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シモバシラの花(突然変異体?) [草花(秋)]

シモバシラ
 シソ科の多年草 
 草丈 50〜70cm
 シモバシラは初秋に白い細かい花を咲かせます。
 しかしこの植物は名前のごとく冬の花、霜柱ができることで知られています。

庭のシモバシラの霜柱についてはこのブログにすでに3回、記事にしました。

 http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2009-01-29 シモバシラ
 http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2011-01-31 シモバシラの霜柱(1)
 http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2011-02-05 シモバシラの霜柱(2)

今回はシモバシラの花を取り上げます。
この小さな花に新たな発見がありました。

シモバシラ070805wb.jpg

9月シモバシラが咲き始めました。
繁ったロウバイの下にあるので夏のうちは目に入らなかった植物ですが、花が開くや急に木陰が明るくなって存在に気付きます。

シモバシラ11-1wb.jpg

今年のシモバシラはほとんどの葉が虫に食べられてみすぼらしい姿です。
がっかりして咲き初めの写真を撮リ損ねました(トップの写真は2008年撮影)。

シモバシラ11-7wb.jpg

蕾が順に開花。

シモバシラ11-2wb.jpg

花は片側に向かって並んで咲くのが特徴です。

シモバシラ11-8wb.jpg

総状花序をよく見ると4本列状に並んでいます。
花冠をこえて雌しべが1本づつ突出し、花の4隅には雄しべの葯が赤い点のように見えています。

シモバシラ4列wb.jpg

突出した1本の雌しべの先端は2裂し、4本の雄しべは花冠内にあるのがわかります。

シモバシラ11-9-3wb.jpg

5枚の花弁がくっついた筒状の花はシソ科の特徴の唇形をしています。
花径は7mm前後。
花冠の上唇は2裂、下唇は3裂で真ん中の1枚は巾が広い。
花弁の内側には白い細かい毛があり、アリが蜜を吸いにきています。
しかし葯から花粉が出ているようには見えません。

シモバシラ11-10wb2.jpg

辛うじて虫害の少ない葉は披針形で周囲に鋸歯がありました。

シモバシラ11葉wb.jpg

うちのシモバシラはこんな姿ですが、「シモバシラの花」をGoogle検索して出てくる花の雰囲気はどこか異なっていました。
よく見るとよその花は花冠から雌しべだけでなく雄しべも突出しています。
10数件見ましたがどれも長い雄しべが飛び出し、淡紅色の葯が目立って華やかに見えます。

確認するため、検索中見つけた近くの「河川環境楽園」に出かけました。
やや日陰になる斜面にたくさんのシモバシラが見事に群生、丁度見頃でした。

シモバシラP2wb.jpg

対生の葉の間から伸びた小さめの1枝。

シモバシラP3wb.jpg

花を拡大すると先端に淡紅色の葯をつけた雄しべがマッチ棒のように突出しています。
雌しべは2本上と左下に見えていますが雄しべが賑やかで目立ちません。

シモバシラP5wb.jpg

満開の花穂を横から撮るとまるで歯ブラシのよう。

シモバシラP6wb.jpg

葉はうちのシモバシラの葉と同じです。

シモバシラP葉1wb.jpg

この両者を比較するため1画面に並べてみました。左が夕菅の庭のシモバシラです。
比べると左は雌しべのみ突出して淋しげに、右は雄しべが雌しべより多く賑々しく華やいで見えます。

シモバシラ11-12wb5.jpg シモバシラP6wb4.jpg

朝日百科 植物の世界2-246 には「シモバシラ属は日本に1種と中国に1種が自生する」と書いてありますが、中国の1種については不明です。

この株は10年ほど前、園芸店から購入したものですが、今までこのシモバシラの花が普通ではないことに全く気付きませんでした。

この花の雄しべの葯を拡大しても花粉を確認できません。
今のところ、早く咲いた花にも種子はできていないようです。
このシモバシラは雄しべが退化していると思えます。
これは突然変異体なのでしょうか。
これ以上、私にはわかりません。
お教えいただけましたら幸いです。

コメント(8) 

