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ニゲラ・ダマスケナ (クロタネソウ) [草花(夏)]

ニゲラ・ダマスケナ Nigella damascena 
  キンポウゲ科 の1年草
  和名 クロタネソウ(黒種草)
  原産 南ヨーロッパ
  草丈 40〜80cm
一般にニゲラとして栽培されているのはニゲラ・ダマスケナの園芸種です。
昨秋植えたニゲラの苗が大きく育って5月下旬からたくさんの花を咲かせました。
これらは八重咲きで花の色は青・白・ピンクの3色でした。

開花開始の青花。
花弁に見えるのは萼片、周りの糸状の葉のようなものは5枚の総苞です。

ニゲラ花2wb.jpg

花径は3〜4cm. 真ん中に延び出た雌しべの周りを雄しべが取り囲んでいます。
羽状に深裂した葉はそれぞれがまた糸のように細く尖って特異的です。

ニゲラ花4wb2.jpg

開花直後の白い花。まだ雄しべの葯から花粉が出ていません。

ニゲラ花3wb.jpg

雌しべが怪しげに踊り出ています。雄しべの花粉も塾しています。
一重の原種には紫色の蜜標の基部に花弁が変形した蜜腺状の鱗片があるそうですが、八重の花にはありません。

ニゲラ花1wb.jpg

花弁(萼片)が散り始める頃には雌しべが広がり子房が膨らんでいます。

ニゲラ花5wb.jpg

緑色の風船のように膨らんだ果実。

ニゲラ実wb.jpg

果実は帯状に赤紫色に彩られます。

ニゲラ実2wb.jpg

膨らんだ果実を指で挟むとぺしゃんこに凹みました。

ニゲラ実4wb.jpg

緑色の風船のように膨らんだ果実。

ニゲラ果実多数wb.jpg

紙風船のような果実のてっぺんに隙間が出来て黒い種子が覗いています。

ニゲラ果実と種子wb.jpg

この果実では隙間が大きく開いて中の種子は殆ど残っていませんでした。
風に揺れつつ種子を周りにまき散らしたのでしょう。

ニゲラ果実枯wb.jpg

果実を4つ採取。右の3個はすでに種子はかなり減っているようですから、左端の完熟前の果実の中を見てみることにしました。

ニゲラ果実4wb.jpg

中は5室に分かれ、褐色ないし黒色の種子がびっしり詰まっていました。
種子を数えると約130個。

ニゲラ果実割wb.jpg

完熟した果実でまだ隙間が出来ていないものを探し、1個を裂いて種子を出しました。
小型の黒胡麻のような真っ黒な種子が113個出てきました。

ニゲラ種子103wb.jpg

ニゲラの語源となった niger はラテン語で 「黒色の」という意味です。
そういえば一般に種子は褐色が多くて黒色は稀少なのですね。
検索上、ニゲラの種子はハーブとして利用されるという記載が見られましたが、今回採取した種子には香りは感じられませんでした。
種をスパイスとして利用できるのは Nigella sativa という品種で、Nigella damascena の種子にはアルカロイド(ダマニセン)や揮発油(ニゲルエール)が含まれるそうですからご注意下さい。
またニゲラ・ダマスケナはイギリスでは Love-in-a-Mist(霧の中の愛人)、アメリカでは Devil-in-a-bush(茂みの中の悪魔)ともいわれるそうです。
たしかに何か不思議な魅力とちょっぴり魔性を感じる花ですね。





コメント(10) 

コメント 10

花咲かばあさん

またまたニゲラの楽しいお話、この小さな種子の数まで数えられたんですね。
130個、113個、、、、数えておられる姿、想像し驚きました。花も葉も果実も種も、姿形が面白く魅了的な花、、、、と、一本も
抜かずに育てていたら、庭のあちこち、ニゲラでいっぱいになりました。
この種子の数では当然ですね。
八重咲きは始めてでした。うちの庭はどうやら白色が旺盛、青い色は
いつの間に全く無くなってしまいましたので、去年は青い種をいただいて
あちこちに。今年は青色、白色と風に揺れています。
「愛人」「悪魔」などといわれているのですか。やはり絶えさえるわけには
いきませんね。




by 花咲かばあさん (2011-07-12 00:26) 

