。
読み進んでいくうちに何となくわかったような気分になりました。
キチンと仕組みが解ってらっしゃる夕菅さんはスゴイなぁ・・・
by わんちゃん (2011-11-24 16:10)
わんちゃん すなおですね〜。
でも右の花弁、反り返っていていかにも散り際みたいでしょう。
私も初めは間違えそうでしたよ。
全部が反るわけではないのですが咲くとき勢い余ってそってしまうのがあるのでしょうか。
蕾と萎んだ花の区別も難しいのがあって、覗き込んで葯が見えるか、雌しべの曲がった花柱がみえるかと覗き込みもしました。
雄性先熟の植物は意外にたくさんありますね。
by 夕菅 (2011-11-24 18:24)
切り花で持つ、という部分に非常に惹かれました。
しかも真夏。
後は冬越しだけですね、
虫が良すぎる話ですが、ちょっと期待しています。
by ミセスサニー (2011-11-24 22:44)
ミセスサニー さん やはり切り花にご注目でしたか。
庭の花を室内にも活けるのですが、アオイ科の花は朝はきれいでも午後には萎んでがっかりします。
この花もきっとそうだろうと思って真夏の頃は切り花にしたことがありませんでした。
晩秋になって庭の花が少なくなったので半日でもいいからと活けてみたら数日ももつので驚きました。
冬越しが課題です。
このまま放置しようか、何か防寒対策をしようか、悩んでいます。
by 夕菅 (2011-11-24 23:49)
見たことがあるような気がして調べたら、一度取り上げたことがありました。花屋さんの温室の片隅で、よれよれになって花を咲かせていたもので、このように外で元気に育っているものだとぜんぜんイメージがちがいます。ボツにしなければ・・・。
by satton (2011-11-26 15:43)
satton さんのアニソドンティアを拝見してきました。
satton さんのはたぶんアニソドンティア・サンレモクイーンだと思います。
花が1cmと小さく、ピンクが濃いからです。
私もサンレモクイーンは数年前一度植えましたが、もっと低木で冬越し出来ずあっさり消えました。
by 夕菅 (2011-11-26 18:11)
去年の2011年11月に30㎝程の苗を買って、2012年8月で鉢に植えているのですが、2mを超えています。この夏は花数がすくなくなりましたが、咲き続けています。6月に挿し木をしたものは、既に1mを超えたものもあります。名前は写真から見るとアニソドンティア・サンレモクイーンだと思います。
冬を1度超してますが、西側軒下の風があまり当たらない場所で咲き続け、今になっています。
by sinn (2012-08-12 00:47)
sinn さん 初めまして。
アニソドンティアを育っていらっしゃるのですね。
2mを越える草丈や耐寒性から考えるとアニソドンティア・サンレモクイーンではなくて、うちの花と同じくアニソドンティア・ピンククイーンではないかと想像しております。
ピンククイーンは花の直径がサンレモクイーンより大きく3cmに達します。またサンレモクイーンの花弁の線条は赤みが強く数も多いようで全体に赤っぽく感じられました。
sinn さんのお住まいは暖かいところですか。うちに庭は昨冬は−6℃にまで下がり、越冬には厳しい条件でした。
しかし、2月に訪れた淡路島の公園では、ピンククイーンがやや萎れながらも咲き続けていて驚きました。
うちのピンククイーンも挿し木が成功、今1.5mほどになっていますが、まだ花は見られません。
花が咲いたら、この1年の経過をブログに載せたいと思っています。
よろしかったらどうぞまた見て下さい。
by 夕菅 (2012-08-12 11:02)
浦安の江戸川沿いになる、おしゃれな喫茶店より。
その常連客の一人より。
いつも行く喫茶店の玄関前に咲いていたピンクの花が気に入っていたのですが、名前が解らず、1時間ほど店のママさんと常連1人の3人で検索しました。
そこで、このサイトがみつかり、そして名前が解り、
みんな喜んでいました。
ありがとうございました。
by かじお (2015-04-20 16:42)
かじおさん コメントありがとうございました。
おしゃれな喫茶店はひょっとして大きなカメさんがいるお店でしょうか(検索結果)。
この花は今年は冬の間も咲き続け今なお開花中です。
よろしかったら続編も御覧ください。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2012-09-10
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
by 夕菅 (2015-04-20 18:37)