コメント 8

エフ・エム

見た感じ、たしかに同種のようですね。
雄性不稔の原因が突然変異体かどうか、私も分かりかねます。もし雌しべの機能が正常として、wild typeの植物の花粉を雌しべに付けてみて、種子ができれば、遺伝子突然変異の可能性が高いと思います。もし倍数性による変異(たとえば三倍体)でしたら、種子はできにくいと思います。
もし、種子ができれば、自家受精または戻し交雑によるtest crossの後代でさらに詳しいことが分かると思います。
でも、かなり面倒ですね。
by エフ・エム (2011-10-05 11:19) 

夕菅

エフ・エム さん 早速のご教授、ありがとうございました。

シモバシラの花については今までの記事に詳しくは書きませんでしたから、さらっと追加するつもりでしたのに意外な展開に驚きました。
突然変異体かどうかを決めるのはたいへんむつかしいのですね。
さしあたって、もう1株新しい苗を植えてみてできれば人工授粉して見ようかと思います。
きれいに霜柱をつくってくれますのでそれでも愛着のある1株です。
by 夕菅 (2011-10-05 12:47) 

とんとん

シモバシラと言うと蕊がいっぱい付きだしていて、と言う印象ですね。
我が家にモひょろりと一本ああるはずなのですが、無くなりゃしないかと、いつも心配で見ています。
群生は花も持ち主も嬉しいですね。
お花達の活き活きした波動が溢れていて、歩くと元気になれそうなお庭ですね。
by とんとん (2011-10-05 17:36) 

夕菅

とんとんさん、やっぱり「シモバシラと言うと蕊がいっぱい付きだしていて」だったのですね。
私は井の中の蛙、これがシモバシラと思っていました。
ところが検索しても検索しても、うちのとは違う。驚きました!

消毒しないから虫と共存の庭、せっかく群生した植物を、これまた昆虫が住み着いて群生して困っています。
by 夕菅 (2011-10-05 21:39) 

花咲かばあさん

シモバシラを今まで何度も検索していましたが、こんな違いがあることに
気がつきませんでした。
うちの庭のシモバシラは夕菅庭の一枝を頂戴して挿し木したものですので
雄蕊が短くまったく同じ花と、今日確認しました。
中国に一種、もしかして?
挿し木が四年、五年?前でしたのでずいぶん大きな株になって花数も増え、北側の寂しい庭が明るくなりました。
これからの冷たい季節、花のない時期も株元の霜柱が楽しい植物ですね。




by 花咲かばあさん (2011-10-07 21:57) 

夕菅

花咲かおばさん 
えっ! そうだったんですか!
さすが 挿し木名人ですね。木ではなく草ですのに育っていたのですか。
真っ先にお知らせすべきでしたね。ごめんなさい。
私も今度初めて真面目に花の写真を撮り、さらに文献を求めて検索中にこの花の特殊性に気付きました。
中国のシモバシラはどんな花でしょうね。
そういえば、今満開中のキンモクセイは雌しべが不全で実を結ばないそうです。

by 夕菅 (2011-10-07 23:18) 

花咲かばあさん

金木犀の実を見たことなかったのはそのせいだったのですね。
検索してみると、雌雄異株、日本には雄株しかない不思議な樹ですね。
ある日突然あちこちから香が始まってどこかしら、どこかしらと探したり
するのも楽しいですね。
近くの神社に大きな銀木犀がありますが、金木犀ほど香は強くないような
気がします。
金木犀の花、ワイン酒にしてもおいしいようです。

by 花咲かばあさん (2011-10-08 22:03) 

夕菅

花咲かおばさん、キンモクセイ検索までさせてしまったようですね。
私も一度迷い込んだことがありましたが、キンモクセイの雌株の花という画像まで到達できませんでした。
かって中国から雄株だけが輸入されたとはいうものの、今や自由に行き来できるのに不思議ですね。
たしか、キンモクセイのリキュール桂花陳酒を入れたアイスクリームをデザートに出したレストランがあったようです。
でも今夜検索してみたら花を集めて自宅でもつくれそうで驚きました。
シモバシラからアイスクリームが出るとは秋の夜長は楽しいですね。
by 夕菅 (2011-10-08 23:06) 

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