紅葉と黄葉 [庭便り(冬)]
今年も11月中旬ハナミズキやドウダンが紅葉しましたが、下旬になって珍しく八重桜の葉が黄や赤に彩られてきました。
8月下旬、八重桜に突然のように毛虫の大群が出現、やむなく薬剤散布を依頼しましたが葉は殆どなくなりました。ところが2か月後時ならぬ新緑に包まれ、短時間のうちに紅葉にまで至ったのです。
庭隅のジャノヒゲの上に散った葉、きれいなのを拾い集めてみました。
12月中旬、ヤマボウシも全葉真っ赤でした。
続いてジューンベリー。
ジューンベリーの葉はサクラより厚く、シックな紅です。
今年は紅葉のしくみを覗いてみました。
落葉樹では秋が深まると、葉の中のたんぱく質・核酸・葉緑素などの細胞内物質を分解し、茎の方に転流。窒素・リン酸・カリウムなどとして種子・地下茎・その他に再利用するそうです。
同じ頃、葉と枝に間に離層が形成され、細胞内物質の移動ができなって葉は離層のところから枯れ落ちるのです。
一方、葉の中には緑色の色素クロロフィルと黄色の色素カロチノイドがあり、秋が深まるとクロロフィルが分解されます。葉は緑色が消え、カロチノイドの黄色が現れます。
また葉には光合成によって作られた糖分が搬出できず残っています。紅葉する植物では葉に残った糖分から赤色の色素アントシアニンが出来て葉が赤くなるのです。
これは10月中旬のシロヤマブキです。葉の緑色の色素クロロフィルが分解され、黄色の色素カロチノイドが目立ってきたところでしょう。
うっすら緑色を残しつつきれいに黄色に染まったナツロウバイの葉。
ロウバイではまだ緑色の葉が残っている段階ですでに黄葉と蕾が競っています。
そして、ほら、もう1輪開花していました。
紅葉と黄葉の基本を覗いたつもりですが、実際には温度、光、湿度、大気汚染などの外的条件や遺伝性、代謝・形態など多くの複雑な要因が関与しているようです。
上の八重桜のように紅葉・黄葉混在もしばしば見られますね。
また最近、アカザ科の植物はアントシアニンではなくベタレインという色素をつくって紅葉することを知りました(『道草の時間』)。
紅葉と黄葉、共に「こうよう」、会話ではややこしいですね。
文献:朝日百科 植物の世界3-158〜160,1997
8月下旬、八重桜に突然のように毛虫の大群が出現、やむなく薬剤散布を依頼しましたが葉は殆どなくなりました。ところが2か月後時ならぬ新緑に包まれ、短時間のうちに紅葉にまで至ったのです。
庭隅のジャノヒゲの上に散った葉、きれいなのを拾い集めてみました。
12月中旬、ヤマボウシも全葉真っ赤でした。
続いてジューンベリー。
ジューンベリーの葉はサクラより厚く、シックな紅です。
今年は紅葉のしくみを覗いてみました。
落葉樹では秋が深まると、葉の中のたんぱく質・核酸・葉緑素などの細胞内物質を分解し、茎の方に転流。窒素・リン酸・カリウムなどとして種子・地下茎・その他に再利用するそうです。
同じ頃、葉と枝に間に離層が形成され、細胞内物質の移動ができなって葉は離層のところから枯れ落ちるのです。
一方、葉の中には緑色の色素クロロフィルと黄色の色素カロチノイドがあり、秋が深まるとクロロフィルが分解されます。葉は緑色が消え、カロチノイドの黄色が現れます。
また葉には光合成によって作られた糖分が搬出できず残っています。紅葉する植物では葉に残った糖分から赤色の色素アントシアニンが出来て葉が赤くなるのです。
これは10月中旬のシロヤマブキです。葉の緑色の色素クロロフィルが分解され、黄色の色素カロチノイドが目立ってきたところでしょう。
うっすら緑色を残しつつきれいに黄色に染まったナツロウバイの葉。
ロウバイではまだ緑色の葉が残っている段階ですでに黄葉と蕾が競っています。
そして、ほら、もう1輪開花していました。
紅葉と黄葉の基本を覗いたつもりですが、実際には温度、光、湿度、大気汚染などの外的条件や遺伝性、代謝・形態など多くの複雑な要因が関与しているようです。
上の八重桜のように紅葉・黄葉混在もしばしば見られますね。
また最近、アカザ科の植物はアントシアニンではなくベタレインという色素をつくって紅葉することを知りました(『道草の時間』)。
紅葉と黄葉、共に「こうよう」、会話ではややこしいですね。
文献:朝日百科 植物の世界3-158〜160,1997
2010-12-19 22:35
コメント(8)
私のブログにリンク下さってありがとうございます。大変光栄です。
ハナミズキについた虫はアメリカシロヒトリでしょうか。わが家の庭のも一昨年やられました。それ以来用心しております。
葉の役目を終わってから、葉に残った糖を材料にアントシアニンを合成するという現象は、植物になんのメリットもないように思えて、とても不思議です。まあ、そのお陰で私ども人間の楽しみが増えるのですけれども。