エフ・エム

花も実も不思議な魅力をもつ植物ですね。というか、一筋縄ではいかない性格をもつ植物のように思えます。花言葉もこの花をよく表現しているように感じます。クロタネソウというのは、この植物を表すには、そっけない感じです。
それにしても、黒い種子というのは珍しいのですね。黒ゴマみたいな色ですか。
by エフ・エム (2011-07-12 21:17) 

夕菅

花咲おばさんとこは一重咲きなのですね。
Nigella damascena にもいろんな園芸品種があるようです。
ニゲラも保護し過ぎると庭一杯に殖え過ぎるらしいですね。でも今年はあちこちにわざと種子をばらまいておきました。来年は「愛人」や「悪魔」が蔓延るでしょうか?
小さな種子、老眼ながらやっぱり数えました。2・4・6・8・10と数えて一塊にして、10数回ね(笑)。

by 夕菅 (2011-07-12 23:30) 

夕菅

エフ・エムさん コメントありがとうございました。
私もこの花や実に怪しい魅力を感じ、クロタネソウという和名はおとなし過ぎるように思いました。一般には「ニゲラ」と呼ばれているのはこの方が語感が近いからかもしれませんね。
この黒い実、何かに似てると思った時、思い当たったのが黒ゴマでした。しかし家には黒ゴマの在庫が無く比較できませんでした。
「炒り金ごま」と比べると一回り小さいのですが形は似ています。
生の黒ゴマはもう少し扁平で、色はニゲラの方がより黒いように思います。
by 夕菅 (2011-07-13 00:03) 

satton

変った花ですね。どうしてこんな姿をしているのか、花を見るたびに考えます。
by satton (2011-07-13 13:34) 

とんとん

遅くなってしまいました~。
黒くなったんだ~と感心して、でもニゲラに初コメントは荷が重いと一旦戻るうち暑さ負け。^_^;
直射日光を浴びると火傷しそうな暑さですね。

流石、「夕菅の庭」、環境もいいのでしょう、無事奇麗に黒く熟していますね。^^
130粒とは、花数が多いのもうなずけます。
最盛期は本当に綺麗だったでしょう。
緑の実は率直に可愛いと思えるのですが、他の造形は胸に迫るものがあるニゲラです。
外国での呼び名は、妖しい魅力が感じられる点ではどちらもぴったりですね。

ここのところ増えすぎた鉢を処分したり管理しやすい様に庭の整理をしているところです。
サボっていたので茂りすぎで困っています。
by とんとん (2011-07-15 14:58) 

夕菅

satton さんもニゲラについてお書きになってましたね。
ほんとうに花も葉も果実もユニークで何か引き付けられるものがあります。
南欧産ながら北海道でもこぼれ種で咲くんですね。


by 夕菅 (2011-07-14 22:01)
by 夕菅 (2011-07-15 22:45) 

夕菅

とんとん さん コメントありがとうございました。
ニゲラの花がどんどん咲いたのは6月上旬、まだまだ咲きそうな気配に安心し、忙しかったこともあって全体写真を撮らないまま日をおくっていたら気がついた時には花の最盛期は終了していました。
130×100?
来年は殖え過ぎて間引きがたいへんかもしれません。

この暑さの中、鉢の整理はたいへんですね。ご無理なさいませんように。






by 夕菅 (2011-07-16 00:14) 

わんちゃん

夕菅さん こんにちわ~~

ご近所さんの垣根越しにユラユラ揺れているのを散歩の行き帰りに眺めてます、けど、こんな変化の様子には気づいてませんでした。

ちっちゃな種が100個以上もですか、ビックリです、それを数えはった夕菅さんにも・・・

お花が咲いて種を数えるまでの日数って?




by わんちゃん (2011-07-18 13:30) 

夕菅

わんちゃん 私もいつも見れども視ずのことが多く、ブログにアップしようとして初めて見直すのが常ですよ。
ですからご質問の日数も正確にはわかりませんが初めに写真を撮ったのが5月26日、6月22日にはまだ黒い種子はなく、黒い種子を数えたのは6月30日でしたから5週間くらいということでしょうか。

by 夕菅 (2011-07-18 23:56) 

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