by エフ・エム (2010-12-20 17:27)
エフ・エム さん
リンクのお許し、ありがとうございました。
紅葉のしくみはたいへんむつかしくて、私にはうまく説明できません。
でもエフ・エム さんの『道草の時間』でベタレインの存在を教えていただいたばかりですので、1言だけでもと加筆させていただきました。
お許しいただいて、私の方こそ、たいへんありがたく光栄です。
たしかに紅葉は植物にはメリットがなさそうです。
とするとこの紅や黄の色を認識して愛でることが出来るヒトはなお幸せに思えますね。
八重桜の毛虫はモンクロシャチホコでした。これは終令になると5cmもあり、軍団を形成して1晩で葉を食べ尽くすのではと思うほど大食漢の害虫です。
長らく無農薬を維持した私の庭も2年前突如現れたこの毛虫のため薬剤散布を要しました。今回が2度目です。
ハナミズキにはアメリカシロヒトリやアメリカアオイラガが常連です。これらは早期発見して幼虫のいる小枝を切除するだけで消毒はしていません。
かくして毎年毛虫と生存競争です。
by 夕菅 (2010-12-20 21:52)
いよいよ落葉樹にとっては、最後の装いですね。紅葉は植物にはなんの
メリットもないんですか。だれのための贈り物、賢者の?
あわてん坊がもう顔を出していますね。いろいろなことが重なって
楽しい舞台を見せてくれますね。
紅葉のしくみを改めて勉強させていただきました。
季節はずれに、早々と葉を落としてしまうものに、時々、新しい葉を出して、、、
そんな樹は虫の害もなく、より美しく紅葉してくれます。
二本あるうちのヤマボウシの一本もそうでした。
びっくりしましたが今日、ヤマボウシの帰り花をみつけました。
紅く染まった樹に10花ほど。
美しく色づいた桜の葉が、なにやら素的な紳士の顔に見えました。
右゙から二番目です。夕菅さんのブログを楽しみにしておられるのかな?
落ち葉の上を歩きながら、いろいろな顔に出会います。
よくよく見ると、悪魔、天使、老女、子供、博士、笑い顔だったり、泣き顔
だったり、、、、。山眠る前の楽しい季節です。
虫食いもときにはいいかも、、、?
by 花咲かばあさん (2010-12-20 23:53)
花咲かおばさん コメントありがとうございます。
<落ち葉の上を歩きながら>忘れかけたなつかしい言葉です。
えっ? 素敵な紳士?
うーん、少々きこしめされて?
花咲かおばさんに出会うとみな詩的になりますね。
まー、紅葉のヤマボウシに返り花10花!
またまたふしぎなことが起きたのですねー。
落ち葉はさっさと堆肥場へ入れないで、私もその目でいろんな顔を
探してみましょう
by 夕菅 (2010-12-21 08:55)
こちらはもう落葉樹の葉はほとんど落ちてしまいましたが、まだ紅葉が見られるところがあるのですね。紅葉の仕組みについて勉強になりました。
by satton (2010-12-21 11:34)
satton さんコメントありがとうございました。
紅葉前線は日本の北から南へ約40日で移動するそうですから、北海道はもう1か月前に冬景色になっているのでしょうね。
紅葉の仕組み、実際には酵素の働きなどからんでもっともっと複雑です。
わーきれい!って見るだけの方が楽でよさそうですが、.......。
by 夕菅 (2010-12-21 23:04)
奈良の吉野山は桜紅葉もキレイでした
何年か前に歩いたことがありました。
ウチの庭に桜紅葉をと・・・
私の背丈を追い越したとこです
ハナミズキもキレイに紅葉してくれました。
紅葉のメカニズムのレポート流石です
絵手紙では黄葉していく順番に彩色していきます
若葉(緑系)から黄色そして黄色+上朱(朱色)と混ぜたりしながら塗っていきます、銀杏の場合ですが・・・
モミジは紅(べに)+臙脂+岱赭(ちゃいろ)と塗っていくんですよ。
特に虫食いのを拾ってきたりしながら。
by わんちゃん (2010-12-25 21:54)
わんちゃん コメントありがとうございました。
あの奈良の吉野山は桜紅葉もきれいですか。
庭の桜は毛虫の大好物、なかなか紅葉するまで葉が残りません。
今年はハナミズキやドウダンもきれいでしたね。
その写真も載せようと思ったのですが、あまりにも真っ赤でまぶしかったのでやめました(笑)。
庭の紅葉は毎年それぞれです。いろんな条件が関与するのでしょう。
絵手紙も自然界の黄葉・紅葉の順に彩色するのですか。
おもしろいですね。なるほど虫食いがあった方が楽しいんですね。
by 夕菅 (2010-12-25 23:49)